バカップル 〜誕生〜
元木連中将の草壁春樹の起こした火星の後継者事件から3ヶ月がたったころ、地球の英雄と呼ばれるようになったナデシコの艦長ホシノ・ルリ少佐をはじめとしたクルー達。彼女達は今、火星の後継者の残党を掃討するために宇宙に飛んでいた。
今大戦の終結後その危険性を指摘されたナデシコCは月のネルガルドックに封印され、新たに改修されたナデシコBでルリ達はこの任務に当たっていた。
そんなナデシコBのメインブリッジでは、本日の待機要員である二人の女性仕官が退屈を紛らわすためにおしゃべりをしていた。
「ねえ、ちょっと聞いてよ〜」
女性仕官Aがとなりに座っていた女性士官Bに話しかける。
「なに?」
「最近、彼がさ〜冷たいのよね〜。この間なんか久しぶりに二人きりになったって言うのにキスのひとつもしてくれなかったのよ」
「ふ〜ん、もしかして浮気されてるんじゃない?」
「げ〜、やっぱあんたもそう思う?」
「て、言うか。あんたに彼氏がいたことにびっくりよ」
「うわ、ひどっ!」
「あはは、冗談よ」
大げさなアクションで答える女性仕官Aに笑って答える女性仕官B。
「まあでもね、最近は会う時間も減ってたしそろそろ終わりかな〜って思ってはいたんだけどね」
フウッと小さくため息をつく女性仕官A。
「そんなに急に決めなくてもいいんじゃない?もしかしたら何か理由があるのかもしれないし」
「その理由もなんとなく思いつくんだけどね」
「そうなの?」
「じつはさ、最近知ったんだけど。彼ったら艦長のファンクラブに入ってんのよ」
「艦長の?」
「そ。この間の火星の後継者事件が終わってからは一段と力はいってたのよ」
前回の火星の後継者事件において活躍したルリは、ナデシコのクルーのみならず地球でもその容姿と実力により一躍有名になり、よりいっそうファンたちの間で神格化されたのだった。
「あ〜、確かに艦長は奇麗だもんね、まあその気持ちもわからないでもないけど」
「私だって艦長のことは尊敬してるしさ、だからしょうがないかなって」
「でも、艦長ってたしかカザマ大尉の恋人なんじゃなかったっけ」
火星の後継者事件においてルリを支え、守ってきたエステバリスのパイロットであるカザマ・カイト大尉。その実力は宇宙軍の中でも群を抜くほどのエースパイロットである。
彼は艦長であるホシノ・ルリと恋人同士だったのだが、二人はルリの提案でそのことを隠そうとしていた。だが、その事実はナデシコの人間は誰でも知っていることだったのだ。
「でも、憧れと恋は別って言うじゃない。彼の場合、恋よりも憧れの方が強くなったってことだと思うけど」
「まあ、言いたいことはなんとなくわかるけどね。私もカザマ大尉のファンだし」
さらっと言い切る女性仕官B。エースパイロットであるカイトもまた、その透き通るような笑顔で女性仕官からの人気を集めていた。
「え?そうなの?」
「ええ。まああたしの場合は恋人がいないから憧れが強いって言うのはあるけど、あんたの場合はまだ恋人同士なんだからまだ間に合うんじゃない?」
「そうかな〜」
「そうよ。なんだったらいいもの作ってあげましょうか?」
「いいものって?」
「この間地球に降りた時に古本屋さんで見つけた魔術書に面白いことが書いてあったのよ」
「面白いもの?・・・っていうか、なによその魔術書って」
「細かいことは気にしない。実はその本には”愛情を増幅する薬の作り方”が書いてあったの。」
なぜか小声で話しかける女性士官B。
「それって俗に言う惚れ薬ってやつ?」
「違う違う。この薬は元からその人が持っている愛情を増幅して、その人の好きな人をもっと好きになるようにする薬。あんたの彼もまだあんたのことを好きな気持ちはあるんだろうから、この薬でもう一度あんたのことを一番好きにさせるのよ」
「う〜ん。ほんとに効き目あるの?」
ちょっと疑わしい目で見る女性士官A。
「まあ、だめでもともとじゃない。どうせこのままだと終わっちゃうんだし、ね!」
身を乗り出して話しかける女性仕官B。
「はぁ、それもそうね。それじゃあ、試してみようかしら」
「OK!それじゃあ次の待機の日までに作っとくね!」
「うん、お願い」
そう言って二人は笑顔でうなずきあった。
この些細な出来事がこれからナデシコで大きな出来事になるとは露とも知らずに。
それから数日後。
メインブリッジへと向かう途中のルリにカイトが話しかけてきた。
「あ、艦長、これから待機ですか?」
「はい、そうですけど。・・・カイトさん、二人だけの時はルリって呼んでくださいって言いませんでしたか」
ちょっとすねた顔で言うルリ。恋人同士になったとはいえ、一応公私混同は避けるため周りに誰かがいる時はホシノ艦長、カザマ大尉と呼び合っているルリとカイト。だが呼び方ひとつとはいえ、それでもやっぱり寂しいルリであった。
「あ、そうだったね。ごめん、ルリちゃん」
そう言って笑顔で返すカイトの言葉に頬を赤く染めるルリ。
「わかってくれればいいんです。それより、カイトさんはどうしてブリッジの方へ?」
