機動戦艦ナデシコ    〜忘却の白銀色の戦士〜
 

                                   伝えたい事があった

                             でも、もう会う事はないと思っていたから

                            だからずっと言わないでおこうと思っていた

                             だけどもしかしたらって可能性を信じてた

                             もしかしたら言えるかもって思ってたけど

                                     でも今は・・・・もう


                             その可能性すら・・・無くなってしまった





                    第9章  光を無くした戦士と静寂の火星





ユーチャリス


「・・・・・・・・・・・」

「あの・・カイト?」

「・・・・・・・・・・」

カイトはラピスに答える事なく進路を設定し、薬を一粒飲み込んだ。既に薬の量は数えるほどにしか無く単独ジャンプ時にかなりの量を消費していた。

「・・・・・」

「カイト・・・・」

ラピスはカイトの顔を見ながら何も言う事は出来なかった。

「火星遺跡、進路設定確認。現在の敵の数0」

カイトはそう告げると立ち上がった。

「何処に行くの。カイト?」

「格納庫。敵がいないと言っても何時襲われるか分からない状態だ。反応があればすぐにシルバーで出る」

「・・・うん。分かった」

ラピスは不安な顔になり、何も言う事は無かった。いつもならここでカイトはラピスの頭を優しく撫でていただろうが、今はそんな事する事はなかった。

「ラピスちゃん。このルートは敵の輸送の為のルート言ってもいい。だから敵と遭遇確率は少ないだろうが敵が出たらすぐに知らせてくれ」

そうしてカイトはブリッジから出た。ラピスは不安の顔のままカイトの出た扉だけを見つめていた


そうしてユーチャリスは火星遺跡近くまで敵に会う事なく来る事が出来るのだがさすがに敵の本拠地と言える場所だった。火星の遺跡から役1300k地点の所においてカイトは六連と遭遇。戦闘を開始した。


「・・・・・・・・・・」

カイトは無言のままユーチャリスから発進。その後4機の六連を相手していた。ユーチャリスの方はまるで狙われていないのか、火星の後継者のバッタ。無人兵器ぐらいの戦力でしか、攻撃をされていなかった

「殺人傀儡よ。ここから先にはいかせん。貴様の様な欠陥品はな」

「・・・・・・・・・」

カイトの乗るシルバーエステは錫杖の攻撃を綺麗に避けながら六連の一機にタックルする

「くっ。貴様」

「僕を・・・・」

シルバーはフィールドランサーαを背中から取り出して広げる。そして六連から繰り出されるミサイルを切り裂く

「僕を・・・・・・」

フィールドランサーαの間合いに六連の一機を収めるとカイトは躊躇い無くコックピットにフィールドランサーαを突き刺す

「ぐぁぁぁぁ」

大破していく六連。残りの3機はフォーメイションを整える様にして重なる

「僕を・・・」

「うおーーー」

そうして一機が錫杖を投げる。シルバーはそれを破壊するのでは無く一回弾き、回って上の方に向かう途中で錫杖をシルバーは握る

「何!」

「僕を・・・欠陥品と呼ぶな」

カイトはそう呟いてさっき手に取った錫杖を六連に投げつける。

「馬鹿な。そんな事が」

六連に突き刺さる錫杖。そうして六連の一機はまたも大破していく。

「もう・・・遊びは終わりにしてやる」

カイトは冷たくそう言い放つと背中にあるグラビティキャノンを六連2機に標準を合わせた。

「馬鹿め。その様な攻撃が我らに当たるか」

「・・・・・・・・・・」

シルバーはボソンの光を放ち始める。

「まさか・・・貴様」

「跳躍」

シルバーは六連2機の後ろに回り込む形でボソンジャンプした。一瞬の出来事にジャンプしたと言う事だけは理解できるが時は既に遅くグラビティキャノンは放たれていた。

ギュイィィィィィィィィィイン

「馬鹿な。殺人傀儡・・・貴様は」

ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

グラビティキャノンに巻き込まれながら大破していく2機の六連。カイトはそれを見ると懐に締まっている薬を3個ほど口入れてユーチャリスに向かう

(苦しいが・・・苦しがっている暇はなぞない)

