マシンチャイルドとして作られた私に家族が出来ました。
ちょっと頼りなく見えるけどほんとは意志の強いテンカワさん。
テンカワさんの事になると暴走しがちだけどいつも周りを励ましてくれる優しい艦長・・・じゃなくてユリカさん。
(やっぱり照れてしまいますね)
そして・・・
私の事をいつも笑顔で見守ってくれる・・・私の一番大切な人・・・カイトさん。
長屋での生活は私にとって新しく発見する物がたくさんありました。
それは私にとってはとても嬉しい事だと思います。
ユリカさんにはカイトさんの事で、色々とからかわれましたけど気にしても仕方ありませんね。
私のカイトさんに対する気持ちが一人の男性としてか、それとも新しく出来た家族に対するものなのかまだはっきりしていないけど・・・
今の私には大切な家族がある。その事が私に幸せを与えてくれる。それだけで今は十分です。
この気持ちが将来どうなっていくかは分からないけど。
今はこの気持ちを大切にしていきたいと強く願います。
この幸せがいつまでも続きますように・・・
機動戦艦ナデシコ
〜妖精の微笑み〜
エピソード4:屋台=家庭崩壊?
サセボシティでの長屋生活は思った以上に私にとって大事な物になりました。
家族と呼べるものに出会えて私もずいぶん表情が豊かになったと思います。
この間も
「ルリちゃん、最近良く笑うようになったね。やっぱりルリちゃんは笑った顔の方がかわいいよ」
なんてカイトさんに言われてしまいました。すごく嬉しかったです。(ポッ)
・・・でも、その時の顔をユリカさんたちに見られてしまったのは失敗でした。あの後ずいぶんからかわれてしまいましたから。
まあ、いろんな事がありましたけど私の長屋生活は幸せな内に終わりを告げる事になりました。
そして今・・・
ネルガル本社ビルの会議室
「皆半年の間、ご苦労さん。とりあえず拘留生活は今日でおしまいだから家に帰るなりネルガルに残るなり、これからの事は自由にしてくれてかまわないよ。あと、ちょっとした監視は付くと思うけどあんまり気にしなくて良いからね、まあ建前みたいな物だから。」
アカツキの言葉が終わると周りが騒ぎ出す。
「ふうー、ようやく解放ってわけか」
「でも長屋での生活も悪いだけじゃなかったですよ」
「まあな、けどこれでお前らともお別れだと思うと少し寂しいけどな」
「でも、もう会えない訳じゃないんですから。ウリバタケさんはこれからどうするんですか」
「そうだな、やっぱ家に帰らないとやばいからなぁ」
ウリバタケは家にいる妻の事を考えて少し疲れた顔をする。
ウリバタケとアキトが言葉を交わしている周りでもそれぞれの人が別れを惜しんでいる。
「ねえ、ルリルリはこれからどうするの?」
ミナトが隣に居るルリに話し掛ける。
「ルリさんはネルガルがナデシコのためだけに雇った訳ですからナデシコが無くなれば・・・」
側にいたプロスペクターが言いづらそうに話す。
ミナトはプロスペクターの言葉を理解して、ルリに話し掛ける。
「もしよかったら私たちといっしょに暮らさない?ユキナちゃんも居るし二人ぐらいなら何とかなるわ」
「そうよルリ、私たちの家にきなさいよ」
ミナトの言葉にユキナが続く。
ルリは二人の言葉がとても嬉しかった。
「ありがとうございます、ミナトさん、ユキナさん。でも、私は・・・」
「その事なら心配ありません!」
ユリカさんが私の言葉を遮って声を上げます。
「ルリちゃんとカイト君は私の家で面倒見る事になりましたから!エッヘン」
ユリカさんが胸を張って言います。
(ユリカさん、別に胸を張って言う事じゃないとおもいますよ?)
