機動戦艦ナデシコ
      〜機械仕掛けの天使〜
         prince of darckness 編





               星の数程人がいて・・・・
  
               星の数ほど出会いがある・・・

               そして、別れ・・・





第二話 動き出した復讐者


シラヒメ周辺宙域

「シラヒメ!応答してください、シラヒメ!」

オペレーターが呼びかけるが返事がない。

「負傷者の救助が最優先!フィールドを展開しつつ接近!」

この艦の艦長のアオイ・ジュンが命令を出す。そのとき、オペレーターが驚きの声を上げる。

「ボソン反応あり!」

「何!?」

ジュンはこの報告に驚くが、センサーが悪く、よくわからない。

「センサー切り替え!」

アオイの指示後、センサーが切り替わる。
すると、機動兵器の姿が映るがこんなのはデータになかった。

「何だあれは!?あれはいったい・・・?」

「さらにボソン反応!」

「な!?」

もう一機、ボソンアウトしようとしているようだ。それも確認する。しかし、それもデータになかった。

「天使・・・・?」

その機体はまさに天使とも言っていい形状だった。しかし、すぐにボソンアウトしてしまう。

「何だったんだ?いったい・・・?」

その後、その機体の話題が世界中に広まる。








とあるカイトの一室


「ふぅ。やっぱり話題になったなあ」

カイトがため息混じりに呟くと、アキトが部屋に入ってくる。

「それはそうだろう。コロニーを4基も落としたんだからな」

「ま、それはそうですけどね・・・・。北辰は?」

「すまない、逃した」

カイトはアキトの答えを聞きながらテレビに目を向ける。
そこには地球総合緊急会議の様子が映し出されていた。

「だが、これをちゃんと世間は考えてるんでしょうかね?あれから4日も経つのに」

カイトは心底そう思った。会議の様子は見ていてあほくさかったからだ。けんかをしてる暇があるのかと言いたい。

「だが、俺達は俺達でやらなければならない事があるぞ」

「確かに。今日でしたよね?アマテラスへ行くのは」

「ああ。後、8時間後だ」

「情報は?」

「これといった物はないが、ナデシコが向かっているそうだ」

「ナデシコが・・・・」

呟きながら、カイトは考える。確か、今はナデシコBだったような・・・。いかん、記憶力がないぞ、俺。もしかして、ア○ツハイマー?

「いいのか?」

「ええ。もう割り切ってますし」

カイトがそう言うので、アキトはそれ以上何も言わなかった。

「そうか・・・」

「それよりアキトさん」

「何だ?」

「俺、今からアラテラスに行ってきます」

「なんだと!?」

カイトの爆弾発言にアキトは驚く。

「大丈夫ですよ。中を見て回るだけですから。それに時間までには帰ってきますし」

「・・・・・・・」

「俺の機体の方、お願いしますよ」

「・・・ああ、わかった」

アキトはどう言っても、カイトが聞くつもりがないようだから仕方なく許可する。

「だがそれだとアラテラスに行ってるルリちゃんに見つかるぞ?」

「大丈夫。仮面でも持っていきますから」

「そこまで準備していたのか」

アキトはカイトの準備の良さに感心する。
カイトは笑顔で答える。

「はい。だてに身を隠してませんから♪」

「ただし、時間には遅れるなよ」

「りょーかーい」

そう言ってカイトは手を振りながら部屋から出ていく。その後アキトもブラックサレナの整備に向かった。








アマテラス

一方、こちらはナデシコBのクルー、ホシノ・ルリ、タカスギ・サブロウタとマキビ・ハリがいた。そして、今は統合軍の准将と向き合っている。
理由はミスマル司令からの命令で、である。


