機動戦艦ナデシコ
〜機械仕掛けの天使〜
prince of darckness編
第一話 始まり
ここはネルガルの会長室。あの後、秘密のドッグに入れられこうして会長を待っているだけだった。
そして、ネルガルの会長、アカツキ・ナガレが入ってくる。
「いやあ〜、久しぶりだねカイト君」
「ええ、お久しぶりです」
「確か三年ぶりだね」
「はい。それよりさっさと本題に入りましょう」
その言葉でカイトは目つきを厳しくする。
「わかった、わかった。頼むからそんな怖い顔しないでくれ」
アカツキに言われてカイトは表情を元に戻す。
「さて、君の要求は何だい?またナデシコに乗るとか?」
「いえ、それはいいです。僕が頼みたいのはテンカワ・アキトとの接触、及び彼と一緒にユーチャリスに乗艦することです」
「何だって!?・・・・・そんなことできるわけがないだろう。彼は生きて・・・」
「ない・・・ですか。そんなごまかしは僕には無駄ですよ。とっくに調べはついてますから」
アカツキはしばし顔をしかめながら考える。そして顔を上げる。
「君は彼をどうするつもりだい?」
「別に連れ戻す気はありません。ただ彼に協力したいだけです。彼はダメと言うでしょうけどね」
カイトは決意を込めて言う。その決意を見てとったアカツキは了承することにする。
「わかった。いいよ。その代わり・・・」
「見返りは?、でしょ?あの機体の予備パーツを解析するといいですよ。たいていは今では作るのが無理な部品が多いけど確実に今の機動兵器を上回るものはで きると思 いますよ?」
「わかった。これで成立だね」
「ええ。では早速彼に会わせてください」
「わかった。こっちに来てくれ」
話が終わった所で二人とも会長室から出た。
通路を歩くこと数分・・・。ネルガルのある格納庫にたどり着く。
カイトとアカツキが入ってみると戦艦が一隻佇んでいた。
(これがユーチャリスか・・・)
そして前を見ると、エリナ、アキトと隣に少女が立っていた。
「や、テンカワ君」
「アカツキ・・・!それに・・・・カイト!!?」
アカツキと一緒にカイトがいることに心底驚くアキト。無理もない、カイトは三年前に太陽系を去っていたのだから。
「おひさしぶりです。アキトさん」
「アカツキ、何故カイトがここにいる?」
何故カイトがいるのか怒りながら尋ねるアキト。
それを受け流しながら答えるアカツキ。
「カイト君とは正式にネルガルと契約してもらってね。それに彼の言う契約条件に、アキト君に会わせろ、というのがあったんでね。だから質問は彼にしてく れ」
「じゃあ、カイトなんで俺に会いに来た?」
矛先がカイトに向く。
「別にたいした理由なんてありませんよ。あえて言えば恩返し、ですかね。つまり、アキトさんの復讐を手伝ってやりたいからここにきただけですよ」
微笑みながらカイトが答える。
「何だと?」
アキトの様子を見て、かなり怒っているようだ、とカイトは思う。
「お前、わかっているのか?復讐っていうのが」
「ええ、少なくともアキトさんよりはわかっているつもりです」
「じゃあ、何で・・・・」
そこでカイトがアキトの言葉を遮って言う。
「"恩返し"といったはずですよ」
そこでアキトが切れる。接近し、カイトの服のえりをつかんでくる。
「ちょっと、アキト君!!」
エリナが止めようとするが、カイトがそれを制する。アキトがカイトの服の襟を掴んだまま言い放つ。
「だめだ!おまえに何がわかる!?それに俺だけじゃなくお前の手まで汚させる気か!?」
カイトはアキトの手をふりほどいて言う。
「別になにもわかりませんよ」
「何?」
「でもこれだけは言わせてもらいます。僕はあなたの手をできるだけ汚したくない、血なんかで。あなた一人だけにそんな大きな物を背負ってほしくないんです よ。だ からせめて僕が同じもの背負って生きればアキトさんのためにもなるからです。それが僕なりの"恩返し"です」
「そんなものが俺のために・・・」
「なりますよ。後にね」
カイトが真剣な表情で言う。
「・・・・・・」
「これでもダメですか?」
「わかった・・・いいだろう・・・」
「ちょっと、いいの!?アキト君!」
驚いたエリナがアキトに問いかける。
「ああ。カイトはこうみえてけっこう頑固だからな」
「わかったわ。アキト君がそこまで言うなら・・・」
しぶしぶといった感じでエリナが了承する。
「ではこれからよろしく。アキトさん」
「ああ」
そう言ってカイトはアキトと握手する。
カイトは先ほどからいる見たことがない少女を見てアキトに尋ねる。
「アキトさん、その子は?」
「ああ、この子はラピスっていうんだ。ほら挨拶しろラピス」
アキトが言うと、おずおずと前にでてくる。
カイトは少女の前でしゃがみ視線を合わせて自己紹介をする。
「僕はカイトっていうんだ。よろしく、ラピス」
「・・・ヨロシク」
そして、自己紹介が終わると本題に入るとする。
そこであることに気がついてアカツキに向く。
「あ、それとアカツキさん。僕が帰ってきたことは誰にも言わないでください」
「いいのかい?」
「はい。お願いします」
アカツキの確認にカイトは頭を下げてお願いをする。
「う〜ん、わかった。黙っておくよ」
「すいません」
「でもルリ君にもかい?」
「はい。自分で時が来たら言いますんで」
「そうか。じゃあ僕はこの辺で行くとするよ」
そう言って格納庫から出ていくアカツキ。
そして、カイトはアキトに向き直る。
「で、どうするつもりなんです?」
「明日にシラヒメに行くつもりだ」
「わかりました。じゃあ、僕の機体をこっちに持ってきます」
「ああ、わかった」
カイトは格納庫を出ていく。
その後カイトの機体をユーチャリスに運んだところでアキトと作戦の確認をとる。
作戦会議(?)のあとにアキトとカイトはユーチャリスの廊下を歩いていた。すると、アキトが口を開く。
「カイト」
「ん?」
「一つ聞いていいか?」
「ええ。いいですよ」
「なんでさっきアカツキにルリちゃんには戻ってきた事を言うなと言ったが何故だ?ルリちゃんはおまえにとって大切な人なんだろ?」
その質問にカイトは苦笑しながら答える。
「ええ、そうですよ。大切な人です。けど、僕はルリちゃんを裏切ったも同然なんですよ」
「どういうことだ?」
「あのとき、ルリちゃんのそばにいることもできなくはなかったんです。でも、僕は行くことを選んだ。あのときルリちゃんには、僕が必要だとわかっていたの に。そ れに、あのとき僕は彼女に別れを告げたんです。踏ん切りをつけた彼女にあまり迷惑をかけたくないんですよ・・・・」
その言葉にアキトは何も言えなかった。自分も同じことをしているからだ。だから、カイトの気持ちがなんとなくわかるような気がした。
「それよりアキトさん」
「何だ?」
「明日、がんばりましょう」
カイトはアキトに微笑みながら言う。つられてアキトも少し笑う。笑うのはいつ以来だろう。だが、カイトといれば自然と心が安らぐ、そんな感じがした。
「ああ」
そして、明日。シラヒメはアキトとカイトの手によって破壊される。
あとがき
改訂しました。色々と設定を変えてナデシコらしくしてみました。それとものすごく主語やら何やら抜けていた事をお詫びします。今後はなるべくしっかりと書 いていきたいのでよろしくお願いします。
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