機動戦艦ナデシコ
〜Return of the White Knight〜




第11話 バトル・オブ・クルスク(後編)




ナデシコ・ブリッジ



「ビシ!」

ブリッジに入ったプロス、ゴート、エリナが目にしたのはお揃いの軍服
−20世紀半ばの英国海軍風の−
に身を包んで敬礼するユリカ達ブリッジクルーの姿だった。
唖然とするプロスとゴート。

「まあ♪」

そしてなぜか顔を輝かせるエリナ。

「…新手のコスプレかね…?」

ようやく口を開いたゴート。
それにメグミが答える。

「これはセイヤさんが」

そしてミナトが続く。

「この方が作戦指令部っぽいからって」

ジュンが結ぶ。

「貸してくれたんです」

そしてユリカが再度敬礼する。

「ビシ!」

それに続くブリッジクルー。

「「「「「ビシ!!」」」」」

ある意味、壮観ではある。

「…ルリさんにラピスさん…貴女達まで…」

軍服ではなくお揃いの鎧
−こちらは日本の戦国時代の水軍風の−
に身を固めて敬礼するルリとラピス。
ルリの着物と鉢巻きがピンクで、ラピスのそれは水色である。
無表情なルリに対し、ラピスはいつもと違う装いが
嬉しいのか僅かに顔を綻ばせている。

「遅くなりました」

そしてカイトがブリッジにやってくる。

「おお、カイトさ…」

振り向いたプロスはカイトの装いを見て言葉を失う。
カイトが着ていたのは、これまた20世紀の日本帝国海軍の純白の第2種軍装であった。

「まあ♪」

それを見たエリナは目を潤ませ感嘆の声を上げる。

「ほぇ〜、カイト君カッコイイよ〜♪」

「…僕もそっちにすれば良かった…」

ユリカとジュンがそれぞれ感想を口にする。

「ありがとうございます、ユリカさん♪
 ルリちゃん、ラピス、似合うかな?」

「「…(///)」」

ルリとラピスは頬を染め、コクリと頷く。

「ありがと♪
 ルリちゃんとラピスも似合ってるよ、可愛い♪」

そう言ってカイトはルリとラピスの頭を撫でる。

(フフッ、ルリルリったらあれだけ嫌がってたのにね♪)

ミナトはカイトに頭を撫でられ頬を染める二人の妹を見て微笑む。

(…カイト君、ホントに白が好きなのね…。
…それにセフィランサス・・・花言葉は確か『純白の愛』・・・。
でも、悲しい色よね…白って)

白い軍服に身を包んだカイトを見て不意にそんな考えに襲われたミナト。
”白”は穢れを知らぬ無垢であると同時に全ての色を覆い隠してしまう。
カイトの纏う"白"は後者であるような気がした。
ハッとなり軽く首を振ってミナトはその考えを追い出そうとする。

(…何でこんな事考えたのかしらね…?)

ミナトはカイトを盗み見る。
暖かで優しい微笑みを浮かべてルリとラピスの頭を撫でるカイト。
その存在はいまやナデシコにとって欠かせないものとなっている。
だがカイトが時折見せるひどく寂しげな笑顔は何なのだろうか。
カイトがその微笑みを見せる時、その存在感が驚くほど希薄になる。
かと思うとまたいつもの笑顔を浮かべてそこにいる。

(カイト君…貴方はいったい何者なの…)

ミナトの呟きは心の内から漏れる事なく沈んでいった。
その様子に気付いたクルーもいない。

「…ともかくだ。
 今ドクターが観測衛星から得られたデータを分析中だ。
 それが済めば新しい情報も得られるだろう」

「ビシ!」

ゴートの言葉にユリカが敬礼する。
ブリッジクルーが敬礼し、ミナトも慌ててそれに続く。
カイトもルリとラピスと一緒に敬礼している。
その笑顔は優しい普段通りの笑顔だった。

(…ま、いっか。
ルリルリとラピスちゃんを大事に思う気持ちは本物みたいだし)

ミナトはそう思う事にして笑った。
何かが心の隅に引っかかってはいたが。
その頃、ガイは一人エステバリスのコクピットに篭っていた。

「…何故、俺がこんな恰好をせねばならんのだ…。
 俺はヒーローなのに…正義の味方なのに…納得いかねえぞーっ!!

