座談会







日々平穏にて





シラキ(以下シ)「で? なんだこのコーナー」

ルリ(以下ル)「座談会、だそうです」

シ「なんぞそれ」

ル「身も蓋も無い言い方をすると、『結局本編でほとんど絡まなかった(一応)主人公のシラキさんと(一応)ヒロインの私がお送りする、ローテンションに本編を振り返りつつ頂いた主な質問に答えようなコーナー』だそうです」

シ「マジで身も蓋もねえな」

ル「本人も気にしてるそうです。なんせジャンルがいつの間にかルリ×オリキャラから、オリキャラ、に変わっていたくらいですから」

シ「……それはカップル話が書けない本人のせいだろう」

ル「ですからこうしてこんなコーナーを作ったそうです。せめてもの罪滅ぼし、とのことで」

シ「誰に対する罪滅ぼしだよ」

ル「貴方と私のまともな会話を望んでいる方々への」

シ「え? いんの?」

ル「結構、そういう要望のメールを頂いたそうです」

シ「なるほどねえ」

ル「というわけで、タイトルコールどうぞ」









機動戦艦ナデシコ

 おまけコーナー 






『 座談会 』

 

 






シ「しかしあれだな」

ル「なんですか?」

シ「いざこうやって思い返してみると、あれだ。不満がボロボロと出てくる」

ル「そうですか。ちなみに裏話的なモノもついでに語ってしまえ、とお達しが出てますので、忌憚無い意見をどうぞ」

シ「まずさっきのお前の言動に不満がある」

ル「私のですか?」

シ「主人公とヒロインに一応、という注釈が付いてることだ」

ル「文句がつけられますか? Graduation STORY編(以下GS編)では最初から最後まで喧嘩ばかり、Imperfect Copy編(以下IP編)に至っては会話らしい会話がエピローグの最後とアフターだけな私と貴方に」

