もう目を閉じよう。
《いいかげん当た・・・コン・・・ザザ・・・ショウ!!》
《リョーコ!サブちゃんが・・・ザー・・・!》
《おせーぞサブ!》
《ザ・・・ザザザー・・・どいお言葉。どうよ?敵さんは・・・おっとぉ!!》
ノイズに混じって聞こえる仲間の声。
遠くに見える白い戦艦はナデシコなのだろう。
意識はハッキリしている。
ここは建御雷のコックピット。
さっきまで彼女らと戦っていたのだ。僕は。
《ま、感じてる通りだよ。いつものオレ達なら、こんな奴らに苦戦することはねぇ!でも・・・!》
《オレ達は、想像以上に消耗してる・・・》
ああ・・・ナデシコが、みんながやられてしまう。
だけど、何をしようとも思わなかった。
僕の心は冷めていた。
イツキを殺した自分に、何ができるというのか。
大切な人一人守れなかった自分に。
− ・・・っつ!・・・痛いよ・・・苦しいよぉ・・・ミカズチ・・・ −
っ・・・!!
イツキの声が頭に響く。
ずっと、イツキの記憶が頭に流れ込んでいた。
これも薬の副作用だろうか。
やはりどこかで繋がっていたのだ。
僕と、イツキは。
その時僕はイツキだった。
イツキとして生まれ、イツキとして蔑まれ、イツキとして絶望し、イツキとして僕を待った。
痛かった。
苦しかった。
憎かった。
悔しかった。
悲しかった。
悲しかった。
悲しかった。
悲しかった。
機動戦艦ナデシコ
〜The
Prince of darkness〜
U
― 傀儡の見る『夢』 ―
第七話
【『イツキ・カザマ』】
後編
《・・・で、そっちはうまくいってるんでしょうね》
「無論だ。ヤマサキは傀儡相手で手一杯。草壁閣下は遺跡にお熱。この部屋・・・『黒い箱』の研究データは俺の手の中」
《『俺達の』・・・でしょう?》
「ああ。そうだな」
男と女の話し声。
男は目の前のウインドウと会話しながら、一心にボードを叩いている。
「・・・」
《・・・》
暗い部屋。
カタカタとボードを叩く音だけが響く。
そしてカチン!と、威勢のいい音を立てると、目の前の大きな機械がDISCを吐き出した。
それを手に取る。
「・・・で、俺はこれからどうしたらいいのかな?タクシーでも呼ぶかね」
《そっちにアイツを向かわせたわ。アナタが使っていいと言ったんだから》
「そうか、なら俺のいるところに来るはずだな。アレはいい子だ」
《フン・・・悪趣味ね》
「貴女ほどではないさ。『シャロン・クリムゾン』殿」
《・・・っ!その名で私を呼ぶなと何度・・・!!》
「これは失礼、『ウィードリン』女史」
《・・・さっさとこっちに来ることね。アナタにはやってもらわなければならないことが山ほどあるわ》
「スポンサーの仰せのままに」
《お世辞はいらない。結果を出しなさい。ねぇ、『カトウ・シンジ』博士》
ウインドウが消える。
男------カトウ・シンジは白衣のポケットに手を突っ込むと、椅子にドカッと腰を下ろす。
「さて・・・ が聞こえるまで、少し待ちますかね」
左右に振られた首が、コキッと音を立てた。
ボーっと、目の前で起こっていることを見つめている。
破壊されてゆくエステバリス、そしてナデシコ。
もう後何分ももたないだろう。ナデシコは消え、宇宙軍は戦争に負ける。
だから?
人が死ぬだろう。たくさん死ぬだろう。
統合軍がそう簡単に降伏するとは思えない。
宇宙軍もそうだろう。ナデシコを失ったからといってすぐに負けを認めることはないだろう。
だから?
火星の後継者に軍杯が上がり、地球は新たな歴史を刻む。
そこには真の平和があるのだろうか?
正義は?
だからなんだ?
・・・そうだ。だからなんだというのだろう?
イツキ・カザマを失った時点で、ミカズチ・カザマには何も残されていない。
もともと『俺たち』は二人で一つの『最強の兵器』を目指したプログラム。
互いに支えあってしか空に羽ばたけない片翼の鳥。
どちらか一方が力尽きた瞬間、もう片方も地に落ちる運命。
そう。
イツキが死んだとき、ミカズチも死んだのだ。
今ここに在るのは、自らの半身を自らで引き千切ったモノの成れの果て。
機動兵器という名の片翼を植え込まれたミカズチ・カザマという名の傀儡。
体は空に在りながら心を地に置き忘れた道化。
・・・アアァァァ・・・ン・・・!
