機動戦艦ナデシコ      

〜オリジナルストーリー〜

「地球脱出」後編



「やめるんだ、艦長!」
「抜いちゃいましたー!」

あ〜あ、どうするのかな、これから。

「あーあ、エンジンが止まっちゃう」

のんびりとした声でミナトさんが言う。

「これでナデシコは全くの無防備ね」

ルリちゃんも人事みたいに言う。

「それじゃあ、あんた達には食堂に行ってもらうわ」

みんな抵抗する様子もなく食堂へ向かった。食堂へ向かう途中の廊下でもみんな一言も喋らなかった。

 

 

 

―食堂―

「じゃ、い〜こと!!ここでおとなしくしててちょーだい」

 

プシュー

 

「ちっきしょーッ、おぼえてろよ!」

「自由への夢は一日にして終わるか・・・・」

なんか諦めてる人もいるし、本当にどうしようかな。

「あきらめるな!希望はまだそこにあ〜るッ!」

「はいはい・・・」

なんだかな・・・・・。

「・・・・・・・な〜んかガッカリ。戦艦に乗ればカッコイイ人いっぱいいると思ったのに・・・・」「みんなもあきらめるな!悪は絶対滅ぶ!!よ〜しまずは腹ごしらえ」

そんな理由で乗ったのか・・・・・・。

「まっ、世の中そんなもんよ」「食事はできないゾ」

余裕だな〜。世間話をしてるなんて。

「ホントこの艦、変な人ばっか・・・・・・」「俺も牛乳だ牛乳!ミルクパワーチャージ!」

この時点で普通にしてられるあなたも凄いと思うんですけど・・・・・・。ガイさんはなんかうるさいし。

「あの・・・・・カイトさん」

「えっ?あっ僕?何、ルリちゃん」

少し頭を押さえながら考え込んでる僕にルリちゃんが声をかけてきた。

「大丈夫ですか?なんか顔色が悪いですよ・・・・」

「そう?そんなことないと思うんだけど・・・・・ありがとう、心配してくれて」

ニコッと微笑んでみせる。

「別に・・・・・・」

何故か俯きながら言うルリちゃん。

「さて、何時までもこんな所にいてもしょうがないし」

カイトがドアに向かって行く。

―プシュッドカッ―

出たところでいきなり回し蹴り、見事に軍人さんのわき腹にヒット。

「グ、グオッォォォォォ・・・・」

悶え苦しんでいます。相当、痛かったんでしょう。

「しばらく寝ていてください」

首筋に手刀を叩き込む。

「カイト・・・・・。みんな、俺、ロボットで脱出して艦長を連れ戻してくる」

「「「「「「え?」」」」」」

周りのみんなが正に『え?』とした顔で驚く。僕も驚いた。

「俺、火星を助けたい!例え世界中が戦争しか考えてなくても・・・それでも、もっと他に出来る事・・・・・みんな・・・・みんな、それを探してここに来たんじゃないの、か?」

―ゴゴゴゴゴゴッ―

艦内が揺れた。

「ゴートさん、ゴートさんはアキトさんと整備班の人たちと一緒に格納庫に行ってください。僕はブリッジに行きます」

「分かった。しかし、一人で大丈夫か?」

「大丈夫ですよ。それに一人のほうがやりやすいですし、それからルリちゃんを連れて行きますよ」

「了解した」

「じゃあ、ルリちゃん。行こうか」

そう言うとカイトはルリを抱き上げる。

「あ、あの・・・・カイトさん?」

しかも、お姫様抱っこ。

「こらぁぁー!カイト!ルリルリに変な事するんじゃねぇぞぉ〜!」

「ウリバタケさんじゃあるまいし、しませんよ。そんな事」

顔の真っ赤なルリをつれてカイトはブリッジへと向かった。

 

