機動戦艦ナデシコ         〜オリジナルストーリー〜       第二話「地球脱出」前編





今、僕はアキトさんとガイさん(どうしても呼べと言われたので)の部屋に居る(半ば強引に連れて来られた)。

『ジョォォォォォォォッ!』

(誰か助けて・・・・・)
言うまでもなく僕はガイさんによって『ゲキ・ガンガー』を見せられています。
熱血なんてガラじゃないのに。こんな非現実的なロボットより、まだ『ガン○ム』のほうが現実的です。
って言うより僕のリシアンサスはその『ガ○ダム』を模して作られています。
設計構造上都合が良かったらしくてほぼ外見は『ガンダ○』です。
そんな事よりどうにかしてここから脱出しなくちゃ・・・・

「くううっ、燃える展開だぜっ!正義のために、自ら犠牲となって敵と刺し違える!やっぱ、ヒーローの死に様は、こうじゃなくっちゃなあ。くーっ!」
と、拳を握って、目をうるうるさせちゃってるガイさん。
(チャンス!今のうちに誰かにメールをっ!)
僕はコミュニケを隠しながらメールを送った。
「ううう、こんないいものを見せてくれてありがとう!」
ああ、アキトさんまで・・・・・・

―ナデシコ、ブリッジ―
ここでは今ナデシコの主要メンバーが集められてました。
参加しているのは、艦長、副艦長、フクベ提督、プロスさん
、ゴートさん、ウリバタケさん。
それから主要メンバーなのかどうか分からないけど、場所がブリッジなので私とミナトさん、メグミさんもココにいます。
「今までナデシコの目的地を明らかにしなかったのは、妨害者の目をあざむく必要があったからです」
みんなを集めたプロスさんがみんなが揃ったのを確認してから言った。
あれ?・・・・私のコミュニケにメールが届きました。
『ルリちゃん、お願い!助けて!助けてくれたら御礼はするから!カイト』
どうしたんでしょうか?あれだけの凄腕パイロットでマシンチャイルドであるカイトさんが助けを求めています。
ーオモイカネ、カイトさんの映像を出して。
≪はい、検索中、検索中、検索中、検索終了。ヤマダさんとテンカワさんの部屋に居ます。映像出します≫

『どうだ!アキト!やっぱ、男の死に様はこうじゃないとなあ!』
『ありがとう、ガイ!俺が間違ってたよ。ロボットのパイロットは、男のロマンだ!熱血だよな!』
『どうだ、カイト!お前もこの素晴らしさが分かるだろう!』
『え?えっとその・・・・・』
さすがのカイトさんでもこれじゃあ、助けを求めるのも分かります。
「プロスさん、カイトさんがミーティングに参加したいそうです」
でまかせですけどこれならしっかりとした口実になります。
「カイトさんがですか?そうですね、彼にはこの後呼ぶつもりでしたから、ルリさん呼んでいただけますか」
「分かりました」


―アキトとガイ(ヤマダ)の部屋―
「なんだよ、カイト。まだ分からないのか?」
ガイさんが顔を近づけて鼻息荒く聞いてくる。
「いや、その、ハハ、ハハハハハッ・・・・」
もう笑って誤魔化すしかないルリちゃんもダメだったか。
「しょうがない!アキトこれからカイトを骨の髄までゲキ・ガンガーに染めてやるぞ!」
ひぇぇぇぇぇぇ!勘弁してぇ〜〜〜〜!そんな事されたら頭おかしくなる〜〜〜〜〜〜!
『その必要はありませんよ。カイトさん、至急ブリッジまで来てください』
「は、はい!今すぐ行きます!」
僕は凄い勢いで部屋を飛び出た。


