05 ─王子様は眠り姫を見て、あまりの美しさにその場に跪きました。 ─するとどうでしょう。あんなに深く眠っていたお姫様が目を覚ましたのです。 ─『ああ王子様、私がずっと夢に見ていたのはあなたでしたのね』 ─『おお、奇跡だ。美しい姫よ。どうぞ私と結婚してください』 ─こうしてふたりは末永く幸せに暮らしました。 ─めでたしめでたし。 「ねぇ、お姉ちゃん」 少年が、その向かい側に座るやや年かさの少女に声をかけた。 「ん? なあに?」 「どうしてその王子様だけはノロイの森にやられなかったの?」 目を輝かんばかりに見開いている少年。年のころは5才ほど、白い上っ張りのようなものを着せられている。 「ふふ、どうしてでしょうね」 対する少女の目も少年への深い愛情に満ち満ちている。こちらは10代半ば、ぴったりとしたボディスーツが彼女の若い身体を覆っている。 「教えてよぉ〜、お姉ちゃ〜ん」 少年はじれったそうに手で自分の膝を叩いている。 少女はその様子を、愛しげに見ていが、 「そうねぇ。その王子様だけは、きっとお姫様の運命の王子様だったのよ」 「ウンメイ?」 「そう、運命の絆は呪いなんかよりずっと強いの」 「へぇー、ゲキガンガーより?」 「さ、さあ、どうかしら。でも運命の王子様に出会えた女の子はみんな幸せになれるのよ」 少女は少年を抱き寄せると自分の膝に座らせた。 少年は少女を見上げるようにすると、 「うん、じゃあ、僕がお姉ちゃんのウンメイの王子様になってあげるよ」 「まあ、ありがとう」 少女は優しく少年の髪を撫でた。 何処にでもある仲の良い姉弟といった光景。だが、ふたりの周りにあるのは冷たいタイルと、無機質な機械の一群。 やがて、野太い男の声がした。 「試作2号。そろそろカプセルに戻る時間だ」 それはふたりの幸せな時間の終わりを告げていた。 「じゃあね。お姉ちゃん」 少年は突然大人びた表情をつくると、数名の白衣の男に連れられて行った。 悲しげにそれを見送る少女。だが、彼女にも別な声が掛けかれる。 「試作1号。お前は新たな任務についてもらう」 「はい」 「今回の任務は地球への潜入。目的等任務のデータを書き込み次第、司令室に出頭せよ」 「は!」 少女は年に似合わぬほど見事な敬礼で応えた。 ふたりを引き離した軍服の男が出て行くと、今度は白衣の男が少女に話し掛けてきた。 「あの子が心配かい?」 「……ええ」 気持ち少女の声は震えている。 「今度、あの子が培養カプセルから出るときは立派な青年になっているよ。楽しみにしているといい」 どこか人を食ったような声。少女をいたわるようでもあり、少女の反応を楽しむようでもある。 「………」 「それより、書き込みを始めたいのだが?」 「…ええ、お願いするわ、博士」 少女は頭に大型のヘッドギアをつけると、カプセルのようなベッドに横になる。 博士はカプセルの蓋を閉じようとするが、ふと手を止めた。 「そうそう、どうせデータを書き込めばわかることだが……」 「なに?」 「今回の任務での君の名前は『イツキ・カザマ』だ」 「そう」 少女は無感動に応じた。 「それだけじゃあない。君の任務完了後にはあの子が地球に送り込まれる予定だ」 「………」 「その際、あの子に与えられる名前は『ミカズチ・カザマ』。君のイトコにして恋人という設定だよ」 「そう……あの子も名前がもらえるのね」 少女は目を閉じている。かすかに泣いているようだ。 ゆっくりと閉じられるカプセルの蓋。完全な闇が少女を包む。 薄れゆく少女の意識の中、少年の声が響く。 『じゃあ、僕がお姉ちゃんのウンメイの王子様になってあげるよ』 ─ああ、私のミカズチ……あなたの名前はミカズチよ……。
機動戦艦ナデシコ
「眠れる森の美女」 第五話 優しい『罪と罰』 ナデシコBにはある種の敗北感が漂っていた。 敵にはまんまと逃げられ、同行していた統合軍艦隊はほぼ壊滅。奇跡的にナデシコ自体に大きな損傷がなかったのがせめてもの救いだが、艦のエースパイロットのカイトが負傷、今もって意識も戻っていない。 ナデシコBにルリが艦長として赴任して以来味わう、初といっていい完全な敗北だった。 いずれ統合軍本部では、一個艦隊派遣の決定が下されるだろう。それに伴い、ナデシコはプラント中枢部殲滅の任を解かれるはずだ。 だが、このままでは終われない。それはナデシコクルー全員の共通の思いだった。 「よいしょ、っと」 ナデシコBの廊下、医務室への道をルリがよろよろと歩いている。両手にはカイトのものと思われる着替えを満載させている。 司令部への報告などの残務処理をジュンがやってくれているため、ルリはすることがない。不眠不休のウリバタケ達整備班には悪いと思いつつ、おかげで病床のカイトの世話を焼くことができる。 