「え、そうなの?」
ミナトさんが私に不思議そうな顔をして聞いてきます。
「はい」
「そっか、ルリルリがそう決めたんならしょうがないか」
(済みません、ミナトさん)
私は心の中で、少し寂しそうな顔をしたミナトさんに謝りました。
「でもカイトさんまで艦長の家に行く事になるなんて、アキトさんが知ったら怒りますよ」
メグミさんが意地悪そうな顔でユリカさんに言います。
「大丈夫、この事はアキトも賛成してくれたから。それにアキトと私の仲はそんな事じゃ崩れません!」
自信たっぷりに言うユリカさんにメグミさんも言葉が出ないようです。
「リョーコちゃん残念だったね、カイト君に会えなくなるなんて。ウルウル、せっかく二人の事応援してあげようと思ったのに」
「ば、何言ってんだ!」
「かわいそうに・・・・ウルウル」
「イ、イズミ。てめーまで」
ヒカリとイズミの言葉に顔を赤くするリョーコ。
(リョーコさんたちは相変わらずですね・・・あれ、そう言えばカイトさんは何処でしょう?)
私はさっきから見当たらないカイトさんを探します。しばらく辺りを見回すと、カイトさんとエリナさんの姿が目に付きました。どうやら二人でお話をしているようです。
私はゆっくりと二人に近付きます。
(二人で何を話してるんでしょう?)
段々と二人の話し声が聞こえてきました。
「で、どうかしら。引き受けてもらえる?」
「いえ、そんな事を言われても・・・」
「何もただで協力してなんて言わないわ。記憶が戻るまでの生活はネルガルが保証するしちゃんとお礼もするわよ、それにあなたの過去を調べるのにも協力するし」
「でも、いきなり実験というのは・・・」
「考える時間ならあったはずよ。それにウチの方も最近ケチが付いちゃってヤバイのよ、ここら辺でボソンジャンプの生体ジャンプを完成させて一気に盛り返したいの」
「あ、う・・・」
「それに記憶喪失のあなたに行く当てなんてないんでしょ?」
エリナの剣幕に押され気味のカイト。
そんなカイトに救いの声が。
「エリナさん。カイトさんは艦長の家に行く事になってますからそんな事を言っても無駄ですよ」
いつのまに来たのかカイトの隣に立ってエリナをジッと見るルリ。
「あら、そんな事いつ決まったの?」
「正確にはちょうど半年前の午後3時12分49秒です」
エリナの余裕たっぷりの言葉にサラッ答えるルリ。
「グッ・・・」
まさかこんな返し方をしてくるとは思わなかったのか顔が引き攣るエリナ。そんなエリナを置いてカイトを引っ張っていくルリ。ちゃっかり手を繋いでいる。
「助かったよ、ルリちゃん」
カイトはほっとした顔でルリに声を掛ける。
「カイトさん、ああいう事ははっきりと言ったほうが良いですよ」
カイトの言葉に少し言葉に刺を混ぜて言うルリ。
「う、うん。分かってるんだけどね」
(フゥ、カイトさんは優しすぎます)
私はそう思いつつ、カイトさんのその優しさが元でいつかカイトさんが不幸な目に遭わないか心配になりました。
そんな私たちの背中にエリナさんの声が聞こえてきましたが無視です。
あの後、エリナさんが色々と言ってきましたけどそんな事は気にしないで私たちはユリカさんに連れられてユリカさんの家にやって来ました。
ユリカさんの家は大きなお屋敷でいかにも純和風な感じでした。ユリカさんの言う通りは部屋は一杯余ってそうです。
私たちはユリカさんに案内されてお屋敷に入ります。カイトさんはきょろきょろと辺りを見回していましたけど、私は別に何も感じません。わたし、これでもお姫様でしたから。
ミスマル家の一室
