機動戦艦ナデシコ外伝

彼女が失恋した日

作:たのじ
 
 皆さん、こんばんは。或いはお早うございます、はたまたこんにちは。連合宇宙軍第四艦隊所属、機動戦艦ナデシコC艦長、ホシノ・ルリ中佐です。少佐ではないかって? それは三時間前間での話です。私、この度『火星の後継者』の反乱鎮圧の功績を評価されて、昇進しました。
 ちなみに、ハーリーくんとサブロウタさん、リョーコさんも昇進してます。ミナトさんや他の皆さんも、軍から感状とその他が贈られてます。
 で、今日はなんの日かと言いますと、数ヶ月間続いた軍と政府主催の(決して楽しめたわけではない)祝勝パーティーその他イベント攻撃がやっと終わったので、身内だけでパーティーを楽しむ日なのです。まだ死ぬほど忙しいはずのアカツキさんも、エリナさんに仕事を押しつけてやってきました。
 ……知りませんよ? 気が付いたら会長室を取られてしまっていても。
 閑話休題。
 本当は、このパーティーにはもう二人、いなければならない人がいます。『火星の後継者』達に五感のほとんどを奪われ、そしてあの日以来、姿を消してしまったテンカワ・アキトさん、そして長期に渡る囚われの日々と、遺跡との融合の結果、衰弱著しいミスマル……、いえ、テンカワ・ユリカさん。
 イネスさんによれば、お二人とも、命に別状はないとのことでした。確かに、ユリカさんは衰弱してはいましたが、五体満足です。それどころか、遺跡の影響か、体の中は以前よりも綺麗になっていたそうです。まるで、念入りに掃除をしたかのように。
 私達にとっては物足りない感が拭えませんが、延々と落ち込んでいても状況が良くなることはありません。この辺で気分を入れ替えて、『本当に全員揃っての』パーティーをやるために英気を養おう、それがもう一つの、今日の目的でもあります。
「それでは……、かんぱい」
『カンパーイ!!!』
 私が音頭をとり、パーティーは始まりました。今日は身内ばかりなので、私もようやく礼服を脱いでパーティーに参加できます。先日までのパーティーでは、礼服を着て上座に並ばされ、飲み物を口にする暇もないほどひたすらお客さん達と話をするばかりでした。あれでは、とても『パーティーに』参加したとは言えません。
 髪を下ろしてお気に入りのカスミソウのデザインの髪飾りをつけ、これまたお気に入りのワンピース。場所が場所ですし、参加者があれなので、これ以上のお洒落はリスクを伴います。動きが鈍くなっては、不測の事態に対処し切れません。……実際、アカツキさんがビールかけの標的……、というか、一方的に濡れネズミと化してます。
 それからこの会場は、以前私が拘留されて、その後もしばらく暮らしていたサセボシティの、ちょっと有名な洋食レストランを借り切ってます。雰囲気と味がいいことで知られてますから、料理も騒ぎも味わい尽くす私達にとっては最高の選択と言えるでしょう。
「あら、ルリちゃん! 綺麗になったわね?」
「お久しぶりです。今日は、ご迷惑をおかけします」
「何言ってんの! お客様が遠慮しないの! こっちは商売なんだから、たっぷりおいしいもの食べさせて上げるわよ」
 この方は、このレストランのコック長さん。まだ(ホウメイさんよりずっと)若い女性の方なのに、厨房を完全に掌握してます。実は、テンカワさんの縁もあってこの人の知り合いだったおかげで、ここを借り切ることが出来たんです。知り合った頃はまだただのコックさんだったんですが、二年で前任者を蹴落としたとか。なかなかの女傑さんです。
 楽しんでいってよ、と気持ちのいい笑顔を残して、コック長さんは行ってしまいました。まだまだパーティーはこれからですから、あの人も忙しくなるんでしょう。
 私も、今日ばかりは湿っぽい雰囲気は抜きにして、楽しむことにしましょうか。
「かーんちょー! これ、おいしいですよー!」
 ちょうどハーリーくんも呼んでますし。きらきらした目と、如何にも構って欲しそうな表情がまるで子犬みたいです。私はどちらかというと猫の性ですから、あまりまとわりつかれるのは好きじゃないんですけど……、可愛い後輩で部下だということは、紛れもない事実ですからね。
「はい、どうぞ!」
「ありがとう、ハーリーくん」
 コック長さんのお薦め、このレストランの名物特製リゾット、おいしいです……。
 
