所々から水が吹き出ている。
なめてみると塩辛い。
海水はどんどん溜まっていき、胸元まで来ている。
「しかたないかな。来てくれるまでもう少し時間がかかりそうだからなぁ」
第二話 懐かしい面々と
消毒液のにおいが鼻をくすぐるここメディカルルーム。一つのベッドの上に半起きでいるカイトを数人の女性達が取り囲んでいる。
「なんとなく、ブラックな雰囲気で怪我をしてもいないのに怪我をしてるみたいなんですけど……」
「そりゃねぇ……カイト君に問題があるんだと思うんだけど」
「そんなことどーでもいいのよ。さっさと謝っちゃいなさいよ。男らしくないぞ、ぷんぷん」
「でも、特攻のことについては謝りましたよ。それ以外に何か心配させるようなことをしましたか?」
ミナトとユキナはあきれた表情をする。カイトを挟んで反対側にいるイツキとルリからは冷気が発せられる。
「もしかして、仮死状態で助けを待ってたことかな? けど、あのとき助かるのにはベター行動だったはずだけど」
さも当然に言うカイト。
「あのね。そこの2人がどれだけ心配したのかわかってるの、カイト君!!」
「そーだよ。2人とも普段からは想像できないほど取り乱してたんだからね!!」
「ユ、ユキナさん。それは言わない約束です」
「そうよ、ユキナちゃん」
「あっちゃー。ごめん。そういうことだから、カイトさん。さっきのこと忘れて」
「そういわれても急には忘れられないよ」
苦笑気味に答えるカイト。
「でも、まさかそれで心配をかけたかとは思わなかったよ。僕が自分の意志で仮死状態になれることぐらいイツキは知ってたでしょ? だから、心配しなくていいよ」
「そ、そうね……忘れていたわ。ごめんなさい」
伏せ目がちに謝るイツキ。カイトは何故イツキが悲しそうにしているのかわからずおたおたする。
それと同時に鋭く責める視線が三つほどカイトを突き刺す。
「え、え、え。僕はただ、このくらいのことなら心配しなくてもいいって言いたかったんで……」
何故、責められるのかわからないカイトはますますおたおたする。
「知っていてもそれを思い出せないほどのことがあれば、仕方ないでしょ。もう少し自分がどう思われているか、知ったほうがいいのじゃないかしら?」
いつの間にか現れたナツキが呆れたように言う。服装は数時間前のドレスではなく統合軍の軍服に替わっていた。
「ぐっ。ごめんなさい……」
「謝る相手が違う!」
「うっ、そうでした。イツキ、ほんとごめん。そんなに心配するとは思ってなかったんだ。今度からは書き置きしてからそういうことはするから。みんなも心配かけてごめん」
「そーゆー事じゃないでしょ、カイト君」
ぺこぺこ謝っているカイトをミナトは呆れたように見た。みな、同じ心境のようである。
「大丈夫ですよ。意味はちゃんとわかっているようですから」
唯一イツキだけが、謝っているカイトを優しく見ていた。
「イツキさんはなんだかんだ言ってカイト兄さんに甘いです! こういうときにはびしっと言わないと。また、こんな事をされたら見てられません」
ルリはまだ溜飲が下がらないようだ。
「まあまあ、イツキもこう言ってることだから許してあげようよ」
「 「「「自分で言うな、自分で!!」」」」
「お茶目なジョークなのに」
「 言っていい場合と悪い場合があるでしょ!!!」
お仕置きと言わんばかりにイツキはカイトの耳元で大きな声で怒鳴った。
「ぷっ……くくくっ、あはははっ。ほんっとあなた達って見ていて飽きないわ。仕事をさぼってまで来たかいがあったわ」
必死に笑いをこらえていたナツキがこらえきれなくなり笑い出す。
その笑い声で我に返ったカイトとイツキは顔を赤くしてうつむく。
「はぁはぁ……赤くなってなくてもっと笑わせてくれてもいいのよ」
「その前に仕事をしてもらえませんか、キリシマ大佐?」
おなかを抱えながら笑っているナツキの後ろから、ジュンが汗だくになって書類を持って現れた。
「あれ、ジュンちゃん。お仕事終わったの?」
「あとちょっとだよ。この書類にキリシマ大佐がサインをしたらぼくの仕事はお終い。カイト君は大丈夫そうだね」
「見舞いありがとうございます。そういえば、今回の事件っていったい何なんですか?」
元気に笑ってみせる。だが、ジュンは少しだけ申し訳なさそうな顔をする。
う ち
「今回の調査は宇宙軍でなくて統合軍が行うからよく分からないんだ」
「それってどういう事なんですか。宇宙軍の基地であった事をなんで統合軍がするんですか?」
間髪入れずにルリが言う。
「テンカワ・ルリ少佐、あなたの言いたい事もわかるけどここは“軍隊”なのよ。理不尽だろうと命令には従ってちょうだい」
やんわりと言っているが拒否することを許さない口調でナツキが言う。
「でも……」
「カイト、あなたはどうなの。ルリちゃんと一緒?」
