屋台を引いてから初めてのお休み、皆で街に出かけました。
ユリカさんが言うには”ダブルデート”でしたね。
ほんとは遊びに行くだけだったんですけど、ユリカさんがテンカワさんと腕を組みたいがために変更になりました。
(まあ、私もカイトさんと手を繋げて嬉しかったですけど)(ポッ)
デートも映画館から始まり、バーチャルルームボックスではカイトさんと久しぶりに二人で過ごす事が出来ました。
その後夕食を食べて公園でお話していたのはいいのですが、私は疲れて眠ってしまって・・・気が付いた時にはカイトさんにおんぶしてもらっていました。
ちょっと恥ずかしかったけど、その時にカイトさんたちの優しさを感じられてとても幸せでした。皆さんのためにも私も何かしてあげたいです。
休みの日の次の朝・・・私の毎日はいつもどうり私がカイトさんをユリカさんがテンカワさんを起こして始まります。
その日、私はテンカワさんのお手伝いを、カイトさんは近くのラーメン屋でアルバイトを、テンカワさんはラーメンの研究と買い出しを、ユリカさんは軍のお仕事を・・・
夕方からは四人揃って屋台を引きます。
それぞれにやる事があります。
でもその日はユリカさんが早く帰っていたので久しぶりにユリカさんと二人でお話しました。たまにはこういうのもいいですね。
こんな普通の日常がいつまでも続いて欲しいです・・・
機動戦艦ナデシコ
〜妖精の微笑み〜
エピソード7:続・屋台発進!!
ガラガラガラガラ
今日も私たちは屋台を引いています。
いつもの坂道をカイトさんたちが押して登り、私はチャルメラを吹きます。
でも、最後の音がどうしても上手く出ません。
最近ではそれも諦めてきました。
いつもの場所に付いていつものように屋台の用意をします。
私たちの屋台もこの辺りではそれなりに人気が出てきたのでお客さんも常連さんが来てくれたりします。
(屋台初日とは、すごい違いですね)
その日も屋台に来てくれたお客さんにからかわれて大変でしたけど最近では、屋台の生活も楽しくなってきました。
夕方の6時から屋台を開いて5時間ぐらいして、あらかたのお客さんが帰っていった時、暗闇の向こうから一人の人が歩いてきました。その人は屋台の前で止まり、こちらに歩いてきます。
そして暖簾をくぐって現れたのはプロスペクターさんでした。
「プロスさん、お久しぶりです」
テンカワさんが挨拶をします。
「お久しぶりです皆さん」
プロスペクターさんも私たちを見て挨拶をします。
「「「お久しぶりです、プロスペクターさん」」」
私たちもプロスペクターさんに挨拶します。
「ご注文は何にしますか?」
カイトさんが今日何度目になるか分からない質問をします。
「そうですね・・・それでは味噌ラーメンをお願いしますかな」
「カイトさん、味噌ラーメン一つです」
私はカイトさんに注文を知らせます。
「了解」
私の声に答えてカイトさんがラーメンを作ります。
「ほう、カイトさんが作るんですか」
「ええ、カイトのラーメンも評判いいんですよ」
プロスペクターさんの言葉にテンカワさんが答える。その横ではカイトさんがラーメンを作り終えたところです。
「はい、味噌ラーメンお待ち」
カイトさんがラーメンを渡す。
プロスペクターさんはラーメンを見ずに話し掛けてきます。
「商売の方は繁盛してますかな?」
「はあ・・・」
カイトさんがプロスペクターさんの言葉に返す。
「焦らず、ぼちぼちやることです」
さすがにお金にはうるさいプロスペクターさん、言う事にどことなく重みがあります。
「ところで、艦長?お父上はお忙しいですか?」
「え?」
ユリカさんはプロスペクターさんの言葉に聞き返す。
「いえ、この頃軍の動きが怪しいようでして・・・」
「どういう事なんですか?」
テンカワさんが訊ねる。
「新しく軍を再編成するらしいのです。つまり新宇宙連合とでも言いましょうか・・・陸海空軍を含めて、新しい政治体制を築こうとしているのです」
「宇宙全体が一つになる事は素晴らしいことだと思います」
ユリカさんが答える。
(たしかに、宇宙から戦争がなくなればとてもいい事だと思いますけど・・・そんなに簡単になくなるものなのでしょうか?)