パイロットであるカイトがメインブリッジに行くことは基本的に少ない。そんなカイトがなぜこの廊下を歩いているのか不思議に思ったルリがカイトにたずねる。
「実はサブロウタさんから待機の交代を頼まれたんだ。なんか大事な用があるっていうから」
苦笑して答えるカイト。
「またですか」
フゥとため息をつくルリ。サブロウタが考えていることをなんとなく理解したルリ。ほんのりと顔が赤くなる。
(まあ、あの人のことですから私達を二人きりにしようとしたんでしょうけど)
同じような手口を何回もされてあきれながらも、やっぱりうれしさを隠せないルリだった。
「そういうことでしたら一緒に行きましょうか」
赤くなった顔を見られないようにカイトに背を向けて言うルリ。
「うん、いっしょに行こう」
カイトも笑顔でそれに答える。その後自動販売機でコーヒーを買ってメインブリッジへと向かうのだった。
メインブリッジでは以前の女性仕官AとBが話していた。
「はい、これが例の薬ね」
女性仕官Bが女性仕官Aに愛情増幅薬が入った小瓶をを手渡す。どことなく毒々しい緑色を液体が入っている。
「なにかの飲み物の中に入れて使ってね」
「ありがと〜、あとで早速使ってみるね」
「うまくいったら教えてね」
「もちろん」
その時メインブリッジのドアがプシュッと乾いた音とともに開いた。そこから中に入ってくるルリとカイト。
「ご苦労様です、交代の時間です」
そういって女性仕官AとBに話しかけるルリ。
「「あ、艦長、大尉。お疲れ様です」」
「二人ともお疲れ様。異常はなかった?」
微笑みながら話しかけるカイト。その顔を見た二人は頬を赤く染める。
「はい、大丈夫です」
女性仕官Bが答える。
「カザマ大尉、またタカスギ大尉のかわりですか?」
女性仕官Aがカイトにたずねる。
「まあ、そんなとこかな。ふたりともはい」
手に持っていた二つのコーヒーのコップを差し出す。カイトはあらかじめ自分の分のほかに待機要員の人たちの分も買っていたのだ。透き通るような笑顔で渡されたコーヒーのカップを受け取りながらうっとりとしている女性仕官二人の姿を見たルリがムスッとした顔でカイトに自分が持っていたコーヒーのカップのひとつを手渡した。。
(も〜カイトさん、そんな笑顔をするからほかの女の人たちがカイトさんのことを好きになっちゃうんです)
そうは思ってもカイトの鈍感さが直ることもないので、半ばあきらめるルリ。そんなルリの様子に気がついた女性士官たちがルリ達二人から離れて小声で話し始める。
「ねえ、艦長の様子に気づいた?」
「もちろん。やっぱり艦長も女の子なんだから、好きな人がほかの女性にあんな笑顔向けたら機嫌も悪くなるわよね」
「ここは艦長のために一肌脱ぎましょうか」
女性仕官Aがニヤリと笑って愛情増幅薬の小瓶を目の前で振る。
「そうね、艦長は恥ずかしがりやだし、大尉はかなり鈍感だし。これで二人がもっとラブラブになってくれるかもね」
おたがいにニヤリと笑うとカイトのそばに歩み寄る。ルリは艦長席に座ってオモイカネと話していたので二人がカイトのそばによってきているのに気づかなかった。
「大尉、ちょっといいですか?」
女性仕官Aがカイトに話しかける。カイトはサブロウタの席に座ったまま振り向く。
{なに?」
「実は・・・」
カイトと女性仕官Aが話している間の隙をついて、女性仕官Bが愛情増幅薬の入ったコーヒーカップをカイトの分と入れ替えた。作業を終えた女性士官Bがカイトの後ろからOKのサインを送る。
「・・・というふうになるんだよ、わかったかな?」
「なるほど・・・。よくわかりました、ありがとうございます。それじゃあそろそろ私たちは休ませてもらいますね」
適当に話していた内容を打ち切り、女性仕官Aがカイトのそばから離れる。
「うん、二人ともお疲れ様」
「「お疲れ様です」」
笑顔で二人を見送るカイト。女性仕官二人は最後にルリとカイトに挨拶をしながらメインブリッジから出て行った。
正面を向きなおしたカイトはそばにおいておいたコーヒーを手に取り口をつける。
ズズズ・・・
「ふうっ。さーて外の様子はどうかな」
ナデシコ外部を映し出しているモニターに目を向けるカイト。それからしばらくはルリもカイトも自分の仕事をこなしていた。
「カイトさん、ちょっといいですか?」
オモイカネと話していたルリがカイトに話しかける。
「なんだい、ルリちゃん?」
カチッ
カイトが艦長席に座るルリに向き直る。そしてルリの顔を見た瞬間カイトの中で何かのスイッチが入った。
「ナデシコ艦内に異常はありませんでしたが」
(なんだろう、ルリちゃんの顔をみたから急に胸の中が熱くなって・・・)
夢遊病者のようにふらふらと立ち上がるカイト
「・・・」
「外の様子はどうですか?」
(ああ〜、ルリちゃん。君はなんてかわいいんだ・・・黄金に輝く澄んだ瞳、流れるような美しい髪・・・)
熱にうなされたようにゆっくりとルリに近づいていくカイト
「・・・」
「・・・って、聞いてますかカイトさん?」
(ああ〜、こんなかわいい子が僕の恋人だなんて僕は・・・僕はなんて幸せ者なんだ!)