「何だ貴様らは!?」

ルリ達に対して、アズマ准将が不快の念を口にした。
それもそのはず、ルリ達は宇宙軍で、アズマ達は統合軍、お互い水面下での小競り合いが続いているからだ。

「地球連合宇宙軍小佐ホシノ・ルリです」

「同じく連合宇宙軍大尉、タカスギ・サブロウタ」

全く動じない二人。

「そんなことを聞いているのではない!なんで貴様らがそこにおる!!」

またもやアズマの怒声が部屋に響く。ハーリーだけがその声にびびっている。
ルリはシラっとした感じで続ける。

「先日のシラヒメの事件において、ボソンの異常増大が確認されています。ジャンプシステムの管理に問題がある場合、近辺の航路並びにコロニー群に影響があ ります。これはコロニー管理法の緊急査察条項が適応されますのであしからず・・・・」

ルリの口調に変化はない。当然だが・・・・。

「ヒサゴプランに欠陥はない!!」

もうすでにアズマの顔は真っ赤。ハゲだから頭も赤い。

「まあまあ、准将。宇宙の平和を守るのが我らが宇宙軍の使命。ここは使命感に燃える少佐に安心していただきましょう」

アズマの横にいた男、ヤマサキが口を挟む。へらへらしているようだが、どこか油断できない雰囲気を持っていることにルリとサブロウタは気がついた。

「おまえが言うなら仕方ない。とっとと調べろ!」

渋々承諾してくれた。それにより二人の疑問はますます高まる。

「わかりました。それでは失礼します」

承諾を聞いたルリ達は部屋を出た。

「サブロウタさん、ハーリー君、ナデシコに戻って・・・・・・・してください」

「了解!」

「え!?でもいいんですか?」

「この場合仕方ありませんから」

「・・・・・わかりました」

そう言ってハーリーも納得する。
そして、二人はナデシコに戻っていった。

(さて、どうなるんでしょうね、これから・・・)
この後、まさかヒサゴプランの見学のゲストとして行くとは少し予想外だった。




カイトサイド

「ふぅ〜。やっと終わった〜。にしてもやっぱりか。関わってるのはクリムゾンとあの国か・・・・」

今カイトはアマテラスである事を調べていた。火星の後継者の黒幕について。ハッキングのような感じで調べていたのだ。元々ばれることはないが。

「さて、終わったことだし少し歩いて見て回るか」

そう言って部屋を出る。そして、色々な所を歩くこと数分・・・。

下を方で、何やら騒がしい・・・というよりか子供の声がする。

見ると、どうやらヒサゴプランの見学をしているようだ。
すると、ある人物を見て目を見開く。

(ルリちゃん・・・・!)

カイトはルリを見た瞬間、懐かしい感じがしてくる。だが、カイトは首を振ってその感覚を押しのける。

(何を考えてるんだ、僕は・・・。未練たらしいぞ、全く・・・)

そう思って自分を叱咤する。すると、タイマーが鳴る。

「おおっと、もうこんな時間か。じゃあ戻りますか」

カイトはユーチャリスにジャンプした。




ルリサイド

「・・・・・・・・というわけです。わかりましたか?」

「全然わかんな〜い!」

マユミお姉さんはボソンジャンプの説明したが、子供達は全くわからなかったようだ。当たり前ですけど・・・・。
ていうか、思いっきりわからないと返事する子供達がすごいです。普通はしません。
小さい子供の特権なのかもしれませんね・・・。
とルリは思う。確かに大人でこれを言う人はいないだろう。

「要するに、チューリップを通ることによってとても長い距離を移動できるんです!」

隣にいるヒサゴンと一緒に模型で説明していると、パンッと弾けて中から鳩がでてきた。

「うわあ〜〜」

そんな光景をルリが見ていると、どこからか視線を感じる。
視線の感じた方を見てみるが、誰もいない。

(誰だったんでしょう?いったい・・・・)






