機動戦艦ナデシコ 刻戻りて白銀騎士

                         やる事は結局やると決めてそして実行に移したのはいいけど

                         結果は勝負に負けて試合に勝った表現が一番かも・・・はぁ・・

                              だけどそれでも頑張らないといけないから

                                 さあ。今回から大変だよ・・ほんと





                
    第二章    「少女らしく」がアブナイ?




「という訳でペニシアン島に落下した新型と思われるチューリップの調査、回収を」

「あたしと!」

「あたしのナデシコで!」

「そう、この優秀なるあたし達だからこそ与えられた任務なの・・
なのにどういうこと〜〜

「あたしの命令を聞こうとブリッジにやってこないのは、どういう事なのよ〜」

さっそくキノコもといムネタケがブリッジで吼えている。するとコミニュケが開き熊の縫ぐるみを持ったイネスが出る。しかも半分眠そうに

「ちなみ現在作戦現地時間は午前2時、日本で言う丑三つ時・・・こんな時間は部屋で寝るのが当然」

キィィィィィィーーー

ムネタケが既にコミニュケ通信から消えたイネスに御託を並べているが空しく響くのみだった

そうして結局ムネタケはその場で吼えているしかなかった・・途中でミナトとエリナが操舵手を交代したときにも何やら叫んでいたようだが軽く避けられる

「ちょっと、あたしの話を聞きなさいよ!ちょっと」

「珊瑚礁・・・そして砂浜・・・例の物を作っておいた方がいいね」

エリナも完璧に無視していた。

その頃のカイトとラピスはと言うと

「カイト・・・」

「ふぅ・・・何時まで膝の上に乗っているんだい?ラピスちゃん」

「だって・・気持ちいいから」

カイトの膝の上でゴロゴロと往復しながら至福の時間を過ごしていた。しかしイネスの言うよりに現在時刻は2時、30分もすればラピスにも眠気が現れる

「カイト」

「ん?」

「眠い・・・」

「なら、お休み」

「うん」

ラピスはカイトの膝の上から立ち上がる。ベットに行くのかと思っていたが

「・・よい・・しょ」

上にかける布団のみを持ってくるとまたカイトの膝の上に戻る

「お休みなさい」

「・・・えーっと・・ラピスちゃん?」

カイトには動くなとラピスは言わんばかりに挨拶をするとそのままカイトの言葉も聞かない振りをして5分ほどで寝息を立ててしまう

「まったく」

カイトは微笑みながら軽く自分の膝を動かして起きないようにゆっくりと頭を地面に付けた後にすぐに枕を持ってきてラピスの頭の下に敷く

「帰ってきたら、布団に移動してあげるからね」

そういい残してカイトは部屋を出た

カイトが向う先には一つの部屋があった。その中にはゴートとプロスがお茶を啜りながら椅子に座っている

「お待たせしました。ゴートさん、プロスさん」

そういってカイトも椅子に座る

「いえいえ、カイトさんもお疲れ様です。ラピスちゃんで宜しかったでしょうか?」

「はい」

「彼女はちゃんとお休みになられましたか?」

「はい、今はぐっすりと寝ています」

「それはよかった」

「では、さっそく本題に移らせてもらう」

ゴートのその声で本題が始まった

「では、カイトさん。ラピスさんとは兄弟で宜しかったですね?」

「・・・・・・」

カイトは沈黙するしかなかった

「黙っていては何も判りませんよ?それと貴方がここに現れた後、ナデシコは一旦コスモスに収容されているのです。それなのにナデシコ内部にまだ不審者が居るなんて言う報告は受けておりません。勿論その時にも他の不審者が居ないかチェックしたのですから」

