08 : 休暇


地球・日本 佐世保 テンカワ家

「おはようールリちゃん! 朝だよぉー」 (ユリカ)

「早く起きないと・・・」 (ラピス)

「すぅ〜すぅ〜」 (ルリ)

カイトさんの実家という事もあり、夜遅くまで寝付けなかったのが、ルリちゃんに不幸というか不運というか、やって来ました。
ユリカとラピスが起こしにやってきたのですが、ルリの寝起きの悪さは研究所でカイト君が体験済み。

「やっぱり・・・カイト君が言ったとおりだね!」 (ユリカ)

ベッドから起きないルリを見下ろす形で、起こしに来たユリカとラピスが立っています。
そして、ラピスの手にはヘッドホン? (黒板じゃないの?)
ラピスが、ルリにヘッドホンを取り付けています ・・・ コードの先にはユリカが持ってきた機械 ・・・ 何が始まるのでしょう?

2人の準備が整ったのを、お互いが確認すると、おもむろに電源オン。
ヘッドホンが踊っていますね ・・・ 何が聞こえたのか、ベッドで静かな寝息のルリが奇声を上げて飛び起きて、ヘッドホンを掴み外しました。

「何ですか・・・ この音は・・・」 (ルリ)

「おはよう! ルリ」 (ラピス)

「おはよう! ルリちゃん」 (ユリカ)

満面の笑みで朝の挨拶をするユリカとラピス ・・・ 何の音で起こされたのか、ぶっちょう顔のルリ。
まだ、ヘッドホンから音は出ているみたいで、揺れていますね。

「この音は・・・」 (ルリ)

「ベランダの窓を開けたら、音の正体が判るよ!」 (ユリカ)

ルリは立ち上がり、ベランダの窓を開けると、音の元が聞こえました。
マンションの裏側には、大きな滑走路がありました。
そして、滑走路を挟んで向かい側には、大きなハンガーが見えますね。
昨日、隣にある警備会社の滑走路が、マンション裏側にあったんですね。

「音の正体は、滑走路向こう側で仕事しているカイト君の無線機を、そのままつなげたの。」 (ユリカ)

「でも・・・ 近くに飛行機があったから・・・ エンジン音が入った・・・」 (ラピス)

「カイト君の声だったら、起きるかなぁ〜って思ったから。」 (ユリカ)

ユリカさんの笑みには、何かしら謀り事の笑みが含まれているような感じです。
横にいるラピスの表情からも伺えます。
反論しても、上手に返されそうだったので、カイトさんがいるという方向を見てみると・・・ (?) エステバリスでプロレスしていますね。
それも1対複数で・・・ 優勢に格闘戦していましたが、途中で、ひっくり返されて、ボディプレス状態で押し潰されています。

ルリの隣には、ユリカやラピス。
さらに隣のベランダにはカイトさんのお兄さんがいますね。
そして、こっちのベランダを見ると・・・

「こら! ユリカ・・・ こっちの部屋にあった無線機・・・ どこに持っていった」 (アキト)

「ごめぇ〜ん、アキト! ちょこっと借りてた」 (ユリカ)

ベランダごしにユリカさんが、、私を起こすのに使った機材をアキトさんに手渡していました。
そして周波数でしょうか・・・ 確認すると

「この周波数は・・・カイトか? ルリちゃんの起こしに使ったんだろう!」 (アキト)

「えへへ・・・ やっぱり、わかる」 (ユリカ)

「お前の考えそうな事だからな・・・ 後でお仕置きな!」 (アキト)

「えーーー それはないよぉーーー」 (ユリカ)

「俺はラピスに起こしを頼んだけど、ユリカには頼んでいないぞ! それに朝の役割分担分は、どうした?」 (アキト)

(ギックゥ)

「えーーーとね ルリちゃんを起こしてから、やろうかなーーーって ・・・」 (ユリカ)

「まだ、やってないな・・・ お仕置き・・・倍! 返答はなし!」 (アキト)

「えーーー」 (ユリカ)

( シュン )

強いですね カイトさんのお兄さん ・・・ アキトさんだったと思います。
あのユリカさんを押さえ込んで、只者ではありませんね。
(?)
アキトさんが、こっちを見ています。・・・私ですか・・・見られているのは?

