妖精達の行進曲




第五話


人生何時ピンチになるか分からない。
例えば、歩いているとバナナが落ちてたり、全然関係無いのに、部活が同じという理由で三角関係に巻き込まれたり、新しく買った家に白い顔した母子がいたり、あのマシンチャイルドは役立たずだと噂されたり、自分の乗った宇宙戦艦で暴動が起きたり。

今、ナデシコでは整備班クルーとパイロット3人娘が一揆中。
なんでも契約書に恋愛禁止と書いてあったのが気にくわなかったらしい。
そしてプロスペクターと話し合い(ケンカ?)中をしている。

それを3人で仲良く見ているナデシコお子様部隊のルリ、カイト、エン。

「何と言うか、平和だな、この戦艦。」

面白くなりそうだと思っていたが大した事無くてガッカリのエン。

「・・・バカばっかり。」

何が起きようと冷静なルリちゃん。

「でもですね、その、恋愛って重要じゃないですか。」

顔を真赤にしてちょっと違う事を考えながら言うカイト(そういえば主人公)。

「うん?カイト、お前は一揆派か?」
「いえ、そういうわけじゃないんですけど。」
「カイトさん、一揆を起こしたければ向こうへどうぞ。」
「いえ、星野さん、僕は。」
「そうか、カイトは姉と戦うのか。まあ、それも人生だな。」
「そ、そんな事しませんよ。」
「暴動はあまり言い手とは言えませんね。」
「だ、だから。」

ヒマだったのでとりあえず、カイトを虐めて時間潰しをする事にしたエン。
やってみたら以外と面白かったルリ。
2人の言葉に一々オロオロしながら反応するカイト。

−10数分後−

「・・・違うのに。」

床に八の字を書きながらへこむカイト。

「やりすぎたようですね。」

こんな時にも冷静ルリちゃん。

「こんな所で暗くなってるんじゃねえよ。」

カイトに対しては冷たくあたるカイト。

「・・・しかし、なんだな。全然進展しねえな。」

前方のウリバタケとプロスペクターの話し合いを見て言う暴走王エン。

「そうですね。どうでもいいですからさっさと終わって欲しいです。邪魔です。」

エンドレス冷静、ルリちゃん。

「シクシク。」

泣いている花の10代カイト君。

「進展させるか。」
「「はい?」」

エンの急な発言に?マークが付くカイト&ルリ。
そんな2人を置いてウリバタケの元に行くエン。

「何ダラダラやってんだよ、ウリバタケさん。」
「え、ダラダラやってるって。」

急に横から話されて驚くウリバタケ。

「本当に契約変えたかったらさ、トップを倒せばいいっしょ。」

言いながらユリカを指差すエン。

「へ、私?」

ボケ〜っとしてたたのに急に話をふられて驚き顔のユリカ。

「いや、それはやりすぎだろ。」

うろたえるウリバタケ。

「やるなら徹底的にやりましょうや。」

なぜか関西弁を使い出すエン。

「そうだよ、エン君!」
「お前、何言ってんだよ!」
「エン、できれば円満解決、プッ。」

それぞれ、非難するパイロット3人娘。
他のクルーもブーイングしている。

「ああ、もう五月蝿いな!どうせ花火打ち上げるのならドでかいの、あげようぜ!」

そう言ってユリカに突っ込んでいくエン。
何気に早かったりする。
さすが万能型。途中でアオイ・ジュンが間に入ろうとしたが顔面を踏みつけて天井を蹴ってユリカに向かって行く。
ユリカは頭を抱えて俯いた。
そこへアキトが両手を広げてユリカの前に出る。
エンの顔がニヤリとしている。

「アキトさん、危ない!」

メグミが叫ぶ。
だれもが危ないと思った瞬間。

バチ−ン!

エンが吹き飛ばされている。
ユリカとアキトの前にはカイトがいる。
しかし、その顔は先ほどの顔とは一味違う。
皆がキョロキョロしている何が起こっているかわかっていないようである。