「あらルリちゃん」 医務室ではイネスがルリを迎えてくれた。 「まだ、目を覚ましませんか?」 傍らのベッドのカイトに目をやる。額に巻かれた包帯の白が痛々しい。 「ええ、怪我はたいしたことないのだけれど、多分あの『力』を使った反動でしょうね。精神と肉体にかなりの疲労が残っているわ」 「あの『力』……」 前回の戦闘でのカイトを思い出すルリ。尋常ではない戦闘力、のみならずルリをも驚嘆させる指揮能力を発揮していた。 「あれがカイトさんの『力』」 カイト自身が『力』嫌っているのはわかっていた。だから今まで決して使おうとしなかったのだ。ルリもあの時のカイトは正直怖かった。 だが、あの時カイトが『力』を使わなければ、皆やられていたかも知れない。 「今回の命令違反は艦長として承服するわけにはいきませんが……でも、私たちのために使ってくれたんですよね……」 「そうね……」 ふたりは悲しげに目を細める。 その時、カイトがかすかに声をあげる。 「うう……イツキ…」 ピクッ。ルリの右眉がヒクつく。 「そ、そうだ、ルリちゃんカイト君の着替え持って来てくれたのよね」 とっさにイネスがフォローする。 「あ、これです。……目を覚ましたら『話がある』とカイトさんに言って置いて下さい」 「は、はい、ル……艦長。あら、このパーカー、カイト君がいつも着ている物ね」 イネスが着替えの一番上に置かれたパーカーに目を遣る。フロントジップの丈の長いパーカーだ。 洒落っ気とは無縁なカイトは艦内の私服といえば支給のジャージにこのパーカーを羽織って済ませている。 「ええ……アキトさんのお下がりなんです」 「……そう」 ふたりはまた、かすかに目を細めた。 「ふう、これで何とか……」 ウリバタケは額の汗をぬぐうと、スーパーエステバリスのコクピットからのびた端末にスイッチを入れた。 低いうなり声をあげ、白いスーパーエステバリスの目に光が灯る。 「おーし、修理完了! ったく、カイトの野郎。派手にぶっ壊しやがって」 だが、内心カイトの腕を認めないわけにはいかない。あれだけ無茶な機動をさせていながら、各パーツへの負担は驚くほど少ない。機体をいたわりながら戦闘を行っていた証拠だろう。 「まあ、今回ばっかりは大目に見てやるか」 誰に言うともなしに呟くと、下から声がかかった。 「班長! ちょっと問題が!」 「おう! いま行く!」 どんな時だろうと整備は常に万全に。不真面目に見えながらも、それがウリバタケのポリシーだ。 食堂には、リョーコとサブロウタの姿が見える。 テーブルを挟んで向かい合わせに座っているのだが、食事をするでもなく会話が弾んでもいない。 「なあ」 沈黙に耐えかねたのかリョーコが口を開く。 「ん?」 サブロウタは両手を頭で組み、椅子に寄りかかっている。 「カイトってよぉ、……一体何者なんだろうな?」 リョーコの声は毒気を抜かれたように聞こえる。威勢とキップが何よりウリな彼女には珍しい。 (あんなモン見せられちゃあな) サブロウタもそれは同感だった。 ぼんやりとカイトの前回の戦闘を思い出してみる。 自分たちよりも経験という点では遥かに劣るカイトに、あそこまでの実力の差を見せつけられては、対抗心よりも先にある種の馬鹿らしさを感じなくもない。 確かに『天才』とか『エリート』とか言われる人種もいる。だが、それはカイトに出会うまでは自分達のことだと、そこまでいかなくとも、自分はそれに近い人種だと思えるくらいの実績は残してきた。 (だが、) とサブロウタは考える。 カイトに関しては本当にそれだけだろうか? あの戦闘はまっとうな人間にできる芸当なのか? 地球出身のリョーコと違い、木連、それも一握りのエリートである優人部隊出身のサブロウタには、色々と予備知識もある。 木連には様々な研究部署があったが、なかにはかなりヤバ目の研究を手がけている所も多かった。その多くは一部のものにしか存在を知られていない所謂秘密部署だったが、なかでも草壁中将直轄という超々極秘の部署があったらしい。 噂では自分達優人部隊や、ボソンジャンプ能力の高い者のデータを基に、より優秀な兵士を『育成』しているとか、『研究』しているとかいわれていた。 無論憶測の域は出ない。優人部隊の間ですら存在するらしいという程度の話だったし、当時の上官アキヤマも確かなことは知らされていなかった。 それゆえ、今の今までたいして気に留めていなかった。それにサブロウタは、前回のカイトに勝るとも劣らない戦闘をする者を一度だけだが見たことがある。単にそういう奴がもうひとりいた、それで片付く話ではある。 あるがしかし、 (『跳躍戦士』、確かそんなコードネームだったかな……) 「おいサブ! 