「ルリちゃん・・・ (はい?) もうちょっと恥じらいがあってもイイと思うけど・・・ (何でですか?) 服装!」 (アキト)

服装ですか・・・ 寝起きで髪がバサバサだと思いますが、何でしょう?
ふと自分の前を見てみると・・・ (///) パジャマのボタンがぁぁぁ (///) 何とか肝心なところは見えてないようですが ・・・ 思いっきり恥ずかしいです。

「アキトー ルリちゃんのはカイト君のだから駄目だよ。 私のだったら〜」 (ユリカ)

「お仕置き3倍に変更!」 (アキト)

ユリカさん・・・ とうとう固まってしまいました。
横にいるラピスは、毎度のことなのか、部屋の片づけをしていますね。
アキトさんは無線機経由でカイトさんに話しています。

「カイト! 遊んでいないでハンガーに入れて来い! 食堂で待ってるぞ!」 (アキト)

「・・・・・(無音)・・・・・」 (カイト)

「ふっ・・・ 若いなぁ〜 (無線機の操作をしていますね) 周辺のエステバリス ・・・ カイト機を海に捨てて来い!」 (アキト)

「いいんですか? あとで文句言われても、アキトさんがやってくださいよ!」

「はやく捨ててこないと 渡すものがどうなるか・・・ 判っているんだろうなぁ〜」 (アキト)

「「「「「すぐに捨ててきます!」」」」」

相当慌てていますね。
押し潰していたエステバリスを周辺にいたエステが担ぎ上げて滑走路端へ。
端に着いたら、そのままの勢いで担いでいたエステを放り投げましたね。
大きな水柱が見えたので、滑走路端は海だったのでしょう・・・ (カイトさん大丈夫でしょうか?)

固まったユリカさんを担いでいくアキトさん・・・
普段着に着替えるとラピスが食堂に行こう!と言って案内してくれました。


隣の建物「Mars」 最上階食堂

ラピスの案内で、隣の建物へとやってきました。
エレベータを降りると ・・・ 驚きを通り越して・・・ボーゼンです ・・・ だって、ワン・フロア全部が食堂ですから(汗)
食堂の中は、たくさんの人でいっぱいです。
みなさん、入り口で封筒のようなものを受取っています。
時々、渡している人が掲示板へ行くと、ピン留めしている封筒があります ・・・ 何でしょう?

ラピスに続いてカウンター前に並ぶと、朝食が載っているトレイを受け取り、窓際の席へ。
窓の外からは暖かい日差しが入ってきます。
アキトさんが座って全員が揃ったのでしょうか ・・・ ぐるっと見渡して

「全員 ・・・ 揃っているね? (はーい)×12 それでは頂きます! (頂きまぁーす)×12 」 (アキト)

ユリカさんと、カイトさんがいません。
周りを見て探したのですが、どこにもいません。

「ルリちゃん カイトだったらシャワー浴びている頃だよ(笑顔) ユリカは、お仕置き中」 (アキト)

「シャワーですか ・・・ ユリカさん お仕置き中って?」 (ルリ)

「朝、言った通りだよ。 今日は3倍だから、お昼になったら会えるよ!」 (アキト)

「干からびてなければ、いいのですが・・・。」 (ガーネット)
「その前に食事抜きでしょ! ダイエットどころじゃないし・・・」 (アクア)
「アキト ・・・ 怖い」 (ジル)
「うぅ〜 お仕置き イヤ!」 (アメジスト)

エメラルドたちは、3時のオヤツを賭けて、何かやっている。 (チビたち ・・・ 可愛いのに残酷)
ルリは心配そうに隣で食事しているラピスに聞くと

「ラピス・・・ ユリカさんドコでしょう?」 (ルリ)

「カイト兄ぃに聞いたら判るよ。 見てきたと思うし・・・」 (ユウ)

