09 : 4人娘


地球・日本 佐世保 警備運送会社「Mars」 格納庫

お昼も終わって、今度はエステバリスで試してみる・・・ という事で格納庫へとやってきました。
格納庫内には、ガーネット・アメジスト・アクア・ジルの4人がいました。

「カイト・・・ 手伝う・・・ 」 (ジル)

「あいも変わらず言葉少ないねぇ〜 あんたは!」  (アクア)

「まあまあ・・・ 前より、よく喋るようになったから、まだマシでしょ。」 (アメジスト)

「まずは・・・ お掃除ですね!」 (ガーネット)

ガーネットたちの両手には、お掃除道具?
首を傾げながら、何だろう?とカイトは考えていますが、すぐに答えが判りました。 (電球点灯)

「そうか! 海に沈んだから洗わないといけないんだった。 それとワックス掛けかな」 (カイト)

「そう言うと思ったんで、道具は、ひと通り揃えておきました。」 (ガーネット)

ガーネットの後ろには、ポリッシャーやワックス缶、ブラシにモップまで必要な道具は揃っている。
そして、それぞれの手持ち道具を持った4人が待っていた。
ルリちゃんの飛行体験もしたいけど・・・掃除をしとかないと、あとあと煩いので、分けて行うことにした。

「それじゃ・・・ ガーネットとジルは手伝ってね。」 (カイト)

「私も手伝います!」 (ルリ)

「アメジストとアクアは、ルリちゃんとシュミレータへ行ってね。」 (カイト)

「シュミレータですか?」 (アメジスト)

「そうだよ・・・ 午前中に飛行機で帰ってきたんだけど、Gがねぇ〜」 (カイト)

そうでした・・・ 飛行機に乗り込んで動いた所までは覚えているのですが・・・ カイトさんに起こされるまで気を失っていました。
研究所でエステバリスの飛行シーンを映像で見ていましたが、そんなに加重が掛かるとは思わないのですが・・・

「そうですね・・・ 通常の飛行でさえ、飛行機のGどころじゃないですから (アハハ・・・)」 (アメジスト)

「今、アクアが練習しているレベルのGで限界だと思うし・・・ これのGだと潰れるかも」 (カイト)

「カイト様のは特殊チューンしているカスタム機ですから、ウチの会社のメンバーでさえ無理でしょう。」 (ガーネット)

「アキト様も同じ・・・」 (ジル)

そうなんですか・・・ 知りませんでした。
パイロットの皆さんも訓練で出来るようになるんですね。
私の場合は、訓練していませんから、ちょこっと心配です。
でも、シュミレータでも体感できるように、それ相応のGが感じるように擬似体感するように出来ていたと思います。

「アクアの練習機は、いっちゃん初期のエステバリスだから、リミットを外さなければ大丈夫と思うし・・・ね」 (カイト)

「それで、体験する為にも、シュミレータですか・・・」 (アメジスト)

アメジストさん達と、いっしょに格納庫奥にあるシュミレータへと、ルリを含んだ3人は向かいます。
残った3人は、カイトのエステバリスのお掃除です。


地球・日本 警備運送会社「Mars」 シュミレーション・ルーム

最初は、エステバリスが、どういうものなのか全然知りませんでした。
IFSがあれば、思っている通りに動かせると聞いていたのですが・・・ 理解と実際は、大きな差がありますね。
何気ない動作でさえ、実際にやってみようとすると、意外にも難しかったりします。

アクアさんが練習で使っている設定にして、格納庫から歩いて出る・・・だけでも、苦労しました。
イメージして片足を出すのですが、バランスを取るための腕が動かず、バランスを崩して倒れました。
相当な時間を使って、なんとか歩くことは出来るようになりました・・・が、エステバリスで自由に動けるパイロットさん達の苦労が、よく判ります。

(ドッ!カァーーーーン)

「また格納庫倒壊したぁー 止まり切れなかったねぇ」 (アクア)

「そう言うアクアだって、最初は何回コケて、色々な物を壊したわねぇ」 (アメジスト)

「10回目ですね(ハハハ) 建物を壊した回数は。 倒れた数は忘れてしまいました。」 (ルリ)

「まあ、なんとか歩けるようになったから、結構、早く進歩していると思うよ!」 (アクア)

「そうですか。 でも、まだまだですね。」 (ルリ)

「ちょっと休憩にしましょう。」 (アメジスト)

休憩タイムになって、シュミレータから出てくると、ちょっと、ふらつきました。
すぐにアメジストさんが身体を支えてくれたので、倒れることはありませんでした。
近くの休憩所まで支えてくれて、椅子に座ると飲み物が入った紙コップを渡してくれました。
ひとくち飲んでみて・・・(?)