「・・・・・くっ」

戦艦では小回りがきかないので以外にも無人兵器に手間をかけている事にラピスは苛立っていた。

(私はカイトの役に立ちたいのに、今は何?カイトが怖い。アキトと同じ様に為っていると考えれば怖くないはずなのに、どうして?。嫌だ。そんな風に考えたくない)

ラピスの頭の中は戦闘とは違う事を考えていた。そのせいでうまく敵を倒せない。ミサイルの標準は外れる。グラビティブラストは相転移エンジンの出力をディストンションフィールドに回すばかりで撃てない状態になっている。

「・・・・・・・・ラピスちゃん。」

カイトはそう呟くとユーチャリスに群がる無人兵器に素早くフィールドランサーαで貫く形を取りながらDフィールドのタックル状態で一気に40機のバッタ、新型バッタ、ジョロと合体しているバッタを一掃した。

「カイト」

ラピスは安堵の顔に為りシルバーエステを見つめる

「ラピスちゃん、無理はする事はない。危なくなったら僕を呼べばいい。それだけだ」

そう告げると通信をしてすぐに全ての無人兵器を破壊するシルバー

「カイト・・・ごめんね。・・・ごめんね」

ラピスは自分が嫌になった。たとえあんな風になってもラピスを心配してくれているカイトを怖いと思った自分を嫌になった

(あの子だけは・・・せめて約束を)

そうしてユーチャリスは戦闘を続けながらも火星遺跡に到達した。大艦隊と言っていいだろう。かんなずきを初めてとするゆめみずきクラス艦が9機ほど、そしてエステバリス20機、バッタやら無人兵器は200機は超えていた。そうして遺跡の中心地に赤い機体、カイトは初めて見るだろう夜天光がいた

「・・・・・ラピスちゃん、僕はシルバーで出る」

「分かった。この数だから、無理はしないで、さっき確認したら近くにナデシコ級戦艦が2機居るから」

「ナデシコ?、そうか・・C戦艦か」

カイトが今まで見たことがあるのはナデシコとそしてナデシコBだけの2戦艦。カイトに取ってナデシコC戦艦と呼ばれる戦艦は見た事がないのだ。だが確信はしていた。何処よりもそのナデシコC戦艦が安全だと

「ラピスちゃん、ユーチャリスは自爆させる。そうすれば敵の戦力は少しは押さえ込めるだろう」

「ユーチャリスを・・・爆破?」

カイトの言葉はラピスに衝撃を与えた。このユーチャリス戦艦はラピスに取っては家も同然な所。それを爆破させると平然と言うカイトが信じられなかった

「嫌だよ・・・」

「ラピスちゃん」

「嫌だよ、絶対そんなの嫌。どうして?」

「時間がないんだ・・・そろそろ戦闘領域に入る」

「嫌だよ。カイト、ここは私の家なんだよ、私の・・・」

ラピスはそう言って涙を流し始める。カイトには分かっていた。この子はルリちゃんと一緒なのだ。だから思い出を大切にしたいと

「・・・・・・・分かった。ではこのままユーチャリスはここで反転させろ」

「え?」

「僕はシルバーで単独で敵に突っ込む」

「無茶だよ、やめて」

「ユーチャリスを爆破させないと考えているなら僕の戦略は使えない。だから」

「嫌だよ。どうして?。カイト、どうしてそんな風になっちゃったの?ナデシコと合流してからでも遅くないよ」

「・・・・・・・・」

(僕は・・・変わった・・・もう優しくなれない。・・時間もない・・だから)

