The tenber wind

 

五戦全敗

 

この戦績は僕がルリちゃんをお昼ご飯に誘ったものだったりする。

 

もちろん僕が只誘うわけがなく、様々な事を試した、しかしその度に、「ファーストフードの方が好きです。」とか「もう食べました。」とか「暇なんですね。」などありがたい言葉を戴き、更には無視までされる始末。

 

という事で、もう食堂は諦めて弁当を作った、これならきっとルリちゃんも食べてくれるはずだ。

                         

                                         アイハラ カイトの日記より

no2     

 

 

向こうからルリちゃんが歩いてくる、今日の午前の実験は終ったようだ。

 

気になる人もいると思うから先に言っておくけど、何で僕が「ルリちゃん」と呼んでいるかというと、

けして僕にモラルがなくて人の気を気にしないような男だからではなく、

お昼を誘いに行った初日にルリさんと連呼したところ、僕のほうが年上なのでさん付けの必要はないと言われたからだったりする。

 

「とゆうことで、おーいルリちゃーん。」

 

 

「何がどうゆうことなんですか?」

 

 

「まあそういう細かいことは気にしない気にしない。」

 

 

ルリちゃんの激しい突っ込みは受け流し、僕がストレートに用件を伝える。

 

 

「今日こそは食堂に行って一緒にお昼を食べよう。」

 

 

五日間使い続けたセリフを言う。

 

 

「何度も言うように、私はカイトさんと一緒に昼食をとる気はありません。」

 

 

「騙されたと思って一緒に食べようよ。」

 

 

「いやです、付き合って騙されたくありません。」

 

 

きっぱりと断られた、それはもう綺麗にスパッと。

 

しかし今日負ければ六連敗、これ以上僕の敗戦記録を増やすわけにはいかない、

そこで本日朝早く起き頑張って作った最終兵器を出すことにする。

 

 

「まぁそんなことは言わないで、今日はルリちゃんと食べるために弁当を作ってきたんだ、一緒に食べようよ。」

 

 

言うが早いか持ってきた弁当をルリちゃんに渡す。

 

勢いで渡されたルリちゃんは、さすがに困った顔をして少し考えると僕に聞いてきた。

 

 

「なんでカイトさんは私にそんなにおせっかいを焼くんですか?

私なんかと一緒に食べてもきっとぜんぜん楽しくないです。」

 

 

「何でそう思うだい?」

 

 

僕はできるだけ優しい表情でルリちゃんに聞いてみる。

 

 

「カイトさんとお話するような話題ありませんし、それに私マシンチャイルドです。」

 

 

だいたい考えていたものと同じ答えが返ってくる。

 

そこで僕は少し厳しい顔になってルリちゃんにいった。

 

 

「ルリちゃん、そんなことは言っちゃだめだ、確かにルリちゃんはマシンチャイルドとして生まれてしまった、けどそんなことは関係ない、だってルリちゃんはマシンチャイルドって名前じゃないだろう?ルリちゃんはルリちゃんだ。」

 

 

そして僕的にありったけの笑顔で微笑んでルリちゃんの頭をなでてあげた。

 

すると、なぜかルリちゃんは顔をリンゴみたいに真っ赤にして、うつむいてしまった。

 

 

「ル、ルリちゃんどうしたの?」

 

 

顔をのぞこうと僕がかがむと、急にルリちゃんはそっぽを向いて

 

 

「な、何でもありません!」

 

 

うわっ、まずい、まずいぞ、かなり怒っている、やっぱり頭をなでたのがまずかったか、どうする何をすればいい?

 

 

僕がかなりおろおろしていると、

 

 

「カイトさん!」

 

 

「ハッハイ!」

 

 

「お昼食べないんですか?」

 

 

「へっ?」

 

 

「だから、お昼食べないんですか?早くしないと時間なくなります。」

 

 

「あ、ああ、お昼ね、食べよう食べましょう今すぐに。」

 

 

とりあえず、なんだかさっぱり分らないが、ルリちゃんはもう怒っていないようなので、

これに乗じてお昼を食べてしまうことにしよう。

 

 

「じゃあ庭のベンチに行って食べようか。」

 

 

「ハイ。」

 

・・・・・・

 

「到着―。」

 

 

と言ってもわずか二分しか歩いてないが。

 

 

「さて食べようか。」

 

 

ベンチに座り、ルリちゃんと一緒に持ってきた弁当箱の蓋を開け

 

 

「「いただきます。」」

 

 

一品ずつ口をつけたルリちゃんに僕は質問した。

 

 

「美味しいかな?」

 

 

「カイトさん。」

 

 

「なんだいルリちゃん?」

 

 

「これ、カイトさんが作ったんですか?」

 

 

「そうだよ。」

 

弁当の中身は、弁当のお供卵焼きに始まりヒジキ、鮭、そしてタコさんウィンナーである。

 

もちろんご飯の上には梅干も乗って日の丸を美しく演出している。

 

 

「カイトさんってこの施設で研究してるんですよね?」

 

 

「それがどうかした?」

 

 

ルリちゃんは何が言いたいんだろうか?

 

 

「カイトさんってここに来るまでにどこかで料理していましたか?」

 

 

「うーん、食堂に住み込みで働いてはいたけど・・・。」

 

 

それを聞くとルリちゃんは、

 

 

「料理お上手ですね」

 

 

と言ってきた

 

 

「そ、そう?」

 

 

柄になく照れたりする。

 

 

「ハイ、美味しいです。」

 

 

そして、ぼくはできるだけにこやかに、

 

 

「ありがとう。」

 

 

と言った。

 

 

そのあとルリちゃんは又真っ赤な顔でうつむいて、一人もそもそと何か言うと、

無言で弁当を食べはじめたのだった。

 

 

かくして僕の連敗記録は5でストップし、六戦目にしてついに勝つことができたのだった。

 

 

 

 

kazuによるあとがきのコーナー

 

ルリちゃんに弁当食べさせるためだけにかなり疲れた。

これからナデシコに乗るまでには、カイトを使ってルリちゃんの性格を丸くしたいな、などと思っています。

 

会話を中心に文章を作ったけど変なところなかったかなー?

どこか変な点、注意点、色々あれば感想をどしどしお願いします。

 

それでは第三話で又お会いしましょう。

 

 

 

 

 

 

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