「カイトさ(ギュ!)」
ルリがカイトの名前を言い終わる前に、カイトがルリの体を抱きしめていた。それはもうめいっぱい幸せそうな顔をして。
「ルリちゃん!」
「・・・・・!!!!」
(な、な、な、なにを、カイトさん!)
顔を真っ赤にして固まるルリ。もはや頭の中はショート寸前だった。
「あああああああの、カ、カイトさん、何を!?」
カイトはルリに抱きついたままルリの髪に顔をうずめる。
「ルリちゃん、すごくいい匂い・・・」
「(カァーーーーーー)」
もうこれ以上はないくらい顔を赤々とするルリ。
「だ、だめですよ。カイトさん。こんなところで。もし誰かに見られたら」
「ルリちゃん、いやなの?」
まるでこの世の終わりのような顔をしてルリを見るカイト。
「え、あ、その、別にいやじゃ・・・ないんですが・・・」
まさかそんな顔をされるとは思っていなかったので、あたふたしながら小声で答えるルリ。
「僕は今ルリちゃんを抱きしめていたい」
ルリのあごに手をやり顔を上げさせるカイト。ルリの瞳をじっと見つめながら答える。
「カイトさん・・・(ポーーーーー)」
だんだんとルリの思考もカイトの熱に当てられていく。
「私も・・・ずっとカイトさんに抱きしめてほしかったです。でもやっぱりはずかしくて言えなくて・・・」
「これからはいつでもルリちゃんを抱きしめてあげるよ」
「はい、カイトさん。うれしいです」
本当にうれしそうな顔をして顔を上げるルリとカイトの視線が絡み合う。
うっとりとした顔で見詰め合うルリとカイト、すでに二人には周りの世界は目に入ってはいなかった。
そして次の待機交代の時間が来るまで二人は熱く抱き合っていた。
Case1:シミュレータルームにて
副長S・Tさんの証言。
「いや〜、あれを最初に見た時はほんとにびっくりしたよ。マジで一瞬頭の中が真っ白になっちまったからな」
少し疲れた表情をしたS・Tさんが答える。
「詳しく話せって?まあ、いいけどよ。・・・そうだな、あれは俺がカイトをシミュレータ訓練に誘った時のことだ」
目を瞑りその時のことを話し始める。
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「よお、カイト。これからシミュレータ訓練行かねえか?」
廊下を歩いていたカイトを後ろから呼び止める声が聞こえた。
「あ、サブロウタさん。珍しいですね、サブロウタさんのほうから訓練の誘いがあるなんて」
「珍しいは余計だ。で、どうなんだ」
「いいですよ。ちょうど僕も何か訓練しようとしていたところですかから」
「よっしゃ、ほんじゃ行くか」
そのまま二人は連れ立ってシミュレータルームへと向かった。
「あ、あそこにいるのはカイトさん。サブロウタさんと一緒にどこに行くのでしょう?」
そんな二人を偶然見かけたルリもまた二人の後を追ってシミュレータルームへと足を運ぶのだった。
シミュレータルームにはいったカイトがシミュレータ装置に向かう。
「サブロウタさんまた何か賭けるんですか?」
カイトが苦笑しながらサブロウタに話しかける。
「あったりめえだろ。負けたやつは一週間昼飯おごりでどうだ?」
「いいでしょう、受けてたちましょう」
そして不適に笑いあうカイトとサブロウタの二人。
その時部屋の扉が開いてルリが中へと入ってきた。カイトはシミュレータの設定をしていて気づいていないが、ルリに気がづいたサブロウタがドアのそばにいるルリに声をかける。
「あれ、艦長どうしたんすか?こんなとこにくるなんて珍しいすね?」
「ええ、ちょっと・・・」
「もしかしてカイトのやつにでも会いに来たんすか?」
すこしからかい気味にたずねる。確かにルリとカイトが付き合っていることは約一名を除いてクルーの全員が知っているが、それを隠そうとしているルリならきっと真っ赤な顔をして否定すると思ったからだ。
「ええ、そうです」
「へ・・・」
どうどうと答えるルリに、一瞬ルリが何を言っているのかわからなかったサブロウタ。
「えーと・・・あっ!カイトさん!」
カイトを発見したルリが大声でカイトに向かって手を振る。その声に気がついたカイトが振り向く。
「あれ、ルリちゃん?どうしてここに?」
「廊下を歩いていたらカイトさんの姿を見かけたので追いかけてきちゃいました(ポッ)」
うっすらと頬を赤く染めて答えるルリ。そんなルリの様子をいまだに固まったまま見ているサブロウタ。
ルリはカイトの元へ小走りに近づいていく。
「あ、ルリちゃん走ると危ないよ」
「大丈夫ですよ。・・・・・・・・・きゃ!」