「お願い、もうやめて。そんなカイト・・・嫌だよ」

ラピスは瞳から涙を流しながらカイトに抱きつく。カイトはしばし動かないでいたがラピスの額に優しくキスをする。触れるだけの優しいキス。。

「かっカイト」

ラピスは何をされたのか分からず顔を真っ赤にさせてカイトを見つめた。

「・・・・・僕の考えているより・・ラピスちゃん。君は可愛くなったね」

「えっ・・」

ラピスは何を言われているのか分からなかった。

「ラピスちゃん。約束・・・果たそうか」

カイトはそう言って懐からチューリップクリスタルを取り出す。

「カイト、待って。何をするつもり?」

カイトはその一瞬だけ仮面を外した。

(二度と取れないように・・・この瞬間だけ外したら・・・二度と・・・外れない様に・・)

「ラピスちゃん。これからは・・・自分の為に」

そう言ってカイトは笑う。あの時の笑顔。ラーメンを作っていた時の笑顔。初めて撫でてくれた時の笑顔。ラピスが好きになった笑顔に

そしてカイトとラピスをボソンの光が優しく包み込む・・・しかしそれは一定するとラピスのみに光りが移る

「カイト?・・・何をするの?」

「・・・・約束は守るから」

カイトはまた笑った。優しく、そして悲しく

カイト!!

(・・・ボソン砲の応用・・・無事で・・・ナデシコに)

(この子を守りたいんでしょ?)

(・・・・そうだよ・・・イツキ)

(なら・・・きっと・・・大丈夫)

(ああ)

「さようなら・・・可愛い僕の・・・妹」

そうしてカイトだけを残してラピスはボソンジャンプした。ラピスの手の中にはチューリップクリスタルを握らせて


ラピスはジャンプさせられたと言う事を初めてカイトが消えて分かった。カイトは命をかけてあの場所からボソンジャンプさせてくれた事を

「カイト・・・酷いよ。・・・一緒に居てくれるんじゃなかったの?。ずっと一緒に・・・」

ラピスはボソンジャンプしたナデシコCの展望室で大声で泣いた。もう一緒に居てくれない人の名を何度も叫びながら

ボソン砲応用でラピスをジャンプさせたカイトは胸を押さえ、苦しみ始めていた

「ぐは・・・・がぁぁぁぁ」

(薬を・・・)

カイトは胸を押さえながら残った15個の内の薬の7個ほど飲み込んだ

(出来たよな・・・イツキ・・これで・・・いいんだよな)

(・・・ミカズチ・・・)

「さあ・・・ハァハァ・・・ユーチャリスを・・反転させて・・・ナデシコに・・」

{ずいぶんと自分勝手な事をされましたね}

「・・・ダッシュ・・・・初めてだな。こうやって話す事になるとは」

{ええ、今までは話す必要がなかったですからね}

「そうだな・・・ハァハァ」

{最初に言います。私は貴方が嫌いです。ラピスを悲しませた貴方が嫌いです}

「光栄だよ。ダッシュ。なら嫌いな私の前から今すぐ反転してナデシコに向かえ」

{・・・・・・・・・・・本当に呆れた方ですね}

「そうかい?」

{・・・・ラピスは貴方を家族と言いました。そして私の事を家と言ってくれました。なら貴方も大切な家族です。例え私が嫌いでも}

「・・・・・有り難う。ダッシュ」

{・・・・・本当に宜しいのですか?}

「ああ、・・・お前も元気で・・・」

{・・・ご主人様も・・・}

ユーチャリスメインコンピューターダッシュはそう言って通信を閉じた、カイトは今まではダッシュと話す事はなかったがその存在はカイトに取ってとても心強い正に影からの支えだった