ガイが身に纏っていたのは"海賊の手下"の衣裳であった。
彼の魂の叫びは誰かに届くことなく、空しくコクピットに響き渡った…



地球・ロシア・クルスク地方


「「「イッチ、ニィ、サン、シィ♪
   ニィ、ニィ、サン、シィ♪」」」

コクピットにマーチを響かせた五体のエステバリスが進軍する。


20:10、グラカーニャ村通過

「エステバリス部隊、グラカーニャ村を通過」

「…ルリちゃん、アキトさんが持ってるのってオカモチ?」


20:45、スベイヌン鉄橋通過

「エステバリス部隊、スベイヌン鉄橋を通過。
 テンカワ機、やや遅れています」

「…そりゃ、あれだけ荷物持ってたらねえ…」


21:10、カモフ岳通過

「エステバリス部隊、カモフ岳を登頂中。
 …テンカワ機、…断崖をよじ登ってます…」

「…ワイヤーなしでよく登れ…あ、落ちた…」


21:30、イール河通過

「エステバリス部隊、イールを渡河。
 …テンカワ機、泳いでます…」

「さすがはウリバタケさん。
 防水もバッチリだ」


22:30、モアナ平原通過

「エステバリス部隊、モアナ平原を走破中。
 テンカワ機、多分地雷踏みます」

「ル、ルリちゃん…そんな事言っちゃ…」

駄目だよ、そう言いかけたカイトの言葉を遮り、爆発音が響く。
カイトがスクリーンを見るとアキト機が地雷を踏んで転倒していた。

「踏みましたね」

「…」

余りのお約束に開いた口が塞がらないカイトであった。


『よし、ここらへんで休憩にしよう!』

アカツキの号令で進軍が止まる。
エステバリス部隊が休憩に入るとブリッジの空気が一層緊張する。

「とりあえずここまでは何事もなく…か」

「そうですね」

「ルリちゃん、カイト君、ラピスちゃん、索敵センサーを最大に」

「「「了解」」」

ユリカの指示に三人が答える。
ルリが遠距離、カイトが中距離、ラピスが近距離を担当し、それぞれIFSを輝かせる。
そして最初に敵影を捉らえたのはカイトのセンサーだった。

「野営地対岸にエネルギー反応確認!」

その言葉にルリとラピスもカイトのセンサーに同調する。

「野営地付近に弾着確認」

「…映像、出します」

ルリとラピスの報告と共にメインスクリーンが切り替わる。

「…何かいるの…?」

重厚なエンジン音とキャタピラ音が響き渡る。

『車洗う…それは、戦車』

イズミのギャグは相変わらず寒いが、敵の正体を的確に見抜いていた。

「「洗車?」」

ユリカとジュンが同時に呟く。

「…戦う車、と書くんです」

カイトが力無く突っ込みを入れる。

「知らないのも無理はないが、戦車というのは二世代前の陸戦主力兵器だ」

「「ふむふむ…」」

カイトはユリカとジュンの前に戦車のスペックをウインドウで表示する。
ユリカとジュンはそれを見ながらゴートの説明に大きく頷く。

「でも、スペックを見る限りじゃエステの敵では…」

カイトがジュンの言葉を遮る。

「本来ならそうですけどね、これだけの数が揃えば…」

「カイトの言う通りだ。
 いくら旧式とはいえ、脅威に値する」

「「…なるほど」」

「それにしても戦車で地上の守りとはね…トカゲも中々やるわね」

「装備の現地調達…実に経済的ですなぁ。
 我々も見習いたいものです、ハイ」

ムネタケとプロスもそれぞれ呟く。
そこへイネスのウインドウが現れる。

『艦長、一大事よ』

「ほえ?」

『まだデータ不足だけど、悪い報せよ』

(…きたか)

イネスのその言葉だけでカイトはナナフシの再起動を悟る。

「…どれくらい?」

『かなり悪いわ。
 …でも、その前にエステバリス部隊を何とかしないとね?』

「「「「「「「え?」」」」」」」

その言葉にブリッジクルーがスクリーンに視線を戻す。
その時、エステバリス部隊は戦車との銃撃戦に突入していた。
陸戦フレームを装備した三人娘が弾幕を張り、戦車の進攻を抑える。

「アキトとアカツキは今のうちに行け!」

「すまない!
 任せるよ、リョーコ君!」

短く礼を残し、アカツキはエステを走らせる。

「テンカワ君、行くよ!
 …って、おい!?」

「イヤだ!
 俺は戦う!!」

そう叫ぶとアキトは戦車へ向かって砲撃を始めてしまう。

「止めろ!
 無駄弾を使うな!」

アカツキがアキトのキャノンライフルを無理矢理押さえ込み、砲撃を止めさせる。

「何すんだよ!」

「この砲戦フレームは対ナナフシ用の切り札なんだ!
 ここはリョーコ君達に任せて僕達は先を急ぐんだ!」

「そんな事言ったって…!」

言い争うアキトとアカツキ。
その間にも砲弾がエステバリス部隊に降り注ぐ。
そしてその中の一発がオカモチに命中する。

「…バッテリーが…!」

「だから言わんこっちゃない…」

うるせぇー!!

砲撃を再開するアキト。

「止めろ!」

ウオォォォォォッ!

