機動戦艦ナデシコ
〜Return of the White Knight〜




第11話 バトル・オブ・クルスク(前編)




ナデシコ・ブリッジ



「地球連合ロシア…クルスク工業地帯…。
 アタシ達の生まれるずっと昔は軍需産業…
 とりわけ陸戦兵器の開発で盛り上がっていた土地よ」

例によって作戦内容を話すムネタケに、戦術スクリーンを操るカイト。

「このクルスクがトカゲによって占拠されたの…。
 そのうえ、やつ等ったらどの戦線でも確認されていない新兵器を投入してきたの」

「その新兵器の破壊が今度の任務という訳ですね、提督?」

「そうよ、艦長。
 司令部ではアレを"ナナフシ"と呼んでいるわ」

ムネタケがボードから目を上げ、クルーを見回す。
スクリーンには巨大な主砲を悠然と構えるナナフシの映像が映る。

「今まで、軍が3度攻撃を仕掛けているわ。
 …3度目は特殊部隊まで投入してね」

ムネタケの言葉にプロスが宇宙ソロバンを取り出し、損害を計算して唖然となる。

「…なんと不経済な…」

その数字を覗き見ていたミナトとゴートの顔にも驚きがみえる。

「そこでナデシコの登場よ!
 グラビティブラストを使えばあんなの、どうって事ないでしょ?」

「そうか!
 遠距離射撃ですね、提督!」

ジュンがムネタケの考えを見抜き、声を上げる。

「その通りよ」

「「「「「「「おお〜!」」」」」」」

珍しくまともなムネタケの立案に驚くクルー。

「…ちょっと、アンタ達!
 何よ、その"おお〜"ってのは!?」

ムネタケが顔を赤くして怒鳴る。

「…安全策、ね。
 ま、当然よね」

「経済的側面からも賛同しますよ」

エリナとプロスがムネタケの意見に賛成する。

「それにエステ部隊も危険に晒さずに済みますしね♪」

メグミも賛成のようであるが、それを見たミナトが一言。

「…回りくどいなぁ、メグちゃん♪
 それを言うならダイゴウジ君が、でしょ?」

「あ…(///)
 そ、そうですね…」

ミナトの突っ込みに頬を染めるメグミ。

「あら、言ってくれるわね〜♪」

ミナトがニヤリと笑う。

「…でも、何で軍は負けたんです?
 特殊部隊なんて精鋭まで投入したのに?」

ブリッジがムネタケの案に賛成を示し始めた時、カイトがたずねる。

「…対空砲火が思いの外、強力でね。
 それを打ち破れず、降下する前に輸送機ごとドカン!よ。
 でも、ナデシコのフィールドなら問題ないはずよ」

「"はず"では作戦を遂行できません。
 戦術戦闘補佐官はエステバリスによる先行偵察を要請します」

カイトの言葉に頷くユリカ。

「私もそう思います。
 提督、よろしいですね?」

ユリカがムネタケに確認する。

「…好きにしなさい」

吐き捨てるように呟くムネタケ。
自分の案に修正が加えられたのが気に入らないようだ。

「ありがとうございます。
 …偵察役、カイト君にお願いしていいかな?」

「了解しました」

「では、これよりナナフシ攻略作戦を開始します!」

ユリカの号令の下、クルーが散る。

「ルリちゃん、オペレート返すよ」

「ハイ」

偵察に出るカイトがルリにオペレートを引き継ぐ。

「ラピスもルリちゃんをしっかりサポートするんだぞ?」

「ウン」

カイトの言葉にコクリと頷くラピス。
二人の頭を優しく撫でてから、カイトはブリッジの出口へ向かう。

「「いってらっしゃい、カイト(さん)」」

「うん、行ってきます!」

カイトはルリとラピスの見送りに片手を上げて答えるとブリッジを出ていった。



作戦空域


(さて、これで第一段階終了。 後は…)

セフィランサスのコクピットでカイトはこの後の行動を考えていた。
これでナデシコがいきなりマイクロ=ブラックホール砲の
直撃を受ける可能性はなくなった。
セフィランサスを囮にして、ナナフシに撃たせる。
その後、当初の作戦通りにグラビティブラストの遠距離射撃でケリをつける。
これがカイトの思い描いた作戦だった。

「…ま、避けるのにジャンプを使うしかないけど…仕方ないよね。
 …エリナさんが妙な気起こさないといいけど…」

一人呟くカイト。
生体ボソンジャンプに異常なこだわりを見せるエリナ。
最近は大人しくしているようだが、
何時またアキトやユリカにちょっかいを掛けるか分からない。

(また、釘を刺しておいた方がいいかな…)

そこへナデシコから通信が入り、ルリがウインドウに現れる

『ナナフシ付近から敵機動兵器射出されました。
 カイトさんに気付いたみたいです』

「規模は?」

『約50機です。
 …あれ?』

「ルリちゃん、どうかした?」

『いつものバッタより遥かに速度が速いんです』

機動兵器で従来のバッタより速い…カイトの思い当たる事は一つしかなかった。

(…北極海のアレか…、何もこんな時に…)

