今日はミスマル一家の引越し。
地球へと行くユリカたちを、隣人のテンカワ兄弟(アキト・カイト・ユウ)が見送りにきていた。
「うえ〜ぇ〜ん。アキトぉ〜。」 (ユリカ)
「本当に泣き虫なんだな・・・ユリカは・・・」 (アキト)
「ドサクサ紛れに抱き付いちゃってるし・・・」 (カイト)
「単身赴任・・・」 (ユウ)
「それは、ちょっと違うぞ! ユウ君。」 (コウイチロウ)
「周りも五月蝿いから早く泣き止め・・・」 (アキト)
「でっもぉ〜」 (ユリカ)
ちょっと離れたミスマルからは、隣人だったアキトがユリカを宥めている姿に見えるが、抱き付いているので、内心はハラハラ。
実際・・・アキトはユリカの耳元で内緒話しをしていた。
「こっちの事件を防いだら、俺たちも地球へ向かうから、準備は進めといて・・・。」
「予定通りに、アキトの両親を守るんだね・・・」
「あぁ・・・今の所はアルファたちが守っているから大丈夫だけど、落ち着くまでは俺たちで守る。」
「それが済んだらアキトたちも地球に来てね。待っているから・・・」
いつの間に泣き止んだのか、ユリカは飛び切りの笑顔で頷いた。
見詰め合っていると、搭乗開始のアナウンスがあり、ミスマルがユリカを呼んだ。
「ユリカッ・・・! 元気で・・・」 (アキト)
「うん!」 (ユリカ)
きつく抱き締めあう2人・・・離れようとアキトが手を緩めると・・・『チュッ』・・・とユリカはキスした。
「あーーー!」 (コウイチロウ)
驚いて固まってしまう2人・・・アキトとミスマルの2人であった。
アキトは固まったまま見送り、余りの驚きで固まった父親を引っ張るようにユリカは搭乗口へ。
しばしのお別れである。
・・・(汗)×2
「ユウ、どうしよ? 兄さん・・・固まったまま(爆)」 (カイト)
ユウは近くにあった荷物運びのカートを取りに行き、カイトに手伝って貰って、銅像のように固まったアキトを運び出して行った。
シャトルは飛び立ち、空港入口へと帰ってきたアキトたちに、アルファからの緊急連絡が入った。
「マスター、研究室内で事故発生です。」
固まっていたアキトは『事故』という言葉で我に返り、2人を置いたまま、両親がいる研究室へとジャンプした。
後に残されたカイトとユウは驚いていたが、気を取り直して、クリスタルを取り出すと、アキトの後を追ってシャンプした。
「アキト兄さん・・・」
カイトが声をかけるが、爆発跡が生々しい研究室を見て、立ちすくんでいるアキト。
アルファの説明では、3人の勧めでアルファがセキュリティを強化した研究室に入って研究をしていた最中に、研究員の1人が爆発した。
事前の身体検査では爆発物は見付かっていないが、研究室内では爆発物を作れるだけの材料が揃っているので、事件が起こった。
爆発した研究員は軍からの出向者で、先日、軍の上役に呼び出されてからの様子が可笑しかったらしい。
「父さん・・・母さん・・・。事件が起きることは判っていた・・・が・・・守れなかった・・・。」
「兄さん!」
「あぁ・・・カイトか・・・判っているさ。」
研究室を見ていたアキトの表情が厳しくなっていた。
ユウは、感じ取ったのか、クリスタルが入っているコンテナの所へ行き、中から2つ取り出して床に置き、コンテナごとジャンプして姿を消した。
カイトは、研究室のコンピュータに残っているデータを自分のAIベータに移し変えると、床に残していた1つを取り、ジャンプして消えた。
「父さん・・・母さん・・・オレは行くよ・・・」
(マスター!)
「アルファ・・・地球へ行くぞ!」
(了解!)
