機動戦艦ナデシコ・妖精達の行進曲 |
第三話 ブリッジにクルーが集っていた。なぜ集っているかというと、侵入者の少年、シバハラ・エンの尋問をしようとしたら、どんな奴が乗ってきたんだと集ってきてしまったのだ。ブリッジはワイワイして、とても尋問しているようには見えなかった。 「静かにせんか!」 あまりのうるささに怒鳴るゴート。静まりかえるブリッジ内。 「そんなこと言ったって、どんな子が乗ってきたのか、気になるじゃない。」 「そうですよ。」 ミナトとメグミが話始め、それにより周りのクルーも話始めたため、またうるさくなるブリッジ内。 「はい、はい、静かに−。」 いきなり話だしたエン。 「あのさ、オレはナデシコに乗せるという言葉を聞きたいんですけど。」 「その事なら無理だ。」 「は?」 ゴートの返答に驚くエン。 「当然だろう。君は許可も無くこの艦に乗ったんだぞ。君には、次のコロニーで降りてもらうまで、監視付きで部屋にいてもらう。」 「は?何言ってんだ、てめー!」 「いい訳なら、あとで聞く。」 今にもとびかかりそうなエン。ゴートも口では落ち着いているようだが、エンがかかってきてもいいように臨戦態勢をとっていた。ブリッジの空気が急に張り詰めた。 「あのー、ゴートさん。」 張り詰めた空気の中、ゴートに話し掛けるカイト。 「確かに勝手にナデシコに乗ったのは、ダメだと思いますが、シバハラさんをすぐに降ろすのはかわいそうじゃないですか。だから様子を見てそのあとシバハラさんを乗せるかどうか決めませんか?」 「・・・もしも、奴がスパイだったら、どうするんだ?」 「え、」 「もしも、シバハラ・エンがスパイでこのナデシコが連合軍の手にわたってしまったら、どうするんだ?」 「そ、それはエンさんを信じて。」 「勝手に艦に乗る男が信用できるのか。」 「そ、それは・・・」 なんとかエンをかばってあげたいのだが、弱気な性格もありカイトは何も言えなくなってしまった。 「エン君には、このナデシコに乗ってもらいましょう。」 いきなり話しだすユリカ。 「艦長!」 「姉さん。」 何を言い出すんだという顔をするゴートと少し驚いているカイト。 「エン君にはテストを受けてもらって合格したら、パイロットに、不合格なら・・・その時考えましょう。」 「しかし、艦長!」 「スパイだったらその時は艦長の私が責任を取ります。」 「しかし!」 「他に反対の人はいないですか?」 クルーの中に反対者はいなかった。 「それじゃ、決まりね。」 「姉さん。」 嬉しそうな顔をするカイト。 「・・・あんたが艦長なのか。」 話が一段落した所でユリカに話しかけるエン。 「え、はい。」 「ふーん、どうやら、この旅は楽しくなりそうだな。まぁ、任せといてよ。このオレが乗ったからには、どんな作戦でも成功するぜ。」 エンの台詞を聞いて、固まるブリッジ。クルーは(本当にこいつ乗せてもよかったのかな?)と後悔していた。そんな中、ルリが一言。 「バカ?」 その一言を聞いた瞬間、ルリを睨みつけるエン。 「おい!そこの女!だれがバカだ!」 「あなたです。」 「あ、この天才であり、最強であるオレに向かってバカだと!」 「・・・やっぱりバカですね。」 「て、てめえ一度ならず、二度までも!この胸なし女が!」 「今の発言はセクハラですよ。」 「は?セクハラしようとしても触る場所の無い奴が何言ってやがる!」 「し、シバハラさん、落ち着いてください。」 今にもとびかかりそうなエンを抑えるカイト。 「ええい、離せ!武士の情けじゃ!」 よくわからない事を叫びだすエン。 ブリッジのクルーは(乗せなきゃよかった。)と思っていた。 そんな中、フクベ提督がユリカに向かって、たずねた。 「艦長、そろそろ連合軍の会議の時間ではないのかね。」 「あ、そうですね。それじゃ、カイト、エン君にナデシコを案内してあげてくれる?」 「う、うん、わかった。」 エンを抑えながら答えるカイト。 「そ、それじゃ、シバハラさん、ちょっとこちらへ。」 「何言ってやがる!はなせ、このやろう!」 なんとか頑張って連れて行くカイト。 「おい、女!てめー、おぼえとけよ!」 叫びながら、連れて行かれるエン。 エンが去った後、ブリッジには何とも言いがたい疲労感があった。 数分後 カイトはエンにナデシコの案内を続けていた。しかし、エンはずっとルリの文句を言っていた。 「何なんだ、あの女は!えらそうにしやがって!お前もそう思うだろ。」 エンに話をふられるカイト。 