カイトの表情が真剣なものへと変わる。

「…了解。
 ナデシコへ帰還します」

エネルギー圏外に出る事を想定し、
外部エンジンパーツを装備してきていたセフィランサス。
この状態で大出力レーザーを搭載した50機を相手にするのは難しい。
それにナデシコに外部エンジンパーツの予備はないので、捨てていく訳にもいかない。
カイトはセフィランサスを急転回させると一路ナデシコへの道を急ぎ始めた。
しかし、新型バッタ(以後イナゴと呼称:ユリカ命名)との距離はどんどん詰まってくる。

『カイト!
 イナゴに高エネルギー反応!』

ラピスが通信で叫ぶ。
同時にセフィランサスのセンサーもそれを捉らえる。

「…くっ…」

包囲機動を描いてセフィランサスの周囲に展開してきたイナゴのレーザーが襲い掛かる。
カイトは第1射を避けるが、すぐに第2射がやってくる。

(…欠点を数で補ったか…!?)

レーザー連射できないという欠点を持っていたイナゴ。
そこを数に頼る事で弱点を隠していた。
カイトはセフィランサスをセンチ単位の見切りで操り、レーザーを避けていく。
だが、機動性も火力も相手が有利に立っている状態では
さすがのカイトも徐々に被弾し始める。

「くっ…、全部は避けきれないか…」

そしてカイトの耳に飛び込んできたユリカの声。

『ミナトさん、全速前進!
 イナゴとカイト君の間にナデシコを入れて盾になります!』

『了解!』

そのやり取りを聞いたカイトの顔が青ざめる。

(まずい!
今ナデシコが出てきたら恰好の的になる!)

「ユリカさん!
 来ないで!
 ナデシコを戻して!」

カイトが叫ぶ。

『大丈夫!
 そのレーザーくらい、ナデシコのフィールドで弾けるよ!』

一瞬、セフィランサスの動きが鈍る。
その瞬間をイナゴが見逃すはずもなかった。

「違う!
 イナゴじゃなくて、ナナフシの…ウワァァァァァッ!

カイトの叫び声が通信を介してに響く。
レーザーがセフィランサスに突き刺さる。

『カイトさん!』

ルリが悲痛な叫び声を上げる。
そしてスクリーンには右腕をもぎ取られたセフィランサスが映し出される。
バランスを崩したセフィランサスに次々にイナゴのレーザーが襲い掛かる。
フラフラとした機動でレーザーを避けるセフィランサス。
だが、再びレーザーがセフィランサスに突き刺さる。

「グッ…。
 セフィランサス、不時着します…」

カイトの呻くような呟きと共に眼下の森へと高度を下げていくセフィランサス。
右腕に加え、左脚が無くなっている。
その他にも損傷があるらしく、機体から黒い煙が上がっている。

「作戦中止!
 ナデシコをカイト君の上に!
 エステバリス部隊はカイト君の回収準備急いで!」

「「「「「「「了解!」」」」」」」

ナデシコがカイト救助の為に動き出す。
その時、ノイズ混じりの通信が入る。

「こちらカイト…。
 ナデシコ応答して下さい…」

「カイトさん!
 大丈夫ですか!?
 すぐに救助します!」

ルリがカイトの通信に飛びつく。

「駄目だ…。
 きちゃ駄目だ。
 ナデシコ、すぐにこの空域から退避して下さい…」

「カイト君、何言ってるの!?」

ユリカがカイトの言葉に驚く。

「…ナナ…シ…が…砲…発射…」

カイトの通信のノイズが強くなる。

「え?
 カイト君!?
 どうしたの?
 聞こえないよ!?」

「…」

「駄目です。
 ジャミングが掛けられてます」

メグミの報告。

「ルリちゃん、カイト君のビーコンの位置は記録してるよね?」

「ハイ」

ユリカの意図を察したルリがマップをミナトの前に表示する。

「サンキュ、ルリルリ♪
 さって、飛ばすわよ〜♪」

ポキポキと指を鳴らすミナト。

「では、カイト君救助にナデシコ、全速ぜんし〜…」

「…ナナフシの周囲で重力場、増大…」

ユリカの号令を遮ったラピスの静かな報告。

「「「「「「「「…え?」」」」」」」」

ルリを含めたブリッジクルーの動きが止まる。
その時、ナナフシから黒く細い火線がナデシコへ向けて放たれる。

「…敵弾発射…」

黒い火線が山肌を削り取り、ナデシコを直撃する。

「…何か当たった…の?」

ユリカが呆然と呟く。
次の瞬間、轟音と共に左舷ディストーション・ブレードから爆発が上がる。
これまでに経験した事のない衝撃に襲われるナデシコ。

「…どうやら、ナナフシの主砲は重力場レールガンのようね…。
 これはマイクロ=ブラック…」

イネスのウインドウが開き、説明を始める。

…そんなの聞いてる場合じゃありませ〜んっ!!

