ウリバタケさんの家を家庭崩壊に追い込みつつ屋台をゲットした私たち。

でも最初はなかなか上手くいきませんでした。

ですが何とか最初のお客さんであるヒカルさんをゲットしてからは大繁盛とはいかないまでもとりあえず生活にはこまらない程度に人気も出てきました。

それはいいのですがお客さんの中には私たちをからかう人もいて・・・

「かわいい売り子さんだね。お兄さん、君の恋人さんかい?」

などとからかわれて顔を赤くして困ってしまう私とカイトさん。

テンカワさんとユリカさんの方はお客さんのからかいの言葉に恥ずかしそうにしながらも嬉しそうでしたけど。

 

頑張って働いたおかげでようやくお休みも取れるようになりました。

その日はユリカさんの提案で町に遊びに行く事になりました。

(出発の時にダブルデートに変更になりましたけど)(ポッ

もちろんユリカさんはテンカワさんとで私はカイトさんとです。そのときユリカさんのおかげでカイトさんと手を繋ぐことが出来ました。

(嬉しいですけど、ちょっと恥ずかしいですね)

その後は映画館でユリカさんとテンカワさんの結婚式を知り驚いてしまいましたがそれとこれとは話は別です、せっかくのお休みですから楽しまないといけませんね。

 

 

さて、これから何をしましょうか・・・

 


 

機動戦艦ナデシコ

〜妖精の微笑み〜

 

エピソード6:休日の過ごし方

 

 

前回、映画館でゲキガンガーの映画を見た私たち。

その後、軽く昼食を済ませて、町を歩いていると突然ユリカさんがバーチャルルームボックスというモノの話を始めました。

そして訳も分からないうちに、私達三人はその『バーチャルルームボックス』へ連れて行かれました。

 

バーチャルルームボックス

お店の中に入るとユリカさんが嬉しそうな顔をして私たちのほうに振り向きます。

「これがバーチャルルームボックスでーす。バーチャルルームには入った事あるよね?」

「僕の記憶が戻るかもって・・・ルリちゃんといっしょに入ったのが、ナデシコのバーチャルルームでしたよね」

「そう!ルリちゃんとカイト君が始めてキスした場所だよ、さすがに忘れる訳ないよね!」

カイトさんの言葉にユリカさんがとんでもない事を言い出しました。

しかも大きな声で・・・

(こんな所で、な、なんて事を言うんですか!)

「ユ、ユリカさん!」(赤)

「ユリカさん!大声でなに言ってるんですか!」(赤)

ユリカさんの言葉に私とカイトさんは顔を赤くしながら言います。

私たちの横では、テンカワさんが意地悪そうに笑っていました。

(テンカワさんも・・・面白がっていますね・・・)

「ふふふっ!ちょっとからかってみただけだよ、二人とも真っ赤になっちゃってかわいい!」

「ユリカさん・・・全然ちょっとじゃありません」

私は俯いてそう抗議する。

「だって、ルリちゃんの”お姉さん”としては妹の記念すべき初キッスの思い出を大事にしたかったんだもん」

ユリカさんが少し遠い目をして言う。

「・・・」(真っ赤)

私はユリカさんの”初キッス”という言葉にただ黙って俯いてるしかなかった。隣ではカイトさんも同じように真っ赤な顔で俯いている。

「ユリカ、それくらいで許してやれよ」

私たちの姿を見かねてテンカワさんが声を掛けます。

「は〜い。ごめんね、二人とも。もう言わないから安心して!」

私たちはその言葉で少し落ち着きを取り戻しました。

(まったくユリカさんは・・・なにもこんな所で言わなくてもいいじゃないですか。・・・あの時の事を思い出してしまったじゃないですか)