反論しようとするルリを遮ってイツキが聞く。
「まあ、しかたないでしょ。僕らよりここの基地指令の方がよっぽど歯がゆい思いをしてるんだろうから。少しは我慢しないと」
カイトはわしわしとルリの頭をなでる。
「怪我をした人には申し訳ないけど、誰も死んでないからいいんじゃないかな。統合軍も結果報告ぐらいしてくれるんだからさ。ただで仕事をしてくれる興信所みたいなもんだと思えばいいでしょ」
「あのね、その担当者の前でそーゆー事は言わないでちょうだい。やる気が萎えるわ、ただでさえ無茶を押しつけられているのだから」
カイトの無責任な発言にげんなりした顔になるナツキ。
先ほどの会議でナデシコに乗っていて誰よりも状況を正確に把握しているという、ほとんどこじつけの理由で事件調査を命じられていた。ただ働きをさせられていると思われてはさらにやる気をなくすものだ。
「先ほどのわがままのバチが当たったのではありませんか? これに懲りて今回は真面目にお仕事をなされては」
「そうですね。ついでに優先的に事故報告をしてもらうと助かります」
「あー、もうわかったわよ。はいと言わなかったら、勝手にブリッジに入ったことを言いふらすのでしょ。真面目にするかどうかはわからないけど、ちゃんと教えてあげるわよ。こんな事ばっかりしているとろくな大人になれないわよ」
「大丈夫です。私、少女ですから」
こう言われてはナツキの開いた口がふさがらない。完全にやられた。みんなは「ルリルリの勝ち」と笑いながら拍手をしていた。
謎の木星トカゲの襲撃から一週間後、ナデシコはネルガル月面基地に来ていた。
「ようこそ、ネルガル月面基地へ」
「エリナさん直々のお出迎えとは恐れ入りますね」
カイト達を迎えたのはネルガル月面基地のボス、宇宙開発部長のエリナだった。
「それだけあなた達に期待してるのよ」
「期待、ですか」
「たしか、クリムゾングループに次期主力機動兵器の座を奪われたのですよね?」
「だからって、僕をテストパイロットにってのは。一応ナデシコBの副長なんですけど」
エリナもこう言われるのはわかっていたようでさして表情に揺らぎはなく、逆に余裕そうに微笑む。
「大丈夫よ。ちゃんとナデシコのテストトライアルに合わせるようにスケジュールを組んであるから。それにもう一つ辞令があるの。カイト君は月面新人パイロット教習にて特別戦技顧問として赴任すること」
「異議があります。カイト兄さんが副長としての任を果たせなくなる可能性があります。完全なオーバーワークです」
「聞いた話によると、実質的に副長としての仕事はカザマさんがしているって聞いているけど」
「そ、そんな。一応最低限のことはやってますよ」
核心をつかれたのかカイトは焦った様子で弁護する。ルリの視線が次第に鋭くなっていく。
「イツキさん、先日からのナデシコB機動データのまとめをしましたね?」
「ええ。カイトがほかの調べものをしたいからお願いって頼まれたからなのだけど。いけなかった?」
「イツキさん、なんでそうもカイト兄さんに甘いんですか!!」
「あら、そうかしら。その代償が1日下僕になるのだけど」
「ちょっと待った、そんなこと知らないぞ!」
「了承します」
「うふふっ、ありがと。ルリちゃんも使っていいから」
「ありがとうございます」
「人権無視ですか!?」
「カイト君にそんなものあったの?」
「エ、エリナさんまで……はいはい。いいですよ、1日ぐらい」
ジリリリンッ
まるで会話の区切りがつくのを待っていたかのように机の上にあるインターフォンが鳴る。黒電話を連想するような呼び鈴はエリナの趣味だろうか。
エリナがインターフォンのスイッチを押すと秘書と思われる女性がウィンドウに現れる。
『ウォン本部長、パイロット教習所のスバル教官がたがお見えです。お通ししてもよろしいでしょうか?』
「こちらの話も一段落したから通してください」
『かしこまりました』
用件だけを終えるとウィンドウは閉じ、代わりに応接室のドアが開く。
「よぉ。おまえら元気だったか?」
リョーコが手を上げながら入ってきた。
「リョーコさん、お久しぶりです」
「元気そうで、教官姿が板についてきてますね」
「その節はお世話になりました」
三者三様の挨拶をする。
だが、エリナだけ首を傾げる。
「もう一人の方は?」
「ああ、ラビオのやつはなんだか緊張したとかで部屋を出ていったんだよ。おおかた有名人のルリが居るからじゃないのか?」
「私、そんなに有名人ですか?」
ルリがきょとんとしながら質問する。
う ち
「ここでルリちゃんを知らないやつが居たら、もぐりだよ。宇宙軍ではファンクラブを作ろうって艦隊があるらしいんだよ。だから、統合軍の人が知っていても当然だって」
う ち
「そうね、ネルガルにもいるぐらいなのだから宇宙軍にいても当然ね」