私がそんな事を考えているとプロスペクターさんが私の考えと同じようなことを言っています。
「動機が邪なんですよ」
プロスペクターは眼鏡を弄くっている。
「地球連合のトップも木連のトップも火星の遺跡の情報を独占したい訳で・・・地球の事を考えているのなら、とっくの昔に遺跡もボソンジャンプも世論に公表してますよ」
(何だか話がややこしくなってきたぞ)
カイトはそう思うとプロスペクターに話の内容を確認しようと思った。
「つまり、地球も木連もボソンジャンプを独占したいが、それが難しい。だから・・・そのために、とりあえず手をくんで一方が独占することだけは避ける、と言う事ですかね」
「そのとおりです」
「さすがカイトさん、よく分かってます」
カイトの言葉にルリが答える。
「要するにどっちが独占するんだって・・・問題を先送りしたいだけなんですよ。いつまた戦争が起こってもおかしくない」
プロスペクターが真剣な顔で答える。
ニャーニャー
静かになった私たちの間に辺りから猫の鳴き声が聞こえます。
「それに私が今、非常に気になっている事があるんです」
「なんですか?」
カイトが訊ねる。
「それはあなたに関係している事なんです」
「僕にですか?」
プロスペクターさんがカイトさんの方に顔を向けて話し始める。
(カイトさんに関係している・・・まさかカイトさんの過去について何か分かったのでしょうか?)
私はプロスペクターさんの言葉が気になってきました。
「新宇宙連合を作ろうとする軍に手を貸しているグループがあるのです。どうやらそこでもボソンジャンプの実験をしているようでして・・・」
「ネルガル以外にボソンジャンプの実験をしているところがあるんですか?」
テンカワさんが訊ねる。
「そうです。彼らはネルガルと軍のボソンジャンプに関する情報を集めているようです。その中でも特にジャンプして消えた・・・イツキ・カザマの事を詳しく調べていましたね」
プロスペクターさんの言葉を聞いてカイトさんが写真を取り出して見詰める。
「この写真の女性・・・」
「あの人か・・・」
カイトとアキトが声を出す。
プロスペクターが話を続ける。
「そのグループがボソンジャンプで何をしようとしているのか、私も八方手を尽くして調べてはいるんですが、分かったのは”ヒサゴプラン”という謎の言葉です」
「”ヒサゴプラン”ですか?」
カイトが呟く。
「なにかご存知で?」
「いえ、分かりません」
カイトさんの返事に少し落胆するプロスペクターさん。
「そうですか・・・」
(ヒサゴプラン・・・ですか。なんでしょうか?カイトさんの過去に関係があるのでしょうか)
私も頭の中で考えますが心当たりがありません。
(今度オモイカネに調べてもらいましょう。たぶん無駄でしょうけど)
「あともう一つ、これもヒサゴプランという言葉と同じように謎の言葉なのですが、”NH・プロジェクト”という言葉も見つかりました。名前からして何かの計画という事は想像できますが・・・」
「NH・プロジェクト?」
「何だろ、いったい」
テンカワさんとユリカさんが難しい顔で考えています。
(”ヒサゴプラン”、”NH・プロジェクト”どちらも聞いた事はありません。やっぱりカイトさんの過去に関係があるんでしょうか)
私はそう思ってカイトさんの方に顔を向けました。
「”NH・プロジェクト”・・・・・・」
カイトさんはその言葉を呟く。
「ぐ・・・・・・ああ・・・・・・」
いきなりカイトさんが頭を抱えてその場にうずくまる。
「カイトさん!」
私は慌ててカイトさんの側に座りました。
「カイト!」
「カイト君!」
テンカワさんとユリカさんもいきなりのカイトさんの行動に驚いています。
「カイトさんには”NH・プロジェクト”の意味が分かるのかもしれません」
プロスペクターさんが答える。
「カイトさん、どうしたんですか?カイトさん、しっかりして下さい!」
私はカイトさんの背中をゆっくりと撫でながら話し掛けます。
しばらくして落ち着いたのかカイトさんがゆっくりと顔を上げます。