「・・・・・」

「それに君には北極海域の出動命令が出されていたにも関らず来なかった・・・いや、コミニュケにも連絡したが通信拒否になっていた。何故だ?」

「・・・・・・」

「ラピスさんと・・・関係があるご様子ですね」

「プロスさん、ゴートさん」

「はい?」

「なんだ?」

「ネルガルに僕の事は聞きましたか?」

「いえ、聞いておりませんが・・・」

「僕からは何も言えません。だからネルガルに聞いてみて下さい」

「理由をお聞かせ頂けませんか?どうしてわが社が君の一件に絡んでいるのですか?」

「僕が・・ネルガルと個人契約したからです」

「なんだと!」

「ネルガルから事情を聞いてみてください。それが終わったらまた話を再開しましょう」

カイトはそう言うと椅子から立ち上がる

「待て!君がネルガルと個人契約していると言う証拠は!」

「・・・・アカツキ・ナガレ」

「なっ!」

「失礼します」

そうして部屋から出て行く

「ゴートさん・・彼は異形な人物だと思いませんかね?」

「どういう意味だ・・プロスペクター」

「いえ・・・この戦艦の中で彼だけが異質な存在だと思いましてね」

「・・・・たしかにな」

「話していても始まりません。彼の言うとおり、本社に彼のことを聞いてみましょう。そうすれば少しは彼が何者か判るかも知れませんよ」

「そうしよう」

そうして二人はネルガルとの話を始めることになった

カイトは部屋から出ると一旦自分の部屋に戻る。そうして寝ているラピスを起こさないように抱き上げる

困ったお姫様・・いや、困った妹だな

小声でそう呟くとベットの上に移動させる

「んにゃ・・・カイト・・・」

「ん?」

「もっと・・・見せて・・すぅ・・すぅ・・」

(何の夢を見てるのやら)

カイトはラピスの頭を撫でるとそのまま部屋を出る。

(少しお腹減ったな)

カイトは食堂に向う。そうして扉を開けると

「ホウメイさん、なにか・・ぐは!」

あまりの悪臭に鼻を摘む

(この臭いって・・・何処かでってまさか!)