聞いてんのかよ!?」 「ん? ああ、まあそんな不毛なことよりもだ、もっと有益なことを話し合わないか?」 「有益? なんだよ?」 「もちろん、ふたりの今後の……ゲフッ!!」 リョーコの右ストレートが顔面にクリーンヒット。椅子ごと派手に倒れるサブロウタ。 「へ、てめえにマジな話ふった俺が馬鹿だったぜ!」 リョーコは行ってしまう。気持ち頬が赤く見えはするが。 「イテテ……」 ようやく起き上がるサブロウタ。殴られるような気はしたが言い終わる前に飛んでくるとは思わなかった。 「まあ、はぐらかしには成功したから……お、どうしたハーリー?」 今度はハーリーがやって来た。うつむきながら、涙をこらえるように唇をぎゅっと結んでいる。 「艦長……やっぱりカザマ大尉のことが好きなんでしょうか?」 「なんだよ? やぶからぼうに」 サブロウタにしてみればいまさらの愚問だが、ハーリーは真剣だ。 「さっきもカザマ大尉の着替えを持って……クスン」 個人的にはハーリーを応援してやりたくもあるが、カイトも友人だ。そうなると両者の愛情の深さが問題になってくる。 「まあ、俺の見たところ、ありゃお互いマジだな」 「ええ!」 「もう、お前の勝ち目はないんじゃないか?」 「そ、そんな!」 「なあ、ホシノ少佐だけが女じゃないさ。いっそ諦めちまえよ。いい女紹介してやるからよ……」 「いやだああああああ!!!!」 ガランガラン。 泣きながら疾走していくハーリー。後に残されたのはバケツをかぶったサブロウタ。 「なんで俺ばっか……」 ハーリーが投げつけていったバケツ脱ぎながらひとり愚痴るサブロウタ。 「まあ、あれでめげないようなら本物ってことだ。そんときはできるだけのことはしてやるよ。勝算薄いけどな…」 めげて諦めてしまった場合は? 「……泣くだけ泣けばスッキリするだろ……多分」 がんばれハーリー、君にもきっと未来はある。もっともその未来にはアオイ・ジュンがいるかもしれないが……。 その頃、カイトをイネスに任せたルリは、ブリッジでミスマル総司令からの指令を受けていた。ルリの横にはウィンドウ内でクシャミをするジュンの姿もある。 『ご苦労だった。アオイ君、ルリ君』 『「はっ!」』 『さて、さっそくだが今後の任務についてだ』 「任務、ですか?」 『うむ、統合軍では先ほど第五艦隊派遣の決定が下された。直ちに編成が組まれ、およそ十二時間後には発進準備が整う』 「……はい」 『それとだ、プラント中枢部の現在位置が先程判明した。ここだ』 モニター上のマップに光点が示される。ヒサゴプランのルートを使用すれば数時間でいける距離だ。 「総司令、まさか……」 『ナデシコBに下された任務は統合軍分遣艦隊への同行。分遣艦隊が壊滅した以上、その任務であるプラント中枢部の破壊はナデシコBに引き継がれている。そして、これは統合軍第五艦隊到着によってナデシコBが任を解かれるまで有効だ』 「………」 コウイチロウは謎をかけるような眼をする。その意味をルリもジュンも即座に理解する。。 「もう一度プラント中枢部へ……?」 『でも、何故ですか?』 軍の命令に本来何故もへったくれもない。だが、宇宙軍はこの辺の構造がいい意味でアバウトだ。 『地球連合からの要請だ……非公式のな』 「?」 『表面上は地球連合と統合軍は友好的だ。だが、連合内部には統合軍が軍事力を独占していることを愉快に思っていない者たちもいる』 『宇宙軍の存在は勘定にも入っていないということですか』 ジュンが不快そうに言う。火星の後継者を鎮圧できたのは自分たちの功績ではないか。 『だが実際問題、連合が統合軍に対抗しようにも先立つ戦力がない。そこで、彼らの眼にとまったのが……』 「まさかプラント中枢部!」 『そうだ、統合軍第五艦隊と交戦すれば流石のプラント中枢部もひとたまりもあるまい。彼らはそれがもったいないと感じたんだろう。だから……』 『だから、それより先に無傷で奪取しろって言うんですか!? 政治の道具にされるとわかっていながら!!』 「そんな命令には従えません」 口々に異を唱えるジュンとルリ。 だが、コウイチロウは眉一つ動かすことなく、 『この話、宇宙軍にとっても有益ではあるのだ』 『しかし!』 『政治とはそういうものだよ。と言いたい所だが……』 『「は?」』 『奪取に失敗してう〜っかり破壊してしまっても、それは不可抗力というものだ』 『じゃ、じゃあ!』 『宇宙軍司令部の決定はプラント中枢部の破壊だ。もちろんこっちも非公式だがね』 『総司令!!』 『要請を受ける引き換えとして、地球連合にナデシコC使用の許可をとりつけた。準備でき次第そちらに送る』 「了解しました! ナデシコCとルリちゃんのシステム掌握があれば!!」 