はじまりのはじまり




暗い通路を一人の男が歩いている、IFSがついているところを見るとパイロットだろうか。襟には数少ないA急ジャンパーのライセンスを付けている。男はある部屋の前で立ち止まるといまどき珍しい木製のドアを開けた。        
「久しぶりだな」
静かな研究室の中で白衣を着た科学者風の人物は男に対して話しかけた。
「俺としては・・・二度と会いたくなかったがね」
あからさまに煙たがられていると言うのにその人物はまったく意に介さぬ様子で(あるいは気づいていないのか)答えた。
「まぁそういうなよ。3ヶ月ぶりだったかな?カイト。」
そのパイロット風の男『カザマ・カイト』は不機嫌に答えた。
「まだくたばっていなかったのか。俺としてはとっととくたばってほしいんだがな」
しかし、この程度の悪態などまったく気にしない人物は
「なんだえらく不機嫌だな。彼女とけんかでもしたのか?」
「そんなんじゃない!だいたいこの前きたとき人に向かってレーザー撃ったのはどこのどいつだ!!」
そうなのだ、この間ここに来たときカイトはシステムの誤作動でレ―ザーをくらいかけていた。普通の人間なら今頃影も
形もないだろう。

「しょうがないだろう。大体システムの整備中にたずねてくるお前が悪い。」
「あのときはお前が俺を呼んだんだろう!!」
カイトが今にもつかみかかりそうな勢いでせまる。
「そんな細かいことを気にしていては成長できんよ。それよりも」
「それより・・・なんだよ。」
まだいい足りなそうな感じではあるが相手の口調が真剣になったのが分かったカイトは話の続きを促した。
「ルーンスレイヤー完成してるぞ。すぐに実戦で使える。」
「じゃあすぐに出してくれ。今日中にナデシコに帰らないと・・・」
ルリに怒られると言おうとしてカイトは気づいた、そんなこといったら絶対からかわれると。しかしもう尻に敷かれているのか・・・あぁカイトなんて情けない。

「無理です、博士」
いきなり二人の間にコミュニケが割って入ると14,5歳の少女が答えた。
「無理ってどういうことだシルヴィア?RSは完成しているだろう」
「ですが・・・。」
「「ですが?」」
「塗装がまだあのままです。」
あのままって何?とカイトは思ったが早く帰らないと命が危ないのでいちいち聞いている余裕がない。
「シルヴィアちゃん塗装ぐらいならいいよ。ナデシコでするから」
「いや・・・、ここで塗っていたほうがいいぞ、カイト。」
「でも、早く帰らないと・・・」
「金ぴかの機体でナデシコまで帰るんですか?」
シルヴィアのその一言でカイトは石と化した・・・・・。


機動戦艦ナデシコ〜The shining blade~
始まりの始まり


悠然とした足取りで漆黒の宇宙を進む白い巨体、船腹には『UE・SPACY』の文字がくっきりと刻印されている。その艦は現在どん底に向かって歩み続けている宇宙軍において輝かしいまでの賞賛を受けていた。
 『試験戦艦ナデシコB』先の蜥蜴戦争においてたった一隻で戦況を幾度も激変させ、紛争終結のきっかけを作ったナデシコAの後継艦である。
そして、それを操るのは、先代ナデシコAで十一歳にしてメインオペレーターを務め、実質的にナデシコの大半を動かしていた少女、”電子の妖精”ホシノ・ルリ少佐である。
 就役以来、幾度となく奇功(試験航海中の麻薬密輸組織の摘発、宇宙海賊の壊滅、正体不明の武装テロリストの基地の発見など)を上げてきた彼女とナデシコBは、斜陽の宇宙軍の看板を背負って立つ存在だった。その彼女たちは、現在命令により”ヒサゴプラン”の中枢、ターミナルコロニー”アマテラス”へ向かうべく補給を受けていた。