カイトは鼻を摘みながら厨房に向う

「うお、やっぱり!」

「ああ、カザマか・・・今はこれ以上入り込むと鼻がおかしくなるよ」

そこには未知の生物ではなく料理失敗作であろう品がそこら中に散らばっていた

「これって艦長ですよね?」

カイトは少し苦笑いする

「とメグミちゃんだよ」

「メグミさんもですか・・」

苦笑いに冷や汗が+されるカイト

「とっともかく・・片付けましょうか」

「そうするか。このままじゃあ仕込みも出来ないよ」

ホウメイとカイトは鼻を摘みながら片付けをすることになった。後にイネスさんと少数の人が叩き起こされ消毒作業と二人の使った鍋は焼却行きになる。カイト曰く

「アキトさんほど現状で幸せで不幸せな人もいないよ」

ホウメイ曰く

「恋の劇薬は怖いねぇ」

だった。

片付けが終わった厨房でそのままホウメイさんと仕込みを何故かしているカイト

「カザマはさ、料理したことあるのかい?」

「えっ?・・・してた様な気がして」

「そうだろうね。テンカワまでとは行かないけど仕込みの要領も知ってるみだね。あんたは」

「そうですか?」

カイトは微笑みながら作業を続ける

「あんたみたいな奴がどうして記憶喪失になっちまうかねぇ・・・」

ホウメイは少し苦笑いをしながらカイトに作業の手伝いを色々と教えていった

仕込が大体終わった厨房でカイトはホウメイに腹が減った事を伝えて自分でラーメンを作らせてくれと頼む。ホウメイは嬉しそうに承諾してくれた

「よっと」

「へぇ〜、あんた手際いいね。ラーメンに関してはあたしより美味いかも知れないよ。あんたは」

「そうですか」

お世辞でも嬉しかったカイト。そうして出来上がったラーメンの火を止める

「ホウメイさんも食べますか?」

「ん、じゃあ、頂こうかね」

「はい」

均等になるようにラーメンをお皿二個に装う

「お待ちどう様」

「有難うよ」

ホウメイはラーメンのスープを先に飲んで麺を口に入れる

「どうですか?」

「・・・・うーん。可もなく不可もなくさね」

「なら僕に取っては嬉しい事です。美味しくないよりは」

そうしてカイトもラーメンを食べる。ちょぴり醤油が効いた薄味のラーメン。カイトはもっと濃い味付けが好きなのだがどうしても薄くなってしまうのだ

「でも・・・他の奴から比べたらあんたのラーメンは美味しいよ」

「有難う御座います」

嬉しそうにラーメンを食べるカイトを優しく見つめるホウメイ。そうして何時の間に食べ終わる

「ってとお皿は・・・」

「ああ、それはあたしの仕事さ。それとカザマ」

「はい?」

「あんたは料理のセンスがある。だから暇だったら教えてやるよ。もし良ければだけどね」

「え?、あっ有難う御座います」

「いいって事さ。それにあんたの料理には・・・心が篭ってる」

「心ですか?」

「そうだよ。誰かに食べてもらいたい、誰かに食べさせたいって心がね」

「心・・・」

「食べさせたい人でもいるのかねぇ」

ホウメイにニヤニヤと笑う

(食べさせたい人・・・ラピス・・・・いや・・・ラピスじゃない・・・ルリちゃんに食べて貰いたい・・・あの時のように)

「ホウメイさん!」

「お、なんだい?」

「チキンライスの作り方、教えてください!」

「チキンライスかい・・・いいよ。明日から特別に教えてやるよ」

「有難う御座います」

カイトは笑いながらお礼をする。カイトはチキンライスは作れる事は作れるのだが結局はルリに満点を貰っていない。そしてこの時のルリに取っての好きな食べ物だという事を忘れてはいないからもう一度しっかりとしたチキンライスを食べさせたかったのだ

カイトは満足げに食堂から出る。狙うかのように丁度通信が入る

「カイトさん、話を再開致しましょうか」

「あっ・・・はい」

そうしてカイトはまたあの同じ部屋に戻っていく。扉を開けるとゴートとプロスが難しそうな顔をして椅子に座っていた。

「ネルガルに貴方の事を聞かせて頂きました」

「はい」

「結論から申しますと・・・貴方は何者ですか?」

「・・・・知りたいですか?」

「ええ、とても」

プロスの眼鏡が光る。ゴートの威圧感も多少増したように感じる

「僕は・・・未来人です」

「「!!」」

「それだけしかお答えできません」

「未来・・・人・・・だと?」

「はい」

「そうですか・・・ネルガルの契約の内容を少しばかり拝見させて頂きましたが、これで合点がいきました」

「・・・・・」

カイトはそう言われる表の向きの顔を引っ込める。そうして裏の顔を徐々に出し始める

「それで?」

「それで・・と申しますと?」

「ラピスの事です・・勿論ナデシコに配属させて頂けるのでしょうね・・・プロスペクターさん」

「カザマ・・・貴様は・・」

ゴートがカイトの裏の顔に気付いた

「僕はネルガルに保護されている。つまりあなたの会長と個人で取引をした。勿論・・・ラピスの事も含めてね」

「たしかに・・そうですが」

「なら、その保護の取引内容を破らないで下さいね。破ると・・・例え・・ナデシコで・・・も敵に回ります」

これはカイトに取っては嘘である。立場上の事を考えると強気に出る方がいいと考えたのである。ただやはりカイトは敵に回すの言い含めの所でミスを犯す。しっかりと言えないのだ。カイトに取ってここは大切な場所でもある。元々の性格を考えてもまったく意味を成さない脅しとなってしまった

「まあ、その件は我々がちゃんと手配しますから、カイトさん。無理な脅しは似合いませんよ」

「・・・・あっあははは、そうですよ・・・ね」

その一言で苦笑いと裏の顔を完全に引っ込む。そうして緊張の糸が解けたと同時にカイトは頭を下げる

「お願いします。プロスさん・・・ラピスと僕の事は黙ってて下さい・・表向きは義兄弟を偽りますから」

「おやおや、カイトさん。頭を上げてくださいな。これでは先ほどと立場が逆転してますよ」

プロスは笑みを浮かべながらその事を承諾してくる。カイトがナデシコを本当に大切している事が判ったゴートも少なからずカイトの事は信用する事にした

「では、そろそろ夜が明けますので、私達は少し睡眠をとらせて頂きますよ」

「僕も寝ないときついので失礼します」

そうしてカイトは部屋をプロスとゴートと共に出ると部屋に戻る

(カイト・カザマさんですか・・・未来から来たとは、やはり異端な存在ですな)

