機動戦艦ナデシコ
      〜機械仕掛けの天使〜
          prince of darckness編














「13番ゲート、オープン、敵のハッキングです!」

「13番?なんだそりゃ。わしゃ知らんぞ」

「それがあるんですよ」

いきなり無表情になったシンジョウが言う。

「どういうことだ!」

「茶番は終わり・・・ということですかな」

「何だと!?」

「・・・人の執念か」



第三話 至上最悪の再会、そして激闘


白銀の機体と黒の機体が先ほどより速いスピードで中を突き進んでいく。
そして、それを追う赤い機体、だが。

「おわぁ!?どわぁ!?」

爆発、閃光、そして撃墜音。
リョーコがすぐさま追撃に入ろうとした時、ウィンドウが開く。

『お久しぶりです、リョーコさん』

「ルリか!二年ぶり。元気そうだな」

『相変わらず、さすがですね』

そこらじゅうに散らばったステンクーゲルの残骸を見たんだろう。

「へっ、無人機倒したって自慢にゃなんねーよ」

『無差別に侵入する者を排除するトラップのようですね』

「ふーん」

『この先にトラップはありません。案内します』

「すまねえな」

リョーコは礼を言うが、大事なことに気がついた。

「お前、人んちのシステム勝手にハッキングしてるだろ!?」

『フフッ、秘密です』






一方、アマテラス管制室では新たな動きがあった。

「敵、第五隔壁に到達!」

「プラン乙を発動!」

シンジョウが声を上げる。

「准将、お静かに!」

「離せ!わしは逃げはせん!」

何やらアズマがドタバタしている。抑えている士官達は苦労しているようだ。

「シンジョウ君、どういうことだ!君達はいったい・・・・」

すると、シンジョウが宣言するように返す。

「地球の敵、木蓮の敵、宇宙のあらゆる腐敗の敵」

「何!?」

「我々は火星の後継者だ!!!」

そして、脱いだ服の下には、♂の書かれた服が現れた。







その頃、アキトとカイトは最終ブロックまで到達していた。

「アキトさん・・・」

「ああ、わかっている」

そして、アキトがテールバインダーについているマニュピレーターを近づけた時、後ろの壁が爆発する。

『よーし、そのままそのまま』

そう言いながらリョーコは有線交信用のワイヤーを両腕から二機に繋げる。

『俺は頼まれただけでね、この子が話をしたいんだとさ』

すると、二人のウインドウがリョーコからルリに切り替わる。

『こんにちは。私は連合宇宙軍少佐、ホシノ・ルリです。無理矢理ですみません、あなた達がウインドウ通信にプロテクトをかけていたのでリョーコさんに中継 を頼んだんです。あの・・・教えてください。あなた達は・・・誰ですか・・・?』


「・・・・・・・」

ルリの質問にカイト達は無言で返す。

(カイトの奴・・・リョーコちゃんが来るの、わかってたな・・・!)

アキトはカイト機の方をちらりと見るが、視線を戻す。

『あなた達は・・・』

「ラピス、パスワード解析」

ルリの質問をどちらとも無視する。アキト機が再びマニュピレーターを伸ばし、パスワードを入力する。

『snow  white』

「時間がない・・・見るのは勝手だ」

そして、運命の扉が開かれる。





「何ぃ!?」

隔壁の奥には信じがたいものが安置されていた。

「ルリーッ!見てるかー!?」

リョーコは信じられないのか全速で奥に向かう。

『リョーコさん・・・』

「何だよ、こりゃあ・・・」

『リョーコさん、落ち着いて』

「何なんだよ!!」

『リョーコさん!!』

ルリの声で少し落ち着きを取り戻すリョーコ。

『形は変わっていてもあの遺跡です』

そう、ナデシコが飛ばしたはずの遺跡だった。

『前の戦争で地球と木蓮がねらっていた、火星の遺跡・・・ボソンジャンプのブラックボックス・・・。ヒサゴプランの正体はこれだったんですね』

『そうだ・・・』

その時リョーコが呟くように話しかける。

「これじゃああいつらが浮かばれねえよ」

『リョーコさん・・・』

「何でコイツがこんなところにあるんだよ・・・」

リョーコの瞳には涙が浮かんでいる。

「それは、人類の未来のため!!」

辺り一面にウインドウが開かれる。

「く、草壁中将!?」

驚きに目を丸くするリョーコ。

そのとき、白い機体が腰のレールガンを放った。
それで、ウインドウは消えるがもちろん本人は死なない。
リョーコは白い機体の行動が少し理解できなかった。





「おまえにそんな事を言う資格はないよ・・・」

カイトは少し怒っていた。彼に人類の未来を決める死角などありはしない。

「!?」

カイトはこちらに向けられている殺気に気づいた。
かなり抑えられているが、カイトとアキトにはわかる。
しかし、リョーコは気づいていないようだ。
すると、いきなり殺気がするどくなる。