シ「……むしろ主人公はGS編とIP編総合するとアキトなような気がしてきた」

ル「或いはラピスさんですね。彼女はなんだかんだで主人公ばりの成長を遂げましたから」

シ「欝病から始まり、立ち直ってユリカとお前との会話では良いところ掻っ攫って、IP編に至ってはタイプ甲にトドメ刺したからな」

ル「トドメは一応私です」

シ「やかましい昔のことでウダウダウダウダ悩んで犯罪者に成り下がったかしまし娘が」

ル「……なんですか、やるんですか?」

シ「あ? 上等だコラ表出ろ」

ル「……」

シ「……」

ル「……不毛ですね」

シ「……不毛だな」

ル「……そもそも今思い返してみるとですね」

シ「なんだ?」

ル「私と貴方のカップリングそのものに無理があった気がしてしょうがないのですが」

シ「確かに相性的には最悪だな」

ル「おまけに貴方の人格は良くも悪くも完結してますからね。主人公らしい成長や葛藤と果てしなく無縁なのも主人公としてどうなんでしょう?」

シ「それを言うなら昔の恋慕引き摺って主人公以外の男と終始一緒だったお前もヒロインとしてどうなんだ」

ル「自覚してます」

シ「……」

ル「……」

シ「ダメだこの話題は、次、次へ行け」

ル「そうですね。続いてはあれです」

シ「どれだよ」

ル「貴方の強さはどの程度なのか、という感じなご感想を結構頂いてます」

シ「強さ?」

ル「他の作者さんのSSでは、大抵主人公の方はずば抜けた強さを誇り、ナデシコ無双をやられてますが、貴方はそういうのと無縁でしたからね」

シ「バカ言え俺頑張っただろ。コトシロに乗り込むときの活躍とか感涙物だべ?」

ル「バッタ一機も落とせなかったようなショボイ活躍にすがりつかなければならないとは、不憫ですね」

シ「やかましい。そもそもお前が規格外なんだよ。ハッキングだかなんだか知らねえが、物事には限度ってもんがあるだろうが。パワーバランスって言葉知ってるか?」

ル「本編遵守です」

シ「あ、テメエ伝家の宝刀抜きやがったな!」

ル「そもそも存在自体が稀有なIFS強化体質者ですから、それに比例して強くなるのは道理です。アルビノの動物が高値で取引されるのと同じようなもんです」

シ「いや、それは違うだろ」

ル「黙りやがってください。で? そもそも貴方の強さはどれくらいなんですか?」

シ「一般人」

ル「……ぶっちゃけるのにも限度があると思うんですが?」

シ「しょうがねえだろ。出生の秘密も秘めた不思議パワーも持ってねえんだから」

ル「その時点で主人公失格な気もしますが」

シ「やかましい」

ル「それでも、一応銃火器の扱いに関してはそれなりの覚えがあるようですね」

シ「ガキの頃から撃ちまくってたからな。才能とか抜きに純粋な経験でって話だな。それは」

ル「ちなみに才能として考えるなら、貴方の銃を扱うセンスはどれくらいなんですか?」

シ「一般人」

ル「……」

シ「……」

ル「まあそれにプラスして、生来の命知らずで猪突猛進、そこらの猪の方がまだ賢そうな向こう見ずが奇跡的に幸いして、そこそこ戦えた、ということにしておきましょう」

シ「お前は一々発言に棘があるのな」

ル「主人公らしさが皆無な貴方のせいです。そもそも出生の秘密も無ければ秘めた不思議パワーも無い、あろうことかIFSすら無くてエステバリスにも乗れないで、良く主人公を名乗れますね。主人公という立場を舐めてるんですか?」

