七夕の想い思い出

 

 

 

7月8日

とある寝室

スプーンを手に取るカイト。

その行動の真意がわからず、首を傾げるルリ。

おかゆをすくって、ふーふーと息を吹きかける。

はっ、と気付くルリ。

それを見て微笑むカイト。

 

「はい、ルリちゃん。あーんして」

「カ、カイトさん!自分で食べられます」

そう言っておかゆの皿を受け取ろうとするルリ。

カイトは、

「ルリちゃんは病人なんだから、おとなしく看護をうけてね」

そういって皿を遠ざける。

「誰のせいだと思ってるんですか?」

「んー、僕かな。やっぱり」

そういって頬を膨らませるルリと考えるカイト。

先日、ルリの誕生日であった。

 

 

7月7日

 

 

「カイトさん、どこに連れてってくれるんです?」

「・・・もう少し先」

カイトはルリを連れ出した。

『思い出に残る物を君に見せたいんだ』

といって。

まさかこんな所に連れて行かれるとは思っていなかったルリは少し不安げな表情をする。

「・・・手を繋ごうよ」

そうやって手を差し出すカイト。

「・・・はい!」

自分の気持ちを察してくれたのがうれしく感じるルリ。

しばらく歩き続けると、森が開けていく。

その先は湖であった。

「・・・・・・!」

森が開いたと同時に空では満天の星。

そして七夕を象徴するかのように流れる天の川。

その綺麗さのあまり声が出ないルリ。

「まだまだこれからだよ」

と言いながら、カイトは靴を脱ぎ湖に入っていく。

ルリは一瞬と惑うも、自分もその後に続く。

 

 

「さてルリちゃん。夜空には満点の星空。・・・流れる天の川」

「・・・・・・」

カイトの語りを黙って聞くルリ。

「そして・・・地上に流れる天の川」

「・・・・・・!」

そう今気づいた。自分の今居るのは湖の上。

夜空に輝く星空と共に流れる天の川。

そして・・・水面に写る地上の天の川。

「ごめんね、ルリちゃん。こんな事しか思いつかなくて」

「い、いえ」

首を振るルリ。

カイトは精一杯自分の事を考えてくれていた。

そして感極まったルリは、

「・・・カイトさん!」

カイトに抱きつこうとしたが、

「・・・ルリちゃん!?」

転びそうになるルリ、それを支えようとするカイトだが、間に合わずに二人とも転んでしまう。

ずぶ濡れになる二人、どちらからでもなく二人は笑いあい・・・、

抱き締め見つめあう二人・・・。

 

 

7月7日

「はい、あーん」

「あ、あーん」

 

顔を真っ赤にして、小さな口をゆっくり開けるルリ。

カイトは、小さな口にゆっくりとスプーンを差し入れと、スプーンを咥える。

ルリはカイトがいるのが恥ずかしく口元を隠して、咀嚼する。

その姿はどんな男でも魅了されてしまう可愛らしさを醸し出している。

そして、その姿を独り占めできるカイトは幸せものだった。

 

 

 

 

7月9日

喫茶店

「って、言う事があったんですよ!」

「・・・そ、そう」

ルリは風邪が治った途端、ユキナに報告していた。

さすがにゲンナリとゆう顔をしているユキナ。

「・・・あのね、ルリ」

「え、なんです?」

そうやって切り出すユキナ。

「カイトのノロケ話はちょっとね・・・。・・・でも」

「す、すいません」

小さくなるルリ。

「結婚式には呼んでもらうわよ」

「け、結婚式なんてまだ早いですよ!!」

わたわたと慌てるルリ。

こうなったら、ユキナのペースになる。

ルリをからかっている時ユキナは、

 

(・・・ジュンちゃんもカイト並に積極てきだったらなあ)

そんな事を考えていた。

 

 

 

ホシノ・ルリにとって忘れられない誕生日となった。

おわり

 

 

 

あとがき

はい、初めまして我思我川改め我我です。ルリルリ誕生日との事で、

・「はい、あーんして」「は、恥ずかしいです」

・湖に移る鏡合わせの天の川。

・からかわれるルリと、からかうユキナ。

の三点を元に書きました。

 

 

 

 

 

 

 


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