機動戦艦ナデシコ

彼の悩みはなんでしょう?






  身体中が熱い。あれを見ているだけで腹の中から下へ下へと熱い流れがある。

そして目の前の少女の頬も汗でしっとりとしている。その汗で髪が頬に張り付いている様子を見るとさらに身体が熱くなる。

身体が少しの間呼吸を忘れている。それゆえ酸素を欲しがる。少し荒い呼吸を始まる。

少し視線を移して彼女に目をやると少し苦しそうに、しかしどこか艶のある表情で呼吸を繰り返す。

もう・・・

我慢は・・・

出来ない

理性が少しだけ肉体を制御する。しかし本能がそれを優に上回る。

これから快楽指数89の世界へダイブするっす!

その瞬間頭上に鈍い痛みが走った。

「人が鍋焼きうどんを食べているだけで変な妄想を撒き散らさないでください!」

顔をほのかに朱色に染めていすから立ち上がっている。カイトは頭をさすりながら答える。

「痛いな。いくらなんでも土鍋の蓋で頭殴るのは反則だと思うぞ」

ルリの足元には割れた土鍋の蓋が転がっていた。

「食堂で変な風習を流行らせないための大事な艦長の仕事です」

残ったうどんはするするっと ルリの喉を通っていく。

「いやはや近頃は洒落になんないくらい忙しいからね。こうゆう所で英気を養わなくっちゃねえ」

いつものカイトではどんなに仕事をしようとも遊びをしようともその顔に疲れを浮かべる事は無いのだが今その顔には疲労の色が浮かんでいた。

「確かに忙しいことは分かりますが・・・。食堂で妄想を飛ばすのは以後艦長権限で禁止にします」

「うーん、妄想こそ我が人生なんだが。一人で部屋でやる事にしますわ」

一人でやるのも危ない気がするが回りに悪影響を与えない分多少ましだろう。

「さて、そろそろブリッジに戻りましょうか」

そういってトレーを持って立ち上がるルリ。

「はいはいっと」

そういって二人は食堂から出て行った。




ナデシコBブリッジ


その中は死屍累々としていた。作業をしている全員の顔色が土色をしている。ただ黙々と作業を繰り返していた。

「宮仕えはつらいねぇぇぇ。こんなに残業しても手当てが出ないとは」

口はべらべらと良く動かしながらもそれと同等以上に仕事をこなすカイト。

「本当だよな。いくら人がいないからってメンテナンスまでブリッジ要員にさせんなつーのナ」

カイトの愚痴に調子を合わせるの遊び人の容姿をしたサブロウタ。いつもカイトの軽口に付き合うのはサブロウタである。しばらくすると話は昨日のナイター野球の話に飛んでいた。

「そこの二人。いい加減仕事に専念してください。いつまで経っても仕事は減りませんよ」

念のために言うとこの二人の仕事のこなしようはなかなかのものであるのだが・・・。はっきり言ってうるさい。

「それとカイトさん。ちょっとこちらへ」

ルリは手でこっちこっちとしながらカイトを呼びつける。

「なんか用かい、ルリちゃん」

テクテクとルリの近くによる。近づいてきたカイトのじっと睨み付けていたがしばらくした口を開いた。

「カイトさん。はっきり言いますけど・・・臭いです」

その瞬間カイトの顔にはものすごい驚きが走った。それはそうだろう。気になる相手から臭いだなんて言われれば。

「臭いですとナ。ワタクシめが。MY body?」

驚きが思考を狂わす。

「なんというか・・・カメムシのにおい がしますね」

ルリがそう言うと周りから声が次々と上がった。

「僕は腐ったキュウリの臭いだと思うですけど」

「あ、俺は体育会系の部室の臭いだと思ったけど」

「私は味噌のにおいがしました」

焼けた本、指の間、放置してある水桶、公衆便所、不味いラーメン屋の裏など自分の体臭について散々なじられたカイトはさすがにへこんでいた。

さすがに申し訳なく思ったのかフォローを入れるルリ。

「そのカイトさんは4日ぐらい徹夜しているじゃないですかだから心配して」

「ふっ。いいんだよルリちゃん。僕の臭いは」

世界の絶望を全て抱え込んだように嘆くカイト。

「ですから、お風呂にでも入って休憩してください」

その声を聞いてカイトとルリを除いたブリッジにいた全員が驚いた。

(聞いた!今の声)

