第七話







「気管・・・切開?」

「おうよ」

掠れた声に、シラキは妙に上機嫌に答えた

アキトの視線に、ラピスも首を振る。知らないというジェスチャーだ

「なんだ、それは」

「簡単に言えば、オメエの喉切り開いて人工呼吸器を付ける」

ニヤリと笑い、見せ付けるようにメスを光らせるシラキ。危ないのでラピスが即座に下からアッパーカットの要領で取り上げた

「・・・人工呼吸器?」

「ああ」

空になった手を開閉させ、シラキは頷く

「まあ掻い摘んで言うと、オメエの五感退化が予想以上にはええ。自分でも感じてるだろ?」

答えるように、アキトは自分の喉へと手をやろうとした。だが、たったそれだけの動作を行うことにも、今のアキトは数秒を費やした

震える手が、ようやく喉へとたどり着く。確かめるようにその感触を握り締め、アキトは呟く

「・・・まあ、な」

アキトの、声。すでにそれが掠れ始めてから、随分と時間が経っていた。もう今では、聞き慣れた人間でなければアキトがなにを喋ったのかすら、一度では聞き取れないほどに

「つまり・・・・俺はじきに、喋ることも?」

「そういうこった。まあ、今も喋れてるかは随分怪しいけどな」

こういうときのシラキの口調には、申し訳なさも、同情すらこもっていない。ただ事実を適当に告げているような、そんな一種のなげやりさすら伺える

だがそれが、他の人間にとってはどうかはわからないが、少なくともアキトにとっては、救われた

同情もやるせなさも、アキトにとっては自嘲の念を呼び起こすだけだった。自分には、同情される資格も、気の毒に思われる価値すらない。そんなアキトにとって、気配りも人間的な常識も兼ね備えている一般的な医者は、確かに相性が悪かった

だが

「つまりだ。オメエはこれから喋ることも出来なくなるわけだ。ケケケケ。ざまーみれ」

人の不幸を心底嬉しそうに笑い飛ばすこの男は、さすがにどうかと思う

半目で見つめてくるアキトに気付いたのか、シラキはフフンと鼻で笑った

「お? なんか言いたいことがありそうな顔だな。よしよし、言ってみろ。どうせもうすぐ喋れなくなるんだからな、聞いといてやるよ。わははは」

「ラピス・・・」

「うん」

「ぐほっ!!」

アキトの言葉だけで意を汲んだラピスが、シラキの股間を蹴り上げた

目を白黒させて、崩れ落ちるシラキ。股間を押さえたまま地に伏したその姿は、情けないを通り越して滑稽だった

「お・・・おめえら・・・」

ピクピクと痙攣しながら、なんとか言葉を喋る

「心配は無用だ」

「いや、いるから・・・」

「喋ることが出来なくなっても、ラピスが代わりに話してくれる」

「ああー・・・そっちかー・・・」

振動すら痛いので、身動き一つ取れないまま呟く

そのシラキの姿を見て、小さく笑うアキトとラピス

額に青筋を浮かべて、「殺す。ぜってー殺す」と呟くシラキ



そうして時間は、流れていく

おそらくは、幸せだった時間が








機動戦艦ナデシコ

 Imperfect Copy 』






『 馬鹿、来訪 』

 

 







「・・・これは」

医務室に運び込まれたユメとロウ。その診察を一通り終えたイネスが、信じられないといった表情で言葉を漏らした

「なにか、わかったの?」

エリナが怪訝な顔で、そう尋ねてくる

医務室に、ラピスの姿は無かった。自分も残るといって聞かなかったが、アキトのことがある。そのためエリナとイネスの薦めによって、すでにコトシロへと向かっている

エリナもイネスも、見解は一致していたのだ。テンカワアキトは死んだ。これは間違いようがない。彼の死体は二人共確認していた。今更死人が蘇ったなどと寝惚けた発言をするつもりは無い

だが、つい先程ネルガル月ドッグを襲って来た彼。その物腰や言葉遣いが、全くの他人だなどとは全く思えなかったからだ

だから、もしもの可能性を考えたのだ。つまり、彼がテンカワアキト本人ではないにしろ。テンカワアキトのなにかを受け継いだ存在である可能性だ

そしてもしその可能性が本当ならば、万が一にも彼を止められる可能性があるのは、ラピスしかいない

彼を目の前にしてなにも出来なかったエリナでも、イネスでもなく。ラピスしか

「・・・この、二人」

額に汗が流れるのを自覚しながら、イネスは診察結果を表示するウインドウを見つめる

「この二人が、どうかしたの?」

目の前のベッドで眠る二人を見つめながら、エリナが尋ねる

その問い掛けに目眩を抑えながら、イネスが答えた

「アキト君と、ユリカ嬢の、子供よ」

「・・・え?」

「本当にユリカ嬢がお腹を痛めて生んだ子供かどうかは分からない。でも、この二人の遺伝子上の両親は、少なくともあの二人よ」

「・・・・どういう、こと?」

「わからないわ」

呆然と、二人は言葉を失う。意味がわからなかった

ユリカもアキトも、新婚旅行のシャトルで火星の後継者に捕らえられて以来、ずっと過酷な人体実験に晒され続けていたはずだ。そんな子供を生み育てるような時間や余裕など、欠片も無かったはずである

