第五話







その日は、二日も続いた胸糞悪くなるような土砂降りの雨が、久々に止んだ日だった





白い病室だった

壁も床も天井も、まるで全てを塗り潰そうとしているような、そんな白だった

二日続いた雨が嘘のように晴れ晴れと澄んだ青空から差し込む光と風が、白いカーテンを揺らした

その中央に位置するベッドに、一人の男がまるで死んだように眠っている

――― なんで俺、こんなことしてるのかねえ

病室の壁に背中を預け、精も根も尽き果てた様子で座り込むシラキは、連日の徹夜で出来た十メートル離れてもハッキリとわかるような隈を擦りながら、くわえたタバコから立ち上る煙すら鬱陶しそうにそう思う

その目付きは、もはや犯罪者のレベルを優に超えている。ただでさえ穏やかとはいえない目付きがより一層険しくなり、彼は重度の麻薬中毒者です、今も真っ最中ですと紹介されてもああそうですかと納得してしまいそうなほどである

「・・・ったく、さっさと死ねよ。そうすりゃ俺も解放されるってのに」

「無理矢理生かした本人が、良く言うな」

零した独り言に、返って来た返答。だがそれに驚く気力も無いというように、麻薬中毒者はそのギラついた目つきでベッドを睨む

「・・・起きてんならそう言え」

「それは、悪かったな」

心底面倒そうに床から立ち上がりながら、シラキはベッドの上で横たわるアキトに目をやる

「・・・・調子はどうだよ。このお騒がせ野郎」

言葉に、アキトが僅かに目を逸らす。もはや全身どころか首から上すら動かすのが精一杯なため、その動きはよくよく注意して見ていないと見逃してしまうほど、弱々しいものだった

アキトが目を覚ますのは、実に二日振りだった。あの、ラピスがアキトの命令で生命維持装置を切るという事件が発生してから三日後、集中治療室で目を覚ましたアキトはそのまま眠りに就き、もう大丈夫と判断したシラキの指示によって、この元の病室に移された

その間、実に五日間もの間、シラキは一睡も睡眠を取っていない。なんでこんなに必死なのか自分でもわからないほど懸命に、テンカワアキトに過去起こったナノマシンの暴走記録や五感の低下率などを調べた。いつ発作が起きても良いように、待機しながら

目の前のベッドに体を預けるアキトは、まるで二日振りの目覚めによる頭痛やその他諸々の症状を全く感じさせないほど、眠る前と同じだった

それを感じる五感すら、もはや磨り減ってなくなりつつあるということを、証明するように

再び風が吹き、カーテンを揺らした

「・・・ラピスは?」

「この五日間俺と一緒に起きてたんだが、つい二時間程前にとうとうダウンした。幾らIFS強化体質者つっても、ガキはガキだな」

「・・・そうか」

それだけの会話に疲れを覚えたのか、アキトは目を閉じ、溜息をつきながらその身をベッドにさらに深く沈めた

開け放たれた窓から、外の喧騒が風と共に静かに、遠く響いてくる

「・・・もう、死なねえのか?」

ゲンナリとした目付きで揺れるカーテンを見つめるシラキが、不意にそう呟いた。まるで独り言

目を閉じていたアキトが、その目をゆっくりと開く

「・・・夢を見た」

「あん?」

「夢を、見た」

それだけで、会話が止まる。柔らかい日差しが届き、床へ壁や、天井の白に反射する

遠くで、サイレンの音が聞こえる。パトカーの音か、消防車の音か

シラキは鬱陶しそうな足取りで窓へと近づき、カーテンを完全に開ききった

少しだけ強くなった光に、目を細める。後ろにいるアキトも、同じ反応だった

くわえたタバコの灰を、下に誰もいないことを確認して窓から落すと、シラキは流れ込んでくる風に白衣を揺らしながら、一言だけ呟いた

「・・・そうかい」

その背中を見つめながら、アキトは少しだけ笑った





なんの夢を見たのか、そしてそれがどういう理由であの場面でアキトの口から出てきたのか

それは結局、わからなかった。シラキも聞かなかったし、アキトもまた教えなかったから










機動戦艦ナデシコ

 Imperfect Copy 』






『 人形、来訪 』

 

 