遠く、爆発の音が聞こえた。
虚ろな眼を前に向ける。
網膜に映るはもう一体の黄金、そして純白の・・・
(ああ・・・堕ちる・・・)
ナデシコが墜ちる。
もう目を閉じよう。
中にいるヒトはみんな死ぬんだろうか?
・・も死ぬんだろうか?
目を閉じよう。楽になろう。
なんだろう・・・?
何か・・・忘れている・・・
目を閉じればまたイツキに逢える。彼女が待っている。
イツキ・・・?いや・・・忘れているのは彼女じゃない・・・
大切な・・・記憶の中の大切な『誰か』・・・
考えるな。目を閉じろ。闇に戻るんだ。心地良い、常闇へ。
頭が痛い。眠れば楽になることは知ってる。でも、思い出したいんだ。
駄目だ。眠れ。目を閉じろ。イツキが待っている。
イツキ・・・そうか、イツキが待っているのなら仕方がない。眠らなきゃならない。彼女を殺した罪を償わなくては。
そうだ。
眠くなる。
それでいい。
眠くなる。
そのままだ。
瞼が落ちる。
目を・・・
『僕』が消えてゆく。
閉じろぉぉぉぉぉぉ!!!!
・・・
言われるままに 目を閉じた
意識は闇へ 闇へ 闇へ
しかし その時
あなたは・・・カイトさんです
『誰か』の言葉を 思い出した
「!!」
瞬間、世界は反転した。
闇は光へと。
夢は現実へと。
そして
『ミカズチ』は『カイト』へと。
「!僕は・・・!?」
虚空を見ていた眼が輝きを取り戻し、血肉は沸き踊る!
主の還りを待っていたかのように体中の細胞が激しく騒ぎ出し、指の先まで活力を送り届ける!
---思考回路、問題ナシ。神経系統、問題ナシ。四肢・・・運動不足、筋力不足ハ否メナイガ、機動兵器ノ操縦ニ支障ナシ。---注意、内臓器官ニ異状有リ・・・緊急事態ニツキ、条件ツキデ問題ナシ・・・
そして、久方ぶりに覚醒したカイトの脳が、目覚めの挨拶代わりとばかりに状況把握を開始する----だが、
「・・・ッ〜〜〜!!!」
突然顔をしかめるカイト。
その顔に冷たい汗が伝う。
たしかに神経は通った。
視覚、聴覚、思考力・・・ナデシコを助ける為に最低限必要なものは揃った。
が。
戻ってきた感覚はそれらだけではなかったのだ。
(なんなん・・・だよ・・・これは・・・!!)
手足が震え、間接に激痛が走る。
少し動くだけで胃がなにかを吐き出そうとする。
頭の中では光が弾け、絶えずその意識を闇へ飛ばそうとしていた。
生きながらに切り刻まれるような苦痛。
人間などに抵抗できるはずのない、純粋で極大な痛み。
「ぐ・・・あああっ!!!」
その先に待つものは、常闇のみ。
「あ・・・ぁ・・・」
だが。
(・・・・・・)
カイトは経験していた。
この・・・いや、これ以上の痛みを。
(・・・!)
カイトは知っていた。
この上のない苦しみを。
心が壊れてしまいそうな悲しみを。
(こんなものじゃない・・・!)
そして、暗い部屋、永い間、たった独りで、最後の刻まで。
「こんなものじゃない・・・!!」
ひと
その痛みに、屈しなかった貴女を。
「イツキの、痛みはァ!!」
発光する。
カイトの、体が。
(ほんの少しの間でいいんだ、頼むよ・・・!動け!僕の体!!)
そして肉体を凌駕した精神がこの一瞬、カイトの身体から『痛覚』を消去する。
――これより数十秒。
――そう、たった数十秒の間だが・・・
――記憶喪失であった青年、『カイト』は
――その比類なき戦闘能力と共に
――ここに復活を遂げる。
---敵戦力分析、味方ノ被害状況確認、機体情報解析・・・
脳は状況把握を続行、しかしそれが終わる前に、カイトは新たな指令を送りだした。
(もとよりやることは一つだ。ナデシコを助ける)
体中についていたコードを引き千切る。痛みはない、そんなものを感じている余裕が今はない。
(だから、今欲しい情報は一つ!ナデシコを護る為の力)
腕をぐるんと回す。肩から上には上がらないが、かゆい所くらいはかけそうだ。
---了解。確認中・・・
足をぎゅっと踏ん張る。とても屋台は引けそうにないが、『あの子』の隣に行くことくらい造作もない。
---確認中。
めいっぱい深呼吸。こみ上げた咳を飲み込み、歯を食いしばる。
------確認中。
両手の平で目をこする。見えなくたって見えている。漆黒の宇宙に輝く、純白の艦!