『リョーコちゃん、右!!』

アキトが指示を飛ばしてリョーコがようやく気づくが遅い。
回避運動をとろうとするが、完全に敵の攻撃を受けてしまった。



「ヒサゴプランは我々火星の後継者が占拠する!!」

シンジョウがビシッと言い放つ。

「占拠早々申し訳ないが、我々はこれよりアマテラスを爆破、放棄する!」

その通信はあらゆる所に送られている。ナデシコBもそうだった。

『敵味方問わず脱出してくれたまえ。繰り返す・・・・』

「律儀な人達だなぁ」

ハーリーは感心したように呟く。

「データは取れた?」

ルリからの確認である。

「はい!」

それと同時にサブロウタのエステが発進していった。





『リョーコさん、大丈夫ですか?』

「今度はかなりやばい、かな?」

炸裂ボルトで手と足を切り離すが思うように動かない。

一方、アキトは一機の六連に対してハンドカノンを放つ。
うまく先読みしているが、すんでのところで回避していく六連。
アキトはリョーコに呼びかける。

「おまえは関係ない。早く逃げろ」

『今やってるよ!!』

どうもここまで冷静なアキトにリョーコは切れたらしい。

カイトの方は6機の内、3機を相手にしていた。

(来るか・・・!)

ここでカイトはエネルギーブレードを腰から抜き放つ。
ライフルを使うと、威力がありすぎてコロニーを貫通してしまうからだ。

「一機は囮だな・・・」

一機目はミサイルを放つと早々に離脱する。
カイトは機関砲ですべてミサイルをたたき落とす。
しかし、カイトの視界は煙でほとんどない。
だが、カイトにはこんな物は関係なかった。

「あまり舐めるな・・・!」

そう言って、離脱した六連に爆煙を突っ切って見る間に迫る。そして、すれ違いざまに右腕をたたっきる。
さらに後方から左右に展開してくる二機に対してレールガンを放つ。
かわされるが、それはカイトの牽制攻撃だった。
左の一機がレールガンに気をとられた隙に六連の目前に到達する。
そして、ブレードで両腕を瞬時に切り落とす。
さらにその勢いで、最後の一機に肩のブーメランを抜き放ちざまに投げつける。
かわされたと思われたが、弧をえがいてかえってきたブーメランに左腕を持っていかれる。
そして、カイトは一旦サレナの隣に立つ。

(!?)

カイトはふと何かを感じた。何もないところから。

(ボソンジャンプか・・・!!)

カイトはすぐにそれを悟る。
すると、音が聞こえる。

『シャン・・・・』

(鈴・・・・・?)

カイトにはそんな音に聞こえた。

『一夜にて、天津国まで伸び行くは、瓢の如き宇宙の螺旋・・・・・・』

空間が裂けるようにカイトが感じた場所から赤い機体が出現する。
そして、その周りに六連がつく。
半分は中破したが、パイロットにはダメージがない。
カイトは意図的にコックピットを避けたのだ。
つまり、あの場で六連のパイロットを殺すことも可能だった。
だが、カイトは殺さない。どんな奴らでも、できる限り殺したくない。
それに、あいつらを殺すのはアキトがやることだったからだ。

(あれが夜天光か・・・)
                                                 ・ ・  ・ ・
カイトは初めて見る。実際には。データではいくらでも知っている。それにたぶんあいつらも使ってくる機体だろうから。

『女の前で・・・死ぬか・・・?』

どうやら今のはアキトに言ったらしい。奴にとってはこれが二回目の俺との面識だからわかるはずがないからだ。

『・・・・・・・』

アキトはほぼ無言だが、かなり興奮しているらしい。
顔が光り始めている。

「・・・・・・・」

カイトも黙っていた。だが、さすがにこれには怒りを隠せないでいた。
張りつめた空気の中遺跡が光ったかと思うと変化が現れる。

『これは・・・』

ルリもこの光景には驚いている。
まるで、花が咲くような形で遺跡が解けていく。

「この目で見ることになるとはね・・・」

カイトは今現れたものにかなり寒気を感じた。

「ユリカさん・・・」

そう、今現れたのはミスマル・ユリカ、カイトのよく知っている人物だった。
ただ、顔は死んだように無機質な顔だった。

ドゴォォォォォン!!!