 
 宴もたけなわになり、程良くお酒も回ってきました。私はまだ未成年? 気にしないで下さい、どうせナデシコクルーの居る場所は、治外法権です。警察だって、オモイカネで情報封鎖すれば気づきやしません……ひっく。
「……というわけなのよ。漫画家なんてやってると、いい男捕まえるのは難しいのよー」
「お前、漫画が恋人じゃなかったのかよ?」
「昔の大先生も言ってるわ! 『それはそれ、これはこれ』よ!!」
 いつの間にか、私の周りでは恋愛経験の暴露大会になっていたようです。ちょうど、ヒカルさんの話が終わったみたいですね。何故か混じっているハーリーくんが、興味津々の表情で聞き入ってます。……若いですね。
「ルリルリぃ、今度はあなたの番よ?」
 ……ミナトさん、いつの間にそんなことが決まったんですか? 思い切り睨んでみましたが、ミナトさんにはどこ吹く風、涼しい顔で早く早く、と急かしてきます。
 周りの皆さんも、興味津々の表情で私を見つめてます。気が付けば、話に加わっていなかった人達まで……。なんですか、ハーリーくん。目つきが普通じゃありませんよ?
「いえ! なんでもありません! 僕は別に、き、聞きたいというわけじゃ、その、ありますけどそんな!」
 まあ、いいでしょう。皆さん聞きたいようですし、こうなっては逃げ場もないようですし……。あのことも今ではいい思い出ですから、話して上げます。
 ……やっぱり、私も酔っていたんでしょうか? お酒の勢いって、怖いですね、くす。
「私はその時初恋と、初めての失恋を経験しました……」
 椅子が倒れる音がしました。五月蠅いですよ、ハーリーくん。いきなり立ち上がったりして。大人しく座っていなさい。
 そう、あれは、もう二年以上も前……。
 


 早朝の澄んだ空気は、冷たいですけど、とてもすがすがしい気分にさせてくれます。私は今日も、いつものように朝霧の漂うこの公園にやってきました。もうこの朝の散歩も習慣ですけど、二月の空気は、やっぱり寒いです。
 ――チリンチリン。
 そして、ベンチに座って休憩する私の耳に、聞き慣れたベルの音が聞こえてきました。この時間にここに来ると、必ず聞こえる自転車のベルの音。
「お早うございます、ミカさん」
 ――お早う、ルリちゃん。
 その自転車の主は、いつもの笑顔で私の目の前に自転車を止めると軽く腰をかがめて、ミカンを一つ、手渡してくれました。
 皮を剥いて、みずみずしいミカンを一房つまみ出します。噛み締めると、口の中に程良い甘さとほのかな酸っぱさが広がりました。
「……おいしいです」
 ――よかった。ミカンもそう言ってもらえたら、きっと満足してるよ。
 どう表現すればいいでしょうか? ”ミカさん”の笑顔は……。そう、ホウメイさんを若くしたような、そんな印象です。
「いつも、ご苦労様ですね」
 ――あはは。朝一番で仕入れをするのは、コックにとっては常識だから。この位、慣れれば朝飯前。
 そう、ミカさんはコックさんなんです。ただし、テンカワさんと違って洋食がメイン。このご近所のレストランで働いているそうです。
 この人と知り合ったのは、私がテンカワさんの屋台を手伝っていた時でした。ミカさんは、料理の修行を兼ねて色々な店を――屋台だろうと高級レストランだろうと――食べ歩いたりするそうなんです。その時は、たまたまテンカワさんの屋台に辿り着いたんですね。
 ミカさんとテンカワさんは、当然初対面ですが波長が合ったんでしょう。その場でジャンルを越えた料理談義を始めて、すっかり盛り上がってしまいました。ユリカさんがいたら、その様子に癇癪玉を破裂させましたね、きっと。それくらい、お二人は仲良くなったんです。
『カザマさん、また来て下さいよ!』
 ――ミカでいいよ、アキトくん。友達は、みんなそう呼ぶから。
 その夜は、私はテンカワさんのおまけで自己紹介をしただけで、ミカさんにそれほどの興味はありませんでした。ちょっと変なお客さん、もしかしたら常連さんになるかもしれない人、というだけのことでした。
 ところが次の日の朝、私が健康のために始めた日課の散歩の途中。
 ――あれ? きみ……、アキトくんの屋台の子?
 私は、言われただけでは気が付きませんでした。お客さんは少ないなりに結構います。一度見ただけの顔を思い出せといわれても、そうはいきません。……よっぽどインパクトのある人ならともかく。
『あなたは……カザマさん、でしたか?』
 ――昨日、ミカでいい、って言ったよ?
『……はい。で、なんですか、ミカさん?」
 ――ん? 知り合いに会ったら、挨拶するのは当然。そうだ、お近づきの印に、仕入れたてのおいしいリンゴをご馳走してあげる。
『皮が付いたままですけど』
 ――ルリちゃんには、食べにくい? じゃ、ちょっと待ってね。
 いつの間にか、私もペースに巻き込まれてしまっていました。気が付けば、私はベンチに隣り合わせに腰を下ろし、ミカさんが見事な手つきでリンゴの皮を剥く姿を眺めています。
 ――はい、どうぞ。
 ……その果物ナイフと楊枝は、どこから出てきたんですか?
 ともかく、私とミカさんの本格的な出会いは、これが最初でした。
 