シ「バカ言え俺頑張っただろ、GS編ラストとIP編ラストの俺の頑張りとか感涙物だべ?」

ル「手錠から抜け出すために左腕引き千切ったり、やることが一々血生臭いですがね」

シ「そこら辺はあれだ……ハードボイルドって奴だ」

ル「ねえよ」

シ「今お前性格上有り得ない発言したぞ」

ル「気のせいです」

シ「まあそれでも、俺の強さには補正が掛かってたってんだから驚きだ」

ル「そうなんですか?」

シ「GS編はともかく、IP編の中盤は作者頭抱えてたぞ。『こんな弱い奴どう活躍させろっちゅうねん』と」

ル「魂の叫びですね。割とシャレにならないレベルの」

シ「結局地の文を大袈裟にして、雰囲気と内面のぶっ壊れ具合でなんとか強そうな補正を掛けて乗り切ったそうだ」

ル「確かにナノマシンの悪夢から目覚めて私とヤマサキさんの戦闘に乱入して来た貴方は、どこの悪役だってレベルでしたからね」

シ「その後アキトに一発で伸されたけどな」

ル「あれは傍から見ていて滑稽な程カッコ悪かったです」

シ「やかましい」

ル「そんな感じで主人公としては規格外な弱さにも関わらず、過去だけは無駄にヘビーですからね」

シ「食人だしな」

ル「食人ですしね。この恩知らず」

シ「必死だったからな! 俺必死だったからな!」

ル「二回も言わないでください」

シ「人は極限状態に陥ったとき、かくも残忍な行為を行えるものなのか……」

ル「こんなおまけコーナーで悲劇ぶっても手遅れですよ」

シ「手遅れだったか」

ル「手遅れです」

シ「……」

ル「……落ち込んでも慰めませんよ」

シ「ヒロインとしてその態度はどうよ」

ル「アフターで少しヒロインっぽかったのでオーケーです」

シ「ああ、確かに少しヒロインっぽかったな」

ル「貴方は最後まで主人公っぽくありませんでしたけどね」

シ「頑張ったぞ! 俺頑張ったぞ!」

ル「二回も言わないでください……そういえば、作者はまた性懲りも無く続編を企んでいるようですよ」

シ「は? あそこからまだ話続くのか?」

ル「内容的にはかなりはっちゃけた物になるそうです。ジャンルを特定するなら……そうですね」

シ「なんだ、悩むほどごちゃ混ぜなのか?」

ル「ええ……逆行アフター再構成TSだそうで」

シ「……闇鍋にも程があるぞ。っていうか、むしろそこまで行くと闇鍋じゃねえ、病み鍋だ」

ル「誇らしげに言ってますけど別に上手くありませんよ」

シ「やかましい」

ル「しかし余裕ですね? 焦らないんですか?」

シ「は? どうせ主人公俺だろ。今度はなんだ? 右腕引き千切るか? それとも足か?」

ル「主人公としてその芸風はどうなんですか」

シ「アフターで少し主人公っぽかったからオーケーだ」

ル「ねえよ」

シ「お前また性格上有り得ない発言したぞ」

ル「気のせいです」

シ「……で、本当にその話はあるんだろうな」

ル「あれば、の話です」

シ「おい今までの会話の前提を覆すな!」

ル「あると断言して無かったら立つ瀬がありませんから」

シ「……ごもっともだ」

ル「ああ、それと続編での出番ですけど、ロウさんの出番はありません」

シ「……ロウ、不憫な奴……」

ル「ユメさんは出番あるそうですよ。しかも割と美味しいポジションで」

シ「なあ、俺はロウの不幸を嘆くべきか、ユメの出番を喜びべきかどっちだと思う?」

ル「お好きにどうぞ」

シ「悔しい……でも……!」

ル「黙れ」

シ「ごめんなさい」

ル「ああ、ちなみに貴方は主人公の座から降格です」

シ「マジか!?」

ル「あれば、の話です」

シ「あれば、の話か……ところでどんな話になるんだ?」

ル「ふむ。現時点の予定では、カイトさん物になる可能性が大だそうです。ヒロインは私で」

シ「お、なんだ浮気か? ケケケケ」

ル「何をアホなことを言ってるんですか、全く……ヒロインは、別の私ですよ」

シ「は? それって全く新規に話興すってことか?」

ル「そのようです」

シ「……それって俺、主人公降格どころか出番というかキャラ的に解雇じゃねえか」

ル「御愁傷様」

シ「言っとくがお前もだぞ」

ル「あ……」

シ「……」

ル「……」

シ「これはアレだな」

ル「そうですね」

シ「理由を言え理由をって奴だな」

ル「全くです……? こんなところに一枚の紙が」

シ「紙と神を掛けた冗談か。この野郎表に出ろ」

ル「解雇と聞いて前後不覚にならないでください。ええっと」





『主人公にもヒロインにも成り切れなかったお前達なんか嫌いだ! うわーん!』





シ「……」

ル「……」

シ「いや、どう考えてもお前の作風が悪いんだろ」

ル「的確なツッコミありがとうございます」

シ「……しかしあれだな。これはつまり、俺とお前で主人公とヒロインらしいなにかをやれば良いわけか?」

ル「良いアイディアです。早速実行してみましょう」

シ「……」

ル「……」

シ「おい、どうすりゃ良い」

ル「私に聞かないで下さい。取り敢えずあれです。主人公とヒロインということは恋人同士なのですから、なにかそれらしい愛称で呼ぶのが適当かと」

シ「良いアイディアだ。生まれて初めてお前という存在の幾許かを認めてやりたくなったぞ」

ル「大きなお世話ですバカヤロウ。とにかく愛称です。如何にもな感じでもこの際目を瞑ります、なにか適当に言ってください」

シ「おう、了解だ……ふむ……」

ル「……」

シ「……」

ル「……」

シ「そういえばなマイハニー」

ル「なんですかマイダーリン」

シ「……」

ル「……」

シ「これは無いな」