---------確認中。
弾は込めた。撃鉄も起こした。後は、引き金を引くのみ。
------------確認、終了。
「・・・!」
ボソンジャンプ レディ
---時空跳躍、使用可能。
同時に機体に戻る動力!コックピットに、カイトの心に光が灯る!
「い・・・くぞぉぉぉぉ!!!!」
そして引き金は引かれた。大切なものを護るために。
ボソンの光に包まれる瞬間、イツキの姿が、浮かんで、消えた。
「・・・エステバリスですが、カスタム機がほとんどでしたので予想以上に時間がかかってしまいました。申し訳ありません」
《いえ、私達だけでは倍の時間がかかっていました。優秀なスタッフのみなさんに感謝します》
ネルガル月ドック。
補給、修理を終えたナデシコCの姿がそこにあった。
《それではお世話になりました。新型機までいただいちゃいまして》
「お気になさらず。本社からのお達しです。それに、使える方に使っていただかなければ機体が泣きます」
その巨体に新型機、アルストロメリアを収容して。
「新型機の性能テストにもなりますしね。あと・・・バラされないよう気を付けてください」
《ええ。その時はこちらも彼の奥さんに過去の過ちをバラすつもりですので《!?おい!ルリルリ!!そりゃどんな・・・!!??》》
「それは頼もしい。凱旋の際、お手間でなければもう一度お寄りください。祝勝パーティーでも開きましょう」
ゆっくりと宇宙に溶け込んでゆくナデシコC。
イチゴ・ステファノティスはその様子をガラス越しに見つめていた。
出航する艦を肉眼で見届けるのは、彼女なりの激励だった。
《はい、ぜひ。みんな喜ぶと思います。では、いってきます《・・・!・・・・・・!!っ・・・よ!!!・・・って!!》セイヤさん、うるさ》
プツン・・・
こちらが「いってらっしゃい」と答える前にウインドウ通信が切れる。
静まり返る室内。
(最初から最後までドタバタした艦だったな・・・)
少し前、大丈夫なのかとふと思った。アレに未来を託せるのかと。
彼女らが出かける先は、木漏れ日溢れる山でもなければ潮風そよぐ海でもない。
火星、極冠遺跡・・・『火星の後継者』なる集団が蠢く決戦の地なのだ。
地球の運命をかけたこの戦いに、こんなふざけた奴らを行かせていいのだろうか、と。
しかし、ホシノ少佐の目を見た。
まっすぐな、黄金の瞳を。
それで、なんとなくわかった。
決戦を目の前に落ち着いて(落ち着きすぎの気もしたが)いられることの意味が。
イチゴの胸から不安は消え去った。
・・・ナデシコは、さらに遠ざかる。
(にしても、お弁当持って、リュックにおっきな荷物を抱えて・・・)
彼女らにしたら、火星に行くことなんて『遠すぎる遠足』に出かけるようなものなのかと想像し、その考えに口元が緩む。
「いっちゃいましたねー」
いつの間にか隣に並んでいた男が、いつも通りの間延びした声を出した。
イチゴは男を一瞥すると、すぐに興味を失ったようにナデシコに目を移す。
「あらら〜、冷たいっすねー。珍しく笑っていたと思ったんだけどな〜」
「フィオナ少尉は?」
「・・・眠りましたよ。アレに関わったんだ、今頃悪夢の中だろうさ」
周りに自分達以外がいないことを確認し、親指をナデシコに向けるレシオ。
「・・・そうか」
ナデシコが光に包まれたのを確認すると、イチゴはスッとその場を離れる。
窓に触れていた片手を離し横を振り向く。長い黒髪がフワッと宙を舞った。
− ??? −
(来てくれた・・・!来てくれた・・・!!)
嬉しかった。
ただ嬉しかった。
私の命が尽きる前にあなたは・・・『あなた達』は来てくれた。
それだけで、私は ・・・ ガーーー・・・
ガ! ザザザ !!!
