浴 衣。


 今日は屋台がお休みで、私とユリカさん、カイトさんとアキトさんで別 行動。私達は買出しに出かけました。
 カイトさんはアキトさんと新しいスープを開発するとか。

 今日は遅くなると言うことで、私達は買出しのついでに銭湯によって来た。



「あ、カイトさん。」

 

 アキトさんのアパートに帰ってくると、丁度部屋から出てきたカイトさんと出くわした。
 最近、何故か私はカイトさんの目を意識している。
 





 あ、別に変な意味じゃないですよ?



「やあルリちゃん、ユリカさん。お風呂入ってきたの?」

 

 私はお風呂上りの浴衣姿。お風呂上りには時々着ている。結構着心地良くて好き。
 今日はたまたまユリカさんに付き合って浴衣にした訳で・・・。

 

「うん!お先に〜。」
「カイトさんも、入ってきたらどうですか?」
「そうだね。そうしようかな?」

 

 汗をかいて、少しだけ髪が乱れてる。・・・ドキっとするくらい綺麗。その顔で微笑むの、反則です。

 

「カイトくん!女の子二人が浴衣姿で目の前にいるのに、何か言うことは無いのぉ?」

 

 ユリカさんがからかうようにカイトさんにそう言う。

 

「あははは・・・すみません。」

 

 カイトさんは苦笑していた。本当はどう思ってたのだろう?
 聞きたいような、聞きたくないような。

 でもカイトさんがアカツキさんのように「いや〜、やっぱり女性は浴衣姿に限るよ。俺は果報者だなぁ!」
 なんて言ったら絶対イヤ!

 

「むぅ〜〜。せっかく浴衣でビシッと極めて2人を驚かせてあげよーと思ったのにねぇ、ルリちゃん。」

 

 ・・・私に振らないで欲しい。
 でもユリカさんと並んでたらさすがに分が悪いな。

 

「・・・別に。ユリカさんに付き合っただけです。」
「そんなこと言っちゃって!ルリちゃんだってカイト君に見てもらいたかったんでしょ?」
「なっ・・・・・!」
「そうなの?ルリちゃん。」
「違います。」
「そう?その割にはカイト君が部屋から出て来た途端浴衣の襟直してたよね〜?」
 


 う・・・。見られてた。

 

「・・・たまたまです。」
「嘘うそ!ユリカはお見通しだよぉ!さぁ〜白状しちゃえ〜〜〜。」

 

 そう言ってユリカさんが私の頬をつまむ。

 

「ほんひょうれす。」

 

 そんなやり取りをカイトさんは微笑ましそうに見ている。
 

 ふと、カイトさんと目が合ってしまった。思わず視線を逸らす。
 見透かされてるようで、心臓がドキドキ言っている。



 私今、顔中赤いんじゃないのかな?

 

 

 

「似合ってるよ、ルリちゃん。」
「・・・え?」

 

 今、カイトさん何て言ったの?私の聞き違い?

 

「浴衣、とっても良く似合ってる。あ、もちろんユリカさんもね。」

 

 う・・・やっぱり聞き違いじゃない。に、似合ってるって、言ってくれたんだ。



「なぁ〜んか、ユリカついでって感じだけどなぁ。」
「そ、そんなこと・・・・・あはは。」

 

 ユリカさんが何か言ってるけど、耳に入ってこない。

 頭の中は真っ白で。ただ、カイトさんの言葉ばかり繰り返している。

 

「か・・・からかわないで下さい!し、失礼します。」

 

 思わず先に部屋に戻ってしまった。




 

 

 

「あれ?ルリちゃん一人?外でユリカたちの話し声してたと思ってたんだけど。」
「・・・・すぐ来ると思います。」
「・・・・・そう?」

 

 台所から声を掛けてくれたアキトさんを避けるように居間の方に駆け込んだ。
 
 

「・・・・ばか。」



 ああ、せっかくカイトさんが褒めてくれたのに。何やってるんだろう。
 心臓はドキドキしっぱなし。今夜はとても眠れそうも無い。

 寝不足になったら、カイトさんのせいです。




 責任、取ってもらわないといけませんね。

   

 

 

 

 

 

 

「・・・これから毎日この浴衣にしようかな♪」



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