 
 ……その街で暮らしていた頃、私はテンカワさんのお手伝い以外には特にする事もなく、正直言って少々暇を持て余していました。ミナトさんとユキナさんの所に遊びに行くこともありましたが、毎日入り浸っているわけにもいきません。
 ですから、私は必然的にぼんやりと色々なことを考えることが多くなりました。
 これまでのこと、これからのこと、自分のこと、オモイカネのこと。一緒に時間を過ごした大切な人達のこと、今一緒に暮らしている人達のこと……、テンカワさんのこと。
 白状します。私はもうその時、テンカワさんのことが好きだった……のでしょう。ユリカさんのように、言葉に出すことは出来ませんでしたし、そもそも自覚していませんでしたが。
 でも、それでもその想いは確かに私の中にありました。馬鹿正直で、不器用で朴念仁で、見ていて安心などさせてくれない人なのに、私はその姿を見ずにはいられませんでした。ナデシコに乗っていた当時の説明は省きます。皆さんは、もうご存知ですから。
 そして、ナデシコを降り、一度お別れしてから僅かなインターバルを置いて始まった共同生活。ナデシコに乗っている間に、それまで知らなかった『感情』を得て、それを大事に育てている最中だった私の目に、テンカワさんの姿は、以前よりも眩しく映りました。
 夢を語るときのきらきらした瞳、おいしいラーメンを、自分だけの味を作ろうと、寸胴鍋の前で汗まみれになって試行錯誤する一生懸命な姿。試作品の味見をする私を見るときの、真剣な目つき。そして、『おいしい』と言ったときに見せてくれる、とっても素敵な笑顔……。
 そんなこんなで、私が考えていることといったら、いつの間にか、ほとんどがテンカワさんのことになってしまっていました。
 そして、お話は続きます。
 
 
 時折溜息を尽きながら、私はいつもの公園へと足を踏み入れました。時間は早朝、たまに早朝ランニングをしているおじさんや、犬の散歩をしているおじいさんに出会うくらい。おなじみになった顔にお早うの挨拶をして、私はこれまたいつものベンチに腰掛けました。
 そして、待つこと五分。計ったようにきっちりと、いつもの時間にミカさんはやってきました。
 ――や、おはよ。
「お早うございます」
 挨拶もいつもの通り、ミカさんからです。いつの間にか、こうして会うのが完全に習慣になってしまいました。
 ――今日は、ちょっといい顔してるね? 大好きな王子様とのことで、進展でもあった?
「そういうわけではないんですけど……。昨日、屋台に出した新作ラーメンがお客さん達に凄く好評だったんです。テンカワさん、凄く喜んでて……」
 ――ルリちゃんがレシピ作りまで手伝ったヤツだね? それで機嫌が良かったんだ、おめでとう。
「ミカさんがヒントをくれたからです。本当に、ありがとうございました」
 ――あはは、ほんの一言二言だよ。そんなにあらたまらないで。作ったのは、アキトくんとルリちゃんなんだから。
 短い時間ですけど、私とミカさんは色々な話をします。時には、私の悩みを聞いて、助言をしてくれたりもします。
 最初はなれなれしく話しかけてくることに不審の念を持ったりもしましたが、今ではそんなことは全くありません。親身になって相談に乗ってくれるミカさんに、感謝の念すら持っています。
 思春期の少女というものは、何かと悩み事が多いですから……。
 いつの頃からか、私にとってのミカさんは、テンカワさんとユリカさん、それにミナトさんの次に信頼できる大人の人になっていました。
 ……でも、ミカさんの実年齢が、実はまだ十九歳ということにはびっくりしました。懐が広くて落ち着いていて、もっと年上かと思っていたんですが。その落ち着きぶりからは、とてもテンカワさんより年下だとは思えません。『大人』な物腰が実に様になっています。
 一度正直にそう言ったら、『老けて見えるだけ』と苦笑で返されてしまいました。
 確かに、『老成している』と言えなくも……。
 それはともかく。
 とりとめのない話をしているうちに、いつの間にかないようが恋愛相談の様相を呈してきました。そういう状況はこれまでにも何度もあったので、特に珍しいということではないんですが。
 ――ルリちゃんも、大変だね。好きになったアキトくんには、もう相思相愛のユリカさんという人がいる。そしてそのユリカさんも、やっぱり大好きな人……。アンビバレンツなんだ。
「はい……」
 私は自分のことをすっかり話してしまっていましたから、ミカさんはほとんどの事情をご存知です。ユリカさんにも会ったことこそありませんが、どういう人なのかは把握されてます。この人は、特に話術が巧みというわけでもないのに、私の警戒心を簡単に切り崩してしまいました。
 聞き上手というか、安心できる雰囲気を持っている人なんですよね。
 でも流石に、私がナデシコのオペレーターをしていたことや、ボゾンジャンプやらに関することは別です。機密に触れることもありますから、相談内容はあくまでプライベートに関することだけです。
「私は……、お二人に幸せになって欲しいと思っています。私のことを『家族』と言ってくれた人達ですから、大事な人達ですから。でも、心のどこかで、テンカワさんをユリカさんに取られたくない、って思ってるんです。仲間外れになるのは、いやだって……」
 私の告白を、ミカさんは黙って聞いています。うつむけていた顔をふと上げると、腕を組んで眉根を寄せながら、難しい顔のミカさんが目に入りました。本来赤の他人のはずの私のことで、この人はここまで悩んでくれます。だからでしょうね、私がこの人を信頼するのは。
 ――そんなにアキトくんのことが好きなら、奪ってみる? その、ユリカさんから。
「そ、そんなこと、出来ません!」
 しかし、呟くように耳元で囁かれたその言葉は、信じがたい内容でした。いえ、信じる信じない以前に、私が絶対に出来ない内容だったのです。
「お二人を引き裂くなんて、そんな……出来るわけありません!」
 ――アキトくんが好き、でもユリカさんも好き。二人には幸せになって欲しい、でも仲間外れはいや……。難しい、ね。
「……」
 ――こればっかりは、ね……。どうするかはルリちゃんが、自分で決めないと。今、ここで無責任に焚き付けることもできるけど、そういうことはしたくないから。
「はい……」
 ――よく考えて。自分が、何を一番に望んでいるのか。心の中の声が、本当は何を言っているのか。よーく耳をすませて、ね。
 何を望んでいるのか――。
 その一言が、私の深いところに、深く鋭く突き刺さりました。一番、何が、誰が一番なのか? テンカワさん? ユリカさん? どちらとも言えますし、どちらとも言えません。
 昔の私なら、その問いに対して口ごもることなどなかったのでしょう。最優先するべきことをためらいもなく選び出し、その他のことにも整然と順列をつけ、当然のように後回しにして処理しようとしたでしょう。
 ですが、今の私に、この事柄に関しては、そうすることは出来そうにありません。お二人のどちらも、私にとって、とても大切な人――。
「……はい」
 いくら考えても、答えは出てきそうにありませんでした。それでも、私はどうにか頷きました。ただ頷くだけのその行動が、精神的にひどく、疲れる行為でした。
 ――じゃあ、これから仕事だから。ルリちゃん、また明日。
「……今日も、ありがとうございました……。お仕事、頑張ってください」
 ――ゆっくり考えて。ゆっくり、ね。
 もう、私には何も言えませんでした。
 遠ざかっていく自転車を、ミカさんの背中を、私はじっと、見えなくなるまで見送っていました。
 