カイトは部屋に着くとまだ寝ているラピスにお休みと伝え部屋の床に転がる。そして瞳を閉じて休むことにした

(別に僕は未来から来たを隠そうとはしない・・・隠す必要がないから・・)

そうしてカイトは深い眠りについた

そうして夜が明けるとまだ着陸する前に全員ブリッジに集合する

「え〜知っている方は知っていると思いますが本日からサブオペレーターに配属するラピス・ラズリーさんです」

「配属って・・・」

「いないじゃん?」

「透明人間ってオチはないよねぇ?」

「え〜っと・・・」

プロスの横に居るカイトが頬を掻きながら後ろを向いてラピスを前に立たせる

「この子がラピスちゃんです」

「「「「「「「
えええ〜〜〜」」」」」」

「・・・・・・・」

ささ

またカイトの後ろに隠れるラピス、そうして覗くようにしてカイトの後ろからブリッジのみんなを見つめる

「サブオペレーターって・・・」

「その子・・・何歳だよ」

「ラピスちゃん、ほら、自己紹介。朝にあれだけ言ったのに」

(フルフル)

半分涙目になりながらカイトの太もも辺りにしがみ付くラピス

「・・参ったなぁ〜」

ため息を付きながらカイトはまた頬を掻いてしまう

「と、まあまだ若い子なので慣れるまで大変ですが皆さん、仲良くしてあげて下さいね」

プロスが取り合えずフォローを入れる

ちょっと〜ど〜いう事よ!

ムネタケがいきなり叫ぶ。それでますますビクっとなるラピス

提督!いきなり大声出させないで下さい!ラピスちゃんが怖がってるじゃないですか!

そういうカイトも十分大きな声をあげるが一応ムネタケは呆気に取られ黙ってしまった

「ラピスちゃん・・歳と名前だけでいいからみんなに挨拶して・・ね」

カイトは微笑んでまたラピスを後ろから肩を掴んで前を向かせる

「ラピス・・ラズリー・・・7歳です・・・宜しく・・・お願いします」

頑張って言ったよと言う感じでラピスはカイトを見上げる。それを優しく撫でるカイト

「よく言えました」

カイトは微笑みながらそう言う

「ちょっと〜〜ここは幼稚園じゃないのよ!ど〜して7歳の子があたしのナデシコに居るのよ!」

「と申されましてもネルガルは既にこの子と契約済みですからねぇ、はい。理由は本社側に聞いてください」

「契約って・・・7歳の子供が契約出来る訳ないでしょう〜に」

「なら本社に問い合わせますか?私はそれでも一向に構いませんよ」

「うっうぐぐ〜」

ムネタケとプロスの間で口論されてる横でナデシコクルーは7歳と言う若いと言うより完全に子供のラピスに手を焼いていた

「ラピスちゃんはどうしてナデシコに配属されたの?」

ユリカの質問に対しての答えは

「えっと・・・・カイトが・・・いるから」

である。カイトは全員から白い目で見られるしかなかった

「いっいや・・あのさ。肝心な所があるから・・・ね。ラピスちゃんとは義理の妹なんだよ」

「ほえ?そうなの?」

「兄弟・・・ラピスは妹じゃない・・・義理・・って何?」

「それにしては苗字が一緒じゃないなんておかしいわね?」

「それは、まだラピスの戸籍はラズリーって事になってるからで・・・まあ、深く考えないで下さい」

カイトの方を見て質問するラピス。まさにカイトにしか心開きませんな状態が小1時間ほど続く。最初に話慣れてきたのはミナトだった。唯一初対面ではなかったラピスに取ってはカイトの次に話が出来る人だった。次に話を出来たは

「じゃあ、ラピスちゃんはカイト君とは血は繋がってないのね」

「・・コク」

「そっか」

「貴方は・・マシンチャイルドなんですね」

「マシン・・チャイルド?」

「私と一緒です」

「一緒・・・?」

「瞳の色です」

「本当・・・ラピスと一緒」

以外にもルリだった。マシンチャイルドと言う共通点は以外にもラピスを安心させる要素になっていた。

「ふう・・・疲れたかも」

カイトはがっくりと椅子に座る。やっとラピスから離れてラピス一人で人の輪の中に入る事が出来たことは嬉しかった。そうして横から小声のようにエリナが話しかける

・・・・あの子をどうしてサブオペレーターにしたの?

