機動戦艦ナデシコ
 〜オリジナルストーリー〜
第八話「女らしくが『危険警報』」

 


 

 

 

よし、今日の仕事は終わりっと。

「と、いう訳でテニシアン島に落下した新型と思われるチューリップの調査回収を、あたし、と、あたしのナデシコに」

ブリッジには僕と眠そうなミナトさんと異様に張り切っているムネタケ提督がいます。なんでも新しい任務らしいけど・・・・。取り敢えず足も治ったから大丈夫だけど・・・・あ、でも機体がないや・・・・。

「そう、この優秀なるアタシ達だからこそ、与えられた任務なの!・・・・なのにどーいうこと!?誰もあたしの命令を聞こうとブリッジにやってこないのはどーいうことなの!!」

どうと言われても・・・・・。それにしてもこの間の親善大使の任務と違って戦闘は避けられそうにない任務だよな・・・・・。

すると、メインスクリーンに熊のぬいぐるみを抱いたイネスさんが出てきた。

「因みに現在、作戦現地時間で午前二時。日本でいう丑三つ時。こんな時間は部屋で寝るのが当然・・・」

と、喋るだけ喋って消えてしまった。寝るのが当然ならなんで起きて説明してるんですか・・・・それにそのパジャマは・・・・。

「キィ〜〜〜〜ッ!!!」

・・・・・・また、あの時みたいに殴り倒してやろうか・・・・・。

「ふわ〜!!寝よ・・・」「何言ってんの!ナデシコは軍艦よ!こんな事でいいの!?」

「ちょっとあんた、ソーダ手でしょ、ちゃんと持ち場にいなきゃダメじゃない!」

「だって交代だもん・・・」

そういうと枕を持って出口へと向かっていった。そこにタイミングよくエリナさんが現れる。

「タッチ!」

「ご苦労様」

結構、息が合ってる二人。

「ミナトさん、おやすみなさい」

「うん、カイトくんも早くね。じゃあ、おやすみ〜」

また、欠伸をしてブリッジを出て行った。

さて、僕も寝ようかな。

「そ〜いや大体艦長はどーしたのよ!!」

・・・・・やっぱしやっとくか?

おまけだけど、エリナさんと挨拶した後ブツブツと何か言っていたことは伏せておく事にします。

 

 

 

ちょっと小腹がすいたから寝る前に軽く何か食べようと思って食堂に向かうとホウメイさんが立っていた。

「やあ、カイト。どうしたんだ、こんな時間に?」

「こんばんは。ちょっと、小腹がすいたんで何か食べておこうかな、と」

あれ?でも、ホウメイさんがテーブルに座ってるのに何で厨房で調理の音が聞えるんだろう?

「そうなのよ、待ってるだけじゃダメなんだわ。メグミさんを見習わないと・・・」

大きい声だな・・・・艦長の声みたいだ。何か作ってるんだな。

「こんな風に彼のためにお夜食とか作ってあげて・・・」

鼻歌を歌いながら、調理を進めていく艦長。手に持っている調味料を見ると・・・・・・・・・・・・

エタノール・・・・・・。

エタノールってあのエタノール?・・・・・食べても大丈夫なんだろうか・・・・・。

「急にさ」

「はい?」

見てはいけない物を見ていた僕にホウメイさんが声をかけてきた。

「急に厨房を貸してくれって言うから何かと思えば・・・テンカワも大変だね」

「ははは・・・大変のレベルで済んだら良いんですけど・・・・」

「?」

妄想モードに突入してる艦長と、僕の言葉がいまいち理解できてないホウメイさん。そして食べた時の想像をしている僕が夜、この厨房にいた。

 

 

 

その後、怒鳴り声と悲鳴の声が聞えた。ホウメイさん曰く「恋の劇薬」。ルリちゃん曰く「バカばっか」だそうで・・・・。

 

 

 

 

「リーフ手前で着水!各人上陸用意させて!」

「「は〜〜い!」」

気合の入っている提督とルリちゃんと僕の周りを囲んで賑やかに会話するブリッジの女性クルー達。

「ルリルリ、あんた肌白いんだから日焼け止めはこれを使いなさい」

ルリちゃん以外はみんな遊びようの服。勿論僕も制服。

「すみません・・・・うみ・・・・初めてなんです・・・・・なんだか・・・うれしい・・・」

ルリちゃんも楽しそうだ。僕は・・・・・嫌な思い出が・・・・・。

 

 

 

