午後から突然の雨に見舞われた。

カイトは、アキトから買い物を頼まれスーパーへ、

買い物を済ませお店への帰り道・・・

近くの公園で、誰かがベンチに座っていた。

・・・・・・傘も差さずに。

 

可能性

迷子の子猫

よく見るとそれはカイトの良く知る人物であった。

カイトはその子に近づき、声をかける。

「・・・どうしたの?」

雨でずぶ練れになりながらも、彼女はゆっくりとカイトを見上げ、

「・・・マ」

「・・・ま?」

泣きそうな顔しながら、

「・・・マヨった」

ラピスはカイトにそう告げる。

 

 

 

 

二人は同じ家への帰路につく。

「・・・アキトは」

「アキトさんが、なんだい?」

ラピスはカイトの背中に負ぶさっている。

「・・・何のために私と暮らしているの?」

「家族だからじゃないのかな」

ラピスはカイトの背中にくっつく。

「・・・家族ってなに?」

「家族はね」

カイトは説明しようとしたが、

「なんで?なんでカイトは私を家族ってゆうの?何のためにアキトは私を必要とするの?」

「・・・!」

カイトは自分の説明が迂闊だったことに気付く。

「五感も戻った!ユリカとも会えた!ルリもカイトも一緒に暮らしてる」

「・・・・・・」

カイトの首に生暖かい水を感じる。

「昔と同じに戻った!・・・でも」

「・・・ラピスちゃん」

それは、

「・・・・・・ナンデ私はあそこにいるの?」

「・・・・・・」

涙・・・。

 

 

 

「僕はね、記憶喪失なんだ」

「・・・キオクソウシツ?」

カイトはそう切り出す。

「僕が何者なのか分からない。

 自分がどこで生まれたのかも分からない。

 ・・・突然僕はナデシコに現れた」

雨は降り続く。

「僕がどうなるか、とても不安だった。

 たった短い間だったけど、アキトさんや皆に触れ合っていろんなことを知った。

 僕もね、ラピスちゃんと同じ事を聞いたんだ」

「・・・カイト、も?」

「・・・うん

 『僕はここにいていいんですか』

 自分が何でここにいるんだってね。そしたら」

「・・・そしたら?」

カイトは微笑みながら、

「こう言ったんだ。

 『俺が君といて、心地いいから』

 だってさ。アキトさんらしいよ」

「・・・・・・」

雨は小降りになってきた。

「ふふ、大した自分勝手だよ。

 でもね、僕は嬉しかった。自分はこの人に必要とされてるんだなって思ってね」

雨は止んだ。

「だからさ、難しく考える必要なんて無いんだよ。

 肩の力を抜いて・・・。

 自分の想いを優先させるんだ。」

だけど、一箇所だけ止まないところがある。

「僕は・・・ここにいたいってね」

ラピスの頬を、

「・・・うん」

涙が流れていった。

 

 

 

「ええ!僕がお風呂に入れるんですか?」

「そんなに大きい声を出さないで・・・」

「だ、だって(汗)」

二人がずぶ濡れで帰ってきたとき、アキトは驚いた。

「ぼ、僕男の子ですよ」

カイトが顔を真っ赤にしてゆう。

「問題ないんじゃないかな。なあラピス?」

「・・・問題ないの」

ラピスは先ほどからカイトに引っ付いている。

「も、問題ありますよ!」

「あ、そうそう!ユリカもルリちゃんと一緒に買い物に出てるから。

 俺もスープ作らなきゃいけないし」

見事なまでにカイトの退路を断つアキト。

「で、でも」

「・・・・・・カイト」

まだ逃げようとしているカイトに、ラピスは、

「・・・嫌なの?」

顔を真っ赤に目に涙を浮かべ首を傾げてカイトに問う。

「あ、ああ、い、嫌じゃない!嫌じゃないよ、うん」

「だったら行こ、お風呂」

自ら逃げ場を無くすカイトであった・・・。

 

 

 

「ア、キ、トさ〜ん(怒)」

「い、いや!これはだね(汗)」

怒るルリと怯えるアキト。

「あらら〜」

ルリとユリカが家に戻ってきたその時、

ラピスは膝の上でカイトに思い切り甘えてたそうな。

それだけではない。

「はい、カイト。あ〜ん」

「あ、あ〜ん」

照れているカイトと楽しんでいるラピス。いやカイトもラピスにあ〜んをやっている。

まだまだ!

「今日、一緒に寝るの!」

「え。ええ!」

「・・・いや?」

首を傾げるこの動作にカイトまたも陥落・・・。

この後、同じ布団で寝たそうな。

ユリカさん締めの一言

「照れが無い分ストレートに来るからね〜。

 ルリちゃん大ピンチ」

人妻の余裕からか楽しんでるようだ。

 

めであし、めでたし。

 

「めでたくありません!」

ルリは怒っていた、と記しておく。

 

 

 

 

 

 

 

御免なさい。謝ります。許してー。

はい、我我です。カイトの可能性カイト×ラピスの一本です。

・アキトが無事帰ってきた

の劇場版後ぐらいです。

タイトル。子猫より子犬のほうが良かったかな?

 

次回の可能性は

「カイトって私のこと・・・好きなのかな」

「・・・僕はね」

カイトと白鳥ユキナ嬢のお話。

 

 

続く、のかな?

 


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