だが目の前のこの二人は、その二人の子供だという。少なくとも、学術的にはそう考えるしかない

訳がわからない

「ロウ! ユメ!」

と、その医務室に、突如として一人の老人が乱入してきた。ラピスから連絡を受けてここまでやって来た、ヒゲ爺だ

老体には随分と過酷なスケジュールでやって来たのか、その顔は汗で塗れていた。ゼェゼェと荒い息をつきながら、呼吸すらもどかしそうにイネスとエリナを掻き分け、ベッドの上で横たわるユメとロウへと歩み寄る

「・・・すまん」

眠る二人の手を握り締め、懺悔するように、ヒゲ爺は呟く

「間に合わんかった・・・スマン・・・スマン!」

「・・・貴方が、この二人の?」

「・・・・ああ」

落ち窪んだ瞳は、すでに涙で濡れかけていた。イネスの問い掛けに答えながらも、ヒゲ爺は微動だにもしない

「・・・・聞かせてもらえる? この二人のこと」

「・・・わからんのじゃ」

「え?」

答えに、エリナが驚いたように目を丸くする。その気配を背中越しに感じたのか、ヒゲ爺は首を振る

「なにも・・・わからん。この二人は、ある日、砂漠に倒れとった。記憶を失っているらしく、それ以前のことはなにも覚えておらん」

ユメとロウの手を握りヒゲ爺の手は、震えていた

「ワシも・・・辛いことなら、無理に思い出す必要は無いと、そう言った。それからもう随分と長い間、一緒におる」

「つまり貴方は、この二人の素性一切の関係を知らないと?」

「・・・ああ」

そう頷き、懐に手を伸ばす、取り出したのは一束の資料だった

「それは?」

「・・・『IFS強化体質者に関するナノマシン及び遺伝子操作及び投薬内容の詳細』」

それは、シラキにも見せた資料。IFS強化体質者の理論を世界で最初に開発した科学者が書きとめた。実験の一部資料だ

「・・・この二人の?」

ヒゲ爺の隣に並び、ユメとロウを見下ろしながら尋ねるイネスの言葉に、小さく頷いた

「・・・・どういう、こと?」

話に付いていけないエリナが、不思議そうに声を掛けて来る。その言葉に背後を振り返ったイネスが、酷くあっさりと告げた

「簡単に言うと。この子達の寿命はもう底をつきつつある」

一瞬、部屋に沈黙が降りた

ヒゲ爺は、唇を血が出るほど噛み締め、二人の子供の手を握る両手に力を込めた

エリナは一体なにを言われたのかわからないような表情で、ただ呆然としたまま

「この子達を作った人間は・・・・最低の下衆野郎ね。意図的に、寿命を制限してる。それも、外部から刺激を受ければ受けるほど磨り減るくらい、弱々しいくらい」

顔を俯けたヒゲ爺が、怒りかそれとも悲しみ故か、震える

その様子を痛々しそうに見つめた後、イネスはエリナへと目を向けた

「もう、リミットなのよ」

訳がわからないと言いたそうな表情のエリナに、イネスは告げた

「もって、後三日といったところね」





空港は、大混乱だった

突如として現れた謎の男を映し出す謎のウインドウ。そして、ターミナルコロニーコトシロが一瞬で占拠されたという、ありえない報道

テレビ局のシャトルすら立ち入りを禁止されたコトシロ近辺の周域。一体そこでなにが起こっているのか、ここまであからさまな報道管制は、一体なにを隠したいのか

事件発生からまだ一時間と経っていないにも関わらず、世間では無数の憶測が飛び交い、ありもしないデマと一部分の真実を内包した情報が混ざり合い、もはや収集がつかなくなりつつある

だから誰も、その小さな変化に、気付けなかった

一機のシャトル。コトシロの突然の不法占拠に影響してダイヤが大幅に改変され、発射が中止された数ある中の一機

その操縦室に、一人の男が座っていた。金色の頭髪から日本人ではないだろうその男は、客が不満を叫びながら降りていったシャトルの中で、一人だけで機体のチェックを行っていた