勢い込んで敬礼をするジュン。だが、 『ルリ君。何か不服かね』 「いえ、了解しました」 『うむ。では頼んだよ』 切れる通信。 だが、ルリは……迷っていた。 (プラントを破壊すれは当然中にいるイツキさんも……。そうしたらカイトさんが……) しかし、心の中でもうひとりの自分が言う。 (イツキさんがいなくなればカイトさんを独占できる) その発想の恐ろしさとあまりの甘美さにルリは思わず身震いした。 と、ルリの目の前でウィンドウが開く。 「ウリバタケさん。どうしまし……」 『艦長!! 大変だ! カイトの奴がエステのコクピットに入っちまった!!』 ウリバタケの背後にはカイトのエステバリスに数名の整備クルーが取り付いている。 『ごめんなさい。ちょっと目を覚ました隙に……』 イネスのコミュニケも開く。 ひとりでプラントに行くつもりだ。そう思った瞬間、ルリは身を翻し格納庫へ走り出していた。 だが、間に合わない。カイトは単独でボソンジャンプできるのだ。 (間に合わない) (間に合わない) (間に合わない) 「オモイカネ! カイト機にアクセス! 単独通信!」 『了解』 コミュニケ越しに説得するしかない。ルリは咄嗟にそう判断した。 『接続完了』 パーカー姿のカイトがウィンドウに映る。 「カイトさん!」 『ルリちゃん。頼む行かせてくれ』 顔色はだいぶ良くなっている。あれだけの疲労からこの短時間での驚異的なまでの回復力だ。 『ダメです! 許可できません!』 『わかってるはずだ。もう僕かイツキのどちらかが死ななければこの戦いは終わらない。もう誰も巻き込ませないためにはこうするしかないんだ!』 「バカッ!!!!」 『!!!』 ルリ史上最大の『バカ』だ。カイトもおもわず動きを止める。 「……カイトさん女の子の気持ちが全然わかってません! 思い出してください、2年前のあの日のことを」 『あの日……? 僕がイツキを……た日のことかい?』 「……はい。あの時、イツキさんが撃とうとしたのは私です。イツキさんはカイトさんのことを本当に愛していたから、あなたを憎むことができなかった。今だって、イツキさんはカイトさんの死なんか望んでいないはずです」 『でも……』 「それだけじゃありません。先に銃を抜いていたのはイツキさんです。でも後から銃を抜いたカイトさんに撃たれた。きっとイツキさんは私を撃つ気すらなかったんです」 『そんな……そんな馬鹿な!』 「あのあとイツキさんの銃を調べました。弾は……入っていませんでした。きっとイツキさんはカイトさんの心がもう戻ってこないことを知っていて……。だから……でも誰かを憎むことはできなくて、でも本当にカイトさんのこと愛していたから、身を引くこともできなくて……だったらせめて自分の愛する人の手にかかって……」 『イツキが……そんな! 僕は!』 「でも事実です」 『それじゃ僕は……』 「でも考えてみてください。そんな優しいイツキさんが何故ボソンボムという残忍な行為をすることができたのか。それはこれがイツキさん本人の意思じゃないからです」 『……黒幕が他にいるんだね……』 カイトはうなだれている。表情が見えない。 そんなカイトを見るのが辛いのか、ルリ視線も外す。 「……はい。前回の戦闘でナデシコにボソンボムを使わなかったのは、イツキさんのせめてもの抵抗と考えればつじつまが合います」 『でも誰が……こんな……』 「それについては私に考えがあります。ミーティングを行いたいのでブリッジに来て……もらえませんか、カイトさん?」 『……はい、了解しました……艦長』 カイトのコミュニケが閉じられる。 「……はあ」 ため息をつくルリ。ウソをついてしまった。イツキの銃など調べていない。そもそもその時のルリはとてもそんなことができる精神状態ではなかった。 話の内容とて推測でしかない。確証も何もない。 なにより、カイトを引き留めたい一心で、結果的には彼をより傷つけてしまった。 だが、いまのではっきりわかった。 (もしイツキさんに何かあったら、カイトさんはきっといま以上に……) それだけは絶対に避けねばならない、あの優しいカイトをこれ以上悲しませてはいけないのだ。 そのためには、多分、ナデシコCの到着を待つ時間はない。 「これは完全な命令違反。……はあ、公私混同もいいところですね。……オモイカネ、私、艦長失格ね」 『前の艦長よりマシです』 オモイカネがフォローにならないフォローをいれた。 ルリの作戦はある意味非常に単純明快なものだった。名付けて『わからないなら聞いてみましょう作戦』。 プラント中枢部に向けてナデシコBでハッキング。イツキの真意を問いただすと共にプラント中枢部の全機能を休止させる。 当然ナデシコBではシステム掌握は不可能。 