「はぁ。人の知らないところで勝手に話が進んでいるんですね」
知らないところで話が進んでいるのだからルリは少し困った顔になる。
「有名人は辛いわね」
本気で言っているのか冗談で言っているのかわからない表情のイツキ。
「なにいってんだ、イツキだってカイトだってそれなりに有名人だろ」
「あら。そうなんですか? この人が“いろいろな意味”で有名なのはわかっていますけど」
リョーコの問いかけにイツキは人差し指を頬に当てて不思議そうにする。又隣のカイトは科白に心当たりがあるのか視線をずらし、扉の方を見ながら頬をかいていた。
と、そのときちょうど扉が開く。
「遅れて申し訳ありません。月面パイロット教習所副教官ラ……」
部屋に入ってきた二十歳ぐらいの女性は敬礼しかけでぽかぁんとカイトを見詰めている。
「ラビじゃないか。へぇ、教官をやってるのか。あのおっちょこちょいのラビがね。元気そうでよかったよ」
「本当に元気そうでよかったわ、ラビオ」
カイトは立ち上がり、イツキは微笑みながら今来た女性を見た。
「おぉい。ラビオどうしたんだよ。何泣いてるんだよ」
リョーコが指摘するようにラビオと呼ばれた女性はぽかぁんとした表情のまま両目から涙を流していた。
「だって、だって……あの人達がいるんですよ……逢いたかった人たちが目の前に…………だって、だって……うあぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」
そういうとラビオはカイトに飛びつく。
「おいおい。まるで幽霊みたいにいわないでよ。ちゃんと僕とイツキは生きているよ。ほら、手、冷たくないだろ」
ラビオを抱き留めたカイトは優しく涙をふき取ると優しく頬に手を当てる。
「えぐっえぐっ……あったかぁいでずぅ……ひっくひっく……」
そういうとラビオは涙の乾かぬ瞳を閉じ、上を向く。
カイトもちょっと微笑を浮かべて瞳を閉じようとしたが、
「ラビオ、そのくらいにしておいた方がいいわよ。カイトと一緒の目に遭いたいのなら話は別だけど」
にこやかな表情を浮かべたまま冷気を発するイツキ。
「カイト兄さんも調子に乗ってそのまま“キス”をするつもりじゃないでしょうね?」
あっさり人を殺せそうな視線を向けるルリ。どうやら表情を変えずに殺気を送るという高等技術はまだ会得していないようだ。
「あはははっ。イツキ先輩、そんな大それた事、先輩の前で出来るわけないじゃないですか。あははははっ」
冷や汗をかきながら必死にごまかすラビオ。
下手に動けば殺られる!!
カイトの方はこう思いこんでいるため完全に硬直していた。
「おまえら、かわってねぇなぁ」
「ほんと、このまま任せていいのかどうか迷っちゃうわ」
カイトのエマージェンシー視線をさりげなく無視して、リョーコとエリナはふぅとため息をつく。
「大丈夫です。カイト兄さんの首輪は私とイツキさんでしっかり持っておきますから」
「そーゆー事を言いますか、おにーさんは悲しいな」
「そういうことをするからでしょ。少しは改めてルリちゃんの事を聞いたらどうなの?」
「変わらないんですね、カイト隊長は」
ラビオは、三人のやり取りを懐かしそうに見ながら、なれたようにカイトの抱擁から離れる。
そして、改めて面々の前に立ち、敬礼をする。
「月面パイロット教習所副教官を務める、ラビオ・パトレッタ少尉です。テンカワ少佐、今回はミナヅキ大尉、カザマ中尉を御貸し願えるということ。感謝いたします」
「連合宇宙軍所属ナデシコB艦長、テンカワ・ルリ少佐です。カザマ中尉はともかく、ミナヅキ大尉は非常に迷惑をかけるので、あらかじめ謝罪しておきます」
「そのことに関してはご心配なく。なれていますから」
「ふっ。ラビも言うようになったなぁ。ほんとに」
にこっと笑うラビオを見て、カイトは困ったように頬をかきながらソファーに座り、お茶を飲もうとしたが警報が鳴る。
エリナは素早くコミュニケを操作して警備課に連絡を取る。
「いったいどういう事? 誤報?」
『ほ、本部長。敵襲です!!』
責任者の男は急に出たエリナに若干興奮気味に答える。
「状況は?」
『はい。当基地がグラビティーブラストで攻撃されましたが、遠距離だったため命中しませんでした。敵は1機。ボース粒子が検出されたのとグラビティーブラストの出力から考えますと旧木連兵器のジンタイプだと思われます』
「自動迎撃システムで敵をテストエリアに誘導。あそこはだだっ広いだけの所だから被害はでないわ。声明とかは何も出ていないのよね?」
『何も出ておりません』
「今すぐ、管制室に行きます。なにか変わったことがあったらすぐ連絡をちょうだい」
『分かりました』
エリナはウィンドウを閉じるとみんなと向き合う。
「悪いわね。こういう事だから、失礼するわ」
部屋から足早に去ろうとするエリナの方をリョーコが引き留める。
