機動戦艦ナデシコ
〜Return of the White Knight〜




第14話 the Blank of 8 Months

Episode.1 我が名はミカズチ




地球・日本サセボ郊外


暗闇に包まれた草原に突如、光が現れる。
まばゆいまでの光はやがて人の形に収束し、弾ける。
光が弾けたそこに一人の男の姿が現れていた。
男はゆっくりと瞼を開き、辺りを見回す。

「…」

潮の香りが風に乗って鼻腔をくすぐる。
それは懐かしい香りだった。
そして遠くに街の明かりを見つける。
その夜景には見覚えがあった。
男−カイトの目が細まる。

「…うん、サセボに間違いない」

サセボ−ナデシコクルーと共に拘留生活を送った思い出深い土地。
また、ナデシコBの母港としても慣れ親しんだ街である。
カイトが地球といって真っ先に思い浮かべる場所はこの街だった。
アキトやユリカ、それにルリと一緒に『家族』としての下地を築いた場所。
その時、ルリと二人でよく来たのがカイトが今立っている丘だった。
懐かしい風景を目の当たりにし、思わず感傷に浸るカイト。
だが、すぐに地球へやって来た理由を思い出す。
火星でチューリップに入ったナデシコ。
彼らが戻ってくるまでに八ヶ月。
それまでにカイトがやらなければならない事はたくさんある。

(…まずはアカツキさん…ネルガルからだな…)

カイトはこれからの段取りを頭の中で組み立て始める。

(生体ジャンプを餌にすれば多少の無茶は聞いてくれるだろう。
問題はどうやって接触するか、だけど…)

夜明けを待ちながらカイトはこれからの予定を考え続けていた。



そして朝陽が丘を照らす頃、カイトは市街へ続く道を歩いていた。
夜が明け次第、すぐにネルガルへとジャンプするつもりであった。
が、自分の服装を思い出したのだ。
カイトはナデシコを出た時のまま、すなわちパイロットスーツのままだったのだ。

(…さすがにこれは…)

ネルガルへ乗り込む前に自分の格好をどうにかしようと街へ向かうカイトであった。




サセボ市街地


(…さて、どうしたものか…)

カイトはサセボの街で困惑していた。
服を整えようと思ったが持ち合わせが全くない。
ナデシコは全てカード決済になっており、現金を持ち歩く必要がなかったのだ。
カードが地球でも使えるかはわからなかったし、
そこからナデシコクルーという事がばれるかもしれない。
火星で消息を絶ったナデシコのクルーが地球にいるというのは不自然である。
だが、カイトにはそれ以外にカードを使えない理由があった。

(…カード、制服のポケットだ…)

制服はもちろんナデシコのパイロット控室においてきてしまっている。

グゥ…

そしてカイトのお腹が空腹を訴える。

(…お腹減った…)

カイトが地球へ来て最初の敵は陰謀企むネルガルでも、
侵略者たる木星トカゲでもなく『空腹』という強大な敵であった。
サセボの街をフラフラと彷徨うカイト。
そしてその視界に一軒の食堂が飛び込んでくる。
『アルバイト募集中・住み込み可』の張り紙と共に。
暫くその店の前に佇むカイト。
食堂のバイトは前にも経験しているし、仕事は一通りこなせるだろう。
メニューを見るが作れる料理が大半である。

(…でも履歴書もないし、一週間くらいしか働けないんじゃ雇ってくれないよな…)

やるべき事は他にも多い。
カイトが食堂の前を立ち去ろうとした時、店の扉が突然開く。
そして中から出てきた店主らしき男性と目が合う。

「ど、どうも…」

何となく会釈するカイト。

「兄ちゃん、バイト希望かい?
 さっきからずっとその張り紙見てたけど」

「え?
 あ…」

男の言葉に目を丸くするカイトだがすぐにその理由に気付く。
店の中から丸見えだったのだ。

「で、どうなんだい?」

男が再びカイトに問い掛ける。

「あ…、そのつもりだったんですけど…」

「けど?」

「ちょっと訳ありで、僕、履歴書ないんです。
 それにサセボには一週間ぐらいしかいられないですし…」

申し訳なさそうに男に頭を下げるカイト。

「わざわざ出てきて貰ってすいませんでした」

そう言って振り返り歩き出すカイト。

「待ちなよ」

カイトの背に男の声が掛かる。

「はい?」

振り向くカイト。
男は少し考え込むような仕草をして口を開く。

「あんた、食堂でバイトした事はあるかい?」

「半年ほどですけど」

「料理は?」

「メニューにあるものならたいてい作れます」

「そうかい…」

男は腕組みして目を閉じる。
やがて目を開くとカイトを一瞥する。

「よし、その訳とやらは聞かねぇよ。
 困ってる時はお互い様だ、一週間雇ってやる」

「あ、ありがとうございます!」

カイトは先程以上に深々と頭を下げる。
そしてタイミングを見計らったかのようにカイトのお腹が鳴る。

「あ…」

「…まずは腹ごしらえからみてえだな…」

男がカイトを見てニヤリと笑う。

「ほら、中へ入りな!
 飯食ったら仕込み、手伝って貰うぜ!」

「はい!」

そして男とカイトは店の中へ消えていく。




雪谷食堂・厨房


男は先程の言葉通り、厨房でカイトに食事を摂らせてくれた。
カイトは料理を口に運ぶ度に不思議な感覚に見舞われていた。

(…どこかで食べたような味だな…)