ここでウリバタケの『こんなこともあろうかと』が登場する。ハッキングシステムのバージョンアップだ。 まだ未完成だが、ルリとハーリーのふたりがかりなら一時的に機能を麻痺させることは可能なはずだ。 そして、その隙にカイトが内部に進入。同じくイツキに直接コンタクトを取る。 「危険すぎる」 と異を唱えたのは意外にもカイト自身だった。 「ルリちゃんもハーリーくんもハッキングに回ってしまったら、ナデシコBは完全に無防備になってしまいます!」 「そのためにサブロウタさんとリョーコさんがいます」 「おうよ! まかせときな」 「ひと様より、自分の心配をしな。自慢のボソンジャンプ、キャンセルされちまうんだろ?」 リョーコとサブロウタが親指を立てる。自分たちを信頼しろと言ってくれているのだ。 「リョーコさん……サブロウタさん……」 「つきましてはアオイさん」 『うん?』 アマリリスにいるジュンも、当然コミュニケ越しに参加している。 「アオイさんには最も重要な役割を担っていただかなければなりません」 ルリの御指名。 『よし! まかせておいて!』 胸を張って答えるジュン。 「カザマ大尉!」 「え?」 ハーリーは毅然とカイトの前に立つ。 「僕は絶っっっ対に、負けませんからね!!」 瞳にみなぎる決意。ルリをめぐってのカイトへの強烈なライバル宣言。バックに炎の演出効果を背負って、カイトに右手を差し出す。 おお、というどよめきがブリッジに起こる。 だが、ハーリーは忘れていた。相手は『あの』カイトなのだ。 「うん、ハーリー君。頑張ってこの困難な任務に打ち勝とう!」 当然、見事に空振った。 固まるハーリー。爆笑する一同。眉間を押さえるサブロウタ。きょとんとするルリとカイト。 さて、ジュンに与えられた『最も重要な役割』とは一体何か。 「はあ……」 ジュンは何度目かのため息とともにナデシコBを見送っていた。 非常に困難な任務だ。しかも時間がない。 「はあ……」 一体どうしたものか。 「はあ……」 ジュンの役割、それは、留守番兼命令違反の言い訳係だった。 「…はぁ……」 「プラント中枢部見えました!!」 「艦内警戒体制パターンAへ! システム統括!!」 ルリのIFSシートが前方に移動する。ワンマンオペレーション。通称戦闘モード。あるいは高機動モード。またの名をルリルリモード。 「エステバリス隊全機発進。タカスギ機、リョーコ機はナデシコBの直援。カイト機はそのままプラントへ」 『『『了解』』』 「カイトさん」 『はい、艦長』 「突入後はこちらから指示できるかどうかわかりません。可能な限り交戦は避けて構いませんが……気をつけてください」 『了解………ルリちゃん』 ルリの表情から、カイトは結論を出す時期であることを悟っていた。 「ハーリー君、ハッキング開始!」 「了解!」 ルリとハーリーの身体が淡い光に包まれる。IFSパターンが顔に浮かび出す。 「敵無人兵器きます!」 「迎撃してください」 ハーリーに代わって、オペレータたちが指示を出す。 『『了解!!』』 赤と青のエステバリスが見事なコンビネーションでバッタを撃墜していく。 ハッキングが功を奏しているのか、まだ、大した数は出てこない。ルリの読みが正しければ、ボソンボムを受ける怖れもない。 「なあ、中尉」 『なんだよ?』 「さっきははぐらかしちまったが……」 『……いや、カイトはいい奴だ。そうだろ?』 「ああ!」 サブロウタはちらっとカイトのスーパーエステバリスを見遣った。それはすでに小さな光点になりつつあった。 ハーリーのバックアップのもと、ルリの意識はプラントのメインコンピュータに進入していく。 『イツキさん……。答えてください……イツキさん…』 『プラント中枢部のディストーションフィールド消えます!!』 『カザマ大尉、突入どうぞ!!』 「了解!」 カイトと入れ替わるように膨大な無人兵器が現れる。だが、いまは二人を信じるしかない。 「イツキ、わかるぞ、君が何処にいるのか」 内部にも大量の敵が待ち受けている。だが、いまのカイトの敵ではない。 「どけっ!!」 ライフルの斉射。また、一機のバッタが塵となった。 ルリの意識はコンピュータの最深部へ達しつつある。 『イツキさん、何故こんなことをするんですか? カイトさんが憎いの? カイトさんを奪った私が憎いの? それともあなたを見捨てたこの世界が?』 ──。 『!? 違う? こんなことしたくない? じゃあ何故』 ──。 『「あの人」には逆らえない? 誰なんですか、「あの人」って?』 ──。 それに答えるように、ルリの前にひとりの男の姿が映し出される。 『はっ!!!』 『バッタ、来ます!!』 『左舷ブレード部損傷! フィールド出力20%低下!!』 