ナデシコが墜落しかかっている状況にも動じず、説明を行うイネスにユリカが叫ぶ。

「…ディ、ディストーション・フィールド、消失!」

「被害は18ブロックに及んでいます」

「…!
 相転移エンジン停止!
 操舵不能!
 ルリルリ、補助エンジン起動して!!」

「了解。
 核パルスエンジン起動します」

ルリの言葉と共にナデシコの噴射口から青い炎が噴き上がる。
しかし、それも落下の速度を多少緩める程度に過ぎなかった。

「ミナトさん!
 ナナフシの射程外、それからカイト君のいる所を避けて不時着させて下さい!」

「…んな無茶な…」

そう言いつつもミナトは落下するナデシコを必死に操艦する。

「全員対ショック準備!
 行くわよ!!」

ミナトの言葉と共にナデシコが湖畔の森へと不時着する。
凄まじい衝撃がナデシコを襲う。
ブリッジに立っている者は一人としていない。

「…威力は凄いけど、マイクロ=ブラックホールの精製に
 時間がかかるだろうから暫くは安全だわ」

イネスが説明を締め括る。

「…キチョーなご意見、どーも…」

指揮卓に何とか這い上がったユリカが呟く。



ナデシコ・格納庫


「よ〜し、ハッチ開けろぉ!」

収容されたセフィランサスのコクピットに
よじ登った整備班員に向かってウリバタケが叫ぶ。

「ウリバタケさん、カイト君は!?」

セフィランサス回収の報告を受け、格納庫に駆け付けてきたブリッジクルー。
先頭を走ってきたユリカがウリバタケに勢い込んでたずねる。

「おお、艦長か。
 カイトなら無事だぜ。
 …最もヤツは中で気絶してるみたいがな。
 フレームが歪んじまってるからこじ開ける所だ」

ウリバタケがセフィランサスから目線を外さずに答える。

「班長!
 爆発ボルト、準備出来ました!」

「よし!
 カウント3でいくぞ!
 …3…2…1…やれ!」

ガコン、と爆発音を格納庫に響かせ、コクピットのハッチが開く。
そして整備班員がコクピットに潜り込む。

「「カイト(さん)…」

それを心配げな表情で見守るルリとラピス。

「…大丈夫よ」

二人の肩に手を置き、優しく微笑みかけるミナト。

「班長!
 カイトのヤローは無事です!
 怪我してるんで、担架用意して下さい!」

コクピットに入った班員が叫ぶ。
班員に抱えられ、カイトが姿を見せる。
ウリバタケの言う通り、気絶しているカイト。
顔面が血で赤く染まっている。
整備班員の手でそのまま用意された担架に乗せられる。

「カイトさん!」

思わずルリが担架に駆け寄る。

「心配ないわ、ホシノ・ルリ。
 出血は派手だけど、致命的な外傷は見られない。
 不時着のショックで脳震盪を起こしたみたいね」

カイトの様子を改めていたイネスがルリを安心させるように言う。
その言葉にいつの間にか担架の周りに
集まって来ていたクルーの顔にも安堵の表情を浮かべる。

『…ちょっと、アンタ達!』

突然格納庫に額に青筋を立てたムネタケの顔が大画面で現れる。

「あ、提督」

『艦長!どういう事なの!
 アタシが目を覚ましたらブリッジに誰もいないじゃないの!?』

「「「「「「「…」」」」」」」

目を覚ましたら煩いからこのまま放っておこう、
という事で意見が一致したとは言えず黙り込むクルー一同。

「アハハ…、カイト君が回収されたと聞いたんで…」

ユリカが額に汗を張り付けて言い訳を試みる。

『提督とパイロットのどっちが大事だと思ってんのよ!?
 ナデシコで一番偉いのは…』

ブチッ、という音と共にムネタケのウインドウが消える。

「「「「「「あれ?」」」」」」

突然消えたウインドウに首を傾げるクルー。

「…キノコよりカイトが大事…」

「ラ、ラピラピ…」

頬を膨らませ、不機嫌な表情でムネタケのウインドウがあった空間を
睨みつけるラピスにミナトが苦笑いする。

(…このコもやる事がルリルリに似てきたわね…。
これからカイト君も大変ね…)

そしてムネタケの登場にナデシコの状態を思い出したユリカ。

「…とりあえず、カイト君も無事だったんでお仕事に戻りましょう!」

ユリカの言葉にそれぞれの持ち場へと向かうクルー一同。
それを見送ったウリバタケがセフィランサスを見上げて呟く。

「…しかし、カイトのヤロー、よくこんな状態で不時着しやがったな…」

傷だらけ、大小併せて30を越える故障を抱えていたセフィランサス。
目立つのは失われた右腕と左脚だが、
外部エンジンとジェネレーターを繋ぐバイパスも破損して、
そこからエネルギーが漏れだしていた。