アカツキの制止を振切り、アキトは砲撃を続ける。
やがて戦車からの砲撃が沈黙する。

「…ハァッ…ハァッ…」

『…どう?
 気が済んだ?』

「イ、イネスさん…」

アキト機のコクピットにイネスのウインドウが現れる。

『…悪い報せよ。
 ナナフシが動き出したわ』

「「「「「え?」」」」」

他のパイロットもその言葉に驚きの表情を見せる。

『まだデータ不足だけど、次の発射は明朝5時より早くなるのは確実よ』

「じゃあ…」

『そう、ナデシコの…、いえクルスク地方の蒸発までもう時間がないわ』

「作戦パターンをAからDに移行!」

イネスの報告を聞き、ゴートが作戦パターンの変更を指示する。

「「了解!」」



野営地


「「「いってらっしゃ〜い♪」」」

アキトとアカツキのエステバリスが鉄橋を走り去るのを手を振って見送る三人娘。

「帰って来いよ〜!」

「こい、こ〜い♪」

リョーコとヒカルがそれぞれエールを送る。

「ホント、帰って来いよな…」

「帰って来てくれなきゃ困るよ。
 私達動けないし」

「そうだな、バッテリーもみんなアイツ等に渡しちまったしな…」

そう言ってリョーコは動かなくなった自分達のエステバリスに視線を移す。
そしてイズミがハッと顔を上げる。

「静かに!
 …何か…聞こえる…」

「何?
 またシリアス・イズミ?」

ヒカルがちゃかすがイズミの目は真剣そのものである。
やがてヒカルやリョーコの耳にもその音が聞こえる。

「イズミ…この音って、もしかして…」

「ああ、間違いないね…」

三人の目に映ったのは被弾してはいるが、確実にこちらへ向かっている戦車だった。

「…冗談キツいぜ…」


ナデシコ・ブリッジ


スクリーンにはエネルギー切れで駐機された三人娘のエステバリスと
それに迫りながら砲撃を加える戦車の姿が映し出されていた。
リョーコ達が手持ちの武器−拳銃で反撃を試みてはいたが、
尽く分厚い装甲に弾き返されていた。

『チキショー!
 こんなんじゃ歯がたたねえ!』

リョーコの叫びがブリッジに響く。

「リョーコさん、エステの吸着地雷を!」

『吸着地雷…?
 んなもんどーすんだよ?』

『ハルの底に仕掛けるんだよ!
 ハルってのは戦車の車体の事だ!
 そこが戦車の装甲が薄い!』

カイトの通信にウリバタケが割り込む。

『なるほどな…、よっしゃあぁっ!
 行くぜーっ!』

吸着地雷を持ったリョーコがヒカルのエステバリスに
乗り上げた戦車に向かって突撃する。

『これでもくらいなっ!』

吸着地雷を仕掛けたリョーコが退避する。
一瞬の間をおいて車体の下爆発が起き、戦車が動きを止める。
すぐにイズミが砲塔に駆け上がり、ハッチを開く。
そして拳銃を中に向けて乱射する。
戦車を操っていたトカゲが銃弾を叩き込まれ、沈黙する。

『目にキス…命中…』

『はいはい…』

リョーコ達が戦車を倒し、ブリッジから歓声が上がる。

「ほぇ〜、カイト君、良く知ってたね〜!
 戦車の弱点なんて!」

「そうだね、ウリバタケさんはともかく…」

ユリカとジュンが素直に感心する。

『おい!
 それはどういう…』

ウリバタケが抗議しようとするが突然ウインドウが消える。
ブリッジクルーは一斉にルリとラピスに目線をやる。

「「…」」

やったのはルリかラピスか。
とにかく二人共、明後日の方向を向いている。

(((((…二人共だ…)))))