それを思い出せぬまま、カイトは食事を終える。

「ご馳走様でした」

カイトは手を合わせ頭を下げる。

「おうよ」

カイトの向かいに座り、食いっぷりを見ていた男。

「とりあえず、自己紹介がまだだったな。
 俺はサイゾウ、雪谷サイゾウだ」

「えと…カイトです」

カイトは名前を口にする事を一瞬躊躇うが口にする。

「カイト…?
 苗字か?
 名前か?」

「あ、僕の名前カイトだけです」

「そうか…」

サイゾウはカイトの表情を見て、訳ありと言っていた事を思い出す。

(…多分、脱走兵かなんかだろ…。
 にしちゃあ警戒心とかなさすぎだが…)

カイトがパイロットスーツを着ている事から軍の脱走兵と思ったサイゾウ。
今のご時世、このサセボの街ではさほど珍しい訳でもなかった。

「…よし、腹も膨れたな?
 早速仕込み手伝って貰うぞ!
 エプロンはコレ使え!
 ま、前のバイトが使ってたヤツで新品じゃねえけどそこは勘弁してくれ」

「はい!」

カイトはサイゾウからエプロンを受け取るとそれを広げる。
あちこちに油がはねた後やソースで黒ずんだ部分がある。
よく使い込まれたエプロンである。

(…ん?
これって、ネームタグ…?)

エプロンの裏地に縫われたネームタグを見つける。
興味本位で確かめたその名前に驚き、カイトは動きを止める。
突然固まってしまったカイトにサイゾウが声を掛ける。

「おい、カイト!
 どうした?」

「…サイゾウさん。
 前のバイトの人って、テンカワって言うんですか…?」

「ん?
 ああ、そうだ。
 なんだ、お前アキトの知り合いか?」

「…」

カイトはネームタグを見つめたままサイゾウの問いには答えない。

「…これも訳ありかよ…。
 ま、仕方ねえな…。
 おい、カイト!!」

カイトの耳元で怒鳴るサイゾウ。
効果は抜群でカイトはビクリと身を震わせる。

「仕込みだ、行くぞ!」

「は、はい!」

慌ててエプロンを着るカイト。
サイゾウについて厨房へ入っていく。
カイトはこぼれる笑みを隠せなかった。

(…どうりで食べた事のある味だった訳だよ…)



「いらっしゃい!」

「A定食一丁!
 ラーメンライス一丁!」

「ありがとうございました!
 またどうぞ〜!」

仕込みを終えたカイトはさして広くないフロアをウェイターとして動き回っていた。
その動作はキビキビとしていて清々しい。

「親父さん、新しいバイトかい?
 クルクルとよく働くねえ」

「ええ、いい拾いもんですよ」

常連客の相手をしながら中華鍋を振るうサイゾウ。
昼の掻き入れ時をテキパキと捌いていくカイトを見て目を細める。
先程の仕込みの際の手際といい、ウェイターとしての客捌きといい、
目をみはるものがある。
(…なかなか鍛えられてるじゃねえか…。
アイツのいる一週間は楽になりそうだ)

「サイゾウさ〜ん、ラーメン一丁!」

「あいよ!」



「ありがとうございました〜!」

ランチタイム最後の客を送り出した雪谷食堂。
カイトは一息つくと食器を片付ける。

「ご苦労さん、ホレ」

サイゾウが麦茶を差し出す。
カイトは麦茶を受け取ると一気に飲み干す。

「はぁ…、ありがとうございます」

自覚はしていなかったが体は水分を求めていたようで、麦茶が染み込んでいく。

「夕方の仕込みまではゆっくり休んでくれよ」

サイゾウは麦茶を美味しそうに飲むカイトを目を細めて見ている。
そしてカイトがふとサイゾウに視線を向ける。

「あ…、サイゾウさん。
 空いてる時に厨房借りてもいいですか?」

「…?
 いいけどよ、何をするんだ?」

「…ラーメン、作りたいんです」




そして、瞬く間に一週間が過ぎた。
カイトは与えられた部屋の窓から夜空をボンヤリと見上げていた。
先程、サイゾウには明日の朝一番に立つ事を伝えたばかりである。
サイゾウはただ一言、『ご苦労さん』とだけ言った。
そして差し出された封筒には張り紙にあった給料以上の額が入っていた。
余分を返そうとしたカイトだったが、
サイゾウは『オレの気持ちだ』と頑として受け取らなかった。
カイトはその心遣いをありがたく受け取る事にした。

(…楽しかったな…)