でもやっぱりあの時の事を思い出して真っ赤になってしまう私・・・

「で、でもどうしてこんな所にバーチャルルームがあるんですか?」

カイトさんはこれ以上ユリカさんから攻撃を受けないようにあわてて訊ねます。

「最初は戦艦や宇宙船にしかなかったんだけど、それが好評で最近地球にもちらほらとこういう施設が出来てるみたいなの」

ユリカさんが説明をする。私もようやく落ち着いてきたのでユリカさんに訊ねます。

「これはやっぱり二人で入る物なんですか?」

「もちろん!」

(やっぱり思った通りです。まあ、ユリカさんがここに来たのもテンカワさんと二人で入るためなんでしょうけど)

「さ!アキト、入ろ!」

「あ、ああ」

ユリカさんに腕を組まれて照れながらも頷くテンカワさん、そして二人はルームの中に入っていく。

ユリカさんとテンカワさんが二人で入って行ったってことはここには当然私とカイトさんの二人が残る事になります。

「・・・」

「・・・」

さっきのユリカさんの言葉と二人だけという状況が私たちを妙に意識させます。

「こ、このまま待っていても退屈だし、入ってみようかルリちゃん?」

「そ、そうですね」

少し顔を赤くしたカイトが私のほうを向いて笑って聞いてきたので、わたしも俯いたまま頷きました。

私とカイトさんはルームに入ります。

ここはウリバタケさんの改造したものではないので年齢を変更できません。ですから、今の私たちに合ったシチュエーションを機械のほうで選んでくれるようです。

私とカイトさんにぴったりのシチュエーションは『医者もの』らしいです。

(『医者もの』とは、二人とも医者なのでしょうか?それともどちらかが患者なのでしょうか?)

まあ、それも設定によって変わるに違いませんね。

「設定は何にするんですか?」

「ビギナー設定でいく」

私の問にカイトさんが答えます。

設定にはビギナー、ノーマル、アダルトの三種類があるようですがカイトさんも私の事を考えてビギナーを選んだようです。

(さすがにアダルト設定はまずいですね・・・私、少女ですから)

「別にかまいませんけど」

「それじゃあ、ビギナー設定でと・・・はじまるよ」

カイトさんの言葉と同時に視界が暗転する。

「これはどういう状況になるんですか?」

「えっと、ルリちゃんは長期入院中の薄幸な少女。僕はその主治医。外出も許されないルリちゃんを海に連れてきた、という物らしいよ」

カイトさんの言葉が終わると同時に辺りが暗くなっていく。

「なんかありがちなパターンですね・・・」

私のその言葉がカイトさんに聞こえたかどうかは分かりません。

 

目の前が明るくなるとそこには海がありました。

私は車椅子に乗ってその海を眺めています。カイトさんは私の車椅子の後ろに立っています。

「海・・・ですね」

(海・・・懐かしいですね。私が始めて海を見たのがずいぶん前に感じます)

私は過去に乗っていたナデシコで海に行ったときのことを思い出していました。

「うん。来た事ないの?」

「もちろんあります。一回だけですけど・・・夏にはここで泳いだりするんですよね?」

「夏がきたら皆で来よう」

「そうですね・・・皆でいっしょに。楽しみですね・・・」

カイトさんの声に答える私。

(そうですね・・・今度は、カイトさんとテンカワさんとユリカさん・・・”家族”で行きたいですね)

私はそう思いつつ演技を続けます。

「夏まで私が生きていられればいいんですけど・・・」

「そ、そんな弱気な事を言っちゃ駄目だ。君は僕が治す!」

いきなりそう言ってカイトさんが私の目の前に来て私の顔を見詰めてきます。その瞳には強い意志と優しさが感じられました。

「ちょっと、なりきりすぎじゃないですか?」(ポッ

「そうかな?」

私はカイトさんの真っ直ぐな瞳に顔を少し赤くして俯き、照れ隠しにそう言いました。

(カイトさんはやっぱり優しい人ですね・・・演技のなかでも真剣に私の事を考えてくれる・・・きっとそこがカイトさんのいいところです・・・)

カイトさんは私の言葉に照れ笑いを浮かべていました。

 

久しぶりにカイトさんとふたりきりでいられて嬉しかったのもつかの間、バーチャルルームから出た私たちは先に出て待っていたユリカさんやテンカワさんに中でなにをやっていたのかと質問攻めにあってしまいました。