「カイト様ブレンドの真似です。 どうでしょう似ていますか?」 (アメジスト)

「ボクは紅茶党だから、ちょっと判らないけど、これはこれで美味しいよ。」 (アクア)

「ありがと! で・・・どうでしょう?」 (アメジスト)

「ちょっと酸味の感じが違います。カイトさんのコーヒは、この酸味が丸かったように感じます。」 (ルリ)

「酸味に丸みね」 (もう、ちょっとかな・・・メモしとこ)

( Beee Beee Beee ・ ・ ・ 敷地内に侵入者あり!!! 全社警戒警報発令ーーー )

突然、スピーカーから大きな声が聞こえています。
同じシュミレーション・ルームにいたパイロットさん達は、各自の拳銃の弾数を確認して安全装置を外しています。
隣にいたアメジストさんは、壁に取り付けられている電話を取って、どこかへと通話しています。
アクアさんは、手荷物の中から拳銃を取り出して準備しています。

(みなさん・・・ 対応が早いですね)

壁に埋め込まれているスピーカーから、どこに侵入者がいるのか随時、スピーカーから聞こえます。
それが突然途切れて、ユウ君の声に変わりました。(なんでしょう?)

( 全社員に連絡! 侵入者はネルガルSSと判明! 全員逮捕せよ )

( なお社長から無傷で確保すると賞金が出るから頑張るように! 以上 )

いしょっしゃーーー 賞金イタダキ!
臨時収入のチャンスじゃぁーーー
麻酔弾は、どこにあったっけ?
おーい! 侵入者の人数は何人だったっけ? 問合せてみろー
さっきの放送だと30人以上で、人数把握していないってよ!
おしっ! 儲け話が団体さんでやってきたーーー

(みなさん・・・ 楽しんでいますね。)

建物の外では、ドンパチの真っ最中。
ただ気になるのが、そのドンパチの音が近づいている事でしょう。
そうしている内に、全身黒尽くめの小グループがやってきて、遮蔽物を挟んで、パイロットさんたちと撃ち合いが始まりました。
私はアクアさん達と物陰に隠れています。

「目標の秘匿被験者を発見! 応援求む!!」 (SS)

「「 秘匿披験者! 」」 (アメジスト&アクア)

お二人が顔を見合わせて驚いています。
あの言葉(秘匿披験者)が何なのか判っているみたいです。
向こうで撃っている侵入者さん達は、3人といっているので、私たちのことでしょうか? よく判りません。
ふと脇を見ると、机の影になっている網の向こう側にジルさんがいます。
隣のアクアさんに教えると、網戸を外して中へと入りました。
中には、ガーネットさんもいて・・・

「まずいよ あのSSの目標って私達みたい!」 (アクア)

「えぇ・・・ 人数が間違っていて5人って言っているから、ルリさんも間違えられたみたいだし・・・」 (ガーネット)

「これから・・・どうする?」 (アメジスト)

「カイト様の指示通り、本社地下に行くわよ! 途中で地上部を移動するから注意してね!」 (ガーネット)

「「「「 はい! 」」」」

5人が連なって、ダクトの中を移動です。
途中で通信ケーブルの通路に出たので、歩きに変わりましたが、まだまだモグラみたいです。
その通路も行き止まりになって、地上へと出たのですが、建物角で、SSさんと鉢合わせ!

( キャッ! ) 先頭を進んでいたガーネットさんは、ぶつかって倒れてしまいました。

「目標発見!」

突破しようにも銃口が、コッチを向いているので、それも出来ずに降参です。
持っていた拳銃も取り上げられ、SSさん達は、何か品定めをしているような眼つきになっています。(ちょっと寒気がします)

「4人と聞いていたが、5人いるな。」

「いいえ、コッチにも小さいですが1人いました!」

突き飛ばされて来たのは、ラピス!!
角に集められてしまって、逃げ道なし。

「秘匿披験者って聞いていたけど、途中で使っても・・・」

「バレたら処分されるから、やめとけ!」

「向こうは4人と言っているから、残りの2人は黙っていても判らないだろう」

「そうだなぁ」

SSさん達の眼の色が、ちょっと怖いです。
何を見ているのでしょうか? 見方が違うというか、品定めしているというか、寒気を感じます。
怖くなって、背を向けていると、すぐ近くにいたSSさんが寄ってきています。

(ポン♪)

肩に手を置かれたので、身体を引いたのですが、肩に手を置いたSSさんが、そのまま倒れました。
隣にいたSSさんも同じように倒れていて、すぐ後ろにいる何人かが下がっています。
妙な間があいた場所には、ユウ君が立っています。
頭にはクモの糸が付いていたので、上を見てみると、ダクトのフタが開いています。

「ラピスを突き飛ばしたのは誰だ! (激怒) 」 (ユウ)