「・・・・さようなら、ユーチャリス」

カイトはそう言って格納庫に向かい、シルバーに乗り込みそして、Gカタパルトで発進した

ユーチャリスはシルバーを優しくそして悲しく見送る様に白く輝いた

「来たな、殺人傀儡」

火星遺跡近くに来ると不意に通信が開き、南雲の顔が出る

「・・・ああ、貴様らを殺す為にな」

「ほう・・・今までよく生きていたものだな」

「五月蠅い・・・黙れ」

「フッ、貴様は愚かだな。たった一機で、しかも機体、そして貴様の体とてもう限界だろうに。死に急ぐ者に我は倒せん」

「やってみれなければ・・・分からない」

そうしてシルバーは最大の機動力で敵陣に入り込む。まさにカイトは死に場所を見つけた様に





ナデシコB 宇宙 


「ナデシコB。火星大気圏に突入します」

ナデシコは多少揺れながらも火星大気圏を突破していく。

「ルリちゃんっと・・おわ」

アキトが話しかけようとしようとするが揺れが酷くアキトは転けた

「アキトさん、着席しておいた方が安全です」

「あっああ」

アキトはあの一件以来、ルリに謝る機会を逃していた。

「ナデシコB、突入コース、OKよん」

「このまま、現状を維持、不時着後、すぐに修理を開始する様にお願いします」

「了解、伝えます」

ハーリーが通信を開きウリバタケにそのことを伝える

「あの、ルリちゃん」

「あ、アキトさん。なんですか?」

「いや、あの時の・・・」

「気にしてません」

「へ?」

「大丈夫です。私は・・・あんな事には絶対しませんから」

そう言ってルリはアキトに微笑む。意志のある強い笑顔の様にアキトには見えた

「うし、不時着成功。後は修理と行きますか」

「サブロウタさん、アキトさんと共にエステバリスの点検をしておいて下さい。これからは戦闘続きに為ります。不備があるれば死に繋がりますから」

「はいよ、テンカワ。行くぞ」

「ええ、サブロウタさん」

アキトとサブロウタは格納庫に向かった。アキトは扉の所に立ち止まりルリを見た

(あの子は強くなったよ・・・カイトの御陰かな)

アキトはそう思うと嬉しそうにサブロウタの後を追った

「艦長、通信が入りました。どうやら宇宙連合軍の様です」

「繋げて下さい」

ハーリーはルリの指示通りに通信を開いた。ウィンドウに現れたのはミスマル提督だった。

「ナデシコの諸君、どうやら火星に無事到着できたようだな」

「はい、無事とは言えませんが火星に不時着。現在はナデシコBの修理をしています」

「そうか。・・・大体火星のどの位置に居るか。分かるかね?」

「位置ですか?」

ルリは疑問に思いながら、ミナトに頼み現在のナデシコBの位置を知らせた。

「座標地点。近い場所とは言えないが大丈夫そうだな」

「何が大丈夫なのですか?提督?」

「いや、それはそちらが後に分かることだ。私からは何も言わないでおくとしよう」

「何か、隠してるみたいねぇ?」

ミナトとルリ、いやブリッジにいた全員がその含まれた言い方を気になっていた。

(ナデシコ以外にこの近くに何かある・・・一体なんでしょうか・・)