震えるような悪寒を押さえ込むのに、数瞬を要した

両手で、まるで自分を守るように抱きしめながら、ルリは目の前の存在に目を移す

昔、それほど遠くではない昔、自分が恋心にも似た憧れを抱き、そして結局その自分の気持ちを伝えることが出来ないまま、消えてしまった。彼へと

その彼が、不意に息をついた。疲れを吐き出すような溜息とも、安堵を示す嘆息とも取れるような、そんな曖昧な緩み

恐怖にも似た脅えを抱くルリの目の前で彼は立ち上がり、そして歩き出す

「返事は、今すぐじゃなくても良いよ」

脅えさせたことを謝るように、その声色は酷く優しかった

動けず、喉を貼り付けたままのルリの視界の中、アキトは古ぼけたアパートの入り口へと体を向ける

「どこに・・・」

それを見たルリの束縛が、不意に解けた。それはその背中がとても寂しそうだったからか、それとも別の要因なのか、ルリ自身にもわからない

ただ、放っておけないと、そう思った。このまま自分が無言のまま見送れば、二度とその背中を見ることが出来なくなると、根拠も無くそう思った

「どこに・・・行くんですか?」

やっとの思いで紡いだ言葉。その質問に、アキトが足を止める

振り返ったその顔は、またあの、自分の記憶の中にある優しかった青年の物と、同じだった

「ユーチャリスを、手に入れる」

告げられた言葉に、一瞬思考が止まる

「・・・本気、ですか?」

その言葉に答える顔は、相変わらず笑っていた





「・・・アナタ、達は?」

驚きを隠せないラピスの声に、ロウとユメは脅えるように身を小さくした

二人の金色の瞳に魅入られたかのように、ラピスは二人から視線を動かさない

その頑なとも言える視線にますます動けなくなる二人をフォローするかのように、つい先ほどラピスが出てきた扉が開いた

「その子らは、ワシの身内じゃよ」

現れたヒゲ爺は、そう言ってユメとロウの前に立ち、安心させるようにその頭に両手を置いた

「身内って・・・」

当然ながら、そんな言葉に納得するようなラピスではない。元々IFS強化体質者というのは、政府などの公的機関から、数え切れない程の許可や手続きを必要とする

両親となる人間の精神鑑定から収入などの生活に直接関わる分野。他にも幾多の検査を受け、ようやく自らの子供をIFS強化体質者として生むか、研究機関から候補の子供を授かるのだ

だがその形式そのものが、すでに形骸化し始めて久しい。それはある意味、当たり前と言えた。好き好んで自らの子供に遺伝子操作を施す親も、わざわざ世間から改造人間などと揶揄されるような子供を引き取ろうと言うような物好きも、滅多にいない

それも基準の厳しい審査を幾つも受けなければならないとなれば、尚更のことだった

「でも・・・」

そのことを告げようとしたラピスの眼前に、不意に手がかざされた。皺の寄った、老人の手。ヒゲ爺の手

「そういうことに・・・しておいてはくれんか」

どこか物寂しそうなその声色に、思わず言葉が詰まる。彷徨うように視線を巡らせれば、自分に脅えた様子の、まだ名前も知らない二人の子供が、縋りつくように目の前の老人に身を寄せている

そんな状況にどう対処して良いかわからず、ラピスはただ困ったように立ちつくす

そのとき、不意に電子音が辺りに響く。目を移せば、ラピスの左手に装着されている時計型の通信機が、赤いランプと共に着信を知らせていた

「・・・はい」

正直助かったという安堵と共にその呼び出しに応じるラピス。現れたのは、エリナのウインドウだった

背後に無機質な鉄のパイプが見える。それだけでラピスには、今エリナがどこにいるのかわかる。かつて自分とアキトが一緒にいた、ネルガル月ドッグ

だがその光景に、ふと違和感が混じった。良く見ればエリナの顔は焦りに塗れ、背後の光景を埋め尽くすように非常事態を知らせるアラーム警告が走り回っている

『ラピスちゃん!? 今どこ!?』

酷く切迫した様子のエリナの言葉だけで、事態の異常さを物語るには十分であった。その彼女の背後を、武装した警備兵が慌しく走り抜けていく

気を引き締め、ラピスはその形の良い眉に力を入れた

「今、シラキのいた診療所」

『っ』

その言葉に、驚いた様子を見せる

『・・・ラピスちゃん・・・アナタ』

「エリナが、なにか隠してるのは知ってた。教えてくれないのは、多分私を気遣ってくれてるってこともわかってる」

ラピスの言葉に、エリナの視線が彷徨うように踊る

「・・・勝手なことして、ごめんなさい。でも、どうしても知りたかった。プロスペクターが勝手にここに来たり、エリナは、ここ一年近寄りもしなかった月ドッグに急に泊まり込むようになったり」