その頃、ハーリーとサブロウタはハッキングに成功していた。

「あー、やっぱり公式にはないブロックがありますね」

「襲われるなりの理由ってやつか。よし、次行ってみよ」

次に現れたのは見た者を驚愕させる物だった。

「ボソンジャンプの人体実験?これみんな非公式ですよ!」

「おいおい、こいつは」

その時、注意というウインドウが現れる。

「あ!?」

「バレたか!?」

「モード解除、オモイカネデータブロック!」

「進入プログラム、バイパスへ!」

そして、事件は起きた。

「何っ!?」

『OTIKA』

普通のウィンドウが全部それに切り替わる。だが、それはナデシコだけではなかった。




「ハーリー君、ドジッた?」

ルリは事態が異常になったのを見て、ハーリーにコミュニケで連絡する。

「僕じゃないです!アマテラスのコンピューター同士のけんかです」

言っている意味がいまいちわからない。

「ケンカ?」

「そうなんです!そうなんですよ!」

「今の騒ぎはそいつが自分の存在をみんなに教えてるっていうか、こちらをからかっているとか・・・」

「・・・・・・・・・・」

ルリはハーリーの話を聞きながら、考え込んでいた。

『OTIKA』・・・・だが、右からは・・・『AKITO』!!

その考えが浮かんだ瞬間、ルリは走り出す。

「どうしたんですか?艦長!」

「ハーリー君、今からナデシコに戻ります!」

「え!?」

「敵がきますよ!」





「ボース粒子の増大反応を確認!」

アマテラスは突然の事態に騒がしくなる。

「数2!一機は全長10m、幅15m!もう一機は全長9mです!!」

第一次ライン上に光の粒子が形を作っていく。

「識別不能!相手応答ありません!!」

アマテラスにアキトの乗るブラックサレナとカイトのアルスが姿を現した。




「アキトさん、行きますよ」

『ああ』

今、カイトはアマテラスにジャンプした。今は羽を折り畳んだ状態である。
二機はアマテラスに突っ込む。
次の瞬間敵からミサイルが放たれる。
だが、二人はそれを楽々とすり抜ける。
そして、二人はアマテラスに向かっていった。






「すいません。わざわざ・・・・」

「いいのいいの!なんか燃えるっしょ!こういうの!」

ちなみにルリはあの後、見学の時の車に乗っていた。マユミお姉さんが乗せてくれるということだったからだ。
その代わり、スピードが反則級・・・。こっちとしてはうれしいが・・・。

(予感は的中、敵が来た)

『AKITO』

(あれは偶然?それとも暗号?でも、あの人は・・・・。あなたならこんな時どう考えますか?・・・・カイトさん)

そう思いながら、ルリは胸の前で手を握った。






ここまではかなり順調に来ていた。だが、カイトはふと、何かを感じる。

「アキトさん!」

カイトが警告した瞬間、コロニーで迷彩マントを脱いだエステバリスが出てきた。それに対し二機とも回避行動を取る。エステのレールガンの弾が脇に流れて いった。

(これは・・・・リョーコさん?)

こちらを追ってくる赤いエステに乗っているパイロットの雰囲気が彼女を似ていた。だが、そんなことを考えている暇はない。
こちらも、全速で後退した。



「皆さん、お待たせです」

『おかえり』

そんなウィンドウが表示される。

「戦闘モードに移行しながらそのまま待機。当面は高見の見物です」

「加勢はしないいんですか?」

「ナデシコは避難民の救助を最優先にします」

「はあ・・・・」

「ハーリー君」

「はい」

「もう一度アマテラスへハッキング」

「キーワードはアキトです」

「え?なんですか?それ。ねえ艦長ーー!」

ハーリーの質問を無視してルリは準備を始める。

「IFSレベル10までまでアップ。システム統括」

(アキト・・・)

ルリは昔の事を思い浮かべていた。大切な人達と生きた生活を。







白銀の機体と黒い機体を数機のステンクーゲルが追いかけていく。
それをさらに追うようにリョーコのエステバリスカスタムが。

「こらっ!邪魔すんな!そいつらは俺のだ!」

だが、言いながらもリョーコは考えていた。

(黒い機体も速いがあの白銀の機体はなんだ。あまり、スピードは変わらないように見えるがさっきの加速・・・・相当速かったぞ)

