20 : ナデシコ出港準備完了(?)


地球 日本 佐世保のどこか

「やっと、出港ができるねぇー」 (アカツキ)
「本当ねぇー」 (エリナ)

「でも、ここに居るメンバーって何なの?」 (エリコ)
「性格に多少問題があっても、一流の腕を持った人材…という方針で選んだのですが、何か?」 (プロスペクター)
「じゃぁ 私たち3人は関係ないね 宇宙軍所属だし」 (ナミ)
「まだ学生だしー … それじゃ さいならぁー」 (イツキ)

((( ぐえっ )))

そそくさと退出しようとしている3人の首にロープが掛けられて引っ張られる。
そのロープの先を持つのは、地球連合宇宙軍のムネタケ総参謀長。

「君たち3名は、Mars出向になっているから、そのままアキトくんたちと一緒に乗るのよ!」 (ムネタケ)
「そうそう … ちゃんと腕は一応ギリギリ及第点だけどあるから、方針にはあっているよ。」 (ユリカ)
「下手に逃げると、兄さんが追いかけるし、おとなしくしといた方が身のためだと思う…」 (カイト)

((( はぁーーーい )))

「おいおい、秘密の会議って聞いたけど、このメンツは何なんだぁー」 (ウリバタケ)
「Mars整備班長を連行してきたが、いいのか、ここで?」 (ゴート)
「はいはい 間違いないですよ! おや ルリさんもお疲れ様です。」 (プロスペクター)
「どうも、オモイカネの準備も整いました。」 (ルリ)

ルリの後からアキトも入ってきて、一応、会議のメンバーは揃った。

「さて始めますか?」 (アカツキ)

「会議終了後から乗り込むナデシコの説明だけど… ルリちゃん…お願い」 (ユリカ)

ルリが正面のモニター前に立ちナデシコの説明を始める。
モニターには大きくて、真っ白の船体なんですが、ちょっと変わった形をした船が表示されています。
普通、宇宙戦艦は大気圏突破などを考えて、先端が尖ったような流線型に近い形になっているけど、このナデシコは両舷側から大きい出っ張りが2つ張り出していて、とても流線型というより雪ソリみたいな形になっています。
この出っ張りが、ディストーション・フィールド発生装置で、船の周囲をフィールドで囲んで摩擦係数を下げる役割をしています。
昔風にいえば… 『バリアー』みたいな物です。
主な武装はグラビティ・ブラストとミサイルと対空砲だけですが、重要なのは移動砲台みたいな物を積んでいること。
それは近接戦闘用人型ロボット・エステバリスです。
エステバリスは、フレーム交換することで、陸海空はもちろん宇宙でも運用可能。
超々強化樹脂と複合ルナリウム合金を使用することにより、重量1.85トンという軽量タイプ。
さらにナデシコから発される重力波ビームを受けてエネルギー供給を行なうので、ナデシコといっしょに活動させれば活動時間は無限。
それでナデシコの移動砲台みたいな役割をしています。

「はぁ… 疲れました。」 (ルリ)
「ルリちゃん … お疲れ様 … 次はエステバリスの運用については カイトくん」 (ユリカ)

出港時に搭載しているのは、6機。
宇宙に上がってからは追加の3機を入れて、全部で9機になること。
基本フォーメーションは、2トップで先行攻撃。
残りは状況に応じて攻撃側と防御側に変更するパターン。
ようは臨機応変に対応することになること。

「カイト君 ありがとう … 最後は各自の部署と役割だけど 」 (ユリカ)
「オレが話そう」 (アキト)