サブパイロットもキャビンアテンダントも、皆もうすでに降りている。今頃は客からの飛ぶようなブーイングに胃を痛めながら頭を下げているだろう

「俺、機長でよかったー」

のんびりとそう呟きながら、作業を進めていく男。その背後の扉が不意に開いた

「?」

その音に、不思議そうに振り返る。客からの不満についに耐え切れなくなった副機長がサボリに戻って来たのかと考えながら

だがその甘い考えは、吹っ飛んだ

「・・・・へ?」

開いた扉の前に立っているのは、彼の知っている六歳年下の副機長でもなければ、最近ちょっと可愛いなと思い始めたキャビンアテンダントの中の一人でも無かった

代わりに立っていたのは

「えー、ゴホンゴホン」

なにをどう意図しているのか、『あいう』と描かれた覆面を付けた灰色のコートの男と

「やあやあ、初めまして機長さん」

『えお団』と描かれた覆面を付けた被った。白衣の男だった





異常に逸早く気付いたのは、管制塔の人間だった

「・・・おい」

「ん?」

隣にいる男に、話し掛ける。その指し示した指の先を見て、声を掛けられた男もまた、目を丸くした

見晴らしの良い管制塔から見える場所。滑走路に入ろうとしている、一機のシャトルがあった

「え? あれ・・・滑走路に入ってるよな」

「離陸許可出たのか?」

並んで首を傾げる二人に、他の面子も何事かと近寄ってくる

そのときだった

『あー。テステス』

突如として巨大なウインドウが、管制塔に現れた

ウインドウに映る男は、『あいう』などと描かれた覆面を被った男

『えー。只今を持ってこのシャトルは、我々「あいうえお団」が占拠したー。あー別に警察でも消防署でも通報するのは自由だが、こちらはパイロット一名を人質に取っている。よって離陸の邪魔はしないように』

『そういうことー』

『ひええええ』

ウインドウが切り替わり、コメカミに拳銃を突きつけられている半泣きのパイロットと、今度は『えお団』の覆面を被った男が現れる

管制塔の人間の目が点になっている中、シャトルはグングンと加速していく

ダイヤの全便が欠航になったため、離陸にはなんの問題も無い滑走路を、シャトルがひた走る

『あー、追伸。別に身代金とかを要求するつもりは欠片も無いので心配すんな。終わったら返すから、ちょっと借りるだけだ』

『あいう』男のその言葉を残して、シャトルは飛び去っていった

どこまでも透き通るような青空に、シャトルが描く飛行機雲が、微かに残って尾を引いていく

「・・・・ハ」

彼らがようやく現状を認識したのは、青空の彼方にシャトルが小さな光となって消えた後だった

「ハイジャックだー!!」







「どどどど、どうするんすかフクベさんやばいっすよこれやばいっすよ」

ターミナルコロニーコトシロ周辺

そこはすでに、有象無象の大艦隊の巣窟となっていた

コトシロのメインコンピューターに起こった異常事態は、瞬く間にコトシロ全域へと広がった

コトシロの総司令であるフクベが、その異常を逸早く察知して全軍人並び関係者、一般人を避難させたのが、その異常事態が発覚してから僅か二十分。驚くべきフットワークである

駐在し、フクベの指示で全て脱出艇として使われた全戦艦。そこに異常を聞きつけて駆けつけて来た他コロニーの艦隊とが合流し、指揮系統は滅茶苦茶だが、もはや規模だけなら三個艦隊に匹敵するような戦力がこのコトシロに集結している

だがその事実も、フクベにはどこ吹く風である

「落ち着けい馬鹿者」

背後で右往左往していた妙にノリの軽い副司令を叩いて黙らせてから、フクベは目の前へと視線を向ける

一応現在、現場の責任者はフクベとなっている。コトシロで起こった事件だけに、フクベの裁量で片付けなければならない事態だからだ。一応連合軍本部に指示を仰ぐよう打診したが、返事はまだ来ない