ルリはそれがなんだか想像はできなかったが味方であると言う事は分かった

「では、ナデシコの諸君。これからが本番と言っていい戦いだ。決して気を抜くなよ」

そう言ってミスマル提督は通信と終了した

「一体に何があるんでしょうか?艦長」

「分かりません。ただ味方と言う事だけは認識しています」

そうして一旦静まりかえるブリッジに警告音が鳴り響いた

「敵よ。ルリルリ、しかも大軍隊。ちょっと不味いわね」

「艦内戦闘態勢Aに移行、エステバリス隊は発進お願いします」

格納庫では既にアキトを含む全てのエステバリスが発進準備を完了していた

「アキト機出る」

アキトはそう叫ぶように言ってエステバリスを発進させる。そしてそれに続くようにエステバリスが続々と発進する

「現在ナデシコは修理の為動けません。敵をナデシコに近寄らせないで下さい」

「了解〜。わーってるよ」

「厳しい戦闘になりそうだよね」

「ここはギャグを飛ばせる余裕はなさそうね」

そしてエステバリスは敵を一掃していくが数が多いのか。いっこうに減る気配はない

「このままじゃ、不味いぞ。テンカワ」

「分かってるけど、俺もこれ以上は・・・」

たしかにアキトは既に14艦ほどの無人戦艦を破壊している。それだけでもまさに神業等しかった。

この〜〜

そう叫び、フィールドランサーで切り裂き、そしてまた一機無人兵器が落とされる。

「くっ、いい加減さ。敵さん減ってくれよ」

サブロウタやみんなも既に疲れ切ってる状態まで追い込まれた。

「このままじゃ、危ないよ」

この、この〜。こんの〜〜〜〜〜

リョーコがレールカノンを連射して弾切れ状態になる

「リョーコ。無駄撃ちしないで」

「わーってるよ」

「くっ、ペースが乱れてきやがった」

「落ち着いて、みんな。ナデシコに被弾される訳にはいかなんだ」

「テンカワ。これ以上はエステバリスだけじゃ抑えられない」

この長い戦闘時間にナデシコに被弾させる事無く敵を落としてきたエステバリス隊はまさに無敵と言えるだろうが、動かしているのは人間である。たとえ宇宙連合最強と思われているアキトやみんなでさえ、疲労の色が隠せない。

「せめて、グラビティブラスの様な広範囲の攻撃が出来れば」

おっ任せーーーーーー

「へ?」

「え?」

「まさか、やっと着いたか」

ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン

全ての敵を消滅させる様にグラビティブラストが敵の70%を消滅させた

「あれは・・・・もしかして」

ルリは外を見て目を疑った

「お待たせ、ぶぃ」

そしてその瞬間、いきなりウィンドウが開いてユリカが顔を出す

「お〜ユリカさん」

プロスベクタが少し安堵の顔をしてユリカに話しかけた

「ナデシコC。持ってきたよ〜」

「ユリカさん。一体どうして?」

ルリは現状を分からずに驚いていた

「裏ルート、成功したようね」

イネスがまるで全てを知っていたかの様に言う

「イネスさん、一体どういう事ですか?」

「説明しましょう」

お決まりのセリフを出して今の現状の説明を始めた。

「あの後、つまり2ヶ月前の戦闘が終わった後、ナデシコCは火星の地下に隠されていたよ。遺跡を守る要としてね」

「えー。でも遺跡は占領されちゃったじゃない」

ミナトが当たり前の様な質問をぶつける

「当然よ。遺跡を守ると言っても隠してある所の距離は大分ある訳だし、遺跡付近に隠せば見つかる可能性だってあるわ」

「そういう事よ。ネルガルも宇宙連合軍もそれだけは避けたかったよ」

ウィンドウが開いてエリナが横やりを入れる

「私の説明の邪魔しないで」

イネスが説明の邪魔されて怒っているがまた説明を始めた

「つまり、ナデシコCとホシノ・ルリ、この二人が揃えば例え占領されたとしても、2ヶ月前の様な戦火は上げれるわ。それにそれの方が敵を一気に殲滅できる。遺跡と言う餌をまいてね」

