15 : 高校編入?


地球 日本 東京 某女子高前

「アキトぉ〜 なに呆けているの〜 校長室へ行かないと怒られちゃうよ。」 (ユリカ)
「なんで、女子高の前にいなけりゃならないのか ・・・ どー考えても、変だぞ!」 (アキト)
「仕方がないでしょ! 任務なんだし ・・・ それに女子高といっても一応、今年から男女共学になってるよ♪」 (ユリカ)
「男女共学ってもなぁ〜 男女比が1:20というのは、共学と呼べないんじゃないのか!」 (アキト)
「はいはい・・・ さっさと校長室に行くの♪ 私も着任の挨拶に行くんだから・・・」 (ユリカ)

ぶつぶつ文句を言っているアキトの腕をつかんだユリカが、どんどんと学校内へと引きずっていく。
ユリカに引っ張られながら、数日前のことを思い出していた。


数日前 地球連合宇宙軍 ムネタケ参謀 オフィス

(テンカワ・アキト大尉 及び ミスマル・ユリカ少佐 出頭しました)

目の前には、ナデシコに副提督として乗り込んできたムネタケ・サダアキ副提督の親父さん。
アキトとユリカは無事に卒業をして、現在は、地球連合宇宙軍・情報部に所属している。
つまりは、目の前にいるムネタケ参謀の部下って訳!

「うむ! ご苦労 … テンカワ大尉 やっと謹慎が解けたようだな」 (ムネタケ)
「すいませんでした。」 (アキト)
「アキトったら、やりすぎて、また謹慎もらっちゃったんだぁ〜 」 (ユリカ)
(バシッ!!) 
「痛いのぉ〜」 (ユリカ)
アキトの手には、『ハリセン』。
ユリカといっしょにいるときの必須アイテムとして持っている。

「まあ・まあ・・ 謹慎する度に、階級が上がるのも面白いと思うがの (かっ・かっ・かっ)」 (ムネタケ)
「まあ、自分の場合はパターン化していますね。実績で階級あがっても、罰則で謹慎ですから (あははは・・・)」 (アキト)
「戦闘は綺麗に人的損失は出ないのに、物的損失は徹底的に潰すからなぁ・・・ 付いたあだ名も、当て嵌まっているな」 (ムネタケ)
「そう・そう・・ 『黒百合』だよね。綺麗だけど、結果は真っ黒だから、そう呼ばれるのよねぇ」 (ユリカ)
「そういう君もそうだろう。『白百合』と呼ばれるミスマル少佐!」 (ムネタケ)
「「 あ・は・は・は・・・ 」」 (アキト&ユリカ)
「さて2人を呼んだのは次の任務についてよ。」 (ムネタケ)

2人の目の前にはパンフレット。
それも女子高のパンフレットが置かれている。
説明では、今年から男子の入学を認めている学校で、編入試験で合格した男子だけ入学させている学校。
もともと軍のお偉方のお嬢様たちを集めた学校なので、軍の影響力が強いこと。
最近になって頭を痛めているのが、学校外活動を行なうと、必ずと言ってよいほどテロリストたちの標的になってしまうこと。

「ミスマル少佐は、大学で教育課程を修めているね。」 (ムネタケ)
「はい! 戦略シュミレーション実習が早く終わったんで、暇つぶしがてら・・・ 取っちゃいました。」 (ユリカ)
「取っちゃいました・・・ って何してんだ! おまえはぁ〜」 (アキト)
(ハッ!)
「参謀・・・ 昨日、別室で受けさせられた問題用紙の束って ・・・ まさか(汗) 編入試験の問題とか?」 (アキト)
「(ニカッ♪) そのとおり! 編入試験合格おめでとう♪ テンカワ・アキト君♪」 (ムネタケ)
「だぁーーー やられたーーー」 (アキト)
「私の部下で、ちょうど良い年齢がないか探していたら、ちょうど君がビンゴ! 聞けば高校中退という事だから、ちょうど良かったよ」 (ムネタケ)
「んで・・・ 2人して、その学校に入って・・・ 次に予想されているトラブルから回避しろ! ですか?」 (アキト)
「さすがに頭がまわるねぇ ・・・ というより、ついでに卒業しなさい。」 (ムネタケ)
「ヘ?」 (アキト)
「次の任務は、ネルガルが建造している戦艦に乗り込むから、その間を利用して、ついでに卒業してきなさい。」 (ムネタケ)
「あっのぉ〜 私はどうするんですか?」 (ユリカ)
「そうそう いっしょに行って、テンカワ君が卒業したら、退職しちゃいなさい。結婚しますから・・・ とでも言ったら(笑)」 (ムネタケ)
「「 はあ・・・ 」」 (アキト&ユリカ)
「まあ、校長だけには2人の任務について連絡はしているから・・・ね!」 (ムネタケ)
(2人は・・・ 開いた口もふさがらず・・・)
「それと・・・ テンカワ大尉の階級は、現在をもって少佐に代わるわ。」 (ムネタケ)
「また昇進ですか(はぁ〜)」 (アキト)
「そうそう・・・ 罰則の謹慎も追加しているわよ ・・・ あと3回分あるわよ」 (ムネタケ)