---------------------------------------------
ガ・・・PPPPPPPPPPP あ AAAAAAAA
「許さない・・・私を捨てた木連も・・・地球軍・・・そして、私のミカズチの心を奪ったあなたを!」
「よせ!!」
銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声。。。。
「イツキ!」
「・・ずっと・・待ってたんだよ・・・ミカズチ・・」
死
「あ・・・あ・・・アアアアアアアアア゛ア゛あ゛あ゛あ゛あ゛・・・・・・!!」
「マルチモード、入力完了です。引き続き、モニタリングを続行」
「ああ、彼から目を離さないでくれよ」
「了解です、ヤマサキ博士」
・・・
ミカズチ・カザマ用実験室。---通称、『黒い箱』。
『彼』はいつものポジションに収まり、再びコードに繋がれていた。
月周辺でのナデシコクルー抹殺作戦は失敗に終わった。
記録にないナデシコタイプの戦艦の出現、ネルガル新型人型兵器の増援・・・そしてミカズチの暴走が最たる敗因だ。
あの状況ではミカズチ、ならびに建御雷が敵の手に渡らなかっただけでも上等だろう。
北辰七人衆によって回収された彼は激しく抵抗した。
コックピットから這い出した彼が、警備の兵士数人を次々と投げ飛ばしたのには開いた口が塞がらなかった。
人間の体はああも容易く宙を舞うものなのか、と。
しかし、衰えた彼の力で出来る抵抗などたかが知れていた。
すぐに取り押さえられ、この実験室に運ばれる。
その後は見ての通り。いつも通り繋がれて・・・
(・・・いや、いつも通りではないな)
そう。
『いつも通り』ではない。
「モニタリング続行中。ミカズチ、建御雷へリンク」
「・・・」
息を呑む音が聞こえた。
薄暗い『黒い箱』内部に広がる異様な気配。研究員誰もが呼吸も忘れてミカズチとモニターを凝視する。
そんな中、ヤマサキだけは不適な笑みを浮かべ、彼が自分の元に戻ってきた時の事を思い浮かべていた。
それは偶然だった。
ある日突然起動し始めた木星プラント。新造戦艦ナデシコBが調査に向かったという。
今奴等に突っかかるのは得策ではない。ナデシコの地球帰艦をもって調査開始となった。
そんなものに興味はなかった。
今我々に必要なのはA級ジャンパー。
つまり『テンカワ・アキト』、そして『ミスマル・ユリカ』。
遺跡へのイメージ伝達の媒体。これが完成しなければ物量で圧倒的に勝る地球側に勝つ術はない・・・
しかし特殊部隊、北辰七人衆が持ち帰ったモノはその計算を根底から覆すものだった。
『ミカズチ』、そして『イツキ』の発見と回収。
この報告にヤマサキは胸を躍らせた。とうの昔に諦めていた試験体が突然帰ってきたのだ。
しかしイツキ・・・ミカズチの半身はすでに死亡していた。
由々しき事態。ミカズチの人格形成にはイツキの存在が必要不可欠。
それでなくても実験途中に消えてしまったのだ。身体(ハード)、精神(ソフト)のどこが壊れていてもおかしくない。
そして早急なミカズチの検査、調査の結果、面白いことが明らかになった。
地球側に回収されていたこと。
テンカワ・アキト、ミスマル・ユリカと知人であること。
そして、その身体には、ミカズチではなく別の人格が形成されているということが。
『カイト』
眠りから目覚めた彼は我々にそう名乗った。
我々は彼に疑いをもたれぬよう、嘘をでっち上げた。
旧木連の兵器プラントは条約違反にて正式に破壊されることとなり、破壊前の最終調査中に二人の入ったカプセルを見つけた、と。
ナデシコのクルー達は、彼をずいぶんとお人好しな性格に育てたようだ。
彼が我々の言葉に疑いをもつ様子はなかった。
我々は彼に研究への協力を求めた。しかし、彼の首は決して縦には振られなかった。
− すいません 助けてくれたことにはお礼を言いますが 力にはなれません −
彼の望みは一つ。
イツキと眠りにつくことだった。
彼の説得を不可能と判断した我々は、古典的にして最大の効力を発揮する命令権を使用することにした。
そう、人質。そして脅迫だ。
彼が目覚めるまでに、テンカワ・アキト、ミスマル・ユリカ両名の捕獲は完了していた。
囚われた二人を見たときの彼の狼狽をまだ覚えている。
私を見る目が恩人に対してのそれから、戸惑い、怒り、憎しみの順に変わっていった。
こちらの切り札は三つある。
テンカワ・アキト。
ミスマル・ユリカ。
そして、カザマ・イツキの亡骸だ。
彼は首を縦に振った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こうして、人質には手を出さない、という条件の元『最高の身体』を使った研究、実験は開始された。
実験は驚異的スピードで進んだ。
もともと我々に足りないのは実験体だけ。
もともと財力、技術力、人材などは十分にあった。
そこにミカズチという実験体を手に入れた我々は、それまで半年間行き詰っていた段階を、たった一週間で突破したのだ。
だが、ある日一人の研究員がケアレスミスを犯す。
モニターの消し忘れ。
どこにでもある小さなモニター。
しかしそこに映っていたものは決して小さなことではなかった。
テンカワ・アキトの実験室。
そこには四肢を台に固定され、何かを叫んでいるテンカワ・アキトの姿が映し出されていた。
彼の目はその様をしっかりと捉えていたのだ。
黒い箱内に叫び声が響いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日から彼の協力は得られなくなった。
激しく暴れたため、拘束衣で四肢を拘束。猿轡を噛ませて厳重警備下の独房に監禁した。
