人が通り過ぎる

 

 

頭を下げる

 

 

人が通り過ぎる

 

 

頭を下げる

 

 

人が通り過ぎる

 

 

頭を下げる

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

お坊さんが 長い 永い お経を読んでいる

 

 

今日

 

 

先日のシャトル事故で亡くなった

 

 

テンカワ夫妻のお葬式が

 

 

予定通り行われた

 

 

わたしは

 

 

ユリカさんのお父さん

 

 

ミスマル・コウイチロウさんにお願いして

 

 

親族側につかせてもらった

 

 

線香の薫る場内

 

 

白黒の幕

 

 

花で飾られた場内

 

 

黙祷を終えた人がまた一人

 

 

目の前を通り過ぎる

 

 

いったいなにを祈ってきたの?

 

 

あの

 

 

中身のない

 

 

四角い木の箱の前で・・・

 

 

 

 

 

また一人

 

 

 

 

 

 

人が通り過ぎる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【プロローグ 後編】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がちゃ、ただいまー!・・・って、誰もいないだけどねー」

 

 

ミナトの部屋のドアを開け、ユキナは暗い部屋に向かってつぶやいた。

相変わらず擬音を口に出す癖はなおっていないようだ。

 

 

「ぱち・・っと」

 

 

電気をつけ、まだ玄関で靴を脱いでいるルリに目を向けた。

 

 

あの事故の後、ルリはミナトに引き取られた。

テンカワ夫妻に引き取られた後も、常にルリを気遣っていた彼女にまかせるのが一番だ、と皆から判断されたからだ。

ミナトに断る理由はなかった。

もちろん、一緒に住んでいるユキナにも。

 

 

(元気出せ!っていってもムリだよねぇ・・・あたしもあの時そうだったし)

 

 

ふと頭に、強く、優しかった兄の姿が浮かぶ。

 

 

(でも・・・)

 

 

後ろからなにやら音が聞こえる。

いつの間にか中に入ったルリが、畳の上にきちんと正座して、〜っとテレビを見ていた。

そんなルリの隣に座るユキナ。

 

 

(何も言わないよりはマシ!)

 

 

さっそくなにか元気の出る話題を振ってみることにする。

 

 

「ねぇルリ?」

 

 

ユキナは、この家にルリが一緒に住むことになった日から、親しみをこめ彼女の呼び方を『ルリちゃん』から『ルリ』に変えた。

 

 

「・・なんですか?ユキナさん?」

 

「うん、あのさぁ〜」

 

「はい」

 

「・・・いや、あのね」

 

「はい」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

しまった・・・

 

いざ話すとなると話題がない!!

 

 

「・・・ぴんちね」

 

「?はい・・・?」

 

 

思わぬ伏兵の登場により、ユキナの『ルリを元気付けよう大作戦』は早くも終局を迎えようとしていた・・・

 

 

(あー!どうしよう!!いつもならミナトおねえちゃんがいるから話題には困らないのに〜!!早く帰ってきてよ〜・・・おねえちゃん!)

 

 

ミナトは夕飯の買出しでスーパーに寄っており、少し遅れて帰ってくるはずだ。

彼女いわく『美味しいものをおなかい〜っぱいに食べれば、元気なんか簡単に出るものよ』だそうだ。

 

 

(だけど今は美味しいものより話題が欲しい・・・)

 

 

しばらく考えた後、ポッとそこに置いてあった新聞に話題を求めるユキナであった。

 

 

「ほ、ほらぁ!これ見てよ!『あの人気格闘ゲーム!-ファイティングカンジス-新作導入!』だって!今度対戦しにいこ!」

 

「・・・はぁ」

 

 

やけくそで、書いてある見出しを片端から読み上げてゆくユキナ。

 

 

「なになに・・・『○×証券、株価暴落』!ぺら・・・『火星圏で謎の電波受信』ふむふむ・・・『地球内でのテロ、相次ぐ』!う〜ん、悪人って減らないものよねぇ・・・次は・・・」

 

 

そしていつの間にか当初の目的を忘れ、自分が新聞に見入ってしまう。

 

 

「・・・・」

 

 

取り残されたルリ。テレビに視線を戻す。

相変わらず、興味をそそるような番組はやってなかった。

 

 

(・・・今日はもう・・・寝ようかな・・・)

 

 

スッと立ち上がり、居間をあとにしようとした、その時だった。

 

 

「ぺら・・・『木星プラント、謎の爆発』ぅ?も〜、なんでもかんでも謎、謎って〜!わかってから報道しなさいよ!まったく」

 

 

ぞわ・・・

 

 

背中を悪寒が走った。

 

 

先ほどのユキナの言葉を思い返す。

 

 

 

 

 

 

- 木星プラント -

 

 

 

 

 

 

- 爆発 -

 

 

 

 

 

 

「!!」

 

 

 

 

 

 

