がんばれルリルリ!!

〜教師編〜





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「はい、それでは授業はここまでです」

きりーつ、れーい、とおじぎをするカイトさん。

傍らにいるユリカさんは邪魔ですが、それも一時のことなのでおっけーとしましょう!

「ごくろうさまでした。授業の結果、最も優秀だったのはカザマ・カイトくんです。カイトさんは明日からA組に編入されますので、まずその前準備として……」

うふふ、社会科準備室に連れていって根掘り葉掘り質問責めです。

高校生になったばかりですから恋人はいないでしょうけど、つまらない無視がつかないように予防注射をしておかないといけませんから!

「いや、あの、星野先生」

「はい?なんですかカイトさん」

「回答数はユリカさんの方が多いですよ。僕、まるで授業に参加してなかったじゃないですか」

そうですね、と頷く琥珀さん。

「いえいえ、ユリカさんは関係ないんです。実は始めから生徒たちの中にも試験官がいましてね、ユリカさんはその試験官なんです。ですからユリカさんの成績は関係ないんですよ」

「――――――」

驚くカイトさん。

……騙されていた、とショックを受ける顔もいいなあ、と思っちゃいました。

「いや、先生。それがですね」

「わたし、試験官なんて知らないけど」

カイトさんとユリカさんは、ほぼ同じタイミングでそんな事を言いました。





「――――――はい?」





と、いう事は、ですね。

「り、理事長、先生……?」

「ほっほっほ。ですから申し上げたではないですか、一生付いてこられても困りますぞ、と。だいたいですな、何の問題もないカザマ・カイトくんがQクラスに編入されるとでも思ったのですかな?」

ほっほっほ、とメガネを揺らして笑う髭メガネ。

「そ、それじゃあ私が受け持つ生徒はカイトさんではなくて」

「うん、わたしだよルリちゃん」

「くっ……」

がくり、と倒れそうになる体を支えます。

確かにカイトさんを受け持てなくて残念です。が、新学期は始まったばかりっ!

こうなったらこの出会いをきっかけにして、カイトさんと師弟として親愛を深めるのみですっ……!


「カ、カイトさん、あのですね……」

「ね〜理事長先生、Q組のテストって終わりましたか〜?」

……と。

なぜか、今回まったく出てこなかった人の声が聞こえてきました。

「あ、ルナ先生」

カイトさんの顔が明るくなった。

「やっほ〜!試験官ごくろうさまです、マスター!」

「ばっ……!やめてって、ここ学校だよ。あんまりくっつくとマズイってば」

B組担任、英語教師のルナに抱きつかれるカイトさん。

やめろやめろと言いながら、本人はとても嬉しそうです。

「あ、あ、あ…………貴方たち、なにを」

「あ、違うんです先生。僕はルナと知り合いというか、友人というか」

「なんですか、あんなコトまでした仲なのに〜。理事長先生公認なんですから隠すことじゃ無いですよ」

ぽっと頬を赤らめ恥ずかしそうにそう話すルナは女の私からみてもとても可愛く見えてしまいます。

「り、りり、理事長先生公認……!?」

「そうですよ。そういうワケでマスターはわたしのですから、これから二人で遊びに行くんです。邪魔しないでくださいね、星野先生」

それ〜、とカイトさんの腕を引っつかむルナ。

「ばっ、止めてって!ああもう、しょうがない、分かったってば!……あ、それじゃあ今日はご苦労様でした星野先生!」

ルナ・エヴァン(同僚。教育実習時代からのライバル)は人の運命の相手、一目惚れの理想像を連れ去っていって行ってしまいました。

後に残ったのは、気の毒そうに笑っているユリカさんと、楽しそうに笑っている髭メガネ。

「ほっほっほ。星野先生はやはり不幸が似合いますなあ」

「コルトパイソン!」

ふっとぶ理事長。

……ああ、どうせこうするのなら始めの方でやっておけば良かったのに!

「……うう、あんまりです。たまに主役かとおもったらこんな馬鹿話ばっかりで。わたし、やっぱり一番にはなれない星の下に生まれているのでしょうか……?」

がくり、と机につっぷす私。

「何言ってるの。ルリちゃんは十分魅力的だよ。その証拠に本編じゃああんな鬼畜変態アキトが浮気もせずにひたすらいれこんでるじゃない。それに年端いかない可愛げな少年とか目連のナンパな癖に妙に真面目な副官とか」

愛されてます、と笑いかけてくれるユリカさん。

その笑みは爽やかで、本気なのかそれとも歪曲した嫌味なのか判別がつかないくらいの爽やかさでした。

ああ、そんなのばっかりに愛されてもしょうがないんですよ。

私が欲しいのは正ヒロインたる証であるカイトさんとの胸焼けするくらいのラヴロマンスなんですから。

「……ありがとうございますユリカさん。あの、一杯付き合ってくれますか?」

「うん、わたしでよろしければよろこんで」

ユリカさんに慰められてよたよたよた。

「……準備室、行きましょう。あそこに沢山お酒がありますから」

はい、今日はもう自棄酒です。

「でも、たしかルリちゃん未成年だったよね」

「何言ってるんですか。そんな法律なんて破る為に有るんです」

今に見てなさいよあの腐れ作者。

大明神様と轟天号にお願いして痛いじゃすまないくらいの神罰を喰らわしてやるんですから。


そうして、Qクラス特別授業は波乱のうちに終わりを告げたのでした。








このSSは月姫というゲームのパロディです。
その事を念頭においてお楽しみください。
苦情その他は悦んで受け付けしますので、メールお待ちしておりますにゃ♪
ではでは星風でした〜








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