カイトはこの一週間を思い返す。
戦いを離れた生活は久しぶりだった。
アキトのアパートにいた頃以来の平穏な生活。
それに心安らぐ自分にカイトは気付いていた。
昨日、サイゾウにここに残らないかと言われた時は正直、心が揺れた。

「…でも、僕は戦わなきゃいけない…」

夜空に思い描くのは最愛の少女の面影。

「…僕はルリちゃんを護るんだ…」

彼女を護る為なら、いかなる道でも歩き続けると誓った。
だが、この一週間はその誓いを僅かでも揺るがせる程に安らいだ時間だった。

「…カイト、起きてるか?」

「サイゾウさん…?
 はい、起きてますよ」

襖の向こうからサイゾウの声がした。
先程から部屋の様子を伺っていた事には気付いていた。
だがカイトは気付いていない振りをしていた。
カイトの返事を聞いて、襖を開くサイゾウ。
その手には一升瓶とグラスが二つ。

「…呑むぞ」

そう言ってグラスを差し出すサイゾウ。
カイトは苦笑いしながらそれを受け取る。

「…僕、未成年ですよ?」

「そんなもん、履歴書見てねえから知らねえな…」

ニヤリと笑うサイゾウ。

「…確かに」

カイトのグラスに並々と日本酒が注がれる。
そしてカイトもサイゾウのグラスに酒を注ぐ。
カチンとグラスを合わせてから、一気に飲み干す。

「…何でぇ、やっぱしいけるクチじゃねえか…」

軽々と飲み干したカイトを見て、サイゾウは笑う。
カイトはどれだけ飲んでも酔う事はない。
血液中のナノマシンがアルコールをすぐに分解してしまう為である。
そのカイトのペースに合わせて飲み続けるサイゾウもかなりの酒豪であろう。
ただ黙って酒を酌み交わす。
そしてどれくらいの時間が経っただろうか。
さすがにサイゾウの呂律も怪しくなり始めた。
しばらくして、舟を漕ぎ始めたサイゾウ。
カイトはそんなサイゾウを見て苦笑いを浮かべる。
この1週間、彼は本当に良くしてくれた。
何も言わずに旅立つのは気が引けた。
だからと言って自分の素性を話す事は出来ない。

「…サイゾウさん、僕、普段は命をやり取りするような仕事をしてるんです…。
 ここを出たら、またその仕事に戻らなきゃいけないんです…」

カイトは眠るサイゾウを前にポツリ、ポツリと語りだした。
一人、酒をグラスに注ぐ。

「…ここに残らないか、って言われた時は凄く嬉しかったです…」

グラスを飲み干す。

「…でも、僕には護らなきゃいけない人が、場所がある…」

「…なら、護ってやれ」

「…!?」

突然響いたサイゾウの声にカイトはビクリとする。

「…起きてたんですか、サイゾウさん?」

「ああ。
 …注げ」

「…」

カイトは無言でサイゾウのグラスへ酒を注ぐ。
サイゾウはそれを一気に飲み干すとカイトと向き合う。

「…やりたい事があって、その方法も分かってる。
 なら、後は全力でそれをやるだけじゃねえか」

「…」

「やらねぇで後悔するよりもやってみて失敗した後悔の方がマシってもんだ。
 失敗したら今度は別のやり方を試しゃあいい。
 また失敗すれば、また別のやり方を探しゃあいい…。
 …生きてる限り、人生に負けはねえんだ」

サイゾウはそう言うと再びグラスに酒を注ぐ。

「…それで辛くなったらここへ戻ってこい。
 飯ぐらいはいつでも食わせてやるからよ」

そしてサイゾウは豪快に笑う。

「…そうですね」

カイトも笑う。
その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

(…ありがとうございます、サイゾウさん…)

「…さて、辛気臭え話しは終わりだ!
 飲め、カイト!」

「はい!」



そして夜が明ける。
カイトはサイゾウと店の前で向き合う。

「…次に来る時はアキトのヤローも連れてこいよ。
 アイツにも色々と教える事が残ってるんでな」

「ええ、必ず連れてきます。
 …色々とお世話になりました。
 ありがとうございました」

そう言ってカイトは頭を下げる。

「…違うだろ。
 旅立ちの挨拶はよ」

「…?」

一瞬、ほうけた表情を浮かべたカイトだったが、
すぐにサイゾウの言葉の意味を理解する。

「…行ってきます、サイゾウさん」

「おうよ!
 行ってこい!
 お前のラーメン、なかなかのモノだったぜ!!」

サイゾウの笑顔に見送られ、カイトは歩き出す。
そして、交差点に差し掛かった所で振り返る。
サイゾウはまだ店の前に立っていた。
カイトはサイゾウに向かい、頭を下げると今度は振り返らず歩き出した。




サセボ・郊外


カイトは再び、あの丘へとやって来ていた。
一週間前とは違い、今日は紺のスーツを身に纏っている。
これはバイト代で購入したものだった。

(一応、ビジネスの話をしにいくんだから、ちゃんとした恰好しないとね)