 
 ――あの時の問いの答えを、その頃の私は持っていませんでした。それどころか、問いの意味さえ理解していませんでした。私は、必至に考えました、考えて考えて――、でも、答えは見付かりませんでした。
 当然ですね。私はその時、テンカワさんとユリカさんとどちらが大事なのか、そればかり考えていたんです。
『心の中の声が、本当は何を言っているのか』
 ミカさんは、ちゃんとヒントを教えてくれていたのに、それに気づきもせずに。
 本当に好きな人に、順番なんかつけられないのに。
 ただ、『好き』の形が違うだけなのに。
 私は、とうとうその答えに行き着くことは出来ませんでした。それを教えてくれたのは、やっぱりミカさんでした。それは、私にとって忘れられない夜の明けたとき。テンカワさんが、ユリカさんにプロポーズした次の朝。
 ――私が、失恋した次の朝のことでした――。
 
 
 いつもなら清々しいと感じる早朝の澄んだ空気も、今の私には、何の感動も与えてくれません。私の心のほとんどを占めているものは、昨夜風に乗って聞こえてきた、テンカワさんの一言。
『す、するぞ、結婚!』
 わかっていたはずです、こうなることは。相思相愛のお二人の間に割り込めるはずが無かったの……です。
 そして、一夜明けて、ほとんど眠れなかった私は、それでも昨日までと同じように公園のベンチに座っています。
 ――チリリン
 聞き慣れたベルの音、そして、ブレーキの音。俯いた私の視界に、誰かの――言うまでもなく、あの人の――姿が入ってきました。
 ――どうしたの、ルリちゃん? 随分とへこんでるじゃない……。
 予想通りの優しい声に、重く沈んでいた心が、少し軽くなるのを感じます。この人は、今も本気で私のことを心配してくれる。僅かな言葉から伝わってくる暖かい気持ちが、とても心地よいものでした。
 それでも、私はまだ顔を上げることが出来ず、俯いたまま重い口を開きました。
「……テンカワさん、ユリカさんにプロポーズしたんです」
 ――そっか、ルリちゃん、ふられちゃったのか……。
「……それ以前の問題です。私は、告白もできませんでした……。それに、ミカさんの質問にも、答えを出せませんでした。私は、テンカワさんかユリカさんか、どちらが一番なのか選べなかったんです」
 頭の上から、溜息の音が聞こえました。いくらミカさんでも、今度ばかりは呆れたんでしょう。あれだけ親身になって相談に乗ってくれたのに、私はそれを全く活かせなかったんですから。いつも優しかったその顔に浮かんでいるのは、一体どんな表情なんでしょう?
 おそるおそる顔を上げると――、そこには、苦笑を浮かべたミカさんの顔がありました。お世辞にも美人とはいえませんが、どこか愛嬌のある顔立ち。その目には、私が恐れていた様な色はなく、むしろいつもよりも暖かな眼差しを、私に投げかけてくれていました。
 ――ちょっと、ゆっくり話をしよっか。ついてきて。
 断る理由はありません。このままアパートに帰る気もしませんし……。
 私は、ゆっくりと自転車を引くミカさんの後について、のろのろと歩き出しました。
 十五分も歩いたでしょうか? 繁華街の中心から少し離れたその場所、歴史を感じさせる瀟洒なたたずまいの建物の前で、ミカさんは足を止めました。「洋食屋 サフラン」という看板が出ていますから、ここがミカさんの職場なのでしょう。
 ――荷物をおいてくるから、入り口の前で待ってて。すぐに開けるからね。
 言い残して裏手に回るミカさんを見送ると、私は言われたとおりに入り口の前に立ちます。すぐに鍵の外れる音が聞こえて、開いたドアからミカさんの顔が出てきました。
 ――開店にはちょっと早いけど、いらっしゃい、ルリちゃん。
 お定まりの挨拶を済ませると、ミカさんに手を引かれ、お店の隅のテーブルに案内されました。ちょっと薄暗い照明の下でしたが、向かい合わせに座っても顔が見えないほどではありません。静かな店内に、奥の厨房から仕込みをしているらしい物音が聞こえます。
 テンカワさんがアパートの台所で仕込みをしているときも、こんな音が聞こえて来るんですよね……。
「……いいんですか?」