私たちの目の前にユリカさんのお父さん、ミスマル・コウイチロウ提督が座っています。
「・・・という訳で、二人をこの家に引き取りたいのですが。お父様、よろしいですか?」
ユリカさんの言葉に威厳のある顔で答える提督。
「う〜む、そう言う事ならしばらくの間家においてもよかろう」
「ありがとうございます、お父様!」
ユリカさんが提督に向かって笑顔を向けると提督は赤い顔をしながら
「う、うむ。ユリカの頼みをわしが断るわけないではないか」(デレデレ)
(提督、顔が歪んでますよ)
相変わらずな親馬鹿ぶりです。カイトさんもさっきまでの威厳のある顔からの変わりように驚きを通り越して固まっているようです。私は前もって分かってましたから大丈夫でしたけど。
という訳で私とカイトさんはユリカさんの家に住む事になりました。
そのはずなのですが・・・
数日後
「も〜〜、お父様のわからずや〜〜!どうして私とアキトのこと認めてくれないのよ〜!」
ミスマル家にユリカさんの大声が響き渡ります。
「ユリカ〜、わしは別にアキト君の事をどうこう言ってる訳じゃなくて。もう少しよく考えた方が良いんじゃないかと」
ズズズズ・・・
私はユリカさんと提督の言い合いを聞きながらカイトさんの入れてくれたお茶を啜ります。
(やっぱり、カイトさんの入れてくれたお茶はおいしいですね)
「なによ〜〜、アキトより素敵な人なんてこの世にいる訳ないじゃない!」
「お前には結婚はまだ早いんじゃないかと言ってるんだ」
二人の喧嘩はいつもの事なので気にしません。たいてい提督がユリカさんに謝っておしまいです。
でも、この日はいつもと少し違っていました。
「ルリちゃん、止めなくても良いのかな?」
カイトさんが私に聞いてきます。
「カイトさん。いつもの事ですから、気にしてもしょうがありませんよ」
「確かにそうだけど」
ズズズズ・・・フゥ
「も〜〜ガマンできない、私この家を出て行きます!」
「ユ、ユリカ〜〜〜!」(涙)
「ルリちゃん、カイト君!荷物をまとめて!こんな家に居たら二人ともお父様みたいになっちゃうよ!」
お茶を飲んでいた私とカイトさんにユリカさんが話し掛けてくる。
「ユリカさん、それならこれからどうするんですか?」
「もちろん、アキトのところに行くの!」
私の言葉にユリカさんがと〜ぜんといった顔で答えます。
「ユ、ユリカさん。もう少し落ち着いて考えたほうが・・・」
カイトはおずおずとユリカに声を掛ける。
「さあ、カイト君も早く!」
カイトにそう言いながらユリカはルリの荷物をまとめ始める。ルリのほうは周りなど気にせずにカイトのお茶をおいしそうに飲んでいた。
それから30分後・・・
「ユリカ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」(号泣)
門の前で叫んでいる提督を背にして、私たちはテンカワさんの家に向かいます。
「いいのかなぁ?」
まだ、納得していない顔で呟くカイトさん。
「カイトさん、置いていきますよ」
私は後ろを向いているカイトさんに声を掛けました。カイトさんも諦めたのか苦笑いしながら私の隣に並びます。
テンカワ家
テンカワさんの部屋はレトロな四畳半一間で、ウリバタケさんが探してくれたそうです。
さすがに艦長の家とは違い、部屋の中は私たちの荷物でいっぱいになりました。
(テンカワさん、一人暮らしですからこんな物ですね)
私はそう思いつつ、出されたお茶を啜ります。
(いきなり三人で押しかけたらアキトさんも迷惑だろうな?)
カイトはそう思っていたがアキトは笑っていた。
(なぜ?)
