機動戦艦ナデシコ

〜 Endless  Story  第二章  狂気という名の仮面 〜









プロローグ




「恨んでいるかい?」

『何故ですか?』

火星の地からボソンジャンプしたカイトは、何も無い宇宙を大した考えも無いままゆっくりと彷徨っていた・・・

「だって『君』の艦長であるアキトさんとオペレーターのラピスちゃんを降ろしちゃったんだからね・・・」

『そのことですか?私はあなたの行った行動が正しいと思いますので恨んだりはしません・・・しかし私は不思議に思うのです・・・』

「何がだい?」

さきほどのカイトの会話で分かるようにカイトの話し相手は人ではなく、ユーチャリスの中枢コンピューター・・・通称『オモイカネ』である。名前の由来は至って単純、ナデシコのスーパーコンピューター『オモイカネ』のコピーだからである。全く同じに作られたはずなのにも関わらずナデシコとユーチャリスの『オモイカネ』は少し違う、それは人間で言う所の『性格』とでも言うのだろうか、少なくともユーチャリスの『オモイカネ』は変に・・・いやあまりにも人間臭かった。

『何故あなたは人のために己を犠牲に出来るのですか?』

「・・・ハハッ・・・犠牲?そんなことないよ・・・僕は『罪』を背負いすぎたんだ・・・だからさ、血を血で洗うのと同じ・・・自分の罪を他人の罪で塗り固めようとしているだけさ、馬鹿だろ・・・結局罪は消えないというのに・・・」

『いいえ・・・あなたは凄いですね・・・私はデータでしか人間を知らない、しかしその人達でもあなたのような行動は出来ないでしょう』

「そんなことないよ・・・人は何でもできる、だから素晴らしいのさ・・・でも、『罪』を無くしたいと本能的に思っているのだったら・・・まだ帰りたいのかもしれないな・・・」

『どこへですか?』

「僕がいた場所さ・・・」

そう言ってカイトは天を仰いだ・・・その時、いつもは澄んでいるカイトの瞳が色褪せて見える・・・

『戻らないんですか?』

「みんなに合わす顔が無いよ・・・ナノマシンを通じて君も知ったろ?僕は『人』じゃない」

『異常強化された身体能力と動体視力、A級ジャンパーとしての素質の事を言っているのですか?』

「・・・まっ!!それもそのひとつかな・・・」

「あなたは一体・・・」

「・・・人の皮を被った『化け物』さ・・・・・・まさに滑稽だね。」

カイトは泣いていた・・・顔には出ていないが心の中ではカイトは泣いていた・・・

『私は辛い・・・』

「えっ!!」

『あなたには本当に感謝しています・・・あの二人はあなたのおかげで随分良くなりました、それは機械の私の目から見ても明らかです。』

「・・・・・・。」

『私は恩を返したい・・・しかし私は返す術を知らない。』

その言葉を聞いた時、カイトは笑った・・・その台詞がコンピューターらしくないから?違う・・・嬉しかったからだ。自分を思ってくれる『存在』が身近にいる事に・・・

「・・・大丈夫さ、君は君しか出来ない事をやればいい・・・それが恩返しになるんじゃないのかな?少なくとも僕はそう思うけど」

『わかりました・・・それでは『艦長』!!これからどうしますか?』

「そうだなぁ〜・・・とりあえずネルガルのドッグに向かおうか?補給と改修を受けないと、エリナさんに用意してもらったこのシート少し小さいんだよね!」

『・・・了解しました。』

「じゃあ後、頼めるかな?」

『お任せください・・・何かあったらお呼びしますので・・・』

「ありがと・・・」

そう言ってカイトは席を立った・・・

「・・・クサナギ・・・今でも僕は不思議だよ・・・誰よりも仲間を思い、誰よりも優しかったおまえが何故『狂気』に走った・・・やはり『あの事件』なのか・・・教えてくれクサナギ・・・」

一つの終りは一つの始まりを告げていた・・・



つづく



後書き

どうも海苔で〜す(^^)

とりあえず・・・始まった・・・

それではこの辺で・・・海苔でした♪

なんか馬鹿な後書きですね・・・(^^;;)





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