そこで、ラピスが顔を上げた。申し訳無さそうに眉尻を下げるエリナに向けて

「アキトのことで・・・なにか、あったんでしょ?」

嘘を付くには、エリナはあまりにこの少女に想い入れし過ぎていた。その言葉に一瞬で目を見開いた表情を見せ、慌ててそれを隠す

『・・・・違う、違うのよ。ラピスちゃん』

泣きそうなその声は、一体誰に言い聞かせているのか

『アキト君は、死んだのよ』

その言葉の直後、ウインドウに映るエリナの背後で爆音が響いた

爆風がかすかに届き、エリナの髪を揺らす。それに驚いて背後を振り返った瞬間

『・・・うそ』

背中越しでも、エリナのその声には十分な悲壮感が込められていた。驚愕と共に

「エリナ?」

ラピスの言葉にも、反応は無い。ウインドウに映る背中は、ただ立ち尽くしている。その向こう、彼女の目の前になにがいるのか、窺い知ることは出来なかった

耳を埋め尽くすようなアラームの警告音と、騒々しい喧騒。その中で見えるエリナの背中が、震える

『・・・ラピスちゃん!』

まるで今自分が相対している物を見せないように、両手を広げる

『すぐに迎えに行くから! それまで絶対にそこから動かないで!』

ラピスには、なにがなんだかわらかない

『良い!? 絶対にそこから動かないで!』

「・・・どうして?」

『良いから! 今すぐ迎えに行くわ! その間誰が来ても絶対に着いて行かないで! 良い!? 誰が来てもよ!?』

まるで、小さな子供に対する注意だった。酷く切迫した様子とは裏腹なその間抜けな忠告に、ラピスは表情を困惑に染める

「どういう・・・こと?」

『説明してる時間は無いの! とにかく今は―――』

そこで、通信に異常なノイズが混じった。思わず耳を塞ぎたくなるような甲高いガラスを引っ掻くような音が辺りに響き、ラピスも、その背後にいたヒゲ爺もロウもユメも、思わず自らの両耳に手をやった

そして一瞬の後に、ラピスの目の前にあるエリナは、姿を消した

慌てて通信を再開しようと通信機を操作するラピス。だが返答は無かった。月ドッグどころか、他の場所にすら通じない。どうやら先程のノイズは、何者かによるジャミングらしい。いやそれも正確には違うだろう、おそらくこちらの通信機を無効にしたのは、ハッキングによるものだ

敵、と現状で呼べる存在がいるのかも不明だが、とにかくそれに類する存在が今、月ドッグにいる。しかも、その相手は恐ろしく電子戦に長けた存在だ。通信を妨害するだけに留まらず、その通信から直接電波を辿り、通信相手である自分の通信機まで破壊した

常識では考えられない。だがラピスはそんな芸当が可能な人物に、一人だけ心当たりがあった

――― でも

だがその思考に、躊躇いが生じる。彼女がそんな行動に出る理由がわからないし、そもそも本当に彼女なのかすらわからない。可能性は低いが、自分の全く知らないそういう存在がいる可能性も、否定は出来ないのだ

しかし、ここで考えていても始まらない。エリナは動くなと言ったが、先程の手並みを見る限り迎えなどが来る確立は、極めて低い

今からでは間に合うかどうかわからないが、とにかく行かなければならない。少なくとも自分が行けば、先程見たようなハッキングに多少なりとも対抗出来るはずだ

そう考え慌てて踵を返そうとした瞬間、目の前に二つの影が立った

思わず脚を止めるラピスの前、ユメとロウが口を開く

「・・・プロスペクターって、今」

ユメが、酷く切迫した様子で告げてくる。だがラピスには正直それどころではない。この二人の過去や現在の境遇に至るまでの経緯は気になるが、それよりもエリナの方が大切だ

半ば無視する形で尚も足を踏み出そうとしたとき、ロウがそれを遮るように立ちはだかった

「・・・なんの、用?」

苛立たし気にそう尋ねるラピスに、ロウは答えない。おそらく彼自身にも理由はわかっていないのだろう

だが、その彼を駆り立てている焦燥が本物だということは、小さく震える、小さなその体が物語っていた

ロウ自身、正直不思議だ。だが、つい先刻シラキを迎えに来た男の名もまた、プロスペクターと名乗っていた。そしてその彼の名前を口にした目の前の不可思議な少女と、そしてなにより、彼女達が関わっている事態が大変なことになっていることは、先程の通信だけでもロウにはわかった

それでも普段なら、あんな厄病白髪にそんなもん関係あるもんかと、そう思っていただろう

しかしロウの心の中に、一つだけ引っ掛かりが生じた。シラキを見送ったときの、ユメの態度と、その言葉だ

消えるのは自分達。そう呟いたユメの言葉を聞いていなかったロウにとって、その不吉なユメの態度は、シラキの危機を知らせるなによりの警鐘だった

なにも出来ないときは、引っ込んでろ。怖いと思えば逃げろ。死ぬと思ってからじゃ遅い、ヤバイと思ったら、その瞬間逃げろ。それで丁度良い。出会ってから僅か一ヶ月の間、シラキはまず自分達に口をすっぱくして、何度もそう教えてきた

戦争も終わったこの時勢に、なにを物騒なと笑った記憶しかないその言葉。しかしそれが不気味な、物質的な圧力すら持っているような錯覚を持って、ロウの背中を突き動かしていた