「(速い)」

思ったのは本当にただそれだけだった。ブリッジ入り口前に来たカイトはルリを降ろした。

「ちょっと、待っててね。すぐ終わらせてくるから」

―プシュッ―

「な、なに?貴様っ!」

―ドカッバキッバコッドゴッ!―

様々な打撃音が聞こえる。

「な、なによ。アンタ!」

「ナデシコは返してもらいます!」

「クッ!」

―ドキューンボスッドコッボキッ!―

何か嫌な音が聞こえた。

―プシュッ―

「カイトさん、大丈夫ですか!?」

中に入るとカイトさんの髪がほどけていました。

「別に大丈夫だよ。ルリちゃん、エステバリスの出撃準備をよろしく。あ、マニュアルでね」

「は、はい」

私がブリッジの中に入ると入り口近くに四人、艦長席にキノコがいた。

「カイトさん・・・・少し心配しました・・・・」

「ありがとうルリちゃん」

また、その顔・・・・・。

「あの・・・・カイトさん」

「何?」

「カイトさんは何でこのナデシコに乗ろうとしたんですか?」

「分からない・・・・・」

「そうですか」

「なんかさ、何時までも研究所でモルモットをやってるわけにはいかないしさ、これを逃したらもう、ここから出れないだろうなって思って」

「ちゃんとした理由じゃないですか、私なんか「ルリちゃん、カイトくん、無事?!」

「あ、ミナトさん。大丈夫ですよ」

話の途中ミナトが入ってきた。頭に中華なべをかぶっている。

『カイト、こっちは奪還に成功した』

「了解、じゃあ、後よろしくね。ルリちゃん」

そして、カイトはブリッジを出て行った。

 

 

 

―リシアンサス。起動。

≪了解。オモイカネから話しは聞いています≫

―うん、じゃあ、チューリップを叩くよ。

≪了解。カイトさん怪我は大丈夫?≫

―大丈夫。

≪無理しないでね・・・・≫

―うん。

 

 

 

リシアンサスがカタパルトから出る。

―ゼロ、敵の数は?

≪バッタが150機。チューリップは触手があります≫

―ありがとう。

翼を羽ばたかせアキト機の傍にいるバッタを鉄くずにする。

「アキトさん、ナデシコまで後退して護衛してください」

「え?で、でも・・・・・・」

「巻き込まれますよ」

「分かった」

ほとんど脅しだ。

―ゼロ、グラビティ・カノン、スタンバイ。

≪了解、グラビティ・カノン、スタンバイ≫

肩のグラビティ・カノンが展開する。

―出力は50%でいい。

≪はい≫

エネルギーが溜まった。

「いっけぇー!」

チューリップに直撃。海を裂き、リューリップは閃光に消えた。

 

 

 

「凄い・・・・・」

「なんて威力だ・・・・」

「ナデシコの1・5倍の威力です」

ブリッジからは驚きの声が上がった

 

 

 

―シュゥゥゥゥゥ!―

「しまった!冷却されきってない!」

リシアンサスが煙を上げる。

『カイトさん!』

『カイトくん?!』

『カイト!』

『カイトくん!』

「くそっ!」

一向にに冷める気配もなくコクピットの中では警報が鳴り続いている。

「(どうする?このままじゃ爆発しちゃう・・・・・)」

リシアンサスの中の気温が上がっていく。限界が近づいてきている。通信も繋がらなくなった。

「(そうだ、海の水で冷やしてみよう!もうこれしか道はない!)」

機体を急降下させ海には入ろうとさせる。

「(間に合え!こんなところで死ぬわけにはいかないんだぁー!)」

 

―ザバンッジュゥゥゥゥ!―

 

「(間に合った?)」

『・・・イト・・・ん!・・・・・カ・・・ト・・ん!』

通信が生き返り始めた。

『カイトさん!』

『カイトくん!』

『カイト!』

大丈夫?・・・・・みたいだ。

「こちらカイト、なんとか無事で〜す」

『『『『ふぅ〜』』』』

みんなが安堵の溜息を漏らす。

 

 

―ナデシコ、ブリッジ―

「あの、ご迷惑をお掛けしました」

入るなりすぐに謝る。

「いいえ、無事で何よりです、はい」

「しかし、あの機体は危険だな」

「アキトはさすが私の王子様だね」

「驚いたわよね、いきなり煙が出てきたんだもの」

「また、俺様の出番とりやがって!」

「ばか、別に俺はお前の王子様なんかじゃあ・・・・」

「カイトくん、大丈夫だったかい?」

「ばか・・・・・」

嬉しいけど、毎回こんなお出迎えは嫌だな・・・・・。

 

 