「・・・大丈夫だよ、ルリちゃん・・・」
「でも・・・」
「ほんとに大丈夫、さっきの言葉を聞いたら少し頭が痛くなっただけだから・・・」
私を心配させないように笑って立ち上がるカイトさん。でも無理をしているのが私にはわかります。
(カイトさん・・・)
私は立ち上がったカイトさんを横で支える。
「カイトさん、なにか知っているのですか?」
プロスペクターさんがカイトさんに聞いてきます。
「すみません・・・僕にはその言葉の意味は分かりません・・・」
「そうですか・・・」
「でも・・・僕にとってその言葉は何か意味のある物のような気がします。・・・なにか重要な・・・」
カイトさんが何かを確かめるように言いました。
「あなたと、ボソンジャンプで消えたイツキ・カザマ・・・お二人にとってその言葉はなにか関係のある物だということは間違いないようですね」
プロスペクターが何か考えるような顔で言う。
「カイトさん、少し休んだ方がいいんじゃないですか?」
「ほんとに大丈夫だよ、ルリちゃん。ごめんに心配かけて」
そう言って私の頭を撫でるカイトさん。
少し落ち着いてきたのかカイトさんの顔色もよくなってきました。
「ほんとに心配したんだぜ。いきなりうずくまるから」
「とりあえず、大丈夫そうで安心したよ」
テンカワさんとユリカさんも安心した顔でそう言います。
「すみません、心配かけちゃって」
「大丈夫なら、それでいいんだよ」
テンカワさんがカイトさんに笑いかけます。
とりあえず落ち着いてきたところで、私はさっきまで考えていた事をプロスペクターさんに聞いてみる事にしました。
「ところでプロスペクターさん、カイトさんの過去のことで何か分かったんですか?」
「今日こちらに来たのもその事に付いてお話しようと思っていたんです」
「じゃあ、何か分かったんですか?」
カイトがプロスペクターに詰め寄る。
「分かったといいますか・・・分からなかったといいますか・・・」
プロスペクターが歯切れが悪そうに言う。
「何か問題でもあったんですか?」
ユリカが言いにくそうにしているプロスペクターに聞く。
「ええ、実は・・・以前調べたカイトさんの遺伝子データをネルガルのデータバンクで調べてみたのですが・・・該当するデータがなかったという事がわかりました」
「該当するデータがなかっただって!」
テンカワさんが驚いたように声を上げる。
ネルガルのデータバンクには地球と木連の人の遺伝子データがすべて入力されているはずです。その中にカイトさんのデータがなかったという事は・・・
「それって・・・僕が人間じゃないってことですか・・・」
カイトさんがショックを受けた顔で答える。
「いえ、そんなことはありません。あなたの遺伝子データは間違いなく人間の物ですから」
「でも、それじゃあ・・・」
「まあ、この場合は確率は低いでしょうがデータの入力漏れか、あるいは何者かがあなたのデータを消去したか・・・とにかく、あなたのデータは存在しない事になります」
私の言葉にプロスペクターさんが答えます。
「そうですか」
とりあえず自分が人間である事が分かって少し安心するカイト。
「まあ、その事もありまして。あなたの戸籍をどうするかを相談しに来たという訳です」
「僕の戸籍・・・ですか」
「はい、今の世の中。戸籍がないと何かと不自由ですから・・・」
(そう言えばカイトさんのアルバイトも最初はどのお店も履歴書がないから駄目だといわれてましたね。結局テンカワさんの知り合いのお店で働かせてもらえるようになったんですが)
「でも、いきなり戸籍をどうするかと言われても」
「そんなに深く考えなくてもいいですよ、あなたの過去が分かるまでの仮の戸籍ですから」
「はあ・・・」
まじめに考え込んだカイトさんにテンカワさんが話し掛けます。
「それなら、カイトは俺が引き取るよ」
「アキトさん!?」
「俺の義理の弟って事にしたらいいじゃないか」
「でも・・・いいんですか?」
「もちろん。ルリちゃんも戸籍上はユリカの妹って事になってるんだし。お前も俺の弟ってことにしてもおかしくはないだろ、それにお前はまだ未成年だろ保護者がいた方がいいし」