シラキが、危ない。根拠もなくそう思った

「シラ兄を追いかけるんでしょ?」

告げた言葉が恐らく正確ではないことは、ロウ自身よくわかっていた。目の前のラピスと呼ばれていた少女は、先程の通信相手を助けるために動こうとしている

だがそれでも、今、この場所よりはシラキに近づける

「・・・」

ラピスは無機質ともいえる視線で、ただ淡々と目の前の二人を見つめる

断るのが、正解だと思った。だがしかし、そんなことをしても恐らく無駄だということもまた、ラピスはわかっていた

断っても、拒否をしても、きっとこの二人は喰らいついてくる。一体なにがこの二人をそこまで突き動かすのかはわからないが、理由もない部分でラピスはそう察していた

睨みあうように対峙する三人。ヒゲ爺はその様子を、ただ黙って見つめている

緊迫した緊張は、しかし不意に漏れたラピスの溜息で、中断した

「・・・・良いよ」

その言葉に、光が灯ったように笑顔を浮かべるロウと、僅かに口の端を持ち上げるユメ

「い、良いの!?」

「・・・・の?」

「・・・・うん」

はしゃぐ二人の子供を見て、ラピスは自分でも不思議だとそう思った

この二人に退く気がなくても、出し抜く方法は幾らでもあったはずだ。それこそ、今ラピスの懐に眠っている、護身用にと渡された拳銃に頼れば恐らく一瞬だっただろう

だがそれをするのは、躊躇われた。それは子供に銃を向けることに対するラピス自身の躊躇にも由来したが、それよりもどこか、自分の心のどこかがそれを拒否した

「アナタたちを見てると、懐かしい感じがする」

「え?」

「・・・・?」

不思議そうに顔を向けてくる二人に、思わず苦笑する

一体この気持ちはなんなんだろうと、そう思いながら







爆炎と爆煙が、舞っていた

そこに最初から存在していた道路は、すでに見る影もないほど凄惨な光景を見せていた

コンクリートは捲れ上がり、見渡す限り一面平らな荒野だったはずのそこかしこに穴が開き、弾痕が埋め尽くす

それを岩陰に身を隠して見つめながら、ヤマサキは呆れ返る

「一体どこに、これだけ隠し持ってたんだか」

「そりゃあお互い様だろ」

呟いた独り言に、即座に返って来た返答。驚くよりも早く身を翻したヤマサキの顔面数センチを、弾丸が掠めて飛んでいった

「危ない危なーい」

一回転して体勢を立て直したヤマサキの視界。先程まで身を隠していた岩場の上に、煤汚れた灰色のコートを翻した白髪の男が立っていた

「まだ避けるかよ。いい加減死ねっつうの」

「やーだよー」

シラキの言葉にも笑いながら対応するヤマサキ。言葉が終わらない内に、白衣から取り出した無数の手榴弾をばら撒いた

「ちっ」

舌打ち一つして、シラキはばら撒かれた手榴弾など目にも入っていないように、ヤマサキに向けて駆け出した

「おやおや避けないのかい? 危ないよ?」

「もう飽きたよそのやり方にゃあよお!」

この凄惨な光景を生み出したのは、どちらかと言えばシラキよりもヤマサキの貢献が大きい

短機関銃を散布するシラキに対し、ヤマサキはの手持ちの銃は拳銃一丁。本来なら勝負にならない

だがヤマサキは、とんでもない隠し玉を持っていた。それが白衣の裏にこれでもかと縫い付けられている手榴弾だった

手持ちの銃では圧倒的にシラキが有利だったが、それによって総合的な火力はヤマサキの方が上となる。さらに性質の悪いことに、ヤマサキは手榴弾の銃と比べた場合に劣る使い勝手の悪さを十分に自覚し、煙幕弾と併用してシラキを翻弄した

近づけば煙幕を張り、離れれば手榴弾の範囲攻撃に切り替える。さらに二種類共見かけによる判別がつかないのだから、安全策をとれば近づくことすら出来ない

単純だが、やられる方は気が気ではない。手榴弾一発の脅威だけでもバカにならないのに、こちらの攻撃が煙幕によって一切無効化されるのだ

当初はシラキも、ヤマサキの弾切れを待ちながら牽制していた。だが、その気配は一向に訪れない。そして、そんな状況に痺れを切らしたこの破天荒な男がどういう行動を取るかなど、火を見るより明らかだった

ばら撒かれた手榴弾の中に飛び込むと、シラキはなんとその一つを無造作に掴み取り、ヤマサキの方に投げ返したのだ

「げっ」

さすがに顔色を変えるヤマサキ。それは目の前に迫っている手榴弾の恐怖というよりも、それを無謀にも掴んで投げ返すという行動を取ったシラキに対する驚きであった

ばら撒かれた手榴弾を拾うために、シラキもまたヤマサキに必要以上に接近していた。もしこの投げ返した手榴弾が爆発すれば、両者共無事ではすまない

「運試しと行こうじゃねえか」

笑って告げるシラキ

「面白いねえ」

笑って答えるヤマサキ

そして、二人の視界を白煙が満たした

爆発ではなかった。だがそんな事実など歯牙にも掛けず、シラキもヤマサキも目の前の煙の海に向けて互いに発砲した

一寸先も見えない白煙。しばらくその中から、延々と発砲音が鳴り響いていた

そして白煙を切り裂いて現れたシラキが、辺りを見回す。その片頬には、一筋血が流れていた。銃弾が掠ったのか破片で切ったのかすらわからない

巡らす視界の中、ヤマサキの姿は見えない。その事実にコメカミをヒクつかせながら、その手の中にある短機関銃を持ち上げる

「おいおいなんか楽しくなってきたぞ?死ねよコラア!」

白煙の外にいないのなら答えは簡単だ、白煙の中にいるはずである

シラキは笑いながら、デタラメに弾丸をばら撒く。一発当たれば痛みに声を上げるなりのリアクションがあるはずだ。もしそれがあれば、後はそこに手持ちの弾丸が切れ銃身が焼け付くまで銃弾を撃ち込めば良い