ルリとラピスのカイト第一主義な行動にも慣れ始めているクルー。
二人をカイト絡みの一件で怒らせないようにしよう、改めて誓う彼等であった。

「「…?」」

何故ウリバタケが消されたのか。
分かっていないのはカイトとユリカだけだった。



ナナフシ付近


湖岸の道路を2機の砲戦フレームが走る。

「エネルギーも弾薬もギリギリだ…。
 今後は勝手な行動は慎んでくれよ、いいね?」

「…了解」

アカツキのウインドウが閉じられる。

「何だよ…、偉そうに…」

その時、突然爆発が起きる。

「何だ!?」

「今までのオモチャとは違うみたいだね…」

爆煙の向こうから姿を現した"それ"は三連装の主砲に
十門近い副砲を備えた化け物戦車だった。

「くそーっ!」

アキトがライフルを構える。

「待て!
 焦るな!」

「じゃ、どーすんだよ!」

攻撃を止めるアカツキにアキトが吠える。

「コイツに構ってるヒマはないんだ!
 このままナナフシまで突っ切るよ!」

エステバリスを反転させて逃げるアキトとアカツキ。

「苦戦してやがるな、二人共!」

「え!?
 リョーコちゃん?」

エステバリスと化け物戦車の間に戦車が割ってはいる。

「助かるよ!
 んじゃ、そういう事で…」

「そうだな」

頷き合うリョーコとアカツキ。
ヒカルとイズミも頷いている。

「え?
 ど、どーすんの?」

一人話の展開に着いていけないアキト。

「つまり、君はナナフシにGo!
 僕達は戦車に…Let's Go!」

アカツキがエステバリスを反転させる。
リョーコ達の戦車も化け物戦車に向かって突撃する。

「で、リョーコ君?
 何か策はあるのかな?」

アカツキがたずねる。

「このまま体当たりだ!」

「「「やっぱり〜!」」」

リョーコ達の戦車が化け物戦車のキャタピラの下へ潜り込む。

「今だ!
 ロン毛!」

「オーライ!
 でっかい戦車はこう叩けってか!!」

ハルの底を見せた化け物にアカツキはキャノンライフルを叩き込む。
化け物もむざむざやられてたまるかとばかりに
アカツキ機を射界に捉らえる副砲を乱射する。

「なんの!
 …ウォッ!」

乱射された内の一発がアカツキのライフルを直撃する。

「しまった!」

その衝撃でアカツキがライフルを取り落とす。

「ロン毛!」

「クッ…万事休すか…?」

化け物戦車が車体の重量と出力を利用して戦車とアカツキ機を押し潰そうとする。

「「ウワァァァァァッ!」」

ミシミシと戦車の車体が軋み、計器からは火花が散る。

(…クッ…もうダメか…?)

リョーコが覚悟を決めようとした時、"ソイツ"はやってきた。

『待たせたな!』

「「「「…え?」」」」

突然辺りに声が響き渡る。
その声と共に化け物戦車のハルの底に銃弾が叩き込まれる。

『仲間の危機に黙ってみてるのは"漢"じゃねえ!
 ダイゴウジ・ガイ、只今参上!!』

「ヤマダ君!?」

違う!
 俺様の名前は…ダ・イ・ゴ・ウ・ジ…』

「…どっちでもいいから早く助けてくれよ…」

『おお、そうだった』

そういうが早いかガイは両手に持っていたラピッドライフルを捨てる。

「おい、なにやってんだ!?」

『"漢"の武器は燃ゆる魂と拳のみ!
 俺にライフルは必要なし!!
 喰らえ!
 ガァイ・スペクタクル・エクセレェント・サイクローン・ナッパァァァー!!!

ガイが叫び声と共にエステバリスの拳を突き刺す。
一瞬の間をおいて化け物戦車が動きを止める。

「「「「おお〜!」」」」

アカツキ達が感嘆の声を上げる。

『ガハハッ、見たか、俺様の実力を!』

戦車の上に仁王立ちして高笑いするガイ。

「「「「ふぅ…助かった」」」」

戦車とエステバリスから這い出してきたリョーコ達。
その表情には安堵の色が浮かぶ。

「でも、何でここにキミがいるんだい?
 キミはナデシコに待機だったんじゃ…?」

「お前等が出た後によ、カイトとルリ坊の提案で俺が援護に出る事になったんだよ。
 最もずっと走りっぱなしだったんで、もう動けねえけどな」

「あの二人の差し金かい?
 さすがだねぇ、カイト君は。
 ユリカ君より艦長に向いてるんじゃないかな?
 アハハッ!」

「そーかもしんねえな、ガハハッ!」

喜ぶアカツキ達を視界の隅に追いやり、リョーコは遠くに見えるナナフシを見つめる。
アキトは今、たった一人でその下へ向かっている

「…アキト…無事に戻って来いよな…」

リョーコは黎明の空に向かって呟いた。



ナデシコ・ブリッジ


「ヤマダさん、間に合いましたね」

「うん。
 …次は僕の番だね。
 …最も出番がなければいいんだけど」

「…ハイ」

化け物戦車の破壊に喜ぶクルーを見ながらカイトとルリが言葉を交わす。

「…じゃ、行ってくるよ」

「気をつけて下さいね」

「うん」

カイトはルリの頭を一撫ですると歓喜に沸くブリッジをそっと抜け出す。
ルリはカイトの背中を見送るとコンソールに向かい何やら作業を始める。
ルリの目の前に浮かぶウインドウには
ナデシコからナナフシまでの距離や気象データが表示されていた。
そしてそのウインドウを他のクルーからは見えない位置に移動させる。