カイトがそう言った瞬間、ルリが床にある出っ張りに足を引っ掛けてバランスを崩した。
「あぶない!」
カイトがルリの元に駆け寄って倒れるルリの体をその胸に優しく抱きとめる。いくらルリの体が軽いとはいえ不安定な姿勢で受け止めたカイトはそのまま床に倒れた。
「あいてて・・・ルリちゃん大丈夫?」
腰をさすりながらルリにたずねるカイト。ルリは悲しそうな顔をしてカイトを見ている。
「ご、ごめんなさいカイトさん。私がカイトさんの言葉を聞かずに走ったから・・・」
「ううん、いいんだよ。ルリちゃんが無事なら」
微笑みながらルリに話しかけるカイト。その顔には自分の大切な人を守りぬいたという達成感がはっきりと出ていた。
「カイトさん(ポッ)」
頬を赤く染めたルリがカイトのその顔を見つめている。
「でも、これからは気をつけないとだめだよ」
カイトが目の前にあるルリのおでこに人差し指をツンと押し当てる。
「もう、ルリちゃんの体は一人だけのものじゃないんだからね。わかった?」
「はい、これからは気をつけます」
幸せそうな顔をしてお互いに見つめあうルリとカイト。そんな二人をやっぱり固まったまま見続けるサブロウタ。すでにその存在を忘れられているようだ。
「あっ、カイトさん。手に血が!」
倒れた時に床の出っ張りに引っ掛けたのかカイトの手の甲から血が流れていた。
「大丈夫、かすり傷だよ」
「だめです。カイトさん手を出してください!」
強い口調で言うルリの前に、おずおずと手を差し出すカイト。傷自体はそう深いものではないがルリにとっては関係なかった。
「私のせいで・・・・・・・・・ンッ」
ルリはカイトの手を両手で包むと、傷口にそっと口をつけ血をなめとった。皮膚を通して痛みとは別の暖かい感触がカイトの脳に流れてくる。
(ルリちゃん・・・僕のためにそこまで)
カイトはルリの行動を見てルリがどれだけ自分を大切に思っているのかをひしひしと感じていた。
カイトの手から顔を離したルリがスカートのポケットからハンカチを取り出すとカイトの手に巻きつけた。
「とりあえずはこれでいいですけど、後で一緒に医務室に行きましょう」
見るものすべてを虜にするような微笑を浮かべるルリ。カイトもその笑顔に顔を真っ赤にしていた。
傷の手当てを終えたルリがカイトから離れてから、二人はその場に立ち上がった。
「そういえばカイトさんはどうしてここに?」
ようやく最初の疑問を思い出したルリがカイトに尋ねた。
「えっと、サブロウタさんから。シミュレータ訓練に誘われたんだよ・・・って、あれサブロウタさんは?」
カイトは部屋にいるはずのサブロウタを探す。
「あっと、いたいた。サブロウタさん!」
カイトがドアの前で固まっているサブロウタに近づいた。ルリもその後に続く。
「サブロウタさん?・・・もしも〜し?」
カイトが話しかけてもすでに固まっていたサブロウタが答えることはなかった。
「どうしたんだろ?」
カイトが隣にいたルリに話しかける。
「さあ?」
ルリも不思議な顔をして答えた。
「とりあえず、そっとしておいて上げましょう」
「う〜ん、そうだね」
「それじゃあ、さっそく医務室に言ってカイトさんの怪我の手当てをしましょう」
ルリが微笑みながらカイトの怪我をしてないほうの手を取り歩き始めた。
「うん、そうだね」
カイトもその手に引かれるまま後を突いていくのだった。
そして後に残ったのはドアのそばで固まっているサブロウタだけだった。
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「あの後、俺は正気に戻るまでずっと誰にも気づいてもらえなかったよ」
フウッとため息をつくS・Tさん。
「まあ、それぐらい。あの時のことは衝撃的だったってことさ。俺に言えるのはここまでだ。わりいな、あんまり思い出したくないんだ」
S・Tはゆっくりと椅子から立ち上がりその場を後にした。
Case2:食堂にて
整備班長S・Uさんの証言。
「今、思い出しても全身がむず痒くなる光景だったよありゃあ」
S・Uさんがその時のことを思い出したのか体をかいている。
「まあ、聞きたいって言うんなら話してもいいけどよ。・・・ありゃあ俺が仕事をひと段落させて食堂に飯食いにいった時だ」
S・Uさんがゆっくりと話し始める。
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「ふんふ〜ん♪今日は何食うかな〜」
格納庫でのエステバリスの整備を終えたウリバタケは上機嫌で食堂へとやってきた。
「よ〜し、今日は大盛りチャーシュー麺とチャーハンにすっか」