「ちょっとまてよ。オレ達のカスタムできてんだろ? なら、テストエリアから相手をしてやるよ。ラビオ、いいだろ」
「もちろんです」
やる気満々で答えるラビオ。
「……エステは三番デッキにあるシャトルの中にあるから、すぐスタンバイさせるわ」
ぴたっと止まり、少し考えたあと生返事っぽくエリナは答えた。
「サンキュー。ラビオ、行くぞ」
「はい。カイトさん、先輩。がんばりますからちゃんと見ててくださいね」
リョーコは親指を立てて、ラビオは手を振りながら走って部屋を出ていった。
2人が出たあともエリナは考え事を止めていなかった。
いっこうに部屋を出ていかないエリナをルリは怪訝に思ったが、まず艦長として行動することにした。
「エリナさん、私達はナデシコに戻ります。カイト兄さん、イツキさん、行きますよ」
「ま、まって!」
ルリの言葉に思考を停止されたのか、エリナは焦って3人を引き留める。
「今更ナデシコに行っても出来ることは少ないでしょう。だったら、管制室に来て手伝ってくれないかしら?」
「そりゃ、武装がグラビティー・ブラストしかないナデシコBじゃ出来ることは少ないかもしれませんけど、そっちの管制室に行った方がよりはすることがあると思いますよ」
「それにお邪魔をするのもなんですし」
カイトとイツキが至極まっとうなことを言う。
「そんなことないわよ。実戦経験豊富な人がいるとそれだけでその場が安心するのよ」
「お二人とも、こうなったらエリナさんは引きませんよ。それにナデシコBはいつの間にかメンテナンス中らしいので簡単には出られそうにありません。ここはエリナさんの言うとおりにしましょう」
あわてるエリナを後目にいつの間にか開けていたウィンドウを閉じながらルリが纏める。
「ならいいわね。いきましょう」
ほっと胸をなで下ろした様子でエリナは3人を促した。
謎のジンタイプはネルガル職員の努力のおかげでテストエリアまで誘導していた。
それを見計らってリョーコとラビオのエステバリスカスタムが飛び立つ。
「ラビオ、やけにご機嫌だな。再会の邪魔をされて腹立たないのか?」
「別にそんなことないですよ。これからお話なんていつでも出来ますから」
「じゃ、なんでそこまで機嫌がいいんだよ?」
鼻歌まで聞こえてきそうに機嫌のいいラビオを訝しそうに見ながらリョーコは尋ねた。
「だってだって、隊長やイツキ先輩に私の成長した姿をすぐさま見せられるんですよ。ここまでお膳立てしてくれた敵さんには本当に感謝しています」
「おいおい」
さすがのリョーコも呆れる。
普段は真面目で自分の無茶をさりげなくフォロしてくれて非常に頼りがいのあるラビオだが、さすがにこのときばかりは不安に思った。
ラビオはぱっと見た目は調子に乗ってるんるん気分にしか見えないが、敵との戦闘領域に入った瞬間、分かるものには分かるレベルで変わった。機体を軽く動かし、月面の山を利用してジンタイプの死角に入り込む。あわててリョーコもそれにならい挟むように回り込む。
慣れない地理だが、ネルガルのテストエリア。逐一データが入ってくるので相手の位置は一目瞭然。二人は山陰に入り、一直線に飛んでくるジンタイプに向かってレールガンを構える。
「あれか……木蓮のジンタイプよりかなりちいせぇな。2/3ぐらいか……センサーいかれてんのか?」
「故障はしてないと思いますよ。たぶん、サイズダウンバージョンの無人型じゃないですか?」
二人の言うとおりジンタイプはかつての大戦中より半分ぐらいの大きさだった。
「なら、なんでそんなもんがここに来てんだよ?」
「知りませんよぉ。テストとかだったら、何かのリアクションがあってもおかしくないほどの時間はたっていますから」
「まあ、いきなりグラビティーブラストをぶっ放して、『わりぃ、暴走したんだ』とか何とか言える訳もねぇしな……おっと」
二人とも改まって神経を集中させる。
ジンタイプは狙われているとも知らずに進行方向を変えず、そのまま有効射程に近づいてくる。あとはトリガーを引くように命令をするだけ。
射線にはいる。それと同時に二機にはレールガンのトリガーを引いた。
誰もが命中したと思った。ディストーションフィールドに当たってもかなりのダメージは与えられるはずとおもった。ただ二人を除いて。
「「ボソンジャンプ!?」」
ジンタイプはボースのきらめきを残してその場から消える。
「ど、どこ?」
「ラビオ、真正面だ!!」
ラビオは奇襲をかけるなら死角からと言うセオリーにしたがって、後方や左右を警戒していたが、大胆不敵にもジンタイプは正面に現れ、両手をかざし仕込み銃を撃つ。だが、リョーコの声のおかげで、確実にコックピットを打ち抜かれたところをかろうじて身を反転し、左腕を生け贄にして逃れる。
「きゃうぅぅぅ!!」