アキトが笑顔でカイトに話しかける。
「ありがとうございます、アキトさん!」
「いいってことよ、俺もカイトのことは本当の弟みたいに思ってるからさ」
照れて頭をかくアキト。
「それではそういう事で戸籍を作っておきますね。年齢の方は18歳でいいでしょうか?」
プロスペクターも笑顔でカイトの方を見る。
「はい、どうせ自分の年齢なんてわからないですから」
「これでカイト君はテンカワ・カイトになるんだね。そして私の弟にも!」
ユリカさんが嬉しそうに話し掛ける。
(カイトさん、元気になってくれてよかった・・・)
私も笑顔でカイトさんのことを見ます。
これでテンカワさんとユリカさんが結婚すれば戸籍上でも私たちは家族になります。こういうふうに絆が形になるのは嬉しいです。
さっきまでの暗い話から明るい話になって安心して視線を落とすと、プロスペクターさんの前に置いてあるラーメンが目に付きました。
(そう言えばすっかり忘れてました。このままではせっかくのカイトさんのラーメンが冷めてしまいます)
「ラーメン冷めちゃいますよ?」
私が話を打ち切るように言います。
「ああ、いけない」
プロスペクターさんは急いで平らげ始めました。
(そんなに急いで食べると喉に詰まりますよ)
「ぐっ・・・」
プロスペクターさんが喉にラーメンを詰まらせます。
(やっぱりです・・・)
私はすでに用意していた水をプロスペクターさんに渡します。
「水です」
「あ、ありがとう」
プロスペクターはルリから水を受け取ると一気に飲み込んだ。
「はああ、死ぬかと思った」
そして、カイトに向き直りながら再び話し掛ける。
「とりあえず数日の間に戸籍の方は作っておきますから。あと何か思い出したら私に知らせて欲しいですね」
「はい、ありがとうございました」
「いえいえ。ラーメン美味しかったですよ。・・・それでは」
ラーメン代を払いプロスペクターは静かに席を立ち、屋台を出ていった。
プロスペクターが出ていって少しして・・・
「う〜ん、なんか今日はすごく疲れたね」
ユリカが伸びをしながら言う。
「そうだな。まあ、でもカイトの事で色々と決まったしよかったじゃないか」
「そうだね」
私はテンカワさんとユリカさんの声を聞きながらカイトさんに話し掛けます。
「これからもよろしくお願いしますね、”お兄さん”」
「ル、ルリちゃん!」
私の言葉にカイトさんが慌てます。
(これからもよろしくお願いしますね・・・カイトさん)
慌てているカイトを見ながらルリが幸せそうに笑う。
そんな風に色々とあったが、とりあえず無事に今日の屋台も終わりを告げる。
プロスペクターさんの来客から数日後・・・
今日のカイトさんの仕事は見るからにハードでした。
少し顔色もよくなかったみたいでしたが元々まじめな性格なので今日も最後まで自分の仕事をしていました。
「はい、ルリちゃん。味噌ラーメンできたよ」
カイトがそう言ってルリにラーメンの器を渡す。
「はい」
ルリは受け取った器をお客の前に置く。
「おまたせしました」
「おっ、まってました。週に一回はここのラーメンを食べないと気が済まないんだよな」
そう言って目の前のラーメンに箸を持っていく客。
カイトもその言葉に嬉しそうに笑っている。
その日はいつもより外も寒くて暖かいラーメンを求めて沢山の人が屋台にやってきた。
途中からラーメンの材料が切れて買い出しに走り回ったりして、カイトは心身共に疲れきっていた。
一人でアキトの部屋に戻ってきてラーメンの仕込みをしおわったところまでは何とか意識はあったカイトだが、ホッとした途端、深い眠りに就いてしまった。
夢も見ずに・・・・・・
今自分が寝ている場所を確認せずに・・・
(ん・・・・・・なんでしょう・・・)
どのくらい経っただろう。今までぐっすりと眠っていたルリは自分の足に何か当たる感触に気付いてうっすらと目を開けた。するとそこには・・・
「すーすーすー」
「・・・・・・」
(カ・・・・カカカ、カイトさん!)