だから、フクベのいる戦艦が、この未曾有の大艦隊の旗艦ということになる

そして、その旗艦のブリッジ。フクベの目の前に

「・・・随分と待たせて、申し訳ないの。なにぶんこちらも、突然の来客に驚いておってね」

『・・・・』

テンカワアキトを映し出す、ウインドウがいた

アキトを見る、フクベの目。それが微かに細まる

フクベにとって、今目の前にいる彼は、他人ではなかった。もう四年近く前、蜥蜴戦争と呼ばれる地球と木星との戦争のとき、僅かなりとも時を共にした青年

そしてそれよりさらに前、火星で木星蜥蜴と初めて地球人類が接触したとき、自分の采配故に、故郷を奪ってしまった青年

「・・・要求を、聞こうか」

『簡単だ』

鼓膜に響く、彼の声。それは自分の記憶に残る彼と寸分変わりない。昔そのままの声だった

『俺は、関係無い人達に危害を加えるつもりなんて欠片も無い。理不尽な暴力で幸せを奪われる悲しさは、わかってるつもりだからな』

「・・・・」

『要求は、唯一つだ』

「・・・なんだね?」

そのときフクベは、確かに見た

声は同じだった。姿も、四年という時間を感じさせる程度の成長を遂げてはいるものの、それでもどこか面影を残したものだった

だがその中で、明らかに違う変化があることに、フクベは気付いた

アキトの目が、暗い光を宿した。それは四年前の彼しか知らないフクベにとって初めて見る、信じられない瞳だった

どこまでも暗い。人が持つ全ての感情がぶちまけられ混ざり合い、区別すら出来なくなったような、そんな瞳

『火星の後継者の残党を、一人残らず、差し出せ』

「・・・っ」

それは、余りに途方も無い。要求だった

火星の後継者。まだ随分と記憶に新しいその単語。約一年程前、生き残ったクサカベハルキを首領としてターミナルコロニーを丸々占拠し、ナデシコCに潰された

そしてつい最近、クリムゾンと密かに結びついた残党が、南雲を首領として再び決起。だがそれも、再びナデシコCの手によって鎮圧される

それ以後、まだ僅かな時しか経過していないが、火星の後継者という名は消えた

残党も、なにもかも、二度も連合政府に喧嘩を売っておいて、無事で済むわけが無い

軍と政府の威信を掛けた捜索と検挙により、もはやこの宇宙のどこにも、火星の後継者の残党が隠れ住む場所は無くなった

そしてその捕まった彼らは今、気の遠くなるような順番を一人ずつ待ちながら、裁判という名の通過儀礼で一人ずつその処分を決定されている

だがそれを、差し出せとは

「・・・どういう、意味かな?」

フクベの言葉に

アキトは、笑った

『復讐者がその対象に行う行為など、一つしかないだろう?』

「それは、殺すという意味かな?」

『奴らはそれだけのことをした』

酷くあっさりと、虐殺を宣言する

その言葉には、微塵の躊躇も躊躇いも、ありはしなかった

まるで生きるために呼吸が必要なことと同じように、当たり前のように、アキトはそう言ったのだ

「それは・・・」

静止の言葉を投げかけようとして、しかしフクベはそれをとめた

そんなことは、意味が無いことだからだ。そんなことをすれば彼らと同じになる。きっと目の前の男は、そんなことなど承知の上で、鼻で笑った上で、こう要求しているのだ

差し出せ、と

「・・・時間が欲しいの」

ならばせめて、これが最上の手段だろう。ベストではないかもしれないが、ベターな対応

「三日、いや、せめて一日。待ってくれんか?」

『・・・・どうやらお前達はまだ、自分達の立場が理解出来てないらしいな』

「なに?」

ウインドウに映る顔が笑ったのと、全く同じタイミングだった

フクベの駆る旗艦のブリッジを、アラームと真っ赤な警告ウインドウが埋め尽くしたのだ

「っ!」

ブリッジが騒然となる。フクベとアキトの会話を固唾を飲んで見守っていたオペレーター達が、我に返ったように目の前のコンソールを操作する

「・・・か、艦のメインコンピューターがハッキングを受けています!」

「なに!?」

驚いた副長と、オペレーターのやり取りが聞こえる

「な、なんかの間違いじゃねえの?」

「い、いいえそんなことは・・・っ、統合軍第五艦隊から緊急連絡! 第五番艦、第六番艦のコントロール権が完全に剥奪! 敵に乗っ取られたとのことです!」

そこからまるで雪崩の如く、悲鳴のような報告が次々とフクベの耳に飛び込んで来た

喧騒がブリッジを支配する。報告を叫ぶオペレーターの声が、もはや余りに非常識なこの事態に涙声すら混じり始める