しばらくしてブリッジで行われたブリーフィングにてビッグバリアを一時開放してもらうように艦長が頼んだがジュンさんのフォローも空しく、ビッグバリア突破となった。

「カイト、このキャノンを取り外したがこのあとはどうするんだ?」

僕は今、格納庫に来ている。グラビティ・カノンを取り外して新しいパーツを取り付けてもらうためだ。

「次はですね、そこのツールボックスの中にあるショルダーバーニアを取り付けてほしいんです」

「お〜し、みんな聞いての通りだ。あと5分で仕上げるぞ〜!」

「「「「「おっしゃあ〜!」」」」」

整備班の人たちに頑張ってもらって壊れたグラビティ・カノンを取り外し高機動型ショルダーバーニアを取り付けてもらった。武器も16門ミサイルが増えてディストーション・フィールドがパワーアップされた。加速もスピードもパワーも上がった。

「しっかし、あのグラビティ・カノンってのはとんでもねぇな。一発で御釈迦になっちまうとはよ」

「仕方ありませんよ。もともと実験用に装備された物ですから」

「そうか、だけどよ勿体なくねぇか?カイト、あれを俺にくれ!」

「そうですね・・・・もう使う気にもなれませんから・・・・・いいですよ」

「よっしゃあ」

セイヤさん思わずガッツポーズ。

「じゃあ、後はよろしくお願いします」

「おう、あとは任せとけ」

僕は格納庫をあとにした。

 

 

 

「(さて、これからどうしようかな・・・・)」

一人、考えていると目の前にウインドウが出てくる。

『カイトさん』

「あ、ルリちゃん。どうしたの?」

『そろそろ第三防衛ラインなのでコクピットで待機していてください』

「わかった」

『あと、それから・・・・』

「なに?」

『約束の事なんですけど・・・・もう少し考えさせてください』

「うん、わかった」

ルリは約束という物はした事が無いので遠慮しているわけではない。余談だが、このあとルリが質問攻めにあったのは言うまでもない。

 

 

 

「おっしゃ〜あ!」

あ〜暑っ苦しいヤツ。

「レッツ、ゲーキガーンインっときやがったきやがった」

デルフォニウム9機対エステバリス1機の戦いの始まり。ガンガークロスオペレーションも失敗。僕は仕方なくアキトさんと一緒にガイさんを助けに行く。

「任せろって言ったのに・・・・僕が正面から行きますからアキトさんは後ろからお願いします」

『ああ・・・・・ホントにアイツはなにやってるんだか』

はあっとため息をつきながらエステを動かす。

 

『くそ〜っ、放せ〜!』

『ナデシコ艦長ミスマル・ユリカ、ナデシコを地球に戻したまえ!』

デルフォニウムの隊長が艦長に脅しのようなものをかける。

「(アキト、カイトくん、お願いね)」

『黙認とゆうことはこのパイロットを見捨てるという事だな?』

ミサイルをエステに向ける。

「そんなことさせるかー!」

発射したミサイルをナイフで打ち落とす。

「アキトさん!」

『おう!このやろぉー!』

ガイのエステを押さえていたデルフォニウムを殴る。ガイはすぐにもう一機のデルフォニウムを蹴り飛ばす。

『チッ!全機、機動兵器を破壊、その後ナデシコのエンジンを破壊する』

増援が来てすぐに命令をする隊長機に接近する。

「ここまでだ。墜ちろ!」

何も抵抗できずにいるデルフォニウムをブレードで真っ二つに叩き斬る。

すぐに反転、二人の援護に向かう。

『おらおらおらー!』

ボディーに一発食らわせるガイさん。

『食らえ!』

頭を殴るアキトさん。

「とどめー!」

ミサイルで残りのデルフォニウムを破壊する。

第三防衛ラインは終わり。次はミサイル衛星か。

『皆さんそろそろ戻ってください』

ルリちゃんが僕達に言う。

『『『了解』』』

 

 

その後、難なく第二、第一防衛ラインを突破したナデシコ。

 

 

 

―ナデシコ、ブリッジ―

「そろそろ皆さん休憩にしましょう」

「そうですねぇ。ここから先は何にありませんし、サツキミドリ二号まで二日掛かりますからね」

プロスペクターもOKのようだ。

「じゃ、アキトの所に行ってこよ〜♪」

「あ」っという間にユリカは行ってしまった。

「「「「はぁ〜」」」」

苦労するなぁ〜これからとみんなが溜息を漏らす。

 

 

 

 

 

あとがき

当初の予定とは違う〜。それにガイを生かすか亡くなってもらうかも決めていません。(ジュンさんにはナデシコに残ってもらいました。)

とりあえず次回も楽しみになさってください。

出来ましたら感想下さい。

 


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