だがそこで、妙なものを見た

白煙の中。その奥に微かな、青い光が出現したのだ

「あん?」

不審気に眉を潜めながらも、やることは一つである。その光が一体どういう意味を持つのかは知らないが、発生させたのはヤマサキ以外の何者でもないだろう

罠とか囮とか、そういう思考はシラキの頭の中にはすでに無かった。最初はそれを警戒していたものの、今のシラキにとってそんな考えは面倒くさいのただ一言だ

無言のまま機関銃を向け、発砲する。手の中で暴れる銃身を押さえつけながら、シラキは笑う

だが、再びそこでシラキを違和感が襲った

着弾音が、おかしい

甲高い鉄の音を上げるその青い光を見て、シラキは果てしなく嫌な予感がした

瞬間的に、体を逸らす。間一髪、それを掠めるようにミサイルがかっ飛んで行った

「はあ!?」

あり得ない武器の登場に呆気に取られるシラキ。ミサイルはそのまま視認すら出来ない速度で飛翔し、近くの岩に当たって破壊の花を咲かせた

奇跡的にミサイルをかわしたために崩れた体勢のまま、シラキはその爆発を呆然と見つめる

そして、音が出そうなほどぎこちない動作で首を回すと、口を開いた

「・・・おいおい、反則だろそりゃあ」

「ははははは、聞こえないなー」

視界の中。薄くなりつつある煙幕の白い煙の中、それはいた

無傷のまま佇むヤマサキ、そしてそれを守るように鎮座する、五体の小型、対人用バッタが

「まあこれも僕の研究の一環でね。というよりは副産物かな。まあどっちでも良いけど」

得意気に笑いながら、ヤマサキはその右手を掲げた。その手を見つめるシラキの眼が細まる

「・・・有線操作か」

「御名答。よくわかったねー。えらいえらい」

余裕綽々に拍手をするヤマサキの右手。その全ての指先から、注意深く観察しないとわからないような細いワイヤーのようなラインが五本這い出ていた。その全ては、ヤマサキの中心に展開する五体のバッタにそれぞれ一本ずつ繋がっている

「・・・そんなデカイ虫けら五体も隠し持ってたとはビックリだなあオイ。隠し芸大会にでも出ろや」

「残念ながらこれ、隠し芸でもなんでもないんだよね。種も仕掛けも、わかれば呆れるほど単純だし」

「ほお?」

体勢を整え短機関銃を持ち直しながら、シラキはヤケクソ気味に笑う

だがもはやヤマサキは、シラキに対して欠片の脅威も抱いていないようだった。相変わらずの薄ら笑いを浮かべながら、聞かれてもいないのにペラペラと口を開く

「仕組み自体は極めて単純。あらかじめCCを内臓したバッタを適当なところに置いといて、それを自分の持ってるCCを使って引き寄せるだけ」

「そんな便利なボソンジャンプがあったとはなあ。テメエ発案か? この野郎」

「正解。前回の騒動のとき、A級ジャンパーであるテンカワユリカが積極的にボソンジャンプ実験に協力してくれたお陰でね。編み出せたよ。僕がつい最近作ったちょっと特殊なナノマシンがいるから、今世界中探してもこれ出来るのは僕だけかな? まあ、A級ジャンパーの諸君は出来るかもしれないけど」

笑いながら、右手を掲げる。その甲には、シラキが見たことも無いような紋様のIFSが浮かび上がっていた

「おうおうテメエの体使って人体実験か。ちったあ進歩したじゃねえか糞科学者」

「お褒めにあずかり至極光栄・・・と言えば良いのかなあ?」

皮肉気に口を歪めるシラキの頬に、冷や汗が一筋流れた

正直かなりヤバイ。対人用バッタといえば聞こえは良いが、実際にそれを排除しようとするとなるととんでもない量の弾薬がいる

並の銃弾ならば容易に弾き返してしまうその驚異的な装甲を打ち破るには、鉄鋼弾という特殊な弾丸が必要になる。だがまずいことにシラキは前回のテンカワユリカと関わった事件のとき、その銃弾のほぼ全てをナデシコ艦内に転移してきた対人バッタを掃討したジュンとユキナに渡してしまっていた