激しい揺れと共に爆発が所々で起こり始める。

『滅』

そんな状況に構った様子もなく、無傷の3機が一斉に向かってくる。

『アキト、おい!アキトなんだろ!?だからリョーコちゃんって、おい!!』

リョーコはアキトに向かって叫ぶが今は構っていられない。
向かってくる3機に臨戦の態勢をとると、今度は天井が爆発する。

『ひっさしぶりの登場!!!』

どうやら、青いスーパーエステバリスのようだ。巧みにリョーコのアサルトピットを取り外し、持ち去っていった。
エステが去っていくのを確認すると、カイトとアキトは戦闘に入る。
アキトはまっすぐ北辰に突っ込んでいく。
六連が阻もうとするが、カイトが進路に割り込む。
そして、カイトは残りの六連3機との死闘を開始した・・・。






『バカバカッ!!戻せ!ユリカとアキトがっ・・・・!!』

「艦長命令だ。悪いな」

サブロウタのエステは爆風の中を突っ切っていた。
リョーコはああ言っているが、戻るには無理だ。
それを艦長命令を理由にごまかした。

『ルリーッ!応答しろ!聞いてるんだろ!?見てるんだろ!?生きてたんだよ、生きてたんだよ!あいつら!今度も見殺しかよ・・・!ちきしょう・・・・!』

ルリはその言葉を無視して言う。

「タカスギ機回収後、この宙域を離脱します」

このときのルリの言葉は残酷に思えた。







一方カイトは爆発するコロニーの中を戦闘中・・・。

「正直やりにくいな・・・」

六連の攻撃を軽くやり過ごしながらぼやく。
爆発ばっかりでかなり戦闘がやりにくかった。瓦礫も疑似重力で落ちてきているからさらに。

(!?・・・・なんだ?まさか・・・あいつらの一人か!?くそっ、予定よりも早い・・・・!!)

カイトはこのときコロニーの外に気配と殺気を感じた。よく探ってみると、ナデシコBが近くにいる。
これで確定した。やつらの狙いは間違いなくルリちゃんだ。
ちなみになんでそこまでわかるかと言うとこれは前も言った通り、カイトのサイコドライバーという能力のおかげだ。

「アキトさん!!」

カイトは怒鳴り気味に通信回線を開く。

『どうした?えらく焦っているが・・・』

カイトの態度を不審に思ったのかアキトが聞き返してくる。

「アキトさんに後をまかせていいですか!?」

カイトはあまり説明している暇がなかった。あちらの状況では一刻も争うためだ・・・。

『・・・いいぞ。ただし、帰ってこいよ』

「ありがとうございます。でも、久しぶりですね。アキトさんがそんなことを言うなんて・・・」

『ふっ・・・、おまえのおかげかもな・・・』

「それより、アキトさんもしっかり帰ってきてくださいよ」

『こんなところで死ぬつもりはない・・・』

アキトは決意の固い声で言った。
だが、カイトはこれ以上はかまっていられない。

「じゃあ、僕は行きます!!」

『ああ、ここはまかせろ』

アキトの返事を聞いた後、カイトはすぐさまジャンプした。








カイトが気配を感じた頃

ナデシコBはサブロウタのエステを回収した直後アマテラスを離れようとしたが、警報が鳴る。

「艦長!前方にボソン反応!ボソンアウトします!」

「サブロウタさん、出られますか!?」

『大丈夫!いつでも!』

「では、発進してください!」

『了解!!』

ついさっき回収したサブロウタのエステが発進する。
そして、ナデシコの前方で紫の機動兵器が出現する。
先ほどの赤い機体と色以外はそっくりだ。
ただ、その機体から発せられている禍々しい空気を全員が感じていた。

「相手、応答ありません!」

「サブロウタさん、攻撃してくるようなら迎撃してください」

『わかりました。・・・・クッ!!』

紫の機動兵器がサブロウタに牙をむいた。
サブロウタの放つレールガンをかなり不規則な動きで楽々とかわす。
紫の機動兵器はさらに間合いを詰めてくる。

『なんだ、あの動きは!?』

サブロウタは相手のあまりに不規則な動きにとまどっていた。
その間にも紫の機動兵器は弾丸をかわしながら距離をつめてくる。

『やべえ!!』

敵機がサブロウタの目前に迫る。サブロウタは直感的に身を捻った。
交錯する2機。
何事もないように見えたが、スーパーエステの左腕が切り落とされていた。

『マジかよ!!』

もし、咄嗟にかわさなければコックピットが破壊されていただろう。

「サブロウタさんが・・・・」

ハーリーはこの光景にショックを受けていた。
もちろん、それはハーリーだけではなく、ブリッジのクルー全員にいえることだった。
サブロウタはさらに追いつめられていく。
そして、相手の振りかぶった錫杖がサブロウタのエステに届こうという時、

