エピローグ 『幸せの扉の向こう側』
2199年6月19日 0800時 ミナヅキ邸
カイトは2つの冷たい視線をのがれるため、食事中でありながらニュースウィンドウを開いている。
冷たい視線の訳は、寝ぼけたときに出る"悪い癖"が出てしまったからである。
「いいかげん1人で起きてほしいものですね」
「まったくね。これに懲りて女の子に手を出すのを減らしてもらいたいわ」
「イツキさん、減らすじゃなくて止めてもらいたいだと思います」
「普通はそうね。けどね、ルリちゃん。浮気する人はやめてと言ってもすると思うのよ。それなら、少しでも減らしてって言う方が効果的じゃないかしら?」
いつの間にやら、2人の関係は対カイト同盟とでも言うのだろうかそう言う関係になっている。
「そこまで言われるとなんというか、ごめんね」
カイトは一言だけ謝るとすぐ視線をニュースウィンドウに移した。
流石に3度目となると自分でも節操無しかなと真剣に悩んでいる。
「またか……」
「どうかしました?」
カイトの呟きに食後のコーヒーを入れていたルリが不思議そうな顔をして尋ねる。
「いや、なんでもないよ。さてと、食事に……って、ないけど、どうしたの?」
「もう、イツキさんが下げちゃいましたよ。さっきからウィンドウを眺めっぱなしでしたから」
「とほほほっ」
カイトは食事の変わりにコーヒーを口にした。
コーヒーの味はニュースで最近誘拐や事故が多いから不安だという気持ちを代弁するかのように苦かった。
同時刻 テンカワ邸
「ユリカ、そろそろ起きろ。準備しないとシャトルに遅れるぞ!」
「ふにゃ……アキトぉ〜……すやすや」
「こら! 寝るな。おきんかぁい!!」
どうやら、時間内に宇宙港につくかどうか怪しいようだ。
同日 1130時 トウキョウシティ 宇宙港
テンカワ夫妻は時間ぎりぎりに間に合い、見送りに来た元ナデシコクルーを安堵させた。
手荒い歓迎とおみやげの請求を行ったあと、各人はシャトルと見送り場へ移動した。
見送り組はこのあとテンカワ夫妻の新婚旅行がどうなるかの話とか、結婚式の写真の交換などを行うため食事会をする事になっている。
シャトルがゆっくりと加速していき、陸地から離脱していく。
なぜか、シャトルが飛んでいく姿がナデシコという場所とのお別れに見えた。
それだからか、みんな、シャトルが見えなくなるまで見続けていたが、突如轟音が宇宙港を、元ナデシコクルーを襲った。
みんなが見ていた先には太陽の光を反射して見えなくなりつつあったシャトルはなく、ただそこには黒い煙の固まりが見えた。
誰もがなにも言えなかった。あまりに唐突すぎて何が起こったのかを理解できなかった。
「おい、さっきのなんだったんだ」
誰かの声がする。その声を引き金に元ナデシコクルーは事の次第を理解させられた。
「いやぁぁぁぁ!!」
「うそだろ……おい! じょうだんだろ!」
誰かの叫び声が、いや、1人1人みんなが叫んだ。
その中、1人の少女だけがなにも言わずにシャトルが爆発したところを虚ろな瞳で見ていた。
記憶のかなたで逢った人たち End
あとがき
3years編はこれでお終い。これより、ダークプリンス・○○ー○○ツ編(仮)へとなります。
これでおわんないっすよ。第1話のあとがき通りDC版のあとのオリジナルまで書き続けます。
とかいって、一区切りついたので一息ついてネタの練り直ししないといけなくなりました。
反省点はあまりキャラを走らせられなかったこと。次からの課題です。
レベルアップ目指したいです。
最後になりましたが、読んでくれてる人、感想を与えてくださった人皆様ありがとうございます。まだまだ、ひ〜ろはがんばります。みすてないでね。(笑)
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