「ラビオ! ちぃ!!」
再度ボソンジャンプし、側面に回ったジンタイプの攻撃をかわし反撃にうつるリョーコ。
コンパクトになった分、機体が軽いのだろう。先ほどまでののろのろとした動きは見あたらず、リョーコの攻撃を軽々とかわし、隙あらばラビオに攻撃目標を移す。
「いいようにあしらわれてるなぁ。全く、ラビのやつ戦場にセオリーなんて破るためにあるもんなのに」
「そうは言ってもあの不意打ちでは簡単に反応できないと思います」
「しなきゃいけなんだよ。でないと死んじゃうでしょ、ルリちゃん」
ぼぉっとスクリーンを見ながらカイトは言った。
「こら、もうちょっと言い方があるでしょ」
「いえ。大丈夫ですよ、イツキさん。カイト兄さんがいったのはその通りなんですから。それに、死んでほしくないからそう言っちゃうでしょ」
ルリの言葉に照れたように頬をかくカイト。
「くすっ。照れない照れないお兄さん」
「あー。イツキ、からかわないでよ」
「うふふっ。いつもからかわれているからお返しです」
「そんなにからかわれてるんですか? あまり見たことありませんけど」
不思議そうに二人を見るルリ。普段はかかあ天下な感じのだからだ。
「この人、すごく子供っぽいところがあるでしょ。なのにルリちゃんの前だと変にお兄さんぶるから」
「あ、それって解ります。大人になりきれない子供ですね」
「だー。二人して何恥ずかしいこといってるの!」
「その前にあんた達。この状況をどうにかしようとは思わないの?」
こめかみに青筋たててエリナは三人に迫った。
カイトとイツキは少し困った顔をしたが、ルリは冷静に聞き返す。
「では、エリナさんはどうしたらいいと考えましたか?」
「そうね。ミサイルなどで援護射撃をするのはどう?」
「それだとリョーコさん達が危険にさらされます。相手はボソンジャンプを巧妙に使い、冷静かつ大胆にヒットアンドウェイを繰り返しています。ミサイルなどを使ってもいいように利用されるだけだと思います」
「ならどうすればいいのよ。見捨てる気?」
「そんな気はありません。ただ、ここでは何も策がないと言うだけです」
ヒステリック気味なエリナにむっとしながらルリは答えた。
「やっぱり考えは一緒か。近距離か接近戦で敵を押さえる。となると機動兵器しかない。けど、手持ちがないんだよね。だから、困ってるんだよね?」
気を落ち着かせるようにルリの頭をぽんぽんと撫でながらカイトは言った。
「と言う訳ですので、何か機動兵器を貸してください。時間がないので贅沢は言いません。とりあえず貸してください。ちゃんと返しますから」
まるで駅まで急ぐからチャリを貸してくれと言ったレベルで頼み込む。でも、何故か管制室のぴりぴりした空気は穏やかで落ち着いた空気になった。
「そうね。あなたが使えそうなのは……そうだわ、あの実験機があったわね。使えるかどうか確認するからちょっと待って」
そう言うとエリナはイヤホンでやりとりを始めるがすぐ振り向く。
「カイト君。第十一格納庫ですでにスタンバイされていたわ。場所はコミュニケで教えるからそれ通りに行ってちょうだい」
「りょーかい。それじゃ……」
「あの、私にも貸してもらえませんか?」
「え、イツキさんも?」
「イツキはルリちゃんのお守りを……うがぁ〜〜〜!!」
カイトの足にはルリとイツキのヒールのかかとが刺さっていた。
「全く緊張感のない人たちね。イツキさんのはナデシコの方にあなたの機体があるからあれを使ってちょうだい」
エリナは呆れつつもナデシコの方へも連絡をつける。
「うぅぅっ、本気で踏んだな二人とも。とまあ、冗談はこのくらいにしてお姫様はお留守番。とりあえず、行って来ますので活躍をごらんあれ」
「すぐ戻ってきますから」
「じゃ、がんばってきてください」
カイトとイツキは走って管制室を出ていく。
「あそこでは黙っていたけど、ラビオの動きは完全に読まれている気がしたのだけど気のせいかしら?」
イツキは管制室を出てからカイトに尋ねる。
「うん。間違えなく始めから読まれてた。リョーコさんの動きには読むと言うよりは合わせると言った感じだったからね。まあ、そのせいで後手に回らざるをえなくなってる。それに」
「それに?」
「勘だけど、ラビは躊躇している気がする。反応がわずかに遅い」
「そんな。ラビオはよくやっているわよ。それは最初の不意打ちがあったからそう思うだけでしょ?」
「そうだといいけど……じゃ、僕はこっちだから。フォロよろしくと言うよりはあの二人をよろしく」
「そう言うと思ったわ。わかりました。二人を安全なところまで待避させたら後方から援護しますからね」
「よろしく頼むよ」
カイトは少しだけイツキの後ろ姿を見て、自分の機体がある場所へ走り出した。
「そういえば、やけに管制室に警備員がいたけど? まあ、いいか」