「きゃっほーー!!」

ゴムボートが浜辺まで着くと、待ってましたと言わんばかりに一斉にみんなが飛び出して行く。

「僕らも行こうか」

「はい」

僕はルリちゃんと並んでみんなの方へ足を進める。

「みんな子供ですね。ホントばか」

「みんな疲れてるから、こんなときぐらい遊んでもいいんじゃないかな。戦艦の中にずっといたら気が滅入っちゃうよ」

「・・・・そうですね」

軽く笑いながら答えた。

ルリちゃんも最近よく笑うようになってきた。最初の頃と比べると格段に。

前を見るとエリナさんがみんなに紙を渡そうとしているけど、読んでいるうちに全員

が忍び足で逃げていく。

「・・・・バカ・・・」

 

 

 

自称浜茶屋師ウリバタケさんの開く海の家。そのラーメン食べて不味そうな顔をしてるじゅんさん。

縁台将棋してるゴートさんとプロスさん。日光浴してるミナトさん、イネスさん、ホウメイさん。

ビーチバレーをしてるアキトさん以外のパイロット。

浜辺に生えてるキノコ。誰だか言わなくてもわかるだろうからいいません。

パラソルの下で日陰を避けてる僕とルリちゃん。

なんか団体の旅行ツアーみたい。

「ルリちゃんは泳がないの?」

「私は・・・・・なんか異様な気配を感じるのでいいです」

「・・・・十人はいるね」

茂みの中に五人、浜茶屋の裏に五人・・・・・ルリちゃんも凄いな。

「ルリちゃんのファンかな・・・・」

「別にファンとかいても構いませんが、変な行動は取らないでほしいです」

まあ、そこまでやる人はいないだろうけど。

「それよりカイトさんは泳がないんですか?私に付き合わなくてもいいんですよ」

「僕もいいや。まだ、足治ったばかりだしさ。それに非常事態に備えて、ね」

「・・・・・・よかった・・・・」

「え?」

「・・・・・」

今、何か聞えたんだけど・・・・気のせいかな?

『ピピピピ』

急に電子音が鳴った。ルリちゃんのパソコンからだ。

「何?」

「この島に接近する船があります。すぐ近くに」

すると急に大きな声が聞えた。

『おーい、カイトォォーー!』

キーーーーーン・・・・・・

み、耳鳴りが・・・・。

流石のルリチャンもこれには驚いたようで耳をふさいでる。

こ、この声は・・・・。

船が浜の近くまでくる。その船の先に立っていたのは・・・・。

「よ、カイト」

先生だった・・・・。

「よ、じゃないですよ!みんな驚いてるじゃないですか!迷惑って事を考えてくださいよ・・・

「ハハハ!いいじゃねぇか、周りは海なんだしよ」

この人は・・・・。

「これはこれは、クサノさんじゃないですか。どうしたんですか?」

「久しぶりです、プロスさん。うちの坊主が世話になってます」

「いえいえ、こちらこそカイトさんのお蔭で地球まで帰ってこれましたから」

今のことをなんともせず普通に挨拶を交わす二人・・・・・大物ものだな・・・・。

「ところで、どうしたんですか?このようなところまで・・・・・」

「そ、そうですよ!なんでここに来たんですよ!まさか・・・・!」

「それ以外ねぇだろ、お前が言ったんだから」

この人の耳は節穴かな?

「僕・・・・停泊したときって言いましたよね・・・・」

「停泊してんじゃん」

「これを停泊って言いますか?」

「停まってんじゃん」

・・・・・・・・・あー言えばこー言う!

「まあ、あることにこしたことねぇだろ。せっかく速く仕上げてやったのに」

「・・・・・もういいです・・・」

「あの、よろしいですかな?それでクサノさんご用件は・・・・」

「ああ、カイトの機体ですよ。火星で大破したでしょう。カイトから連絡があってそれで持って来たんですよ」

「そうですか・・・・しかし、よくここが分かりましたね」

プロスさんが尋ねると先生は平気な顔をして凄いことを言った。

「軍の回線を盗聴してたらたまたま聞えたんでソッコウで仕上げて持って来たんですよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

少しの間この浜辺が凍りついた。

「そ、そうですか・・・・」

「ええ、それじゃあここに置いてくぞカイト」

「え?あ、はい」

ルリちゃんに指を指して言った。

「あと、カイトその子か?お前の・・・・」

「・・・・!!」

「気に!」

先生が言い終わる前に僕は先生を海に投げ飛ばした。

「な、なにすんだよカイト!ハハン、さてはお前その!」

上に跨り思いっきり殴る蹴る沈ませるの行為を咬ます。

「カイトさん。何を怒っているのか分かりませんけど、そろそろやめないとその人死んじゃいますよ」

その一言で僕はやめて浜辺に戻る。

「さて、じゃカイトメンドイからお前が運び出してくれ」

さっきの事を物とも言わずに立ち上がる先生。昔と変わらない。

みんなは驚いてた様だけど。

 

 

 