んで・・・ 校長室

目の前にいる校長は、動物にたとえてみれば、見事に『タヌキ』。
隣はモチロン『キツネ』の教頭先生。

「本日より、よろしくお願い致します。戦術理論を教えますミスマル・ユリカです。」 (ユリカ)
「編入生のテンカワ・アキトです。」 (アキト)
「はい、よろしいです。ミスマル先生は教頭先生についていって、職員室で学年主任に会いなさい。」 (校長)
「はい、判りました。失礼します。(ペコリ)」 (ユリカ)
「では、コッチです。 ・・・ 校長先生 編入生もでしょうか?」 (教頭)
「心得をお話ししますので、担任の先生をこちらへ来るように言って下さい。」 (校長)
「はい、判りました。 では ・・・ ミスマル先生 ・・・ 」 (教頭)

教頭先生につれられて、ユリカは職員室へと向かう。
残るのは、校長とアキトのみ。

「さてと、テンカワ・アキト大尉…で、よろしいでしょうか?」 (校長)
「というか、ここでは階級を呼ぶのはマズイと思いますが ・・・ 一応、階級は少佐です。」 (アキト)
「ほっほぉ〜♪ その若さで少佐ですか。」 (校長)
「はい ・・・ 年齢と階級が合わないと ・・・ よく言われます。」 (アキト)
「政府報道 ・・・ 見てますが、黒百合の名は知っていますよ。しかし、そんなに若いとは知りませんでした。」 (校長)

色々と雑談を交えながら、これからの打ち合わせを済ませる。
アキトが編入するのは2年生の重要人物が固まっているクラスで、男子はアキトを含めて5人だけ。
・・・というか2年生に所属している男子は全部で30人。3学年あわせても100人弱しかいない。それに対して女子は2000人。
軍関係者のお嬢様がいる学校なのか、軍学校の科目が入っていて、ユリカの戦術理論とか射撃などがあるらしい。
女子が多いので、男子の立場は、ハッキリ言って弱い。
アキトが入っても強くはならないと思うが、編入試験の成績が良いので、その点が有利だろうと言っていた。
さて問題の重要人物は、現提督のお嬢様が3人いて、クラス成績も良いので、クラスを仕切っているという事だ。


2年C組 教室

アキトは、これから通うことになる教室の前で待っている。
クラス担任は女性で、第一印象の感じでは、母親タイプ ・・・ やんわりと話しかけるような会話を心がけているみたいだ。
教室内の動きは、身についた感覚で、だいたい判る。

入ったらワナが動くようにしているように、準備をしているみたいだ。
「入ってもいいわよ!」 (???)
担任の声に似せているが、違う女性が呼び掛けてきた。
アキトは腰の後ろに差し込んでいる太刀の確認してから、扉を開ける。

※ワナを仕掛けた女生徒たち
コウサカ・ナミ: 前回の編入男子は3本とも当たってタンカになったけど、同じになるのかな? 楽しみ・・・ 楽しみ・・・
カザマ・イツキ: 軟弱な男子は願い下げ! 他のクラスに舐められるのはイヤだから・・・ 試させてもらうわよ!
スミオカ・エリコ: 前回怒られた弓を使っているけど、大丈夫かなぁ? 一応、尖った先は外したから大丈夫だと思うけど

( ビン・・・ビン・・・ビン・・・ ) 弓の弦が鳴る音

※アキト
(扉を開けると糸が引っ張られて ・・・ ボウガンかよ! 危っねぇなぁ。)
腰の後ろにある太刀を使って、飛んでくる矢を叩き切る。
袖の中に隠しているワイヤーを使って正面に立っている女生徒を後ろ手に縛る。
この間 ・・・ 2秒弱。

