『にがい思い出』







「…………ルリちゃん」





ゆっくりと降りてくる影。





「カ、カイトさん…あの…待って…」





私の右手首を捕らえて離さない手のひら。





「待たない」





背中に押し付けられる壁の冷たさ。





「んっ。嫌ですっカイトさん…。お願い…」





必死に首を振って拒む。

逃げたくて…逃げたくて…逃げたいのに…。

自由な左腕で力いっぱい押し返してみても…彼の胸板はビクともしない。





「…ダメだよ、逃がさない」





ビクッ!





逃げられない。



右の耳たぶに優しく絡みつく唇。

その刺激に身体が震えた。





「くす。かわいいよ、ルリちゃん」





自分の身体が赤く染まっていくのが分かる。

耳元に…首筋に…頬に…そっと触れては離れていく。





「お願い……だから……やめてください」





左頬に添えられた長い指がそむけた顔を優しく振り向かせる。

指先が私の目尻に浮かんだ涙をそっとなぞって。





「我慢できないないんだよ…もう…」





ほんの少し陰った瞳に私の心は囚われる。





「ん…っ」





そして深い深い口付けに…。










深い深い口付けに…。










深い深い…。














深い…。

























……。


























「に゛っ゛っ゛っ゛がぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛い゛っ!!!」












「だろ!?だろ!? すっごく苦いだろ!?」

「ん゛ん゛〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」


あまりの味に言葉が出ない。


「ルリちゃんからも上層部に言ってやってよ!
 いっくら宇宙軍が貧乏だからって、検診にこんなレトロな飲み薬使うな!って!口の中、苦いの全然消えないよっ」

「……だからって、何もこんな方法で伝えなくてもいいじゃないですか(怒)」

「(ギクッ)いやいや、こういうものは実際に体感しているのとしてないのとじゃ熱意が変わっちゃうからさ」

「………それはそうかもしれませんけど」

「そうそう♪(ホッ)」

「で、満足ですか?」

「もちろんっ!僕だけこんな苦い思いするの口惜しくって口惜しく……あわわわっ(汗)」

「………………………(怒)」

「あ…いや…その………………………てへ♪」

「減俸3ヶ月」

「あぁぁっ!職権乱用っ!!」

「乙女の唇を無理やり奪った罰です」

「何を今更。とっくに唇どころか…」


ばこっ!


「痛ったぁ〜〜(涙)」

「そういうこと平気で言うのは『オヤジ』化の第一歩ですよ(////)」

「『オヤジ』ってことはないだろう!?『オヤジ』ってことは!?」

「じゃ、『おっさん』」

「…………そ〜ゆ〜こと言う口はこの口かな?この口かな?この口かな?(-_-#)」

「いひゃいれす。やめれくらひゃい…『おっひゃん』」

「まだ言うか」

「『おっひゃん』『おっひゃん』『おっひゃん』」


「…………まだまだこの薬の苦さを味わい足りないようだね、艦長殿は(-_-#)」


「え゛…。いえ、もう十分…」

「な〜に。遠慮などなさらずに!じっくり堪能してくださいよ(にっこり)」

「あ、あの…カイトさん?(汗)」

「んんん?何だい?…………ルリちゃん(にっこり)」

「カ、カイトさん…あの…待って…(汗)」








そして最初に戻る…(爆)























---
<あとがき>

……………………見なかったことにしてください(汗)


だってさぁ〜ホントに苦かったんだよぉぉぉ検査の麻酔薬がよぉぉぉ(T-T)
あの苦しさを誰かに味わって欲しかったんだよぉぉぉぉぉん!


ちなみに今回のコンセプトは「ちょぴっとHにちょぴっとおバカに直球ストレート」ってことで(笑)
※ユウさん、今回のテンポはどうっスか!?成長した?成長した?前回より少しは良いカンジになったかなぁ?(*>_<*)/

ちょぉ〜っと未知の領域に足を踏み込んだRinでした。
それではまた時をあらためて・・・。





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