機動戦艦ナデシコ
 〜オリジナルストーリー〜
第7話「温めの『冷たい一次関数』」





う・・・ううん・・・・。ここは・・・?

えと、確かあの後ブリッジに行って自分の席に座ってから・・・・・・どうしたんだっけ?

あれ?隣に誰かいる・・・・カイトさん!?どうして?部屋にいるはずなのに・・・・。

・・・女性みたい・・・・・じゃなくて!

―オモイカネ、照明付けて。

≪ハイ≫

すぐに照明が付きました。ここは何処だろう?

通常空間・・・・木星蜥蜴と宇宙連合軍が戦ってる。艦長を呼ばないと。

―オモイカネ、艦長を探して。

≪検索中≫

≪検索中≫

≪検索中≫

≪検索中≫

≪検索終了。ミスマル=ユリカ、展望室。あと、イネス=フレサンジュ、テンカワ=アキト、二名が展望室にいます≫

展望室?それにテンカワさんとイネスさんも?

取り敢えず起こさないと・・・・。

「かんちょ〜、起きて下さい・・・お〜い・・・」

手を振ってみる。ウインドウで体当たりしてみる(!?)。あっかんべーをしてみる。

起きない・・・どうしよう?

「・・うん・・・リちゃん・・・・」

え?誰?・・・・・。

「・・・ルリ・・ゃん・・・」

カイトさん?ね、寝言で人の名前呼ばないでください・・・・・バカ・・・。

「かんちょ〜、お〜いやっほー・・・おきてくださ〜い・・・」

早く起きてくれないかな。やられちゃいます。今のところは大丈夫ですけど・・・。

「かんちょ〜!かんちょ〜!かんちょ〜・・・・」

・・・・艦長達は大丈夫そうだけどイネスさん・・・死んでるんじゃ・・・・歳取るとポックリ逝っちゃうって言うし・・・・。

あ、艦長が動いた。

『え?』

そうだ、私のウインドウ消すの・・・・。

『キャアア〜〜〜〜ッ!』

・・・・忘れてた・・・・。

「・・・・うん?」

カイトさんまで起きちゃったかな?

さっきの事もあるし、ここにいるのだって・・・・どんな顔すればいいんだろ?

今はいいかな・・・非常事態だし・・・。

「通常空間に復帰しました。艦長、何でそこにいるんです?」

『え、ああ・・・え!?』

キョロキョロしていた艦長の目にはテンカワさんとイネスさんの手を握り合ってる衝撃的(?)なシーンが映ったみたい。

『ダメーッ!』

『んあ?』

艦長が引き離すとテンカワさんが寝ぼけ声を上げて起きた。

「かんちょー?」

『え、あ、外の様子見せて』

私がジト目で見ると艦長は苦笑しながら答えた。

「はい・・・展望室のスクリーンに状況を投影・・・」

『え〜〜ッ!!』

映像を見せると艦長は飛び上がって驚いた。

「現在、月付近、木星蜥蜴の真っ只中・・・」

『グラビティ・ブラスト広域放射!直後にフィールド張って後退!』

―オモイカネ、よろしく。

オモイカネに頼むと、すぐにグラビティ・ブラストが発射される。

でも、連合軍の人たちも掠めちゃってます。

 

 

 

『なあに考えてんだキサマらーーッ!!』

案の定、連合軍が文句を言ってきました。

まあ、死ぬ寸前だったんだからそりゃあ怒るよね。

因みにカイトさんはサブオペレーター席で寝てます。戦う必要も無いのでそっとしておこうと満場一致の意見でしたから。

『幸いそれたから死人こそ出なかったが、いーか!そちらが攻撃を続けるなら第二艦隊の名誉にかけて迎撃する。以上!』

五月蠅いです・・・・。

「はあ〜・・・・だからゴカイなのにィ・・・」

艦長は凹んじゃってます。自業自得って感じがしますけど・・・。

「ゴカイですむなら戦争もラクだよ。ルリちゃん、地球側の被害状況は?」

「ホントに不幸中の幸いと言ったところです。けが人もたいしたことなさそうだけど、そりゃあ怒りますよ。艦長」

「ヴ・・・」

「あの人たちかすめて撃っちゃったのは事実ですよね〜」

「あ〜あ・・・軍人さんに助けてもらえたのにネ〜ホントなら・・・」

二人とも誰に言うでもなく言ってますけどピンポイントで艦長に向けてです。

「せめて艦橋にいてくれたなら状況は見えていたはずだが・・・」

「う〜ん・・・・」

今度は悩み始めました。

「ねえアキトぉ!」

『え?』

急に呼ばれたからでしょうか、ちょっとビックリしたような声で返事をしました。

「アキトは何がどうなったか知らない?」

『え?』

展望室にいた事ですね。

『知りたいな知りたいな〜』

『お、おい・・・』

ヒカルさんが出てきてテンカワさんを焦らせます。

「私も知りたいです!」

『え?メグミちゃん?』

勘弁してくれとでも言いたそうな表情です。

「非常事態に展望室・・・・不謹慎です!」

「貴女も寝てたでしょう・・・・・」

「「「『え!?』」」」

今、喋ったのは・・・カイトさん?でも、寝てます。ぐっすりと。・・・・寝言ですか?どんな夢見てるんですか?!

しばらく、と言っても十秒ほどでしたがブリッジは沈黙してました。

『え、と。そ、そーだよ!こんなときこそ、あの説明好きが現れてくれてもいいだろォ、イネスさ〜ん!』

沈黙を破ったのはテンカワさんです。都合の良い時だけ呼んでも来なさそうな人ですよ?