『ナナフシ付近の空間に重力波増大中。
 すぐにくるわよ!』

イネスの報告がブリッジに響く。

《ナナフシ、エネルギー急増! 危険!》

オモイカネもウインドウを開く。

「どーすんのよ!
 このままじゃ、アタシ達も蒸発しちゃうわよ!」

ムネタケが騒ぎ立てる。

「提督、お静かに!
 きっとアキトが間に合います! ビシ!」

ユリカが笑顔で敬礼する。

「…やれやれ、いざとなると強いですな、ウチの艦長は」

プロスが指揮卓に寄り掛かって呟く。
そんなやり取りを静かに眺めていたルリがおもむろに口を開く。

「テンカワ機、ナナフシに到着しました」



ナナフシ


アキト機がナナフシの加速器の正面へとやってくる。
コクピットの中に《補助バッテリー残り僅か!》のウインドウが点滅する。

「全弾発射!」

両肩のミサイルポッド、腕に抱えた120キャノンをナナフシに向ける。
次々と火線が加速器に吸い込まれていくが、
ナナフシの唸るような駆動音と発光は止まらない。
アキト機の弾薬は見る間にその数を減らしていく。

「…くそっ…あの時、無駄弾を撃たなければ…」

そして最後の一撃がキャノンライフルから放たれる。

「…そんな…。
 間に合わなかった…?」

呆然と立ち尽くすアキト機。
目の前の加速器の駆動音と光は益々大きくなる。
アキトの視界が歪む。

「…ゴメン…みんな…」

アキトは俯き肩を震わせ、呟いた。
どれくらいそうしていたか、突然爆発が起きる。
そして、通信機からブリッジのやり取りが聞こえてくる。

("アイツ"は諦めてない…。
 それに、俺にもまだやれる事がある…)

諦めかかった心に再び勇気が湧いてくる。
そして、アキトはナデシコに通信を開く。
何故アイツは諦めないのか。
その理由を自分は知っていたから。

『…ナデシコが好きだから。
 だよな、カイト?』



ナデシコ・ブリッジ


「…そんな」

メグミが呟く。
ブリッジが重い沈黙に満たされる。

『終わりね…。
 退艦した方がいいわよ、艦長』

イネスが冷静な口調でユリカに退艦を促す。

「ここまでか…」

プロスやゴートも表情を歪める。

「…ゴメンね…」

ユリカが誰にともなく呟く。
キツく握り締められたユリカの拳、それを包む白い手袋に紅が滲む。

「…総員、退艦を…」

ユリカが総員退艦命令を出そうとする。

「まだです」

しかしそれを遮る静かな声。
ルリだった。

「ルリルリ…?」

「まだ、ナデシコには"あの人"がいます」

ルリがそう呟いた時、スクリーンが切り替わる。

『ユリカさん、諦めるにはまだ早いですよ!
 カイト、出ます!』

「カイト君!?」

空戦フレームがナデシコから飛び出していく。
その腕にはセフィランサスのレールキャノンを装備している。
カイト機はナデシコの上空で停止すると、レールキャノンをナナフシに向ける。

「カイト君…何をするつもりなの…?」

ミナトが呟く。

『ルリちゃん、照準とカウントお願い!』

「ハイ。
 …照準補正開始します…補正完了…。
 カウントいきます」

突然の事態に呆然とするクルーを尻目にルリは淡々とオペレートを続ける。

「3…2…1…今」

ルリのカウントと共にレールキャノンが放たれる。
キュウンッ!と大気を切り裂く音が響き、黒い火球がナナフシへ向かう。

「何なの、あれ?」

ユリカの疑問に答えたのはウリバタケだった。

「グラビティブラストだよ。
 いや、グラビティキャノンとでもいった方がいいか…」

『グラビティブラストですって!?
 いつの間にあんな小型化できたの?』

いつも冷静な珍しくイネスが取り乱す。

「フッフッフッ、こんな事もあろうかと!
 カイトと準備していたのだ!」

ウリバタケは技術屋として最高の決めゼリフ、
『こんな事もあろうかと!』を言う事ができて満足そうである。

『…相転移エンジンを小型化できたの?』

「いや、レールキャノンの中をシールドして
 ナデシコの重力波を蓄積して撃つ代物だ。
 最も、カイトは相転移エンジンの小型化も視野にいれて
 レールキャノンを設計してたみてえだかな」

『…でも、そんな事したら、
 レールキャノンの容量パンクしちゃうんじゃないかしら?』

このイネスの疑問に答えたのはルリだった。

「グラビティブラストを弾丸状に加工して撃つんで大丈夫です。
 そのまま放つにはさすがにレールキャノンじゃ容量が小さすぎますから」

「ルリちゃんも知ってたの!?」

「ハイ。
 カイトさんのレールキャノンをグラビティキャノン用に
 プログラミングし直したのは私です」

心なしかルリの声もやや得意げである。
そしてスクリーンには黒い火球−グラビティキャノンがナナフシへ向かう。
真っ直ぐ飛んでいた弾丸が一瞬揺らめき、ナナフシに突き刺さる。
僅かな間をおいてナナフシで爆発が起こる。

