機動戦艦ナデシコ |
助けられなかった・・・・・・・・僕は・・・・・・・・無力だ。 数時間前、格納庫で倒れていたガイさんが発見された。 周りには血が流れていた。 赤い血がガイさんの周りに・・・・・・・。 見ていられなかった・・・・・・自分の血は何回も見ているのに・・・・・・。 怖い・・・・・・そう思った。 ガイさんは死んでしまった。死因は、銃弾による胸部損傷。誰かがガイさんを撃ったとゆう事。 営倉に閉じ込めておいた軍人達がシャトルを奪って逃走しようとしたたときに、たまたま居合わせたガイさんが撃たれたって言う説が濃厚らしい。 僕は、又、守れなかった・・・・・。 だから、今度こそ守って見せよう、このナデシコを。そう、僕は心に誓いを立てた。 「えっ?!有休が欲しい・・・ですか?」 「はい」 只今、プロスさんと交渉中。プロスさんもビックリしている。そりゃあ出発して二日目にこんな事を言われるなんて思っても見なかっただろう。 「しかし、いきなりどうしてですか?出発してまだ二日ですよ?新入社員がいきなり休みを欲しいと言っているのと同じです。それとも、何か特別な理由があるなら別ですが・・・・」 やっぱり。 「実は、リシアンサスの武器を取りに行きたいんです。このままでは近距離戦しかできません」 「でしたら、エステバリスのライフルを使えばいいのでは?」 「それが、サイズの問題でライフルが小さいんですよ」 エステバリスと比べるとリシアンサスは一回りは大きい。その所為でライフルがマニュピレーターに合わず、照準がずれてしまう。 そんな事を言って何とか頼み込むと 「ふむ・・・・・分かりました。良いでしょう・・・・・」 渋々OKしてくれた。 「ところで・・・・・いったいどこに取りに行くんですか?」 あ、そういえば言ってなかった。 「サツキミドリ二号です」 「でしたらどうして、有給なんか?」 「ナデシコが到着するまでに装備出来る様にしておきたいんです。それに、戦力の増強に繋がりますから損は無いと思いますから」 「はあ・・・・まあ、いいでしょう」 よかった、さすがに一日じゃ仕上げられないからな。 「じゃあ、早速行ってきます」 「はい、ではまたサツキミドリ二号でお会いしましょう」 「はい」 もう二度と身近な人たちを失わずにするためにも・・・・・・・・。 ―ブンッ― リシアンサスのアイカメラが光る。 「それでは、行ってきます」 『いってらっしゃ〜い』 この人は・・・・・本当に艦長か疑っちゃうよな。 『カイトさん、気をつけてくださいね』 「うん」 カイトスマイル。最近、そう呼ばれるようになったカイトの笑顔。ミナト達が見ると「かわいいー」だとか言われてしまうが、カイト本人は何がなんだか分かっていない。 そのカイトスマイルをルリにかますと最近の事(たった二日だが)もある所為か効果バツグン。顔を赤らめて俯いてしまった。ミナトとメグミは相変わらず二人のやり取りを見て楽しんでいる。 カイトは一人?マークを浮かべてナデシコを出た。 ―数十分後― ≪もうすぐ、サツキミドリ二号が見えます≫ ―分かった。管制室に通信をして。 ≪はい≫ モニターには不恰好な衛星が見える。 「こちら、RPX―01、リシアンサス・ブローディア。サツキミドリ二号、聞こえますか?」 『こちらサツキミドリ二号、了解。3番ゲートにどうぞ』 「ありがとう」 礼を言うと、3番ゲートから中へ行き研究機関区に入っていく。 ―研究機関区― 「お久しぶりです、先生」 「久しぶり、カイト。元気にしていたか?」 「はい」 カイトの先生である、クサノ=トモハル。 彼は若干23でこの研究機関区の代表であり。リシアンサスの開発者、ゼロの生みの親、一時期カイトの育ての親でもある。コンピューターなどの知識は教えてはいないが、戦術、武術、剣術などは全て彼から教わった事だ。当然、彼も人並みはずれた運動能力があり、体もすごくいい体をしている。 「よし、早速、お茶でも飲みながら話をしようか」 とゆうことで、ただいまコロニーの中の喫茶店にいる。 「さて、話したい事はいっぱいあるが、まずはリシアンサスの事だな」 「はい。戦闘に関しては問題はありません。