そう、さっきの白銀の機体が後退する瞬間がものすごい加速だった。信じられないくらい。リョーコはその機体に疑問を抱いた。



「第二次防衛ラインにまで、後退っと・・・・。そろそろかな?」

カイトとアキトは第二次防衛ラインにまで後退していたが、それは、囮だった。しかも自分たちを使った。



「ボース粒子増大!」

「え?」

その報告にアズマが唖然とする。
すると、白い戦艦が出現する。それと同時にグラビティブラストが放たれた。




一方、アマテラス通路

先ほどまで准将といた科学者ヤマサキが数人のガードマン達と一緒に歩いている。

「今度はジャンプする戦艦かい?」

「どうやらそのようで」

「ネルガルかね?あの連中は?」

「5分で行くと」

「わお!そりゃ大変だ!」

とか言ってるが緊張感の欠片もない。

「緊急発令!5分で撤収っ!」

それを聞いて、部屋にいる科学者達が慌ただしく動き始めた。







「敵戦艦に反撃!!」

それと同時にグラブィティブラストが放たれるが、あっさりとディストーションフィールドに阻まれてしまう。

「何だと!?」

戦艦のグラブィティブラストを易々と受けきった敵艦にアズマは驚愕した。





「よし、順調、順調♪」

ユーチャリスの介入で、敵は混乱していた。その隙に再突入する。
しかし、後ろから機体が来るのを感じる。
カイトはサイコドライバーという特殊な人間のため、他人の意志を感じとることができるのだ。
そして、その範囲はかなりの物である。
しかし、敵が後ろから少しずつ迫ってくる。

「くそっ!」

カイトは毒づきながらもアマテラスに向かっていった。





「俺の相手は奴らだ!おめえらなんかじゃないんだよ!」

リョーコは二機を追撃していたがバッタに阻まれていた。だが、次々と撃破していく。
そして、ミサイルの爆風の間をすり抜け、二機を射程にとらえる。

「そこかぁ!!」

レールガンを4発打ち込む。
黒い機体にはフィールドに弾かれる。そして、白い機体にはかわされる。

「へたっくそ!!」

『お供します!』

「これればな!!」

そう言いながら、リョーコは相手に対して全速で突っ込む。そして、二機に肉薄していった。




「不意な出現、そして、強襲・・・・・・反撃を見透かしたような伏兵による陽動、さらにポイントを変えての再強襲・・・・」

ナデシコBでルリは敵の行動をおさらいしていた。

『やりますね・・・・』

ルリのウィンドウを通じてサブロウタが出てくる。

「気づいたリョーコさんもサスガです」

『どうします?』

「待ってください」

『は?』

「敵の本当の目的、知りたくありませんか?」

ルリはそう言って不適な笑みを浮かべた。





「さて、そろそろ少し本気で行きますか・・・」

そう言った後、先にアキトがパーツのパージを始める。それがエステに襲いかかる。
そして、カイトも背中の翼を展開する。そして、敵にレールガンで、牽制をかける。
今ので(アキトの攻撃?で)、ほとんど撃破したようだが、やはり赤いエステが残っている。

(さすがリョーコさんだな・・・)

そう思っていると、コロニーにいるエステの重砲戦フレームが一斉に射撃を開始する。

「いくら撃とうがそんなでたらめな射撃で!」

そう言ってすべての射線の間を縫って回避する。同様にアキトも回避しているようだ。
確かに一斉射は脅威だが、一人一人のパイロットの照準が甘ければ、かわせないこともない。
そして、ラピスのハッキングによりゲートが開く。
これで、突破口は開いた。
カイトとアキトは全速でその中に突っ込んでいった。







あとがき
なんか中途半端な終わりのような・・・・。あまり気にしないでください(汗)。今回もカイトの視点が多いですね。実はカイトの視点が主体で書いています。 微妙におかしいかもしれませんがよろしく。次回もお楽しみに。




改訂部分
カイトのセリフ一部書き換え
一部文の付け加え
文の修正


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