カイトは丘の上からサセボの街を眺める。
拘留生活を送り、ナデシコBの母港でもあった街である。
そして、また新しい思い出もできた。
様々な思い出の詰まった街だった。

(…また戻ってくるさ、必ずここへ…みんなで…)

カイトは決意を新たにすると胸ポケットに差していたサングサスをかける。
前時間では似合っていないと言われていたが、今はどうだろうか。

(多分似合ってないんだろうな…)



『カイトさん、それ、外した方がいいですよ。
 怪しい人に見えます』

かつてのルリは僅かに頬を染めてそういった。
何故、頬を染めるのか。
カイトは真剣に悩んだ事もあった。

『…カイトさんの顔が見えないのは嫌です・・・』



そんな想いからの言葉であった事をカイトは知る由もなかったが。
苦笑いをしながらカイトはレトロスペクトを集める。
そしてカイトの身体にナノマシンの紋様が光り始める。

(ジャンプフィールド形成…。
目標…トウキョウシティ…ネルガル本社ビル…ジャンプ!)

カイトの身体が一層強く輝き、光が弾けた。




トウキョウ・ネルガル本社前


「ふぅ…」

ネルガル本社の近くにボソンアウトしたカイト。
目立たないように裏通りにやってきている。
一息ついてから、ビルを見上げる。

(…悪趣味な建物だ)

前時間では何度か訪れてはいるが、奇妙な形のビルはいつまでたっても見慣れなかった。

「…さて、アカツキさんの予定はっと…」

コミュニケを起動し、会長室のデータベースにハッキングをかける。

《検索中…》

ポン!と音がして会長のスケジュールがウインドウに流れ出す。

(…会議中か…)

アカツキはどうやら重役会議の真っ最中のようである。
カイトの目的からすればネルガルと取引するというより
アカツキ個人との取引の方が色々とやりやすい。
ナデシコの航海における"空白の八ヶ月"。
カイトがジャンプのナビゲートを行い、時間差を消してしまう事も可能だったが、
それでは歴史を大きく変えてしまう。
ただでさえ、人聞きと資料でしか知らないナデシコA時代である。
カイトが存在する事で変化する部分は仕方ないとしても、
大まかなナデシコの動きには変化が出ては困る、という事だった。
ならばナデシコが消息を絶っている間に少しでも有利な体制を整えておこうという事で
カイトはナデシコを離れ、地球へとやってきたのだ。
その第一歩がネルガル−特に会長のアカツキ・ナガレ−との接触だった。
そしてアカツキのスケジュールの中で都合の良い時間を探すカイト。
それはすぐに見つかった。
会議終了の1時間後、会長室で執務、という項目を発見したのだ。
執務という事はエリナも傍にいる可能性が高い。
この時にアカツキに会いに行く事を決めたカイト。

「…散歩でもするか…」

時間を潰す為、カイトは歩き出した。



ネルガル会長室


「はぁ…」

会長室に戻るなり、ソファに身を投げ出すアカツキ。
ゴロリと仰向けになり、ネクタイを緩める。

「クソッ…忌々しい重役共め…」

先程までの会議を思い出し、思わず毒づくアカツキ。
自分が望まれていない会長だという事は就任時から十分に理解していた。
自分とは折り合いの悪かった先代会長の父親。
その息がかかった重役連中は事ある度に自分に反発してくる。
それはネルガルの為ではなく、反対のための反対、
反感のための反感というようなものだった。

「…スキャパレリ・プロジェクトが…、ボソン・ジャンプがどれだけ重要な事なのか、
 何故理解できないんだ…!
 このままではクリムゾンや明日香に先を越されるぞ…」

アカツキがそう呟いた時、テーブルに置いたインターフォンが鳴る。

「…僕だ」

不機嫌が声に出てしまった事に気付くがもう遅い。
インターフォン越しにクスクスと笑う声が聞こえる。

『さっきの重役会が堪えたみたいね?』

「…エリナ君、からかうのはやめてくれよ…。
 で、用件はなんだい?」

『ナデシコの事よ。
 今から報告に行くわ』

「了解。
 待ってるよ」

インターフォンがアカツキの返事を待たずに切れる。
そして、数分後にはエリナが会長室へとやってきていた。
先程までの乱れた服装をピシリと直し、エリナを迎えるアカツキ。
そしてエリナの報告を執務卓に頬杖をついて聞き入っていた。

「…ナデシコが火星で消息を立って一週間になります。
 損傷の規模からすると沈んだ可能性が高いかと…」

「…そうだねぇ、プロジェクトはプランBに切り替えた方がいいかなぁ。
 …やれやれ、ナデシコには結構な金が掛かってたんだけどね」

エリナの報告は終始淡々とした調子であり、
火星でナデシコが遭遇した事態を纏めている。
それにアカツキはいつものように軽い口調で応じる。
だが、逆光で影の落ちたアカツキの表情は険しいものだった。

