機動戦艦ナデシコ         〜オリジナルストーリー〜         第一話『旅立ち』前編





一人置いていかれた僕は急いでナデシコへと向かった。
さすがに走ったり運動が好きな僕でも坂道をもうダッシュはきつかった。
サセボドッグに着くとプロスペクターさんが待っていた。
「こんばんは、カイトさん。ようこそナデシコへ」
「こんばんはプロスさん」
う〜んやっぱりおじさんにしては少し服装が派手だと思う。
「どうぞIDカードと制服です。早速ですが、制服の方はそこの更衣室で着ちゃってください」
「あ、はい」
僕の制服は特注で白い上着に黒いズボンだった。
「お待たせしました」
「早いですなぁ〜、ではナデシコの案内をしましょう」
「お願いします。そういえば僕の機体はもう来てるんですか?」
「ええ、昨日のうちに入れておきましたよ。行きますか?」
「はい!」
更衣室からはさほど格納庫から遠くはなかった。

 

 

「なんですかあれ?」
「エ、エステバリスですが・・・・・」
「それは分かってますけど・・・・・」
ピンク色のエステバリスが思いっ切りムチャな体勢で立っていた。
もちろんそんなムチャ耐えられるはずもなく転んだ。
ーピピピッ!ピピピッ!−
「おっと失礼」
「いえ。あ、じゃあ僕は『リシアンサス』のところに行って来ますね」
「そうですね。そうしてください」
そういうとプロスペクターさんは急ぎ足で格納庫から出て行った。

 


コクピットに座るとすぐに機体の点検を始める。

「さてと・・・・・まずはOSから見ておこうかな」

コクピット脇に収納されてるコンソールに手を置くと目の前の画面にOS設定が出る。
「OSは問題なし、と次はナノマシン調整と、ゼロどう?」
≪お久しぶりです。カイトさん≫
ーうん、久しぶりゼロ。


ゼロ=オモイカネと同時期に開発されたコンピューター。
性格以外はオモイカネと酷似している。戦術面に関してはオモイカネよりも優れている。


〜と一通り話した後は細かな調整をやっていたら艦内に警報が流れた。
ーゼロ、敵襲かい?
≪はい、ドッグ上空に敵影を確認しました≫
ーわかった。じゃあ出撃しよう。
≪しかし、ブリッジに連絡を入れないとまずいんじゃないですか?
ーそんな事してたら上に居る人が全滅しちゃうよ。
≪了解。これより戦闘モードに切り替えます≫

あれ?エステが動いてる・・・・さっきのパイロット足を骨折したって言ってたのに・・・・・通信してみよう。
ーブンッー
「うわぁ!」
「あの、大丈夫ですか?これから戦闘するみたいですよ・・・・ってさっきのコックさん?」
「あ・・・確か君はさっき一緒に片付けてくれた・・・・」
向こうも覚えていてくれてたよ、よかった。
「どうしたんですか?戦えるんですか?」
「ああ!俺はもう逃げないって決めたんだ!」
そしてエレベーターに乗る。機動兵器が二体地上へと向かう。

「艦長は何か意見があるかね?」
「はい。海底ゲートを抜けていったん海中へ。そのあと浮上して、敵を背後より殲滅します」
間髪いれずに艦長が答えた。
「なるほど、グラビティーブラストなら、あれだけの敵を殲滅できるかも知れんな」
「でもさあ、敵もそうそう固まってちゃくれないんじゃない」
「囮よ!囮を出すのよ。誰かがひきつけてナデシコの射程まで誘導するの」
「ムチャな。あれだけの敵を相手に、どうやって」
「ほら、デッキにロボットとかいたじゃない。あれを出すのよ。たくさん出せば一機くらい生き残るわよ」
「囮なら出ています」
モニターの片隅でオモイカネがエレベーター移動中を表示している。
「エステバリス陸戦型フレームと未確認の起動兵器の二体が地上に向けて上昇中」
「いったい誰が?」
「モニターに出します」
ブリッジ全員に見えるように大きめのサイズで開いた。
そこに映っていたのは10代後半くらいの青年と前半ぐらいの少年だった。
「うわっ、ま、また」
「君達、所属と名は?」
フクベ提督が低い声で聞いた。
「お、俺はテンカワ=アキト。コックです」
「おや、彼は・・・・・」
「知り合いか?」
ええ、といった感じでプロスペクターさんが頷く。
「先程、私がスカウトしたんですよ」
「なぜコックがエステバリスに?」
「私もそこまでは・・・・」
プロスペクターさんはまだ詳しく知らないみたいだ。
「それと君は?」
提督が今度は僕に聞いた。
「僕はカザマ=カイト。ナデシコ専属パイロットです」
「そうか、ならば話が早い。すまないが囮をもらいたい」
「囮ですか・・・・・分かりました。時間は?」
10分だ」
「了解。アキトさんいきますよ!」
「でも囮って何すりゃ良いんだよ!」
なかなか激しい言い合いその頃艦長はひとりでずっと悩んでいた。
「逃げ回って時間が来たら合流地点に向かえばいいんですよ」
「と、とりあずわかった」
「がんばって下さいよ。すいませんオペレーターは誰ですか?」
「私です」
「えっ?!」

こんな子が?あっ、僕と同じマシンチャイルドなのかな?

・・・じゃ、じゃあアキトさんの事をお願いします。多分、あの様子からするとはじめて乗ったんだと思いますから。えっと・・・・・」
「ホシノ=ルリです」
「あ、はい・・・じゃあルリさんよろしくお願いします」
「わかりました。それと・・・・」
「はい?」
「私のことは「さん」付けしなくて良いです」
「わ、わかりました。ル、ルリちゃん?」
「はい、よろしくお願いします。カイトさんそろそろ地上に出ますよ」

「了解」
そんな会話をしてたらミナトさんとミグミさんがこっちを見て笑ってます。
「どうしたのルリちゃん?カイトくんにだけ〜」
「もしかしてカイトくんに一目惚れ〜?」
なんかやらしいです。
―ブンッ!−

リシアンサスとエステバリスのアイカメラが光る。

 


後編に続きます。

 


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