※ワナを仕掛けた女生徒たち
コウサカ・ナミ: あれっ? 3本とも急に落ちたけど ・・・ 編入生の姿が消えた???
カザマ・イツキ: (ズッテン♪) 何よ・・・ 両手が後ろ手で縛られてる。 (ジタバタ・・・ジタバタ・・・)
スミオカ・エリコ: 見ないように両手で隠しているので、見ていない。

教室内にいる生徒は、教卓横に立っている男子生徒を見ている。
その脇には、驚いてコケたのか、イツキが、ジタバタしている。
担任は、教室の後ろに立って、事の成り行きを見ていた。


「さて・・・ 皆さん、初めまして! 編入生のテンカワ・アキトです。」

アキトの脇には両手を後ろで縛られた女生徒が外そうと、もがいている。
教室の後ろに立っていた担任が、アキトの説明をする。

「テンカワ君は、我が校の編入試験記録を作られた成績優秀者なんですよ。」 (担任)
「「「 えぇ〜〜〜 」」」 (クラス内)
「さてと・・・ 詳しい質問タイムは後回しにして、歓迎のワナを仕掛けられたのは、どなたでしょうか?」 (アキト)

アキトが怒っている・・・と感じたのか、クラスの目線が3箇所に集まっている。

「まあ、1人はココに転がっていますし、その他にも! いらっしゃるみたいですね。」 (アキト)
((( シーーーンーーー )))
「生贄ですか・・・ まあ・・・ ウサ晴らしに付き合って貰いましょうか! 屋上で・・・ じっくりと・・・ 」 (アキト)

イツキは、こけたまま、アキトから逃げようと、もがくが、しっかりと抑えられている。
そのイツキを見て覚悟を決めたのか、残りの2人が立ち上がった。

「しゃぁないなぁ〜」 (ナミ)
「ちょっと待って!」 (エリコ)
「やったのは、そこでコケているイツキも含めて私たちだよ!」 (ナミ)

イツキを引っ張りあげて立たせると・・・ アキトは、3人の名前を思い出す。
ムネタケ参謀や校長から、「テロリストの的になっている3人娘」の名前だと判った。
なんとまあ・・・ タイミングがいいというか、悪巧みしたのが、そのまま対象者とは思わなかった。

「素直ですね。」 (アキト)
「しゃないよ♪ 腐れ縁というか幼馴染だしね。」 (ナミ)
「見た感じでは、ええ〜っと・・・コウサカさんが計画役で、カザマさんが実行役ですね。」 (アキト)
「エリコは?」 (ナミ)
「スミオカさんですか ・・・ まあ、2人のストッパー役かな。」 (アキト)
「あはははは〜♪ よく判るねぇ」 (ナミ)

クラスの雰囲気が、一気に和んでしまった。
アキトに捕まっているイツキは、両手を自由にして貰いたくてアキトに聞いてみた。

「もう、怒らないなら・・・ 外してくれる」 (イツキ)
「はい・・・はい・・・ でも、結構引っ張ったみたいだね。 もう手で外れなくなっているよ。」 (アキト)

エリコは荷物の中からハサミを取り出して、イツキの後ろにまわって止めているワイヤーを切ろうとしたが・・・

「いっちゃ〜ん! これ・・・ 切れないよ!」 (エリコ)
「えぇー 早く取ってよぉ」 (イツキ)

アキトは縛っているところを見ると、擦り切れてキズになっている。

「テンカワ君 ・・・ 反省するだけ反省するから、外してやって!」 (エリコ)
「電気コードを止めるストッパー付きのヒモじゃないの?」 (ナミ)
「使ったのはコレですよ!」 (アキト)

アキトの袖に隠しているワイヤーを出して、イツキの隣にいるエリコに見せた。
エリコは持っているハサミで切ろうと試してみるが、表面を滑ってしまい切る事ができない。

「ナミちゃ〜ん コレって金属みたい(汗)」 (エリコ)
「どれどれ ・・・ (焦) 金属ワイヤーか ・・・ ハ・ハ・ハ ・・・ ハサミじゃ切れんわ ・・・ ペンチとか無かったかな?」 (ナミ)
「仕方がないなぁ ・・・ 切るから、動くなよ!」 (アキト)