―ナデシコ、ブリッジ―
「いらっしゃいましたね、それでは続きを」
僕がブリッジに入るとプロスさんが続きを話し始めます。
なんかミナトさんとメグミさんがクスクス笑っていましたが構わず下に行きました。
「我がネルガル重工が、わざわざ独自に宇宙戦艦を建造した理由は、木星蜥蜴と戦うためではありません」
「じゃあ、なんのため?」
ミナトさんの質問には、フクベ提督が答えた。
「我々の目的地は火星だ」
「火星?でも、火星は木星蜥蜴に占領されちゃったんじゃ・・・・・」
「それは連合宇宙軍の広報活動の結果です。本当に火星が占領されているのか、火星に残された人がどうなったのか、確認した人間は誰もいないのです」
大仰にプロスさんが首を振った。

それから木星蜥蜴が侵攻してからの火星の事、第一次火星会戦敗北までの事を話した。
「というわけで、我々は以後、軍とは別行動をとり、火星へ向かいます」
そこでフクベ提督が艦にいるみんなに向かって
「我々の目的地は火星だ!
でもそこで副艦長が珍しく真剣に聞いた
「では、現在地球が抱えている侵略は見過ごすとゆうのですか?」
「しかし、宇宙連合軍はそれら前線ともいうべき人々を見捨て、地球にだけ防衛ラインを引きました。では、見捨てられた火星の人は、資源は、どうなったのでしょうか?」
ここでルリちゃんはひどい事をさらっと言った。
「どうせ死んでんでしょ」
信じられなかった。こんな事を言うなんて思わなかった。
僕は誰かに聞こえないくらい小さい声で呟いていた。
「何でそんな事が言えるんだよ・・・・・」
誰にも聞き取れないくらい小さな声で呟いた・・・・・。
プロスさんが話を進める。
「分かりません・・・・ですが確かめる価値は『ないわねそんなの』
すると入り口から軍の人間が銃を持って僕たちを囲んだ。
ブリッジだけじゃなく食堂、格納庫も同じ状況だ。
「血迷ったかムネタケ!」
不敵な笑みを漏らしながらキノコが入ってきた。
「フフフフフ、提督、この艦をいただくわ」
「その人数で何が出来る」
「勘違いしないで・・・・」

ーゴォォォッ!ー

ナデシコの前に1隻の艦が現れた。
『地球連合宇宙軍提督、ミスマルである』
大きな画面で映し出された人はいまどき珍しいカイゼル髭のオジサンでした。階級は中将、お偉いさんだ。あれ?ミスマルって確か・・・・。
「お父様っ!」
「おお、ユリカ」
ミスマル提督の表情が途端に緩んだ。
あ、そうか。艦長ってミスマル提督の娘さんだっけ。
『しばらく会わないうちに大きくなったな、ユリカ』
「やだ、お父様ったら。一昨日、お会いしたばかりですわ」
『そ、そうか。そうだったかな』
「ご無沙汰しています、提督」
ゴートさんが軽く会釈する。
『あー、機動戦艦ナデシコ。直ちに停船せよ』
「どうしてです、お父様?」
『残念だが連合宇宙軍には、強力な戦艦をみすみす手放す余裕はない』
確かに現状のままでは木星蜥蜴に対抗するにはキツイ。
「しかし、提督。ナデシコは我々ネルガル重工が私的に運用することで折り合いが付いているはずですが」
『議論するつもりはない。イエスかノーで返答願いたい』
「ははは、これは分かりやすい。さすがミスマル提督、では交渉ですな。いまからそちらに向かいます」
さすがプロスさん。自分の領分に引き込んだ。
『いいだろう。ただし艦長と始動キーはこちらに連れてきてもらうぞ』
キョトンとした顔で艦長が始動キー差し込み口を見る。開けようとしてるな・・・・。
それをフクベ提督が止めるように
「我々は軍隊ではない!従う必要はないんだ、艦長!」
『フクベさん、まだ生き恥を晒すつもりですか』
「・・・・・・・」
艦長は差し込み口に手を触れる。
始動キーが出てきた。
「止めるんだ艦長!」
「抜いちゃいましたー!
あ〜あどうするのかなこれから。



後編に続く


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