「艦長、物資の搬入完了しました。」
ナデシコBの副長補佐、ハーリーが物資の積み込みが終わったことを告げる。通常ならこのまま『アマテラス』へ向かうところなのだが、テスト機を受け取りに行ったカイトと、ここで落ち合うことになっていたのだ。
「しかし、カイトの奴遅いな。」
副長のサブロウタがポツリとつぶやいた。カイトと落ち合うはずの時間はすでに三十分ほど過ぎていた。普通宇宙では一時間や、二時間のずれはよくあることである。しかしカイトはどちらかといえば時間にうるさいタイプである。サブロウタの知る限りでは今まで時間に遅れてきた事はない。
「まぁテスト機ですからね。いろいろと調整も必要でしょうし。」
とルリ、口調はいつもと変わらないまでもやはりカイトが帰ってくるのがうれしいのか心なし声色は明るい。
「そういえば、サブロウタさん。カイトさんはどんな機体を受け取りに行ったんですか?」
ハーリーが興味津々といった感じでたずねる。
「そういえば俺も知らないな。艦長は何か聞いてますか?」
サブロウタも知らなかったようだ。質問をそのままルリにたずねる。
「いえ、最重要機密に関わることらしくて教えてくれませんでした。」
この答えにはサブロウタも驚いた。テスト機とはいえナデシコに配備される機体のことを艦長であるルリまでが聞かされていないとは、普通では考えられないことだからだ。
「まぁ、カイトさんが帰ってくればわかりますよ。」
ハーリーの言葉に、一同それもそうだ思ったのでこの話はお流れになった。

           〜一時間経過〜

まだカイトは帰ってきていなかった。
みな読書やおしゃべりなど思い思いのことをして時間をつぶしている。

           〜二時間経過〜

まだカイトは帰ってこない。さすがに一時間も同じことをしていると飽きてくるのか退屈そうな雰囲気が漂ってくる。
           〜三時間経過〜


【・・・・・・遅い・・・・・!!】
ブリッジのイライラはピークに達していた。当然ながらカイトが何時になっても帰ってこないためである。
(こんなに遅くなるなら連絡ぐらいあってもいいの    に・・・。)
とルリが思い始めたとき、
「艦長ネルガルの第七ラボから通信です。」
ネルガル第七研究所、カイトが新型の受け取りに向かったところである。
ネルガルの研究所ではあるが極秘だとかなんとかで場所すら公開されていない謎の場所である。
「分かりました。繋げてください。」
ルリの声とともにウィンドウがブリッジいっぱいに表示される。
「こちら第七研究所です。こちらにきているカザマ大尉ですけど、機体の塗装が終わっていないので塗装してから帰還するとのことです。」
それだけ言い残して通信は切れてしまった。
【はぁ?】
ブリッジは怖いぐらいの怒りに包まれていましたとさ。


「なぁまだ終わらないのか?」
「ちょっと黙ってろカイトうるさくて作業が・・・」
「何でここにはスプレーもないんだよ!!」
「しょうがないだろう壊れちゃったんだから」
「あぁ!!いつ終わるんだ〜!!!」

2話に続く


おまけ
機体解説
  R−002 ルインスレイヤー(RS)
    BSプロジェクトに対抗して立ち上げられた第七研究所作成のRシリーズ試作二号機。機動性を重視した機体で新型の重力緩和装置などの搭載によって従来とは比べ物にならない運動性を誇る。しかしそれでもパイロットにかかる負担は大きく、並みのパイロットでは意識を保つことさえ危うい。従来のエステとは違いフレームの上からオプションをつけることで様々なミッションに対応する。

あとがき

どうも羊羹と申すものです。
第一話いかがでしたでしょうか?なんかキャラが壊れているような・・・
しかもよく分からんオリキャラが・・・タイトルもへっぽこだったり色々だめだめですがSS初書きなのでかんべんしてください。
わけ分からん作品ですが二話も読んでくれると嬉しいです。



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