機動戦艦ナデシコ    〜忘却の白銀色の戦士〜
 









                   「忘れてもいいから・・・僕の事を忘れていいから・・・幸せになって下さい」


                                      ルリちゃん

                                     ラピスちゃん






                     
最終章 約束と言う剣持つ戦士 (後編)




火星極冠遺跡地下内部


ウリバタケ、ゴート、ジュン。他数名は遺跡地下に設置されていた。かつて自分達がナデシコと共に宇宙に投げ出した遺跡ユニットのコアを調査しに向かっていた。

「しかしよ、ゴートさんよ。なんでまた調査をしないといけないんだ」

「火星の後継者の手に何度も遺跡ユニットは渡っているのだ。あのミスマル・ユリカのように改造されている可能性もあるからだ」

「何もないといいですね・・・」

そうして地下内部へと降りると思わず目を見開いてしまった三人

「あれは・・・」

「カイトの乗ってた機体だな・・・コアの上に落下してやがる」

「取り除く作業をしなくては為らないな」

「そうですね」

三人は溜息をつきながらナデシコCに現状を伝えるために通信を繋いだ。

「こちらアオイ・ジュン。ナデシコC、応答願います。・・・あれ、ナデシコ?お〜い」

「通信出来ないのかね?アオイ君」

「はい、電波妨害が起こってるらしくて」

ウリバタケは嫌な予感がして遺跡コア、カイトのシルバーエステの近くに駆け寄った

「どうしたんです?。セイヤさん」

ごそごそと機材を設置して何やら作業しているウリバタケ。他の人はそれを黙ってみている。

「・・・冗談だろ。こんな事ってありかよ」

「セイヤさん、どうしたんですか?」

急いでナデシコに戻れ、後4時間で遺跡、いや火星は爆発する!

「なんだと?!」

「セイヤさん、どういう事なんですか?」

「いいから、戻れ〜〜!!。ここに居ちゃ危険なんだよ!」

そうしてナデシコCに戻り始める。作業員達



ナデシコCブリッジ


「どういう事なんですか。それは」

ユリカがウリバタケを問いつめていた。

「だ〜か〜ら〜、急いで火星圏を離脱しないと死ぬって言ってんだよ」

「それじゃあ、どうしてそうなるのか分からないじゃない」

ちゃんとした説明をしていないので全員が理解不能だった。

「ああ、もう。説明を誰かしてよ〜〜」

ユリカがその言葉を出した瞬間にブリッジの扉が開き、イネスが現れる。

「いいでしょう。説明しましょう」

「あや・・」

ユリカはしまったと思いながら口を塞ぐが後の祭りだった

「いい。よーく聞いて頂戴ね。今、ナデシコはいえ、火星は大変危険な状態にあるわ。遺跡コアに落ちたシルバーエステバリス。いえ白銀天光にはグラビティブラスト・・・そして調べて分かったの・・・あれには小型の相転移エンジンが搭載されていた。でもただの相転移エンジンではない」

「その相転移エンジンだがな。ナデシコA、B、Cに積まれてるエンジンとは基本構造が違う代物なんだよ」

ウリバタケの言葉にイネスが繋げるように言葉を放つ

「ナデシコAの相転移砲を覚えているかしら、実際シルバーエステバリスが放っていたグラビティキャノン。あれはグラビティブラストに扱くししているけど明らかにグラビティブラストではないわ。グラビティブラストを圧縮して放つ別の兵器。それは相転移砲の威力と変わらないわ。それもとびっきりのね。よってあのエステバリスには・・・相転移砲と同じ物が積まれていた事になるわ。それと相転移エンジンの構造だけど、ナデシコの相転移エンジンは真空をより真空に入れ替えてエネルギー得る相転移エンジンとは違って、カイト君の乗るシルバーエステバリスの相転移エンジンは・・・真空をその場に固定。そして相転移エンジン内部で圧迫・・無くなるまではその真空でエネルギーを無限に作りだすわ。もっともエステバリスのエネルギーは通常エネルギーだったようだけど、これはもう相転移エンジンとは言わない別の兵器ね。こんな代物・・・・どうして作ったのかしらね。明らかに危険度Sクラスの部類に入る失敗兵器だわ」

「・・・・・・・・・・」

ブリッジが一斉に沈黙に囚われる

「・・・ありえないだろ・・・そんな物にカイトは乗ってたのかよ・・」

「本来ならとっくに爆発してるはずよ。それの爆発を止めたのはカイト君のIFS、イメージフィードバック・システムの御陰かしら、体内のナノマシンが彼は異常と言っていいほどの量があるわ。それがある意味、彼のイメージをよりシルバーエステバリスに指令した。勿論、彼は無意識なんでしょうけど、それで爆発も防ぐ事になった。・・・他の人が乗れば暴発を必ず起こしていたわ」

「それで、カイト君は?」

「彼ならアキト君、そしてラピス。ルリちゃんと一緒に医務室居るわ」

また、倒れちゃったんですか?!