第十一格納庫で見たものはペイントされていない巨大で真っ白な機体だった。
「まさか、シェイクダウンしたてってことはないよな……」
カイトは不安げに機体に近づく。
多少なりは使いこなされた量産機とできたてほやほやの新鋭機を比べると、量産機の方に乗ることを選ぶ。自分以外ミス、メカニカルトラブルで怪我をしたり死んだりしてしまってはやってられないからだ。
「あなたがパイロットの方ですね。安心してください、初期トラブルの洗い出しとラッピングはすましてありますから。それとお久しぶりですね、ミナヅキさん」
「あ、やっぱりそうなんだ。ほんと久しぶりですね、フィリアさん」
戦闘前とは思えない和やかな空気が場を支配する。そのまま二人は歩いてリフトに乗る。
「こほんっ。ともかくこのTYPE−Dの特徴は防御力と機動性特に重視して仕上げてあります。あとはオプションでマニュアルにも操作変更可能です」
「マーケティングを考えてですか。大変ですねぇ」
「慣れればIFSの方が断然有利なんですけどね。最後になりましたけど、簡単にレクチャーしておきます。TYPE―Cと比べて機体が重たいので中間トルクをかなりあげています。これが主に高機動につながっています。ですが、反面最高速は劣ります。パワーに関してはCのような無様なことにはならないので思いっきり振り回してください。兵装はハンドガンが両手に、オプションとしてブレードが左腕にあります。あとは両足にマイクロミサイルが四発ずつ。以上です」
「了解。カタパルトに上がるまでに何か気付いたら連絡します」
カイトは素早くシートに潜り込み、各部を確認する。
「なるほど、操縦桿はどちらでも可能にするためにボール形式か。手のひらあわせが大変そうだな」
そう言いつつもボールもシートも自分用にあつらえているのがわかる。事前に調べたのだろう。
「ラフチェックもOK。TYPE―Dカイト機、出るよ!」
スロットルをいつもの調子で踏み込む。
「ぐぁぁっ。な、なんなのこの加速力……」
『ごめんなさい、言い忘れていました。普段の調子でスロットルを入れるとG制御が……と言うことです。通常の2〜3倍は出ますから』
言うことだけ言うと逃げるようにフィリアはウィンドウを切った。
「たくっ。かんべんしてよ」
そう言いつつも顔は笑っていた。
慣らすように緩急をつけてリョーコ達のいるテストエリアに向かう。
通信のコールが入り、ルリのウィンドウが開く。
『カイト兄さん、大変です。お二人が敵に捕まってしまいました』
「なんだって。もう少し詳しく」
もう一つウィンドウが開き、二人のエステバリスカスタムがジンタイプに捕まっている姿が映し出される。
「ちっ。遅かったか」
『縁起でもない。まだ、やられた訳じゃないんですよ!!』
焦るルリの語尾はきつくなる。
「ごめんごめん、そーじゃないって。大体こうなるだろうなとは思ってたんだ。だからなんだ、ごめん」
「そ、そうだったんですか。こちらこそ早とちりしてごめんなさい」
「いいよ、そう思われても仕方ない言い方をしてたし。まあそれはおいて、戦況はラビが耐えきれなくなってそのフォロに入ったリョーコさんが不意を食らって捕まって、それを助けようとしたラビはミイラ取りがミイラになった訳だ」
『その通りです。それから敵は特に行動は起こしていません』
「こんな事までして、敵さん何考えてるんだろ?」
『何も言ってこないことには……』
「まあ、目下の目標としてはあの二人を助けることだね。やっと来た、イツキ遅い!」
『ごめんなさい、準備に手間取って。いつでもいけるわよ』
イツキはカイトの後方にある丘の上でライフルを構えていた。
そして、二人は何も合図せずに行動を開始する。イツキは煙幕弾を発射し、その煙幕弾が破裂して第二射を放つ。カイトはそのまま直進し、ためらい無く煙幕の中に入り込む。
「いた。さて、どちらを先にしようかな。へましたラビはやっぱり後回しかな? ともかく二人とも無茶すると思うんで怪我しないように」
『おい、無茶ってなんだよ。無茶って!?』
『きょうかぁ〜ん。あきらめましょうよ。ぜ〜ったい、隊長が無茶と言ったら無茶するんですからぁ』
涙目であきらめているラビオ。それよりもカイトが笑っているようで笑っていないので助かった後の方が怖いみたいだ。
ジンタイプはただそれを黙ってみているつもりはなかった。口から小型グラビティーブラストをTYPE−Dに向かって放つ。
カイトはTYPE―Dをわずかに傾け。Dフィールドと装甲の堅さを盾に受け流し、そのまま体当たりする。
その体当たりを予想していなかったジンタイプはもろに体当たりを喰らい姿勢を崩す。
TYPE−Dは反転し、あらぬ方向に向かってハンドガンを一発だけ撃つ。
弾丸は煙幕を抜け、その外に待機しているイツキのエステバリスに向かう。
(来た!)