それと、グラビティ・カノンはまだまだ改良が必要です。出力50%で銃身が死んでしまい冷却も追いつきません」 「そうか、まあ、おまけで付けてみたものだから仕方ないか。リシアンサスとお前は大丈夫だったのか?」 「はい、機体にまで熱が移り海水で冷やさなかったらもう少しで爆発していました」 「う〜ん、問題は山済みか・・・・取り敢えずお前が無事でよかったよ」 「はい」 このあと本題の「スクア・ライフル」の事について説明を受けた。この銃はエネルギー体を無反動で撃ち出すものでリシアンサスのマニュピレーターにコネクタをつけてエネルギーを供給しその供給したエネルギーを収束して撃つ。また、3タイプの撃ち方があり、1つはマシンガンモード、二つ目はランチャーモード、最後にレールガンモード。この三つをいつでも変えて撃つ事ができる。 既に完成しており、リシアンサスのマニュピレーターにコネクタを付けることですぐにでも運用が可能になっている。 「まあ、こんなところだな。ところでカイト、好きな子できたか?」 「ブッ、けほっけほっ!な、なにを急に言い出すんですか!?」 飲んでいたコーヒーをむせる。いきなり言い出すんだもんな〜。 「お、なんだぁ?できたのかぁ〜。そっかぁ、うんうん、お前も成長したな」 「なに勝手に自己完結してるんですかぁ〜!」 さっきまであんな真面目で真剣な話をしていた人物とは思えないほどの変貌振り。 「で、どんな子なんだ?可愛いのか?」 身を乗り出して迫ってくる。 「え?いや・・・・その・・・・えっと・・・・」 「ハハハハ、相変わらずこういうのは苦手なやつだなぁ」 冗談なのか、本気なのか相変わらず分からない、と内心そう思うカイトがいた。 「っで、どうなんだ?」 「いや・・・・どう?と言われても・・・・」 諦めたと思ったらまた聞いてきた。 はぁ〜、ルリちゃん助けて〜! それから約10時間後 ―研究機関区、格納庫― ―エネルギーバイパスの接続もよし、後は・・・・ コネクタの取り付けも終わり調整をしていたら ―ズガァァァンッ!― 「なんだ!?」 いきなりの爆発音。おそらく木星蜥蜴がこのコロニーを攻撃しているのだろう。 ≪コロニー周辺に敵影多数確認。出撃したほうがいいよ!≫ すぐさまゼロから警告。 ―わかった!すぐ出よう。 カタパルトの傍でよかった。 「リシアンサス、行きます!」 ―ナデシコ― 「前方のサツキミドリ二号で戦闘です!」 メグミさんがブリッジのみんなに知らせる。 「メグミちゃん、すぐにパイロットに連絡。デッキに、向かわせて」 「はい」 指示通りにメグミさんが連絡を入れる。 「艦長、コロニーで応戦している機動兵器を確認しました。リシアンサス・・・・・カイトさんです」 「カイトくん?あっ、そうか。確か先に行ってるって言ってたもんね」 ≪迎撃に出ているのはカイト機とあとは防衛用の砲台しかありません。砲台は役に立たないので急いだほうがいいです≫ オモイカネからの戦況報告を聞く限りではかなりピンチ。いくらカイトさんでも危険です。 「ルリちゃん、グラビティ・ブラストのチャージをお願い」 「了解」 ―サツキミドリ二号、戦闘宙域― リシアンサスがバッタ二体を打ち抜く。 すぐさま機体を降下させレールガンでまた打ち抜く。 ズキュウンッ!ズキュウンッ! 「くそ!これだけの数相手じゃチューリップを落とそうにも落とせない!」 今度は機体を上昇させまた打ち抜く。 「こうなったら・・・・・リミッターをはずしてやるしか・・・・・」 ≪カイト、ダメだよ!≫ ゼロが止めに入る。 でも、この状況じゃこれしか手がない。 「っと、危ない」 突っ込んできたバッタにエルボーを喰らわせ行動不能にする。 「(このままじゃ対応しきれない。こうなったらIFSのリミッターだけでも・・・・)」 ―ゼロ、IFSリミッター解除。 ≪了解、でもIFSだけだよ≫ ―わかった。 そうすると僕の体から光が発せられる。 「(見える・・・・・・敵の動きが・・・・・)」 スクアライフルをランチャーモードに変える。 ここから1時の方向に撃つ。 一筋の光が走りキラキラと輝きを見せる。 すると、すぐにまた黒い閃光が走る。 