ユリカが苦痛の声をあげてイネスに叫んだ

「いえ、倒れたのは、ルリちゃんの方よ」

「えっ・・」

「かなりの疲労だったのね。もっともゆっくり寝かしている訳にもいかないけど・・・タイムリミットは後3時間。その間にせめてナデシコB、C。そしてユーチャリスを火星圏内から出なければ巻き込まれてボンよ」

それを聞いたユリカは医務室に走りだした。他のクルーはただ何も出来ずに指示を待つだけ。持ち場に待機しはじめた。


「アキト、カイト君!」

医務室に入るとカイトがベットに寝ているルリの頭を優しく撫でて、寝ているラピスに膝枕をしていた。アキトはそれを優しい瞳で見ていた。

「・・・聞きましたよ。ユリカさん」

カイトはそう呟いた。アキトも少し表情を歪める

「なら急いで逃げないと」

「ユリカさん・・・火星好きですか?」

カイトは唐突にユリカに質問をした。その瞳は優しくそして悲しいほどの色をしていた。

「えっ・・・火星?」

「はい、アキトさんとユリカさん。そしてナデシコのみんなにはある意味故郷と呼べる惑星・・・好きですか?」

「好きだよ。爆破しちゃうって聞いた時、胸が苦しくなったけど仕方ないよ」

「僕は仕方ないと思いたくはありませんから」

ラピスの頭を優しくベットの方に向ける。ルリとラピスは小さく寝息を立てていた。

「僕はこの二人をずっと守りたい・・・だけど僕にはその資格・・・それに時間もない」

カイトは目を閉じてイツキの顔を思い浮かべた。思い浮かべていた顔は優しく微笑んでいた

「行きます・・・僕が遺跡を飛ばします」

「えっ・・・何言ってるの?・・・カイト君。カイト君何言ってる?!」

「火星は僕に取っても大切な場所です。・・だから爆破なんてさせたくない。それに僕のシルバーのせいなんでしょ。だったら僕が責任を取ります」

「巫山戯ないで。そんな馬鹿な事言わないでよ」

ユリカのその言葉を聞いてアキトがユリカの頬を叩く。

「なっ・・・何するのよ。アキト」

「カイトの・・・カイトの気持ちを考えてやれよ。カイトはこのまま何もしないで死ぬよりは・・・・」

アキトは手から血が滲み出るぐらい拳を強く握りしめる

「・・アキトさん。別に打たなくても・・」

「・・・ユリカ。分かってやってくれよ」

「・・・うぁぁぁぁん」

ユリカはアキトの胸に飛び込むと泣き続けた。アキトはそれを繋げ止めるように優しく、優しく抱きしめていた。

「・・・ルリちゃんと・・・ラピスを頼みます」

「カイト・・・」

「カイト・・君」

カイトはさっきまで着ていた血がまだついている白の復讐者の服と割れたバイザーを手に持つと一礼して医務室から出ていく。

「うぅぅん。カイト」

ラピスが目を覚ます。ラピスは辺りを見回すようにしてカイトの姿を探すがその場には居なかった。

「・・・カイト・・・何処?」

アキトは優しく少し辛そうな顔して

「大丈夫。きっと・・また会える」

そうラピスに言うがラピスはその言葉の意味を理解したのか、または泣いているユリカの姿を見たせいで気付いたのか、急いで医務室から出て走りだした。

「ラピス。待て」

「ラピスちゃん。待って」

二人がそう叫ぶがラピス全速力で息切れするぐらいになるまで走り続けた。

(カイト・・・カイト・・・・カイト・・カイト)

そうして展望室に入ると復讐者の格好をしたカイトがそこにいた

「・・・なんのようだ。ラピスちゃん」

その言葉は冷たく、あの時のように恐怖を感じるほどの言葉だったがラピスはカイトの側まで行くと離れないように抱きしめた

「・・・離さない。一人は嫌、カイトと離れるのはもっと嫌」

「・・・離れろ。僕は死にに行くんだぞ」

「だけど・・離れない」

「・・・
・離れろ!