ここで前々から意見されていた一つの提案が可決される。
ドラッグ、だ。
『ブースト』
静脈内注射により直接体内に送られるその薬は精神高揚剤の一種だが、強力な効果、副作用からむしろ麻薬に近いといえるだろう。
その効果時間内、自身は『自身』ではなくなる。知覚神経、運動神経、脳神経・・・神経系統をごっそりと削り取り、外部からの情報が自身の全てとなる。
いわゆる『インプリンティング(すりこみ)』が極限に働く状態へとトランスしてしまうのだ。
そして本人はそれが自分の意思である、と錯覚まで起こしてしまう。
そして副作用。頭痛、神経痛はもちろん、精神崩壊、全身麻痺に至ることも珍しくない。
しかし、それでもいいのだと周りの科学者どもは言う。
プロジェクト、実験に耐えうる体があればいいと。
こちらの指示をそのまま実行できれば、それだけで事足りるのだと。
そう、それは分かっている。
それで計画が進むのなら迷わず実行する。
それが科学者という生き物だ。
・・・
私は彼の首に注射器の針が食い込んでゆく様を見つめ、密かに眉をしかめた。
小一時間のち、彼の拘束を解いた。
− ・ ・ ・ ・ ・ リ ・ ・ ・ ・ ・ −
彼の口から熱いため息と共に漏れたそれは、なんの意味を持つ言葉だったのか。
私はまず、我々が絶対者であることを彼に伝えた。
これにより、彼に対する絶対命令権を持つことになる。
そしてもう一つ。
君の名前は『ミカズチ』だ、と。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・ま、そのブーストも『思い出』の前には無力だった、か」
「?何かおっしゃいましたか」
「や、気にしない気にしない」
「はぁ・・・」
「!建御雷、二号機起動!三号機も起動!」
「システムオールグリーン。こちらの指示待ちです」
「バイタル安定。ミカズチに異常は認められず!」
黒い箱の中がにわかに湧いた。
隣にいた研究員の一人がヤマサキを見やる。
「誤差、修正範囲内。とりあえずは成功だ。今度こそやりましたね、ヤマサキ博士」
「あぁ。彼には少々キツイ『夢』だろうけどね」
夢。
「ま、そうでしょうね。殺したはずの女にあれこれ命令される夢なんて、だれも見たくありませんよ」
「言い方が悪いねぇ。『愛するものに贖罪する夢』、さ」
そう。
その夢こそが、『いつも通り』ではないところ。
彼に新たにかけられた呪いだった。
ヤマサキは、ミスマル・ユリカの制御に彼女が見る夢、そしてテンカワ・アキトへの『愛』という感情を利用した。
それと同じように、カザマ・カイトの制御にも彼の見る夢と、ある感情を利用したのだ。
『後悔』
カイトはイツキを殺したということに激しい後悔を覚えている。
それも、ルリへの感情を上回るほどの後悔を。
そしてそのことを赦してくれる人はもうこの世にはいない。
一生カイトが赦されることはない。
イツキと共に眠ることでその罪を償おうとしたカイト。
しかしそれすらも許されず、人質のため実験に使われるしかない自分自身。
カイトの中の後悔という黒い感情は際限なく溜まっていった。
だから、ヤマサキはその償いをする場をカイトに与えた。
そう、『夢』を。
夢の中、イツキという名の何かがカイトに語りかける。
− 私のミカズチ。あなたは私を殺したのよ? −
「うん」
− 私のミカズチ。赦して欲しい?楽になりたい? −
「うん」
− 私のミカズチ。じゃあ、私のいうこと聞いてくれる? −
「うん」
− 私のミカズチ。あなたは何? −
「僕はミカズチ。君の傀儡」
「ミカズチ、こちらの命令に拒否反応認められず」
「建御雷2号機、3号機、両機共に安定。ミカズチの支配下にあります!・・・やっと期待通りに動きそうですよ」
「うんうん。いい感じだねぇ」
「今回は何を使ったんです?」
「これ」
研究員の前に差し出される一冊の雑誌。
「また雑誌ですか?どれどれ・・・『ホントにあった男女の話〜どろどろ泥沼スペシャル〜』・・・」
「自分の不注意で女の顔に一生痕が残る怪我を負わせてしまった男が、そのことを盾にとる女にネチネチと奴隷のように扱われる話だよ」
「・・・」
「読んでみるかい?」
「胃がもたれそうなので遠慮します」
研究員はそそくさとその場を離れる。
ヤマサキも黒い箱を離れ、ユリカの安置されたフロアへと移動する。
(ミカズチの制御はこれでいい。ブーストを投与するよりは随分とましだしねぇ。同志も続々とこの遺跡に集まってきているし。状況は良好だ。しかし・・・)
廊下を早足に歩きながら、急にいなくなった人物について考える。
(カトウ君・・・確か『遺跡システム』の情報を手に入れてきたのも彼だったか)
ここ数時間、カトウとの連絡は途絶えていた。
こちらの呼びかけに一向に答えない。
ナデシコが近づいている。それにミカズチのことで手一杯でカトウを探している暇はなかった。
今思えば最近のカトウの行動には不審な点がいくつもあった。
優秀な研究者、それもずっと昔からヤマサキの右腕として働いてきたことから、できるだけ疑わないようにはしてきたのだが。
(そろそろハッキリとさせなくちゃねぇ。ま、それは後でいいとして)
それよりも気になることがヤマサキにはあった。
(イツキが・・・?いや、彼女は確かに死んでいたはずだ。だとしたら)
先程、ミカズチにマルチモードを入力したとき、僅かだが原因不明のノイズが入った。
その程度のノイズならユリカの時にも発生している。
何も気にすることはない。ないのだが・・・
(イツキが彼に何らかのメッセージを遺していた)
何故かその時ふとそう思った。
理屈では説明できないが、確かにそう感じたのだ。
(だとしたらそれは『ミカズチ』に?それとも・・・『カイト』に?)