これは・・・・・グラビティ・ブラスト、という事は・・・・ 『カイトくん、おっまたせー、ブイ♪』 出ました。嬉しいけど、どういう反応をしたら良いのかわかりません。 取り敢えず増援が着たので助かりました。 「艦長、ナデシコはチューリップの方をお願いします」 『わかった、任せといて』 ナデシコは相変わらずのほほんとした空気のまま戦闘に入りました。 ズキュンッ! っとまたバッタを打ち抜きます。 エステバリスは0G戦フレームがないらしく出せないらしい。空戦フレームがあるけどこの数じゃアキトさんでは保たないだろうから出せないらしい。つまり、ナデシコとリシアンサス一機で戦うという事で・・・・・。 『グラビティ・ブラスト、てぇぇー!』 今のでチューリップは撃沈。これで、もう敵は出てこないだろうからそっちは一安心。 その後、リシアンサスで行ったり来たりしながらナデシコと共にサツキミドリ二号を防衛しきった僕達はナデシコ格納庫で新パイロット達の紹介が行われています 「どーも!あたしパイロットの、アマノ=ヒカル。へびつかい座のB型、18歳」 ここは格納庫の中。新パイロットの自己紹介中です 「好きなものはピザのはじっこの硬いトコと、ちょっとしけたおせんべで〜〜す!!よろしくお願いしまーす」 ピ〜〜〜ッ! えっ!?っとした空気アマノ=ヒカルさんが挨拶し終わると、頭から二本の棒が・・・・。 ピ〜〜ッ! 再び二本の棒が出てきた。さすがに皆さん引いています。 「あれ?面白くなかったですか?」 みんな苦笑しています。 「俺はスバル=リョ−コ、18歳。パイロットだ。みんな、よろしくな」 男の人みたいな喋り方をしていますけど女性の方です。 「特技は居合い抜きと射撃。好きなものはオニギリ。嫌いなものは鶏の皮。以上」 ポロン♪ 何かウクレレを持って演奏している人がいます。 ヒュゥゥゥッ! あ、アレ?なんだ?何が起こった?あの人が喋ったら急に意識が・・・・・・。 「コイツもパイロットのマキ=イズミ、以下略」 と、スバル=リョーコさんが代わりに紹介。この人には注意しないと・・・・・・。 「取り敢えず皆さん。これより二時間サツキミドリ二号にて自由時間とします。」 艦長の連絡事項を聞いた後みんなが出掛ける準備をしようと、居住ブロックにむかうエレベーターのなかでリョーコさんが聞いてきました。 「そういえば、この艦の三人のパイロットは誰なんだ?」 「一人は死んじゃったの・・・・・。一人はカイトくんでもう一人が・・・・」 艦長がチラッとアキトさんの方を向くと皆がアキトさんを見る 「ウッソ〜〜」 ヒカルさんがビックリした様子で僕達を見る。 「・・・・・う、うそじゃない!ホントはコックだけど・・・・・」 「やっぱり!だって全然パイロットの顔してないもん」 顔が関係あるのかな? 「え」 アキトさん、なんか悲しい顔をしてる・・・・・。 「わぁ!!」 エレベーターの外に出ちゃった。 「そ、そうだよ!俺はコックさ!パイロットも臨時だよ!って」 なんかまだ言おうとしてたけどドアが閉まる。 「で、もう一人のカイトってヤツは?」 リョーコさんが話を戻す。 「僕です」 ハイっと手を上げる。 「ウソ・・・・・・」 ヒカルさんが少し唖然としました。 「本当です」 キッパリと言った。 「じゃあ、さっきの戦闘はあのコックがやったのか?」 リョーコさんが現実性があることを言いました。まあ、僕みたいな子供があんな事を出来るはずがないだろうと思ったのだろうけど残念でした。 「あれは、僕がやりました」 三人とも唖然としています。まあ、あれだけの数を相手にほとんど一人で防衛してたんでから仕方ないか。 しばらくして三人の質問攻めを受けていた僕はようやく解放された。 「あと一時間半か・・・・・」 はぁ、と溜め息をしながら廊下を歩く。 「あっ!カイトくん、ちょっと」 「ミナトさん、どうしたんですか?」 私服に着替えているミナトさんがグッドタイミングとゆう感じで僕に声をかけてきた。 「これからルリルリとメグちゃんとコロニーで買い物しようと思って、どう?一緒に行かない?」 