カイトは少しびっくりした顔でアキトを見る。
「で、でもさ俺・・・まだ仕事も決まってないんだけどな」
アキトも心持ち嬉しそうに話し出す。
「アキトはラーメン屋さんでしょ!」
ユリカがアキトに笑いかける。
「ラーメン屋やりたいんだけど・・・資金がないしな・・・」
「それならラーメン屋台でお見せの開店資金を溜めましょう」
「やっぱり、屋台を引くしかないかな、まあ俺もそう考えてたからなぁ」
「ウフッ、ラーメン屋台でおいしいラーメンを作るアキト。そして屋台の看板娘のユリカ。お客さんに”ご主人、かわいい売り子さんだね。君の恋人さんかい?”なんて言われたりして。ああ〜〜〜〜し・あ・わ・せ」(ウットリ)
「またですか」
「だね」
いつものように自分だけの世界に入っているユリカさんを見ながら、私とカイトさんはユリカさんをほっといてテンカワさんに話し掛けます。
テンカワさんも慣れたもので全然気にしていません。
「屋台って言ってもどうするんですか?」
「ああ、こんなこともあろうかと、この間あらかじめセイヤさんに屋台作ってくれるように頼んでおいたんだ。そろそろ出来る頃だと思うけど」
「ウリバタケさんですか・・・まともな屋台なら良いんですけど」
「うっ」
私の言葉にちょっと焦るテンカワさん。
「だ、大丈夫ですよ・・・たぶん」
「ははは、そ、そうだな。とりあえずセイヤさんのところに行ってみよう」
カイトさんの言葉に何処か渇いた笑顔を浮かべてそう言うテンカワさん。とにかく私たちはウリバタケさんの家に向かいました。
「そんでもって、片づけをしている私を後ろから抱きしめるアキト。”ユリカいいだろ””駄目よこんな所で””そんな事を言う口は俺の唇で塞いでやる””あっそんな”そして夕日に照らされた二人の影が重なって・・・。も〜、ユリカこまっちゃう〜〜!・・・・・・って、あれ。アキト〜何処行ったの!?ユリカを置いていかないでよ〜〜!」
今まで妄想を120%限界以上発揮していたユリカも部屋の中に誰もいないのに気が付いて慌ててアキト達の後を追っていった。
後ろから走ってくるユリカを見てルリが小声で一言。
「バカ」
ウリバタケさんの家はテンカワさんの家から15分の距離にありました。
私達がウリバタケさんの家の前に来ると
「うぎゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
叫び声が聞こえてきました。
その声に紛れて物が壊れる音や、子供の泣き声も聞こえてきます。
「戦闘中のようですね」
「そう・・・みたいだね」
テンカワさんが私の言葉に続く。
「と、とにかく中に入ってみましょう」
カイトさんが少し戸惑いながらもそう言う。
「ごめんくださ〜い」
ユリカさんの言葉に全員が中に入るとウリバタケさんの奥さんにコブラツイストをかけられているウリバタケさんの姿が目に入りました。
(完全に決まってますね。これはそう簡単に抜けられないでしょう)
などと冷静に状況を判断する私の横でテンカワさんが声を上げます。
「セイヤさん!」
「ふんっ!」
テンカワさんの言葉も耳に入らず気合いと共にさらに力を入れるウリバタケさんの奥さん。
「ぎゃあああああああ!ロープ、ロープ、・・・ロープだって言ってんだろ!」
・・・・・・
・・・
やっと解放されたようです。
「ふうっ」
「あの・・・」
「よく来たな、待ってたぜ」
テンカワさんの言葉にまるで何もなかったかのように答えるウリバタケさん。
(大丈夫なんですか?)