「…体勢次第じゃ爆発するってのに何て度胸とテクニックだよ…」

ウリバタケの顔は僅かに青ざめている。

「班長!
 ちょっと来て下さい!」

「…おう、今行く!
 …今はナデシコとセフィランサスの修理が先か…」

ウリバタケは持っていた端末を閉じると、自分を呼ぶ班員の元へ歩いていった。



ナデシコ・作戦室


今後の策を検討する為、作戦室に主要クルーが集まる。
だが、作戦図を前に重苦しい雰囲気に包まれている。

「対空防御は完璧…、空からの攻撃は難しいか…」

ジュンが作戦図を前に呟く。

「…それに"アレ"は俺達じゃどうしようもねえぞ」

ポツリと呟くリョーコ。彼女のいう"アレ"とは
カイトを落としたイナゴの群れの事である。

「空は無理…となりますと後は地上ですか」

「だがミスター、地上にも何かあると見た方がいい」

プロスの言葉にゴートが答える。

「…そうですな。
 …艦長はいかがお考えですかな?」

黙って作戦図を見つめていたユリカに話を振る。

「…」

だが、ユリカは返事を返す事なく
被害報告が表示されているウインドウを見つめている。
ナナフシの直撃弾はクルーのいない部分を貫いた為、死傷者はなし。
不時着時の衝撃で数名が軽傷を負っただけである。
対空防御のイナゴの群れに落とされたカイトも
レーザーの集中砲火を浴びたにも関わらず、
最大の重傷は頭部を数針縫った裂傷という状態だった。
格納庫から担架で運び出された後は、医務室でルリが付き添い休んでいる。
人的被害は攻撃の威力を考えれば幸運ではあったが、ナデシコはそうもいかなかった。
直撃弾の被害は左舷ディストーション・ブレードの18ブロックだが、
不時着時に艦底部のほとんどのブロックを損傷、
相転移エンジンもストップしてしまい、飛び立つ事すらできない。
ナデシコはまさに大破と呼ぶべき状況であった。

「…艦長?」

「…はぇ?」

プロスの2度目の問い掛けに我に返り、キョトンとした表情をするユリカ。

「はぇ、じゃないわよ!
 アンタ、この大事な時に何ボケッとしてんのよ!
 何か作戦はないの!?」

ムネタケが青筋たてて怒鳴る。
ユリカが表情を引き締め、艦長の顔になる。

「…エステバリスによる地上進攻作戦、それしか方法はありません」

そう言い切るユリカだが、その表情は冴えない。
エステバリスによる地上進攻作戦。
ユリカもナナフシに対する地上進攻作戦を想定していなかった訳ではなかった。
だが、その作戦にセフィランサスとカイトは欠かせなかった。
エステバリス搭載兵装の中で最も強力な物は
セフィランサスの固定兵装であるレールキャノン。
目標が重力波ビームの供給圏外という事もあり、
単独行動が出来るセフィランサスが鍵になる。
そして、セフィランサスを満足に操る事が出来るのはカイトのみ。
そのセフィランサスは大破している。
試作のワンオフ物の機体の為、ナデシコには予備パーツもほとんどない。
あるパーツもカイトやウリバタケ、それにイネスが仕事の合間に作っていた物だった。
それも消耗の激しいパーツの補充のレベル、
つまり腕や脚を丸ごとといった交換はできないのだ。
イネスの計算によれば、ナナフシの次の攻撃は遅くとも明朝5時。
その時はマイクロ=ブラックホール弾が地表で炸裂し、
クルスク一帯がナデシコごと蒸発する事になる。
爆心地から放出されるガンマ線により辺りを死の大地と化して…。
ウリバタケが指揮を取るナデシコの修理はそれまでに終わりそうにない。
逃げ出す事もできず、まさにナデシコは満身創痍で背水の陣をとらざるを得なかった。

「…パイロットは会議室に集合。
 ブリーフィングを行います。
 他の皆さんは作戦開始まで持ち場で待機して下さい」

「「「「「「「了解」」」」」」」



ナデシコ・医務室


医務室ではルリとカイトがブリッジのやり取りをウインドウで見ていた。
カイトは上半身をベッドに起こし、
ルリはベッドサイドのスツール椅子からウインドウを覗き込む。

『…エステバリスによる地上進攻作戦、それしか方法はありません』

ユリカの決定を聞くとカイトはウインドウを閉じ、ベットに寝転がる。

「…ま、それしかないか…」

天井を見上げ、呟く。

「さすがにあの対空防御じゃ空から攻撃するのは無理でしょうし。
 …それにカイトさんが突破できなかったんですから…」

ルリが何気に他のパイロットを酷評したような気がするが、
カイトは特に気にした様子もない。
カイトは今回の作戦メンバーからは外れ、ナデシコに残る事が決まっている。
セフィランサスの不時着で負傷したせいである。
怪我自体は大した事はなかったが
セフィランサスが大破してしまっているので取られた措置であった。
ルリはセフィランサスの回収後、
医務室に担ぎ込まれたカイトに付き添ってやってきていた。
カイトの容態を確認すればブリッジに戻ろうとルリは思っていた。
しかし、ナナフシの第2波の算定作業を始めたイネスによって
カイトの看護を命じられたのだ。
普段なら断っただろうが、相手が他ならぬカイトである。
ルリが断れるはずもなかった。