 ――朝の仕込みからは抜けさせてもらったから、時間なら大丈夫。
 店内は、落ち着いた品のいい装飾が施され、ずいぶん居心地が良さそうでした。この雰囲気ならば、多少味に問題があっても、楽しんで食べることが出来るのではないでしょうか?
 そんな失礼なことを考えていられるほどの合いだ、私たちは無言で向かい合っていました。言い返せば、そんなことでも考えなければ間が持ちませんでした。私を見つめるミカさんの目は、――あの暖かさはそのままでしたが――とても真剣で、受け止めることも反らすことも、とても難しかったのです。
 かといって何か言うことも出来ずに、私はますます押し黙ってしまいました。そして、遂に目を逸らして俯こうとしたとき、ミカさんは閉じていた口をゆっくりと開きました。
 ――まず、君の間違いを教えてあげる。君は、この前の質問を、最初から勘違いしてる。
 ミカさんに『君』なんて呼ばれたのは、初めてでした。
 ――あの時、君に『アキトくんとユリカさん、どちらかを選びなさい』なんて言ったつもりはなかったよ。『自分が何を望んでいるのか、考えなさい』とは言ったけど。……だいたい、『本当に好きな人』に順番をつけるなんて、できっこないよ、きっと。
 ますます、私はミカさんの目を見られなくなりました。
 ――君が、ちょっと前まで居た場所の話……、詳しいことは話してもらえなかったけど、そこでの生活が、君にとってとても大事で、思い出深い場所だった、っていうことは、よくわかったよ。
 突然、話題が切り替わりました。確かに、ナデシコ時代のことを少し話しましたが、何故それがここで?
 ――そこで、君はいろんな事を知ったんだよね? 人を好きになったのも、そこだったんでしょ? でも、そこは、随分と極端な場所だった……そうだよね?
「……はい」
 ――いろんな女の人がアキトくんのことを好きになって、最後にはユリカさんがアキトくんの恋人になったんだよね。……そして、君もアキトくんのことが好きになった。
「そうです……」
 ――まず、最初の勘違いはそこだね。人を『好き』になることがどういうことか知らなかった君は、人を好きになるということが、アキトくんと周りの人達のような関係だと思っちゃった……、いや、刷り込まれちゃったのかな? 意識してなくても、『好き=恋』だと思いこんだんだね。君の年頃で初めてそれを知ったのなら、わからなくもない結論だけど。
 わかりません……。ミカさんは、何を言いたいのでしょう? ですが、わからない中で、私は奇妙な不安にかられていました。このまま話を聞いていてはいけないような、そんな不安。
 ――君は、アキトくんへの好意を、『恋』だと思いこんだ。素敵な年上の人への憧れ、というのはよくあるよ。自分にも、そういう経験があるから。でも、『好意』と『恋』は決してイコールじゃない。……君は今まで、アキトくんに『恋』をしていたんじゃなかったんだね。『恋をしているつもり』だったんだよ。
「……!」
 声が出ません。否定したいのに、声が出ませんでした。突きつけられた言葉の鋭さに、視界がぐるぐる回るような衝撃を感じました。
 ――『恋に恋する年頃』って、よく言うね。君は、アキトくんに『恋』をしていると勘違いしてただけ。
「勘違い……?」
 ――そう。
 ミカさんの目は――、真っ直ぐで、暖い、いつもの目でした。いつも私の相談に親身になって答えてくれる、あの目です。
 今までの私は、ただ勘違いしているだけだった――。すぐにでも声を上げて否定したいのに、出来ません。出来ませんでした。私の想いには、心には、それだけの力がありませんでした。ミカさんの言葉に、納得してしまっている私がいました。
 私は、愕然としました。大切に育てていたと思っていた恋心が、真っ向から、反論の余地のないほど、完全に否定されたのですから。目の前が暗くなる、というのは、こういう気分を言うのでしょう――。
 体の奥から、がくがくと震えが沸き上がってきました。
 そうした私を見ながら、ミカさんは続けました。