販売機で食券を買うウリバタケに話しかける声が聞こえた。
「あれ、ウリバタケさんもこれから食事ですか?」
後ろを振り向いたウリバタケの前にはカイトとルリの姿があった。
「よう、カイトにルリルリじゃねえか。お前らも飯か?」
「はい。ルリちゃんと一緒に食べる約束をしていたんで」
テレながら答えるカイト。隣にいるルリの顔はほんのり赤い。
「相変わらず仲がいいね〜」
ウリバタケが二人をからかいながら言う。
「はは、そうですか?中がよさそうだって、よかったねルリちゃん」
「うれしいです」
お互いに笑いあうカイトとルリ。
(なんか二人ともいつもと雰囲気が違う気がするが、気のせいか?)
いつもなら真っ赤になって否定するルリや苦笑いでごまかそうとするカイトの様子が変なことに気がつくが、あんまり気にしないことにしたウリバタケだった。
その後三人は料理を持ち適当な席に着いた。
ウリバタケが頼んだのは大盛りチャーシュー麺セット、カイトが頼んだのは火星丼、ルリが頼んだのはチキンライスだ。
「そんじゃ、いただきま〜すってか」
ウリバタケは早速ラーメンの器に手を伸ばした。
ズルズルズルズル
「そういや、カイト。お前のエステの調子がちょっと悪いんだが後でちょっと付き合ってくれなブフゥ〜〜〜!!」
ラーメンを口と鼻から盛大に吐き出すウリバタケ。そんなウリバタケが目にしているのはルリがカイトにチキンライスを食べさせている姿だった。
「カイトさん、あ〜〜〜ん♪」
ルリが幸せそうにチャーハンを救ったスプーンをカイトの口に運ぶ。
「あ〜〜〜ん。・・・もぐもぐ、うん、おいしい♪」
カイトもうれしそうな顔でそれを口に入れる。
ウリバタケはその二人の姿を唖然として眺めていた。
「ルリちゃん、もう一口♪」
カイトが甘えた声でルリに催促する。
「いいですよ。あ〜〜〜〜〜〜〜ん♪」
「あ〜〜〜〜〜〜ん。・・・むぐむぐ、ん〜〜〜ルリちゃんに食べさせてもらえるなんて最高だよ♪」
「うれしいです(ポッ)」
ルリが頬を染めながらカイトに微笑みかける。
「じゃあ今度はルリちゃんの番だね。ルリちゃん、あ〜〜〜〜ん♪」
そういうと、今度はカイトが火星丼をルリに食べさせてあげた。
「あ〜〜〜〜ん。・・・もきゅもきゅ。おいしいです♪」
小さく口を動かしたルリがうれしそうに答える。その仕草に我慢できなくなってカイトはルリの体を抱きしめた。
「ルリちゃん、かわいい♪」
「やん、カイトさん。まだお食事の途中ですよ(ポッ)」
口ではそういいながらもカイトの背に手を回すルリだった。
「ごめんね、ルリちゃんがご飯を食べる姿があんまりかわいいからつい」
テレながら答えるカイト。
「もう、カイトさんったら。今は食事を食べるのが先ですよ。続きはまた後で・・・ね(ポッ)」
そんな二人の姿を見ていたウリバタケは二人の甘ったるい空気を肌で痛いほど感じて、体の奥底から言いようのない感覚がこみ上げてきた。
「うあ〜〜なんなんだ、二人とも!それは!」
ウリバタケが耐え切れずに声を上げる。
「え?何って・・・何かおかしいかな?」
「そんなことないと思いますけど・・・」
お互いに見つめあるカイトとルリにウリバタケが業を煮やす。
「おまえらな〜、こんなとこでイチャイチャしてんじゃねえ!もっと場所を考えろ!」
「むっ、ウリバタケさん。どこで何をしていようと私たちの勝手じゃありませんか。ウリバタケさんにとやかく言われる筋合いはありません」
少し頭にきたルリが反論する。
「目の前でんなことされた日にゃこっちの気分がおちつかねえんだよ!」
「なら見なきゃいいじゃないですか。私だってウリバタケさんがナデシコの経費を使って趣味で怪しいものを作ってるのを見て見ぬふりしてるんですから。それともクルーの皆さんにウリバタケさんが格納庫の空き部屋でやってることをばらしてもいいんですか?」
ルリが涼しい顔でウリバタケに言う。
「うぐ・・・どうしてそれを」
「私はこの船の艦長ですよプライベートルーム以外の場所は全部把握しています。それでもなにか言いたいことがありますか?」
勝ち誇った顔で言うルリ。
「くう〜〜〜、なんでこうなるんだよ(涙)」
ウリバタケは何もいえなくなってすごすごと席に座りなおした。
「さて、カイトさん、ちょっと邪魔が入りましたけど。もう一度あ〜〜〜〜んしてください♪」
気をとりなおしてうれしそうにカイトの口にチキンライスを運ぶルリ。
カイトも二人のやり取りをぼけっと聞いていたがルリの笑顔を見てそのことは気にしないことにした。
「あ〜〜〜〜ん。・・・もぐもぐ♪」