『ウリバタケさん!!』 『わかってる! こっちも手一杯なんだ!!』 徐々に数を増やす敵。ボソンボムを使ってこないのと、戦艦を出してこないため辛うじて持ちこたえてはいるが、いずれ時間の問題だ。 「急いでくれよ! 艦長! カイト!」 サブロウタが絶叫とともに、レールカノンを撃つ。バッタをまとめて2機。 「よっしゃあ!!」 『サブ!! そっち行ったぞ!!』 「ちぃ!!」 振り向く。だが、レールカノンの長さが邪魔になって機動が一瞬遅れる。 ガキィッ!! 右肩のキャノンが付け根からもぎ取られていった。 カイトはプラント内の細い通路を進む。 敵がいないのを確認してから、そっとレトロスペクトを集めてみる。 「キャンセルされない。ハッキングのおかげか……。短距離のボソンジャンプならいけそうだ……は!」 一瞬の隙を突かれた。前方に5機のステルンクーゲル。 「ちぃ!!」 レールガン5門がたてつづけに連射。狭い通路内ではかわしきれない。絶体絶命か。 だが、その時、 「ふっ!」 エステバリスを包む膨大な光、一瞬、カイトの瞳が金色に輝く。 その光景を傍から見ていたものがいれば、カイト機が6つに分身したように見えただろう。5機のスーパーエステバリスがステルンクーゲルに密着しそのまま零距離射撃。そして、通路の終点にしゃがむ6機目に次々と重なり1機に戻る。背後の爆発が純白の機体を赤く染める。 『やあ、お見事、お見事』 コクピットに内にウィンドウが開く。正規の通信ではない。一方的な介入だ。 『瞬間的に6回ものボソンジャンプをおこなう、攻撃的ボソンジャンプ。名付けて「ボソンジャンプ六連(ろくれん)」。完全に極めたねぇ』 ウィンドウには白衣姿の男がいる。 「使えることはわかっていた。だが、使いたくなかった」 カイトはその正体を知っているのか、男の方を見ようとしない。 『ほう、なぜだい?』 男の声は、だが、答えを知っているようだ。 「……人間になりたかった。戦闘兵器になどなりたくなかった」 『もっとも私のせいですべてパーだがね』 男は手を上に向けて開く仕草をすると、なぜか優しげな目をカイトに向けて、 『おめでとう、最強兵器君』 カイトは機体を進める。前方にはもう機影はない。 「やはり、黒幕はあなただったのか」 『覚えてくれていて嬉しいよ。跳躍戦士試作体2号、ミカズチ・カザマ。いや、今は「カイト」君だったね。いやいや、「さっきまでは」だねぇ』 「なぜ、イツキと僕にこんな仕打ちをした?」 『心外だね。あれだけ手を掛けた子たちが間違った方向へ行こうとしていたんだ。ちょっと手助けをするのは当然だろ』 「間違った? 手助け?」 カイトの口調は淡々としている。そこにはいささかの怒気も感じられない。 『そう、特に君だよ、試作2号。なぜイツキを撃った。なぜ殺そうとした。私が手を出さなかったら大変なことになっていたんだよ』 「それは……」 『なぜホシノ・ルリに心奪われた。いや、最初はミスマル・ユリカだったな。君の「運命の姫君」はイツキ・カザマだというのにだ』 「僕は、カイトとして…」 『違うね。何、恥じる必要はない。君の行動は極めて合理的だったと私は思うよ。君の考えはこうだ。名前も記憶もなかった君。ナデシコという異常な世界。そして奇妙な面々。君は必死に適応しようとしたのさ、その特異な環境にね。ナデシコクルーのひとりと親しくなれば、その環境の構成員としてごく自然に受け入れてもらえる。その自然に溶け込むことができる。その相手が粘膜によって結びつく存在、異性であるならそれは一層完全になる』 「……」 『なんとも合理的な態度じゃないか。君が内部潜入員であったならナデシコの破壊や乗組員の暗殺などいつでも可能だった。「人間になりたかった。戦闘兵器になどなりたくなかった」だあ? 違うね。君は見事なまでに戦闘兵器なのさ。「ボソンジャンプ六連」を使おうが使うまいがね』 「……そうかもしれない」 『ん? よく聞こえないよ』 「あなたの言うとおりなのかもしれない。でも」 『でも? なんだね』 「きっと戦闘兵器でも人を愛することはできる……」 『!! ……ふ、ふは、ふはははっは!!』 「……」 『いいね。最高のジョークだよ。だが、どうするね、「眠り姫」はこの先で待ってるんだよ。わかってるんだろ? 彼女を救い出せるのは「運命の王子様」だけなんだよ。どうするんだい、「カイト」君?』 「『眠れる森の美女』か。イツキが好きだった話だ」 『覚えてるのかね?』 「僕の中のミカズチが。そして、イツキにその話をしてくれたのはあなただ、ヤマサキ博士」 『……』 通信は一方的に切られた。ウィンドウが閉じる瞬間、何故か男は微笑んでいた。 「やあ、来たかね。