・・・・未来の事情です

未来であの子が・・オペレーターを?

さあ、それはエリナさんが考えてください

「くっ」

そうしてカイトは逃げるように席を立ち上がる

「おや、ラピス。友達が出来たのかい?」

カイトはまるで父親のようにラピスに微笑んでそう言う

「・・・・うん」

嬉しそうに頷くラピス

「そっか」

そのワンシーンだけ見ればまさに父親と娘である

「にしてもカイト、お前に妹がいたなんて知らなかったよ」

「そうかな?」

「それにお前、記憶喪失じゃなかったっけ?」

「この子の事だけは・・・思い出してね。だからナデシコに南極海域の時に探し回ってさ・・・」

「そうか」

「可愛いだろ?」

「ああ、いい子じゃないか」

ある意味シスコンに成りつつあるカイト。だけどまだ大丈夫な範囲では・・多分ある

「アキトがそう言ってくれると・・・嬉しいよ」

「いいな〜いいな〜私も妹が欲しい〜」

「ユッユリカさん」

「でも可愛いですよね。7歳ですもん」

「メッメグミさんまで」

カイトは苦笑いするしかなかった。そうし任務が開始される・・・はずだったが

「リーフで着水。各自、上陸準備させて」

「「「はーい」」」

ムネタケの声に嬉しそうに返事するメグミ、ユリカ、ミナトと他多数。ルリはラピスと共にオペレーター席で話してる所だったがその三人に話しかけられる

「ルリルリ、ラピスちゃん・・・んーラピラピかしら、取り合えず貴方達は肌が白いんだから日焼け止めはこれ使いなさい」

ミナトが日焼け止めクリームを二人に渡す

「ラピラピ?」

ラピスが意外そうな顔でミナトを見る

「ルリルリだけ愛称あるのにラピラピだけないなん可愛そうでしょ?」

ミナトは笑いながらラピスのあまたを撫でる

「ルリ・・・」

「なんですか?ラピス」

「海って、何?」

「私も始めてですからあまり判りません」

「そう・・海・・・楽しみ」

「私も嬉しいです」

ラピスとルリは嬉しそうにクリームを手にミナト達と一緒にブリッジから出て行く

「なあ、カイト」

カイトはブリッジから未だ出ずにただ海を見つめていた。しかしアキトの呼び声で振り返る

「どうしたの?アキト」

「いや、なんかさ。いいな〜って思ってさ」

「海が?」

「そう。楽しそうじゃないか、海」

「・・・・・そうだね」

カイトも微笑んで綺麗に光る海を見つめた。

「パラソル部隊、急げ〜」

「「おお〜」」

「女子に負けるな〜」

「「おお〜〜」

「ちょっと待って、貴方達!」

海に駆け出したみんなをエリナは引き止める

「貴方達、判ってるんでしょうね?貴方達はネルガル重工に雇われてるのよ。だから」

「遊び時間は自給から引くからね」

「「「「はぁ?」」」」

「はい!これあたしが作った海のしおり」

そういってみんなにプリントを手渡す

「深いところに行かない事、岩場ではサンダル着用・・・」

エリナが説明している間にコソコソと全員が動いていく

「あと・・・」

エリナが気付いたときには全員がその場から居なくなっていた

「もうぉ〜プリント読みなさいってば〜〜〜!」

と言いつつも上着を脱ぎ捨てて水着になるエリナ。彼女も楽しむ気満々である。そうしてバカンスが始まる。浅瀬で遊ぶもの、浜辺で寝そべり肌を焼く者、ビーチバレーを楽しむ者、パラソルの下で囲碁をする者と様々である。そして