それから一ヶ月。まさかこんな事態になるとは露程も考えていなかったシラキの手元に、鉄鋼弾などという物騒な物が集まることはついに無かったのだ

「降伏をオススメするよシラキ君。こう見えて僕は君が結構気に入っててね、殺すのはあんまり気がすすまないんだよねえ」

「嘘つけこの野郎が」

誠意があるようで中身が全くないヤマサキの言葉に、思わず苦笑する。この男に、個人に対する執着などあるわけがない。テンカワユリカだけが例外といえば例外だったが、A級ジャンパーでもなんでもない、実験価値のまるで無い自分相手にそんなものを示すはずがない

手の中にある短機関銃の感触を確かめながら、シラキは強がりの笑みを浮かべて一歩後ずさる

「おや、逃げるのかな? ちょっと残念」

そのシラキの態度を見て、ヤマサキは薄笑いを浮かべる。逃がすつもりなどさらさら無いと、その酷薄な笑みが告げていた

だが、その笑顔を見つめながら、シラキも笑う

「わははは、バカいってんじゃねえよ」

僅かに後ろに下げた足に、力をいれ

「だーれが逃げる・・・かよ!!」

反動を利用して、駆け出した

とはいえ、距離が離れすぎている。ざっと目算で十メートル前後、肉体的には一般人を自負するシラキにとって、その距離は一瞬で詰めるには余りにも遠い距離だ

シラキの行動を見て、ヤマサキは余裕を持って手を振る。それに合わせるように、五体の対人用バッタがその八眼カメラの直下に取り付けられたマシンガンを向ける

だがそこで、一つの音が生まれた

「ん?」

眉を潜めるヤマサキの眼前、その足元に、一つの鉄筒が飛び込んできた

それに一瞬目を奪われた。シラキはそんな隙に付け入るように、すでにヤマサキとの残りの距離を半分程に縮めている

しかし、それだけだ。僅かな間注意を逸らしたからといって、やはり十メートルは遠すぎた。ここからヤマサキが改めて迎撃の態勢を整えたとしても、十二分に間に合う

だからヤマサキは、そうしようとした。仮にこの鉄筒が手榴弾であったとしても、その殺傷範囲は自分には届かない。届いたとしても、自動迎撃システムを搭載しているこのバッタ達が、即座に身を守ってくれるだろう

煙幕弾だったとしても、同じことだ。サーモグラフを搭載しているバッタにとって、視界妨害などなんの意味も持たない。これが電子機器の類を撹乱するチャフだったとしても、自分の手には有線操作のラインがある。なんの問題も無い

勝利を確信して、ヤマサキは手を振る。それに答えるように、シラキへと銃口を向けるバッタ達

殺すには、この白髪の不良成年は少々惜しい気もする。だからヤマサキは、その標準を足元に定めた。バッタの持つ火力では足の一本や二本吹き飛ぶかもしれないが、殺すよりは幾らかマシだろう

だがそのとき、またもや音がした

それが、自分の頭上で起こった軽い炸薬音だと気付いた瞬間、すでにヤマサキの視界は先程シラキが足元に寄越した鉄筒が巻き起こす白煙に、埋め尽くされていた

「っ!?」

一瞬のことに、僅かに混乱する。自分の手すら見えないような仰々しい煙の群、視界はほぼゼロ

そしてそれと同じく、ヤマサキの右手に繋がる有線からバッタの電子機器が完全に狂っているという情報が伝達される

殺気

考えるよりも早くヤマサキは、その顔を僅かに逸らした。どうやらこの白煙の中で視界を奪われているのは、相手も同様らしい。恐らく勘で放たれたのであろう弾丸は、避けるまでも無いような見当違いな弾道を描いて飛んで行った

だが、それで終わりではないと、ヤマサキの直感が告げていた

右手を振り、ヤマサキが自らの手駒達に指示を飛ばす。目の前の白煙が割れた

そして

ヤマサキの額にシラキの拳銃がゼロ距離で突きつけられるのと、バッタ達の標準がシラキへと定められたのは、全く同時だった

静止

「よーう。二秒ぶり」

五機のバッタに銃口を向けられながらも、シラキは笑っている

「本当、久しぶりだねえ」

そしてまた、ヤマサキも笑っている

互いに、詰みだった。額に拳銃を突きつけられているヤマサキと、全周囲のバッタから銃口を向けられているシラキ。二人の距離は、五十センチも離れていない。これだけ二人の距離が近ければ、バッタ達の火力ではシラキ諸共ヤマサキにも被害が及びそうだが、バッタ達のハエも見抜くような精密射撃なら心配無い

そして、バッタ達が行動を起こそうとすれば、シラキは発砲するだろう。それは逆にシラキが行動しようとすれば、バッタ達もまた行動を起こすということだ

それはつまり、二人にとっての選択肢は二つだけということ

相討ちか、退くか

「クク・・・」

「ハハ・・・」

同時に、吹き出すように二人は笑った。だがそれは間違っても有効的な笑みではない

残念そうな、そういう笑顔。相手に自分を殺してまで殺す価値が無いことを嘲るような笑みを、互いに浮かべる

そして、互いに手を引いた。シラキは拳銃を持った右手をつまらなそうにぶら下げ、ヤマサキは懐から取り出したCCを、寄り添うにように近寄ってきた五体のバッタにそれぞれ取り付けた