「ん・・・・・・」
そう、ルリの目の前には気持ちよさそうに眠っているカイトの顔があったのだ。
(こ、これはどういう事ですか?なんでカイトさんが私の布団に!)(赤)
ルリは目の前にあるカイトの顔を見て顔を真っ赤にしている。
(こ、これってまさか夜這・・・って何を考えてるんですか私は!カイトさんがそんな事する訳ありません!)
ルリはパニックに陥りながらも頭の中で今の状況を整理していく。
(確か今日はカイトさんがラーメンの仕込みで夜遅くまでおきていたんでしたね。それで私たちはカイトさんの”僕のことは気にしないで先に寝ててください”って言う言葉通りに先に布団に入って寝てたはずです・・・で、目を覚ましたらカイトさんの顔が目の前に・・・)
「すーすーすーすー」
ルリの事にも気付かず、尚も気持ちよさそうに寝ているカイト。
(そう言えば今日のカイトさんは顔色が悪そうでしたし、きっと押し入れに行く途中で力尽きて私の布団の上で寝てしまったんですね。)
などと自分の頭の中で解決するルリ。しかし今のこの状況を思い出してまた赤くなるルリ。
(どうしましょうか・・・やっぱりカイトさんを起こした方がいいですね。もしこの事をユリカさんに知られたらどうなるか分かった物じゃありません。)
ルリがカイトに声を掛けようとした時、カイトがルリの体に抱き着いてきた。
ギュッ
「ん・・・・・・・」
カイトはルリの体を抱き枕状態にしてなおも気持ちよさそうに眠っている。
(カ、カイトさん!・・・・・・このままじゃ声を掛けられません・・・。でもカイトさんの体、暖かいです・・・って違います!とにかくどうにかしないと!)(赤)
顔を真っ赤にしながら、そう考えて体をもぞもぞと動かすルリ。
(ん・・・なんだろ。なんかいい匂いがする・・・)
カイトは自分の腕の中で何かが動くのを感じてゆっくりと目を開ける。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!)
自分の状況を理解して声も出さずに驚くカイト。抱き着いているのでカイトからはルリの頭しか見えない。
(な・・・なぜにルリちゃんが押し入れに・・・って、ここはどこだ!?)
今自分がいるのがいつもの自分の寝床でないのを確認するカイト。
(そうか、僕は押し入れに行く前に力尽きちゃって・・・でもルリちゃんってすごくいい匂いがするんだなぁって、違うだろ!ルリちゃんに気付かれないうちに押し入れに戻らないと!もしこんなことをルリちゃんに知られたら・・・”カイトさんて・・・変態さんですか?”なんて言われるに違いない・・・う〜〜それだけは何としても避けねば)(赤)
顔を真っ赤にしながらこの状況を抜ける作戦を考える。
(まずはゆっくりとルリちゃんの体を離して・・・)
ルリの体に回している腕をゆっくり放すカイト。
(つぎは、ルリちゃんの片足の下にある僕の足を引きぬいてっと)
今度はルリの下にある右足を引きぬく。
とりあえず体の自由が戻ったところですかさず押し入れに駆け込むカイト。
(ふー、何とかばれずに上手くいったかな・・・)
カイトは襖を閉めようとした手を止めてルリの方を見て小さく呟く。
「ごめんね、ルリちゃん」
そう言って、今度こそ襖を閉めてゆっくりと夢の中に落ちていく。
ルリの方はというと・・・途中からカイトが起きたのを感じて寝たふりをしていた。
(ほっ、何とかこれで安心して眠れますね・・・でもカイトさんの胸の中・・・暖かくて気持ちよかったです・・・)(ポッ)
などと妄想の世界に入りつつ、もう一度瞼を閉じて眠りに就いた。
そして次の日の朝。