「さぁ〜、いらはい!海水浴場に三大風物と言えば粉っぽいカレーに不味いラーメン。そして溶けたカキ氷!俺はその伝統を今に伝える。俺は一子の相伝、最後の浜辺野師なのだ〜」

「ラーメン・・・」

「はい、まいどぉ〜」

「せいゃぁぁぁぁぁぁ、ダールマサンが転んだ。ダールマンサンが転んだ〜ダールマさんが転んだ〜!へい、お待ち〜」

そのラーメンをジュンは食べて一言

「・・・不味い」

「あったぼうよ!」

そのように馬鹿をしている光景が見られた

カイトは一人奥の岩場でただ一人海を眺めていた

「・・・・・海か」

カイトに取ってもこれは初めての海であった。バーチャルルームで体験はした事はあるがそれは所詮作り物である。

「カイト・・・見つけた」

ラピスがカイトを見つけると同時に走ってくる

「危ないよ。滑るからね」

カイトはそう言うとラピスに近寄っていく

「うん・・・よいしょ」

距離が縮まると嬉しそうにカイトの手を引く

「いこ、カイト・・・・泳ごう」

「え?みんなとは遊ばないのかい?」

「ううん。みんなも待ってるから・・・いこ」

「いいよ、僕は後で行くから先に行っておいでよ」

「でも・・・」

「いいから、いいから」

微笑んでカイトはラピスを撫でる

「うん・・・じゃあ、後で・・・遊ぼう」

「そうだね」

そういってラピスはミナトさんの方に走っていった

(本当に楽しそうだな・・・ラピスちゃん)

カイトは笑いながらみんなの方を見回す。そして目に付く人物の元に行く

「泳がないのかい?」

「はい、さっきオイル塗りましたから」

「そっか」

カイトはルリの居るパラソルに座る

「海、楽しいかい?」

「・・・はい、とても楽しいです」

「そっか」

微笑むカイト

(あの頃の約束と思えば・・・守れたのかな。守れた事にしよっと)

それはカイトがまだ過去に来る前、カイトがナデシコに現れて2年目の頃の約束

バーチャルルームでルリと約束した事、カイトはそれを演技とは思っていなかった

(今度、みんなで海にいこうね・・・か)

「約束・・・守れてよかったかな・・」

「はい?」

ルリはその声に反応する

「あ、いや。なんでもないよ」

微笑んで独り言を誤魔化すカイト

「ちょっとルリちゃん、付き合ってくれないかな?」

「何処にですか?」

ルリは興味があるのか、パソコンを閉じる

「こっち」

カイトは微笑んでルリの手を握ってその場所から走り出す

「あっ・・」

ルリは小さく声を上げて頬を赤く染める。でも抵抗はしなかった。カイトと一緒にその場所に向う

その場所は少し離れてた場所でもあったが水面が綺麗に光っている岩場だった

「綺麗でしょ、ここ」

「ええ・・そうですね」

「ルリちゃんにも見せてあげたくてさ」

「あの・・・カイトさん、手を・・・お願いしますから・・離して貰っていいですか?」

「へ?・・・あっ、ごめん!」

カイトは自分が手を握ったことも忘れていたらしい気付くとすぐに手を離して頬を掻く。ルリも頬を赤めて下を向いている

「えっと・・・」

「・・・」

「あっははは・・・ごめんね」

乾いた笑いと謝罪をもう一度するカイト

「いいです・・・もう気にしませんから、カイトさんも気にしないで下さい」

「そっ・・そか」

「カイトさん」

「何?ルリちゃん」

微笑んでカイトはルリの方を向く

「カイトさんは何者ですか?」

「・・・え?」

その微笑みはその言葉で消えてしまう

「どういう意味かな?」

「見たんです・・・カイトさんが北極海域の任務の時に廊下から消えたのを・・・」

「・・・・・・・」

「せっかく二人きりになったのです・・・聞くならここしかないと思うから聞きました・・・貴方は何者ですか?」

「・・・・知りたい?」

「はい」

「・・・・まだルリちゃんには早すぎるかな」

「どういう意味ですか?」

「そのままの意味さ」

「・・・・・・・私には早い」

ルリは考える仕草をする

(私には・・・早い?一体どういう事でしょうか・・)