カイトはラピスに向かって怒鳴った。それは苦痛の叫びだったように聞こえたがラピスは離れようとはしない。力を込めて抱きつく

いや!

ラピスは大声で叫んだ。

「・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

沈黙が二人を包み込む。だが折れたのはカイトだった

(・・・死なせない。一瞬の瞬間にこの子をナデシコに戻す・・・ここで硬直状態では時間がない)

「・・・行くぞ。ラピスちゃん」

「・・・うん」

ラピスは心の底から嬉しそうに微笑んだ

(・・・困った我が儘な子だ)

そうして遺跡地下に二人は飛んだ。



医務室ではルリが目を覚ました。辺りを見回すとアキトとユリカだけが目に留まりカイトの姿は無かった

「ユリカさん・・・アキトさん」

「あ、ルリちゃん。起きたんだね」

「はい、ご心配おかけしました。あの・・カイトさんは」

アキトは辛い顔をして無言のまま下を向いた。ユリカは瞳を紅くしていた

「カイトさんに・・・
何かあったんですか?

アキトは無言のまま何も言えなかった

(隠し通せない。ルリちゃんは無理だ。この子には・・・無理だ)

「教えて下さい。何があったんですか?」

「ルリちゃん・・・」

「カイト君は・・・遺跡に居るよ」

「どうして・・・・ですか?」

アキトは今まで何があったのかを説明した。・・・それはルリとってはあまり過酷な現実だった。

「火星が・・・カイトさん」

(どうして・・・こんな運命になったんですか・・・どうして彼が死なないといけないんですか・・・どうして)

ルリは急いで立ち上がるとブリッジに歩きだした。アキトユリカもそれに続く

ブリッジに着くとハーリーが心配にそうに駆け寄ってくる

「艦長、もう大丈夫なんですか?」

「ハーリー君、どいて。今は急いでるの」

そうしてハーリーを素通りするとルリは艦長席に座る。

(オモイカネ、お願い。カイトさんと通信を繋げて)

{カイト。コミュニケーター、ナデシコC内部に感知}

(そんな・・コミュニケを外してる・・・遺跡内部に通信を取れる手段を)

{コミュニケ、遺跡に通信可能、ラピス}

(ラピス・・コミニュケを着けていた・・よかった)

ルリはラピスに通信を繋げると悲痛の声を上げた

カイトさん

カイトはその声を方を向く。

「ラピスちゃん、コミニュケは外さなかったのか?」

「うん・・・ごめんなさい」

「いや、別に・・その事はいいけど・・さすがに早いね。ルリちゃん」

「カイトさん。あの・・・」

言葉が続かなかった。何を言えばいいのだろうと思考をフル回転して考えるルリ。

(帰ってきて下さい・・それは当たり前ですけど、カイトさんはもうすぐ・・・じゃあ、どうすればいいんですか。・・どうすれば)

「もう少しで遺跡とシルバーを飛ばす事が可能になるんだ。通信を切るんだ。ラピスちゃん」

「う・・ん」

ラピスは少し名残り惜しそうに通信を切ろうとする。

「待って、カイトさんに・・カイトさんに・・・」

(なんて言えばいいの・・)

「カイトさんに・・・」

(どうやって呼び止めるの・・)

「カ・・イトさん」

(彼はもうすぐ死んじゃうんだよ。呼び止めてどうするの?)

「カ・・・・ィ・・ト」

(それでも私は・・・カイトさんと話したい。最後でもいい・・だから)

「ラピス、お願い。カイトさんと話させて下さい」

それがルリが悩み、苦しんで出した答えだった。カイトと話せばきっと答えが出ると信じて

「・・・・・・・・・・・・・・・・分かった」

ラピスはカイトの側に寄るとコミニュケをカイトに渡すがカイトはそれを切る。それと同時に通信ロックを掛ける

「カイト・・・せめて最後にルリに何か言ってあげて」

「最後だから・・・嫌なんだ」

そうしてシルバーに乗り込むカイト。ラピスはそれを追うようにシルバーのコックピットに乗り込む

「行くよ。ラピスちゃん」

「分かった・・私はカイトと一緒に居る。これからもずっと・・」

ラピスはカイトの胸に優しく体を委ねる。カイトは少し辛い顔してラピスの頭を撫でた。

ナデシコCではカイトの通信ロックを外す為の作業をルリが額に汗を掻きながらも続けていた。

(どうして、どうして通信ロックなんか・・・お願い、外れて・・・お願い、お願い)

「お願い・・・外れて」

「火星地下内部にボース粒子増大中」

{通信ロック解除}

カイトさん!

