主人公キャラクター設定 ミカズチ・カザマ(カイト) セガサターン「機動戦艦ナデシコ The blank of 3years」シナリオ3『「思いで」は刻のかなたに…』版の主人公。 旧木連によって生み出された人工生命体。 すべての記憶を失い、火星離脱直後のナデシコにボソンアウト。 その後ナデシコBにパイロットとして配属。艦長ホシノ・ルリとの間に束の間の愛情を育むが、そのことが結果的に、自らの「対の存在」イツキ・カザマを死に追いやることとなる。 最後は、イツキへの贖罪のため木星プラント内にとどまり、彼女とともに眠りにつく。 以下、作者によるオリジナル設定。 その2年後、2201年「火星の後継者」の反乱の際、最愛の少女ホシノ・ルリの危機を察知し復活。 なし崩し的に宇宙軍に編入。 現在、連合宇宙軍ナデシコB所属エステバリスパイロット。階級大尉。 地球圏でただ一人、ボソンジャンプS級ランクを持つ。 複雑な経歴のため、戸籍上の年齢は20歳、外観は18歳、実際の生後は5ヵ年というフザケタ年齢設定をもつ。 01 漆黒の宇宙の中、カイトは白いエステバリスのコクピットにその身を沈めていた。 通称スーパーエステバリス、両肩の連装キャノンをその外観上の特徴とした、現時点における最強のエステバリスである。 そして、その前方には赤いエステバリス、こちらは二本の重力波ユニットを供えたエステバリスカスタム。言わずと知れた、スバル・リョーコの愛機である。 『おいカイト! なにボケッとしてやがる!』 カイトの前にリョーコのコミュ二ケが開く。 「は、はい。すみません」 反射的に謝ってしまうカイト。 軍の階級でいえばカイトの方が上官なのだが、ナデシコ内での力関係かカイトのいじめられやすい性格からか、どうしてもこうなってしまう。 「あ、リョーコさん、前」 『おう。こっちも確認した、あれだな』 「こちらカイト、艦長、目標視認しました」 二人の前方の空間、中破したリアトリス級戦艦がその船体を横たえていた。 ────それは『彼女』の凍りついた時間がふたたび時を刻み始めた証だった────
機動戦艦ナデシコ
「眠れる森の美女」 第一話 わかりすぎた『発端』 2201年10月8日、軍拘置所内からひとりの男が脱走した。 前の戦乱における主犯格のひとり。 優秀な科学者でこそあれ、体力的には一般人でしかない彼の男。脱走成功というひとつの奇跡の背後には、何者かの手引きを推測する向きもあったが、真相は謎のままだった。 事件から数日の後、統合軍所属の艦船が突如『消失』するという事件が発生。 「火星の後継者」の残党の仕業、新たなる反乱勢力、果ては宇宙軍・ネルガルによる陰謀。 宇宙軍への疑いそのものは、その後宇宙軍の艦船も同様に『消失』したことにより、一応の解消をみる。 だが事件の核心、『撃破』でも『離反』でもなく『消失』したという点については、なんの解決も進展もみられなかった。 「……で、あれがやっとみつけた事件へのてがかりっと」 ナデシコBのブリッジ、副長席のタカスギ・サブロウタがつぶやく。 「『消失』した1隻目と2隻目は跡形もなし、3隻目はその残骸のみ。4隻目にしてやっと形が残った船が……もっとも同一事件の物と仮定してですけどね」 サブロウタの左隣、ナデシコB副長補佐のマキビ・ハリが補足するように言った。 「カイト機は内部の調査を、スバル機はそのまま外部の調査にあたってください」 艦長席のホシノ・ルリの指示にリョーコとカイトのウィンドウが開き、『了解』と答え、再び閉じられる。 「でも艦長〜、いいんすか〜?」 とサブロウタ。やや冷やかすような口調だ。 「戦艦内部のコンピュータが生きていればオモイカネから直接アクセスすることもできますが、あの状況では……。直接内部を調べるしかありません」 「そうじゃなくって〜」 パイロットの仕事をふたりに取られて暇なのか、サブロウタはさらにつづける。 「カイ…カザマ大尉の操縦技術は宇宙軍内でもずば抜けていますし、いざとなればボソンジャンプで脱出もできます。こういう任務にはうってつけです」 ルリは気持ち頬を染めて反論する。事務的に受け流そうとして、カイトをカザマ大尉と言い直している。 「そうですよタカスギ大尉! 艦長は極めて正確な判断をしているだけです!」 横から、ハーリーが口を挟む。ルリとカイトの過去を知ってか知らずか、いずれにせよカイトを新たなるライバルと認識している。 「そう、艦長として正確な判断をするたびに、愛する人を死地へと追いやってしまう。ああ、なんと悲しいサダメ」 サブロウタは自分の両手で両肩をつかみ、もだえるしぐさをする。 「サブロウタさん! 艦長は別にカザマ大尉を好きとか嫌いとかいってるわけじゃ……」 「静かにっ!!」 ルリが珍しく声を張り上げる。 「任務に集中してください」 その顔が耳まで真っ赤なのは興奮のせいだけではないだろう。 「………ふう」 ブリッジのやりとりとそれに対するリョーコの爆笑を聞きながら、カイトはリアトリス級の手動ハッチをエステバリスに開けさせる。 「こちらカイト、ただいまより内部に進入します!」 ブリッジの喧騒に割り入るように声を張る。 