(うん、うん。すごい優しい声だったね。録音しておけば絶対売れてたよ)

そんなほかの様相に気付くことなくカイトとルリは話していた。

「だってさぁ、早く仕事終わらせないと」

言い終わる前にルリが言葉をさえぎる。

「本当の実戦で 倒れでもしたら、その・・・命にかかわります」

顔が赤いのを隠すように下を向くルリ。そのしぐさを見てやっと

「分かりました艦長。これから8時間の休息を取ります」

「ゆっくりしてくださいね」

そういってドアを出て行くカイトを見送るルリ。



しばらくするとルリはハーリーに

「ちょっと整備班の様子を見てきますのでよろしくお願いしますね、ハーリー君」

「じゃ、じゃぼモガ」

慌てて同行を申しこもうとしたハーリーの口をサブロウタが塞ぐ。

その様子に気付かずルリはブリッジを出て行く。

「ぷはっ。何するんですか」

「残念だったなハーリー」

「ナニが残念なんですか。サブロウタさん!」

可愛そうな少年がまた一人。




カイトの部屋

「颯爽ー。蒼天翔ける日輪のー。」

調子の外れた歌声がバスルームに響く。キュッとシャワーの元栓を締める。近くにあったバスタオルで軽く身体を拭いてそのまま腰に巻く。

「風呂上りの酒がたまんないのなんの」

といいながらバスルームを出る。

「飲酒は禁止ですよ、 カイトさん」

「硬いこというなって・・・ルリちゃん!どうしたの。ッテいうかー鍵は?」

「私は艦長ですから」

さらっと職権乱用を正当化する。

「それよりもどうやってお酒を持ち込んだんですか?」

冷蔵庫から一升瓶を取り出すとグラスを持ってベットの端に腰をかける。

「そんなの決まってるじぁないか。密造酒だよ。濁酒だけどね。飲む?」

「そんな得体の知れないものはいりません」

「うまいのになぁぁぁぁ」

そういってグラスに注いだ一杯目をぐびリと飲み干す。

「でなんか用なのかな?」

カイトを見つめていたルリは慌てて口を開く。

「カイトさん。何かあせっています」

「別に焦ってはいないけど」

突然の奇妙な質問に戸惑うカイト。

「いいえ、焦っています。いくらなんでも働きすぎです。4日徹夜なんて嘘じゃないですか。7日はしているじゃないですか」

「うーん、もしかしてばればれ?」

ドスンと体をベットに倒す。天井を見つめながらポツリと呟く。

「不安なんだなー。必要とされなくなるのが。俺ってば戦争しか出来ない 出来ないし。せめて仕事は出来るようにならないとね」

心底疲れたように言葉を吐き出すカイト。そのさびしげなひょじょうを見たルリはカイトの上に手をついて覆いかぶさった。

「ル、ルリちゃん!?」

突然の出来事に吐くほど驚く。

「私じゃ、私じゃ駄目ですか。カイトさんを必要にしちゃいけませんか?カイトさんはわたしを必要としてくれませんか?」

カイトの心は熱くなった。それに情けなくなった。自分を見ててくれる人がいたのに気付かないでいじけていた事に。

「ルリちゃん」

カイトはルリの肩を掴む。ルリはその行動の真の意味を理解してまぶたを閉じる。二人の顔が徐々に近づく。しかしここでカイトが急に目をつぶる。

(あれっ、男は目をつぶらないんじゃ・・・。目を開けーー!)

と思った瞬間ドアの外から正確に言うならルリが開けっ放しにしていたドアの外から声がした。

「おーい。艦長がカイトを押し倒してるぞー!」

ドタドタっと大勢の足音が部屋の中に入ってくる。

「艦長!不潔です!」

泣きながらハーリーが叫ぶ。

「違いますよ、ハーリー君。カイトさんが・・・」

「ちょっと待てい!なんか俺に逆風が・・・」

その逆風をなくす為に立ち上がったカイト。しかし風呂上りのために腰にはタオル一枚。しかも入り口付近にいた連中に駆け寄ったために・・・。

「何出しとるんじゃーーー!」

その光景を見た奴らはUMAを見たという・・・。

ちなみにルリちゃんは見ていなかったらしく何となく悔しかったらしい。





最低の落ちですまんです。




関係ないけど阪神・井川投手オールスター人気投票一位記念&完封オメデトウ記念だと思って読んでください。あんまり気にしないで呼んでくださいね。変なテンションで書いてますから。




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