「それにしてもいきなりああくるとはねぇ・・・・」

「大体先生が悪いんですよ。あんな事言おうとするんだから・・・」

本当にもう。

「ここだ」

そして扉の奥に入る。

「随分形が変わりましたね」

「当たり前だ。ガンダムと見間違えられてもおかしくはない。俺たちの努力の結晶だからな!」

その形は武者の先の尖った角飾りに頬のエアダクトにこめかみあたりのバルカン。

胸には丸いタマのようなものが付いていて前にスライドしてコクピットが出てくる。

肩にはミサイルランチャー。背中には特徴的なあの翼がなく両側に普段は二枚の六枚に分かれる羽が付いている。

腰には展開式のレールガン。

あとはスクア・ライフルを持っていてリシアンサスの武器も使える。

「基本的にスペックはエステの五倍はあるし、リシアンサスの1・5倍はある。ただ、オペレートAIがいないからこればかりはゼロを引き継ぐしかないな」

「そうですか・・・」

ズズーン!

船が揺れる。近くで何かがおきてる。

「カイト出撃だ。ナデシコのエステ隊が戦闘してる。苦戦してるみたいだ」

「分かりました。でも・・・」

「AIがいなくても動く!リシアンサスはゼロを引き継いだ後この島に置いておいてくれ!それと機体名はダスティーミラー・ブローディアだ」

「了解」

僕はダスティーミラーに乗り込む。

『プロテクト解除、パイロット、カザマ・カイトと確認。ダスティーミラー、起動します』

ブゥン!アイカメラを輝かせ船から飛び立つ。

コクピットの中は球体で360°モニターでゴテゴテとしてなくオペレーター席も付いてる。

全長が11.3mで体重が2t。こいつもエステよりちょっと大きい。

「さて・・・頼むよダスティー・・・・」

前に進ませてアカツキさんのエステに近づく。

『やあ、そのガンダムはカイト君かい?羨ましいな』

「そうですか?ところでどうなってますか?」

アカツキさんもガンダム好き?

『急にでっかいジョロが出てきてね。装甲が厚いのなんのって、来るぞ!』

「おっと!」

アカツキさんの声と同時にジョロがミサイルを撃ってきた。それを軽くかわす。

「ところであの人たちは何をやってるんですか?」

『テンカワくんを賭けての戦いだよ。全く、羨ましいね』

しばらく見てると巨大ジョロがアキトさん達の真近くに動く。

「危ない!」

そこにリョーコさんが体当たりをする。

『無事か?アキト・・・・アキト!テメェ、なにやってんだ!』

アキトさんともう一人の女性にむけて銃を向けるリョーコさん。引き金引いたら洒落になりませんよ!

すると、後ろからジョロがまた襲い掛かる。

『リョーコちゃん!うしろうしろ!』

テンカワさんが呼びかけると

『うるせーーー!!』

後ろをむいてアッパーカット。

殴って蹴って耐え切れなくなったジョロは大爆発。

さっきの僕より凄かったぞ・・・・。

しかも、艦長とメグミさんはぶっころせとか言っちゃってるし・・・・。ま、終わったんだからいいかな・・・。でも、

「『こええ・・・』」

アカツキさんと見事にハモりました。

 

 

 

 

僕はリシアンサスを先生の言う通り島に降ろしてやる。ゼロも名残惜しそうにダスティーに移り変わった。

リシアンサスはナデシコを見送っているように見えた。先生船も島に着いたし大丈夫だよね。

ありがとう、リシアンサス・・・・。

 

 

「カイトさん・・・・いいですか?」

「うんってここはルリちゃんの部屋でしょ。僕が居候させてもらってるだけだし・・・」

なんだろう。ルリちゃん声のトーンが低いな・・・。

「あの・・・その事なんですけど・・・」

「あ、迷惑だよね。もう足も治ったんだし・・・」

バカだなぁ僕も。

「違うんです!その・・・えっと・・・・」

違うって・・・じゃあ・・・なんだろう?・・・・いや、まさかね・・・・。

「・・・その・・・・これからも一緒の部屋じゃ・・・・・・ダメ・・・ですか・・・・・」

ええ?!ど、どうしよう・・・・うわ動悸が激しくなっちゃった・・・・。

「どう・・・ですか?」

ここは・・・僕も漢だ!

「・・・・いいよ。迷惑じゃなければ・・・・」

「あ、ありがとうございます・・・・!すみません・・・変な事言って・・・・あの、私!仕事がありますから・・・・じゃあ!」

そう言うとルリちゃんはダッシュでブリッジに向かって行った。

進展アリ・・・・かな?

 

 

 

 

 

あとがき

え〜済し崩し的に同せゴッホッゴホッ同居です。

最近ネタ切れなのでダスティーミラーの絵でも描こうかな・・・。

そんな行き当たりばったりなバカ作者ですがよろしくお願いします。

ウイルスメール以外待ってます・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 




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