アキトは腰の後ろに収めている柄を握って、太刀を取り出した。
取り出した太刀を見て、エリコとナミは驚いて声も出ない。
太刀の先を使って、イツキの拘束に使ったワイヤーを切断する。

「やっとラクになったわ ・・・ 何を使って切ったの?」 (イツキ)

イツキが振り向いて、アキトが持っている太刀を見た。
3人だけでなく、クラス全員にも見られたが、そのまま、腰後ろにある鞘へと収めた。
その後、太刀について色々質問が飛び出したが、アキトの武道流派である教えで持つことになっている事ということにした。


寮内 食堂

「アキトぉ〜 お腹減ったから〜 大盛りで・・・ね!」 (ユリカ)
「またかぁ 太るから ・・・ 普通にしとく ・・・ 」 (アキト)
「えぇ〜」 (ユリカ)

アキトにワナを仕掛けた3人組は、寮内の食堂で変な光景を見ていた。
それは ・・・ カウンター越しに新任教員が厨房に注文を付けている! ・・・ という感じなんだが、寮内の食堂というより、家庭の食卓という感じで、その時に呼んでいる名前が、ちょっと引っかかる。
ここは学校の寮で、小・中・高校の学生たちが夕食を取っている。
もちろん、学校内と雰囲気は変わらず、男女比が変わらないので、圧倒的に女性が多い。
そのカウンターだけ、新任教員と中学生と小学生の5人の男女。
食堂のカウンターを覗いてみると、コックの格好をしたアキトが立っていた。

「えぇーーー テンカワ君! なにしてるの ・・・ そんな格好して?」 (エリコ)
「スミオカさんに ・・・ 後ろには、コウサカさんとカザマさん。 ・・・ 何って、バイトだよ。」 (アキト)
「でも、ここのアルバイトったって、調理補助だよねぇ〜。 調理できるの?」 (エリコ)
「一応、ひと通りは作れるけど・・・ (笑顔)」 (アキト)

「兄さん ・・・ 僕たちのゴハンは、まだですか?」 (カイト)
「スミオカさん、ちょっと待っててね。」 (アキト)

鍋を2〜3個取り出して、手馴れた感じで材料を切り、調理を行なうアキト。
待ってて!と言われた横には中学生ぐらいの男の子がいる。

「兄さんのクラスメイトですね。初めまして! テンカワ・カイトです。」 (カイト)
「兄さん ・・・ って、弟さん!」 (エリコ)
「はい! そうですよ」 (カイト)

※コウサカ・ナミ & カザマ・イツキ & スミオカ・エリコ
「兄さん ・・・ って言ってたよな?」 (ナミ)
「カイト君 ・・・ かわいい (ポッ) 」 (エリコ)
「また病気が始まったのか?」 (イツキ)
「だぁー! なんて言ってる場合じゃねぇ あそこにいるのはテンカワの関係者ってなるなぁ」 (イツキ)
「「 うん! うん! 」」

※ユリカ & カイト & ルリ & ユウ & ラピス
「みんなの役割を間違えずに話さないといけないね!」 (ユリカ)
「だからって ユリカさん! 『だんな様』とか言ったら学校着任・・・即日クビになりますよ!」 (カイト)
「未来の・・・というのも駄目ですね」 (ルリ)
「婚約者も駄目」 (ユウ)
「最初の設定どおり ・・・ 幼馴染のお姉さん!」 (ラピス)
( うる・うる・・・ )

予想通りのユリカの反応に釘を刺すように、4人で止めを刺す。

「だってぇー ルリちゃんやラピスちゃんは、『許婚』になっているし、私もソッチにしたい!」 (ユリカ)
「「「「 駄目です! 」」」」 (カイト・ルリ・ユウ・ラピス)
「そんな事したら ・・・ 兄さんも即日退学になるでしょうがー」 (カイト)

アキトが調理しているカウンターを挟んで、妙なグループが2つ。
片方は、高等部3人組で、もう片方は、教師も含んでの5人組 ・・・ もう、十分に怪しい雰囲気をまわり中に発散している。
時折、視線があうのか、苦笑いをしている。

アキトは、そんな2グループを無視して、調理した料理をテーブルに並べる。

「おーーーい ・・・ 夕食ができたぞーーー」 (アキト)