ウリバタケは全身からこみ上げてくるむず痒さに耐えるしかなかった。そんなウリバタケのことなどもはや目に入らない二人だった。
「あっ、カイトさんほっぺにご飯粒がついてますよ」
何度目かになる食べさせあいのときにルリがカイトの右頬についたご飯粒に気がついた。
「え?どこ?」
カイトは自分にほっぺについた米粒を探す。そんなカイトを制するルリ。
「ちょっとじっとしていてください」
そう言うとカイトの顔にゆっくりと顔を近づける。そして・・・。
「(ペロッ)・・・・・・はいとれましたよ(ポッ)」
自らの舌でカイトの頬についた米粒なめとるルリ。カイトはルリの行動に一瞬驚くも顔を赤くしながら例を言った。
「ありがとうルリちゃん(ポッ)」
「いいんですよ、カイトさん。でも、カイトさん子供みたいです」
クスッと笑うルリ。
「はは、そうかな?でもルリちゃんにしてもらえるんだったら子供でもいいかな♪」
「もうカイトさんったら」
そして二人で見つめあいながら微笑む二人を見たウリバタケは・・・。
「うが〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
全身を掻き毟りながらうなっていた。
そして二人の食事はその後30分にもおよび、ウリバタケのみならず周囲の人間の精神に深い傷を負わせたのだった。
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「と、まあ。そういうことがあったんだが。はっきり言ってあれは一人身の奴が見たらまるで拷問だね」
S・Uさんはぶるっと震えて話す。
「あんたも実際に見てみればどんなもんかわかるさ。俺はもう見たくないけどな」
S・Uさんはそう言ってその場から立ち去っていった。
Case3:艦長の部屋にて
副長補佐H・Mくんの証言。
「う・・・ぐすっ。まさか艦長とカザマ大尉が・・・うう・・・あんなことしてたなんて・・・」
H・Mくんが目に涙をためながら話し始める。
「えっ!何があったか聞きたいんですか!・・・ううっ・・・もう思い出したくないのにぃ・・・。・・・・・・・・・うう、わかりました話しますよ・・・あれは用事があって僕が艦長の部屋にいった時に・・・」
H・Mくんが半泣きの状態で話し始めた。
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コンコン
「艦長、ちょっといいですか?」
ルリの部屋の前にやってきたハーリーがドアをたたいてルリを呼ぶ。
「ハーリーくん?なにかようですか?」
「ち、ちょっとお話があるんですけど・・・いいですか?」
ドアの向こう側からするルリの声に緊張しながらこたえるハーリー。プシュッという音とともに目の前のドアが開いて私服に着替えたルリが現れた。
「いいですよ」
そう言って部屋の中に招き入れるルリ。普段のルリは自分の部屋にカイト以外の男は入れないが、ハーリーは弟みたいなものなのであまり気にせずに部屋に入れた。
「それで、話ってなんですか?」
テープルの上に紅茶を入れたカップを自分とハーリーの前において話しかけるルリ。ハーリーはうつむいたまま答える。
「えっと、その・・・」
(う〜〜〜〜、どうやって聞けばいいんだろう。艦長とカザマ大尉が艦のいろんなところでイチャイチャしてるってうわさを聞いたんですけど本当ですか。ってそんなこと堂々と聞けないし・・・)
ハーリーにとってルリは姉であり、初めて好きになった異性でもある。そのルリが艦のいたるところでカイトとイチャイチャしているといううわさを聞いた時はとても信じられなかった。
だが、同僚であるサブロウタの口から聞かされた時にいてもたってもいられなくてそのままルリの部屋へと来たのだった。
(もし、「本当ですよ」なんて言われたらって思うと・・・・・・・・・)
そんなハーリーの葛藤も知らずにとりあえず紅茶を一口飲み、ハーリーが話すのを待つルリ。だが一向に話そうとしないハーリーに業を煮やし自分から話しかける。
「ハーリー君、言いたいことがあるんならはっきりいったほうがいいですよ。あんまりうじうじしてたら女の子に嫌われちゃいますよ」
「え!」
ルリの”女の子に嫌われる”と言う言葉に反応したハーリー。
(そんな、艦長に嫌われたら僕・・・)
「あ!え、えっと実は!」
少しどもりながらも、ルリに嫌われたくない一心で、思い切って聞こうとした時ルリの部屋のドアが開いた。そこには私服に着替えたカイトが立っていた。
「ルリちゃん、いる?あれ、ハーリー君も来てたんだ」
ルリの部屋にいたハーリーに笑顔で話しかけるカイト。