「…でも、大丈夫でしょうか?」

「…?
 何が?」

唐突に発せられたルリの疑問。
その意図を掴めずカイトがたずねる。

「ナナフシをエステバリスで破壊できるんでしょうか?」

カイトはルリの言葉の語尾が僅かに震えている事に気付く。
表情にこそ現さないが不安を感じているのだろう。

「出来るさ」

ルリを安心させるかのようにいつもと変わらぬ微笑みを浮かべてカイトは答える。

「…え?」

カイトの確信に満ちた言葉に面食らうルリ。

「…ナデシコの皆なら出来る。
 僕達もサポートするんだからきっと出来るよ」

そう言って笑うカイト。

(…不思議ですね…、カイトさんがそういうとホントにそうなる気がします…)

胸の中にあった漠然とした不安がスッと消えていくのをルリは感じる。

「ハイ…」

カイトの笑顔を直視できず、俯くルリ。
その頬は赤く染まっている。

「ところでルリちゃん?」

「何ですか?」

「そろそろコレ、外してくれない?」

そう言ってカイトが両手を持ち上げる。
その手首には鈍い光を放つ銀の輪が嵌められている。
そしてその輪は短い鎖で繋がっている。

「却下です」

「…どーして僕が"手錠"嵌められてるのさ…?」

お願いをあっさり拒絶されたカイトがボソリと呟く。
しかし、ルリの冷たい言葉が追い撃ちをかける。

「…首輪に鎖の方が良かったですか?」

「…」

カイトは絶句する。
ユリカの元飼い犬の名を受け継いでいるカイト。
そんな事をされれば名実ともにお犬様の仲間入りを果たしてしまう。

『カイト君の飼い主さんはルリちゃんだよね♪』

ふと脳天気な義姉の言葉を思い出す。
ある日、ちょっとした事でルリの機嫌を損ねたカイト。
仁王立ちして説教するルリの前で正座して平謝りするカイト。
それを面白そうに見ていたユリカの一言だった。
そして思わず首輪をつけた自分とその鎖を持つルリの姿を想像してしまう。

(…しっくりしすぎてて怖い…)

もしかしたらこの名を与えられたのは運命だったのだろうか、
と柄にもない事を考えるカイト。

「…そうでもしないとカイトさん、すぐに無茶をしますから…」

ほうけるカイトを見つめ、ルリが呟き俯く。

「…ルリちゃん…」

(私…弱くなっちゃいました…。
カイトさんがいなくなるなんて考えたくないです…)

俯き肩を震わせるルリを見て、カイトはフッと表情を緩める。
カイトは俯くルリの肩にそっと手を置く。

「…大丈夫。
 ルリちゃんが待っていてくれる限り…、何があっても僕はここへ…、
 ナデシコへ戻ってくる」

静かな言葉だが、強い意志を秘めたカイトの言葉。

「忘れないで。
 僕は"妖精の白騎士"…、"電子の妖精"たる君を護る騎士…」

目を閉じたカイトが謡うように呟き、自分の額をルリの額にコツンと合わせる。

「…カイトさん…」

俯いたルリの頬が真っ赤に染まる。

(カイトさんが…私の…騎士…?
…これって…、プロポーズみたい…ですね…)

カイトが額を離し、微笑む。
ルリはカイトの微笑みを直視できず、また俯いてしまう。

「…ありがとうございます…(///)」

ルリはそう声を搾り出すのが精一杯だった。
カイトはそんなルリを見てニッコリと笑う。

『カイトく〜ん、ルリちゃ〜ん』

突然ウインドウが開き、ユリカが現れる。

「「!!」」

『ほぇ?
 二人とも顔赤いよ…?
 大丈夫?』

「か、艦長…。
 いきなり出てこないで下さい…」

ルリはさらに真っ赤になって俯く。

『…?』

ウインドウの中で首を傾げるユリカ。

「はは…、それよりユリカさん、何か御用ですか?」

苦笑いしながらカイトがユリカにたずねる。

「あ、うん。
 作戦のブリーフィングを始めるから二人ともブリッジに来てくれるかな?」

「「ハイ」」

それだけを伝えるとユリカのウインドウが消える。

「と、とりあえずブリッジに行きましょう」

頬を染めたまま、ルリがカイトを促し、手錠を外す。

「そうだね」

カイトはようやく解放された手首を摩りながらベッドから降り立つ。

…ッ!