まったくこの人達は・・・

「・・・バカばっか」

 

バーチャルルームを出た後、私たちは辺りを見て回って少し早めの夕食を取りました。

そんなに贅沢な物じゃないけど四人で食べるという事が私にとってはとても大事な事です。

私たちは普段から食事は家族で食べる事にしています。

お昼はユリカさんが宇宙軍のお仕事に行くので無理ですが朝と夜は必ず皆で食べる事にしています。

皆で食べるご飯はどんな高級料理店で食べるよりも美味しいし、とても暖かい気持ちになれるから・・・

とても平凡な事かも知れませんが私にとってはすごく大事な事です。

これからも皆で食事をとっていきたいと思っています。

というわけで大事な夕食時間を済ませて近くの公園でお話をしている私たち。

ですが、なんだか急に眠くなってしまいました。

(いけ・・・ません・・・こんな・・・とこ・・・ろ・・・で・・・・・・)

頭では寝てはいけないと思っていても体が言う事を聞いてくれません。私はとうとう睡魔に負けて眠ってしまいました・・・・・・

 

コトン

ルリの頭が隣に居たカイトの腕にあたる。

「ルリちゃん?」

カイトがルリのほうを向くと

スーーースーーーとかわいい寝息が聞こえてきた。

「どうしたのカイト君?」

「ルリちゃん、眠っちゃいました」

心持ち小さな声でユリカに答える。

その言葉を聞いてアキトとユリカがルリの顔を見る。

「いままであまり休みが取れなかったから、ルリちゃんも疲れが溜まってたんだな」

「ルリちゃん、すごく幸せそうな顔してるね。きっといい夢を見てるんだろうなあ」

二人はルリの寝顔を優しく見詰める。

「どんな夢・・・見てるんでしょうか?」

カイトが呟くと

「・・・う・・・・ん・・・・カイト・・・さん・・・・・・スーーースーーー」

お約束なタイミングでお約束な寝言をいうルリ。

その言葉を聞いて顔をちょっと赤くするカイト。

「くすっ、やっぱりルリちゃんの幸せな寝顔の理由はカイト君の夢を見てるからなんだね」

「ユ、ユリカさん・・・」(赤)

カイトは恥ずかしながらも少し嬉しそうだ。

(ルリちゃんが僕の夢を見て幸せな顔をしてくれるのなら・・・嬉しいな)

カイトはルリの顔を見ながら考えている。すると肩に手を置いてアキトが話し掛けてくる。

「こんなとこで寝てたら風引いちゃうな・・・カイト、ルリちゃんをおぶってくれないか」

カイトはアキトがルリの事を心配しているのに嬉しくなった。

「はい」

そう言ってルリをその背中におぶる。

ルリの体はとても軽かった。

(ルリちゃん・・・君はこんなに小さな体で僕たちを支えてくれてるんだね・・・)

ルリをおぶって、カイトはアキトとユリカといっしょに歩き出す。

ルリを起こさないようにゆっくりと・・・

三人は自分達のためにルリがどんなに頑張ってくれているかよく知っている。

ほんとなら、今ごろは学校に通い年相応な暮らしをしているはずなのに。黙って屋台の手伝いをしてくれているルリ。

ときどき見せる嬉しそうに笑うルリの顔が自分達を安心させてくれることも知っている。

「ルリちゃんには・・・幸せになってもらいたいね・・・」

「そうだな・・・」

「そうですね・・・」

ユリカの言葉に頷く二人。

この時の三人の望みは一つだった。

そう・・・ルリが幸せになる事・・・ただ一つ

 

時間は少しさかのぼって・・・

(ん・・・・なんか暖かくて気持ちいいですね・・・)

ルリはうっすらと目を開ける。目の前にはいつも見ていた背中があった。

(・・・カイトさんの背中・・・どうして・・・?)