パッと振り向くと急いでユキナの隣に座り、その新聞を(ルリにしては)強引に奪い取る。

 

 

「え?え?なになに!?」

 

 

突如横から現れた手にそれを奪われ、おたおたするユキナ。

奪ったルリは、もてる神経の全てをその記事に集中させる。

 

 

 

 

 

 

ドクン

 

 

 

 

 

 

- ・・・先日発見された、木星圏ガニメデ・カリスト・エウロパ・及び他衛星小惑星国家間反地球共同連合体、

通称木連の大規模兵器工場であるとされる木星プラントから、最近まで起動していたと見られる反応が検出された −

 

 

 

 

 

 

ドクン    ドクン

 

 

 

 

 

 

- その原因調査のため、急遽調査団が結成、2組に分けて派遣された。しかし・・・ -

 

 

 

 

 

 

ドクン ドクン ドクン ドクン

 

 

 

 

 

 

- ・・・しかし、調査団1班のシャトルが着陸した瞬間、爆発。

シャトルとプラントは跡形もなく消え去ってしまった −

 

 

 

 

 

 

ドクン・・・

 

 

 

 

 

 

跡形もなく

 

 

 

 

 

 

ドクン!!

 

 

 

 

 

 

消え去って・・・

 

 

 

 

 

 

「カイトさん・・・」

 

 

バサッ!

 

 

手から新聞がこぼれ落ちる。

 

 

「え・・・カイト・・・?」

 

 

ダッ!!!

 

 

「ルリ!!」

 

 

家を飛び出すルリ。

そのあとを追い、ユキナは外に飛び出した。

 

 

どんっ!!

 

 

「きゃあ!!」

 

「わっ!・・・と、ユキナちゃん?」

 

「ミナトおねえちゃん!!」

 

 

葬式衣装で両手に買い物袋をさげたミナトに、同じく葬式衣装のままのユキナが抱きつく。

 

 

「おねえちゃん!!ルリが・・・!」

 

「!ルリルリが!?どうしたの!?」

 

「飛び出していっちゃったの!!」

 

「なんで!?」

 

「わかんないよ!!・・・あ」

 

「なに?」

 

「・・・新聞」

 

「え?」

 

 

そうだ!と手を打って、居間に落ちている新聞を指差す。

 

 

「あの新聞読んでから、あの子変になって・・・!」

 

「!あの新聞ね」

 

 

言われるが早く、新聞を手に取り記事に目を通す。

欲しい記事はすぐに見つかった。

 

 

 

 

- ・・・・・・・・・跡形もなく消え去ってしまった。この事故により調査団1班全員が死亡した。

事故の原因は「施設の自己防衛機能の起動」であると予測されている。・・・・・・ −

 

 

 

 

その下は、くしゃくしゃで読めなくなっていた。

 

 

「・・・カイト君・・・ルリルリ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

どうやってここに来たのか・・・

 

 

タクシーを拾ったのか・・・

 

 

電車に揺られてきたのか・・・

 

 

とにかく、わたしが気付いたときには、もうこの川原にいた。

 

 

銭湯の帰り道、よくあの人と話をした、この川原に。

 

 

まだ覚えてる

 

 

あの時も・・・こんな夜。

 

 

満月がきれいで・・・

 

 

星が川に映ってキラキラしてて・・・

 

 

とても静かで・・・

 

 

川の音に耳を澄ませていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-もしそれが・・・-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-もしそれが・・・とても辛い・・・悲しい記憶だとしたら・・・どうですか・・・?-

 

-それでも・・・思い出したいですか・・・?-

 

 

 

 

あなたは少しうつむいて・・・

 

でも、すぐに顔を上げて・・・

 

 

 

 

-それでも・・・思い出したいよ・・・!-

 

 

 

 

とびきりの笑顔でそう言った

 

ドキドキが、一気に強くなった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カイトさん・・・わたし・・・どうすれば・・・」

 

 

・・・体育すわりをしていたわたしは、ひざの間に顔をうずめた。

 

 

「わたし・・・ひとりです・・・」

 

 

ひゅうぅぅ・・・・

 

 

 

 

 

 

ひとりじゃないよ

 

「!?」

 

 

 

 

 

 

冷たい夜風にのって、優しい声が聞こえた気がした。

 

パッと顔を上げる。

 

そこには川が流れてるだけでした

 

でも・・・

 

 

「ひとりじゃないよ」

 

 

後ろから、さっきと同じ言葉が聞こえました。

 

後ろを振り向くと・・・

 

 

「ひとりじゃないよ・・・ルリ!」

 

「そうよ、ルリルリ」

 

 

ユキナさんと、ミナトさんが・・・

 

いいえ・・・

 

 

「ひとりじゃ!ルリ!」

 

「・・・あ 「そうそう!そーだよ、ルリルリ!!」 ・・・真面目に言おうとしたのに・・・」

 