念じるように、手を掲げる。それに呼応するように蒼く輝きだしたバッタ達に目を細め、シラキは尋ねた

「後片付けも出来んのか?」

「んー無機物だからねえ。入り口と出口にそれぞれCCさえあれば、簡単に出来るよ」

返答と共に、光は一瞬の内に消えた。あとに残ったのは、土埃で汚れたシラキとヤマサキの二人だけだ

「さて・・・行くか」

「そうだねえ」

先程までの殺し合いがまるで嘘のように、二人は当たり前に言葉を交わした

車が壊れているため、仕方なく歩き出す。道路も路肩も、非常識を絵に描いたような二人の戦闘でボロボロだったが、どうやら決定的に使われていない道路らしい。相当な騒音が響いただろうに、通報を受けた警察などが現れる気配すらない

「あー・・・ダリイ。オメエ車とかは出せねえのか?」

「残念ながら。バッタと銃火器の類しか用意してないんだよね」

「ケッ、使えねえ奴」

そんなやり取りを重ねながら、二人は歩き出した。ここから町まではかなり距離がある

事情を聞かれるのも面倒なので、自分達が破壊し尽くしたあの道路が見えなくなったらタクシーでも呼ぼう

そう考えながら、二人は並んで歩く

何故並んでなのかといえば、背中を見せた瞬間、相手が嬉々として自分に銃口を向けてくるだろうことを、お互い確信しているからだった







暗い、暗い室内だった

簡易型のコンソールに手を滑らせながら、ルリはただ黙々と作業を続ける

――― 私・・・なにしてるんでしょう

胸によぎるのは、そんな虚しい自問だけ。なぜ仮にも軍人であるはずの自分が、こんな犯罪に手を貸しているのだろう

そこで、嘲笑がこみ上げる。なぜ自分がこんなところにいるのか、そんなことなどわかりきっている

そう、彼がいるから

死んだはずの、消えたはずの彼、はっきりと、死体まで見てその死を確認した彼

その彼が、再び現れた。記憶も外見も、なにもかも、そのままに

そしてその彼に、誘われた。ここに。ユーチャリスを手に入れるために

「バカ・・・なんでしょうね」

自嘲の念が、込み上げては消えていく

頭ではわかっている。あれは彼ではない。幾ら記憶や外見がそのままでも、彼は、もう死んでしまった彼ではない

わかっては、いるのだ

唇をキュッと噛み締め、ルリはそんな自分を誤魔化すように呟いた

「バカ・・・・ですね、私」







アラームと騒音、そして爆発によって引き起こされた赤い炎が、あらゆる場所から舞い上がっていた

ラピスと通信を行った体勢のまま、エリナは動けなかった。目の前の存在に

「・・・どう・・・して」

掠れた声が漏れる。すがっている様にすら聞こえる。弱々しく、か細い声

「貴方は・・・死ん―――」

「―――ああ、死んだよ」

遮るように、懐かしい声が漏れた。もう一年以上も聞いていなかった。あの声が

「今の俺は・・・ただの代行人だ。死んでしまった俺のために復讐する、ただそれだけの存在だよ」

声と共に、足音が響く

アキトはゆっくりと、エリナの方へと歩き始める

「その向こうに・・・ユーチャリスがあるんだな」

エリナの背後に、小さなドアがある。そこを抜けると、かつてユーチャリスが鎮座していた格納庫へと出ることが出来る

もう一年も使われていないのに、未だに同じ場所に座り続ける、ナデシコ級欠番艦

ユーチャリスはもしかしたら、わかっていたのかもしれない。こうして、再び自分が戦うことになるのを

「廃棄・・・・しなかったんだな」

二人の距離が、縮まっていく。エリナはその間、なにも出来なかった。ただ震えることしか出来ず、アキトの言葉を理解することに必死だった

だが、条件反射のように、手は懐へと伸びていた

「う・・・」

取り出したそれを、構える

「動かないで!!」

小さな、拳銃。護身用として携帯し、そして今まで抜くことすら無かったそれを、エリナは初めて構えた

震える銃口が、不確かに、曖昧に標準を定める

目の前の、アキトに

だがエリナの警告も全く意に介さず、目の前の人影は止まらない

「俺を撃とうとするなら、止めないよ」

優しい、記憶の中そのままの彼の声が、そう語り掛けてきた

エリナは、震える

「でも」

アキトはそこで、初めて立ち止まった。エリナの目の前、もはや息が掛かるほどの距離

「俺も、止まるわけにはいかないんだ」

雰囲気が、変わる。吹き出るような怒気とも殺意ともつかない気配が、アキトの全身からにじみ出るように溢れ出した

「邪魔するなら・・・・容赦しない」

それだけで、たったそれだけの言葉とアキトの表情で

ダメだった

その顔は、ずっと前に見たことがあるから。まだ、彼がその身に怒りと怨嗟と怨念を宿して、全ての元凶、火星の後継者と戦っていたときの顔に