そんな騒ぎの中、フクベは目の前のアキトを、睨み付けるように見つめたままだ

「・・・脅しかね?」

『そう取って貰って構わない』

答えるアキトの声は、笑っていた

『理解しただろう。こちらがその気になれば、お前達は次の瞬間には互いの銃口で同士討ちだ』

「・・・・」

いつもの飄々とした表情をかなぐり捨て、フクベは手袋に包まれた両手を真っ白になるまで握り締めた

「・・・変わったな。君は」

『そうしなければ、生きていけなかった』

フクベの頬を、汗が流れる。おそらく彼の言葉は、脅しではない。向こうがその気になれば多分本当に、この三個艦隊にも及ぶ大艦隊が、一斉に同士討ちを始め壊滅するだろう

信じられないことだった。だが否定する材料が無い以上、現実は現実として対処しなければならない

「先程の要求だが、いずれにしても本部の指示を仰がねばワシにはどうにもならん」

『・・・』

「一日、待ってくれんか」

『・・・・三時間だ』

それだけ告げて、通信は切れた

そしてそれを合図にしたかのように、ブリッジを埋め尽くすような非常事態を告げるウインドウの群もまた、その動きを止めた

「ど、どうするんすか。司令」

混乱しきった様子で慌てて近寄ってくる副長に、フクベは被っていた帽子へと手をやった

「理想は半日、最低でもその半分程度は・・・と思っておったが、見事に切られたよ」

「・・・月ドッグから連絡があったっす。現在ナデシコBがこちらに向かっているようで」

「・・・そうか」

――― 「復讐者がその対象に行う行為など、一つしかないだろう?」

「とにかく、三時間という言質はとった。その間に本部からの回答を待つしかあるまい」

「・・・間に合いますかね」

「わからん。とにかく、コトシロと距離を取れ、先程のハッキングのデータから有効距離を割り出してな。気休めくらいにはなろう」

「はい」

再び慌しさを取り戻したブリッジの中、フクベは艦長席へと疲れ切ったように座り込んだ

――― 「奴らはそれだけのことをやった」

――― 違うぞテンカワ君。それではただの・・・

目を閉じ、フクベは息をついた

――― ・・・・殺人鬼だ



地球時間11:25

交渉、決裂





「・・・着きました。コトシロです」

コトシロの周囲に展開している大艦隊。その一角に即席として用意されたチューリップから、ナデシコBがボソンアウトした

乗員は、三人だけ。テンカワアキトがコトシロを占拠したと聞いてから、即座に出港準備をし、ミスマルコウイチロウに特別許可を貰って慌ててここに駆けつけたため、休暇を渡していたほかの乗員を集める暇が無かった

おまけに本来ならナデシコBどころか、所属軍すら違うはずのリョーコまで乗せての強行である

『来たか』

「アキヤマさん」

息つく暇もなく、アキヤマゲンパチロウのウインドウが三人を出迎える

「状況は?」

険しい表情のまま腕を組んだリョーコの問い掛けに、アキヤマが僅かに表情を暗くした

『芳しくない。まあ、これを見てもらいたい』

アキヤマがそう答えると、彼のウインドウを取り巻くように、無数の数字やグラフを表示したウインドウが現れる

「第五艦隊に、第七艦隊・・・第三まで出てんのか。ほとんどターミナルコロニー防衛部隊のオールスターじゃねえか」

その中の一つ。暫定的ながらも現戦力の集計を取ったウインドウを見つめて、リョーコが驚きに目を丸くする

『それだけ、本部も今回の事態を重く見てるということだ。まあ正確には、今回の騒動が民間に流出する前に極秘裏に処理したいというのが本音だろうがな』

「・・・でもそれなら」

ハーリーが小首を傾げて、口を開く。極秘裏に処理したい本部の意向というのは、わからないではなかった。なにせことがことだし、ここ数年は、連続でクーデターが巻き起こっている状況だ。さすがにこれ以上それに匹敵する騒動が巻き起これば、連邦政府の管理能力すら問われる事態になりかねない

だが、ならばこその疑問が浮かぶ

それは、さっさと武力で鎮圧すれば良い。という疑問だ。相手にほとんど究極と言っても問題ではないほどの電子技術の使い手、ルリがいることはわかっている。だが彼女の能力とて無敵ではない。これだけの物量を前にすれば、全戦艦を一瞬で掌握することなど出来ない

一斉に突撃し、一斉に攻撃を仕掛ければ良い。火星の後継者のときは入念な準備と奇襲によって無力化出来たが、今回は奇襲でもなんでもない。こちらにもソレ相応の準備が出来る時間がある