「え、ぼ、ぼくはその、あの、ホシノさんの事は嫌いじゃなくて、そのできれば仲良くしたいなとか思ってたりして。」 顔を真っ赤にして、答えるカイト。 「・・・お前、あいつのこと好きなのか?」 「いや、ぼくはそんなことなくて、いや、その」 ますます顔を赤くするカイト。 「・・・わかりやすい奴だ。」 そんな会話をしていると、ふいにコミュニケが開き、ルリが現れた。 「ほ、ホシノさん。」 沸騰する寸前まで顔を赤くするカイト。 「噂をすればなんとやらだな。」 「噂ってなんですか?」 「別に。それよりなんか様か?」 「はい、先ほど連合軍に防衛ラインを解いてもらうよう説得したのですが、失敗しました。よって無理矢理突破する事になりました。」 「あいよ。じゃ、オレらは第3ラインに備えればいいんだな。」 「いえ、シバハラさんはエステが無いのに出れるわけないじゃないですか。」 「え、まあそうだな。」 「・・・バカですね。」 「は?なんでお前にそこまで言われなくちゃなれないんだよ!」 「それじゃ通信を切ります。」 「あ、ちょっと待て、こら!」 「それでは。」 「ちょっと待ってください。」 ルリが通信を切ろうとするとカイトが止めた。 「なんですか、カイトさん?」 「あの、さっきのは、言いすぎだと思うんです。」 「・・・」 「そうだ、お前言いすぎだ!」 「それに、シバハラさん。」 「え、なんだ?」 「バカと言われて腹が立ったのはわかりますが、女の子に対して、身体の事をいうのは、かわいそうだと思うんです。」 「・・・」 「・・・」 カイトに指摘され、エンもルリも黙ってしまった。三人の間に重い空気が漂う。そんな中、カイトが 「・・・ごめんなさい。」 となぜか謝った。 「いや、なんでお前が謝るんだよ。」 「え、あの、えらそうな事言って、お二人を傷つけてしまったので。」 申し訳なさそうに言うカイト。そんなカイトを見たあと、ルリがエンの方を向き、 「シバハラさん。」 「な、何だよ。」 「さっきは言い過ぎました、ごめんなさい。」 ぺこりと頭をさげるルリ。 「え、いや、そのよ、・・・オレも言い過ぎた、すまん。」 はずかしそうに謝るエン。そんな二人を見て、嬉しそうな顔をするカイト。 「何、嬉しそうな顔してんだよ、お前は?」 「だって二人とも仲直りできたじゃないですか!」 「なんだ、そりゃ。」 少し笑いながら言うエン。 「お前もそう思うだろ?」 とエンがルリの方を見ると、ルリも少し笑っていた。ルリ自身も気付かないほどの笑顔。しかし、その笑顔はエンの顔を赤くするには、十分だった。 「どうかしましたか、シバハラさん?」 自分の方を見ているエンに気付くルリ。 「い、いや、何でもない。それより仕事はいいのか?」 無理矢理、話を変えるエン。 「そうですね。あ、あとシバハラさんの部屋はカイトさんと同じ部屋でいいですか?」 「オレは別にいいけど。」 「ぼくもいいですよ。」 「では、よろしくお願いします。」 通信を切るルリ。 「それじゃ、ぼくは格納庫にいってきます。」 「ああ、じゃあな。」 「はい、さようなら。」 そう言って走っていくカイト。 一人残ったエンは先ほどのルリの笑顔を思い出し、 「かわいい事はかわいいよな。」 とひとり言をつぶやくのであった。 数時間後 少しのトラブル(アオイ・ジュンが向こう側にいた。)があったが無事、防衛ラインを突破することに成功した。そして、またもやユリカが天然ボケを炸裂させ、ジュンがクルーから同情されていた。そんな中なぜか、ガイはゲキガンガーシールをアキトに自慢していた。 「あ、ゲキガンガーシールだ、いいな。」 真剣にうらやましがるアキト。 「おう、あとで分けてやるよ。」 そう言ってブリッジを出て行ったガイ。これが彼の最後の姿になった。 次にアキトがガイに会った時、ガイに意識はなかった。 ナデシコの最初の犠牲者となった。 あとがき 皆さん、第三話はいかがでしょうか?hatu男でーす。いや、私の作品、戦闘描写がなくて、すいません。でもね、カイト君はエステの操縦がそんなうまいわけでもないので書いてもしょうがないなということでして・・・いや、決して私が書くの下手だから書いてないんじゃないですよ。・・・ごめんなさい、下手なので、書いてないのも理由の一部です。しかし、次回こそは戦闘書きますんで、では、次回。さよなら |
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