その瞬間、足首に激痛が走る。

「カイトさん!」

ルリが駆け寄り、よろけたカイトを支える。

「あたた…、足首捻挫してるの忘れてた…」

またもや苦笑いのカイト。

「…普通忘れますか、そんなの?
 とにかく、松葉杖です」

ルリが呆れたというように呟き、ベッドサイドに置かれていた松葉杖を差し出す。

「ありがと、ルリちゃん。
 さ、行こうか」

ヒョコヒョコと歩き出すカイト。
だが、足元がまだおぼつかない。
ルリはそんなカイトを支えながら歩調を併せてついて行く。
ブリッジまでの間、すれ違うクルーのからかいに顔を真っ赤にする二人であった。

「でも、ルリちゃん、手錠なんてどこから持ってきたの?」

「医務室の備品です。
 イネスさんがかしてくれました」

「医務室の備品…?
 なんで、そんな物が?」

「私も知りません。
 イネスさんが言うには、
 『医務室に手錠が必要なのは、研究…いえ、治療の最中に暴れだす実験体…
  じゃなくて、患者を拘束するためよ』
 だそうです。
 それから、カイトさんを見て目を輝かせてたんですが…どうしてでしょう?」

「…さあ…ね」

この時、カイトは二度と怪我をしないようにしようと心に誓うのであった。



ナデシコ・ブリッジ


カイトとルリがブリッジに入ると二人を確認したジュンが立ち上がる。

「これでブリッジクルーは揃ったね。
 早速作戦の説明を始めるけど、いいかな?」

ジュンがクルーを見回す。
無言を肯定と受け取り、ジュンが戦略スクリーンの上に立つ。

「まず、作戦開始は1900時。
 ナナフシ攻略に出撃するパイロットは
 アカツキ、スバル、アマノ、マキ、テンカワの5名。
 作戦指揮はアカツキ。
 装備はアカツキ、テンカワは砲戦フレームに換装、他は陸戦フレームを使用…」

ジュンが作戦をスラスラと述べていく。
その姿は連合大学次席卒業の名に相応しい見事なものであった。
いつもはおちゃらけているクルーだが、
さすがに今回は全員が真剣な面持ちでジュンの説明に聞き入っている。

「…以上、何か質問はあるかい?」

「しつも〜ん」

ミナトが右手を上げる。

「ミナトさん」

「砲戦フレーム2つで大丈夫なの?
 アレって結構硬そうだけど」

「イネスさんの見解によるとマイクロ=ブラックホールを生成する加速器に
 集中して砲撃を加えれば十分に破壊できると」

「…そっか」

ミナトは納得したのかどうか判別できない表情を浮かべる。

「ガイさんは?」

今度はメグミが手を上げる。

「ヤマ…、ダイゴウジ君はナデシコ防衛の為に待機して貰う事になってるよ」

ヤマダ、と言いかけたジュン。
メグミにもの凄い形相で睨まれ、慌てて言い直す。
カイトはそんなやり取りを聞き流しつつ、
前時間軸で見たナナフシ攻略作戦を思い出していた。

(…確かに砲戦フレーム2機で何とかなったけど…。
今回もそうなるとは限らないし…保険はかけておくべきかな…)

カイトがそんな事を考えていた時、その隣でルリは溜め息をついていた。

(カイトさん、また何か無茶な事をしようとしてますね…)

作戦前にカイトが静かな時は何かしら無茶を企んでいる時である。
医務室では無茶をするなとは言ったが、結局ルリにカイトを止める事は出来ない。
カイトが無茶をするのは全てナデシコや
クルーを守る為という事がわかっているからである。

(…ハァ…カイトさんの無茶を止める方法はないんでしょうか…)