「ただこれだけは覚えて欲しい」

そういってカイトは微笑む

「僕は君を必ず守る。そして幸せにするよ。必ずね」

「えっ?」

(カイトさん・・・それって・・・プロポーズですか?ちょっと待ってください。私は少女です・・まだ早すぎます。それに別にカイトさんが嫌いって訳じゃないですけど・・・まだ好きでもないんです・・・きっと・・・いえ・・多分・・・)

ルリは顔をまた真っ赤にして下を向く。その姿を見てカイトはルリを覗き込む、心配そうな顔をして

「大丈夫。ルリちゃん?あんまり日に当たったから日射病になっちゃったかな?」

「!!!きゃう」

ルリはそのまま後ろに驚いて飛びのく

「?」

「えっと・・・その・・失礼します」

そうしてルリはその場から逃げるように走っていった

「わざわざこんな所に来させて日射病させちゃ大変だ。僕も戻って何か冷たい物でも買ってこないと」

そうしてカイトもルリを追うようにして走り出す。その後にルリに飲み物を渡すがその時もルリは顔を真っ赤に染めていた。カイトは心配だから傍に居ようかとしたがラピスに捕まり浜辺で遊ぶことになった

「は〜い、探索を開始して」

エリナのその声でカイトはすぐにエステバリスの場所に行く

「探索って新型のチューリップですよね?」

「そうだよ。カイト君は僕と一緒に空からの探索だけどいいかな?」

「判りました」

カイトはエステバリスに乗り込むとアカツキと一緒に空からの探索を開始する。そうして数分で発見する

「あれが新型のチューリップか・・・さぁ〜ってぶっ潰すか」

「ちょっと待って」

リョーコは拡大映像で何かを捕らえる

「バリアー?」

「クリムゾン家?」

「バリアー?どういう事?」

「何も考えずに壊す」

「どういう事だ?なんでクリムゾン家のバリアーが?」

「・・・・・」

「おや?カイト君、何処に行くんだい?」

「ちょっと気になることがありますから、取り合えずそっちに向います」

そうしてカイトは単独行動を開始する

(クリムゾン・・・今現在と未来でもなんの勢力も持たないが・・・なんだこの感じは・・・放っておくには何か引っかかる)

カイト機はそのまま島の裏方まで向う

「ここらでいいかな」

カイト機はある島の不可解な場所だった所に不時着する

(気のせいであって欲しいが・・・)

カイトはエステから降りるとそこから歩き出す。そうして20分もしない内に隠し通路になっている階段を見つける。カイトはそこの探索を始める

「別に普通の通路だよな・・・」

そうして通路の奥まで着くと扉を開ける

「ここは・・・」

そこは屋敷の中であった。そのまま屋敷に対人装備をして探索する

「・・・・何もないのか・・・本当に」

ホッとため息を付いて拳銃を腰に戻すといきなり轟音が耳に響き地響きをする

「なっなんだ!」

カイトはその轟音がした場所まで走り出す。そこで見たものは・・・・

「アッ・・・アキト?」

「カッカイト〜〜助けてくれ〜〜〜」

「・・・・・は?」

そこにはアキトを抱きしめる女性、反対側にはユリカとメグミがいた

「・・・・・・ごめん。事情の説明頼める?」

「カイト君!その子からアキトを助けて!」

「抱き合ってますが?」

(いや、あれは抱きつかれてるのか?)