『・・・・そういう訳にもいかんのだよ。マキビハリ中尉』

ハーリーの言いたいことを察したのか、アキヤマが溜息混じりに告げてくる

『先程試算が出た。我々がこの距離からコトシロへと突入し到達するまで、およそ二十分。確かに準備をすれば、敵のハッキングを凌ぐことは出来る』

敵と、敢えてアキヤマはそう表現した。彼もアキトと行動を共にしているのが、おそらくルリであろうことは予想していたが、口にはしなかった

『だがその二十分の間に、A級ジャンパーである彼はボソンジャンプでどこにでも逃れることが出来る。それこそ、地球にある連合政府本議会にも、だ』

「・・・」

言葉を聞いたリョーコが、表情に険を寄せた

『・・・つくづく、A級ジャンパーとは恐ろしいよ。たった一人で戦局を引っ繰り返すとまではいかなくとも、掻き回す程度のことは容易にやってのける』

「だったら、要求を呑むってのか?」

アキトが、現在生き残っている火星の後継者の残党を差し出せと言ってきていることは、すでにナデシコBにも伝わって来ていた

リョーコ自身。そんな要求をしたアキトの気持ちが、わからないでもない

直接聞いたわけではないが、アキトが火星の後継者の実験材料にされたことによって、五感をほぼ喪失するほどの障害を負ったことは知っている

それはきっと自分の想像を遥かに越えるような、過酷な生だっただろう。だからその彼らに対する復讐心は、リョーコはなんとなく理解出来た

だが、それでもと、リョーコは思う

そんなことは、して欲しくなかった。確かに連中は、殺されてもしょうがないようなことをやったのかもしれない。だが、だからといってその彼らを殺せば、結局アキトも同罪だ

だからこれは、リョーコの我侭だ。アキトにそんなことはして欲しくないという、ただの我侭

『・・・要求を、呑むわけにはいかん』

リョーコの言葉に、アキヤマは目を閉じた

『内容以前の、これは道義の問題だ。彼がこんな行動に走った経緯はどうあれ、この行為自体はすでに大規模なテロだ。ただでさえクサカベや南雲と立て続けにクーデターを起こされた今の状況で、テロリストの要求を呑むわけにはいかない』

「・・・だったら、どうするってんだ」

『二時間前、フクベ司令がテンカワと話をして三時間稼いだ。すでに残りは一時間を切っているが、本部からの回答は、否だ』

「まあ、そりゃそうでしょうね」

サブロウタが、呑気にそう呟く

「でもその場合、テンカワアキトがどう行動しますかねえ」

その瞳が、微かに険しくなる

『・・・わからん。だが、すでに地球本部やその他の主要施設に対する艦隊の配備は完了している。我々に出来ることは、奴をコトシロから追い出すことくらいだろう』

「システム掌握は、防げませんよ?」

ハーリーの言葉に、アキヤマが僅かに表情をゆがめた。苦笑の形

アキヤマも、わかっている。仮に彼をコトシロから追い出せたとしても、ルリがいる。先程のアキヤマの言葉通り、確かに各地の防衛配置はすでに完了している

だが、いかんせん範囲が広すぎた。A級ジャンパーのボソンジャンプ先、それは言ってしまえば無限だ。どこに跳ぶのかわからない。だからこそ、その考えられる全ての場所を守るために、各区の防衛戦力は極めて微細なものとなってしまった

コトシロに今から突入するこの大艦隊ほどの規模で無い以上、おそらくどこに跳ばれたとしても、ジャンプアウトと同時にルリのシステム掌握にやられてしまうだろう

『・・・・だが、現状取れる手段はこれだけだ。ハッキリ言えば、彼個人の戦力はそれほどではない。一個艦隊あれば、おそらく余裕を持って殲滅出来るだろう・・・しかし』

「結局は、終わりの見えない鬼ゴッコって訳か」

『最終的には、そういうことになるだろうな』

その言葉に、リョーコは両手を打ち据えた

「・・・・アキヤマ准将よ」

『なんだ?』

「・・・俺に、考えがある。無駄になるかもしれねえが、少なくとも損にはならねえはずだ」

そのリョーコの言葉に、アキヤマは不思議そうに眉をしかめた

『なにをする気だ?』

アキヤマの不信の言葉を無視するように、リョーコは背後を振り返った

そして、一体なにを考えているのかと視線で問い掛けてくるハーリーとサブロウタに向けて、拳を向けた

「埒があかねえ! 乗り込むぞ!!」



地球時間13:45

ナデシコB、艦隊と合流





アキトが指定した時刻まで、残り三十分

そんな状況の中、コトシロを包囲する大艦隊に僅かな変化が起こった

「・・・良かったんすか? フクさん」

「作戦行動中は司令と呼べと言うに・・・まあ良い」

旗艦のブリッジ。フクベと副長は、そこで並んでウインドウを見上げていた

「確かにスバル大尉の提案通り、これは無駄になりこそすれ、損にはならん行動だ。万が一にもここから事態を穏便に解決するには、どの道この方法しかあるまいよ」

「・・・はあ」

腑に落ちない同意を落として、副長は目の前のウインドウへと視線を戻す

そこには、艦隊の中からポツリと突出したナデシコBが、ゆっくりとコトシロへと近づいていく光景が映し出されていた





「・・・アキトさん」

『こっちからも見えてるよ』

コトシロ内部、第四格納庫

そこに鎮座するユーチャリス。そのブリッジにいた私服姿のルリが、大艦隊から吐き出されるように現れたナデシコBを見つけ、アキトへと声を掛けた

ウインドウの中のアキトは、すでにユーチャリス格納庫に待機するブラックサレナの中だ。別にナデシコBを警戒しているわけではない。提示した時間まで三十分を切った今、臨戦態勢を整えているに過ぎない

『通信には俺が出る。ルリちゃんは、絶対に顔を出さないで』

「・・・・はい」

コトシロを占拠してから、通信をする度にもはやお決まりとなったやり取りだった

アキトは、通信に絶対にルリを出そうとしなかった。それは彼なりに対する、巻き込んでしまったルリに対するせめてもの誠意。この戦いが終わったとき、ルリが何事もなく『行方不明』から発見されるための工作だ

