真紅の冥王 |
[Story/W] ‡ナデシコ‐ブリッジ‡ 「正人機、敵に突っ込みます」 「いけない!」 敵に向かって突っ込む正人さん。 駄目、返り討ちにあう。 正人さんと敵が攻撃範囲内に入りそうになった時。 「え?」 敵は光に包まれました。 ボソンジャンプによる奇襲ですか…。 「ボソン反応増大!高杉機の真横です!!」 「ッ!?」 敵がジャンプアウトした直後、クローが三郎太機をとらえました。 「三郎太さん!」 「大丈夫です、反応はあります」 「え?」 慌てるハーリー君を落ち着かせます。 コックピットには生命反応がある。 でも、回収しようにも三郎太さんは動けない。 さらに戦闘中で回収作業は不可能。 どうすれば…。 「敵、正人機にむかうようです」 「正人さんに通信を繋げてください」 ここは一旦三郎太さんを回収しないと。 フィールドで少しは時間が稼げるはず。 「はい」 ウィンドウが開かれ写った正人さんの表情は…。 『貴様ァァァァァ!!』 「!!」 怒りに満ちていました。 そして、正人さんのスーパーエステが光に包まれて…。 ‡ナデシコ‐前方‡ 光に包まれ消える正人機。 敵の動きが止まる。 瞬間、敵の後ろに正人機がジャンプアウトしてくる。 「仲間を返せェェェ!!」 意表をついたボソンジャンプによる攻撃。 ディストーションフィールドを帯びたナックルが敵をとらえそうになる。 が、敵は分かっていたかのように避ける。 「ちィィィ!」 敵はそのまま右に避けつつクローを正人機の横腹に突き刺そうとする。 すぐさまジャンプする正人。 今度は敵の右側にジャンプアウトする。 「終わりだァァァ!!」 右手を伸ばしきっている今、敵には隙が出来ている。 もらった…そう思った正人。 が、今度は敵がボソンジャンプする。 「何処だ!?」 計器に集中する。 先ほどまでこんな計器があるとは知らなかった。 しかし、今はそれがボソン反応を示すものだと分かる正人。 理由などない頭が分かっている。 と、右側にボソン反応が増大する。 「そこか!!」 来るであろうクロー攻撃に対して反撃行動をとる正人。 が、ナックルは何もとらえない。 敵がジャンプアウトしてこなかったのだ。 「なッ!?」 そして正人機の真後ろにジャンプアウトする敵。 「馬鹿な!」 完璧に反応が遅れた正人。 背中にクローが突き刺さる。 「…ちきしょう」 でかい衝撃が正人を襲う。 そう呟くと正人の意識は薄れていった。 ‡ナデシコ‐ブリッジ‡ 「正人さん!」 正人さんが攻撃を受けると同時に艦長が叫ぶ。 艦長が叫ぶなんて…珍しいな。 「…よかった生きてる」 オモイカネが表示するウィンドウを見て安堵の表情を見せる。 …なんだか艦長、正人さんに対して敏感というかなんというか。 そういえば敵は。 「え?」 敵は暫く棒立ちしているとボソンジャンプして消えた。 「警戒してください、フィールド内にジャンプアウトしてくるかもしれません」 「あ、はい」 でも、敵がナデシコの近辺にジャンプアウトすることはなかった。 「高杉機、正人機を回収後この宙域を離脱します」 「了解」 二人を回収して離脱を始める。 と、ウィンドウが開いて整備班長のタナカさんが写る。 『艦長、医療班をよこしてくれ!』 「酷いんですか?」 『三郎太はそうでもない意識もある、だが正人が起きない』 「!すぐに向かわせます」 『頼む』 正人さんの名前が出た途端、艦長の表情が変わった。 もしかして…。 艦長はなんだか思いつめたような感じだった。 「艦長?大丈夫ですか?」 「え?あ、はい大丈夫です」 言葉と裏腹に表情はとても暗かった。 と、艦長は何かを取り出しました。 僕が座っているここからじゃ角度が悪くて見えない。 何を見てるんだろう? 「…やっぱり似てますよね」 艦長がそう呟いた。 でも、その言葉の意味を僕が知るわけもなく。 そして知ることも出来ない。 僕なんかじゃ……。 ‡連合宇宙軍本部‡ 火星の後継者の対策をコウイチロウ中心とする面々で話し合った後。 ルリ、ハーリー、三郎太が呼び出された。 ちなみに三郎太はたいした怪我をしてなかったので復帰。 正人はというと、意識は取り戻したが現在は軍の病院で精密検査を受けている。 検査が終わり次第、彼への対応を決めることにした軍。 