「わかりました。
 では明朝、取締役会を召集してプランの変更を…」

エリナが再びが口を開いた時、突如部屋が光で満たされる。

「な、なんなの!?」

「…これは…」

慌てるエリナに対し、驚きはしているが落ち着いた態度を崩さないアカツキ。
やがて光は収束し、弾ける。

「…ネルガル重工のアカツキ・ナガレ会長と
 秘書のエリナ・キンジョウ・ウォンさん…ですね?」

口調こそ静かで丁寧だが圧倒的な威圧感を含めた声が響く。

「…あぁ…」

突如現れた侵入者に思わずエリナは床にへたり込む。
だが、アカツキは薄笑いを浮かべて侵入者に話し掛ける。

「…そうだけど…君は何者だい?
 アポ無しの訪問は断ってるんだけどね」

口調こそ軽いがアカツキは油断はしていなかった。
その証拠に左手には既に警報スイッチが握られていたし、
机の下へすぐ潜り込める体勢も取っている。
厳重な警備を強いてある社屋、
その中で最も警戒厳重なこの部屋へその存在を全く悟らせずにやって来た侵入者。
少なからずアカツキはこの侵入者に興味を持った。

(…それに、今のは生体ボソンジャンプ…)

失敗続きの生体ジャンプ実験、諦めはじめていた所にそれを実践する者が現れたのだ。
アカツキは表情には出さないが胸の内から興奮が沸き上がってくるのを感じていた。

「僕は…」

侵入者は名乗ろうとし、動きを止める。
だがそれも一瞬の事。
再び口を開く侵入者。

「ミカズチ…。
 そう、僕はミカズチ・カザマです」

アカツキは"ミカズチ"と名乗った侵入者を改めて観察する。
何の変哲もない紺のスーツにサングラス。
だが、その声にはまだ幼さが残っている。
ライバル社のSSかとも思うがそれならば名乗る必要はないし、若すぎる。
少なくとも、暗殺等が目的ではないようだとアカツキは判断する。

(…最も、話の内容次第、こっちの対応じゃ
いきなり暗殺者に変身するかもしれないけどね…)

警戒を解かずにアカツキがカイトに話し掛ける。

「…で、そのミカズチ・カザマ君が何の用だい?
 出来れば暗殺とかは勘弁して欲しいねぇ。
 僕は血を見るのが嫌いなんだ」

薄笑いを浮かべたままのアカツキ。

「…よく言う…」

カイトは口元を歪めるとボソリと呟いた。
その呟きが聞こえたのか、アカツキはやれやれと首をすくめて見せる。
カイトは表情を元に戻すとアカツキに向き直る。

「…ここへ来たのは暗殺が目的じゃありません。
 僕の目的は…ビジネスです」

「…へ?」

「ビジネス…?」

カイトの意外な言葉に固まってしまったアカツキとエリナ。

「そう、ビジネスです。
 僕は欲しい物が幾つかあります。
 それを貴方達から提供して欲しいんですよ」

「…ビジネスという事は何か見返りを期待してもいいのかな?」

「会長!
 こんな不審な人物と取引なんてとんでもありません!」

アカツキがカイトの持ち掛けた取引に興味を持ち始めた事を悟ったエリナが叫ぶ。
だが、アカツキはキッとエリナを睨むと口を開く。

「エリナ君、少し…」

「確かにエリナさんの言う通りですね。
 …いいでしょう」

アカツキの言葉を遮るカイト。
その口元には薄らと笑みが浮かんでいた。
だが、サングラスの奥の瞳が笑っていない事は明らかだった。

((…))

この男の話を聞いてはいけない−
アカツキとエリナの冷静な部分が警告を発するが、好奇心がそれを上回った。
沈黙を肯定と見なしたカイトが再度口を開く。

「そうですね…、
 スキャパレリ・プロジェクトの目的が火星極冠遺跡にある先史文明の遺産の回収、
 ってのはどうですか?」

「「…!」」

アカツキとエリナの顔色が変わる。

「…その為にネルガルは4隻の戦艦を建造。
 一番艦ナデシコは火星で消息不明、
 二番艦コスモスはドッグ艦として七割方完成、
 三番艦カキツバタはまもなくの着工予定、
 四番艦シャクヤクは相転移エンジンの増加ユニット…
 ああ、Yユニットっていうんでしたっけ?
 それを積んだ艦として建艦予定…。
 これも付け加えておきましょうか」

アカツキは背中に吹き出した冷たい汗を感じていた。

(ナデシコにコスモス、カキツバタを知っているのはまだいいとしても、
シャクヤクのYユニットの事まで知っているのか!?)