「それは分かりますが、どうしてユリカさんがあそこに居るんですか?」

「ルリちゃん。ミスマル・ユリカは何だっかしら?」

「・・・・!。ボソンジャンプですね」

「正解。A級ジャンパーさえ居ればナデシコCには飛ぶことが出来るわ。しかもより早く、迅速にね」

「つまりナデシコBは敵を欺ける対象だったと言う事ですか?」

「ご名答」

イネスの説明が終盤に差し掛かる頃には既に残った敵はエステバリス隊によって全滅していた

そうして、ナデシコCはナデシコBに寄り添うに様にして不時着した。通路が開かれ、そこからユリカ、エリナ、ジュン、ゴートが姿を現す

「お疲れさまね。みんな」

「アキト〜〜。会いたかったよ」

そう言ってアキトに抱きつくユリカ

「ユッユリカ、みんな見てる前ではやめてくれ」

「えー、ずっと会えなかったのに我慢できないよ〜」

相変わらずのピンクな空気に突入する。さすがの馬鹿ップルぶりにエリナとジュンは呆れ気味だった

「えーっと、ナデシコBとCはこれから火星遺跡奪還及び、火星の後継者残存部隊を殲滅せよ。と命令を受けました」

ジュンがユリカの替わりにルリに伝える

「ご苦労様です。それでは私はこれからナデシコCに乗り込みます」

「了解です。アキト君、ミナトさん、それとサブロウタさんもナデシコCに搭乗して下さい。アキト君にはネルガルからの品、届いてるわよ」

「あれですか」

アキトはユリカから離れて、エリナを見る

「そう、あれよ」

「え〜。また私、アキトと離ればなれになっちゃうの?」

「しょうがないでしょ。ナデシコCにルリちゃんが乗るのよ。ナデシコBの指揮官は貴方よ。ミスマル・ユリカ」

「私?、でも私はそんな事できないし」

「元、初代ナデシコ艦長が出来てナデシコBの艦長が出来ないと言う事はなかろう」

ゴートがそうユリカに言う

「そうですねぇ。ナデシコCにルリさんがいかれるなら、やはりここはナデシコBにはユリカさんが必要ですし」

プロスとゴートのおなじみのタッグで言いくるめる

「ユリカ、お前しか出来ない事なんだ」

「アキト・・・・。分かった。私、アキトの為に頑張る」

さすがであると言うべきか、簡単にユリカを丸めこむアキト。ちなみにこの時点でゴートとプロスのタッグは効果が消えてるのは言うまでもない

「では、皆さん。ナデシコCに搭乗する方は急いで下さい。すぐにでも火星の後継者殲滅に向かいます」

「了解」

ルリと離れてハーリーがブリッジでかなり落ち込んでいた事は誰も知らない

「ちっ、サブロウタは向こうか」

「リョーコちゃん。寂しいの?」

「ばっ馬鹿、そんな訳ないだろ」

リョーコは顔を真っ赤にして否定するがイズミとヒカルにからかわれて、結局は奢るハメになった

「じゃ、行きましょうか、ルリルリ」

「はい、ミナトさん」

そうしてナデシコCに乗り込むルリとミナト。その後ろで

「ユリカ、この戦いが終わったら、一緒にラーメン屋して、それと・・・結婚式のやり直ししよう」

「アキト・・・・嬉しいよ」

「ユリカ」

「アキト」

・・・・・・・・ピンクな空気がそのまま役30分続きましたので省略させて頂きます

「ナデシコBC艦、発進します」

そうしてナデシコCとBは発進した

アキトは格納庫に向かい、送られてきた品、ブラックサレナの装甲を見ていた

「こいつをまた付けるのか・・・・いや付けるべきなんだ。あいつの為に・・・」

そして格納庫で整備班に指示しながら装甲を装着していくピンク色のエステバリス

ちなみにウリバタケはナデシコBの方に残っていた。数の上ではエステバリスもBの方が多い上にナデシコBはまだ修理が終わっていないのだ

「よ、テンカワ。これが例の奴か」

「サブロウタさん。・・・・ああブラックサレナだ」

「こいつに乗ってたお前は・・・正直俺は怖かったぜ。まるで死神だったからな」

「そうか?」

「ああ、黒の王子様って奴か」

アキトは微笑みながら、ブラックサレナを見つめる

「今は・・・違うけどな」

「ああ」

ナデシコCとBは遺跡付近近くまで差し掛かっていた

「遺跡まではもうちょっとかかるわね。何も起こらなければいいけど・・」

「そうね。ここで敵に襲われるのは最適とは言えないわ」