 ――そして、ユリカさんに対しても、君は同じように好意を持っていたんだね。だから、そんな二人の、どっちが一番かなんて、決められないよ。『お父さん』と『お母さん』、どっちも大好きな君が順番なんてつけられるわけがないよね。それが、一番の勘違い。まだ本当の恋を知らない君は、家族への愛情と、異性への恋心の区別が付かなくって、そこにあんな質問をされて、結論なんて出せないループにはまっちゃった。
 自分がとても愚かでどうしようもない存在に思えて、消えてしまいたい、と本気で思いました。
 ……でも、ミカさんの視線と言葉は、やっぱり暖かでした。
 ――ルリちゃんは、勘違いした状態で見当違いな事を考えて、一人で混乱していたんだよ。でも、安心して。ルリちゃんは、そこで混乱しちゃうくらい、二人が、二人とも大好きなんだよ。ちょっと間違えてたところもあったけど、それは間違えてない、本当のルリちゃんの気持ちだから。それだけ誰かを好きになれたことは、誇っていいことだよ。
 私は、否定された、と思っていました。でも、違いました。ミカさんは、否定しようとなんて一度もしていませんでした。ただ勘違いして、自分でもわかっていなかった私自身の気持ちを、諭してくれていたんです。
 それが、やっとわかりました。
 何かが、私の心に重く淀んでいた何かが、拭い去られたような気分でした。私は、テンカワさんもユリカさんも、間違いなく大好きで、ただ、それを間違って捉えていただけ――。
「……あの時、ミカさんは、私がこのことに気付くように、ああ言っていたんですね? 私が、テンカワさん達のことを祝福したい本当の私に気付くように……」
 そう、私は、ユリカさんとテンカワさんの取り合いをしたい、なんて一度も考えませんでした。大好きな二人と一緒にいたくて、それが変わってしまうかもしれないと不安で、でもお二人が幸せになれるように、いっぱい祝福したい……。
 それが、ミカさんが気付かせてくれた、私の『本当』。
 ミカさんは、照れたような表情を浮かべました。
 ――えらそうにきついこと言っちゃって、ごめんね? 本当は、ルリちゃんが自分で気付かなきゃいけないことだから、言っちゃうのは気が引けたんだけど……。おめでたいことの前に沈み込んでいるのはよくないし、そんなルリちゃんを見るのは、いたたまれなくって。
「いえ、いいんです。そのままなら私は多分気がつけなくて、ずっと勘違いしたままだったでしょうから……」
 ――そんなこと、ないと思うけど……。でも、きっと、今回のことはいい経験になるよ。いつか、本当に恋をしたときに、きっと何かの役に立つから。その時は、自分の心に正直に、一番望んでいることを間違えないで、ね。
「――はい。ありがとうございました」
 私は、心の底からのお礼を口にして、心からの微笑みを浮かべました。笑顔にミカさんへの謝意と、『好意』を乗せて。一つ成長したつもりの、私を見せるために。
 ――ん、いい顔になったね。
 ミカさんも、表情を緩めて暖かな微笑みを返してくれました。私の心は、ちゃんと伝わったみたいです。
 ――さて、ルリちゃん、朝早くから長いこと出歩いてると、アキトくん達が心配するよ。そろそろ、一度帰った方がいいよね。
「はい」
 入ってきたときと同じように、ミカさんは出口まで私をエスコートしてくれました。そして、ドアの前に立った時、私は最後に一つ、質問をしました。
「どうして、ここまで親切にしてくれたんですか?」
 ――年下の、可愛い女の子があんなに悩んでいたんじゃ、相談に乗らないわけには行かないよ。
「ミカさん……。『そういう』趣味の人だったんですか?」
 ――そんな冗談が出てくるのなら、もう大丈夫だね?
 また、私たちは笑い合いました。そして、笑ったまま、私はアパートへの帰り道を歩き始めました。
 不思議なもので、先程までは何も感じなかった朝の空気が、心地よい冷たさと清々しさをともなって私を取り巻きます。もう、テンカワさんとユリカさんを見て、苦しい思いをすることもないでしょう。笑ってお二人を祝福することが出来ます。
 帰ったら真っ先に、私の「お父さん」と「お母さん」を、祝福しようと決めました。
 それからもう一つ、私は決めました。そしてそれを、一番大事なものをしまってある、心の真ん中に並べたのです。
 