何せ戦死したと判断した軍人が生きていたのである上層部は慎重に動くようだ。 「ナデシコCィ?」 「そう、三代目のナデシコ…A,B,CのC」 「現在ネルガルの月ドックにおいて最終チェック中だ」 「君たちは独立ナデシコ部隊として遺跡奪回の極秘任務にあたってほしい」 「じゃあ、正規の軍人さんは使わない方がいいですね」 「その通り!」 「どうするんすか?」 「アッハッハッハ、お任せください!」 「「え?」」 突然聞こえた声に驚く三郎太とハーリー。 ルリにとっては懐かしい声であった。 どこからともなく現れたのはプロス。 「私がお手伝いします、では場所を変えましょうか」 「はぁ」 突然現れたプロスに唖然とするハーリー。 四人が部屋を出て行く。 「ルリ君、すまないが君だけは残ってくれ」 「はい?」 「何、すぐに終わる」 「わかりました」 「では、先に行っておりますよルリさん」 「はい」 話をする場所を伝えて部屋から出て行くプロス。 三郎太とハーリーも続く。 「お話とはなんでしょうか?」 「龍冥正人についてだ」 「まさか」 正人の身が危険だと思ったのか、ルリの表情が曇る。 自分たちを守ろうとして戦った正人に何かあったとなれば心配する。 「いや、ルリ君が心配しているようなことは無い」 「精密検査の結果も良好だ」 「そうですか」 「だがな…」 「はい?」 言い難そうにするコウイチロウ。 隣に立つ秋山も難しい表情をしている。 「何か、あったんですか?」 「結論から言うと…彼は龍冥正人大佐ではない」 「え?」 コウイチロウの言葉に固まるルリ。 いきなりそんなことを言われれば誰でもそうなるだろう。 「しかし、正人さんは自分で名前を」 「ああ、確かに彼は龍冥正人かもしれん…だが龍冥正人大佐ではないんだ」 「精密検査の結果、それがわかったんだ」 「…」 「まだ、このことを知っているのは私達3人だけだ」 「彼をどうするかは、まだ決めかねている」 黙り込む二人。 「では、正人さんは何者なんですか?」 「はっきりとは言えないが…人造人間かもしれん」 ………。 その後、しばらく話した後部屋を出て行くルリ。 ‡廊下‡ プロスたちの場所へと歩いていくルリ。 その表情は暗い。 「似すぎですよね」 「正人さん…あなたは何者なんですか?」 つぶやいた問いに答えるものは居ない…。 その後、三人と合流したルリは簡単な話しをして仲間集めに向う。 「まあ、ちょっとした同窓会ですかな」 そんなことを言うプロスであった。 ‡日々平穏‡ ヒカルやウリバタケなどの家を回った三人。 さて、ここで不機嫌気味なのがハーリー。 『僕らがいるじゃないですか。僕ら三人なら敵なんて…勝てますよ!』 とか、言ってもルリが聞く耳を持たないのが原因なのだが。 「そんなに昔の仲間が必要なんですか?」 「必要」 「!!」 即答したルリに驚くハーリー。 「べ、別にいいじゃないですか僕たちだけでも!」 「ハーリーいい加減にしろ」 ハーリーの言動に見かねた三郎太。 が、勢いはとまることなく。 「ねぇ、艦長!答えてくださいよ」 「僕はそんなに頼りないですか?艦長!!」 「…ホウメイさん、おかわり」 スープを飲み干し、そう言うルリ。 「うわぁあーんッ!」 それが決め手となったのか、無視され続けたハーリーは走り去る…。 「いいのかい?」 「いいんです、あの子も私だけじゃ勝てないって分かってますから」 「分かっていても割り切れないときがあるもんだよ」 「…」 ホウメイの言葉に少し驚くルリ。 「あの子はヤキモチ妬いてるね、昔のナデシコってやつにさ」 「ヤキモチか…どこから探すかね」 ヤレヤレといった感じの三郎太。 ‡商店街‡ 「うぅぅ」 目に涙を浮かべながら歩くハーリー。 「艦長のバカ……ってどうしよう、結局宿舎には戻らなきゃいけないし」 「二人にどーいう顔して会えばいいんだろう…」 大きな問題に悩むハーリー。 「ん?ハーリーじゃないか」 「え?」 聞き覚えのある声に俯いていた顔を上げると…。 「泣いてるのか?…どうしたんだ?」 「あ、あ…」 「ん?」 「正人さん!」 精密検査が終わったとはいえ、まだ入院しているはずの正人が立っていた。 :続く: |
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