アキトの声で、2グループはアキトのいるテーブルへと、やってくる。

「こっち側は、コウサカ ・・・ カザマ ・・・ スミオカ ・・・さんの夕食で、左隣はユリカな! 右側にはカイト・ルリ・ユウ・ラピスの順に並べているから、席に着いて ・・・ 」 (アキト)

テーブルの上には、高等部日替わり夕食の他に、サイドメニューがたくさんある。

「うっわぁーーー コレ ・・・ 本当にアキト君が作ったの?」 (エリコ)
「めちゃ うまそー」 (イツキ)
「負けた・・・」 (ナミ)

「ユリカ姉さんが味覚オンチだから、アキト兄さんが料理上手になったんでしょうが!」 (カイト)
「味覚オンチ ・・・ って何よ! 火星じゃあ、こんなに美味しい物って知らなかったんだから・・・」 (ユリカ)
「アレって、味覚オンチになるのかな?」 (ユウ)
「殺人的な味だから、いわゆる細菌兵器でなく、料理兵器かも!」 (ラピス)
「確かに ・・・ そうですね!」 (ルリ)

「さてと ・・・ 3人には紹介だね・・・」 (アキト)
「「「 アキト君の家族かな? 」」」 (ナミ)
「イキナリの核心ですね ・・・ 順番にテンカワ家長男のテンカワ・アキト ・・・ 次男がテンカワ・カイト ・・・ 三男のテンカワ・ユウ ・・・ そして、3人の横にいるのが ・・・ 幼馴染のミスマル・ユリカ ・・・ カイトの隣がホシノ・ルリ ・・・ ユウの隣がラピス・ラズリ 」 (アキト)
「アキト君は、3人兄弟の長男で ・・・ 幼馴染のミスマル先生 ・・・ あとの2人の女の子は?」 (ナミ)
「ルリちゃんはカイトの ・・・ ラピス・ラズリはユウの ・・・ 許婚です。」 (アキト)
「許婚って ・・・ 早すぎない ・・・ 」 (エリコ)
「火星では普通ですよ ・・・ 特に武道の家系は、跡継ぎ問題があるので、当人同士が決めたら年齢は関係ないですね。」 (アキト)

近くにいた男子学生たちが呪いのワラ人形を持っていたり、大泣きしているのもいる。
ルリ&ラピスのファンクラブが、出来上がっていたみたい ・・・ (編入初日でこれかよ・・・恐るべしだな)

「桜散る〜かぁ ・・・ エリコ ・・・ 残念だったな」 (イツキ)
「桜散る ・・・ってカイトですか? 相手は・・・(汗)」 (アキト)
「うる・うる・うる・・・ (たっぷり10分ほど) ・・・ 新しいオトコを見付けよう! おーーー」 (エリコ)
「妙に立ち直りが早いですね!」 (アキト)
「毎回、あんな感じだよ」 (イツキ)
「瞬間湯沸かし器 ・・・ 自動消化装置付き ・・・ (爆)」 (ナミ)


腕試し ・・・ 反省文 ・・・ そして

「編入生が多いと聞いたが、チビが2人と食堂のバイトしてた奴か ・・・ 楽勝だな」
「チビは中坊のアタマにやらせるとして、コッチはコッチでやろうかぁ」
「チビと言っても片方は、ミニ!」
「「「 はははは・・・ 」」」

( やっぱり ・・・ ここでもあるのか ・・・ 対立から生まれる勝負 ってのが )
毎度のことではあるが、もとは女子高。
男子が入って共学になっても、そこはそれ人数が少ないから、いろんな目的(目立ちたい・・・ もてたい・・・ などなど)で、『 男子の中では、俺がイチバン! 』 というのは、当然、いる。
そんな訳で、今は体育の時間 ・・・ 男子の人数が少ないので、いっぺんに集めて授業している。
迷惑な恒例らしく、編入生があると全員相手の腕試しがある ・・・ というか上下位置を作るために、恒例といって始めたらしい。