ルリは通信が開くと同時に大声で叫んだ。愛しい人。大切な人の名を

「・・・・」

カイトは無言のまま消えた。ただ優しく、微笑みながら

「カ・・イト・・さん?」

「遺跡・・・地下内部・・・ジャンプアウト・・・確認出来ました」

「カイト君・・・・」

「・・・・カイト」

ブリッジに居た全員が沈黙に包まれていく。二度と彼と会えないと分かったルリの瞳からは一滴の涙が頬を伝った。

(もう・・・会えないんですか・・・もう私の隣で微笑んでくれないんですか?・・カイトさん・・カイトさん)

ナデシコクルーはこの時に大切な物を無くした




宇宙 太陽の反対側


「これで、いいんだ」

カイトは瞳を閉じてただ時間が過ぎるのを待つ

(そういえば、遺跡が無くなればどうなるんだろう・・・イネスさんから聞いた事あるけど、たしか過去や現在、未来のボソンジャンプが無くなるんだっけ)

カイトは思考の海を漂うようにして時が来るのを待っていた

(それってどういう意味なんだろう。まあ遺跡が無くなってしまえば戦争は起きない・・・か)

「うっうん」

その声にカイトは瞳を開けた、膝の上に乗っているラピスが目を覚ましたのだ

「ラピスちゃん」

「ううん。・・・はっ」

ラピスは意識がしっかりしてきたらしくすぐに上を見上げるようにしてカイトの顔を確認した

「カイト」

まるで安心したかのようにしてラピスはカイトの胸に頭を寄せて頬ずりする。カイトはそれを見つめながら微笑んで、ラピスの頭を撫でた。

「ラピス」

(戻さなければならない。そうしないとこの子まで一緒に)

カイトは真剣な瞳でラピスを見つめる。そうしてラピスの額にキスをした

「カイト?」

それを不思議そうに感じながらも嬉しそうに頬をピンク色に染めるラピスだが次の言葉を聞いた時、まるで絶望したような顔になる

「お帰り・・・ラピスちゃんはここに居てはダメだから」

「・・・え?」

沈黙が訪れる。

「いっ一緒に居てくれるって言った・・・の・・にっっ」

そう言って泣き始めるラピス。そんなラピスをカイトは優しく抱きしめてラピスの髪にチューリップクリスタルを髪留めのようにして付ける

「・・・・ごめんね」

そうしてあの時と同じようにボソンの光がラピスを包み込み始める

「いや・・・嫌だよ・・いやぁぁぁぁぁ」

カイトはルリと別れた時と同じように微笑む。そうしてラピスはカイトの腕の中から消えた

「ごめん・・・ごめんね」

涙を流すカイト。これが最後に流す涙と信じて・・・





















そうして時間を告げるようになる警報


















カイトはその瞬間に涙を流しながら微笑んだ

















「ばいばい・・・・大切な家族達」


















そうカイトが言った瞬間にシルバーエステバリスと支えられるように持たれていた遺跡は爆発した。その爆発はまるで宝石が砕けるように美しくボソンの光に包まれた・・・とても悲しい色をした爆発だった


















風が吹いた。彼は空を見ながらゆっくりと歩いていた

「お〜い。そんなに急がなくてもいいじゃないか」

「だって、早く帰りたいもん」

「別に急いで帰っても何もないじゃないか」

「ううん、何か今日はとっても良いことありそうなんだよね」

そう言って彼女は走っていく。彼もそれを追うようにして走り出す

「ただいま〜」

「ただいま〜」

そう言って二人は古ぼけたアパートの部屋に入る。彼はそこでポストの中にある手紙を見つける

「お、手紙だ」

「え?誰から?」

「ルリちゃんから」

「ホント?見せて!」

「ああ」

彼はそう言って手紙を開く



元気していますか?私は元気にしています。あの火星の事件以来は何の騒ぎもなく退屈と言っていいほどの毎日を過ごして居ます。ラピスもとても元気にしています。今では見習い艦長を卒業してすっかりナデシコの艦長が勤まるぐらいなってきました。あの時にラピスが新米艦長としてアキトさんと一緒にナデシコに来た時はさすがの私もびっくりしてしまいました。私は今でも艦長補佐としてナデシコとラピスを支えています。ハーリー君もナデシコ副艦長としてゆっくりと成長してるみたいです。短いですがこれでお手紙を終わりにします。