『あ、は、はいどうぞ、統合軍の人たちが打ちのナワバリだーって言ってこないうちに』 ルリが取り繕うように言った。 「了解」 『あ、それと……』 「えっ?」 ルリは気持ち声のトーンを落とすと、 『……気をつけてくださいね。…カイトさん』 「了解……ルリちゃん」 今回の任務もうまくいきそうだ。カイトはそう思った。カイトはエステバリスを操り、格納庫内に進入。 前方のハンガーには数機のエステバリス量産型が見える。 「定番だとデビルエステバリスなんだけど……」 『反応ありませんね』 カイトのエステバリスからの情報をもとに、ルリとオモイカネが分析を開始している。 『エネルギー反応、生体反応、動体反応ぜんぶなしです』『誰もいません』『反応なし』『お留守です』といったウィンウがルリの前に開く。 「ふーん…、それより艦長」 『はい』 「このエステ、ハンガーに固定されたままですよね」 『ええ』 「エステを起動する間もなくやられたってことでしょうか? それも乗員のみが」 『……』 考え込む一同。この状況の異常さを悟り始めている。 『艦長おかしいぜ!!』 船の外側を調べていたリョーコから通信が入る。 「どうしました?」 『ああ、船体にあいた穴を調べていたんだよ……。どれも内部からの爆発でできた穴みたいなんだ。外から攻撃をくらったあとがまるでない!』 『うっ!!』 同時にコミュ二ケ内のカイトがうめき声をあける。 「カイトさん!」 『こ、これは……』 カイトはエステバリスの足元に人の影をみつけていた。 主なき人影。それは何か強力な熱と光で人が消し飛んだ跡…。 「ひとつじゃない…」 見渡せば、『それ』は格納庫中にある。 「ルリちゃん…これはどうゆう……」 『カイトさん……』 ルリも声を失う。 『カイト機前方にボース粒子反応!!!』 ハーリーの報告が沈黙を破る。 「くっ!!」 反射的にラピッドライフルを構えるカイト。しかしそこに現れたのは…、 「…なんだ? これは…」 物体。そう形容するしかない。 エステバリスの腰ほどまでもある黒光りする立方体。それ以外に特徴のない、まさしく物体。 「…はっ!!」 だが、カイトにほどこされた木連兵士としての知識が物体の正体に行き着く。 同時にカイトのエステバリスとコネクトしたオモイカネも何かの音を拾う。 『タイマー音……? ……カイトさん!! 爆弾です!!!』 ルリの叫び声の直後、リアトリスの格納庫は閃光につつまれる。 「ど、どううぇーっっと!!」 船外にいたリョーコ機もその衝撃に巻き込まれる。それでも機体を反転、とっさに立て直す。 「おいおい……」 ブリッジから呆然と眺めるサブロウタ。 格納庫から広がった爆発は、リアトリス全体に広がりつつある。 「カイト機反応消失!!」 ハーリーの悲鳴のような報告。 「カイトさん!!!」 ルリが思わず腰を浮かせる。 が、その瞬間、お尻の下になにか生温かいものを感じて思わず飛び上がる。 「ひゃぅ!!」 サブロウタとハーリーも目をやると、 「「「カイト(さん)!!!」」」 カイトが、ルリのシートに頭から突っ込む形でのびていた。ちょうどエビぞりというかシャチホコのポーズである。 いち早く爆弾に気づいたカイトはとっさにボソンジャンプしたのだが………、 「イテテ…ボ、ボソンアウトの座標がずれた…」 まったく同時刻、同ナデシコBの格納庫内。 「なんじゃこりゃぁぁぁぁー!!」 整備班長のウリバタケ・セイヤの絶叫が響く。 その視線の先には、カイトとまったく同じポーズでハンガーに突っ込んだ白いエステバリスの姿が……。 「お、俺のエステちゃんぐわぁぁぁ〜!!!」 ─────すべてはまだ始まったばかりである。 つづく 今だから言うけどのコーナー どうも、初めましてだったり二度めましてだったり、あるいは三度めましてだったりするであろう、ネット難民こと異界です。いまさらですがFFUとは無関係です。 さて、寄宿先であった某HPが滅亡の憂き目に逢い、流浪の旅をつづけていたところこの度、Rinさんよりかような場所をご提供いただき、感謝間隙雨あられ(古い)でございます。 この「眠む眠む」(変な略)異界として初めて書いたSSなわけで、大して上達したともいえない現在の目からみてもかなり稚拙というかなんと言うか。 が、しかし、かのコナン・ドイルのごとく、文章をいまさらなおすというのも潔からずとの信念のもと、明らかな誤字脱字以外はそのまま掲載させていただこうと思います。(単に直すのがメンドクサイのではという説と、その通りという真実がありますが) まあ、それだけでは以前にも読んでいただいた方々に申し訳ないということで、こうしたコーナーを作らせて頂いたわけで、次回以降、製作秘話ともうしますか、楽屋落ちみたいな話をさせていただこうかななんて思ってます。 では最後になりましたが、私如きの拙作を気にかけてくださったひ〜ろさん、ヒジュルさん、そしてRinさんに心よりの感謝を。 では、また第二話でお会いしましょう。 |
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