ウリバタケさんの無事な姿に少し驚く私。
「何があったんですか?」
「あんたたち、聞いてよ」
横からウリバタケさんの奥さんが声を掛けてきました。
「この人ったら、家に帰ってきてもロクに仕事もしないで模型ばかり作って」
「それは仕方ありません。それがウリバタケさんですから」
私はすかさずそう答えます。
「たまに仕事が来ても、気に入らないとか言って追い返しちゃうし。少しは家のことも」
「ばかやろう、俺は仕事を選ぶんだよ。この俺にしか出来ない仕事をよ。俺を必要としてくれる仲間のために、この腕はあるのさ!」
「もう、なに言ってんのよ。ならあれはいったい何なの?」
ウリバタケの奥さんが指差した場所にある物。
「こ、これは一体・・・・・・?」
カイトさんが声を上げる。そんなカイトさんに答えるようにテンカワさんが一言。
「屋台だ」
「う、うわああああああ!」
テンカワさんの言葉と同時にウリバタケの奥さんが泣き崩れる。
「これから、上の子が幼稚園に上がるんで、お金を貯めてたのに・・・それがこんな物に変わって・・・」
「典型的な家庭崩壊劇でしょうか?」
血も涙もないような事を言うルリ。
(もし私が結婚するとしても、絶対ウリバタケさんのような人とはしたくありませんね。でもカイトさんなら、きっと私を幸せに・・・ハッ・・・わ、私ったら何を考えてるんでしょう)(ポッ)
少しだけ妄想の世界に入りそうになるルリ。だんだんとユリカに似てきたかもしれない。
「セイヤさん、奥さんが泣いてますよ」
「ええい、気にするな。俺はなお前に連絡をもらって、すごく嬉しかったぜ。仲間のためになら女房を質に入れてでも、用立ててやるぜ」
アキトの言葉にウリバタケが誇らしげに語る。
「もしかして、テンカワさんのせいですか?」
ギクッ
私の言葉にテンカワさんの動きが一瞬止まります。
「ル、ルリちゃん・・・それは・・・」
カイトがルリに声を掛ける。その横ではユリカがウリバタケの奥さんに声を掛けている。
「奥様のご恩は決して忘れません。この屋台を使って、アキトがラーメン屋を始めた時、お金は利子を付けてお返しいたします。それまでは私たちを信じて下さい」
その言葉を聞いてウリバタケの奥さんも少しは落ち着いたようだ。
「それにしてもすごく変わった屋台ですね」
カイトの言葉に待ってましたとばかりにウリバタケが説明を始める。
「よくぞ聞いてくれた。これは全天候型自走式耐熱耐寒スペシャル屋台だ。車輪にはエステバリスの駆動システムを採用し、ディストーションフィールドで暑さ寒さもなんのその。もってけ泥棒、お客さん!」
「なんか屋台って気が全然しないな・・・やっぱ雨の日は休みたいし」
(私の思った通りですね)
ルリも自分の考えが間違っていなかった事を確認する。
感想を言うアキトの背後にウリバタケが霊のように顔を出した。
「俺の仕事に文句あるのか?」
「うわっ」
驚くテンカワさんをわき目に
「正直言って・・・使えない」
「ううっ、うわあああああああっ!」
私が素直な感想を述べるとウリバタケさんの奥さんがまた泣き出してしまいました。
ユリカさんが必死になだめようとしていますが、その顔も引き攣っています。
「どう考えてもこの屋台は使えないでしょう・・・」
「うーん、そうだな」
カイトもアキトもルリに賛成のようだ。
(当然です。こんな物を使って何が起こるか分かりません)
「よーし、こうなったら俺も男だ。男の仕事にケチつけられちゃあ、黙っちゃいねえ。裏に行ってみな、そこにお前らの望む普通の屋台がある」
ウリバタケがカイト達の声にそう答える。
「ほんとに」
アキトが駆け足で裏手へ出ていった。
そこには・・・
「普通の屋台だ!さすがセイヤさん!」
「まあ、こんな事もあろうかと!あっ、こんな事もあろうかと!!!そっちも準備しておいたのさ!」