ブリッジ要員
フクベ・ジン 提督 第1次火星大戦の英雄 宇宙軍中将
ムネタケ・サダアキ 副提督 参謀長の息子で第1次火星大戦ではフクベ・ジン幕僚のひとり 宇宙軍少将
ミスマル・ユリカ 艦長 参謀長の命令により Marsからの出向扱い 宇宙軍中佐
アオイ・ジュン 副長 参謀長の命令により 一般からの採用ということになっている 宇宙軍少尉
ゴート・ホーリー 戦闘指揮 ネルガルSSから出向
アオイ・ワカバ 戦闘補佐 参謀長の命令により 一般からの採用ということになっている 宇宙軍中尉
ホシノ・ルリ オペレーター 通信制高校に所属する現役女子高生 Marsから出向
ハルカ・ミナト 操舵士 もとは某会社の社長秘書 プロスペクターのスカウトにより採用
メグミ・レイナード 主通信士 もとは声優 プロスペクターのスカウトにより採用
シミズ・キョウコ 副通信士 通信制高校に所属する現役女子高生 プロスペクターのスカウトにより採用
主計要員
プロスペクター 班長 ネルガルSSから出向
テンカワ・ウヅキ 副班長 Mars主計班から出向
メカニック要員
ウリバタケ・セイヤ 班長 Mars整備班から出向
テンカワ・ヤヨイ 副班長 Mars整備班から出向
その他 整備員たち 全員 Mars整備班からの出向
厨房要員
ホウメイ 料理長 もとは個人食堂の経営者
その他 ウェイトレス 5名 全員ホウメイさんが選出
医療要員
テンカワ・キサラギ 班長 Mars医療班から出向
機動兵器要員
テンカワ・アキト ブラックサレナ 参謀長の命令により階級を隠して、Marsからの出向扱い 宇宙軍中佐
テンカワ・カイト ホワイトサレナ Mars機動班から出向
ヤマダ・ジロウ エステ 火星軍守備隊の生き残り 火星軍大尉
コウサカ・ナミ カスタム 参謀長の命令により階級を隠して、Marsからの出向扱い 宇宙軍軍曹
カザマ・イツキ カスタム 参謀長の命令により階級を隠して、Marsからの出向扱い 宇宙軍軍曹
スミオカ・エリコ カスタム 参謀長の命令により階級を隠して、Marsからの出向扱い 宇宙軍軍曹
追加要員 エステ サツキミドリで、追加3名あり
その他
各部署要員 いろいろ 宇宙軍・ネルガル・一般からのスカウトした人など色々混ざって約170名

「結構いるんだな! あとは契約書については、プロスペクターさんと交代」 (アキト)

「はいはい … 各自の契約書は配り終えていますので、内容を確認してサインして下さい。」 (プロスペクター)
「早速で悪いけどプロスさん ここは削除したいが… テンカワ姓は全員!」 (アキト)
「アキトさん 気付きましたか? 判りました削除しましょ でも契約料は、こうなりますが (電卓ポンポンと) 」 (プロスペクター)
「プロスさん 部屋についてなんですが 前にお願いした内容でできますか?」 (ユリカ)
「はい 会長から聞いていましたので、やっておきました。」 (プロスペクター)

契約書の内容を変更したのを再確認してサインした。
一方、ナミ・イツキ・エリコの3人は…

「うっわぁー 細かい! でも、ちゃんと読んでおかないと…」 (エリコ)
「エリコ なにか変なところがあるのか?」 (イツキ)
「ありそうだけど、読みたくない。」 (ナミ)

「3人とも 細かい文章のココを読んで… 削除が必要だったら (((必要に決まっているでしょ))) おう(驚)」 (アキト)

「プロスペクターさん 3人とも、ココの削除をお願いしまぁーす。」 (エリコ)
「んで部屋なんですが?」 (イツキ)
「はいはい アキトさんから聞いています。アキトさんとの打ち合わせ通りにしていますから大丈夫ですよ!」 (プロスペクター)

次々と契約書にサインをして、体裁を整えるというか、書類上の準備を整える。
全部が揃うと、プロスペクターは会議室から退出する。

「それじゃ 後は任したよ!」 (アカツキ)
「余り壊さないでね (無理かも知れないけど)」 (エリナ)

スケジュールの時間が押しているのか、アカツキを引っ張ってエリナも退出。
(あいも変わらずの事で … なるべく壊さないように注意しますよ エリナさん アカツキの手綱は任せました!)