通信が途切れる。ルリは、微かに下を向き、唇を噛み締めた

自分の中途半端さに、腹が立つ

アキトの味方に徹することも、彼を敵と糾弾する立場にも、立っていない自分

それは間違いなく、自分の甘えと迷いから来ているものだ。どちらにもよらず、事態がどう転んでも平穏無事に帰還出来る立場に座り込む。都合の良い自分

自己嫌悪が、胸を掻き回す。だがそれでも、どちらによることも、ルリには出来なかった

昔の自分。アキトに仄かな恋心を抱き、しかしそれを隠した自分

それは、酷く簡単なものだった。恋心といっても、しょせんはハシカのようなもの。十三歳の自分が、どれだけ他人に感情移入出来るかなど知れていた

なにより、自分はユリカも好きだった。そして自分が好きだったテンカワアキトは、きっとユリカと一緒にいるテンカワアキトだったのだ

ユリカに振り回されて、ユリカのことを心配して、ユリカのために頑張るアキト

きっと自分は、そんな彼が好きだった

だから、これで良いと思った。ユリカとアキトが結婚すると聞いたとき、微かに胸に灯った悲しさも、時と共に流れて、消えていく

そして時間は、本当に全てを消した。それはルリが思ってもいなかった方法で、残酷に、最悪な形で

あのときの無力さは、忘れない。忘れようが無い

アキトとユリカ。自分の好きだった、この世でもっとも大切だった二人が人体実験の材料にされていたとき、自分はなにも知らず、ただ悲しみに塞ぎ込み、そして自分の居場所を見つけ、笑っていた

それはなんと、罪深いことなのだろうか

わかっている、詮無い事だ。都合の良い悔恨だ。自分はきっと、罪深くすら無い

罪を感じる、資格さえ無い

――― ならこれは・・・贖罪の、つもりなんでしょうか

胸に過ぎったそんな言葉に、嘲笑を浮かべずにはいられなかった

そんな立派な理由では、きっと無い

ただあのとき出来なかったことをして、満足した気になりたいだけ

いや、きっとそれすら、誤魔化しだ

なぜなら

自分はきっと、テンカワアキトの傍に、いたいだけなのだから





「通信可能領域に入りました」

「オッケー。回線開いてくれ」

ハーリーが頷く

リョーコがフクベに出した提案は、酷くシンプルなものだった

それは、説得である

とはいっても、正直それを承諾したフクベは、期待などほとんどしていなかった

言葉で解決出来る事態など、とうの昔に過ぎ去っている。だからこれは説得というよりも、説得するために接近する距離と、ルリのシステム掌握に唯一対抗出来るハーリーを前面に押し出すための口実という意味合いが強い

「・・・来ました。通信開きます」

その言葉の直後、ブリッジの中央に佇むリョーコの前に、巨大なウインドウが展開する

そこに映るのは

「・・・・アキト」

ウインドウに映る顔を見つめて、リョーコは背中に隠した両手を握り締めた

『・・・・久しぶりだね。リョーコちゃん』

どこか辛そうな表情で、そう告げてくるアキト。その表情に、リョーコの胸が痛んだ

それは、もう取り戻せない過去への想い。まだ自分達が楽しくて幸せだったときの、そんな思い出

終わってしまった、思い出

「アキト・・・・もう、良いだろ?」

そう、終わった。終わってしまったのだ。それは楽しかったときもだが、それと同時に、テンカワアキトとテンカワユリカに降り掛かった。災厄とも言える辛いときも、また、終わったのだ