「破壊できたの!?」

ユリカが叫ぶ。

「電波障害が強くて確認できません!」

メグミがそれに答える。
クルーが息を飲んで煙に覆われたスクリーンを見つめる。

「…映像、回復…」

ラピスの報告と共に煙が晴れる。

「ウソ…」

ユリカの呟き。
スクリーンに映し出されていたのは無傷のナナフシだった。

『…グラビティキャノンでも無理なの…?』

イネスが呆然と呟く。
ナナフシは砲戦フレームとは比べ物にならない破壊力を
有しているであろうグラビティキャノンを凌いでみせたのだ。
ナデシコのグラビティブラストが使えない今、
ナナフシを破壊する兵器は残されていなかった。

『…再チャージ開始…』

カイトの静かな呟きが響く。

『な!?
 カイト、止めろ!?』

ウリバタケは慌ててカイトを止めようとする。

『…今のは重力場の歪みで逸らされただけです。
 次は当てます。
 ルリちゃん、弾道修正お願い』

「ハイ」

ウリバタケの声を無視してカイトはルリに弾道修正を頼む。
ルリもそれを即座に引き受ける。
しかし、ウリバタケがそれを遮る。

『ルリルリ!
 カイトを止めろ!
 レールキャノンが爆発するかもしれねえぞ!』

「…え?」

ウリバタケの言葉にルリの手がコンソールから離れる。

「ウリバタケさん、どういう事ですか!?」

ユリカがウリバタケにたずねる。

『一発撃ったら中のシールドが傷つくんだ!
 その状態でまたエネルギーを蓄積したら…』

ウリバタケの言葉を裏付けるようにカイトのレールキャノンから火花が散る。

「カイト君!
 止めるんだ!」

ジュンもカイトを止めようと声を上げる。
ウインドウに映るカイト機のコクピットは
漏れ出したエネルギーの余波で火花が散っている。

『…ナデシコが蒸発するよりマシです。
 ルリちゃん、計算続けてくれ』

「…ハイ」

ルリはカイトの言葉に頷くとコンソールに手を戻す。

「ルリルリ!?」

ウリバタケの言葉に顔を真っ青にしていたミナトが叫ぶ。

「ラピス、ナデシコのコントロール、貴女に預けていいですか?」

ルリはミナトの声を無視してラピスに話し掛ける。

「ウン。
 任せて、ルリ」

「ラピスちゃん!?」

同じく青い顔をしたメグミが叫ぶ。

「ルリちゃん、ラピスちゃん…どうして…?」

ユリカの呆然とした呟きに、IFSを輝かせたままルリが答える。

「…同じです」

「え?」

「艦長がテンカワさんを信じてるように、私はカイトさんを信じてます」

カイトは言った。
何があっても自分が待っている限り、必ずナデシコに戻ってくると。
ならば、自分は何があってもナデシコでカイトを待とう。
ルリはそう決めていた。
そしてルリの隣でラピスもコクリと頷く。

「カイトならきっと何とかしてくれる…。
 私も信じてる」

『…ありがと、ルリちゃん、ラピス…』

自分を信じると言ってくれたルリとラピス。

(…なら、なおさらナデシコを蒸発させる訳にはいかない!)

手元の計器が小さな爆発を起こす。
額の傷口が開き、再び血が流れる。
それでもカイトは動かない。
ただ、エネルギーが満たされるのをじっと待つ。
ルリも重力場の歪みがグラビティキャノンに
与える影響を予測する為、膨大な量の計算を行う。
ラピスは静止状態にあるとはいえ、初めてナデシコ全体のオペレートに挑んでいた。

「…アンタ達…何でそこまで…?」

『…ナデシコが好きだから。
 だよな、カイト?』

「アキトっ!」

ミナトの呟きに答えたのはアキトだった。

『…はい。
 ナデシコをナナフシ如きにくれてやるわけにはいきません』

カイトの言葉にコクリと頷くルリとラピス。

『カイト、さっき重力場に逸らされたって言ってたよな?
 それってゲキガン・フレア…、いやフィールド・アタックで破れるか?』

『破れますけど…。
 アキトさん、まさか!?』

アキトの言わんとする事を察したカイト。

『俺が重力場に穴をあけるよ。
 それならグラビティキャノンを当てられるだろ?』

「…テンカワさん、ただのフィールド・アタックとは違うんですよ?
 失敗したらテンカワさん、押し潰されちゃいますよ?」

ルリの言う通りだった。
ディストーション・フィールドを切り裂くのとは訳が違う。
フィールドと違って、重力場は厚みがある。
突破する間にエネルギーが尽きてしまえば、
四方から重力場に飲み込まれて機体が押し潰されることになる。

