02:帰ってきたけど


「・・・ぅ」

アキトは、目を覚ました。
すぐに周りの状況を確かめる。

「ここは・・・・・・ユートピアコロニーの病院かな・・・・・・」

間違いない。
窓から見る風景は、ユリカといっしょに入院した病室からみた風景と同じだった。
・・・ということは、無事に”帰って”こられたということか。

(マスター)

「ん?」

思案していると、すぐ側から声が聞こえた。

(私です。アルファです。)

「・・・ん、ああ。まだちょっと寝ぼけているようだ。」

左腕に巻いている機械から声が聞こえる。
のちに『コミュニケ』と呼ばれることになる物だが、”この時代”では、誰もしらないだろう。

「アルファ。ベータたちは、どうした? 呼びかけてみてくれ。」

(了解・・・呼びかけてみます。)

アルファとの話しが終わって、すぐに返事が返ってきた。
みんな、同じ病院にいるらしい。

ユリカは、あの時と同じように廊下向かい側の病室。
カイトとユウは、別の病棟で宇宙港爆破事件で怪我して運び込まれた人たちと、いっしょに入院したらしい。
アキトとカイトの機動兵器は、ユウのキャリー内に収納されたまま、ある場所の地下に埋まっているらしい。

4人とも同じ病院へ入院しているのは都合が良かった。
動けるようになってから、集まることにして身体を治すことに専念した。


「みんな久しぶりだね。」 (アキト)

「アキトぉ〜。(抱き付き) 寂しかったよ〜。」 (ユリカ)

「お久しぶりです・・・アキト兄さん・・・ユリカさん。」 (カイト)

「・・・・・・(こく・こく)」 (ユウ)

あの時から2週間が経過している。
宇宙港の事故は、テロリストの犯行となっているが、実際はキャリーが成層圏からステルスモードまま、滑走路上に落下して大穴を開けたらしい。
先日まで、その時の爆発に巻き込まれた不幸な子供たちという記事で、カイトとユウが出ていた。
両親が見付からず爆発跡から死体が見付かったので事故で死亡したと思われたみたいだ。
そして、カイトとユウは、入院中にアキトと仲良くなったのを見たアキトの両親が養子として引き取ることになっていた。

「でも死亡したのは・・・誰なんだろ?」 (アキト)

「ベータの説明では、変に思われない程度に作ったダミーらしいよ。」 (カイト)

「そうなのか・・・。」 (アキト)

「そうするから・・・と記録の片隅に伝言として残っていました。」 (アルファ)

各自のコミュケに、あの時に話さなかった内容が記録されていた。
4人は読んで、これからの事を話し合った。
結局、戻りすぎていて今から動き始めたのでは歴史が変わりすぎるので、各自の合流ができる時期まで、力を貯めることにした。
その時に、ユリカから前には無かった方法の提案があった。

「ちょっと提案・・・」 (ユリカ)

「「「 ん!!! 」」」 (他3人)

「ナデシコって火星から帰ってきたら、軍に入れられちゃうよね?」 (ユリカ)

「キノコから言われてな。」 (アキト)

「それなら最初から私たちは、軍人として乗り込んだ方が良くない?」 (ユリカ)

「俺もか?」 (アキト)

「うん♪ カイト君やユウ君は年齢的に無理っぽいけど、私たちなら・・・。」 (ユリカ)

「別に前と同じで、いいんじゃないか?」 (アキト)

「良くないよ! 私たちが最初っから軍人なら、キノコさんたち乗ってこないよ。」 (ユリカ)

「それは、それで理解した。」 (アキト)

「それと、もう1つあって、折角だからナデシコも最初っから軍属にしちゃおうと思ったの・・・。」 (ユリカ)

ナデシコは、ネルガル製の戦艦で、民間の会社が作って運用していた。
火星から帰還したら、軍に徴集されて軍属になってしまった。

「おいおい・・・。最初っから軍属にすると民間人の、みんなが乗れないぞ。」 (アキト)

「それなんだけど・・・ユリカに名案があって・・・。」 (ユリカ)

裏工作しても思った方向に進まないから、脅し透かし褒めまくりで、自分たちの都合の良い方向に持っていく方法を言ってきた。
その方法を聞いてみて、アキトは呆れ顔、カイトは笑い転げていて、ユウは何だろ?と、みんな色々な反応をしていた。

「俺は、ときどきおまえが恐ろしい・・・」 (アキト)

「アキトに褒められた〜ぁ〜♪」 (ユリカ)

「褒めてないぞ! 呆れてるんだ!!」 (アキト)

「じゃぁ、そういうことで、いいよね?」 (ユリカ)

「理解した・・・にしても、士官学校か・・・俺、大丈夫かな・・・」 (アキト)

元々はコック志望なので、軍のことなど何もわからないし、やっていけるのだろうか?
ユリカの笑顔を見れば、ホンの些細な事だと思えてしまうゲンキンなアキトだった。


あとがき

「はんどめいど」です・・・。
読んでみると短い!・・・って言われそうですが、01と比べると約半分です。
次のお話しを作っていたのですが、後々のことを考えてみると、説明を入れる部分が足りなさそう。
お話しの間も空いてしまっているので、「つなぎ」として作りました。


| 2006/08/04 製作開始 | 2006/08/05 校正 | 2006/08/13 『風の通り道』 投稿 |


| BACK | INDEX | NEXT |



[戻る][SS小ネタBBS]

※はんどめいど さんに感想を書こう!
メールはこちら[handmade_shop@nifty.com]! SS小ネタ掲示板はこちら


<感想アンケートにご協力をお願いします>  [今までの結果]

■読後の印象は?(必須)
気に入った! まぁまぁ面白い ふつう いまいち もっと精進してください

■ご意見・ご感想を一言お願いします(任意:無記入でも送信できます)
ハンドル ひとこと