「かと言って敵が見逃してくれる訳ではなさそうですけど」

ルリとイネス、そしてミナトがブリッジでは敵からの襲撃を恐れていた

ナデシコBではと言うと

「えー、じゃあ、ハーリー君ってルリが好きなんだ」

「そっそ
うですけど・・・

「そうなんだ〜」

ユリカがハーリーと楽しそうに会話、プロスとゴートは何かを話していた。エステバリス3人組はエステの調整、ウリバタケは修理大忙し

「はぁ・・・敵にいつ襲われるかもしれないって言うのに・・・」

ジュンだけが真面目に敵を警戒していた

「火星遺跡までもうちょっとだけど、敵さん。来ないわね」

「どうしたのでしょうか?」

「・・・・・私だけが火星の後継者の殲滅をして居る訳ではないって事ね」

「・・・・カイト君ね」

「そういう事よ。多分、既に火星遺跡に着いている可能性が高いわ」

「・・・・・・・・・・・・・・」

(カイトさん、お願いします。死なない下さい。私達が来るまでは早まった事しないで下さい)

ルル自身はもっと早く火星遺跡に向かいたかった。カイトとの再会の為に

「!。ナデシコC内部にボソン反応。」

!!!

「どういう事かしら?、敵のスパイにはしては無謀かつ変ね」

「ミナトさん、場所を確認して下さい」

「場所は、展望室」

「了解、アキトさんとサブロウタさんに向かって貰います」

「アキトさん、サブロウタさん。現在ナデシコC内部にボソン反応が確認されました。至急調査に向かって下さい」

「なんだって?」

「ボソン反応・・・まさか」

連絡を受けたアキトとサブロウタは急いで展望室に対人装備で向かった

「行くぞ、テンカワ」

「・・・サブロウタさん。待って」

アキトは展望室の扉の前で止まると銃を収めた

「どうしたんだ?テンカワ」

「泣き声が・・・聞こえるんです」

「泣き声?」

サブロウタは銃を降ろして、耳を澄ませた

「たしかに、展望室から聞こえるな」

「この子は・・・・」

アキトは展望室の中に静かに入った

「・・・・ひっく・・・カイト・・・・カイト」

アキトには分かっていた。そこに誰が飛んだか言うことを薄々気付いていた。誰が飛ばしたのかを

「ラピス・・・」

「!。・・・・アキト・・・」

ラピスはアキトに抱きつき、なおも泣きやむ事はなかった。

カイト〜。カイトーーーうぇぇぇん

「ラピス・・・・カイト・・・」

アキトは優しくラピスを撫でて展望室から見える火星の空を見上げた




カイトは向かった。そこが自分の死にべき場所と分かったから
ルリは向かう。大切な人を死なせない為に
ラピスは泣く。大切な物を失ってしまったから
アキトは怒る。なおも全てを奪おうとする火星の後継者に


どうも、闇光です。如何でしょうか?第9章。光を無くした戦士と静寂の火星

「・・・・うわわわーん」

ラピスちゃん大泣きです。はい。ゲストなのに泣きやみません・・

「お前のせいだろうが」

ぐは、痛い、アキトさん、殴らないで、蹴らないで、痛いから、痛いから

「まったく、なんでこんな作品作るんだ」

いや、ほらシリアスでしょ?ねぇ

「これはダークと言うべきじゃないのか」

いや・・・それは・・・・まあ・・・

「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」

ゲシ、バコ、ボコ、ゴキ、メリメリ←蹴られる、殴られる、殴られる、骨が折れる、肉がががか_| ̄|○

ラピスちゃん・・・強すぎ・・・ぐふ

「ラッラピス。取り敢えずカイトはきっと大丈夫だから、ね」

「・・・・・・・・・・ひっく」

「とっ取り敢えず泣きやませるので今日はこの辺で」

「カイト〜」

「でっでは、皆さん。この死んでいるように眠った作者の為に辛口トークまってます。では」

「ひっく・・・うぁぁぁん」




[戻る][SS小ネタBBS]

※闇光 さんに感想を書こう! メールはこちら SS小ネタ掲示板はこちら


<感想アンケートにご協力をお願いします>  [今までの結果]

■読後の印象は?(必須)
気に入った! まぁまぁ面白い ふつう いまいち もっと精進してください

■ご意見・ご感想を一言お願いします(任意:無記入でも送信できます)
ハンドル ひとこと