『分かってるよ、ルリちゃん。
 でも、俺があの時無駄弾を撃たなければ…』

そう言うとアキトは俯いて肩を震わせる。

『…ルリちゃん、僕のエステとアキトさんのエステをリンクさせて。
 それから計算をアキトさんの突入を基準に変更』

「カイトさん!?
 …分かりました、変更します」

『『ありがとう』』

アキトとカイトがニッコリと笑う。

「…別に…それほどでも…(///)」

(何だかカイトさんとテンカワさん…よく似てますね…)

カイトとアキトの笑顔から何か同じ雰囲気を感じ取ったルリ。
思わず頬を染めてしまう。
それでもアキト突入のタイミング計算に狂いは生じないのだからさすがである。
そしてもう一人、覚悟を決めた者がそこにいた。

「ルリちゃん…、アキトの突入のカウント、私にやらせてくれないかな?」

ユリカだった。

「ルリちゃんがカイト君を信じてるのに負けないくらい、私もアキトを信じてる。
 …だから、お願い。
 私にやらせてほしいの」

ユリカの真っすぐな眼差しがルリを捉らえる。

『『ユリカ(さん)…』』

しばらくユリカをじっと見つめていたルリ。

「フゥ…分かりました」

大きく息を吐き、ユリカのお願いを承諾したルリ。
ユリカの前にウインドウを表示する。

「ルリちゃん、ありがと♪」

ユリカはルリに笑顔で礼を言うと、表情を引き締める。

「…計算終了。
 艦長、カウントどうぞ」

「了解!
 アキト、カイト君!
 行くよ!」

『『おう!』』

「3…」

『ああーっ、もうやっちまえーっ!』

ウリバタケがウインドウの中で叫ぶ。
その背後には心配そうに見守る整備班。

「2…」

「ちょっと!
 アンタ達ホントに大丈夫なんでしょうね!?」

騒ぐキノコ…もといムネタケとスクリーンを見守るブリッジクルー。

「1…」

「…テンカワ君、カイト君…頼んだよ」

ナナフシに向かい呟くアカツキ。
祈るような表情を浮かべるパイロット達。
そして、時は来たれり−

「0!
 アキト、行って!」

『了解!
 ウオオオオオッ!!
 ゲキガン・フレアーッ!!!


アキト機が瓦礫をジャンプ台にしてナナフシの周囲に
展開された重力場にフィールド・アタックを仕掛ける。

ウオオオオオッ!

強烈な抵抗がアキト機の行く手を阻む。
機体が軋み、火花が散る。
それでもアキト機はただただ前へ進む。
そして、IFSを通じて感じていた重力場の抵抗が不意に途切れる。

(破ったのか!?)

それを確認する事なくエステバリスのエネルギーが切れ、
コクピットがブラックアウトする。

「カイト…、後はよろしく…」

真っ暗なコクピットでアキトは一人呟いた。

「カイトさん!
 ここです!」

アキトのフィールド・アタックであいた重力場の穴の位置を
ルリは即座にカイト機へ送信する。

『了解!
 いっけぇぇぇぇぇっ!!

カイト機が再び黒い火球−グラビティキャノンを放つ。
放ったと同時にレールキャノンも爆発する。
コクピットを飛び交う火花もその数を一気に増していく。
そして、黒い火球は重力場の穴を抜け、真っ直ぐにナナフシの加速器に突き刺さる。
そして起きる大爆発。
スクリーンがノイズで満たされる。

「ど、どうなったの?」

ミナトが戸惑った声を上げる。

『…今、衛星で確認したわ。
 ナナフシ周辺の重力場は消失。
 加速器に集まっていたエネルギーも消えたわ』

「そ、それって…」

『そう、私達の勝ちよ』

イネスの言葉にブリッジが一瞬の静寂に包まれる。
そして次の瞬間には歓喜が爆発する。

「「「「「「「やったぁーっ!!」」」」」」」



ナナフシ付近


「やりやがったぜ! アイツ等!」

「カイト君もアキト君もすっごーい!」

「少しの利益…小、利…勝利…クククッ」

「何だ、テンカワ君も結構やるじゃん。
 ただのコックじゃなかったんだね」

「ちくしょー、また美味しい所持っていきやがってぇ!」

上から順番にリョーコ、ヒカル、イズミ、アカツキ、ヤマダ。

「さて、テンカワ君の所にいくとしようか!」

「「「「おー!」」」」



ナデシコ・医務室


修理が終わりようやく飛び立つ事が出来たナデシコ。
本格的な修理の為に南大西洋に展開するドッグ艦コスモス目指して飛んでいた。
医務室にはアキトとカイトが並んで寝かされていた。
カイトのベッドサイドにはルリとラピスが。
アキトのベッドサイドにはユリカがそれぞれ陣取り看病していた。
カイトは幸せそうな笑顔を浮かべて
ルリとラピスお手製のチキンライスを口にしていた。
それに対し、アキトはひきつった笑顔を浮かべて
ユリカお手製のチャーハン?を前にしていた。

「幸せってこういう事かな♪」

とはカイト。

「…悲劇ってこういう事かな…」

とはアキト。
それを見たカイトがアキトをからかい、アキトが反撃する。
そして医務室にはユリカの明るい笑い声が響く。
ルリもラピスも嬉しそうに微笑んでいる。
その様子を覗き見ていたミナトとメグミ。

「…結局あの人達だけでしたね…。
 最後まで諦めなかったのって…」

「そうね…」

ミナトは笑い合う5人を見て思う。

(…自分が信じたものを最後まで真っ直ぐに信じ抜く強さ…か…。
そこまで信じられる人がいるなんて…あの子達、ちょっと羨ましい…かな?)

