18 : テンカワ家の事情


地球 日本 Mars東京 社員家族用マンション

「先生 … ここがボクたちが住んでいる住居です。」 (カイト)

昨年までは近くに住居が準備していなかったので、学校の寮に住んでいた。
そして、進級する頃に、社員用マンションに空きが出来たので移り住んだ。

あのドタバタの戦闘が終了し、カイトの担任を含む5人の先生を案内してきた。
その先生といっしょに、ルリ・ユウ・ラピスがついている。

「 みんな! お帰り! … 先生たち どうしたんですか?」 (ユリカ)
「 おう! カイト 帰ってきたか」 (アキト)

玄関でユリカと先生たちがバッタリ。
アキトがいっしょに玄関へと迎えに出ていたので、そのままリビングへと案内して、お茶を勧める。
先生たちと、テーブルを挟んだ反対側には、アキト・ユリカ・カイト・ルリ・ユウ・ラピスの順で並んで座った。
お茶を飲んで、落ち着いたのか同僚でもあるユリカへと質問が投げられる。

「さて、ミスマル先生。何で、ここにいるんですか?」
「えぇ〜と、私もテンカワ家の一員なんで、この家にいても不思議ではないと思いますが」 (ユリカ)
「どーいうことですか、ちゃんとした説明をして下さい。」
「まあ、その点については私が話しましょう。 … 学園長先生から何か聞いていませんか。」 (アキト)
「いえ … 何も」

「まず、テンカワ家の当主は、私ことテンカワ・アキトになっています。」 (アキト)
「そして、私ことミスマル・ユリカは、テンカワ・ユリカで、アキトの奥さんです。」 (ユリカ)
「なっ なっ なんですってーーー」

※カイトとルリの心の会話
「やっぱり驚くよなぁー」 (カイト)
「当たり前の反応ですね」 (ルリ)

「そして弟のカイトは…」 (アキト)
「テンカワ家 次男 テンカワ・カイト …は知っていると思いますが、僕も奥さんがいて…」 (カイト)
「はい♪ ホシノ・ルリこと、私がカイトさんの奥さんで、テンカワ・ルリです。」 (ルリ)

※ユウとラピスの心の会話
「さらに追い討ちかけた」 (ユウ)
「塩の柱かな」 (ラピス)

「さらに僕の弟になる」 (カイト)
「テンカワ家 三男 テンカワ・ユウ」 (ユウ)
「ユウの奥さんで、テンカワ・ラピス」 (ラピス)

※アキトとユリカの心の会話
「おっ 塩の柱にヒビ入ったな」 (アキト)
「行き遅れの女性にはツライ宣言かもね」 (ユリカ)

「「「「 なっ なっ なっ なっ なっ 」」」」

先生たちの前に新しく入れなおした湯呑みが置かれる。
湯呑みを置いてくれたのは、コウサカ・ナミ、カザマ・イツキ、スミオカ・エリコの3人。

「先生! 落ち着いてくださいね。」 (エリコ)
「そうそう! まだまだ驚くことが続くから…ね」 (イツキ)
「そうなの」 (教師の私が落ちつかないと)

「さて、話しを続けますけど、テンカワ家には、ちょっとした秘密があって」 (アキト)
「まだ、あるんですか」
「えぇ… 僕たちには両親がいません。」 (アキト)
「あら … そうなの」
「でも … 保護者の名前欄には記載していましたよね。」
「はい … ユリカの親父さんであるミスマル提督に、保護者になって貰っています。」 (アキト)

「そして、先程のドタバタで気付いたと思いますが、Marsの関係者でもあります。」 (アキト)
「そういえばそうですね。」
「Marsグループ会長が僕で、ユリカが副会長。」 (アキト)
「んで、カイト君が開発、ルリちゃんが情報、ユウ君が資産、ラピスちゃんが輸送、それぞれ部門の重役さん。」 (ユリカ)