イツキは煙幕をひきながらやってくる弾丸がエステバリスをかすめると同時に、弾丸の飛んできたところに寸分違わずライフル弾を放つ。その弾丸は違わずジンタイプの肩に命中する。
さらに姿勢を崩し隙だらけのジンタイプに遠慮するようなリョーコとラビオではない。二人は膝蹴り、足蹴りなどで束縛している腕を振り払う。
「それじゃ、二人とも退場だね」
そう言うとカイトは二人にエルボーを喰らわせる。
『だぁ〜〜。てめぇ、なにしやがる〜〜〜〜!!!!!』
『ひ〜ん。そこまで怒っているんですかぁ〜〜〜!!』
二人はそのまま煙幕の外まで飛ばされた。
「あ……そっか。今マニュピレーターはハンドガンで塞がれてたんだってけ。あっはっはっはっ」
『『笑い事かぁぁぁ!!!』』
リョーコとラビオのウィンドウがカイトの目の前を埋める。カイトはごまかす様に笑っていたがすぐ表情が変わる。
「イツキ……二人を連れてとっとと戻って。そして、邪魔するなよ」
『はぁ。わかりました。けど、無茶しないでね』
『カイト兄さん何を言っているんですか。ここはちゃんとれ……』
ルリが言いたいことはわかったが、何となく趣を優先したいので味方からの通信を拒絶する。
『オカシナヤツダナ。明ラカニ連携シテイレバ勝テタモノヲ』
カイトの思惑通りジンタイプから通信が入る。ただ、機械合成音というのが気にくわない。
「とかいって、こうでもしないとつまらないよ。“確実に勝てる”勝負だとさっさと逃げろと言いたくなるもの」
にやりと不敵な笑みを浮かべる。
『ナラ、ソノ余裕ヲ消シテヤロウ』
ジンタイプは細かなスパークを出してぼろぼろと崩れだした。
「自爆!?」
カイトの疑問をうち消すようにジンタイプの中からエステバリス大の何かが飛び出してくる。
反射的にハンドガンを放つが、砕けているジンタイプに当たるだけで軽々とかわし、棒状のもので攻撃してくる。ハンドガンを下げてブレードに切り替え、それを受け止める。
「猫かぶり……上等だ!」
久しぶりに同格の相手とやり合える興奮に包まれた。
そのころイツキはリョーコとラビオのエステバリスを牽引していた。
『イツキさん、なんでカイト兄さん一人に任したんですか!』
ルリがものすごい剣幕でイツキを責める。それもそうだろう、あのリョーコを、ラビオの実力は知らないので判断しかねるがカイトの教え子と言うこともあるので相当なレベルにあるのは間違えないだろう。その二人を手玉に取った相手だ、カイト一人というのは不安だった。
『そうだぞ、ルリの言うとおりおまえだけでもバックアップにいけよ』
リョーコもルリの意見に賛成する。ラビオは何か言いたげだが黙っていた。
「確かに心配なのですけど、邪魔するとあの人いじけるから」
『『は??』』
『え〜。まだあの癖治ってなかったんですか?』
呆れたようにラビオ。
『あの、癖ってなんですか?』
『カイト隊長って相手が自分の実力と同等だとじゃまされるのを嫌うんです、特にイツキ先輩の前じゃ……これって単に“見栄”ですよね』
『『………………………………………』』
「そうね。そう言う相手ってたまにしかいないから単にはしゃいでいるのかも?」
『よけいにたちが悪いじゃないですか! 艦長命令です。カイト兄さんを助けに行ってください!!』
さすがに怒り任せに怒鳴るルリ。まあ、心中は察します。
「わかりました、艦長。この二機を安全なところまで連れて行ったら、ミナヅキ機の援護に向かいます」
『はい。お願いしますね』
はぁとため息をつきながら肩の力を抜く。
『でも、あたし達を送っている間に終わっちゃうんじゃ……』
と、ラビオはぽつりとつぶやいた。
「そうかもね♪」
『イツキさん!!』
「大丈夫よ。あの人は絶対に負けないから」
何故、この二人はそこまで信用しあっているのだろう。さっきのコンビネーションも一歩間違えればどちらか死んでいたのかもしれないのにアイコンタクトすらせずにやってのけた。ルリには何故か仲間はずれにされた気分になったが、それでもこの二人がそうじゃないといつも態度で示していてくれる事を思い出した。