「あ、カイトさん。いらっしゃい」
ルリがうれしそうにカイトに話しかける。ハーリーはいきなりの乱入者の存在でさっきまでの勢いを失ってしまった。
「珍しいね、ハーリー君がここにいるなんて?」
ルリの隣に座りながら話しかけるカイト。
「私に話したいことがあるみたいです」
ルリはそう言うとカイトのためにコーヒーを入れる。
「なんだろう、相談事だったら僕も力を貸すけど」
「あ・・・えっと・・・」
(あう〜〜〜〜まさかうわさの当事者二人の前で聞けないよ〜〜〜)
心の中で涙するハーリー。
「い、いえ。たいしたことじゃないんです。ここ数日艦長お忙しそうだったから、お体のほうは大丈夫かなって思って。あはあははは」
乾いた笑いを浮かべるハーリーの気持ちも知らずにルリが笑顔で答える。
「そうですか。心配してくれてありがとうハーリー君、私は大丈夫ですよ」
ルリの笑顔を見て顔を真っ赤にするハーリーだった。
(そうさ艦長に限ってそんなことあるもんか。あんな噂なんてきっとデマに決まってる!)
ルリのやさしい笑顔を見てそう確信するハーリーだが次の瞬間その考えが音を立てて崩れていった。
「本当に大丈夫?ハーリー君の言うとおり、最近は忙しかったみたいだけど」
「大丈夫ですよ。もう、カイトさんは心配性なんですから」
心配そうに見つめてくるカイトにちょっとだけ困った顔をして答えるルリ。でも内心はうれしくて仕方がない。
「もし、ルリちゃんに何かあったらって思うと胸がつぶれそうだよ」
カイトは右手でそっとルリの頬をなでる。ルリはその手のぬくもりを感じながら話しかける。
「もし私が倒れたらカイトさんが付きっ切りで看病してくれますか?」
カイトの右手にそっと手を重ねる。その言葉を聴いたカイトが少し強い口調で話しかける。
「だめだよルリちゃん!そんな風に考えちゃ!」
「カイトさん?」
カイトの剣幕に少しびっくりするルリ。
「もしそんなことになったら、僕はきっと一生自分が許せなくなる。自分の大切な人のそばにいながらその人を守ることができなかったって・・・」
「カイトさん・・・」
「僕はいつだってルリちゃんには、笑顔でいてほしい。どんな時でもどんな場所でも、僕のそばでずっと笑顔でいてほしいんだ。それが僕の幸せだから」
そう言って今度は優しくルリに話しかける。ルリもカイトの心からの思いを感じて体の奥が熱くなるのを感じた。
「だからもうそんなことはもう言わないで・・・ね」
「ごめんなさい、カイトさん。私、カイトさんにつらい思いさせちゃって」
ルリがゆっくりとカイトの胸の中に体を預ける。カイトもそのルリの体を優しく抱きとめる。
「わかってくれればいいんだ。だからもし今度何かあったら無理をする前にすぐに僕に教えてね。どこにいてもルリちゃんのそばに駆けつけるから」
「はい」
二人はお互いのぬくもりを感じながらギュッと抱き合った。
そんな二人の姿を見せ付けられたハーリーは頭の中が真っ白になっていたのだった。
そんなハーリーはすでに二人にとっては風景でしかなかった。
「でも、あんなことを言ったルリちゃんにはお仕置きをしないといけないね」
すこし意地悪くカイトがルリに話し賭ける。
「え?おしおきですか?」
ほんの少しおびえた声で聞き返すルリの両頬に手を添えるカイト。そしてゆっくりとルリの顔に自分の顔を近づけていって・・・
チュッ
ルリの唇にそっと触れるだけのキスをする。
「あっ・・・・・・・・・(カァーーー)」
何をされたの一瞬理解できなかったルリだが、それを理解したとたん顔を真っ赤に染めた。
「もし、今度あんなとことを言おうとしたらその前にその口を僕の口でふさいじゃうからね」
悪戯っぽく笑いながらルリの唇に人差し指で触れるカイト。
「カイトさん・・・(ポッ)」
ルリは熱にうなされた様にポ〜〜〜〜〜っとした顔でカイトを見つめていた。
そんな二人のイチャイチャぶりを見せ付けられたハーリーはと言えば・・・。
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん」
号泣しながらルリの部屋からダッシュで逃げていくのだった。
そんなハーリーのことなどまったく目に入らない二人は。
「カイトさん・・・・・・もっとお仕置きしてくれないとまた言っちゃうかもしれません・・・(ポッ)」
そう言ってカイトの胸に顔をうずめるルリ。そんなルリの仕草がかわいすぎてカイトもルリの耳元に口を近づけて優しく囁く。
「クスッ・・・しょうがないなルリちゃんは。・・・じゃあもっとお仕置きしてあげるよ」