『・・・・う・・・ん・・・』

ピーッと言う電子音の後に字幕が出てきました。やっぱりね。

『あ、あの〜、ちょっと〜?』

テンカワさん、うろたえてます。

『「じろ〜」』

『え?え?だから俺は〜〜』

『「じろじろじろ〜〜」』

助けを求めても無駄でしょうね。

『あーもううるせーッ!テンカワが何処で何してよ〜とい〜じゃね〜か別に!俺はテンカワを信じる!』

通信を訊いていたリョーコさんが決まったと言わんばかりに登場してきました。

『『へ〜〜・・・・』』

『な、なんだよ・・・』

ヒカルさん達のオモチャ決定です。

『俺はテンカワを信じるゥ?』

『テンカワ・・・』

『う、うるさいぞお前ら、今は待機中・・・』

『『テンカワ、テンカワ、テンカワ、テンカワ』』

『・・・・・・』

リョーコさんは顔を真っ赤にして押し黙ってしまいました。

≪敵、第二陣接近中です≫

―ありがと、オモイカネ。

「敵、第二陣来ます」

この後の戦闘はカイトさんが出ないので飛ばします。

≪ルリさん・・・・変わりましたね・・・・・≫

 

 

 

あの後、変な人がテンカワさんを助けたり、艦長がネルガルのお偉いさんに呼ばれたり、カイトさんが寝言で突っ込んだりとあって今はナデシコ二番艦コスモスに収容、修理を受けています。

そして、今は部屋で休憩中です。

「ゴメンね、あの時は・・・・」

「いいんです。私もカイトさんの気持ちを考えずに言ったのが悪いんですから・・・」

時間は跳んでも私たちの体組織は跳ばなかったようでカイトさんは骨折中。

結局、私と同室で暮らすことになりました。

あの事があってから一つだけ思ったことがあります。

カイトさんは本当は戦うのが嫌なんじゃないかと・・・・。それでも、カイトさんは戦って何かを守ろうとしているんじゃないかと・・・・。

「さて・・・暗い話は終わりにして何か食べに行こうか?」

「あ、はい・・・・」

きっとそうだと思う。他人には知られないようにしてるのかもしれない・・・・。

 

 

 

『敵艦隊接近中、エステバリス隊迎撃用意!』

「敵・・・・ブリッジへ行こう、ルリちゃん」

「はい」

 

 

 

大丈夫かな・・・・・。

「おし!準備出来たぞー!気をつけて行って来いよー!」

「はーい」

さっきの戦闘でテンカワさんが月の影まで飛ばされてしまってこのままナデシコの修理を待ってたんじゃ間に合わないので迎えに行く事になりました。

『カイトくん、アキトの事、よろしくね』

「大丈夫ですよ。ルリちゃんもいますし戦う事なんてないでしょうから。じゃ、行ってきます」

リシアンサスで。

カイトさん一人じゃ危ないから私がお供する事になりました。カイトさんが『一人じゃダメなら二人ならいいですよね』と言ったので私が行く事になりました。

リシアンサスのコクピットは意外と広いので大人が五人位乗っても大丈夫みたいです。

座席もオペレーター専用の物があり、そこに私が座っています。

「迷惑だったかな?」

「いえ、あのまま待ってても暇でしょうし。大丈夫ですよ」

「ありがとう」

 

しばらく静かな時間が流れました。

「あの、カイトさん・・・」

「何?」

「カイトさんは、アサミさんの事、好きだったんですか・・・・?」

どうしてこんな事を訊いたのかは自分でも分かりません。でも、あの写真を見たときからずっと思っていた事です。

「どうして?」

「その・・・なんとなくです・・・」

そう・・・なんとなく・・・なんとなく訊いただけ・・・・。

「・・・僕、言ったよね。恋人にするならルリちゃんを選ぶって・・・」

「はい・・・」

「それが答えだよ・・・」

「・・・・!?」

え?!それが答えって・・・・それって・・・。

「あ、アキトさん、みーっけと。アキトさん。大丈夫ですか?」

・・・良い所でいつもこれですか・・・・・。

『カイト?お前、またその体で出てきたのか?!』

テンカワさんは無事みたい。自分の事より相手の事を気にするなんてテンカワさんらしいです。

「大丈夫ですよ。艦長の許可がありますから。酸素、まだ持ちそうですか?」

『ああ、大丈夫。あと一時間半は持つから』

 

 

 

とそんな感じで終わるはずだったんですけど・・・・・。

「んな感じで終わってもらっちゃ困るのよねェ!」

バカが帰ってきました。

「え〜、今日から我が艦に派遣された新しい提督さんです」

「よろしく〜ン」

両手でVサインをしながら馬鹿面下げて挨拶してます。

「エリナ・キンジョウ・ウォン、副操舵士として新たに任務に就きます」

「です!はい・・・・たく、何で会長秘書が乗ってくんの?」

という感じで今度こそ本当に終わりです。バカ。

 

 

 

あとがき

 

K「くッ!なんで僕ばかり痛い目にあうんだ!」(某熱血ファイター風に)

T「それもわからぬか!だからキサマは阿呆なのだ!」(某師匠風に)

K「なんだと?!」

T「萌えあれば苦ありと言う言葉も知らぬのだ!だから、阿呆と言っている!」

K「うるさい!こうなればガン○――○ッ!」(指を鳴らして)

お終い。

 

 

 

 

ホントのあとがき

 

 

えー今回はただ「それが答え」をやりたかっただけです。

次回は白熊ですが・・・・どうしよう?誰か案ください。

おまけですが、テストの結果は見事に玉砕です。

誤字脱字感想(ネタ)メール待ってます!

では、ルリルリとカイトくんの愛に乾杯♪

 

 

 

 

 


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