この時ルリは初めて自分がカイトにおんぶされている事に気付いた。

(そうですか・・・わたしあの後眠ってしまったんですね・・・)

ルリは自分の状況を確認するとカイトに下ろしてもらおうと声を掛けようとしたが

「ルリちゃんには・・・幸せになってもらいたいね・・・」

「そうだな・・・」

「そうですね・・・」

三人の言葉にその口を閉じる。

(皆さん・・・・・・私は、今も幸せですよ・・・皆さんが側に居てくれて・・・)

ルリは頭の中でそう答える。

自分がこんなにも思われていることにとても幸せを感じるルリ。

(私も・・・皆さんには、幸せになってもらいたいです・・・。私はいつも皆さんに幸せをもらってばかりですから・・・いつか返してあげたいです・・・)

ルリは自分がカイト達にどれだけ助けられているか知っている。だからこそ皆を助けてあげたいと思っている。今は無理でもいつか・・・与えられるだけでなく、与えたい・・・・と。

(でも・・・・・・今はいいですよね。この温もりを感じていても・・・)

ルリはカイト達の与えてくれる優しさに包まれながら、カイトの背中の温もりに包まれて再び眠りに就いた。

 

町でのダブルデートが終わって次の日

私は布団の中で目を覚ましました。

どうやら昨日はあれから家に帰ってからもそのまま寝ていたようです。

私は昨日のデートを思い出して少し顔を赤く染めてしまいました。

(昨日のデートは楽しかったですね。・・・今日もいい一日になりそうです)

私は少し笑顔で布団を畳むと周りを見回します。

隣にはテンカワさんとユリカさんがまだ寝ています。

お二人も普段の疲れが溜まっていたのかぐっすりのようです。

(でもこのまま寝かせておいてはいけませんね、今日もやる事がありますから)

私は昨日の事を思い出してすこし心が痛みましたが心を鬼にしてユリカさんを起こします。

「ユリカさん、起きて下さい」

ユサユサ

ユリカさんの体を揺らします。

「う〜〜ん、ルリちゃん・・・後五分・・・」

ユリカさんの”後五分”が始まりました。実際ユリカさんが五分で起きた事はありません。

ですから私はヒミツの手を使います・・・

「ユリカさん・・・ユリカさん・・・」

「う・・・ん・・・」

私はユリカさんが起きないのを確認するとユリカさんの耳元で囁きます。

「ユリカさんが起きないんでしたら、私がテンカワさんを起こしますよ?」

その言葉にバチッと目を覚ますユリカさん。

(完璧ですね・・・)

以前私がカイトさんを起こした後にまだ寝ていたテンカワさんを起こしてあげた時にユリカさんが

「ルリちゃん、アキトは私が起こすから代わりに起こさないでね!」

と言っていたのでこの方法なら間違いなく起きてくれます。

「ユリカさん、目が覚めましたか?」

「うん・・・。ルリちゃんおはよう!」

すこし眠そうにしていましたがすぐに元気に挨拶してきます。

(ユリカさんは切り替えが早くて助かります)

私はユリカさんが起きたのを確認すると朝の日課を始めるためにカイトさんのいる押し入れの方に顔を向けます。

この狭い四畳半では三人が寝るので精一杯ですからカイトさんは押し入れで寝ています。

ただ、カイトさんが初めて押し入れで寝た時に

「押し入れで寝ると朝になっても暗くてなかなか起きられなくて困るよ」

と言っていましたので、

「それなら私が起こしましょうか?」

と言う事になり、その日から朝は私がカイトさんを起こすようになりました。

ですから、今日も・・・

ススス・・・

襖を開けるとカイトさんが気持ちよさそうに眠っています。

(やっぱりカイトさんの寝顔、かわいいですね)(ポッ

「起きて下さい」

私はカイトさんの顔に朝日が当たるようにします。

「ううっ、もう朝か・・・」

カイトさんが朝日に反応してゆっくりと瞼を上げました。

「おはようございます」

「あ・・・おはよう・・・」

(カイトさんの寝起きの顔を見られるのは私の特権ですね)