己の思考に没頭するカイトとルリ。
その間にもブリッジでは作戦の打ち合わせが続いているが
二人の耳には何も聞こえてはいない。

「じゃ、作戦開始まで各員持ち場で待機!」

二人を思考の海から掬い上げたのは凛としたジュンの声だった。

「「「「「「「了解!」」」」」」

クルーの返事が綺麗に重なる。

「さてと…」

カイトが立ち上がる。

「カイト、何処いくの?」

ミーティングの間は退屈そうにコンソールに向かい、
IFSを輝かせていたラピスがカイトの行動にいち早く気付く。

「格納庫にね、セフィランサスの修理を手伝ってくる。
 ラピス、ルリちゃんのサポート頼んだぞ?」

ラピスの頭を撫でながらカイトが微笑む。

「ウン、任せてカイト」

グッと両手を握り締めるラピス。
小さなガッツポーズを作って見せる。

「カイトさん」

気合いを入れたラピスを見て微笑むカイトにルリが声を掛ける。
いつもより冷ややかな声、といってもカイト以外はその聞き分けは出来ないが。

「…何かな、ルリちゃん?」

内心の動揺を包み隠し、ルリに笑顔を向けるカイト。

「…何か企むなら、お手伝いしますよ?」

そう言ってルリは悪戯っぽく微笑む。

「あちゃ…ばれてたか」

すっかり見透かされていた事に苦笑いするカイト。

「バレバレです」

それがルリの出した答えであった。
カイトの無茶は止められない。
ならば、カイトの無茶が少しでも無茶にならないように手伝おう。
そう決めたルリだった。

「それで、今度は何をするつもりですか?」

「砲戦フレームでナナフシを破壊できなかった時の保険」

ルリの頑固さをよく知るカイトはあっさりと引き下がり、手の内を明かす。

「具体的には?」

「…それをこれからウリバタケさんと打ち合わせに行くんだ。
 セフィランサスの事も気になるし」

「分かりました。
 …何をするかは後でちゃんと教えて下さいね」

ルリは最後に釘を差すと自らのシートに向かう。
カイトはそんなルリを見て、苦笑いしながらブリッジを後にする。

(…ああなったらルリちゃんは頑固だからなあ…。
ま、今回は手伝って貰った方がいいだろうしね…)



ナデシコ・格納庫


カイトが格納庫に入るとアキトのエステバリスに整備班員が
よってたかって補給物資を載せている真っ最中だった。

「補給物資担当はアキトだぁ〜っ!
 じゃんじゃん積み込め〜っ!」

拡声器を使ったウリバタケの怒号が格納庫に響き渡る。

「「「「「うぃっ〜す!」」」」」

アキト機に張り付いた整備班員も負けずに声を響かせる。

(…ん?)

アキト機に張り付いている整備班員に混じり、
ホウメイがしきりにコクピットを叩いている。
中のアキトを呼ぼうとしているようだがアキトは気付いていないようである。

「ホウメイさん、どうしたんです?」

「ん?
 ああ、カイトかい。
 ちょいとテンカワにね…。
 そうだ、アンタ特別通信テンカワに送れるかい?」

「ええ」

「なら呼んでおくれよ。
 アイツ、中でボーッとしてんのか、全然反応しないんだよ」

カイトは早速コミュニケを操作し、アキトに通信を繋ぐ。

「アキトさん?」

『…うわっ!?
 お、俺が悪かった!
 人として間違ってた!
 ゆ、許して下さい!』

「…は?」

ウインドウが開いた途端に手を合わせて謝るアキト。
それを見て固まるカイト。

「…あの…アキトさん…?」

カイトが恐る恐るアキトに呼び掛ける。

『な、なんだ…カイトか。
 脅かすなよ…それで、どうしたんだ?
 何かあったのか?』

「…さっきからホウメイさんが呼んでるんですけど、気付いてなかったですか?」

『…え?』

コクピットの前で手を振るホウメイにようやく気付いたアキト。

(…何をやってんだか…ハァ…)

手元に小さく表示したウインドウを見て溜め息をつくカイト。
そこにはアキトの通信状況が表示されていた。

《スバル・リョーコ:秘匿通信》
《ミスマル・ユリカ:秘匿通信》

秘匿通信、と大層な名前がついているが何の事はない。
軍であればオープン回線では流せない重要な話をする為の回線だが、
ナデシコでは完全にクルーのプライベート用の回線として使用されていた。
話の内容が推測できるだけに頭が痛くなるカイトだった。

(ユリカさんとリョーコさんがアキトさんに迫ったんだろうな…。
どうもこの時間軸じゃリョーコさんが前のメグミさんの立場にいるみたいだな…)

前時間軸ではユリカとアキトを争ったメグミ。
この時間軸ではなぜかガイと仲良くなっている。
アキトとユリカの仲を阻むものはないと思っていたが、そうもいかないようである。

(ま、いっか。
多分何とかなるだろ)