                                    追伸 サブロウタさんとリョーコさんの結婚式には戻ってきます
                                                             貴方達の家族 ホシノ・ルリ


「元気にしてるみたいだね。ルリちゃん」

「そうだな」

二人は手紙を見つめて微笑んだ

「さってとお昼にするぞ。ユリカ」

「うん。アキト」






「ルリ、お昼行こう」

「いいですよ。ラピス」

二人はそう言ってブリッジから出ていこうとする

「あっ、僕も一緒に」

「お仕事終わってから来てください」

「そっそんな〜」

ルリの一言に項垂れるハーリー

それを笑いながらルリと一緒に出ていくラピスとルリ

それを見届けるとルリに言われるようにオモイカネと接続して止めるハーリー

(ナデシコBに火星の後継者残存部隊・・・新米艦長ラピス・ラズリと共に殲滅と・・・遺跡コアは火星の後継者に仕掛けられた爆弾で消滅・・・ユーチャリスはネルガルのドックに健在・・・・・・穴ぼこだらけだけど・・・これが真実・・・か)

ハーリーは少し悩む顔をしながら作業を続けた

食堂に行く途中にラピスは立ち止まる。ルリもまるでそれが当然の如くラピスと共に立ち止まり、そして食堂とは違う方向に歩きだす

彼女達は格納庫に扉の前に来ると何も躊躇う事無く入る。そして機械音や怒鳴り声の聞こえる中でたった一機の埃を被り整備されてもない、傷だらけの白いエステバリスを見つめる。

「また・・ここに来てしまいましたね。ラピス」

「うん」

「どうしてですか?このエステバリスは・・・・誰も乗った事がないエステバリスですよ。ただの予備機体ですし」

「うん・・・」

ラピスはそのエステバリスを見つめたまま動こうとしない。ルリも同じように動こうはしない

「・・・・でも・・・知ってる」

「・・・そうですね」

二人は白いエステバリスを見ていたが、突然声を押し殺してラピスは泣き始めた

「ひっく・・・ぅぅ」

「ラピス・・・」

ルリも瞳から涙を流してラピスを抱きしめる。

大丈夫・・・大丈夫」

そう言ってラピス、いや自分を落ち着かせるようにして呟くルリ




その白いエステバリスにはパイロット居た様な気がした

とっても大切な人が居たような気がした

誰かは分からないけど笑顔の優しい人だった様な気がした

そして最後まで自分達を守ってくれた様な気がした


「・・・・・有り難う」

ルリはそれしか言う事が出来ずにただ泣きやむ事がないラピスを抱きしめていた









                                                                        END





はい。お疲れ様です。闇光で〜す。如何だったでしょうか。機動戦艦ナデシコ 〜忘却の白銀色の戦士〜

ハッキリ自分で言うのも何ですが・・・ 
ご め ん な さ い。

もう痛い作品まっしぐらでした!。最初はシリアス程度でいいかなと思ったらダークまっしぐら。指摘されるまで気付かなかったよ。

あっはっはっはっっはっは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・スイマセンデシタ

「でもいいんじゃないかな?みんなを助ける事できたし」

「良くありません!カイトさんは優しすぎます。こんな奴はこうして「ザク」こうして「グサ」こうして「バキ」こうですよ「グシャ」

「ルッルリちゃん・・・・今何したの?」

「カイト、細かいこと気にしない」

「そうだぞ、カイト。大体どーしてお前が死なないといけないんだ」

「そうだよ。カイト君。それに何かカイト君が居なくなって私達の記憶消えてるっぽいし」

「えっ、そうなの?」

「そうなのってカイト君・・・」

「たしかに消えてるぞ。何かもう居ない人扱いだし」

「ラピス、悲しい・・・」

「そうですよ。誰か説明して貰わないと分かりません」

「説明!」

ああ、ダメ。ヤメテ。そこがこの作品の唯一の謎なん

ズキューン

「あっ・・・銃声」

ドクドク

「「「・・・・・・・・・・・」」」

「こんな人は殺しても足りませんね」

「ルッルリちゃん・・・・」

「とっとにかく説明するわね」

「でも、もうそろそろお開きにしないと」

「ええっ!ちょっと待ちなさいよ。これからが良いところ」

「では、最後は主役のカイト君にしめて貰いましょう」

「えっ?僕?」

「そうですね。カイトさんに」

「カイト、がんばれ」

「ええっと・・それではまた会える日まで」

「「「「さようなら〜」」」」


「説明・・・説明」



まった・・・ね〜     ドサ



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