機動戦艦ナデシコ
      〜機械仕掛けの天使〜
         prince of darckness編



プロローグ

銀河中心部のとある太陽系の惑星。そこは、何千ともいえる種族が加盟する宇宙銀河連合同盟の首都星。要は宇宙人または異星人 などの国家の集まりである。そしてその首都の地下にある施 設。




長い通路を一人、歩く。この人がカイト・カザマである。

(あれからもう3年か・・・・。ルリちゃん、元気にしてるかな・・)






三年前

「ルリちゃん、僕を木星プラントに先に行かせてくれないか?」

「はい、いいですよ。ただ、条件が一つあります」

「何?」

「私も連れて行ってください」

ルリの言った条件にカイトは驚く。

「え!?そんなのダメだ!あそこにどんな危険があるかわからない。だから・・・」

「ダメだっていうんですか。カイトさん、あなた一人で行かせると帰って来ないような気がするんです。だから・・・連れて行ってください」

「・・・・駄目だよ、連れていけない」

「連れて行ってください」

「ルリちゃん・・・・」

「・・・・」

ルリは視線を逸らさずにカイトをまっすぐ見つめる。カイトは自分ではルリを説得できないとわかった。

「・・・わかった。じゃあ一緒に行こう」

そして、カイトとルリは木星プラントに先に偵察するという名目で向かった。
リョーコが飛び立っていくエステを見て呟く。

「本当にあいつらだけで大丈夫か?」

それにヒカルが答える。

「信じるしかないよ。あの子たちを」

「そうだな。そうするしかないよな」



そして、ここは木星プラント。ついた後、カイト達は内部を見て回る。すると、カイトの過去の記憶が次々とよみがえってくる。

(僕は・・・・)

そして中枢部にたどりつく。カイトはコンピューターのキーをたたいてよみがえった記憶が正しいか確かめる。そして、データを見ている内に自分のよみがえっ た記憶が正しいことが裏付けられた。そして、ルリに振り向く。

「ごめん、ルリちゃん。僕はもうみんなの所へは帰れない」

「どうしてですか?」

「このままみんなの所に留まれば、ルリちゃんを、みんなを巻き込みかねない。だから・・・・」

カイトはわかってしまった。もし、このままみんなの所に帰ったとしても、あいつらが僕を連れ戻しに来る可能性がある。そのとき、関わった者は殺される可能 性はなくはなかった。だから、この決断に踏み切ったのだ。すると、ルリが答える。

「わかりました。その前に一つお願いがあります」

「えっ、何?」

「その・・・私にキス、してください。そうすれば、私も何か変えられると思いますから・・・」

「・・・・わかった」

片膝をつき、ルリと同じ目線になるカイト。ルリの腰に手を回し、引き寄せる。ルリは目を瞑り、そして唇が触れ合う。そのとき、ルリの頬から一筋の涙がこぼ れ落ちる。そして、ゆっくりと離れる二人。泣いているルリを見て、カイトはルリの涙を拭ってあげる。

「それじゃ、ルリちゃん、みんなにはごめんって伝えといて」

「・・・・・わかりました」

「さよなら、ルリちゃん」

「・・・・・・」

ルリは涙をこらえながら無言で立ち去っていく。

(ごめんね、ルリちゃん・・・)

心の中で深く謝罪しながら、ルリのエステがナデシコに行くのを見届けると、プラントの生産工場の電源をすべて切る。そして、後はタイマーをセットしてか ら、ある端末に向かって言う。

「ゲート、オープン」

すると空間がさける。その中にカイトは入る。そして、カイトは本来いた所に戻った。





現在

(あのときは戻れるかはわからなかったけど、今からやっと帰れる。帰ったらアキトさんを助けてあげよう。本当は復讐なんてよくないけど)

こちらの情報で今アキトがしようとしていることがわかった。そして、今地球に大変な事が起ころうとしていることも。そして、僕は帰る決意をした。本当はル リも助けて支えてやりたかったが、状況の関係でそれは少し無理だった。今は地球に帰る準備をしている。すると、後ろから声がかかる。

「おーい、カイトー」

「あ、チーフ」

振り返ると、技術開発担当のリーダーのチーフがいた。

「よっ。カイト、準備はできたか?」

「ええ。大丈夫です」

「そうか・・・。もうおまえが戻ってきてから3年になるのか・・・」

「はい。まさか、帰ってくるなり次の任務で、紛争を鎮圧したり、未確認の物体の調査させられたり、いろんな兵器の設計図を造るのを手伝ったり、本当に忙し い3年 間でしたよ」