一方、女子はというと体育の授業を座学で受けているので、窓からグランドは丸見え。
自分のクラスにいる男子には、お約束的に声援をかけている。

「「「 アキトくぅ〜ん! 頑張ってね! 」」」 (クラス女子からの声援)
「さて…アキト! 今、目の前で大口開けて喚いているのが現2年生の中でも一応トップだと言っている男子だ。」 (イツキ)
「なんでカザマさんが、ココにいるの? 今は座学で教室でしょう。」 (アキト)
「実は、実況中継を頼まれちゃって・・・ (笑) こうしてグランドにいる訳 」 (ナミ)
「ははは・・・ はぁ〜 ・・・ んで、トリオの1人が見えないけど・・・ どこ?」 (アキト)
「エリコは、実況カメラ持って、アソコにいるよ!」 (ナミ)

2人が指差しする方向には、カメラを持った女子が1人立っていて、こっちに気付くと、手を振っている。
今回の編入生は、高等部でアキト、中等部でカイト、小等部でユウが、揃って入っている。
腕試しの方法は、参加者全員による素手のレスリング ・・・ と聞こえはいいが、必ず大喧嘩になるらしい。
参加者全員といっても約3分の2は不参加 ・・・ 教室近くの場所へ移動している。
グランドの中央には、小・中・高が混ざっており、結構、ごちゃごちゃ。
開始の合図がある前に始めてしまう馬鹿もいて、なし崩し的に始まった。

※アキト
結構な人数だから、最初のアレから ・・・ と考えつつ、腕を掴んで引き寄せる動作で絞め落とし。
取り巻きの2人は、反撃の態勢を取るのが遅いので、そのまま近い方から鳩尾に1発入れて、もう片方は、蹴りで踵落としで潰し ・・・
さて残りは ・・・・・・・・・ もう、いないのか ・・・ ?

※カイト
トップっぽいのが居たので喉を掴んで、そのまま持ち上げて ・・・ アキトやユウの状態を見るだけ余裕があるカイト君。
まわりにいる取り巻きは、カイトの上で泡を噴いているガキ大将を見て、飛び掛ろうにも掛かれない状態。
「おーい カイト♪ もう ヤバイぞ!」 (アキト)
アキトに言われて吊り上げたのを見ると、カニのように泡噴いて、顔色が青くなっている。
殺してしまう前に、掴んだ手を離して、地面へ。
まわりにいるのは、ちから関係が分かったのか、まわりを囲むだけ ・・・
もう、終わりっぽいので、不参加の人たちがいる近くへと移動した。
( ルリちゃんも見物みたいだし ・・・ 近くで眺めてみよぉ〜っと )

※ユウ
ケンカといっても、本格的にやった経験がない年頃に対して、ユウ君は兄貴たちの相手もしているので、構わずグーで殴りまくり。
とうとうブチ切れて、花壇にあったレンガを振り上げてきたが、なんなく取り上げて、逆に足目掛けて投げ落とす。
足を抱えて喚き散らすのに足蹴りも入れて、あとはボコ殴り。

※ナミ & イツキ & エリコ
「うわっちゃ〜ぁ アキト君、遠慮なしに殴っているわ」 (ナミ)
「絞首刑になっているのもいるし カイト君って力あるぅ」 (エリコ)
「本格的に慣れてるね ユウ君 ・・・ 小さいけど強いわ」 (イツキ)

※ガキ大将の残り
「この3人兄弟 ・・・ むちゃくちゃ 強い!」
「なにか弱点ないか」
「ウチのクラスに、あの3兄弟の彼女っぽいのが編入してきた ・・・って聞いたぞ!」
「どこだ!」
悪ガキたちが考えることは、どこもいっしょ♪
弱点探して抑えにいくが、ルリがいる近くには、カイトがいる。
それなら・・・と、ラピスを捕まえて連れてくる。

「これが見えねぇかぁーーー 3人とも大人しくしろぉー」 (悪ガキ)
「おぉっと お約束の人質を取ったぁー これは反則だぁー」 (ナミ)
「エリコ ・・・ ズームアップ」 (イツキ)
「人質になっているのって ラピスちゃんね。大丈夫かなぁ」 (エリコ)

人質になっているラピスの両腕を2人の悪ガキが抑えている。
残っているガキ大将が、アキトたちに声をあげていた。
3兄弟は集まって相談している風に見える。

3兄弟のいる所から少し離れた場所にルリはいた。
見物にきたクラスメイトたちといっしょに教室出入口近くで、捕まっているラピスを見つめている。
目線を変えて、カイトを見て、どうするのか様子見しているとカイトと目があった。

「ルリちゃーん ・・・ どうする?」 (カイト)
「自分で何とかするんじゃないですか!」 (ルリ)
「両手抑えられているから無理っぽい」 (ユウ)