アキトは研究室の床に残っていた最後のクリスタルを取り、ジャンプした。
突然、滑走路上に、ひび割れが入り、滑走路が陥没した。
翌日、火星のメディアに不可解な事件として取り上げられたが、原因不明の事件として、いつの間にやら人々の記憶から薄れていった。
勘の良い人なら、数年前に発生した事件で、大穴が開いた場所だと判っただろう。
もちろん陥没の原因は、埋まっていたキャリーが、ジャンプで移動してしまった為に起きてしまったのだ。
「ネルガルのドックをイメージしてジャンプしたけど・・・建設されていなかったんだな(笑)」 (アキト)
「アキト兄さん・・・場所のイメージでジャンプしたけど、また・・・土の中ですか・・・(あはは)」 (カイト)
「兄ちゃん・・・へたくそ・・・(ジト眼)」 (ユウ)
一旦、火星の宇宙港の地下から火星の軌道上へジャンプした後、ナデシコ建造のドック下に予備があったのを知っていたので、そこをイメージしてジャンプしたまでは良かったのだが、建設中だったのか空洞の中に出現して、地下第2ドックを丸ごと潰してしまった。
そして、すぐ上にある第1ドックにまで振動が伝わり、大騒動になった。
建設現場の事故と判ると、調査官が来ていたみたいだが、第2ドックへとつながるルートが資材などで、ふさがっており調査不能で建設中止になった。
頭の上では秘密ドックが建設中で、下には人が来ないことが判り、3人は、これからの事や専用機について理解することにした。
「さて・・・と、専用機のことを何も知らないから、勉強して覚えないとな・・・。」 (アキト)
「そうだね・・・ユウは、時々キャリーの所へジャンプしては、勉強していたみたいだけど、僕たちは今からだね。」 (カイト)
ユウは、クリスタル採掘場に出入りしては採掘されたクリスタルをキャリーの保管庫へとコンテナごとジャンプして運び込んでいた。
アキトはS級ジャンパー、カイトとユウはA級ジャンパー・・・。
現在、火星から地球へと移動中のユリカもA級ジャンパーなので、移動距離は関係なく、一瞬で移動できる。
「アルファ・・・『疾風』と『鉄壁』の解説をしてくれ。」
(はい・・・。機体のスペックですが、半永久的に使えるジャンプユニットと、趣味で改良された相転移エンジンを搭載しています。)
「趣味で・・・ってのは何だろう。ウリバタケさんじゃあるまいし・・・(嫌な予感)」
(ナデシコだけでなく、B・・・C・・・など以降で搭載される、どのエンジンより強力で、現在、建造中のナデシコの約2倍です。)
「ははは・・・やっぱしなぁ・・・ナデシコの2倍だとぉ・・・えらくコンパクトになっているし・・・なぁ・・・(汗)」
(出力もありますが、エネルギー切れを起こす事がなく、改良前と比べようがないぐらい高スペックに仕上がっています。)
「・・・となると、加速Gが相当になりそうだけど・・・潰れないかなぁ・・・オレ」
(はい、大丈夫です。キャリーにも同型が搭載されていますが、重力制御装置が数百年ほど先行した形の物が取り付けられています。)
「大丈夫そうだな・・・」
(それでも加速Gだけで並みの人間でも潰れますので・・・マスターとカイトさんぐらいです。平気なのは・・・。)
「それで・・・専用機なのか・・・」 (趣味にしては危なすぎる物を・・・)
(続きまして、武器の方はエステバリスと同じように汎用型になっていますが、専用ライフルと両腰にあるロングランチャー、あと肩に2連装のグラビティブラストが付いています。)
「武器も強力そうなのがあるなぁ〜。・・・アルファ・・・どうした?」
(それが・・・もっと危ない物がありまして・・・)
(キャリーに搭載されている高機動ユニットを追加装備すると、相転移エンジンが4基追加、連続発射できるグラビティカノンが4門。)
(また、転移砲もあって、使い方次第では、星を丸ごと消滅させることもできます。)
一瞬、何を言っているのか理解できなかったのか、アキトとカイトは思考停止した。