「2機の間にボソン反応!!ボソンアウトします!!」

全員はその報告に耳を疑った。
ありえないからだ。2機の間に出るパイロットの考えが。

バシィ!!

今度はさらにありえない光景に全員は目を疑った。
なんとその突然現れた機体は両手で錫杖をピタッと押さえ込んだのだ。

「あれは一体・・・?」

その機体はアキトと一緒にいた白銀の天使だった。






「ふぅ、間一髪・・・・」

カイトは自分の能力で状況はだいたい把握できていた。元々カイトは超がつくほどの空間認識能力がある。さらに、人の思念波まで感じることができる。それが カイトのサイコドライバーという能力だ。そして、カイトは2機の間に機体をジャンプさせたのだ。
そのまま夜天光の錫杖を真剣白刃取りの要領で掴んだのだ。
相手もこの手には驚いているようで、動きが止まっている。
すかさず、レールガンを放つ。
夜天光は寸前でそれに気づき、後退したので直撃にはならなかった。
ディストーションフィールドのせいで損傷もほとんどないようだ。直撃なら別だっただろうが・・・・。
相手はそのままの勢いで距離を取る。

「早くナデシコと共に逃げてください」

カイトは仕方ないのでコミュニケでサブロウタに呼びかける。

『おい!おまえは・・・』

カイトの顔はバイザーと仮面で全く見えない。だから、サブロウタには誰だかわからないようだ。

「早く!!」

カイトはサブロウタの判断を急がせる。
すると、新たなウィンドウが開く。

『サブロウタさん、残念ですがその人の言うとおりです』

両者のウィンドウに現れたのはルリである。

『・・・・わかりました。艦長』

サブロウタが悔しそうに答えると、ナデシコに帰還していくスーパーエステバリス。

『あなたは何者ですか?』

ルリが聞いてくる。その顔はどこか厳しい。

「・・・・・・・」

無言のカイト。

「なんで、アキトさんと一緒にいたんですか?」

「・・・・・・・・」

カイトは沈黙をとおしている。

『・・・・・・』

「・・・・・・」

ルリは答えを待っているようだが、カイトは答える気はまったくない。
ただ、そのカイトの顔に不思議と笑みが浮かんだ。
もちろん、仮面まで被っているから表情はまったく読めないだろうが。
その後、すぐにカイトは通信回線を閉じる。
これ以上は無駄だし、自分の決意が揺らぎそうだったから。

(ごめんね・・・・ルリちゃん)

そう思ってから相手に向き直る。カイトの思惑通りナデシコは退いていった。

「さて、始めますか・・・」

カイト機が腰からライフルを抜く。そして、しばらくどちらとも動かない・・・・。
途端にカイトは両手のライフルを相手に向ける。
そのまま撃つが、かわされる。
そのまま夜天光が逆に斬りかかってくる。
それをDシールドでいなすと、再び距離をとってライフルを連射する。
しかし、相手はギリギリのところで巧みにかわしていく。

(さすが・・・・というところか。だが、まだまだだね)

夜天光がミサイルランチャーを撃ってくる。
それをすべてバルカンで撃ち落とす。
爆炎がカイトの前方の視界を覆いつくす。
晴れたときには敵機はいない。

「・・・・後ろか!」

うまいやり方だが、カイトに奇襲は通用しない。
そして、夜天光が出現と同時に錫杖で攻撃してくる。
それを飛び上がってかわし、瞬時に背後をとりそのまま腰から抜いたブレードを上から斜めに一閃する。
敵機はその動きに対応できず、機体に傷を負うが致命傷にはならなかった。
カイトの攻撃に対して咄嗟に身を引いたらしい。
再び対峙する両者。

「さて、どうくる?」

相手はまた錫杖を手に迫ってくる。
カイトもまたブレードを手に相手に向かっていった。







全員がブリッジにあるスクリーンに見入っていた。
そんな中、ルリは戦闘を観察しながら考えていた。

(かなりの技量ですね。あの機体を押している。それに・・・アキトさんとどうしていたのかも疑問ですね・・・・)