カイトの笑みが増したのを見て、アカツキは動揺を表情に出してしまった事に気付く。
何故なら、シャクヤクの件は先程の会議で決められたばかりの事だったからである。
仮にカイトが他社のスパイであったならば、
ネルガルのほぼ全ての機密はリアルタイムで流出している事になる。

「…信用して貰えました?
 勿論、まだ切り札(エース)は残してますけどね」

カイトがしゃあしゃあとそう言い放った。

「そ、そんなの信じられる訳ないでしょう!?
 あ、アンタ、一体何者なの!?」

アカツキがエリナを手で制する。
カイトはエリナを一瞥しただけでアカツキに視線を戻す。

「…参考までに聞きたいんだけど"No"と言ったら僕達はどうなるのかな?」

アカツキに軽口が戻る。
まだ顔は青く、膝も震えてはいたが。
カイトはそれを取引成立のサインと見て取った。

「…手土産を持ってクリムゾンなり明日香なりに駆け込みますよ」

「手土産?」

「…ネルガル会長とその敏腕秘書の首…。
 高く売れる事だけは確かですからね」

薄ら笑いを崩さないカイトに対して苦笑いを浮かべるアカツキ。

(…僕の読みは正しかったって訳だ…)

「…で、僕と取引はして貰えるんですか?」

アカツキが取引成立を口にしようとした時、エリナが行動を起こした。

「ふざけんじゃないわよ!」

激昂し、カイトに拳銃を突き付けるエリナ。
だがカイトには動揺した様子は全くない。

「…やはり、ただの秘書ですね。
 SPにはむいてない」

そしてエリナの構えた銃を見て、呟く。

「…?」

怪訝そうな表情を浮かべるエリナとアカツキ。

「…安全装置(セイフティ)が掛かったままですよ?」

「…!?」

エリナは慌てて、自分の銃に目を落とす。
だが、セイフティはきちんと解除されている。

(騙された!)

それは一瞬の出来事だった。
カイトは袖から拳銃をスライドさせると、アカツキとエリナに突き付ける。
ご丁寧にレーザーポインタが二人の額に照準されていた。
最もこれはモデルガンと市販のレーザーサイトを購入し、でっち上げた代物だったが。

「…実戦なら死んでますよ、エリナさん。
 …銃を離して貰えますか」

「…ぅ」

エリナは素直に拳銃を床に落とす。
カイトはそれを拾い上げ、セイフティを掛けると無造作にポケットに突っ込む。

「…凄いね、どうやら僕達の負けだ。
 ネルガルの屋台骨を潰すような要求以外は呑ませてもらうよ」

「感謝しますよ、アカツキさん。
 最も、このビジネスは貴方達に不利になる事はないと思いますがね。
 …では、条件提示といきましょうか」

カイトはソファに座り直し、アカツキを向かいに座るよう促す。
アカツキが座った事を確認してカイトは再び口を開く。

「では、僕がネルガルに提供するものから…」

カイトがアカツキの前にウインドウを滑らせる。

「…まずは現行エステバリスのカスタム化…」

ウインドウに図面が現れる。

「それともう一つ。
 …次世代型エステバリスの設計・開発…」

カイトの開いたウインドウにはそれぞれの設計図が示されていた。
アカツキはそれを見て、眉をひそめる。

(…確かに貴重な情報だが…この為だけにこんな事をしたのか?)

エステバリス・カスタムも次世代型エステも
技術開発研究所に開発・研究の指示は出してある。
カイトの示した設計図があれば開発のペースは間違いなく上がるが、それだけだ。
これがなくとも技研単独でも遅かれ早かれ、この水準には到達する事が出来るだろう。
アカツキはウインドウから顔を上げてカイトを見る。
カイトは相変わらず無機質な微笑みを浮かべている。

「…勿論、ここからが本題ですよ?
 こんなのは前座にもなりはしませんから」

「ふぅん…だろうね。
 …で?」

アカツキは内心の動揺を押し隠して先を促す。

「ボソンジャンプ…、その情報提供です」

「「…」」

アカツキとエリナに驚きはない。
カイトがボソンジャンプで現れ、取引を申し出た時から
ジャンプが取引内容に含まれるであろう事はすぐに予想できていた事だからである。
だが、次のカイトの言葉でアカツキとエリナは凍りついた。

「…当然、"木連"よりも進んだ情報を持ってますよ、僕は」

「「…!!」」

木連−木星圏・ガニメデ・カリスト・エウロパ及び他衛星国家間反地球共同連合体。
政界、財界、連合軍、その中でもほんの一握りの人物しか知らないはずの機密。
それを目の前の青年は知っているというのだ。

「無論、彼等が月独立派の末裔ということもね」

続けて放たれたカイトの言葉は闇に葬られたはずの
歴史すら知っているという事を示していた。
アカツキとエリナは驚愕を隠す事が出来なかった。
二人の反応に満足そうに頷くカイト。