「しょうがないだろ。だって、おまえ戻ったときは任務の期限がギリギリで、しかもそれまで連絡があまりなかったからな。軍を言いくるめるのも大変だったん だぞ。それに比べりゃやすいもんだろうが」

「それはそうですけど・・・ぶつぶつ

カイトが何やら愚痴っているのを無視してチーフと呼ばれる人は続ける。

「それより、いいのか?今の仕事をやめて、あんな辺境の所に行くなんて」

「ええ」

「本当はここにいて私や博士を手伝ってほしいんだが」

カイトはそれにすまなさそうに答える。

「すいません・・・・。でも、やはりここは自分の居場所じゃない。それに、助けてあげたいんですよ、彼を」

「例のテンカワ・アキトとかいうやつの事か?」

「はい。あの頃彼にはいつも助けてもらいましたから今度は僕が助けてあげたいんです。復讐のほかにも助けてやれることはありますし」

「そうか・・・どうせ止めてもいくんだろ?」

「はい、すいません、チーフ」

「気にすんな。おまえは俺たちの大事な子供でもあるからな。親が子を助けるのは当然だし。おまえが幸せならそれでいいと思う」

「ありがとうございます」

カイトはチーフに一礼する。
そして、格納庫にたどり着く。扉が開いたあと中に入る。

「あら、カイト。準備はもういいの?」

「はい」

「そう、じゃあ積み込み作業お願い」

「わかった」

チーフの指示がでると、みんな作業に入る。
カイトは自分の機体を見上げて、口を開く。

「しかし、やっぱりすごい機体ですね博士。本当に天使みたいじゃないですか」

「ええ。さしずめ機械仕掛けの天使ってところかしらね」

「でも、いいんですか?縮退路なんてものを積んで。上にばれませんか?」

「大丈夫。上には話のわかる人が何人もいるから。その辺は心配しなくていいわ」

博士(女)はそう言いながらニヤッとしている。

「なにから何までありがとうございます(いったいどんな手を使ったんだ?)」

その顔を見たカイトは内心冷や汗をかいていた。

「いいのよ。我が子の幸せのためならできる最高のことをする、それが私とみんなの意見だから」

「はい」

「おい、準備ができたぞ」

チーフが準備の終わりを言いに来る。

「そう、わかったわ。じゃあ、カイト、準備に入って」

「わかりました」

そして準備された輸送機の中に入る。

『聞こえる?カイト』

「ええ。聞こえますよ」

『今からボソンジャンプで地球までいくけど、2,3点言っておくわね』

「はい」

『予備パーツはいっぱいつんでおいたからしばらくは心配しなくていいわ。全部品しっかりとあるしね。もし、機体で困ったことがあったら渡した通信機で報せ なさい。特別品で地球からでも速攻でこっちに届くから。あと、私たちはみんなあなたの味方よ。それは忘れないで』

「わかりました。みなさん、ありがとうございました」

カイトは博士、チーフ、整備員のみんなに深々と礼をする。

『じゃあ、そろそろいくわよ。月の周辺をイメージして』

「わかりました。イメージ開始します」

(イメージ、イメージ)
輸送機の周りにボソンの光が現れる。

『いいわよ、そのまま』

じょじょに光の塊になっていく。

『座標固定よし、それじゃいってらっしゃい』

『向こうでもがんばれよ!カイト!』

『『『『『『がんばれよ〜!!』』』』』』

「・・いってきます。・・・ジャンプ」

一瞬の閃光と共に消える輸送機。

「行っちゃったわね。あの子」

「ああ」

「さて、私達もがんばりましょう!」

「ふふ、そうだな」

そして、スタッフみんな格納庫から出ていく。そして、誰もいない空間が残った。





月の近く

光が収束する。そして、はじけた後、輸送機が現れる。

「よし、ジャンプ成功」

積んでいるものをチェックする。問題がないことを確認する。

「さて、ネルガルに通信をいれるか」

周波数をあわせ、秘匿回線で通信をいれる。

「こちら、カイト・カザマ。ネルガルの会長をお願いします」

カイトはこの日、地球圏に戻ってきたのだ。











あとがき

どうでしたか?プロローグは。楽しんでいただければ光栄です。やはり書くのは疲れます。最近忙しいし。なかなか書く機会がないです(いろいろ)。
感想や意見、アドバイスの方、よろしくお願いします。では次回予告。

次回
      第一話 始まり
                          よろしく。



改訂しました。まとめて一話に書いてあるのでよろしく。あまり長いものでもないですけど。

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