 ――こんなところで、私の話はお終いです。
 ……ミナトさん、なんでそこで頭をひねってるんです? 他の皆さんも……。何か、わかりにくい点でもありましたか? 私は、細大漏らさず話したつもりなんですけど。
「うーん、あのね、ルリルリ。一つ質問なんだけど……」
 はい?
「その、『ミカさん』って……」
 はあ。
「いい人なんですね、『ミカさん』って! 僕、尊敬しちゃいます!」
 ミナトさんの質問を遮って、ハーリーくんが声を張り上げました。……ハーリーくん、場の『空気』を読めないと、女性に嫌われますよ?
「僕も、その人に一度会ってみたいです!」
 会って……、どうするんですか? あの人の料理を食べたいんですか? 確かに、コックとしては若くて経験が浅いですけど、それに似合わず腕が良くて、アキトさんのラーメンに負けないチキンライスを作ってくれますが。
「いえ、僕もその、相談に乗ってもらいたいことが……。……ちょうの事とか……。まだチャンスはあるみたいですし……」
 途中から尻窄みに声が小さくなっていきます。悪い癖ですね。よく聞き取れません。ですが、まあそういうことでしたら。
「え?」
 お人好しが過ぎるくらい親切な人ですから、頼めば話くらい聞いてもらえるでしょう。でも、今は料理でてんやわんやのはずですから、都合を聞いてみましょう。すいません、ちょっとそこのウェイトレスさん?
 ……とりあえず、話は通してもらえるようです。
「あの……、艦長? もしかして、その人、ここに……?」
 そうですよ。話を聞いていて、気付かなかったんですか? 今私たちがパーティーを開いている、このお店の名前は?
「『サフラン』って……、そうだったんですか!?」
 観察力と注意力が今ひとつですね、ハーリーくん。
 ミナトさんは、途中で気が付いていたようですよ?
『ミカちゃーん! お客さんから、ご指名だよー!』
『…………!』
 ウェイトレスさんが厨房に怒鳴る声が聞こえました。それにしても、いい年の大人に『ちゃん』は無いんじゃありませんか?
「あの子なんて、まだ『ミカちゃん』で十分よ!」
 あら、コック長さん、いつの間に?
「ミカ坊がご指名だって言うからね。面白そうだから、覗きに来たの♪」
 ……仕事はいいんですか? もっとも、パーティーも既に一段落してきましたが。それにしても、コック長さんまで『坊』ですか?
「ほーらミカ坊! こっちよこっち!」
 そうこうしているうちに、ミカさんがやってきました。
「え? どの人ですか?」
 ですが、ハーリーくんは誰だかわからないらしく、きょろきょろしてます。見れば、他の皆さんも。
 ……こっちに歩いてくるのは、一人しかいないじゃないですか。なんで、わからないんです?
 お久しぶりです、ミカさん。
「こちらこそ、ルリちゃん。……それとも、ホシノ中佐と言った方がよかった?」
 かしこまらなくても結構ですよ。
「でも、なんで僕を呼びだしたの? 今日は皆さん、身内でパーティーじゃ?」
 話の流れで、ミカさんのことが出まして。せっかくですから、紹介しようかと……。
「あの、艦長?」
 どうしました、ハーリーくん?
「『ミカさん』って……、こちらの方、男の人……」
 それが何か?
「ああ、申し遅れました。皆さん、本日はご来店、まことにありがとうございます。本日の料理の一部を担当させて頂きました、カザマ・ミカヅチです」
「『ミカヅチ』なんて言いにくいでしょ? だから略して『ミカ坊』」
 頭を下げるミカさんの横で、コック長さんが笑ってます。ミカさんも、お客さんへのサービスだけではない、柔和な笑顔を浮かべていました。この人達は、自分の料理を食べて、他人が喜んでくれることが、なにより嬉しいんだそうです。だから、この店に来ると、コックさんもウェイトレスさんもいつも笑ってます。そういう店なんです、ここは。
「……なるほどねぇ。ルリルリがあんな顔して誰かのこと話すなんて、珍しいとは思ったけど……」
 ミナトさんが、悪戯っぽい笑顔を満面に浮かべてます。……気付かれちゃいましたか?
「そーゆーことなんだ? 頑張ってね、ルリルリ」
 ……はい。やっぱり、ミナトさんにはバレちゃいましたか。半ば、覚悟はしていましたけど。
 その一方、ハーリーくんは何か固まってます。どうしたんですか?
「いえ、その……。なんでもないです……」
 なにやら、俯いてしまいました。なんなんでしょうね、一体?
 それはともかく、呼び出しておいて立たせておくだけというのもなんですから、ついでに私の用事を済ませてしまいましょう。どうせ今でなくても、後でするんですから。
「ミカさん」
「ん? なにかな、ルリちゃん?」
 私の好きな、優しくて深い笑顔。私も、負けないくらいの微笑みを返します。
「この間、大仕事を片付けたおかげで、私、しばらく暇なんです。今度のお休みに、買い物に付き合ってくれますか?」
 