「いつでもうちに食べにきなよ!腕によりをかけて作るからね!」

 

「私のラジオ聞いてくれればきっと元気出るわよ」

 

『私たちの歌も聴いてくださ!!』

 

「いやいや、こんなこともあろうかと!俺が発明した・・・」

 

「ルリちゃん・・・元気出してよ」

 

『「[フレー!!フレー!!ルーリちゃん!!]」』

 

etc・・・etc・・・

 

 

ナデシコのみんなが、いました・・・

・・・葬式衣装のままで。

 

 

「みなさん・・・どうしてここが・・・?」

 

「ふふ・・・ルリルリ、コミュニケ」

 

「あ・・・」

 

「私達はルリルリのそばにいるよ、ずっとね」

 

 

いつもはうるさいみんなが今は静かにミナトさんの話しを聞いています。

なんだかウソみたいです。

 

 

「みんなルリルリのこと大好きだってさ」

 

 

『そうそう!!』と、みなさんが声を合わせていいます。

お葬式に来ていた人のほとんどがいるので、結構なボリュームです。

 

 

「みんな・・・ルリルリの『家族』なんだよ」

 

 

「・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう泣かないって決めたはずなのに・・・

 

 

 

 

わたし・・・弱いですよね?

 

 

 

 

でも・・・

 

 

 

 

みんながいれば

 

 

 

 

きっと強くなれる

 

 

 

 

だから

 

 

 

 

今だけ

 

 

 

 

本当に今だけですから・・・

 

 

 

 

いいですよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

カイトさん・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すいませんなぁ、博士。『彼ら』がさらわれてしまいましてねぇ・・・

あなたの身も危険なので『死んで』もらわなければいけないのですよ・・・」

 

 

暗闇に男の声が響く・・・

 

 

「すまないことはもう少しすまなそうに言って欲しいものね」

 

 

暗闇に女の声が響く・・・

 

 

「これが性分でして・・・はい」

 

 

「ええ。わかってるわ

 

 

「これはまた、冗談がキツイ・・・ん?なにを読まれてるんです?」

 

 

「新聞よ」

 

 

「新聞とはまた・・・」

 

 

「あら?たまにはいいものよ。いっつもディスプレイばっかり見ていても飽きちゃうでしょ」

 

 

「はぁ・・・」

 

 

「さて・・・っと」

 

 

座っていたソファに新聞を投げ出し、立ち上がる。

 

 

「それじゃ、『死にに』行きましょ

 

 

「はい。ではこちらに・・・」

 

 

 

 

 

 

女をエスコートする男。

女は、その長い廊下を歩きながら、先ほど読んだ新聞の記事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

- ・・・事故の原因は「施設の自己防衛機能の起動」であると予測されている。 -

 

 

 

 

 

 

- だが確証は無く、爆発の原因は未だ不明。 

 

 

 

 

 

 

- さらに、現場付近で観測されたボソン反応や 

 

 

 

 

 

 

- 検出された微量のレトロスペクト反応の原因も・・・ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動戦艦ナデシコ

The Prince of darkness

U

― 傀儡の見る『夢』 ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

- 未だ不明である -

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To Be Continued。。。

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

どうも〜!YOUですー。

 

はぁー、やっとプロローグ終わりましたよー。なげかったなー。

 

あと、タイトル「完結編」のはずでしたが、

自分が「かんけつへん」で変換したら、一発目が

 

「簡潔変」

 

と、なんか小ばかにされているような変換をされたのでやめました。

ごめんなさい・・・

それになんか大げさですしね(本音)

普通が一番ですね。

ま、とにかく。

これで自分の中の、ゲームから映画へと繋ぐ物語は一応終わりです。

だらだらとごめんなさいm(__)m

スペース使うの好きなんですが、読みにくいですかね?

読みにくかったら感想で言ってやってください、スゲーへらしますで。

 

にしても・・・カイトの影が薄い!!!というかない!!!

 

いや、好きですよ!?大好きですよ!?カイト!!

 

もう、ビバ!!カイト!!!って感じですよ?

 

いや、マジで。

ほら、でもまだプロローグですし・・・

え〜、その〜・・・はい!次回!!

やっと!劇場版に入ります!!

優しかったり、暇だったりの方、できたら読んでみてくださいね〜。

なんか要望あったら書いてくださいね。(できるかはわかんないですけどー)

 

 

第一話

【幽霊ロボット『2機』】

 

「行ってきます、カイトさん」

 

 

お楽しみに!

いや、たいした展開ないっスよ。


[戻る][SS小ネタBBS]

※YOU さんに感想を書こう! SS小ネタ掲示板はこちら


<感想アンケートにご協力をお願いします>  [今までの結果]

■読後の印象は?(必須)
気に入った! まぁまぁ面白い ふつう いまいち もっと精進してください

■ご意見・ご感想を一言お願いします(任意:無記入でも送信できます)
ハンドル ひとこと