それは、似ているなんて生易しいものじゃない

同じだった

寸分たがわず、相似などという単語すら生温いような、そんな合一

膝が崩れる。倒れこむようにその身を落としたエリナの横を、アキトはただ歩き去る

「・・・・ごめん」

呟いた言葉は、エリナに届いただろうか



ネルガル月ドッグからユーチャリスが強奪されたという情報がラピスの元へ届いたのは、それから一時間後だった








あとがき





記憶も外見も同じなら、それは一体誰なんでしょう



というわけで、第五話でした

というか、物凄くお久しぶりです

実はちょっと入院してまして、もう大変なことでした

車に轢かれそうになり、それを華麗にトウッ!と回避したら、勢いを殺しきれずこけて足の骨を折るという、お前漫画の読み過ぎみたいな展開がありました

今はもう完全完治です。いやはや、車って怖い

そういうわけで、ご感想をくださった方々、お返事が書けず本当に申し訳ありませんでした

もしよろしければ、ご一報ください。失礼でなければ、改めてお返事を書かせていただきます



一度で良いからやってみたかったコーナー



勝手に戦力分析して、それぞれの陣営を比べてみようのコーナー



アキト&ルリ組

機動戦力:ブラックサレナとユーチャリスのみですが、それぞれが一騎当千のバケモノ揃いなので、下手すると一個艦隊にも匹敵する可能性大。ルリの精神的迷い以外、不安要素は無し

白兵戦力:ルリが無力ではありますが、それを上回ってアキトのA級ジャンパーというアドバンテージが生きてくるでしょう。不意さえ突かれなければ、おそらく相当のもの

電子戦力:IFS強化体質者中最強のルリと、ナデシコCには及ばないもののユーチャリスというバックアップがあるため、おそらく現状最強でしょう

総合戦力:唯一の不安要素であるルリ以外は、恐ろしく安定して高い水準を誇る最強ペア。多分最強候補



ナデシコ組

機動戦力:エステバリスはサブロウタとリョーコのみだが、ハーリーもナデシコBを駆れるので、数なら頭一つ分抜きん出ている。旧ナデシコメンバーを再収集出来れば、十分にアキト&ルリ組を凌駕する可能性あり。現状の戦力でも、十分良い勝負は出来るでしょう

白兵戦力:生粋の軍人であるサブロウタ、リョーコが揃っているので、戦い方さえ選べればアキト&ルリ組にも勝てる可能性大

電子戦力:多少の不安はあるものの、ハーリーとナデシコBだけで標準は十分にクリア。ただ、ルリに対抗するにはまだ戦力不足か

総合戦力:安定度で言えばナンバーワン。単独でアキト&ルリ組と対等な勝負が出来る唯一の組



ラピス、ユメ、ロウ組

機動戦力:無し

白兵能力:無し

電子戦力:IFS強化体質者三名という、他の組を抜きん出た人材の豊富さを誇るが、ユメとロウもIFS強化体質者としての教育を受けていないので、実質ラピス一人分。さらにバックアップとなる戦艦もないので、かなり厳しいか

総合戦力:電子戦においては高いポテンシャルを秘めているものの、装備不足が致命的過ぎるためおそらく現状ではダントツの最弱組。機動兵器も手持ちは無く、白兵戦もラピスの持つ拳銃が一つなため、かなり厳しい



シラキ&ヤマサキ組

機動戦力:無し

白兵能力:シラキのデタラメな銃火器と、ヤマサキの有線バッタを駆使出来ればおそらく最強候補。ただシラキの手持ちの弾薬は、実はボソンジャンプ実験ドームのときの大暴れとヤマサキとの戦闘で実に手持ちの七割近くを消費している。さらに装備こそ強力なものの、それを操る二名は不摂生な闇医者とインドアな科学者なため、懐に入られると恐ろしく脆い。また、隙あらばお互いを殺そうとしているため、安定度も極悪

電子戦力:シラキは役立たず。ヤマサキが多少の心得があるものの、やはりIFS強化体質者には遠く及ばない。電子戦という分野では、間違いなく最弱

総合戦力:白兵戦のみに長けた、極端にバランスの悪いペア。またシラキもヤマサキも基本的な身体能力は凡人以下なため、戦う状況次第ではラピス組にも負ける可能性が出て来るという、おそろしく不安定な組







次回予告







機動戦艦ナデシコ 『Imperfect Copy』





現れた過去



「なにが・・・あったの?」

「ア・・・アキト・・・君が・・・アキト君が」



動き出すナデシコ



「・・・来た。ボース粒子の増大反応だ」

「こ、ここって」



やってきた、タイムリミット



「あ・・・れ・・・? 変、だ、な・・・体が」

「ユメ!? ロウ!?」





第六話

『絶望、来訪』







それでは次回で









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