心の中で呟くミナト。

「行きましょ、メグちゃん。
 あんまり覗いてちゃ悪いわ」

「あ…、そうですね」

ミナトはメグミを促し、その場を去っていった。
医務室には二人が去った後も5人の笑い声が途絶える事はなかった。



   続く…


 後書き


村:ども、村沖和夜です。
  RWK第11話『バトル・オブ・クルスク』(後編)をお送りしました!
  さて、今回の後書きのゲストは…

ユ:私だよ♪

村:ユ、ユリカさん!!
  (キョロキョロ)…よし、いない。

ユ:どうしたの?
  物凄く怪しい人に見えるよ?

村:いえ、前に口を滑らせて大変な事になりましたから(第9話後書き参照)

ユ:アハハ、そんな事もあったよね♪
  大丈夫、今回は私だけだから。

村:良かった…(感涙)
  まあ、前回の後書きでは色々ありました。
  (後書きの)ルリさんは殴り癖はあっても妄想は属性になかったんですが…
  一体どこで身に付けたのやら(他人事)

ユ:ん〜、カイト君と未来でどんな事してたんだろうね?

村:…”手錠”と”首輪”…でしょうか?

ユ:…どうだろね?(苦笑)
  でも、確かルリちゃんは未来では首輪を持ってたような…

村:持ってたんですか!?

ユ:うん、持ってたよ?
  どんな風に使ってたのかなあ?
  作者さん、その辺のお話をSS化しない?
  読者の皆さんも興味あると思うな(ワクワク)

村:…いや、しちゃマズイでしょ、色々と(汗)
  と、言うか私はそういう系統は書けないです。
  あの辺りが限界です。

ユ:…ふーん、部屋には銀色のシールが貼ってあるゲームがいっぱいあるのにね♪

村:…(絶句)
  銀色のシールのゲームしてても書けるわけじゃないと思いますが…(滝汗)

ユ:そういうものなのかな?
  まあいいや、無駄話はこれぐらいにしてそろそろ本編の解説しよう?

村:そうっすね。
  これ以上この話題を続けるのは私の精神衛生上良くなさそうです。

ユ:えーと、ようやくセフィランサスの花言葉を明らかにしたんだよね?

村:はい。
  ”純白の愛”です。
  見た瞬間、これしかねえー!! と思いましたよ。

ユ:…でも、別の本じゃ”清らかな愛”になってるよ?

村:知ってます。
  まあ、意味合いとしては同じだろうという事で”純白の愛”を採用しております。
  響きも字面もこっちの方がかっこいいじゃないですか。

ユ:そだね♪
  あ、それからヤマダさん、大活躍だね♪

村:ようやく見せ場をまわす事ができましたよ。
  懸念していた通り、『あ、ヤマダいたんだよね』的な使い方に終始してたので。

ユ:これからは出番増えるの?

村:増やしたいとは思ってますが。
  …影武者とか…

ユ:…影武者…?
  あ!(何かに閃く)

村:まあ、一つの使い方ではあると思うんですが。
  原作にいなかったジョーカーとしての活躍を期待してます。

ユ:カイト君もラピスちゃんもジョーカーだけどね。

村:それはそうですが(汗)

ユ:さて!
  時間もなくなってきたので次回予告!
  次回、RWK第12話! ホシノ・ルリサーガ三部作第2幕!!
     
     『あの『忘れえぬ日々』をもう一度』

   「このコは人間だ! ルリちゃんもラピスも機械なんかじゃない!」

  をお送りします!

村:ここまでお付き合い下さった皆様に感謝しつつ…

村・ユ:第12話でお会いしましょう!!















村:良かった…、今日は何事もなく終わった…(安堵)

ル:そんな訳ないじゃないですか(クスリ)

村:…え?
  (ドゴォォォォォンッ!!
  …何故…こうなるんだ…?(バタリ)

ル:”運命”ってヤツです♪
  さっさと私とカイトさんの甘くて熱い夜のお話を書きなさい♪
  ガシャリ、ジャラジャラ…(首輪と鎖、そして手錠を取り出す)
  これを使ってカイトさんを…ウフフ(///)


    後書きが続かない事を祈る…






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