「買い物ですか・・・・・そうですね・・・・・ご一緒させてもらいます」 「うん、じゃあ行こうか」 僕はミナトさんに連れられて待ち合わせ場所へと向かった。 ―コロニー内、ショッピングモール― 「あっ、ミナトさ〜ん」 こっちに手を振っているメグミさんがいた。 「おまたせ、二人とも」 ルリちゃんもいる。近づくと小声でこんな声が聞こえた。 「よかったね、ルリちゃん♪」 「バカ・・・」 多少気にしつつも取り敢えず中に入る。 「いろんなお店がありますね」 買い物自体した事がない僕にとっては圧巻。知識としては知っているけど実際するのは初めてだ。 一昨日ナデシコで運動していたときスポーツシューズの紐が切れてしまっていたので丁度よかった。ナデシコ内では自動販売機だからレジでお金を払った事などはないので少し心配だけど。 「ねぇ、カイトくん、ルリちゃん。ここからは別れよう。じゃ、一時間後に入り口でね♪」 「えっ?ちょっ、ま・・・・・」 待ってという前に強引に僕達は取り残されてしまった。 「え〜と・・・・どうしようか?」 もうどうしようもないので一応、訊いてみる。 「この状況でお二人を見つけ出すのは難しいでしょう」 「そだね・・・・」 はあ〜っと今日二度目の溜め息をする。 「じゃあ、どこ行こうか?」 適当に歩きながら尋ねる。 「私はこれといって欲しいものはありませんから」 「そうか・・・・・じゃあさ、ちょっと寄りたい所があるんだけど、いいかな?」 「別にかまいませんけど・・・・」 「ありがとう」 たわいもない話をしながらお目当てのコーナーに着いた僕達は中でよさそうなのを探しています。 ここに来る間、周りの人の視線が気になりましたが気にせず来ました。今思えば何だったんだろう? ま、今更考えてもしょうがないけど。う〜んこれに決めた。 僕はそのままレジへと向かいシューズを買ってルリちゃんを探す。 「あ、いたいた」 何かを見ているようだ。 「ルリちゃん」 「!?、カ、カイトさん」 「どうしたの?」 「別に、なんでもないです。カイトさんの方は終わったんですか?」 誤魔化すように受け流す。 「僕はもう良いよ。ルリちゃんは買う物とかないの?」 「私は特に買う物なんてありませんから・・・・」 「(ん?今チラッと横目でなんか見たような・・・・あれかな?)」 一瞬の出来事だったけど思い返して視線を辿った。その先にはペンダント、ロケットってヤツかな、写真を入れるヤツ・・・・・。 値段はナデシコクルーなら余裕かな。 「あのペンダントきれいだね」 「あ、はい。そうですね・・・・」 相当気に入ったみたい。 そのペンダントの中心には何かの小さい宝石が埋め込まれてみているみたいでその下の周りに羽が描かれている。 「欲しいの?」 「いえ、別にいいんですけど、何も買わないと思ってカードを置いて来てしまいましたから」 「そうなんだ、じゃあ僕が買ってあげようか?」 「え!?いいですよ別に」 「遠慮しないで、お礼もまだだしね」 「で、でも・・・・」 「いいから」 ルリちゃんを制してペンダントを持ってレジへと向かい買う。 「はい、どうぞ」 「あ、ありがとうございます・・・・」 少し遠慮しながらも受け取るルリちゃん。少しだけど頬が赤い。 「あの、でも本当にいいんですか・・・・?」 「言ったでしょ、お礼だって」 「でも・・・・」 でもなんでこんなに遠慮するんだろう? しばらくこんなやり取りが続いたがようやく収まり最後にルリちゃんが会って初めての本当にわずかな微笑を見せてくれた。 その翌日、ルリちゃんがペンダントをしていた。 お礼とは言ったものの僕が買って渡したのだから少し嬉しかった。 初めて渡した『プレゼント』・・・・かな。 あとがき どうも、読んでくださりありがとうございます。 う〜ん、話が最近選択式になってしまった・・・・・リーヤ様のご感想のような展開は考えてはいましたが先送りさせていただきました(核爆もいいところ)。 では、次回も出来ればお楽しみにしてくださいませ。 ご感想、脱字誤字メールなどお待ちしております。 |
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