機動戦艦ナデシコ

〜 Endless  Story  第一章  アカキヒトミ 〜








プロローグ




2201年8月1日


ネルガル会長室

ネルガル重工会長、アカツキ・ナガレの前に一人の青年が座っていた。

黒髪、黒瞳、端整な顔立ちをしたその青年は、真剣な面持ちでアカツキと対峙している。その顔には相手がネルガルの会長だという気負いは全く感じられない・・・

「ついに、シラヒメも落ちましたか・・・」

唐突に青年は口を開いた、その声は落ち着きを払い、凛とした雰囲気を持っている。

「そのようだね・・・ところで、アンスリウムの方はどうだい?確か、今日か明日には完成と聞いたんだけど。」

「順調ですよ、たぶん今日中には完成します。」

「ふ〜ん、じゃあ例の武器の方も大丈夫そうだね。」

そういったアカツキの顔には微かに笑みが見える。それもそのはず、今アカツキの中にある唯一の不安材料が解消されようとしているのだから・・・

「例の武器・・・あ〜グラビティカノンとフィールドランサーUですか?フィールドランサーUの方はもう完成していますが、グラビティカノンの方はまだ時間がかかりますね。あれはもともと前例の無い武器ですし、仕方ないでしょう。」

「で、どれくらいかかるんだい?」

アカツキの顔から笑みが消え失せ、元の真剣な顔に戻っていた。

「良くて2日後、長引いても5日以内には完成予定です。」

「・・・わかったよ、とゆうことはアマテラスには間に合いそうだね・・・君も行くんだろ?」

「えぇ・・・それに彼にだけ悪者を演じさせるわけにはいきませんよ。」

青年はぎこちない笑みをアカツキに向けた。何故だろう、青年の笑みの裏に目に見えない悲しみをアカツキは感じていた。しかしそこはネルガルの会長、それを口に出したり表情に出したりはしていない・・・

「彼にだけ・・・か、実に君らしいよ。」

「アカツキさん・・・彼、いやアキトさんはいつアマテラスに?」

今までどこか乾いた印象があった青年の口調に一瞬感情がこもる。それだけ青年にとって、この問題は重要なのだ・・・それこそ自分の命以上に・・・

「9日後・・・8月10日だよ。」

「・・・わかりました。じゃあ僕はこれで失礼します」

青年はそういうとおもむろに席を立った。何気ない仕草なのだがその青年に隙は無い、それだけで青年の力量の高さが垣間見えるのだが、そんな事を気にする人間は少なくともこの場には誰もいなかった・・・

「・・・最後に君に聞きたいことがあるんだ。」

アカツキが席を立った青年を呼び止めた。その顔は今までに無いほど真剣な面持ちで青年の瞳を凝視している。

「なんですか?」

「なんで君は、戦うんだい?」

「ん〜そうですね、さしずめ自分が自分らしく居られる場所を取り返すために・・・っていうところですかね。少しキザっぽいですが・・・」

アカツキの質問に青年は少し笑いながら答えた。アカツキには、その顔を見るだけで先ほどの言葉が嘘でない事を知るには充分すぎる材料だ。

「どうしたんですか?そんな事を聞くなんてハッキリ言ってらしくないですよ。」

「あっはっは、あいかわらずキツイね君は」

アカツキは苦笑いを浮かべながら答えた。

「はははッ、じゃあ今度は本当に失礼しますよ。」

「あぁ、呼び止めて悪かったね。」

「いえ・・・」

そういうと青年はアカツキに笑顔を向けて軽く会釈すると一人、部屋から出て行った。

「自分が自分らしく居られる場所か・・・やはり君もナデシコクルーだよ、カイト君・・・」

誰も居ない部屋で、アカツキが青年の名を呟いた。











つづく



後書き

皆さんどうも初めまして海苔と申します。
はっきりってこういう事をするのは超素人で、そのため色々と駄目な所が多々あると思います、ぜひともメールしてください。
今後の参考にさせてもらいます。必ず返事を書きますのでお願いします。
こんな駄文ですが、楽しく読んでもらえれば幸いです、では次話で会いましょう。

それではこの辺で・・・海苔でした。



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