プシュウ・・・!!
フロアの扉をくぐったその時、ヤマサキの思考を遮るようにその声は聞こえた。
「我が基地上空にボソン反応!」
《哨戒機より映像!・・・ナデシコです!!》
「!?」
「ナデシコ!?」
オペレーターの声にその場にいた全員が振り返る。
「・・・は?」
ヤマサキも皆と同様に、哨戒機によりその様子が映し出された巨大なウインドウに目を向けた。
そこには先の戦いで単独ボソンジャンプを敢行してきたあの戦艦の姿が。
言葉を失うヤマサキ。
(自殺行為だ。単独でこの遺跡に飛び込んできたと・・・?こちらの戦力を侮っている・・・?いや)
ナデシコの考えが分からず立ち尽くすヤマサキ。
さらに追い討ちをかけるようにオペレーターの声が響く。
「?哨戒機が・・・こらお前ら!持ち場を離れるな!!」
《離れたのではない!勝手に機体が・・・》
「なんだと!?」
基地上空を哨戒していたステルンクーゲルの部隊が次々と着陸してゆく。
その様は、上空に悠然と浮かぶ純白の艦にひざまずいてゆくかのようにも見える。
(・・・何が起こっている?)
「《うわぁ!?》」
そして突如オペレーターの目の前に現れるウインドウ。
そこには「休み」の二文字。
それを皮切りに矢継ぎ早各方面からの通信が入ってくる。
《制御不能!!》
《制御不能!》
《こちら哨戒機!どうなってる!?》
《こちらも制御不能だ!!》
《・・・!!》
《・・・!!・・・・・・!!》
もはや誰が何を言っているのかなど分からない。
ただ一つ分かることは、この火星極冠遺跡の中枢が『セイギョフノウ』という事態に陥っているということだ。
ヤマサキの周りにも無数のウインドウが開いている。
特に目立つのは目の前にある『封印』と書かれたウインドウ。
システムが次々とダウンしてゆく。
何が起こっているのか理解できない。
いや、理解している。
ただ、信じたくないだけだ。
そんなバカなことはない。こんなでたらめなことはない。
何かの間違いだろう。
− たった一隻の艦に『火星の後継者』が負ける・・・? −
目の前の戦艦。ナデシコ。
その艦長であるホシノ・ルリ。
あろうことか彼女は、この極冠遺跡の中枢にあるヒサゴプランのセントラルポイント『イワト』にハッキングを仕掛けてきたのだ。
一個人が火星の後継者・・・いわば『一国』に対して戦争を仕掛けるようなものだ。
無理、無茶、無謀。
そんな言葉がヤマサキの頭をよぎる。
しかし、ボソンアウトと共に開始されたシステム掌握はすでに火星全土に及ぼうとしていた。
ありえない。ありえない。あってはいけない。
そんなこと人間にはできない。
そう、『人間』には。
ヤマサキの口からは、独りでに言葉がこぼれた。
「乗っ取られた・・・・・・妖精・・・?」
ナデシコC。
メインブリッジは喧騒に包まれていた。
といっても、ナデシコクルーは誰一人言葉を発していない。
喧騒は遠く、火星の後継者本部からだ。
先程、ナデシコC艦長ホシノ・ルリ少佐が『火星の後継者』指導者、クサカベ・ハルキに対して降伏勧告を行った。
それに反発した火星の後継者幹部達がウインドウの向こうから、罵声暴言を吐いている。
ルリは微動だにせずその声を聞き流し、静かにクサカベの返答を待っていた。
クサカベは暫しの沈黙の末、硬く閉じていた目と口を開いた。
《・・・部下の安全は保障してもらいたい》
クサカベ・ハルキのその言葉。
戦争は、ここに終わりを告げる。
歓喜に沸くナデシコCブリッジ。
ウインドウの向こうでは、火星の後継者幹部たちの落胆の声やむせび泣きが聞こえてくる。
『イワト』掌握完了から僅か5分足らず。
ボソンアウトから換算しても、10分に満たない電光石火の出来事。
敵本丸に単艦乗り込んで死傷者ゼロ。無血入城。
パーフェクト。考え得る最高の勝利である。
しかし・・・
「どうしたの?ルリルリ?」
「いえ」
ルリの気は晴れない。
嫌な予感ばかりが募る。
(きっと気のせい。後はユリカさんを助けて、アキトさんを見つけて、そして・・・カイトさんを)