「さすがにジャンプの件はデータ化は出来ませんからね。
 後で紙媒体のレポートを渡しますよ」

「あ、ああ…、そうしてくれると助かるよ」

アカツキはそう答えるのが精一杯だった。
そして今更ながらに、とんでもない相手と取引している事を思い知る。

「そして、もう一つ…」

「…まだあるの…」

エリナがボソリと呟く。
口にはださないがアカツキも同じ思いだった。

「反会長派の役員達を一掃できる情報です」

「…何だって!?」

アカツキは思わず立ち上がる。
自分の一番の懸念を取り除く情報を持っているというのだ。
木連の事よりアカツキが反応を示した事はカイトにとって少々意外な事だったが。

「…そ、それは?」

「これは僕が貴方達に求めるものの一つと重なるんですが…。
 彼等はマシンチャイルドの研究を続けています」

「…な!?
 親父のやってた計画は全部破棄したはず…」

「だが、彼等はそれを引き継いだ。
 …ホシノ・ルリ、マキビ・ハリにいずれ対抗する為の切り札として」

「…クッ」

アカツキが拳をテーブルに叩きつける。

「…彼等の研究施設がどこにあるのかは分かりません。
 それを調べて貰いたいんです」

「分かった、すぐに調べさせるよ。
 …で、君はどうするつもりなんだい、その研究所を?」

「…決まってます…全部潰しますよ」

その瞬間、膨大な殺気がカイトから発せられる。
それに当てられたアカツキとエリナは息苦しささえ感じていた。

「…君の他の要求は?」

これ以上、この殺気に当てられたくないとアカツキは話題を変えようとする。

「救出したマシンチャイルドのうち、一人の引渡し。
 それと二人分の戸籍を用意して下さい」

「二人分?」

「僕とその娘のものです。
 とりあえず兄と妹にしておいて下さい」

「分かった。
 それぐらいならお安い御用だよ」

アカツキは真面目な顔でカイトの要求を受け入れる。

「後は、僕とその娘の生活のバックアップ、
 次世代型エステバリスのテストパイロットには僕を使う事、
 時期が来れば連合軍への入隊に口を効いてもらう事、ぐらいですかね」

「オーケー、全て呑むよ」

アカツキはカイトの残りの要求を受諾する事を即答した。

「ありがとうございます。
 …明日までにはレポートを作っておきます。
 それを渡したらそのまま次世代型の開発に加わります。
 その辺りの根回しもお願いしますね?」

「分かった。
 …とりあえず、ホテルに部屋を用意させるよ」

アカツキは手元のメモに系列ホテルの住所をしたためるとカイトに渡す。
カイトはそれを受け取り、立ち上がる。

「では。
 MCの調査の件、くれぐれもよろしく」

それだけを言い残すとカイトは身体を輝かせる。
そしてその光が弾けた時、そこには誰もいなかった。

「…ボソンジャンプ…、つくづく便利な能力だねぇ…」

アカツキは呟く。
その顔には微笑みが浮かぶ。

「か、会長!」

余りの展開に硬直していたエリナだったが、ようやく再起動する。

「なんだい、エリナ君?」

「彼を信用して良いのですか?
 どこの誰とも分からない輩を」

「…信用してもいいと思うよ、彼は」

エリナがムッとした表情を作る。
それを見たアカツキはいつものように軽い口調で答える。

「彼の提案は要求してきたものを含めて僕達の利益になる事だった。
 …まあ、戸籍だの軍に口を効けだのは当て嵌まらないが些細な事だし。
 …利益の一致、それ程信用できるものはないよ」

「ですが…」

「それともエリナ君、彼と一戦交えるかい?
 ネルガルどころか、僕達の命まで吹っ飛ばされるのがオチだよ。
 少なくとも僕は…、彼を敵に回したくない…」

言葉の前半は軽い口調であったが、後半は真剣な表情で呟くアカツキ。

「それに…」

「それに?
 何ですか?」

珍しく言葉を濁したアカツキ。
エリナは不思議に思い問い掛ける。

「…いや、何でもないよ。
 とにかく、NSSの連中を動かしてMCの調査をするよう言っておいて。
 現状で割けるだけの人員と資材を投入してね」

「…わかりました」

不満げな様子ではあったが、エリナは一礼すると会長室を出ていく。
エリナを笑顔で見送ったアカツキ。
扉が閉まった事を確認すると、机の引き出しからシガレットケースを取り出す。
ケースからタバコを取り出し、くわえる。

「ミカズチ・カザマ…か…」

ジッポで火を点ける。
紫煙をくゆらせながら窓の外に広がる夜景をみやる。

(…彼の瞳に宿っていたのは…哀しみ…か…)

ぼんやりとミカズチの姿を思い描く。
その自信過剰ともいえる態度。
氷のように冷たい嘲笑。
MCの研究所を潰すと言った時の殺気。
そのどれもからアカツキは哀しみを見出だしていた。
そこまで考えて、アカツキはフッと自虐的な笑みを浮かべる。

(それが分かったからって何になる?)