ウリバタケもエステの搬入とかあるので、大急ぎで退出していった。
早く仕事が終わったら、早退することを会社に言っているみたいで、「早く帰ってアイツと外食だぁ」って言っていた。
家庭円満で、やっているみたいだ。
(そうなるように こっちでコントロールしているからね)

ムネタケ総参謀長は、愚息のことより京子ちゃんの事を心配しているみたいで、「ウチので大丈夫かな」と言っている。
(すみませんねぇ こればっかりは予想外の事だったんで!)

あとに残るのは、テンカワ一家。
みんなで揃って雪谷食堂へと向かって行った。
そこには、真吾を始めとする睦月やチビたちが待っている。


家族の食卓 テンカワ一家の夕食会

「ちわぁー 到着しましたぁー」 (アキト)

佐世保の街中にある1軒の食堂。
通い慣れた暖簾をくぐると、店内で待っていた人たちから声がかかる。

「アキトさん 来ましたね!」 (真吾)
「お父さん お帰りなさい」 (睦月)
「お父さん お帰りぃ」 (×8) <<< モチロン チビたち

「よう! 放蕩息子というか弟子よ 帰ってきたか」 (店主)

店主とは地球にやってきた頃からの知り合い。
味覚などの感覚が戻った状態で、逆行したが、微妙なズレがあるので、修行がてら、ここへとバイトに来ていた。
そのうちに会社を興しても、同じ佐世保にあるので、ちょくちょく顔を出しては、お客になったり、厨房で料理人をやったりしていた。
そのため、アキトの家に住民が増えても、みんなして食堂へ行っていたので、店主はテンカワ家の家族を知っている。

「ただいまぁー! って言っても1週間ほどしたら、また出張です。」 (アキト)
「おいおい チビたちはどうするんだ。 義理といっても養父だろう」 (店主)
「まあ 順調に行って1年間は行きっ放しですね。玉には帰って来ますけど。」 (アキト)

みんなの名前を和名に変える時に、アキトを養父にして、睦月から師走まで各月の和名に変更している。
書類上は、アキトは独身のうちに、12人の養子を養っていることになっている。
まあ、年間収入が億の単位になっているので、少々の人数を養っても、お釣りがくる。

現在、無人兵器との戦闘状態が長く続いている、このご時世 … 世界中のアチコチで戦災孤児が増えている。
その子供たちのためにと、各地に散らばっているMars施設の一部を利用して孤児院を作って、そこの総責任者も兼任している。
養子だけで数えると、もう3ケタになっているが、実際、養子として迎え入れたのは、佐世保にいる12名。

「ここにいる真吾はMars社長になったんで、奥様になった睦月に、チビたちの面倒は任せました。」 (アキト)
「と言っても、来春からは大和学園の小等部に入学するんで、それからは寮生活ですね。」 (睦月)
「寮に入ったら、ボクたちがいるから大丈夫。」 (ユウ)
「ラピスもいるよ。」 (ラピス)

来春からは、ナデシコに乗ったままアキトは、通信制で大学に進み、カイトとルリ(京子も)は同じように通信制で高等部所属になる。
ユウとラピスは、中等部所属で、小等部にチビたちが入学する。
学校内にみんないるので、メールを使って連絡の取り合いはできる。
(まあ、裏ワザを使って、直接会えるけど)

店内の人数が人数なので、貸切状態。
わいわいと騒ぎながら、店主が作っていく料理を、どんどん食べる。
テンカワ一家は、アキト・ユリカ・ナミ・イツキ・エリコの5人を除くと、全員がMC体質なので、食べる量はハンパでは無いほど良く食べる。
途中で、店主だけでは追いつかないほど食べる方が多くなったので、途中からはアキトとカイトまで厨房に入って調理する始末。

大きな波を乗り切って、ちょっと小休止になった頃 … 勢い良く雪谷食堂のトビラが開けられて1人の女の子が入ってきた。

「うぅーさぶい ストーブどこ!」 (京子)
「おう! 嬢ちゃん 暖房は、そこにあるけど今日は貸切だぞ!」 (店主)
「ここって雪谷食堂よね ルリはどこ?」 (京子)
「ここです。」 (ルリ)