顔に、マル3つの状態になった先生方。
しばらく時間が経過して … (どれくらいかは、ユウが冷蔵庫からプリンを出して、ラピスといっしょに食べ終わる時間ぐらい)

「年間収益が国家予算になりそうなMarsグループの会長…」
「はい! そうです」 (アキト)
「もう越えた … 日本とアメリカの2つを足して丁度かな」 (ユウ)
「補足ありがとう」 (アキト)

「それに…」 (ナミ)
「まだあるんですか! コウサカさん」
「私たち3人が宇宙軍に入ってエステバリスライダーの訓練を受けていることは知っていますよね」 (ナミ)
「えぇ … 生徒会長であるアキト君もいっしょに訓練している…という事は知っています。」

「でも、訓練教官がアキト君だって事は知らないよね。(エヘッ)」 (エリコ)
「それもアキトとミスマル先生が両方とも軍人で中佐の階級を持っている事も!」 (イツキ)

※先生方の思考
え〜っと 簡単まとめると、テンカワ・アキト君は…
1. テンカワ家の当主
2. 奥さんがいる … それもミスマル先生が奥さん … 18歳だから法律上は問題なし
3. 大和学園 高等部 生徒会長
4. Marsグループ 会長職
5. 宇宙軍の軍人さん … 階級は中佐

カイト君とルリさん、ユウ君とラピスちゃんは…
1. 奥さん(旦那さん)がいる … 法律では年齢で引っ掛かる。婚約者と聞いたけど将来的にはOKなのか。
2. ルリさんが中等部生徒会長で、ラピスちゃんが小等部生徒会長。
3. Marsグループ 各部門の重役職

「テンカワ家の特殊な事情は判りましたが、アキト君とミスマル先生は夫婦でよろしいでしょうが…」

ユリカの隣に座っている4人を見て

「カイト君とルリさん、ユウ君とラピスちゃんの夫婦宣言は問題だと思います。婚約者なら判りますが・・・」

「兄さん、やっぱり日本での一般常識では、理解できないでしょう。」 (カイト)
「やっぱりだなぁ〜」 (アキト)

「アキト兄ぃ DNAデータ表持ってきた」 (ユウ)

先生方に見えるようにアキトのDNAデータ表を広げると、ユウはデータ表のある場所を指差しする。
そこは国籍の欄。

「国籍欄ですね … 日本? でなくて ピースランド!」
「そして義父が、現在の王様???」
「つまりアキト君は、王子さま…って事かしら」

「テンカワ家自体が、ピースランド王族に連なっている!という事です。」 (アキト)
「分家みたいな存在だけど、アキト兄さんを第1として、第2がボクで、第3はユウになってます。」 (カイト)
「だから、ピースランドの王族として、ルリちゃんとラピスちゃんは王族に嫁いでいるから奥様ってワケ」 (ユリカ)

「ちょっと特殊な事情の家庭なんですね。 しかし! この3人は?」

「それがぁ… ごく最近の話しになるのですが、コウサカ・ナミ、カザマ・イツキ、スミオカ・エリコの3人は・・・(汗だらだら)」 (アキト)
「アキトが喋れないので、私が変わって話します。 隣にいる3人は側室です。」 (ユリカ)

側室・・・本妻のほかに奥様として迎え入れた女性のこと。特に王族の場合は1夫多妻制があり世継のために例外的に認められている。

「あなたたち! ご両親の了承は得ているの?」

3人は、顔を見合わせて先生方に向くと、とびっきりの笑顔を見せて返事した。

「とーぜん 両親の承諾は貰っているぜ! うちの場合は試合で勝ち取ったぞ!」 (イツキ)
「私のウチも大丈夫です。 アキトさん … 両親の前で宣言してくれましたから!」 (ナミ)
「私の所は説得勝ち! 逆に大きなパイプが出来た!って喜んでいました。」 (エリコ)


先生たちは、白いゾンビと化した状態で帰って行った。
一応、在学中は側室と結婚済みになっているのは隠して、教師と仲良し生徒になること。
アキトたちが編入した頃の状態を保つことになった。