ラピスの隣にいたユウが、ルリの質問に答えていると食堂の入り口からカイトさんが入ってくるのが見えました。
入り口でキョロキョロしていましたが、私の方向を見て場所が判ったみたいで、食堂のカウンター経由で隣へ。
カイトさん まだ髪が濡れています ・・・ アキトさんが言うとおり、シャワー室から直行したんですね。
疑問に思っていたユリカさんの事を聞こうとしたのですが、その前にアキトさんが喋ってくれました。

「アキト兄さん 今回のはキツ過ぎませんか」 (カイト)

「いい加減に治せば、こっちも楽なんだが・・・ ありゃ直らんな」 (アキト)

落ち着いて、お味噌汁飲んで話す内容じゃぁ〜ないと思うのですが、とても呑気です。
カイトさんが見てきた・・・って事は、どこにいるんでしょう。

「途中で気絶するかも知れませんよ」 (カイト)

「その時は、その時・・・ アルファ、今どんな感じだ」 (アキト)

「文句のオンパレードです。聞いてみますか?」 (アルファ)

「まあ何言っているかは判るし・・・ あとで様子見に行ってみよう」 (アキト)

「カイトさん ・・・ ユリカさんは?」 (ルリ)

カイトさんの説明では、屋内プールにいるそうです。
どんな状態なのかは、お昼前に迎えに行くと聞いたので、その時に知ることになりました。(アキトさん 怖い・・・というより恐怖の大魔王です)


Mars滑走路

食堂から出るときにカイトさんの名前が書いた封筒が掲示板に留められていたのを見付けました。
カイトさんに知らせると、取っておいて! と頼まれましたので、掲示板から持って来たのですが、中身は札束。

「カイトさん お金がいっぱいです。」 (ルリ)

「それ 僕の給料」 (カイト)

明細を読んでイイと了解を得たので見たのですが、「警察報奨金」の金額が大きいです。
カイトさん・・・ 警備運送会社「Mars」の仕事もしているみたいで、運送している荷物を狙って襲撃してくるのですが、撃退して警察へと引き渡すらしいです。
そして襲撃犯によっては、警察や国から報奨金が付いているのもいたりして、その賞金を「警察報奨金」として貰うらしいです。

その封筒は、そのままユウ君に渡していました。
なんでも、テンカワ家の金庫番は、ユウ君になっているらしいです。

私たちは、そのまま滑走路へ行くと、白くて大きなグライダーが準備されていました。
カイトさんが準備してくれたのですが、パイロットさんがいませんね。

「ルリちゃんは、ここに入ってね。」 (カイト)

カイトさんが言う通りに載り込んで椅子に座るとベルトや無線機が付いたヘッドセットを付けてくれました。
そのカイトさんは、横のシートへ座ると、同じようにベルトを付けたりしていました。
目の前にはハンドルが見えます。 これは操縦桿と呼ばれるものでしょうか?
いろいろ考えていましたが、急にシートに押し付けられ・・・た・・・と思ったら、フワッ・・・という感じで、大空へと舞い上がりました。
隣に座っていたカイトさんが操縦桿を握って操作しています。

「いらっしゃい、ルリちゃん。大空へようこそ!」

グライダーから眺める地上は、ひと味違います。
風にのって優雅に飛んでいます。
空を飛ぶ! ・・・って、こんな感じなんですね。

「今日は、いろいろな物で飛んでみるからね。」

グライダーでの遊覧飛行が済んだら、移動を兼ねてヘリコプターで戻りました。
戻ったら今度は、ハンググライダーです。
もちろん私は操縦の仕方を知りませんので、ハーネスでカイトさんに固定された状態で、飛んでいます。

「ちょっと怖いかも知れないけど、風を体感できるのは、これが判りやすいし・・・」

グライダーより低い高度で飛んでいます ・・・ 先程と違って、地上の様子が判ります。
地上が終わって、海へと出ると、大海原にポツンと浮かんでいる船へと向かっています。
ハングライダーで、降りるとユウ君が出迎えてくれています。

「カイト兄ぃ そろそろ時間だから帰って来い! ってアキト兄ぃから伝言。」 (ユウ)