「ボソン反応!七つ!!」
「ルリルリ!」
ユキナの声が告げる新たな敵の襲来。
北辰七人衆。
七匹の鬼共が、戦いの終わりを見届けに地獄から這い出してきたのだ。
ミナトがルリを見上げる。
ルリは平然とした声で。
「かまいません」
『え!?』
金色の瞳が、遥か見えるはずもない漆黒の機体を見つめる。
「あの人に・・・まかせます」
ルリの言葉に黙りこくるブリッジメンバー。
すでにエステバリスにスタンバイしていたリョーコのウインドウが開く。
《まかせるって言ってもよぉ・・・》
《なぁ・・・》
サブロウタが独り言のようなリョーコの声に応える。
ルリはその声には応えず、じっと背中に走る悪寒に耐えていた。
(敵はまだいた。予感は当たった。なのに・・・悪寒が消えない・・・)
《なぁ・・・ルリ》
痺れを切らしたリョーコがルリにもう一度呼びかけたその時、突然音声通信が入る。
《やあ。はじめまして》
男の声。
ルリはこの声をどこかで聞いていた。
ユキナが通信は火星の後継者本部最下層からだと告げる。
《通じているようだねぇ。ホシノ少佐をお願いするよ》
「ちょっと、アナタだれよ!イキナリ出てきて失礼ねぇ!だいたい・・・」
「ユキナさん」
いいんです。と、ユキナから通信を受け取るルリ。
ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!
その心臓が早鐘を打っている。
「ホシノ少佐です」
《どうも。私はヤマサキ・ヨシオ。少佐たちが『カイト』と呼んでいる人間を創った者です》
『!!??』
ドクン・・・
早鐘が止まる。
息が詰まった。
《今ここに彼がおります。どうぞいらしてください。ただし、ホシノ少佐一人で、です。もしホシノ少佐お一人以外でこられた場合》
呼吸もせず、瞬きもせず。
ルリの全神経は自身の耳と、そのスピーカーに向けられていた。
《彼を殺します》
『---------っ!!』
その通信を聞いていた者全てが息を呑んだ。
《出来るだけお早く。あまりお時間かかりますと、彼がこの世からいなくなっているかもしれませんので。あしからず。では》
「・・・!まっ」
待ってください!
ルリが言い切る前に一方的に通信が切れる。
「な、なによ・・・今の・・・!?」
ユキナの呟きは突然の機械音にかき消された。
ルリのシートがブリッジ中央から定位置に戻ってゆく。
ウインドウボールが消え去る。
「ルリ!?」
「か、艦長!?」
シートから降りるルリ。
そのままブリッジから出てゆこうとするルリの腕をゴートが捕まえる。
「待て、艦長!」
「放してください!」
「!!」
ゴートの腕を振り払うルリ。
両手で自分の体を抱く。
「私は・・・行きます」
「ルリルリ、アンタ」
「すいません。自分勝手、言ってます。私」
うつむくルリ。
力のこもった指先が、服にしわを作る。
皆がルリを見ているのが分かる。
ルリは皆を見ない。
いや、見れない。
皆が自分にあきれていると思うと、その表情を怖くて見ることができない。
誰も、何も言わない。
そんな中ルリの前に開く一つのウインドウ。
《ホシノ・ルリ。あなた、自分の言っていること、やろうとしていることが判っているの》
ナデシコ医療班並びに技術班担当、イネス・フレサンジュ。
「・・・判っています」
《あの様子、間違いなく罠ね。人質にとられてこちらに不利なことを要求される》
「・・・すみません」
《ナデシコはどうなるの?この状況でアナタを欠いたらこの艦は満足に機能しなくなるわ。クルーの命を危険に晒すことになる》
「・・・すみません」
《アナタも死ぬかもしれないのよ。いえ、きっと殺されるわ。それでも?行くというの?》
「・・・はい」
《・・・はぁ〜あ》
イネスが大きなため息を吐く。
ルリは抱きしめた腕により力を込める。
《ホシノ・ルリ。何故?アナタはどうして彼のところへ行くの?》
「・・・・・・・いからです」
《なに?》
「・・・いたいからです」
《はぁ?聞こえないわよ》
「逢いたいからです!」
一度口を出た言葉は止まらない。