「でもなぁ〜、いつバレるかなぁ」 (アキト)
「アキト兄さんが卒業するまで、隠し通せれば大丈夫でしょう。」 (カイト)
「そうだね。カイト兄ぃとボクの関係をバラしたら、卒業時期までは隠せるんじゃあないかな」 (ユウ)
「そうですね。小出しでバラして行ったら大丈夫でしょう。」 (ルリ)

あと数ヶ月でアキトは卒業。
カイトとルリは、次年次に進むが、予定通りナデシコへと乗り込むので、通信制へと変更する。
残りのユウとラピスは、昼間は学校で、夕方と休日は会社の仕事をしつつ、裏予定を進める。

「さて、お父さんの挨拶と了承を済ませておこう!」 (アキト)

アキトは外出着に着替えると、家を出て、人目に見付からない場所で、ミスマル家へとジャンプ。

アキトがミスマル家へとジャンプした頃、部屋からユリカが出てきた。

「アキトは?」 (ユリカ)

お菓子を頬張りながらTVを見ていたユウはコミュケを見て、現在位置を知らせる。

「アキト兄ぃはミスマル家の応接間。 今頃、土下座でもしてるんじゃないかな。」 (ユウ)
「お父様のところ」 (ユリカ)

・・・ 数時間経過 ・・・

「長いなぁ〜」 (ユリカ)

現在の時刻は23時頃 … アキトが出かけたのが、19時頃なので4時間が経過している。

「ただいまぁ〜 あぁ〜疲れた。」 (アキト)

玄関の鍵を開けてアキトが帰ってきた。そのまま冷蔵庫からジュース缶を取り出すと持ったまま、リビングのラグへと座り込む。
すぐ横にはユリカやナミ、イツキ、エリコの4人。
ジュース缶を飲みつつ、ミスマル家で起きたことを話す。

「ユリカ! お父さんの了承は得て来たから、いつでもテンカワ姓を名乗れるぞ。」 (アキト)
「お父様の家に行ったのは?」 (ユリカ)
「結婚の了承は取って来た。側室の件も話してきた。」 (アキト)
「相当、ぐずったでしょう。」 (ユリカ)
「お父さんったら、ユリカだけでなく側室とは何だーって大声で叫ぶんだもんなぁ … 耳栓 準備してなかったら気絶してたぞ」 (アキト)
「あはっ(笑顔) お父様らしいわ」 (ユリカ)
「まあ、これで全員の了承は得たから … これからヨロシク」 (アキト)

アキトはユリカを含めて4人に対して、素直に頭を下げる。
4人は正座をして両手を揃えると…

「「「「 私たちも、よろしく御願いします。旦那様 (ポッ) 」」」」


翌朝の食卓には、テンカワ家の8人と、朝から訪問してきた葵 真吾と睦月が座っている。
3兄弟は部屋着で座っているが、女性たち全員がパジャマに上着を掛けただけの服装。
実は、男性たちにお姫様だっこして貰って食卓の椅子へと座っている。
そんな状態になったのは女性全員が同じ理由・・・。
その理由については経験者である睦月は判ったが、真吾は判らず。

「みなさん、どうしたのですか? お身体の調子がすぐれないとか ・・・ですか?」 (真吾)
「真吾 鈍いな ほんの数ヶ月前に自分も経験あるだろうが」 (アキト)
「アキト兄さん 睦月さんが判っていますから」 (カイト)
「それにしても鈍すぎるぞ」 (アキト)

(ポン♪)

「やっと判りました。つまりは昨夜、やりすぎたんですね。」 (真吾)
「そんな事、真顔で言わないの!」 (睦月)
「でもなぁ睦月よぉ 手のテクニックはアキトさんから教えて貰ったし、実際に使ってみての経験は睦月が知っているだろう」 (真吾)