「もう、そんな時間か? (時計を見て) ほんとうだ ・・・ あと30分ぐらいで昼時間になるね。」 (カイト)

「昼時間になったらユリカ姉ぇのお仕置きおしまいだから、迎えに行ってくれ!ってアキト兄ぃ・・・が言ってた。」 (ユウ)

「そういう兄さんは・・・」 (カイト)

ユウ君は空へと指差し・・・
その先には大きな雲を発生させながら、1本のロケットが、まっすぐに上がっていますね。

「衛星軌道への直行便の仕事が入ったのか!」 (カイト)

「今頃10Gの仕事中・・・ いつもはカイト兄ぃの仕事だけど・・・ 今日はルリがいるからって・・・」 (ユウ)

カイトさんは、まっすぐに上がっていくロケットへと手を振っています。
ユウ君の言う通りなら、あのロケットにはアキトさんが乗っているですね。
カイトさんとユウ君が話している後ろでは、整備の人たちでしょうか、飛行機を準備しています。
軍で使用している戦闘機みたいですが、2機準備されています。

整備の人たちから準備が整ったことを告げられると、ユウ君は2機のうち後ろの機体に乗り込んでいます。
ナビ席にはラピスちゃん・・・。
前の機体には、カイトさんが向かっていますので、これに乗って帰るのでしょう・・・ ちょっと怖いです。
予想通りに・・・動いた!と感じた所から到着するまで気絶していました。
訓練なしで、カタパルト発進はキツイです。


お仕置き

滑走路に到着すると、4人娘とチビたち代表のエメラルドが待っています。
飛行機から降りると、ユウ君とラピスは食堂に直行!
消化の良い物を準備してもらう ・・・ と言っていましたので、食事抜きのお仕置きユリカさんのゴハンでしょうね。

カイトさんと一緒に屋内プールに行ったのですが、プール出入り口の窓から覗いても白いモヤでしょうか室内が見えません。
扉を開けると、水蒸気がイッパイ・・・。
天井を空けて水蒸気を出してみると、プールの水面には十字架 ・・・ あ〜ユリカさんが縛られて浮かんでいますね。

「今日は十字架に縛られて、水蒸気の刑かぁ〜。誰も予想していない。全員ハズレ!」 (エメラルドちゃん・・・残酷ですね)

「ユリカさぁ〜ん 迎えに来ましたよ」 (アクア)

「気を失っているかな」 (ガーネット)

「生きてるよぉ〜 早く自由にさせてぇ〜」 (ユリカ)

「やっぱり・・・ 元気だ!(笑)」 (カイト)

「もう実験済みですし・・・ 同じお仕置き経験者は判ると思いますが・・・」 (ベータ)

「もう、お仕置き・・・ イヤ!」 (アメジスト)

「そういや、 アメジストは経験者だったし・・・」 (ジル)

定期的に水分補給はあったらしい・・・が、 それ以外は、1人で浮かんでいるだけで、蒸し暑さと我慢比べ。
最初のうちに水着に着替えさせられたらしいが、それも汗で、ぐっしょり・・・
プールで汗を流すと、カイトさんと私もプールへと引き込まれて、結局、泳いでしまいました。(服のまま)
部屋で着替えてから食堂へ行くと、ユリカさんの食事は準備されており、食事後は4人娘たちに連行されて医務室へ直行!

私たちはお昼からエステバリスでの飛行です。
食事を済ませて、格納庫へと行くと4人娘たちが待っていました。
いっしょに飛ぶみたいです。


あとがき

思いっきり困りました。
今回の話は、時間が余り取れなくて、「どうしよう」という状態で始めました。
いつもは毎日30分程度は時間が取れるので、少しずつでも進めることは出来るのですが、今回は、ほとんど無し ・・・ 1日平均5分程度でした。
掲載1週間分ぐらい早めに投稿しているのですが、今回の余裕は・・・どつぼにハマりました。
なんとか書き上げましたが、少し物足らないかも知れません。

次は4人娘たちの御話しです。


| 2006/08/28 製作開始 | 2006/09/06 校正 | 2006/09/07 『風の通り道』 投稿 |


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