誇らしげに声を上げるウリバタケ。
「あんた、なにもそこまで・・・」
「あのう・・・」
ウリバタケの奥さんを尚も励まそうとするユリカ。そんなユリカの努力をぶち壊すようにまたまたルリが一言。
「最初からこれだけ作ってればよかったんじゃないですか?」
ルリの言葉に固まるカイト達。
「ううう、うわああああああああああああああああ!!」
ルリの言葉に三度泣き崩れるウリバタケの奥さん。
もう立ち直るのは不可能かも知れない。
「と、とにかく、これでラーメン屋台を始められるぞ!」
アキトは何処か引き攣った顔でそう言う。
「うんうん、やっぱり仕事をやり終えた後っていうのは気持ち良いもんだねえ。はっはっは」
周りの空気も気にせず一人だけ気持ち言い気分になっているウリバタケにルリが呟く。
「バカ」
そんなこんなで、私たちはこれから屋台を引く事になりました。
ラーメン屋台がどんなものか知りませんが、これから上手くやっていけるのでしょうか。
〜続く〜
後書き:
S:どうもS=DASHです。”エピソード4:屋台=家庭崩壊?”をお送りしましたがいかがなものでしょうか。楽しんでいただけたなら幸いです。
ルり:Sさん今回私とカイトさんのラブラブな話が少ないんじゃないですか
S:ル、ルリちゃん。それはしょうがないよ。今回の話は屋台をもらうのがメインなんだから。
ルリ:言い訳は良いです・・・。今度はちゃんと書いて下さいね(ニコリ)
S:はい・・・(−−;
カイト:なんか今回はウリバタケさんの奥さんがすごくかわいそうだったんだけど。
ルリの隣に来るカイト。
ルリ:あ、カイトさん(ハアト)
S:ほとんどルリちゃんが原因ですけどね
ルリ:何か言いましたか?(−−)(ジロッ)
S:・・・だ、だってそうじゃないですか。ウリバタケさんの奥さんの泣く原因の3つに2つはルリちゃんの言葉ですよ。(ビクビク)
ビクつきながら答えるS。
ルリ:私は素直な感想を言っただけです。
カイト:う〜ん、ルリちゃんの言いたい事も分かるけどああいう事は思ってもあんまり言わないほうが良いよ。
ルリ:・・・カイトさん。(シュン)
カイトの言葉にうな垂れるルリ。
カイト:でもルリちゃんはほんとは優しい子だって知ってるから。これからは気を付けてね。(ニコリ)
ルリ:は、はい。分かりました。(ポッ)
カイトの笑顔に顔を赤くしながら頷くルリ。
S:そんな簡単に直るとも思わないけど・・・。(ボソッ)
ルリ:(ピクッ)カイトさんそう言えば向こうでアキトさんが呼んでましたよ。
カイト:アキトさんが?なんだろ・・・それじゃあちょっと行ってくるよ。
ルリ:はい。(ニコリ)
カイト:あっ、その前に。
ルリ:ですね。
ルリ・カイト:皆さんこの小説を読んで下さってありがとうございました。これからも読んで下されば幸いです。感想や意見など、どんな些細な事でも結構ですのでメールで送って下さい。返事の方も作者にきちんと書かせますので気軽に送って下さい。それでは次の話でまたお会いましょう。(ペコリ)
お辞儀をして走り去っていくカイト・・・後に残ったルリとS。
ルリ:・・・今日は使わずに済むかと思ったんですが残念です。(チャキ)
背中からいつもの釘バットを取り出すルリ。何処となく釘の部分が揺らいで見える。
S:ル、ルリちゃん・・・なんかバットの周りの空間が歪んで見えるんだけど・・・(−−;
ルリ:ウリバタケさんに改造してもらったんです。小型の相転移エンジンを積んだ優れものなんですよ(ニコリ)
S:そ、相転移って・・・まさかグラビティ釘バットですか・・・(−−;;
ルリ:クスッ
新武器・グラビティ釘バットを振りかぶるルリ。
S:なんで僕がこんな目に〜〜〜〜!!(TT)(ガスッ)
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