火星の後継者は捕まった。テンカワユリカは行ってしまった。だが、アキトはこうして目の前にいる

「終わったんだよ・・・アキト。お前の復讐も、全部」

『ハハ・・・』

しかし、リョーコのそんな懸命な言葉に返って来たのは、笑みだった

力無い笑み

『ハハ、違う。違うよリョーコちゃん。終わってなんか無い。だって奴らはまだ・・・・生きてるじゃないか』

穏やかな口調。しかしそこには、ゾッとするような殺意と怒りと憎しみが込められていた

リョーコを見つめる瞳の光は、柔らかい。まるで小さな子供に足し算を教えるような、そんなある種の慈愛すら込められているような、そんな瞳

『俺は、テンカワアキトの代理人だ』

「・・・」

『もう予想は付いてると思うけどね。クローンなんだよ、俺。でも、記憶はある・・・だから、俺がやらなくちゃならないんだ』

「違う・・・」

リョーコが、顔を俯ける。そこから漏れ出る声にも、アキトは構わない

『彼が感じた痛み、辛さ、悔しさ、憎しみ。それは全部俺の中にある。だから、俺が彼の代行者になる』

「・・・違う」

『だってさ、そもそもおかしいだろ。アイツら、あれだけ彼を傷つけたのに』

「違う!!」

アキトの言葉は、突然のリョーコの激昂に遮られた

「違う! アキト・・・・終わったんだよ、戦争は!」

叫ぶ

「俺達の戦争は・・・・終わったんだ!!」

懸命に、言葉を紡ぐリョーコ。だが

アキトはその表情を、酷く悲しそうに歪めると、泣いているように笑った

『そうか・・・・』

「だから、戻って来いよ! 確かにお前は、本当はアキトじゃない。クローンだ。だからって、アイツの全てを背負い込む必要なんてねえ!」

『残念だ・・・・』

小さな、言葉だった。だが、たったその一言で、リョーコの全ては止まった

「・・・アキ―――」

『―――残念だよ・・・リョーコちゃん』



「チッ。ダメか」

リョーコとアキトの会話を聞いていたアキヤマは、小さくそう呟き、目線で背後にいる部下へと命令を下した



「・・・全軍、突撃用意」

フクベが、小さく腕を振り上げる



なんとか希望を繋ごうと懸命に言葉を紡ぐリョーコの背後で、ハーリーもサブロウタも、身に力を入れた

コトシロ周辺を、ピリピリとした緊張感が包む。もはや、説得は誰の目から見ても失敗だった

アキトの意識もすでに、リョーコから外れている。目線こそリョーコに向けられているが、その優れたパイロットとしての感覚は、今まさに解き放たれようとしている大艦隊へと向けられている

そしてルリもまた、同様だった。これから起こる出来事を想像して、唇から血が流れ出るほど噛み締めた

ナデシコBと、ユーチャリス、そしてフクベ指揮する連合艦隊

三者の緊張感が張り詰め、そして引き千切れる

その瞬間



全艦に、緊急事態を告げるアラーム音が鳴り響いた



「何事だ!?」

「チュ、チューリップ内部にボース粒子の増大反応を感知。何者かが強制的にここへボソンアウトして来ます」

「なんだと!?」

オペレーターからの報告に、アキヤマが声を上げた

この状況で、チューリップを通過してくる存在になど、誰も心当たりは無かった

コトシロを包囲する連合艦隊の増援ならば、こんなに唐突に、しかも強引にボソンジャンプしてくるはずがない。そもそも事前に通達があるはずだ

アキトに対する増援でも、絶対に無い。今回の彼らは完全に単独犯。そもそもそんな勢力があるはずは無い

余りに唐突な出来事に、誰もが混乱した。そして

そのチューリップから、弾き出されるように、一機のシャトルが飛び出した

それを見たオペレーターの声が、余りに非常識で場違いな物体の登場に声を裏返らせる

「民間シャトルです! み、民間シャトルが突っ込んできます!」

「民間シャトルだと!?」

驚愕の声をあげ、アキヤマはオペレーターに詰め寄る

意味がわからない。この期に及んで、そんな物がこの場に現れる意味が。それこそまだ、自分達が全く知らない第三者の勢力が、この機に乗じて連合艦隊に攻撃を仕掛けてきたと言う方が、まだ納得出来る

はじき出されたシャトルは、さらに速度を跳ね上げる

「バカ言え! ここには航宙管制が敷いてあるんだぞ!? それに―――」

『わーはははー』

そのとき、アキヤマの指揮する艦のみならず、今その場にいた全ての人間の元に、それは出現した

『えー、我々は「あいうえお団」これからちっとそこのターミナルコロニーに突っ込むので、邪魔すんなよ糞共』

『あー。ちなみにこっちのシャトルの操縦者はただの一般人で人質なんで、間違っても撃沈しようなんて思わないように』

聞こえてくる緊張感の欠片も、やる気の欠片も無い言葉。思わず呆然とするアキヤマ達の目の前のウインドウには



拳銃を突きつけられ、半泣きで助けを求める金髪の男と

『あいう』と描かれた覆面を被った灰色のコートの男と、『えお団』と描かれた覆面を被る白衣の男が、映っていた



地球時間14:15



シラキ、ヤマサキ、到着














あとがき





暑いです。溶けそうです。太陽様、本当もう勘弁してください



というわけで、第七話でした

とりあえず中盤の山場を乗り越えました、やれやれ

折角皆が真剣に頑張ってるところに、相も変わらず空気を読まない二人が乱入です

アキト君の無念を晴らすために、剣となったアキト君

自分の想いに決着を付けられず、宙ぶらりんのままのルリ君

全く正反対のようで、結構似てる気がするのは私だけでしょうか。私だけですかそうですか







次回予告



機動戦艦ナデシコ 『Imperfect Copy』



湧き上がる憎しみ



「ヤマ・・・・サキイ!!」



吹き荒れる嵐



「おい糞科学者」

「なんだい糞医者」



過ぎる、過去



「おいおい、またこんなところで寝てるのかボーイ?」

「・・・・ふん」





第八話

『悪夢、来訪』







それでは次回で









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