ルリのいる場所は、調理場と座敷をつなげる踊り場に場所を移して食べている最中。
障害物が多いので、お店の出入口からは手の先が見える程度。

「機動戦艦ナデシコ 副通信士 シミズ・キョウコ 佐世保に到着しました。」 (京子)
「はい ご苦労様 って言っても、まだ乗艦してないでしょ京子ちゃん」 (ユリカ)
「だってルリもいるってプロスさんから聞いたし、もう自分の部屋が使えるって聞いたから、早めに来ちゃった。」 (京子)

「あっらー 京子ちゃん もう来たの」 (アキト)
「えっ 京子ちゃん 来たの」 (カイト)

厨房からアキトとカイトが顔を出す。

「はい♪ 東京に居ても五月蝿いだけなので、来ちゃいました。」 (京子)
「まあいいじゃないか。今度は先輩じゃなくて同僚になるんだからな。」 (アキト)
「はい♪ でも、今までのクセで言ってしまうと思います。」 (京子)

「まあ、しょうがないよ なかなか抜けないよ クセは。」 (ユリカ)
「ですよねぇー ミスマル先生」 (京子)
「これだもん」 (ユリカ)

((( わはははは・・・・・・ )))

京子も夕食会に混ざって食べながら雑談している。
甚だ行儀が悪いが、楽しく食事するテンカワ家にとっては、普通の状態だから、しょうがない。

「ルリから前もって契約について聞いておいて良かったよ。あんな細かいトコ 気付かないよぉ。」 (京子)
「で、削除はしたんですか。」 (ルリ)
「モチロン♪ 部屋はサダちゃんの向かい側になっているし。」 (京子)
「いっしょじゃないの?」 (ユリカ)
「うん 別々だよ♪ プロスさんが言うには、男女はぁ〜って何かポリシーがあったみたい。」 (京子)
「ちょっと待って (コミュケの部屋割りを開いて) やっぱり プロスさん調整し忘れているよ 」 (ユリカ)

厨房から覘いていたアキトは店主に断ってから、店にある電話を手にとって電話する。

「もしもし ネルガル本社ですね。 内線8139につなげてください。 合言葉…って? とにかくプロスさんにつなげて!」

( 数十秒経過して … ご本人が電話口へと出てくる )

「冗談が通じませんか どなたでしょうか 私の直通内線番号を知っているとは」
「アキトです。」
「おぉテンカワさん 何か問題でも起きましたか」
「プロスさん 部屋割りで調整し忘れていますよ」
「そりゃ まぁ どこでしょうか? すぐに修正を入れます。」
「副通信士のシミズさんですが」
「気付かれましたか」
「気付きますよ 最初から言ったとおりにしますよ」
「しかしですねぇ 艦内の風紀がぁ〜」
「精神的に落ち着くほうが良い結果を出すと思いますが」
「判りました … 善処しましょ」
「じゃなくて 部屋割りのデータみると、もう改造済みじゃないですか! 本人には、こちらから伝えますから!」
「あっあっ 困りますよ テンカワさん」
「社命で通達は行っているでしょ では!」

長引きそうだったので、言うだけ言ってから電話を切ってしまった。
ユリカが開いて見ていた部屋割り表には、京子が言っていた部屋は物置に変わり、当初の予定通りの部屋に京子の名前が移動する。
部屋割りの名前移動は、ルリがアキトの電話中にオモイカネへとリンクして書き換えていた。


あとがき

やっと前哨戦の最後の話しを書き終えました。
ちょうど、年末年始休暇に入っているので、2次小説の文章入力が進みます。
21話からは、TV版の本筋へと入っていきます。
しかし、前哨戦で伏線を作っていたので、最初の段階から、少し違う感じで進みます。
今から不安になっていますが、TV版全話が済むまでに、どのぐらい書くことになるやら … (汗)
最初の数話は、年末年始のお休み中に書けそうなので、少しはお話しが進むと思います。


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