意外と遅かったね」 白衣姿の男──ヤマサキ・ヨシオは、背後の影におもむろに話し掛けた。 その声に応え影が動く。いや、影などではなかった。黒いマントとゴーグル状のサングラスにその身を包む者、黒き王子、 「テンカワ・アキト。研究ラボ以来かな?」 「あの時は世話になった」 「いやいや」 「今回の一連の事件、何がお前の目的だ」 「あの子達は私の誇りなんだね。それをお偉方は理解しようとしない」 「……」 「人類のタブーだの科学の暴走だの、潜入任務なんて影の仕事しかさせようとしなかった連中に教えたかったんだねぇ、あの子達の真の実力を」 「あいつは、カイトはそんなことを望んじゃいない」 アキトはゆっくり銃を抜き放った。 「撃つのかね?」 だが、ヤマサキはアキトに背を向けたままだ。 「ああ」 トリガーに掛かった指に力を込めるアキト。 「もう少し時間をくれないかな。せめてこの結末を見終わるまで」 「父王は『眠り姫』の目覚めを見ることなく死んでいくのだろう?」 「ふむ、これは一本とられたようだね。じゃあ座布団がわりにいいことを教えてあげよう。名付けて『跳躍戦士誕生秘話』。君たちA級ジャンパーにも関わることだよ」 「知っている。『白雪姫』はまだ終わっていない」 「おやおや、そこまでご存知とは! もうあげられる座布団がないよ」 「あるさ」 乾いた銃声が辺りに響いた。 「せい!!」 フィールドランサーが最後の扉を切り開く。 カイトの眼前には中枢部の施設、自らの生まれ故郷、かつてイツキと共に過ごし、そしてその手の掛けた光景が広がる。 「!!………イツキ…」 そこには純白のドレスに身を包んだ『彼女』がいた。『眠れる森の美女』、『眠り姫』、そうイツキ・カザマが。 「カイト……」 銃口から立ち上る硝煙を見ながら、アキトは呟いていた。 「どうするつもりだ……」 「ああ王子様、私がずっと夢に見ていたのはあなたでしたのね」 どこか夢見るような口調でイツキは言った。いつか、イツキが話してくれたフレーズ。カイト自身は覚えていなくとも、その身体のどこかに眠るミカズチに記憶が、心を湧き立てる。 踊るようにそっと細い手を差し出すイツキ。その姿は幻想のように美しい。 カイトもエステバリスのハッチを開け、じっとイツキを見つめる。 そしてゆっくりと、だがはっきりとした口調で、 「ごめんイツキ……、僕はカイトだ」 「!!」 「僕は……君のミカズチにはなれない……」 「いや……」 『じゃあ、僕がお姉ちゃんのウンメイの王子様になってあげるよ』 「いや…、いや…、いや…」 「…僕は……君の『運命の王子様』にはなれない」 「いやああああああ!!!!」 突然、イツキの姿に無数のノイズが走る。 「イツキ!?」 ゆっくりと消えていくイツキ。 「ホログラフィー? 立体映像……それじゃ」 『そうよ、本当の私はここ……』 無機質な、機械音声が響く。だが、その話し方はまぎれもなくイツキ・カザマ。 「そんな……」 カイトはゆっくりと、正面、プラントの中枢コンピュータに目を向ける。 「攻撃止みました」 「どうなっている?」 「ハッキングが成功したのか?」 「艦長? 艦長!!」 IFSシートに座ったまま動かないルリ。その瞳は濡れていた。 『「あの後」この施設はヤマサキによってハッキングされた。あなたによって冷凍されていた私の遺体は遺伝子レベルにまで分解され……この中枢コンピュータに取り込まれたのよ』 「……」 ───『でも、イツキも僕もまともな人間じゃない。A級ジャンパーたちのデータを基に作られた人造生物。遺伝子のひとかけらまで、遺跡と同調するためだけに作られた生体兵器』 ───『いや、ごめん。それでも生き物であることには変わりない。死ねばそれまでさ。イツキの遺体を確認して、それでこの空間飛行もおしまい』 (そうだ、死人が生き返るはずはない) ───『私が手を出さなかったら大変なことになっていたんだよ』 (それで……) 「こんな…、こんな! ヤマサキ博士……あんた一体何様のつもりなんだ……」 『いいのよ、こうしなければ私は生き続けることができなかった』 「しかし……」 『フフ……でもあなたにだけは見られたくなかった。「こう」なってしまった私を』 「イツキ……ごめん……」 『フフフ、変ね、私、機械なのに、感情なんかもうないはずなのに、なんで……こんなに……悲し……うぅ…』 カイトには言葉がなかった。一緒に泣いてやる資格さえ、今の自分にはないように思えた。 『……ねえ』 「ん?」 『ひとつだけ、私のお願いを聞いてもらえるかしら?』 「僕にできることなら」 『大丈夫よ』 「じゃあ。いいよ」 『私を……殺して』 「な!」 『わかっているでしょ? この中枢コンピュータはもともと古代火星人の遺産。