もっとこの人達のことを知ろう。そしたらもっと信用できますよね。カイト兄さん、イツキさん。
「あなたも苦労しているのね……」
エリナは薄く笑っているルリを見ながら気の毒そうに言った。
「ええ。でも、楽しいですよ」
ルリはそれをはねのけるように楽しそうに微笑んだ。
煙幕は薄くなり、戦いは終幕へ向かいつつあった。
ルールでもあるかのように互いに煙幕の外に出ないように戦っていたので決め手がなかったが、力量は互いに理解した。まだ、本気ではないことを。そして、本気でやれないことを。
「まだやるかい。どう考えても、最終的に勝つのは僕だけど?」
らちがあかないのでカイトが問いかける。
『ソウダ。オマエデハナク、オマエ達ダガナ』
さすがにかちんとくる。
「なら、煙幕が晴れる前に終わりにしようか」
『勝チヲ捨テルカ?』
二人の間に最大の緊張がはしる。
先手を打ったのはカイトだった。ハンドガンを連射しながら間合いを詰めようとしたが、三発撃ったところで射撃が止まる。
(ジャムった!?)
そのような隙を逃す訳もなく、敵は迫ってくる。
突いてくる杖を打てなくなったハンドガンで受ける。それは予想されていた。そのまま杖を横に力業でスライドさせ頭部に強打させる。メインモニターにノイズが入る。だが、カイトは自分を落ち着かせるために目を閉じる。そして、そのまま打てなくなったハンドガンで殴りつける。無論、強度が落ちているので殴りつけた瞬間へし折れる。さしたるダメージを与えられる訳もなく、敵はとどめとばかり杖を振りおろす。
『オレノ勝チダナ!』
勝ちを確信した声が聞こえるがカイトは冷静に壊れたハンドガンごと右腕で杖を受け止める。
TYPE―Dの強靱なDフィールドと装甲を持ってしても受け止めきれず杖は腕に埋め込まれていく。しかし、左腕のブレードは別の生き物のように敵の首を刈る。
「残念でした、こっちの勝ち……と言いたいところだけど、引き分けだね」
カイトは“システムダウン”と書かれたウィンドウを指で弾きながら言った。頭部へのダメージはかなり深刻なものだったようだ。
『……イイダロウ。勝負ハマタダ』
「諦めてくれてよかったよ。じゃなきゃ後が怖かったから」
『オマエハ、戦場ヨリ女ノ方ガ怖イノカ』
「ほかに何があるの?」
『ワカル、ワカルゾソノ気持チ』
「気が合うね」
『アア』
戦ったおかげか気心が知れたのか、互いに男の哀愁を感じ、友情が芽生えかける二人。
「さて、逃げてもらう前に一つ聞きたいんだけどあのうす緑色っぽい機体の行動は完璧にわかっていたみたいだけど何で?」
カイトは今回の件で一番疑問に思ったことを尋ねた。
『……ソレハソノパイロットニ聞イテミルコトダナ』
返答は素っ気なかった。これ以上、尋ねても返答はないだろう。
「聞いてなかったことにするよ。それじゃ、また近いうちに会おう」
『ソウダナ。マタナ』
そう言うと敵は頭部を拾いボースの粒子とともに消え去った。
「さてと。僕も帰りますか……って、動かない!? 通信も開かない……これってかなりピンチかな?」
カイトはしばらくの間、青い地球を眺めていた。
あとがき
ひ〜ろ:最近物騒だねぇ。
ルーシア:ほぇ。どーしたんですか?
ひ〜ろ:警察がサブマシンガン導入だよ。戦争でもおっぱじめる気なのかと疑う。
ルーシア:ほんと物騒ですけど、あとがきには関係ないですよ。
ひ〜ろ:うぐぅ。
ルーシア:背後さんがやってもかわいくないですよ……
ひ〜ろ:ともあれ、難産だったな。これ。
ルーシア:遅筆なのにこれを合わせて三つも掛け持つからですよ。
ひ〜ろ:ほんと読者のみなさま、お待たせして申し訳ありませんでした。
ルーシア:色々伏線を張っていますが、次はもっと早く書くようにがんばるそうなので見捨てないでくださいね。(ぺこっ)
ひ〜ろ:と言いつつも連載を二つ増やそうかな……って
ルーシア:背後さん!!
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