すこし微笑みながらそんな事を考えます。

「起こしてくれてありがとう」

カイトさんが笑顔で私にお礼を言ってくれます。

その笑顔に私は少し顔を赤くしてしまいます。

「よしっ!起きるぞ!」

「はいっ、早く起きてください」

私がカイトさんを起こすのと同じようにユリカさんに起こされてテンカワさんも起きてきました。

 

私たち四人が起きてから揃ってまずする事は揃って朝食を食べる事です。

以前にも言ったように私たちは朝、夜は必ず全員で食事を取る事にしています。

その日の朝ももちろん皆揃って食べます。

「「「「いただきます」」」」

私たちの声が朝日の匂いに包まれた部屋に響きます。

「さて、皆の今日の予定はどうなってるんだ?」

テンカワさんが私たちに聞いてきます。

そう、私たちの朝の恒例行事は”皆で朝食を食べる”だけじゃなくてもう一つは”一日の大まかな行動をお互いに教え合う”ということです。

こうしておけば何かあったときに連絡が取りやすいだろうというテンカワさんの提案です。

「ユリカは今日も宇宙軍で働かなくちゃいけないの・・・くすん」

ユリカさんは宇宙軍で働いているので昼間はテンカワさんと一緒に居られないのでとても寂しそうです。

「僕も今日はアルバイトがあります」

カイトさんは最近近くの料理屋さんでアルバイトを始めました。そこは以前にテンカワさんが働いていたところなので、テンカワさんの紹介もありすぐに働けるようになりました。

すこしでも生活費の足しになればと思って始めたようです。でもちゃんとお昼は家で食べてます。

以前私もアルバイトしようと思って行ってみましたが・・・少女だから出来ませんでした。

「俺は今日もラーメンの材料の買い出しと研究かな・・・後は屋台の掃除だな」

テンカワさんは毎日ラーメンの研究で忙しいみたいです。屋台の材料ともなると少なくもないので私もたまにお手伝いしたりします。

「ルリちゃんはどうするの?」

カイトさんが私に聞いてきました。

「私も今日はテンカワさんの買い出しを手伝います」

「いいのかい、ルリちゃん?」

「はい、私も何か手伝いたいですから」

テンカワさんの言葉に答える私。テンカワさんは笑顔で「ありがとう」と言ってくれます。

今日の四人の予定が決まりました。

付け加えるなら夕方からは四人揃って屋台を引きます。

 

その日はいつもより早めに買い出しが終わりました。

テンカワさんは少し用事があるとかで、私だけがひとまず部屋に戻る事にしました。

部屋に入ると、そこにはユリカさんが居ました。

ユリカさんは寂しそうな顔をして窓に座っています。

「あ、おかえりルリちゃん」

私に気が付いたユリカさんが話し掛けてきます。

「ユリカさん、どうしたんですか?たしか軍のお仕事があったんじゃ?」

私は不思議に思って訊ねます。

「うん、今日はなんかやる気が起きなくて、ジュンくんに任せてきたの」

(アオイさん・・・相変わらずですね・・・)

私は少しアオイさんに同情しながらもユリカさんの様子がおかしい事に気が付きました。

「元気ないですね、どうしたんですか?」

「うん、ちょっとね」

ユリカさんは少し歯切れが悪そうに言います。

(いつものユリカさんらしくないですね・・・・)

「ねえルリちゃん、アキトは私の事どう思ってるのかなあ?」

「テンカワさんはユリカさんの事が好き・・・なんじゃないんですか?」

「それはそうなの」

「じゃ、なんですか?」

「でもね、アキトはわたしに”くっつくな〜”とかよく言うでしょ。それが不思議で。何でそんな事いうのかな、って」

ユリカさんは考えるような顔で答える。

「アキトは昔から私の王子様だったけど、アキトにとって私はそうじゃなかったみたいなの。だからなのかなあ?」

(そんな事を本気で悩んでいたのですか、この人は・・・)