「ユウ様から見て、右から2番目・・・左腕にバンダナを巻いています。」 (アメジスト)

ユウ君が、ゆっくりと頷いて、アメジストさんが教えたSSへと向かって歩いています。
たくさんの銃口が向けられていますが、それに動じることもなく、どんどん歩いて行っています。
歩いていく先にいるSSさんは、なぜか後ろに下がっています。
持っている銃を向けるのですが、ユウ君の左手が動いた!と思ったら銃が真っ二つ。
左手には金属のヒモを持っています・・・ それで切ったみたいです。

「わ・ わ・・ わ・・・ くるなぁー」 (相当・・・脅えていますね)

すぐ前に到着すると、コッチを振り向いたのですが、その時は笑顔。
SSさんに向き直したら、上へとジャンプして、膝蹴りしていました。
そのまま後ろへと倒れたのですが、そのまま動きませんねぇ。
よぉ〜く見てみると、地面へとめり込んでいます。 (ご愁傷様です)

ユウ君に気を取られて、まわりを見ていなかったのですが、数人を除いて、ほとんどが地面に寝ている状態。
その周りには、腕を鳴らしている人たちが集まっています。
左右に分かれて立っているのですが、それぞれの先頭には、アキトさんとカイトさんがいます。

「ウチの娘たちを脅かしてくれたなぁ〜」 (アキト)

「僕のルリちゃんに手を出したなぁ〜」 (カイト)

2人とも相当怒っていますね。
( 僕のルリちゃん ・・・ (///) ハッキリ聞くと恥ずかしいですね )
私の隣にユリカさんが寄っていて、その2人を煽っています。

「2人ともー 最低限、口が聞ける状態にはしといてねー」 (ユリカ)

(ユリカさん・・・ この状況で手加減ですか・・・ 無理っぽいと思いますが )

ルリの隣で煽っているユリカは、コミュケを使って、どこかを呼び出しています。
相手さんが出ると・・・

「あっ・・・アカツキさんですかぁ〜 テンカワ・アキトの代理ですぅ〜よろしく!」 (ユリカ)

「いやぁ〜 きれいなお嬢さんからの電話だったら大歓迎ですよ! (わっはっは) 」 (アカツキ)

「お世辞は置いといて、 ウチの人・・・ いま激怒してましてぇ〜」 (ユリカ)

「激怒・・・ (クチ開いていますね) 何が起こったのかね・・・ (あぁー慌てていますね) 」 (アカツキ)

「ネルガルのSSさん達の襲撃を受けましてぇ〜」 (ユリカ)

「 (呆けていますね) しゅ・・・ 襲撃!!! ウチのSSが!!! (驚いていますね) 」 (アカツキ)

「それでぇ〜 回収をお願いしたいんですがぁ〜 (笑顔) 」 (ユリカ)

「回収ですか・・・ 霊柩車じゃなくて・・・ (汗拭いていますね) 」 (アカツキ)

「生かしていますから〜 生ゴミの回収をヨロシク〜 」 (ユリカ)

「回収だけ!って事はないよね・・・ (引き攣っていますね) 」 (アカツキ)

「えぇ・・・ ウチの人と、今後の事について打ち合わせをお願いしますね!」 (ユリカ)

「判った・・・ すぐに向かうよ! 今夜には到着すると思うから、せめて半殺しぐらいにしといて」 (アカツキ)

「善処しますが・・・ 無理っぽいです。」 (ユリカ)

話の様子からネルガル関係者と話をしていたみたいです。
あとで教えて貰いましたが、アカツキさんって、ネルガルの会長さんなんですね。
それと、SSさん達が口々に言っていた「秘匿被験者」の意味を、ガーネットさん達から教えて貰いました。


*** 秘匿被験者 ***

文字通り、研究所などにおいて隠されている被験者のこと。
つまり、上の出資者や、企業にも隠された被験者・・・ということ。

マシンチャイルドは遺伝子操作、遺伝子配合の時点から手を加えられ、電子系に特化した人間である。
人間をいじる研究で、上に知らせない被験者ということは、研究者に好き勝手に扱われている・・・ということ。
資金を横領し、秘匿して創り出し、研究者に取っては全く意味の無い趣味だけの実験を施されたり、弄ばれる贅沢な玩具。
そういう扱いを受けているのが「秘匿被験者」である。


あとがき

書こうとした内容が難しかったので、時間が掛かりすぎました。
それに今回の話は、尻切れトンボ。
次の話へと持ち越し状態になっています。
書き続けても良かったのですが、次は次で家族会議風になってしまうので、思い切って切り分けました。
次も頑張ります。 m ( _ _ ) m


| 2006/09/07 製作開始 | 2006/09/15 校正 | 2006/09/16 『風の通り道』 投稿 |


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