真っ赤になった睦月

「確かに… 急にテクニック上手になったと思ったら、アキトさんに教えて貰っているし」 (睦月)
「あんなに違うとは思わなかったなぁ (大笑) 」 (真吾)

「アレに追加して本格的に相手して貰ったら…翌朝は、こんな状態 (ポッ)」 (ユリカ)
「私の場合は、手だけ!だったけど、何回なのかは不明 (ぽやぁ〜)」 (エリコ)
「私も同じ・・・ ユリカさんは大丈夫だったの (あぁ〜腰が痛い)」 (イツキ)
「前に聞いて、手だけで何回も昇天するって聞いたときは笑ったけど、体験してみてホントつくづく判るわ (力が入らない)」 (ナミ)
「まだ身体の感覚が戻りません。(ぽ・ぽ・ぽ・・・)」 (ルリ)
「ユウ〜 また、やってね。」 (ラピス)

テンカワ家の女性たち6人の反応はさまざま。

「さて、来月は真吾と睦月の結婚式か」 (アキト)
「我が家からの最初の結婚式だから、盛大にやるんでしょ。」 (ユリカ)
「それで、困ったんですよ。」 (真吾)
「何が? 会場などの準備は整っているだろう?」 (アキト)

真吾の話しで判ったのだが、軍とバッタとの戦闘で来月予定していた会場が破壊されて使えなくなったこと。
さらに追い討ちをかけるように、結婚式会場へ来られる招待客の交通手段が寸断されていて難しくなっていること。

「真吾の実家は、鹿児島だったよな。」 (アキト)
「はい。それで鹿児島で結婚式を挙げるために準備してきたんですが、近場に招待客全員を収容する会場が取れません。」 (真吾)
「それで考えたんですけど、どこか警備が充実していて、大きな会場を持っている場所を知りませんか?」 (睦月)

「「「 うぅ〜ん 」」」 (全員悩む)

「そうだ! あそこがあった」 (アキト)
「どこ? アキト」 (ユリカ)
「よく考えたら、そんな会場を持っている国に移動すれば良いだけだった。」 (アキト)
「あっ そういえば、そうだよね。忘れていたわ。」 (ユリカ)

「「 アキトさん どこですか? 」」 (真吾&睦月)

「ピースランド!!」 (アキト)
「あそこのお城だったら、千人ぐらいは入るんじゃないかな。」 (ユリカ)
「娯楽国家のピースランドですか? 確かに会場については大丈夫でしょうが警備は? お城は会場として借りれますか?」 (真吾)
「真吾 忘れてないか? Mars経理部の本拠地がピースランドだってことを」 (アキト)
「銀行がピースランド銀行だからでしょう。確かにMars警備部の施設もありますけど規模が小さいでしょう。」 (真吾)
「真吾 頭が固いぞ! 各地域の招待客を乗せたまま警備部も移動すれば大丈夫だろう。」 (アキト)
「その手があった。交通手段がなければ作れば、いいんだ。」 (真吾)
「社長になるんだから、ちっとは頭を使えよ! 手空きの輸送艦も使えば、結構な人数をストレスかけずに運べるぞ。」 (アキト)

アイディアを出し合い、細部まで煮詰めると、さっそく真吾は手配を始めるためにテンカワ家を後にする。


「アキトさん お世話になりました。」 (睦月)
「元気でな。 玉には2人で遊びに来いよ。」 (アキト)
「睦月ちゃん 実家に来るときには3人だよ。約束ね!」 (ユリカ)
「おい おい♪ (ミスマルのお父さんもこんな気持ちだったのかな) 」 (アキト)


あとがき

イッキに書き上げました。
もともと、こんな感じにしよう!と考えていましたので、あとは入力するだけ。
約半日で出来上がってしまいました。
さて、ナデシコ出港前の前哨戦は、あと1回です。
次話はルリ視点でのお話しです。


| 2007/01/03 製作開始 | 2007/01/04 校正 | 2007/01/05 『風の通り道』 投稿 |


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