「おぉっと 3兄弟は人質のことは無視する発言をしているぞぉー」 (ナミ)
「現場直撃インタビュー アキト君 どうでしょうか?」 (イツキ)
「そうですね ・・・ ラピスも一応はできますから ・・・ 状況を作れば自分で何とかするでしょう。」 (アキト)

ワイドショーに出てくるレポートみたいに、和気藹々。
人質をとって形勢逆転を狙った悪ガキたちは、人質無視の発言で、アタマに血が上っている。

「おまえらなぁ、 オレたちは人質取っているんだぞー ちぃっとは大人しくできんのかー」 (悪ガキ)
「でもなぁー オマエらより ラピスの方が強いぞ!」 (アキト)
「アキト・・・ ラピスちゃん ・・・って、そんなに強いのか?」 (イツキ)
「ユウのちょっと下 ・・・という所ですが、そこら辺の中学生より強いですね。」 (アキト)
「うっそぉ〜 中学生ちゅうのは過大評価しすぎだと思うぞ」 (イツキ)
「いっちゃ〜ん 隣みて ・・・と・な・り」 (エリコ)

エリコのいう通りに、となりを振り返ると、制服の汚れを、はたいているラピスが立っていた。
その横にはルリがいて、ラピスの手が届かない所の汚れを掃っていた。

「おぉとっと・・・ いつの間に・・・」 (イツキ)
「どうせ自分で何とかしろ! って言われている。 今回はルリが切っ掛けを作ってくれたから、何とかなった。」 (ラピス)
「どうやって?」 (イツキ)

カメラを担当しているエリコが見ていたので、録画した映像を見て、検証・・・
ラピスの両手を抑えている悪ガキの片方が、急にラピスを捕まえていた手を抱え込んで放してしまう。
片方が自由になったので、身体の向きを変えて股間に蹴り!
股間を押さえて前かがみになった所へ首後ろを目掛けて、ゲンコツ1発。
前にいたガキ大将の足を蹴って、体勢が崩れた所を狙って、体あたり。
引っくり返ったら頭をサッカーボールみたいに蹴って ・・・ 終了。

「ルリちゃんが切っ掛け ・・・ って何したの?」 (イツキ)
「映像にありましたけど、ラピスを抑えていた片方が手を放す前ですよ。」 (ルリ)
「ルリ姉 ・・・ ありがと♪」 (ラピス)
「どういたしまして♪」 (ルリ)

ラピスから細い金属棒をルリに渡していた。
なにか長い針のように見える。
そのまま袖の中へと収めたので、イツキが聞いてみると、護身用に持っている道具らしい。

グランドには屍累々 ・・・ 男子生徒たちがタンカで次々と運ばれていく。
クラスメイトたちに囲まれた3兄弟は、ルリやラピスに手伝って貰って、ひとりで痴漢を撃退する方法をレクチャーしている。
その方法を使えば、さっきのラピスのように両手を抑えられても、やっつけることは可能らしい。

そして、小・中・高の3校通して、テンカワ3兄弟がトップになった。
昔風で言ったら『番長』っぽいが、頭脳は悪くないので、学校での男子代表という感じになった。
・・・ ついでに乱闘に参加したのは、みんな平等で勤労奉仕活動として、学校周辺の清掃奉仕。


あとがき

最近になってナデシコの小説を出して読んでいました。
あとになって気付いたのですが、アキト君ってユリカと違って高校中退だったんですね。
面白そうだったので、高校へと入れてしまいました。
面白ついでに士官学校を卒業したから、絡めたら、どうなるかと思って書いてみました。
この絡みは、あとあとまで尾を引きます。(笑)


| 2006/11/01 製作開始 | 2006/11/25 校正 | 2007/01/05 『風の通り道』 投稿 |


| BACK | INDEX | NEXT |

[戻る][SS小ネタBBS]

※はんどめいど さんに感想を書こう!
メールはこちら[handmade_shop@nifty.com]! SS小ネタ掲示板はこちら


<感想アンケートにご協力をお願いします>  [今までの結果]

■読後の印象は?(必須)
気に入った! まぁまぁ面白い ふつう いまいち もっと精進してください

■ご意見・ご感想を一言お願いします(任意:無記入でも送信できます)
ハンドル ひとこと