自分達の立場に変化を起こせるような事とも思えない。

(…暫くは彼の掌で踊るしかないかな…。
損はさせないでくれよ、ミカズチ君)

アカツキはこの夜景のどこかにいるカイトに向かい、呟いた。



「はぁ…、緊張した…」

カイトは会長室からジャンプして、ホテルの近くの公園にボソンアウトしていた。
指定されたホテルは前時間で何度も使用した事がある。
カウンターで名乗ると既にアカツキから話が通っていたらしく、
すぐにルームキーを渡される。
アカツキの用意した部屋は偶然にも、前時間での定宿だった707号室だった。
部屋に入ると、盗聴器、監視カメラの類をチェックする。
それらを全て外すとカイトはベッドに身を投げ出す。

(…疲れた…)

ふと、カイトは窓から夜空を見上げる。

「…ラピス=ラズリ…」

桃色の髪を持つ妖精の名を呟く。

『…私はアキトの目、アキトの耳、アキトの手、アキトの足…』

虚ろな瞳でそう呟いた少女。
カイトはこの時間に戻ってきた時、この少女も救い出そうと決めていた。
だが、前時間でカイトがラピスと過ごした時間はほぼ零に等しい。
それでもカイトには彼女を救わなければならない理由があった。
それは前時間の出来事。
火星の後継者事変から一ヶ月程立った頃の事だった。



   Episode.2へ続く…




  後書き


村:ども、村沖和夜です。

ユ:どもども〜、テンカワ・ユリカです♪
  RWK第14話Episode.1『我が名はミカズチ』をお送りしました!
  皆さんお待ちかねの”空白の八ヶ月”編スタートです!
  …の割には登場人物たったの4人…。
  しかも前半は食堂のオジさんとカイト君だけという色気の無さ…

村:あはは…(滝汗)
  当初の予定ではさらっと流すはずだったんですが…
  色々と弄くってたらこうなっちゃいました。
  私にお話を纏める才能が無い事は分かってたんですが…
  図らずもそれが如実に証明されてしまいました。

ユ:…妹さん(現実妹)に師事した方がいいんじゃない?
  SS書きのキャリアは作者さんの方が長いのに色々差を付けられてるよね。

村:…そうなんですよね。
  我が妹はサイト管理人で長編短編自在のSS書き、しかも絵師…
  寄稿依頼されてるけど妹作品と比べられるのが恐くて投稿出来ないし…

ユ:…ダメ兄貴(ボソリ)

村:うわぁぁぁぁぁんッ!!(ハーリーダッシュ)
  …シクシク…どーせボクはダメダメな兄貴ですよ…

ユ:あー、涙で床にブタさん描き始めちゃった…

村:…これ、ネズミのつもりなんですけどね…(ボソリ)

ユ:あ、あははー(焦)
  まあまあ、プライベートな話はこれぐらいで。
  そろそろお話の解説しないと。
  ダメダメな作者さんでも応援してくれる人はどこかにいるよ!

村:そうですね、了解です。
  じゃ、行きましょうか。

ユ:切り替え早っ!

村:さて、今回のお話はカイト君が地球に降り立つ場面から始まります。
  空白の八ヶ月で行動する下準備のお話ですな。

ユ:7話ラストにちょこっとだけあった場面はここだね。

村:後はメールで頂いた”カイト君のスーツはどうしたの?”の回答編でもあります。
  このバイト代でカイト君はスーツとサングラスを買いました。
  ちなみに購入場所は『洋服の●山』で。

ユ:それ、作者さんがスーツ買うところ…。
  で、カイト君はサイゾウさんのお店でバイトしてたんだ…

村:最初っからネルガル行きだと芸が無いなー、と思いまして。
  それにこうしておけば後々使えるかなー、と。

ユ:…伏線張ったらちゃんと回収しようね?

村:鋭意努力は致します…

ユ:他の見所は?

村:『安全装置が掛かったままですよ』Byカイト
  ハードボイルドには欠かせないセリフですよねぇ…
  これは絶対書かなきゃと思ってたシーンです。

ユ:ええッ!?
  RWKってハードボイルドだったの!?

村:いいえ(即答)
  単に私がハードボイルド好きなだけです。
  まあ、RWK執筆開始時はそういう方向を目指すはずだったんですが…

ユ:はずだった?

村:結局、カイト×ルリ至上主義甘々砂糖路線(妹談)になりました。
  まあ私本人としてはRWKは”シリアス系砂糖味”だと思ってるんですが。

ユ:…カイト×ルリ至上主義は否定しないんだね(苦笑)
  まあその辺は読者の皆様にお任せだね!

村:そうですね。
  ギャグも砂糖も色々書いてみたいから長編やってる訳ですし。
  さて、そろそろ次回の予告にしましょうか。

ユ:そだね!
  じゃあ、次回のRWKは!
  …あ、あれ?



ル:時は火星極冠事変直後。
  救出されたユリカは死の床に着いていた。
  死の淵で彼女はただただ伴侶を求める。
  彼女の最後の願いを叶える為、カイトとルリは行動を起こす。

  『…嫌だって言っても、絶対に連れ戻しますからね…!』

  そして二人を支える仲間達。

  『アキト、迎えに行くんだろ?』
  『水臭いですよ、艦長もミスマル大尉も!』

  そして僅かな甘い一時。

  『…長いキスも嫌じゃないですけど…、したい時は前もって言って下さい』

  だが彼等はまだ知らない。
  運命の日がすぐそこまで迫っている事を…

   RWK第14話『the Blank of 8 Months』
    Episode.2 破滅への序曲(前編)

  を皆で見よう!




村・ユ:…(唖然)

ル:ナレーションのバイトです(平然)

ユ:ル、ルリちゃん…

村:…いつの間に…









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