ル「そもそも恋人同士と聞いてハニーという単語が飛び出してくる時点で、貴方の頭蓋を解体して中身を覗き見たい衝動に駆られます」

シ「些かの動揺を見せずにダーリンと返す辺り、お前も相当なもんだぞ」

ル「うるせえよ」

シ「お前また(以下略」

ル「気の(以下略」

シ「取り敢えずなんにしてもアレだ。挽回のチャンスを造るしかねえな」

ル「短編でもやりますか? 私と貴方で」

シ「良いアイディアだマイハニー」

ル「しつこいですよマイダーリン」

シ「……」

ル「……なんですか」

シ「ああ、改めて思った」

ル「?」

シ「お前にそんな風に呼ばれるとだな……こう、胸の中にな」

ル「……はい」

シ「虫唾が走る」

ル「オーケイそこを動くなファック野郎」

シ「オーライ取り合えず落ち着いてその手にある拳銃を離せトラウマで左腕が刺激される」

ル「でも真面目な話、右腕いっときます? キャラ的に両腕義手で個性出ますよ?」

シ「お前はそこまでしてヒロインの座に固執するか!」

ル「貴方の個性も濃くなれば、一応その恋人である私の出番も相対的に増えるというものです」

シ「目がマジだぞテメエ!」

ル「愛しいハニーのお願いですよ? ちょっとくらい我慢してくださいマイダーリン」

シ「動機が不純過ぎるわボケ。まだ恋慕の余り後ろから刃物で刺して来るヒロインの方がマシだ」

ル「私をそんなサイコなヒロイン達と一緒にしないでください……私は冷静です」

シ「尚悪いわ!」

ル「私が貴方の腕になります」

シ「アフターで唯一ヒロインっぽかった台詞を台無しにしやがった……」

ル「……だったらどうするんです。このままだと本当に私達は解雇ですよ?」

シ「……」

ル「……」

シ「……ハッ!」

ル「どうしました?」

シ「お前も左腕失くせば良いんだよ」

ル「全力でお断りします」

シ「テメエさっきまで俺の右腕狙ってたこと忘れてやがるな?」

ル「男の傷は勲章ですが、女の傷は男の恥です」

シ「男女平等だ」

ル「……その考えは古いと思います。今はその考えを一周して男尊女卑であるべきでは?」

シ「……」

ル「ちょ、ちょっと……」

シ「わははは、そう怯えるな。良く言うだろ? ……痛いのは最初だけってな」

ル「絶対使う場所間違ってます!」

シ「ちっ……んだよ折角の人のナイスアイディアをよ」

ル「本気で実行しようとしたらグラビティブラストで細胞一つ残さず消し飛ばしてました」

シ「こえーこのヒロインこえー」

ル「ヒロインの右腕を持っていこうとした主人公もどうかと思いますがね」

シ「元はと言えばお前が俺の四肢……正確にはもう違うか? とにかく俺の三肢を持っていこうとしたからだろうが」

ル「三肢なのが二肢になるだけじゃないですか。男なら気概を見せてください」

シ「どうあっても自分はノーリスクで通すつもりだな?」

ル「貴方こそ」

シ「……」

ル「……」

シ「ダメだ。このままこんな日々平穏なんて腑抜けた名前の飯屋でお前と顔付き合わせて話してても埒が開かん」

ル「同感ですね」

シ「ここはやっぱりあれだ。夕日に向かって走るぞ」

ル「もう意味がわかりません」

シ「愛称も失敗、個性付けしようとしてもお互いがお互いを犠牲にしようとしてばかりで話が進まん」

ル「ふむ……となれば、もはや後は行動に出るだけですか」

シ「そういうことだ。オラ行くぞ! 夕日に向かって爆走が無理なら次は一つのジュースを二本のストローで飲む!」

ル「正直想像するだけで胸糞が悪くなりますがそうも言っていられませんね。付き合いましょう」

シ「よし、行くぞ!」

ル「はい」





ガラガラガラ(←扉を開ける音)





ピシャン(←扉が閉まる音)





タタタタタタ……(←走り去る足音)













ホウメイ「え? オチ? ……ふっ、うちのメニューにそんな物は無いのさ」







タタタタタ……



ガラガラガラ





シラキ&ルリ「別に上手くねえよ(ないですよ)」

ホウメイ「やかましい!」
















と、いうわけで座談会でした



ごめんなさいごめんなさい耐えられなかったんです本編後半のシリアスさに

まあ色々とあれでしたが、これにて本当にIP編は終了です

シラキ君、お疲れ様



シラキ「え? おい! 出番は!? 次回作の出番はどうなった!?」



ルリちゃん、お疲れ様



ルリ「ちょっと待ちなさいアホ野郎。シラキさんはともかく私の出番だけは確保してあるんでしょうね?」

シラキ「テメエマジで俺見捨てる気だなこの野郎!」

ルリ「さようなら、私は生まれ変わって次回作で元気にやります」

シラキ「転生か? 輪廻転生か!? もし次回作があってもお前じゃねえから無理だよバーカ!」

ルリ「やってみなければわかりません!」



なにより、このような駄作に最後まで付き合ってくださった読者様、拙い話ではありましたが、もし少しでも楽しめて頂けたのなら、私としてはこれ以上の幸せはありません



シラキ「さあさあお前もこの不遇な立場の寄り合い所帯に来るが良い。どう考えてもお前はこっち側の人間なんだよケケケケ」

ルリ「ええい離しなさい!」



もしまたお目に掛かる機会がありましたら、どうかそのときは、また宜しくして頂けると幸いです



シラキ「っておい! 無視かよ!」

ルリ「ちょっと待ちなさい貴方!」





それでは











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