それが私を取り込むことで、いわばもうひとつの『遺跡』になってしまった。それも私という意思を持った、ね』 その危険性、いかに有効な兵器となりうるかはカイトにも容易に推測がつく。 「しかし!」 『それにね、私はもう戻れないの。何もできないの。あなたと触れ合うことも、あなたを愛することも、あなたを奪い返すことも、あなたの心を縛ることも!』 「だけど!」 『自分で死ぬこともできないの。ここでずっと、あなたの隣で誰かが微笑んでいるのを見続けなければならないの!』 「イツキ……」 『私には、耐えられない……』 「僕は……。僕にできることは……」 本当はわかっていた。『眠り姫』を救えるのは『運命の王子様』だけ、そして『運命の王子』を演じられるのは『ミカズチ・カザマ』だけ。 だが、彼は『カイト』だった。 『眠れる森の美女』でカイトが演じられる役割はただひとつ。2年前にここで、一度演じたあの役。 「『眠り姫』に死の呪いをかけた『悪い妖精』」 そして『悪い妖精』にできることはただひとつ。 「もう一度『眠り姫』を、今度は確実に呪い殺すこと」 ゆっくりとライフルを構えるエステバリス。 『ありがとうミカズチ。ううんわかってる、あなたはミカズチじゃない。でも最後にもう一度だけ呼ばせて……。私のミカズチ……』 『カイトさん!! ダメです!』 ルリのコミュニケが割り込んでくる。だが、今のカイトにそれを見遣る余裕はない。 銃を構えるカイト。その銃の先にはイツキ。そしてカイトの背後にはルリ。 (同じだ……あの時と……) ──優しさが罪を招くなら、その罰には何を与えればよいのか? つづく あとがき(に類する何か) 異 界「というわけで最高にイやなところでつづくです。さて、今回のゲストは……」 ハーリー「こんにちはマキビ・ハリです」 異 界「はい、こんにちは」 ハーリー「あなたにいったんじゃありません。読者の方にです」 異 界「いやに突っかかりますねぇ。あなたは素直な子と聞いていましたが」 ハーリー「本編での扱い方にもよります」 異 界「まあまあ。これをあげますから」 ハーリー「なんですかこれは?」 異 界「幸運のタスキです」 ハーリー「なんですかこの『アオイ・ジュン2号』の文字は」 異 界「幸運のおまじないです」 ハーリー「そうですか、まあいいでしょう」 異 界「(クスッ)」 ハーリー「なんですか今のは」 異 界「幸運の含み笑いです」 ハーリー「……」 異 界「さあ、質問どうぞ」 ハーリー「……。何故今回は僕が呼ばれたんですか?」 異 界「いや……、殴らない人がいいなって……」 ハーリー「登場キャラが少ないですね」 異 界「人数増えるとわけわかんなくなって……」 ハーリー「ボソンジャンプ六連なんて、世界観壊しませんか?」 異 界「まあ……、かの『タイラントソード』だって名作だし……多分」 ハーリー「技の元ネタは某アオムラサキな人の必殺技からですか?」 異 界「タイ○ウォーカー零です」 ハーリー「個人的にファンでしたねそういえば……」 異 界「(誤魔化すように)次回予告!! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『La belle au bois dormant』」 ル リ「カイトさんの修羅場が見られます」 今だから(以下略) ようやっとの究明編。『今だから(以下略)』当初アキトは出す予定ではなかったんですが、この時点で続編を書くメドがついていたんで複線として登場してもらいました。 躊躇いも無く引き金を引くアキトと、躊躇いまくるカイトという対比ができたように思うんですがどうでしょうか。 で、結局の黒幕だったヤマサキさん。言動からも分かるように、イツキとミカズチ(≠カイト)には愛情にも似た感覚を持っているようです。ただ、それが『できのいい兵器』に対するものか、『手塩にかけたわが子』に対するものかは、多分本人自身にも分かっていないのでしょう。 やたらナデシコファンに嫌われている様子なヤマサキさんですが、異界的には南雲さんと並んで結構好きなキャラだったりするんですが、どうでしょう? ああ、抗議メールが怖い……。 しかし、このあたりでようやく『眠れる森の美女』について調べた成果のようなものが出ているようです。『お姫様』がいる以上、当然『王子様』も必要なわけで、でもその王子様は……。 このあたりでカイト君=王子様になれない男という図式が異界の頭の中で出来上がってしまいました。果たしてカイト君が『王子様』たりえる物語はあるのか? それが今後のストーリーになりそうです。 |
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