考えていたら、サブロウタが戻ってきた。

「すみません・・・艦長」

さっきの戦闘でかなりの屈辱を受けているようだ。

「いえ、それよりも大丈夫ですか?」

「はい。ただ、機体の損傷がひどく、戦闘はさすがに無理です」

「わかりました。一応待機しておいてください」

「はい・・・・」

サブロウタはかなり悔しそうだった。すると、いきなりブリッジのドアが開く。

「ルリ!さっきの白い機体が戦ってるって本当か!?」

入ってきたのはリョーコだ。さっきの事を聞きつけたらしい。

「ええ。何者かは知りませんが・・・」

ルリには誰かわからなかった。仮面まで被っていては表情も読めない。
ただ、奇妙なことにあのパイロットは通信を切る間際に笑った、ような気がしたのだ。
表情が見えなかったからはっきりとは言えないが、ルリの方を見て笑った気がしたのだ。

「でもすげえ技量だぜ、あの機体。なんであんな動きができんだよ・・・」

リョーコは驚きを隠せないようだ。
無理もない。
今も両者はめまぐるしく交錯している。
それを目で追うのも困難なほどだ。
それほどの超絶な戦闘だった。
ナデシコのクルーはこの後もその戦闘の経緯を見守っていた。







「へえ、かなりやるな。いくらこの機体の50%の性能しか出してないとはいえここまでついてくるなんて。甘く見てたな。じゃあ、そろそろ70%で行くか」

そう言うと、イメージを強くする。すると、機体のスピードが一気に上がる。
実際にはパワーなど、全機能が強化されている。
そのまま敵に突進する。
敵はいきなり上がったアルスのスピードに対応仕切れなかったらしい。
動作が1テンポ遅れる。
その遅れはカイトにとって十分すぎる時間だった。

「もらった!!」

カイトはブレードをすれ違いざまになぎ払う。
それは見事に敵の右手を錫杖ごと切り裂いた。
だが、カイトはもうライフルに持ち替えている。
背中のバーニアで反転ざまに両腕のライフル、腰のレールガンを展開する。
それを敵に向けて一斉に放った。
敵は回避しようとするが、間に合わず、左腕と左足に被弾する。
武器はほとんど奪ったし、動くのもやっとだろうから戦闘はこれ以上は無理なはずだ。
すると、夜天光から通信が入る。
回線を開くとバイザーで隠れて顔は見えないが、男のようだ。

『貴様・・・何者だ・・・!』

「それはこっちのセリフだけどいいや。目星はついてるし・・・」

『!?』

敵は訳がわからないというほど驚いている。
                                                                            ・ ・  ・ ・
「あんたの上司に伝えなよ。ホシノ・ルリを狙うんなら俺が許さないってな。そのときはもう少し本気でないと俺は倒せないぞ!犯罪者共!!」

それで、相手はさらに驚く。そして、笑った。

『なるほど・・・。貴様、あの星の手の者か・・・。いいだろう、次は覚悟するがいい』

そう言うと、敵はボソンジャンプで消えた。

「終わったか・・・」

カイトは大きく息をついた。

「しかし、A級ジャンパーか・・・。やっかいだな、これは」

そう、敵は単独ボソンジャンプをつい先ほど使った。これは想像以上にやっかいな相手だということをカイトは悟った。
状況を確認する。どうやら、アマテラスは崩壊したらしい。

「これ以上は無理だな・・・。そろそろ帰るか・・・」

そう言うと、カイトもボソンジャンプでこの場を離脱した。














あとがき

ウォッカーです。どうでしたか?今回は戦闘が主な話です。アキト、カイトと北辰、北辰しゅうとの戦闘、そして、謎の夜天光とカイトの戦闘・・・。この夜天 光がいる組織はこの話でも後の話でもかなり関わってきます。何故ルリが目的かはいずれわかると思います。・・・たぶん。カイト君の正体はバレませんでし た。用意周到ですね、カイト君。いつバレるんでしょう?それはお楽しみに。
次回はなんとあの組織の人達が登場!名前は明かしませんが・・・。ナデシコのクルー集めも見所です。よろしく!
誤字などありましたら気にしないでください。気がつき次第こちらで修正します。一応確認はしましたが・・・。
感想やアドバイスの方、よろしくおねがいします!






改訂部分

カイトのセリフ一部書き換え
文章の訂正、付け加え











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