「カイトさんに逢いたいんです!ただ逢いたいんです!逢いたくて、ずっと逢いたくて・・・!!だから、私は!」
まくし立てるように言って、バット顔を上げる。
初めて皆の顔を見るルリ。
皆は・・・
《・・・プッ!》
「ふふふ!へぇ〜」
《ククク・・・》
「・・・ぽぽぽ」
『ニヤニヤニヤニヤ』
ニヤニヤと笑っていた・・・
「え」
呆気にとられるルリ。
状況がイマイチ分かっていないルリに、苦笑したイネスが『説明』する。
《いい、ルリちゃん。だれもアナタを止めようとなんてしてないわ。勝手に勘違いして、勝手に熱く語ってたのよ》
「・・・あ」
鎌かけられた・・・
再びうつむくルリ。
その頬がどんどん赤くなる。
「いってらっしゃい、ルリルリ」
ミナトが優しく言葉をかける。
頭に浮かぶのは木星。三年前のナデシコB。抱きしめた、小さな女の子。
「でも、今度はちゃ〜んと『二人で』帰ってくるのよ?」
「ミナトさん・・・」
「そうよルリ!あたしもう慰めるのなんてヤなんだから!」
ユキナの声に内心苦笑するルリ。
(あれで慰めてたつもりだったんだ・・・)
「アイツに会ったらちゃーんとビシッ!と言ってやるのよ!?アイツにはあの言葉がお似合いなんだから!」
力強くうなずく。
「・・・はい!皆さん、行ってきます!」
その様子をジャンプユニット内で見つめるイネスとウリバタケ。
「行っちまったな、ルリルリ」
「当然でしょ?私が鎌かけたんですもの。にしても」
ルリの映るウインドウから、ウリバタケに視線を移すイネス。
「相変わらず変な艦ね。ナデシコって」
「ははっ!ちがいねぇ」
笑い出すウリバタケ。
「普通艦長が真っ先に艦を飛び出したりなんかしねぇよなぁ!しかも男がらみで・・・!」
そこまで言って、笑っていたウリバタケの目元が疑問を持ったときのそれに変わる。
「・・・てゆーか、なんか前にもこんなことなかったか?」
「さぁ?・・・疲れたから少し眠るわ」
「あ、ああ。・・・なんだったっけかなぁ」
首をかしげながら、作業に戻るウリバタケ。
ふっと息を吐いて、目を閉じるイネス。
頭に浮かんだ言葉。微笑んだ口元が音を出す。
「ま、『素敵な自分勝手』ってとこかしらね」
To
Be Continued。。。
あとがき
どうもー!YOUです。
申し訳ございません。とりあえず謝っておきますね!
ながぁぁぁぁぁい!!!!
説明不要!!!!
読み疲れてしまった方、本当に申し訳ございません。
次回
第八話
【もしも、『生まれ変われたら』】
お楽しみに!
そろそろたいした展開にしたいと思っています。
特別編
〜本編がシリアスすぎたので載せるに載せられなかったけど書いちゃったから置いておきます。ポロリもあるよ!〜
「フィオナ少尉は?」
「・・・眠りましたよ。アレに関わったんだ、今頃悪夢の中でしょうよ」
周りに自分達以外がいないことを確認し、あごでナデシコをさす。
「・・・そうか」
ナデシコが光に包まれたのを確認すると、イチゴはスッとその場を離れる。
窓についていた片手を離し横を向くと、長い黒髪が宙を舞った。
「私はもう休むわ。レシオール少尉も今日は早く寝なさい」
「はいはい。・・・ステファノティス中佐」
珍しく真面目な声に振り返る。声だけじゃない、レシオはこれまた珍しく真面目な顔をしていた。
だから真面目に切り返す。
「なんだ」
「アレはどうしたんです・・・」
アレ?あれとはなんだろう・・・
考えるが分からない。
「アレ・・・とは?」
「・・・ふざけてるんですか、中佐」
鬼気迫る低い声。
何事かと気持ちを引き締める。
「すまない。どうやら私に非があるようだ。・・・本当にわからないの、教えて頂戴」
「・・・ええ。こちらとしては生死に関わりますから」
ゴクリ。
喉を鳴らす。
そして、レシオがゆっくりと口を開いた。
「ゲキガンフレームですよー」
「お前減俸な」
FIN。ポロリなどない。
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