「ぶっそうな武器のオンパレードだな・・・歴史改変どころか・・・消滅させることも出来るものを受け取ったなぁ・・・。」
「ようは使い方次第ということかな・・・兄さん!」
「そうだなぁ・・・」
ユウの専用機となるキャリーの事を、アルファから説明をバトンタッチされたユウが説明した。
ナデシコと合体しなくても、不可視状態になれるし、移動できる(高機動操船も可)。
火星で発掘されたクリスタルを満載しているので、ジャンプする度に消費する数は十分にあるということ。
船体のデカさに負けずに、空母機能もあり、機動兵器が40機搭載できること。
船体内に工場施設があり、機動兵器の修理・改良が行なえること。 ・・・等など数え上げればキリが無いほど機能が満載している。
「もはや何でもありだな。・・・・ご都合主義か?」
「頭がパンクしそう・・・」 (カイト)
「気分が悪くなるどころじゃないな・・・」 (アキト)
機体の性能に慣れるためにシュミレーションを繰り返してきた2人。
初めの頃は、動かしても赤ん坊のように、ゆっくりしか出来なかったが、今では高機動戦闘を24時間ぶっ続けで戦闘してしまうほど、操作に慣れた。
今は、2人の対戦では物足りず、北辰10機とバトルロイヤルして、最後の1体を片付けたところだった。
2人は床に、引っくり返って、検討会をしていると2人のコミュケが鳴った。
「兄ちゃんズ・・・ルリの居場所・・・判明したよ」 (ユウ)
シュミレーター前で休んでいた2人は起き上がると、ユウがいる演算室へと向かった。
2人がシュミレーター漬けになっている間に、ユウは、ルリの居場所を探していたのだった。
ルリは、とある研究所で実験協力しているのを掴んでいたが、居場所が判らなかった。
しかし、どこかに情報の穴はあるもの・・・地道に探して、やっと見付けた。
「どこにいた・・・?」
ユウが探し出した場所をスクリーン上に開いて、どの場所なのか話した。
そして情報操作をして、ルリがいる研究所へとカイトが入所した。
火星からの長い旅を終えたミスマル一家は、極東方面軍の本部がある日本へと到着した。
本部からの迎えが来ており、ミスマルと社交辞令的挨拶をしていた。
(ピッ♪) コミュケの着信音
ユリカは、自分専用のAIシータが入っているコミュケを見ると、メールが届いていた。
メールを読んでみるとアキトからのメールと判り、両親にトイレに行くことを告げて、メールで指定された場所へと行った。
そこには、アキトが待っていた。
「長旅・・・ご苦労様・・・ユリカ」
「先に来てたのね・・・アキト・・・叔父様たちは大丈夫なの・・・」
「いや・・・亡くなったよ・・・」
ユリカたちが旅立った時に研究室内で爆発事件が起こり、両親が亡くなったことを話した。
そして、ユリカに会うまでのことについて、ユリカに教えた。
「予定通りに、進めるよ。」
「うん・・・。アキトは大丈夫なの・・・。」
「あぁ・・・泣くことは辞めた・・・前を見て、やってやるさ・・・。」
「強く逞しくなったわねぇ〜、私の旦那様(はーと)。」
「ばっか・・・(真っ赤)」
余り長くなると怪しまれるので、ユリカは両親が待っている所へと帰って行った。
そして、2週間後・・・ミスマル・コウイチロウのメール箱に、アキトからのメールが届いた。
ちょっと文体が無茶苦茶になったので、治しに手間食ってしまいました。
アキトの両親をなんとかしたいなぁ〜で考えていたのですが、この先を考えると本作通りになってもらった方が書きやすかったので・・・。
さてアキトたちは地球へと旅立ちました。
途中で2パターン書かないと・・・(汗)・・・話しが進まない所もあって、ちと困っています。
余り・・・やりたくないけど時を戻して書くところが出そうです。
| 2006/08/03 製作開始 | 2006/08/07 校正 | 2006/08/17 『風の通り道』 投稿 |
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