そしてもう一度二人の距離がゼロになる。さっきよりも長いお仕置き。
「「ん・・・」」
その後ルリの気が済むまで延々とお仕置き(キス)が続くのだった。
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「うう・・・僕が目の前にいるの・・・ぐすん・・・艦長もカザマ大尉もぜんぜん気づかなくて・・・うああぁ」
もう本格的に泣き出す寸前になるH・Mくん。
「あんなの・・・いつもの艦長じゃない!」
ガタッと勢いよく立ち上がるH・Mくん。
「うあああああああああああああああああああああ〜〜〜艦長のバカ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
泣きながら全力でダッシュしていくH・Mくんだった。
ルリとカイトのうわさが真実となってナデシコを埋め尽くして数日後メインブリッジにて。
待機任務についていた二人の女性仕官の姿があった。
「ねえ、どうすんのよ」
女性仕官Aが口を開く。
「どうって言われても・・・」
女性仕官Bがげっそりとした顔で答える。
「「はあ・・・・・・・」」
お互いに向かい合ってため息をつく二人。
「まさかこんなことになるとは思わなかったわ」
「ほんとにね。ここまで効き目抜群だなんて」
二人は自分たちの軽はずみな行動が原因となって起こった今回のことに頭を悩ませていた。
「確かにあの薬は、元からある愛情を増幅して恋人同士の中を深めるものだけど・・・まさか、最初から相手に対する愛情が最高値の時に使うとあんなことになるなんて・・・」
女性仕官Bが頭を抑えてつぶやく。
「あれじゃあ、ラブラブカップルを通り越して極端なまでのバカップルじゃない」
ルリとカイトをちょっとだけ素直にさせるために使った愛情増幅薬でここまでの大事件が起こるとは思わなかった二人。
「艦のいたるところであんなことを続けられたら、私たちの精神の方がどうにかなっちゃいそうよ。せっかくいい雰囲気になった彼も艦長のあんな姿を見せられてから、部屋に閉じこもっちゃうし」
女性仕官Aが心の涙を流しながら言う。
「ねえ中和剤かなんかはないの?」
「残念だけど、そんなものは存在しないわ」
厳然とした事実をつかれきった顔で答える女性仕官B。
「どうするのよ〜〜〜、もし今回の原因が私たちだってばれたら・・・」
「はっきり言ってクビ程度じゃすまないわ、ほかのみんなに何をされるか・・・」
ある意味クルー全員の精神状態は極限なまでに張り詰めていた。その原因が自分たちにあることがばれた時に受ける仕打ちを考えブルブルブルブルと背筋が凍りついたように震える二人。
その後二人はお互いの手を握り合い・・・。
「・・・今回のことは」
「・・・なかったということで」
そう言って引きつった笑みを浮かべてお互いにうなずきあう二人の耳にこの世のものとは思えない叫び声が聞こえてきた。
「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああ、そんなもの見せないでくれ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
「艦長が!俺の艦長が〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
「いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!私のカザマ大尉はそんな人じゃないの〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
二人は同時に両耳をふさいでメインブリッジの扉の向こうから聞こえてくるその絶叫を強制的にシャットダウンした。
「「私は何にも聞こえないの〜〜〜〜(涙)」」
こうしてナデシコを襲った大事件の真相は闇の中へとうずもれていくのだった。
BADEND?
どうも皆さん、S=DASHです。いちおう完成しました今回のSSですが。
はっきり言って、自分で書いてて「僕はいったい何を書いてるんだ?」と本気で頭をひねりました。
もう途中から頭の中が真っ白になって、勝手に指が動いていたようなものですから。
まあ完成したものにいつまでも文句を言ってもしょうがないですけど。
こんなSSでも楽しんで読んでくれたらうれしいですね。
それではまた次のSSでお会いしましょう(^^)
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