とりあえずそう納得する事にして、
カイトがボーッとしている間にアキトのエステに風呂敷包みが装備される。

「…?
 何です、アレ?」

カイトが隣にやって来ていたウリバタケにたずねる。

「…道中の食事、だそうだ…」

「…携帯食じゃ駄目なんですかね?」

カイトの呟きが聞こえたのか、ホウメイが答える。

「携帯食は味気ないからね!
 それにお客のオーダーに応えるのが一流のコックってもんだろう!?」

ホウメイの言葉を受けて辺りを見回すとヒカルとイズミがアキト機に手を振っている。

「アキトさん、頑張ってくださいね…。
 女性陣の期待も背負ってる事ですし…」

『…ハァ…』

カイトのやや投げやりな励ましに溜め息をつくアキト。

「くぅぅ〜っ、にくいぜ、この〜!
 羨ましいぞ、テンカワ・アキト〜!」

「「「「「「にくいぜ、この〜!羨ましいぞ、テンカワ・アキト〜!」」」」」」

ウリバタケと整備班員が女性陣の期待?を一身に背負ったアキトに羨望の声を上げる。

『よし、物資も積み終えたし、そろそろ行きますか!色男君?』

アカツキもアキトをからかうように出撃を促す。
その言葉を受け、ナデシコから5機のエステバリスが出撃していく。

「…バカばっか…だね」

その様子に思わずルリの口癖を借りて呟くカイトであった。

「…で、カイト。
 何か用があったんじゃねえのか?」

エステバリスを送り出した後、真顔に戻ったウリバタケがカイトに声をかける。

「ええ、実は…」

カイトがウリバタケに「保険」の内容を説明する。

「…なるほどな。
 セフィランサスのレールキャノンの出力の遊びはそういう訳か」

「はい。
 相転移エンジンの小型化が間に合わなかったんで完成は出来なかったんですが、
 ナデシコのエネルギーを利用すれば可能かと。
 …やって貰えますか?」

「…」

ウリバタケはその「保険」に内在する危険を即座に見て取り、考え込む。

「…カイト、分かってんだろうな?
 コイツは危険きわまりねえぞ。
 作戦でもなんでもねえ、単なる博打だ。
 ナデシコがこんな状況でなけりゃ、間違いなく俺は乗らねえ」

「僕もです。
 でも…、ナデシコが蒸発するよりマシです。
 それにアキトさん達が破壊してくれたら使う必要もありません」

ウリバタケの問いに真剣な目で答えるカイト。

「…違いねえ。
 …よし、燃えるメカニック魂見せてやるぜ!」

そしてカイトとウリバタケはセフィランサスへと向かっていった。



   後編へ続く…



  後書き

村:ども、村沖和夜です。
  RWK第11話『バトル・オブ・クルスク』前編をお送りしました!

ル:どうも、ホシノ・ルリです。
  では早速…

村:(ドゴォォォォォンッ!!
  グハッ!! …何故に…?

ル:前回(第10話後書き)、貴方がブッ飛ばされてなかったからですが何か?

村:…そんな理由で…(涙)

ル:貴方をブッ飛ばすのに理由なんていりません。
  貴方が貴方だから、です(クスリ)

村:…(絶句)

ル:これは運命だと思って諦めてください。
  貴方も”針”クンにそう言ってたじゃないですか。

村:…ぅぅ…
  ブッ飛ばされたくて対談形式の後書きを始めた訳じゃないのに…(泣)

ル:泣いてないでさっさと本編の解説を始めなさい。

村:…了解です。
  今回のお話のメインは何と言ってもコレです。
  『カイト撃墜される
  今まで半ば無敵と化してたカイト君でしたが今回ついに墜ちました。

ル:その前から私に落ちてますけどね(///)

村:意味が違います! 字も違います!!

ル:…分かってますよ、そんな事。
  まったく、この程度のユーモアも理解できないなんて器の小さな人ですね(嘲笑)

村:…どないせーちゅうねん…

ル:でもカイトさんはエースじゃなかったんですか?
  多勢に無勢という事を差し引いても雑魚に落とされるなんて。

村:ベテランが次々と墜ちる戦場でルーキーが生き残る事もある…
  それが空戦だと思ってますから。
  そして機体が墜ちても生きて戻ってくる、それが真のエースだと思います。

ル:貴方のエース論はどうでもいいんですがとりあえず納得しました。

村:後、その後の医務室での会話!
  これがやりたかったんですよ♪

ル:…手錠と首輪?

村:いや、確かにそれもそうなんですが(焦)
  …ルリさん?
  どうしたんですか、急に顔を赤らめたりして?

ル:…懐かしいですね、このプレイ…(///)

村:…は?

ル:…ああ、カイトさん…、その首輪、よく似合ってますよ…(うっとり)

村:…もしも〜し?

ル:ウフフ、我慢できないんですか?
  イケナイ子にはお仕置きしちゃいますよ?(さらにうっとり)

村:…(呆然)
  え〜、後書きの途中ですがルリさんが大変危険な状態に陥ってしまいました。
  妄想が爆裂、あるいは過去の記憶がフラッシュバックしているようです。
  これ以上続けると色々と問題がありそうなので今回はこの辺で。
  第11話後編でお会いしましょう!!


   後書きも続く…かもしれない…












[戻る][SS小ネタBBS]

※村沖 和夜さんに感想を書こう!
メールはこちら[kazuya-muraoki.0106@hotmail.co.jp]! SS小ネタ掲示板はこちら


<感想アンケートにご協力をお願いします>  [今までの結果]

■読後の印象は?(必須)
気に入った! まぁまぁ面白い ふつう いまいち もっと精進してください

■ご意見・ご感想を一言お願いします(任意:無記入でも送信できます)
ハンドル ひとこと