「オモイカネ、今のをスローで見せて。」

ルリに従い、スクリーンに先ほどの映像が出る。
スクリーンを見ると、カイトが突っ込んでくるエンにカウンターで合わせるようにロシアンフックを決めている。

シーンとなるブリッジ。

「アキトー!」

静寂を破るようにアキトに抱きつくユリカ。

「やっぱりアキトは私を守ってくれるのね!」
「いや、危なかったら助けるだろ。」
「アキト−!」

全然人の話を聞いていないユリカ。

そんな時にスタッと手を使わずに起き上がるエン。
顔はニヤついている。

「そういや、カイトは護衛だったな。」
「エンさん、辞めてください。」

睨みつけながら言うカイト。

「・・・イヤー。」

再び飛び出すエン。
腕をくの字に曲げながら当てていこうとしている。

「エンちゃんボンバー!」

技名を叫んでしまう。ああ、悲しきプロレスバカの習性。
エンの脇のしたを潜り、腰を抱え込むとそのまま後ろにジャンプしながらエンの後頭部を床に叩きつけに行く。
床に落ちる瞬間にゴキリと音がなる。
痛む頭を抑えながらも立ち上がろうとして中腰になったエンに先に立ったカイトが蹴りを放つ。
蹴りはエンの顎を打ち上げる。
一瞬記憶が飛んだように見えるが、エンは前に踏み出そうとした。
しかし、カイトは前に出てきた頭を掴んで膝蹴りを叩き込む。
先ほどの顎への蹴りが効いていてエンは膝蹴りをモロに喰らう。
続けざまにどんどん蹴っていくカイト。
エンから力が抜けてダウンしていく。それでも、フロントネックロックで首を決め、四点ポジションで頭に膝蹴りを決めていくカイト。
ブリッジには蹴り音だけが響き渡る。
皆が唖然と見ているとナデシコが揺れた。
そのショックでエンから離れるカイト。
そして、いつもの情けないカイトの顔に戻る。

「ああ、どうしよう、大丈夫ですか、エンさん!」

カイト、自分がした事なのに、泣きそうになりながらエン背負って医務室に向かう。
ちなみに先ほどの揺れは木星バッタからの攻撃であった。
タイミングがいい!
即座に向かうエステパイロット達(今日はカイトとエンはお休み)。
まあ、圧勝でした。

その夜。
ルリが飲み物を買いに行こうとすると不安そうにしているカイトと出会った。

「何をしてるんですか、カイトさん。」
「あ、星野さん。・・・エンさんの所にお見舞いに行ってたんだけど、もう夜遅いから帰らされちゃったんだ。」
「そうですか。」
「・・・僕、駄目だよね。自分の力をセーブしきれないんだもん。」

カイトが悲しそうに言った。

「カイトさんは自分の仕事をしただけですから、気にしない方がいいです。」

ルリがそう言ってもカイトは悲しそうに笑うのでした。

「ありがとう、星野さん。おやすみ。」

カイトは自分の部屋に戻って行った。

そしてルリが自動販売機に行くと包帯を巻いてるエンが自販機の下に手を突っ込んでいた。

「何をしてるんですか、エンさん。」
「ん、ルリか。いやね、小銭落ちてないかと思ってさ。」
「傷は?」
「あ?こんなもん、もう大丈夫だよ。」

エンは明るく言った。
ルリはなんだかムカついてきたのだった。
なんでカイトさんはあんなに悩んでいるのに、この人は明るいのかと。
それは今までに無い、友だちに関するような思いだったがルリ本人は気付いていない。

「カイトさん、悩んでましたよ。エンさんがあんなバカな事したせいで。」

ルリはいつも以上に冷たく言う。

「あれでいいんだよ。」

しかし、エンはそう言うのだった。

「何がいいんですか。」
「これであいつの事を役立たずなんて言う奴なんていないだろ。」

その言葉にルリは気付いた。

『カイトは何もできない』

そんな噂はナデシコ内に存在していた。
その噂を消すためにエンはわざとあんな事をしたのだと。
ルリはジュースを2本買った。

「エンさん。」

まだ小銭を探してるエンを呼んだ。

「ん?」

エンは顔を上げた。

「お疲れ様です。でも、カイトさんには謝った方がいいと思います。」

ジュースを前に言うルリ。

「・・・ああ、分かってる。」

エンはジュースを受け取った。

後日、エンがカイトに急に土下座をし、カイトが大いに焦っている光景が見られた。
そして、それをオモイカネを通して見て

「バカばっかり。」

という少し笑顔のルリちゃんがブリッジで見られた。



あとがき

お久しぶりです、hatu男です。
え〜と、ロボット戦闘またでてきませんでした。
代わりに格闘技で我慢してくだせえ!

それでは皆さん、また会いましょう。



[戻る][SS小ネタBBS]

※hatu男 さんに感想を書こう! メールはこちら[djhatuo@hotmail.com]! SS小ネタ掲示板はこちら


<感想アンケートにご協力をお願いします>  [今までの結果]

■読後の印象は?(必須)
気に入った! まぁまぁ面白い ふつう いまいち もっと精進してください

■ご意見・ご感想を一言お願いします(任意:無記入でも送信できます)
ハンドル ひとこと