私はすこしあきれました。

「それは照れてるだけですよ」

「照れてる・・・そう言えばそうか・・・。そうだね、ユリカってば気にし過ぎだよね!」

ユリカさんはさっきとは反対に嬉しそうに笑って答えます。

「ありがと、ルリちゃん。お礼になんでも言う事聞いてあげる!」

「え?べつにいいです」

「いーの、”お姉さん”になんでも言ってみなさい!」

ユリカさんが”お姉さん”の部分を強調して言う。

(いきなりそんな事言われても困ります・・・)

「そうだ!」

ユリカさんは私が悩んでいるのを見て声を上げます。

「ルリちゃんが私とアキトの仲を応援してくれたから、今度は私がルリちゃんとカイト君の仲を応援してあげる!」

「ユ、ユリカさん!」(赤)

ユリカさんがいきなりそんな事を言い出しました。

「大丈夫、ユリカに任せて!ルリちゃんは大船に乗った気でいてね!」

(なんでそうなるんですか・・・ユリカさん・・・)(赤)

「・・・」

私が頬を赤くして俯いているとユリカさんは幸せそうに笑っていました。

 

今日はそんな感じでユリカさんとふたりでお話をしてすごしました。

こんな日もたまにはいいですよね。

 

 

〜続く〜

 


後書き:

S:どうもS=DASHです。今回は”エピソード6:休日の過ごし方”をお送りしました。いかがだったでしょうか?今回は前回のダブルデート編の続きです。楽しんで下されば僕も書いた甲斐があるという物です。

ルリ:Sさんお疲れさまでした。(^^)

そう言って飲み物をわたすルリ。

S:ありがとうルリちゃん。どうしたの今回はやけに優しいじゃないですか?

ルリ:いえ、今回のお話のご褒美です。(ポッ

S:今回はついにカイト君とのデートですからね、ルリちゃんどうだった?

ルリ:ええ、とても幸せでした・・・(ポッ

S:ちゃっかり手なんか繋いじゃって、このオマセさん♪

ルリ:カイトさんの手・・・とても暖かかったです・・・(ポ〜〜〜

すでにあっちの世界に行ってしまったルリ。

S:む〜〜、これでは話が進みませんね。こういう時は・・・

Sが手持ちの携帯を使う。

S:もしもし・・・うん、そう、今すぐ来て下さい。(ピッ)

少しして現れる人影。

カイト:呼びましたか?

S:ええ、ちょ・・・ルリ:カイトさん!

Sの言葉を遮ってルリがカイトに近付く。

カイト:ルリちゃんどうしたの?

ルリ:この間のデ・・・休みは楽しかったですね(ポッ

カイト:そうだね!また皆で遊びに行こうね!(ニコリ)

ルリ:はい!(^^)

その後も二人で話をするルリとカイト。

S:・・・・・・なんか、一人だけ取り残されたような気がするのは気のせいでしょうか。あの・・・二人ともそろそろ時間なんでけど・・・

ルリ:もうそんな時間ですか?

カイト:じゃあルリちゃん。

ルリ・カイト:パソコンの前の皆さん、今回のお話はどうだったでしょうか?楽しんでいただけたら幸いです。これからも頑張っていきますのでどうかよろしくお願いします。感想や意見はメールでお送りください、どんなささいな事でも結構です。それでは次のお話でまた会いましょう。(ペコリ)

歩いて帰って行くルリとカイト。しかしルリがカイトになにか言うと戻ってくる。

S:ルリちゃんどうしたの?

ルリ:いえ、いつものアレを忘れてましたから。

S:へ?いつものアレって?

ルリ:これです。(チャキ)

背中からいつものアレを取り出すルリ。

S:ル・・・ルリちゃん、僕は今日は・・・何もしてませんよ?

ルリ:分かってますよ。でも最後はやっぱりこれで終わらないと。

S:そ・・・そん(ガス)

いつものように頭から血を流しピクピクするS。

ルリ:ふう、すっきりしました。さて帰りましょう。

再び帰って行くルリ、そこに残っているのは・・・

S:なんで僕がこんな目に・・・(TT)







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