「痺れ薬で動けないんだぁ〜〜」

「・・・・アキト、お前って」

カイトは額に汗を流してため息を付く

(そういえば・・・昔にこんな話聞いたっけ・・・海の事件でヤバイ女の子でたしかアクアって名前の言う悲劇のヒロインに憧れる女の子がアキトと一緒に心中しようとしたとか・・・)

「嫌な胸騒ぎは・・・これがオチですか?」

「カイト、助けてくれ〜」

「はいはい・・・判りました」

カイトは少し呆れ顔になりながらその場から跳躍するとアキトとアクアの間に入り込む

「はい、失礼」

そういってアクアからアキトを引き離してアキトを持ち上げる

「ちょっと!何するのよ!」

勿論食ってかかるアクアだがカイトはそれを避けると割れ目がある場所を簡単にアキトを担ぎながら跳躍してユリカとメグミの元に行く

「アクア・クリムゾン、ちょっとお遊びが過ぎたね。反省しないといい女の子にはなれないよ」

そういって微笑むカイト

「!!!」

「ユリカさんとメグミさんはこの場所から離れてください。新型のジョロのとばっちりを受けますよ」

「判ったわ。カイト君は?」

「彼女も一応救出してから行きますよ」

「判かりました。さあ、アキトさん、行きますよ」

「いって、いてて。メッメグミちゃん、ユッユリカ〜引きずらないで〜」

(はぁ・・・もうまったく)

カイトは苦笑いしながら三人を見届けた

(おや、向こうも終わりみたいだ)

向こうを見ると大きな爆発と共にエステバリスが飛び交う姿が見えた

「それじゃあっと」

そしてカイトはその割れ目をまた跳躍して飛び越えるとアクアの前に立つ

「さってと、じゃあ君は・・・救出しなくてよくなったかな?」

苦笑いしながらカイトは頬を掻いた

「・・・・・・・・」

アクアは押し黙ったままカイトを見つめていた

「それじゃあ、僕は帰るよ。何度も言うようだけど遊びすぎと反省の事は忘れちゃダメだからね」

そういって後ろを振り返った瞬間

「待って!」

「うお!」

いきなり首根っこを掴まれて後ろに引っ張られるカイト

「なっなに?」

「・・・・・私の王子様・・」

「・・・・さっき言葉・・・忘れてる?」

「いえ、忘れてないわ・・・ただ本当王子様を見つけたの・・」

「は?」

「私と一緒に居てくれませんか・・・王子様」

「・・・えっと、悪いけど僕は決めた子がいるから君の王子様にはなれません」

「そっそんな!」

「あのさ・・・アクアさん」

カイトはアクアの方を向く

「どうして僕が王子様なんだい?」

「だって・・私のこと叱ってくれる人・・・いなかったわ・・・貴方が始めて」

「それだけ?」

「そう・・・私とってそれは大きな事よ」

「・・・・・・」

(この子は・・・えっと・・不味いよね?)

「アクアさん」

「はい」

「もっと大人しく、そして清らかになったら考えてあげますから。今はダメです」

「・・・・・そうですか」

(いや・・・こうでも言わないとアキトに二の舞だし!ごめんなさい)

誰かに思いっきり謝罪するカイト

「それに僕には決めた子が居ますから、その事もちゃんと頭に入れて下さい。それじゃあ」

「あの・・・」

「ん?」

「名前・・・お聞かせ下さいませんか?」

「・・・・カイト。カイト・カザマです」

そういってカイトはその場から逃げるように走り去った

(ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!ルリちゃんごめんなさい!!)

全速力で謝罪しながら自分のエステに走るカイト

結局ナデシコに帰った後はユリカ、メグミ、リョーコまで加わった手料理にアキトは追い掛け回されていた

カイトと言うと

「あの・・・ルリちゃん」

「はい?」

「ごめんなさい」

「はい?」

未だに謝罪を繰り返していた。勿論ルリは何のことか判らなかったが

追伸 ムネタケはそのまま気付かずに浜辺に置いてきたを気付いてカイトがエステで向えに行く事になった





お久しぶりです。闇光です!原作をモチーフに書いているとなかなか難しいものを感じますが結構楽しく書かせて頂いています^^

こんな作品を読んでくれる読者様が居ることに感謝致します><

どうも、有難う〜〜

次回 久しぶりの「お約束」?

を是非楽しみに〜

なんかちょっとだけタイトル改造しただけで原作と一緒とか突っ込まないで下さいorz


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