 
 あの時に一つ、決めたこと。自分の心の向く先を、しっかりと見極めること。そして、ためらわない、迷わないこと。
 今にして、私は昔のユリカさんが何故あんなに楽しそうだったのか、よくわかりました。好きな人を追いかけるのって『楽しい』んです。今日はどうしようかと考えるだけで、心が浮き立つような感じ、です。
 もちろん、ただ楽しいだけじゃなく、不安になることも、怖くなることもありますが――。それもまた、避けられないことですから。なにせ、この人を追いかけているのは私だけじゃないみたいなんです。こんなところでユリカさんに似るなんて、思いませんでした。
 ですが、私も負けません。最後には、勝ってみせます。
 だって、これが私本当の――。
 
 
おしまい。

後書き
 どうもはじめまして、たのじです。
 まずは一言。
「『と○いあんぐる○ート』(※1)を目指して始めたラブコメのはずだったのに、何故途中が『京○堂』(※2)ライクに……」
 というわけで、この作品は色々なものから影響を受けまくった奇々怪々なものになり果てております(苦笑)
 元々影響を受けやすい私ですけど、こうなるとは……。
 とりあえず、今回の教訓。
「身の程知らずに上手い人の手法を真似するのは止めよう」(笑)
 それでは、今回はこの辺で。

 ……とここまでが、かつてとあるサイトで掲載されていたときの後書きでした。今回縁があって、こちらに掲載させていただくことになりましたが、楽しんでいただければ幸いです。
 拙い二次創作を掲載してくださったRinさん、どうもありがとうございました_(__)_
 
 
※1「とら○あんぐるハー○」:
 jANIS/ivoryより発売中のPCゲームシリーズ。現在1,2,3及びファンディスクが一本発売されている。個人的に、『今世紀、最大、最強、最高、最後の18禁ゲーム』(爆笑)
 故に、お子さまは買っちゃいけません(大爆笑)
 感動の嵐とラブコメとえっちが見事に融和し、半端なゲームなど足元にも及ばない。筆者など、あまりの『萌え』っぷりに部屋をごろごろ転がったり、壁に頭を打ち付けたり、友人に「つまらなかった言い値で買い取るから買え!」と勧めまくったものである(<かなり本当)
 「感動」というファクターにおいても、「○NE」でも「Kan○n」でも、胸に迫るものなどほとんど感じなかった筆者が、押し寄せるものに(精神的に)号泣した。「幸せのあまり」涙が出てくるような思いを感じられたゲームは、後にも先にもこのシリーズのみ。
 素人さんからすれた人(笑)まで、幅広く楽しめる一品です、お勧め。

 追記
 この作品の原作者の都築真紀先生が、ゲームと微妙なパラレルワールドを形成しているTVアニメ「魔法少女リリカルなのは」で活躍中です。電波が届く人は、是非見てみてください。
 『どっちかというと“魔砲”少女なんじゃ?』とか言う突っ込みは却下です(笑)
 
※2「○極堂」:
 京極夏彦の描く、古本屋『京極堂』の主にして神主、兼祓い師たる「中禅寺秋彦」の活躍する……、本格小説。一見探偵ものに見えて探偵ものではなく、怪奇やホラーにも見えるがそうではない。ミステリーと言えばいいのか? 実に分類が難しい(苦笑)
 その凄さは、とても紹介できるものではないので割愛するが、まだ読んでいない方には是非お勧めする。「本物」というのがどういうものか、実感できるだろう。
 目印は、人を殴り殺せそうな厚さの(笑)新書、或いは文庫。
 但し、精神的に弱っているときに読むと、かなり危険なところまで『持って行かれる』のでご注意。
 
この作品はMozilla 1.7日本語版、Internet Explorer6 SP2で表示を確認しています。
「機動戦艦ナデシコ」はジーベックの作品です。

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