「ルリちゃん、おはよう」
押し入れから降りてきたカイトが何事もなかったかのようにルリに挨拶をする。
「あの・・・」
「なに?」
「これからは、最初から押し入れで寝るようにして下さいね」
心持ち顔を赤くしながらカイトにそう言うルリ。
「・・・はい」
カイトの方は反対にルリにばれていたことに顔を引き攣らせながら答えた。
(別に嫌じゃなかったけど、やっぱりこう言う事はまだ早いですよね・・・私、少女ですから)
カイトの顔を見ながら少しだけ頬を赤らめて笑うルリ。
アキトとユリカは二人のそんな顔を不思議そうに眺めていた。
〜続く〜
後書き:
S:どうもこんにちは、S=DASHです。”エピソード7:続・屋台発進!!”をお送りしました。いかがな物でしょうか?書いておいてなんですが今回は自分ではどうも納得できない出来になってしまいました。最近、頭の中で話が上手くまとまってくれなく困っています。簡単に言うとスランプです。(−−;;
ルリ:あなたの頭じゃそんな物でしょう。(−−)
S:はぅ(TT)
ルリ:とにかく、投稿したからには最後までちゃんと書いて下さいね。
S:も、もちろんです、血反吐吐くまで頑張らせてもらいます。
カイト:大変だろうけど、これからも頑張ってくださいよ。(ニコリ)
ルリ:あ、カイトさん(ポッ)
S:うう〜、ありがとうカイト君。僕の心配をしてくれるのは君だけだよ。何処かの誰かさんは僕をいじめてばっかりで、ねぎらいの言葉の一つも掛けてくれないんだから。
ちらっとルリの方を見るS
ルリ:ピクッ(ーー)
カイト:そうだ、これ。僕の作ったラーメン。これを食べて力つけなよ。
ラーメンを差し出すカイト。
S:うう、ありがとう。(TT)
カイト:それじゃ僕はこれで、明日の仕込みをしなきゃいけないから。読者の皆さん今回のSSも読んでくれてありがとうございました、次の話でまたお会いましょう。(ペコリ)
走り去っていくカイト、その背中に手を振るSとじっと黙っているルリ。
S:さて、さっそくカイト君のラーメンをいただこうかな。
ルリ:Sさん、これをあげます。
突然ルリがSにジュースを差し出す。
S:えっ!ルリちゃん。それを僕にくれるの?
ルリ:はい、いつも頑張ってくれてるお礼です。(^^)
S:う〜、ありがとう、ルリちゃん。やっぱり僕の事を心配してくれてたんだ。(TT)
ルリ:さ、飲んで下さい。
S:うん、わかったよ。
ゴクゴクゴクゴク・・・バタン
その場に倒れるS。
S:うっ、痺・れ・薬・と・は・・・
ルリ:Sさん、あなたにカイトさんのラーメンはもったいないです。(ニヤリ)
ズルズルズルズル・・・コクン
ルリ:ふう、やっぱりカイトさんのラーメンは美味しいですね(^^)
S:う・う〜〜〜、鬼、悪・魔〜〜〜(TT)(ガス)
ルリ:失礼ですね、私は妖精です。(−−)
G釘バットで止めを刺すルリ、いつものように頭から血を流しピクピクするS。
ルリ:ご馳走様でした。さて、それではカイトさんのお手伝いに行きましょうか・・・。読者の皆さん最近作者がスランプだとかでSSの内容が薄れてきていますが責任を持って書かせますので最後まで読んで下さいね。感想や意見もメールで送ってください、返事は作者にきちんと書かせますから。それでは次の話でまたお会いしましょう。(ペコリ)
歩いていくルリ、そして後に残った、痺れ薬とG釘バットのダブルヒットでピクピクしているS。
S:な・ん・で・僕・が・こ・ん・な・目・に・・・(TT)
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